JP3568830B2 - 印刷配線板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷配線板およびその製造方法に係り、さらに詳しくは軽薄で、高密度微細配線型の印刷配線板、その製造方法および小型プラスチック成型品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
両面型印刷配線板もしくは多層型印刷配線板は、次のような手段で製造されている。たとえば、両面型印刷配線板の場合は、先ず、両面銅箔張り基板の所定位置に穴明け加工を施し、穿設した穴の内壁面を含め、全面に化学メッキ処理を施した後、さらに、電気メッキ処理を施し、内壁面の金属層を厚くして信頼性を高め、配線層間の電気的な接続を行っている。
【0003】
また、多層印刷配線板の場合は、基板両面に張られた銅箔をそれぞれ配線パターニングした後、その配線パターニング面上に絶縁シート(たとえばプリプレグ)を介して銅箔を積層、配置し、加熱加圧を施して一体化する。その後、前述の両面型印刷配線板のときと同様に、穴明け加工およびメッキ処理による配線層間の電気的な接続、表面銅箔の配線パターニングにより多層型印刷配線板を得ている。なお、より配線層の多い多層型印刷配線板の場合は、多層型配線板を中間に介挿させ積層一体化した後、所要のスルホール接続加工を行う方式で製造できる。
【0004】
一方、製造工程を簡略化した印刷配線板の製造方法も開発されている。たとえば、第1の導電性金属層面の所定位置に、層間導電用の導体バンプ(導電性突起)を形設し、この導体バンプ形設面に、熱溶融性を有する合成樹脂系シートを介して第2の導電性金属層を積層・配置する。
【0005】
次いで、積層体を加圧して、導体バンプ先端部を合成樹脂系シートの厚さ方向に貫挿させ、対向する第2の導電性金属層面へ電気的に接続する。その後、前記第1および第2の各導電性金属層にフォトエッチング処理を施して配線パターニングする。
【0006】
このような工程をベースとして、層間接続など煩雑な工程の削減を図りながら、高密度配線を可能とする両面型配線板、あるいは多層型配線板の製造方法が実用化されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、銅箔張り積層板を素材とする製造方法は、配線パターン層間の接続工程が煩雑で、生産性なども劣るという問題がある。すなわち、両面銅箔間の電気的な接続を行うに当たって、NCドリリングマシンで一つづつシリーズに貫通孔を穿設するため、貫通孔の穿設に多くの時間を必要とし、結果的に、生産性が低いという問題がある。特に、高密度配線化もしくは配線の微細化が要求された印刷配線板では、穿設孔の微小径とともに穿設箇所も増大しており、前記貫通孔の穿設手段は、経済的,技術的に由々しい問題となっている。
【0008】
また、穿設孔内壁面の導電性化はメッキ法が主流を成しているが、メッキ前処理/化学メッキ処理/電気メッキ処理と工程が煩雑であるばかりでなく、不所望な部分(たとえば銅箔面)にも金属メッキ膜が成長する。この不所望な部分のメッキは、その部分の金属層を厚くすることを意味し、その後のエッチング処理による微細なパターン形成を著しく困難化して、結果的に、印刷配線板の高密度微細パターンが制約される。
【0009】
一方、導電性ペースト印刷埋め込みによる導電性化手段は、穿設孔の径が比較的大きい場合、より具体的には微細化を要求されない配線パターン層間の接続に適するが、微細配線型の印刷配線板には適用し得ない。
【0010】
また、層間絶縁体層(合成樹脂系シート)を厚さ方向に貫挿させた導電性突起(導体バンプ)で、配線層間の電気的な接続を行う手段は、メッキ法を利用する印刷配線板の製造方法に比べて、穴明け加工、穴内壁面を含めたメッキ処理など省略(製造工程の短縮)を図れるともに、微細な接続もでき、また、工程管理の繁雑さも大幅に解消できる。しかし、一方では、製造された印刷配線板には、次ぎのような問題が認められる。
【0011】
たとえば、厚さ 100μm 程度の絶縁体層(支持体)面に、線幅20〜70μm 程度の微細な配線パターンを設けた薄型の印刷配線板は、折り曲げなどしたときに、配線パターンの一部が絶縁体層から剥離することがある。すなわち、配線パターンを微細化したとき、絶縁体層に対する配線パターンの接合面が小さいため、折り曲げや引っ張りなどの外的な力が加わると、絶縁体層面との一体性が損なわれ、剥離を起こし易いという不都合がある。
【0012】
本発明は上記事情に対処してなされたもので、簡易なプロセスで、より高密度の実装が可能な、かつ信頼性の高い印刷配線板を歩留まりよく製造し得る方法の提供を目的とする。さらに、この印刷配線板の製造方法を応用した小形(超小形)プラスチック成型品の製造法の提供を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
【0017】
請求項1の発明は、導電性の金属箔ないし薄板の一主面に選択的に、第1のエッチングレジスト膜を形成する工程と、前記第1のエッチングレジスト膜を形成した金属箔ないし薄板をハーフエッチングし、一主面に配線パターンを突起状に形設する工程と、前記第1のエッチングレジスト膜を除去し、配線パターン形設面に絶縁体層を積層配置する工程と、前記積層体を加圧一体化して配線パターンを絶縁体層に埋め込み・一体化する工程と、前記埋め込んだ配線パターンの少なくとも一部に対応する金属箔ないし薄板の外表面に、第2のエッチングレジスト膜を形成する工程と、前記第2のエッチングレジスト膜を形成した金属箔ないし薄板を埋め込まれた配線パターンを残してエッチング除去する工程とを有することを特徴とする印刷配線板の製造方法である。
【0018】
請求項2の発明は、導電性の金属箔ないし薄板の一主面に選択的に、第1のエッチングレジスト膜を形成する工程と、前記第1のエッチングレジスト膜を形成した金属箔ないし薄板をハーフエッチングし、一主面に配線パターンを突起状に形設する工程と、前記第1のエッチングレジスト膜を除去し、配線パターン形設面に絶縁体層を積層配置する工程と、前記積層体を加圧一体化して配線パターンを絶縁体層に埋め込み・一体化する工程と、前記埋め込んだ配線パターンの少なくとも一部に対応する金属箔ないし薄板の外表面に、第2のエッチングレジスト膜を形成する工程と、前記第2のエッチングレジスト膜を形成し金属箔ないし薄板を絶縁体層が露出し、かつ配線パターン領域が絶縁体層面に対して凹面化するまでエッチング除去する工程とを有することを特徴とする印刷配線板の製造方法である。
【0019】
請求項3の発明は、導電性の金属箔ないし薄板の一主面に選択的に、第1のエッチングレジスト膜を形成する工程と、前記第1のエッチングレジスト膜を形成した金属箔ないし薄板をハーフエッチングし、一主面に配線パターンを突起状に形設する工程と、前記第1のエッチングレジスト膜を除去し、配線パターン形設面に絶縁体層を積層配置する工程と、前記積層体を加圧一体化して配線パターンを絶縁体層に埋め込み・一体化する工程と、前記埋め込んだ配線パターンに対応する金属箔ないし薄板の外表面に、第2のエッチングレジスト膜を形成する工程と、前記第2のエッチングレジスト膜を形成した金属箔ないし薄板を埋め込まれた配線パターンを残してエッチング除去する工程と、前記残された配線パターンのうち、一部の配線パターン面に第3のエッチングレジスト膜を形成し他の配線パターンをエッチング除去して絶縁体層の一部を凹面化ないし貫通孔化する工程とを有することを特徴とする印刷配線板の製造方法である。
【0020】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3いずれか一記載の印刷配線板の製造方法において、導電性の金属箔ないし薄板が銅製であることを特徴とする。
【0021】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4いずれか一記載の印刷配線板の製造方法絶縁体層が液晶ポリマーから成ることを特徴とする。
【0023】
請求項1ないし請求項5の発明において、配線パターン化される導電性金属は、たとえば厚さ12〜 100μm 程度の粗化処理した銅箔など通常、印刷配線板の製造に用いられている電解銅箔、圧延銅箔、アルミニウム箔、ニッケル箔、錫箔などが挙げられる。そして、多層配線化に当たり、導電性金属箔は厚さの異なった物の組み合わせでもよいが、厚さが一定のものを使用するとエッチングや搬送などの点で有利である。また、絶縁体層の外表面部に埋め込まれた形で設けられる配線パターンは、ハーフエッチングによって行われる。
【0024】
ここで、一主面側の凸状配線パターン化は、好ましくはフォトエッチングで行われ、そのハーフエッチング(エッチング除去する膜厚)の程度は、厳密に半分程度(ほぼ50%)を意味するものでなく、当初の膜厚が低減された状態を意味する。たとえば導電性金属箔の厚さが 18 μ m のときは 3〜10μm 程度、厚さが35μm のときは 5〜20μm 程度である。
【0025】
なお、ここでのハーフエッチングは、多段的に行って、凸状の配線パターンの一部を層間接続用の導電性体を兼ねさせる構成を採ることもできる。たとえば、ハーフエッチングで形設した突起状の配線パターンのうち、対向して絶縁体層に埋め込まれ、かつ電気的に接続に寄与する領域面に、たとえば半田類、あるいは金や銀などの柔軟性の金属層を設けておくと、相互の電気的な接合が良好に行える。ここで、配線パターン層は、両面の他に内層に1層以上配置した構成を採ることもできる。
【0026】
また、ハーフエッチングの深さを任意に変更・設定することができる。すなわち、ハーフエッチング量(深さ)を適宜設定することにより、配線の微細化ないしファイン度の精度を上げることができる。ここで、導電体は、経済性および加工性の点などから銅箔が適し、また、薄板などのハーフエッチングに当たって、薄板などの厚さによっては、突起状の配線パターンの形設面だけでなく、反対面(裏面)をも一次的に、エッチングしておいてもよい。
【0027】
請求項1ないし請求項5の発明において、絶縁体層は、たとえばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、各種芳香族系液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂などの1種もしくは2種以上の混合系、または、前記樹脂とガラスクロスやマット、合成繊維や布などとを組み合わせたシート状(もしくはフィルム状)のものが挙げられる。そして、これら樹脂系シートは、たとえば厚さ20〜 150μm 、好ましくは25〜 100μm 程度である。
【0028】
特に、液晶ポリマーは、吸湿性がほとんどなく、誘電率が約 3.0(1MHz)程度であり、広い周波数領域で安定しているので好ましい。ここで、液晶ポリマーから成る絶縁体層(膜)厚は、たとえば厚さ25〜 100μm 程度のである。また、液晶ポリマーは、たとえばキシダール(商品名.Dartco社製)、ベクトラ(商品名.
Clanese 社製)で代表される多軸配向の熱可塑性ポリマーである。
【0029】
なお、液晶ポリマーは、その分子構造によって、その融点なども異なっており、同一の分子構造でも、結晶構造や添加物によって融点が変動する。たとえばベクトラン Aタイプ(融点, 285℃…製造元,クラレ社)、ベクトラン Cタイプ(融点, 325℃…製造元,クラレ社)、BIACフィルム(融点, 335℃…製造元,ジャパンゴアテック社)などが例示される。
【0030】
請求項1ないし5の発明において、配線パターンを絶縁性樹脂層に埋め込んだ後のエッチングは、少なくとも埋め込んだ配線パターンが互いに絶縁・隔離して残るように、少なくとも絶縁性樹脂層面とほぼ同一面を成す必要があり、一般的には、絶縁性樹脂層面よりも僅かながら低い状態(凹面化)まで行われる。ここでのエッチングは、絶縁性樹脂層に埋め込まれた配線パターン同士が互いに電気的に絶縁離隔する必要性から、前記配線パターン間の絶縁性樹脂層面に、導電性金属層を残さないように行われ、より好ましくは、僅かながら凹面化しておくと、電気的な絶縁離隔が確実で、かつ配線パターン面に対する選択的なソルダーレジストの塗布膜形成も行い易くなる。
【0031】
なお、上記配線パターン化のエッチング工程で、絶縁体樹脂層に埋め込んだ配線パターンの一部、もしくは配線パターンの全てをエッチング除去した場合は、配線パターンに対応した凹凸部を有する立体的な印刷配線板や絶縁体樹脂層が得られる。すなわち、請求項2ないし5の発明を応用して、配線パターン(突起状部)、全体的な形状、多段的な突起形状などの選択によっては、貫通孔を有する立体的な印刷配線板、あるいは微細加工的な超小形成型を金型を使わない方法で得ることもできる。
【0032】
請求項1の発明で得られた印刷配線板では、少なくとも表層の配線パターンの一部が絶縁体層面よりも低く、また、他の一部の配線パターンは厚く形成され、かつ絶縁体層面よりも突起している。そして、膜厚に形成された配線パターンを高電流用配線に、また、膜薄に形成された配線パターンを信号用配線に使い分けこともできる。
【0035】
請求項1の発明では、微細な配線パターンが形成され、また外層に配置・露出した配線パターンは、一面を残し他の周面が絶縁性樹脂層に埋め込まれ、互いに絶縁・離隔するとともに、絶縁性樹脂層と一体化する。すなわち、隣接する微細配線同士が確実な絶縁を確保する一方、絶縁性樹脂層との接合・一体性が維持された印刷配線板を煩雑な手段などを省略しながら得られる。
【0036】
請求項2ないし5の発明では、配線パターン層間を電気的に接続する層間の導体部(導体配線部)は、いわゆる積層一体化する工程での加圧(要すれば加熱を併用)過程で、導電性突起(配線パターン)が絶縁性樹脂層に埋め込まれる。すなわち、外層に配置・露出する配線パターンは、一面を残し他の周面が絶縁性樹脂層に埋め込まれ、互いに絶縁・離隔するとともに、絶縁性樹脂層と一体化する。
【0037】
したがって、配線パターンが微細であっても、隣接する配線同士が確実な絶縁を確保する一方、絶縁性樹脂層との接合・一体性が維持された印刷配線板が、煩雑な手段などを省略しながら得られる。ここで、外層配線パターンが、印刷配線板とほぼ同一面ないし僅か凹面化した状態に形成されているため、たとえば半田付けにおいて、狭ピッチで隣接する接続端子同士間のブリッジ発生も回避されることになり、前記微細な配線パターン化と相俟って、信頼性の高いコンパクトもしくは高密度配線板が得られることになる。
【0038】
特に、請求項5の発明では、吸湿性がほとんどなく、また、誘電率も小さい液晶ポリマーを主成分とする絶縁体層を備えているため、外界の影響などが試験評価に及ぶ恐れもなく、より信頼性の高い試験評価が得られる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、図1(a) 〜(g) 、図2、図3(a) 〜(c) 、図4、図5(a) 〜(c) および図6(a) ,(b) を参照して実施例を説明する。
【0041】
実施例1
図1(a) 〜(g) は、この実施例の実施態様を工程順に模式的に示す要部の断面図である。先ず、導電性の金属箔ないし薄板、たとえば厚さ35μm の電解銅箔を用意し、図1(a) に示すように、この電解銅箔1の一主面および他主面に選択的に、エッチングレジスト膜2a,2bを被覆形成する。ここで、エッチングレジスト膜2aは、幅40μm 程度で、 100μm 程度のピッチに設けてある。
【0042】
次いで、塩化第2銅水溶液をエッチング液として、前記エッチングレジスト膜2a,2bを被覆形成した電解銅箔1について、ハーフエッチング処理を施して、電解銅箔1を選択エッチングし、図1(b) に示すように、片面側に、所定幅・所定ピッチで突起(配線パターン)1aを形設する。ここで、ハーフエッチング(エッチング除去する膜厚)の程度は、たとえば電解銅箔1の厚さが18μm のときは10μm 程度、厚さが35μm のときは15μm 程度が好ましい。
【0043】
なお、このハーフエッチング処理において、電解銅箔1の厚さによっては、エッチングレジスト膜2bを省略して、反対面側から薄膜化を行ってもよい。このハーフエッチング処理後、前記エッチングレジスト膜2a,2bを、アルカリ水溶液で剥離ないし溶解・除去することにより、図1(c) に示すように、一主面に突起 (配線パターン)1aが形設された電解銅箔1′が得られる。
【0044】
その後、図1(d) に示すように、前記配線パターン1aを形設した電解銅箔1′面間に絶縁体層3を積層・配置し、この積層体を加圧一体化すると、図1(e) に示すように、配線パターン1aが絶縁体層3面に埋め込まれ、かつ配線パターンaの一部が対接(電気的に導通)した両面銅張り板4を作製する。ここで、絶縁体層3は、たとえば厚さ25μm 程度の液晶ポリマーシートであり、また、加圧一体化は、 300℃程度に加熱された加圧体を使用し、40 kgf/cm2 程度の圧力で行った。
【0045】
次ぎに、図1(f) に示すように、前記両面銅張り板4の銅箔1′面にエッチングレジスト膜2a′をパターニングし、塩化第2銅水溶液をエッチング液として、両面銅張り板4の銅箔1′面の選択エッチングを行って、前記配線パターン1aのうち、一部の配線パターン1aに対応する領域を部分的に残し、他の領域は絶縁体層3が露出するまでエッチング除去し、互いに絶縁離隔されて埋め込まれた配線パターン1aを形成する。
【0046】
その後、エッチングレジスト膜2a′を溶解・除去することによって、図1(g)に示すような外表面に露出する配線パターン1aのうち、一部の配線パターン1aが膜厚に形成され、僅かながら突出させた両面型配線板5が得られた。
【0047】
なお、上記製造工程において、配線パターン1aを形設した電解銅箔1面に絶縁体層3を積層・配置し、この積層体を加圧一体化するとき、配線パターン1aの外周面に、金属層を設けておいてもよい。
【0048】
この実施例の基本的な実施態様において、図1(f) に図示した実施態様の一部を変更することにより、図2に要部構成を断面的に示す印刷配線板が得られる。すなわち、両面銅張り板4の銅箔1′面に、選択的にエッチングレジスト膜2a′をパターニングし、塩化第2銅水溶液をエッチング液として、両面銅張り板4の銅箔1′面の選択エッチングを行う。
【0049】
ここでのエッチング処理は、前記配線パターン1aのうち、一部の配線パターン1aに対応する領域の一部を部分的に残す一方、他の領域は絶縁体層3が露出し、かつ一部の配線パターン1aが絶縁体層3面に対し凹面化する状態にエッチング除去する。こうした工程によって図2に示すような、互いに絶縁離隔されて埋め込まれ、かつ一部の配線パターン1a′が肉厚に、また、一部の配線パターン1aが絶縁体層3面より低い面を成して埋め込まれた両面型配線板5が得られる。
【0050】
実施例2
図3(a) 〜(c) は、この実施例の実施態様を模式的に示す要部の断面図である。この実施例は、前記実施例1の実施態様において、一部を変更したものであり、図3(a) に示すように(前記図1(e) に相当)、配線パターン1aが絶縁体層3面に埋め込まれ、かつ配線パターン1aの一部が対接(電気的に導通)した両面銅張り板4を作製する工程までは同様に行われる。なお、このような構成を採るために、電解銅箔1のハーフエッチング処理は、2段階に分けて行われた。
【0051】
次ぎに、塩化第2銅水溶液をエッチング液として、両面銅張り板4の銅箔1′面をエッチング処理し、図3(b) に示すように、一部の配線パターン1a′が肉厚化された配線パターン1aを有する層間接続型の両面配線板5、あるいは絶縁体層3に埋め込まれた配線パターン1a面が、絶縁体層3面から僅かながら( 1〜 5μm 程度)低面を成すまで銅箔1′をエッチング除去し、互いに絶縁離隔されて埋め込まれた配線パターン1aを有する層間接続型の両面配線板5を製作する。
【0052】
上記絶縁体層3面から僅かながら配線パターン1a面を低面化した構成の両面配線板5については、その後、凹面的に配線パターン1aが埋め込まれた外表面に、シルクスクリーン法でソルダーレジストをパターン部のみに印刷されるように、印刷・乾燥を行って、図3(c) に示すように、外層配線パターン1a面にソルダーレジスト6を選択的に被覆して成る両面型配線板5′が得られた。
【0053】
また、この実施例の変形として、図3(a) に図示するような両面銅張り板4′に対するエッチング処理において、たとえば配線パターンの層間接続部1a′および配線パターン1aの一部を選択エッチングによって除去することにより、図4に示すような、貫通孔7および表面に凹部8を有する両面型配線板5が得られる。なお、上記製造工程において、配線パターン1aを形設した電解銅箔1面に絶縁体層3を積層・配置し、この積層体を加圧一体化するとき、配線パターン1aの外周面に、金属層を設けておいてもよい。
【0054】
実施例3
図5(a) ,(b) ,(c) は、この実施例に係る印刷配線板の要部構成を示す断面図である。この印刷配線板の製造は、前記実施例2の実施態様において、一部を変更したものである。すなわち、配線パターン1aが絶縁体層3面に埋め込まれ、かつ配線パターン1aの一部が対接(電気的に導通)した層間接続型の両面型配線板の製造例において、層間接続の構成、または多層配線型の構造に変えたものである。
【0055】
したがって、図5(a) ,(b) に図示した実施例の場合は、層間接続を配線パターン1aの肉厚部の対接で行うために、電解銅箔1のハーフエッチング処理が2段階に分けて行われる。また、図5(c) に図示した実施例の場合は、前記図3(b) に示すような配線板5を2枚用意し、絶縁体層3を介して積層一体化することで製造できる。
【0056】
なお、図5(a) に示す構成の場合は、ハーフエッチングで、突起状に所要の配線パターを形成した電解銅箔1′を、絶縁性樹脂フィルムを介して積層一体化し、両面銅箔張り板を製作する。ここで、突起状の配線パターのうち、層間接続の形成に関与する肉厚部の衝合・対向する面は、嵌合型に形成されており、配線パターンの一部が嵌合・接合して層間接続を構成している。
【0057】
次ぎに、塩化第2銅水溶液をエッチング液として、両面銅張り板の銅箔1′面をエッチング処理することにより、層間接続型の両面配線板5が得られる。
【0058】
なお、上記製造工程において、配線パターン1aを形設した電解銅箔1面に絶縁体層3を積層・配置し、この積層体を加圧一体化するとき、配線パターン1aの外周面に、たとえば金などの柔軟な金属層を設けておいてもよい。
【0059】
一方、図5(b) に示す構成の場合は、前記実施例2で例示した実施態様において、相関接続に関与する肉厚の突起部先端面に、予め、半田層9を介挿しておくことにより得られる。
【0060】
上記各実施例で製造したそれぞれの印刷配線板について、通常実施されている電気チェックを行ったところ、全ての接続部に不良もしくは信頼性などの問題が認められなかった。また、前記両面配線パター間の接続の信頼性を評価するため、ホットオイルテスト( 260℃のオイル中に10秒間浸漬,20℃のオイル中に20秒間浸漬のサイクルを1サイクルとする)を、 500回行っても不良発生は認められず、従来の銅メッキによって貫通型の導体部を形成する方法の場合に較べて、配線パターン層間の接続の信頼性がすぐれていた。
【0061】
参考例1
図6(a) ,(b) は、この発明の応用例の実施態様を模式的に示す要部の断面図である。すなわち、この参考例は、前記実施例1の実施態様において、導電性の金属箔ないし薄板、たとえば厚さ70μm の電解銅箔を用意し、この電解銅箔1の一主面および他主面に選択的に、エッチングレジスト膜を被覆形成する。
【0062】
次いで、塩化第2銅水溶液をエッチング液として、前記エッチングレジスト膜を被覆形成した電解銅箔1について、ハーフエッチング処理を施して、電解銅箔1を選択エッチングする。このエッチングレジスト膜の被覆形成、ハーフエッチング処理は、多段的に繰り返して、多段的な突起を形成する。
【0063】
その後、多段的に突起1a″を形成した銅箔1″をプラスチック層3面を積層・配置し、この積層体を加圧一体化すると、図6(a) に示すように、前記多段的な突起1a″がプラスチック層3面に埋め込まれた片面銅張り板4′を作製する。
【0064】
次ぎに、塩化第2銅水溶液をエッチング液として、片面銅張り板4′のエッチングを行って、図6(b) に示すように、前記銅箔1″を全体的にエッチング除去し、片面側が多段的な突起1a″に対応して凹凸面化したプラチック(樹脂)製の小形成型型が得られた。つまり、金属薄板などのハーフエッチング、樹脂層に対する被ハーフエッチング面側の埋め込み・一体化、埋め込んだ金属のエッチング除去の組み合わせで、樹脂の微細な、あるいは精度の高い型加工品7が得られる。
【0065】
本発明は、上記実施例に限定されるものでなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲でいろいろの変形を採ることができる。
【0066】
【発明の効果】
請求項1の発明で得られた印刷配線板は、膜厚に形成された配線パターンおよび膜薄に形成された配線パターンを有しているため、それら配線パターンを用途に応じて適切に使い分けることができる。たとえば、膜厚に形成された配線パターンを電源用配線に、膜薄に形成された配線パターンを信号用配線に使い分けこともでき、より高機能な実装回路の構成ができる。また、配線パターンの埋め込み形化により、配線板全体の厚さを薄くできるし、前記埋め込みによる一体化強度の向上によって、微細配線パターンでも高い比ピール強度を呈する。
【0068】
請求項1の発明によれば、隣接する微細配線同士が確実な絶縁が確保され、かつ絶縁性樹脂層との接合・一体性が維持された信頼性の高い印刷配線板が提供される。
【0069】
請求項2ないし5の発明によれば、隣接する微細配線同士が確実な絶縁が確保され、かつ絶縁性樹脂層との接合・一体性が維持されるだけでなく、外層の配線パターンが絶縁体層とほぼ同一面ないし僅か凹面化した状態に形成されているため、たとえば半田付けにおいて、狭ピッチで隣接する接続端子同士間のブリッジ発生も回避されることになり、前記微細な配線パターン化と相俟って、信頼性の高いコンパクトもしくは高密度配線板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a) ,(b) ,(c) ,(d) ,(e) ,(f) ,(g) は第1の実施例に係る印刷配線板の製造実施態様を工程順に模式的に示す断面図。
【図2】第1の実施例に係る印刷配線板の他の要部構成例を示す断面図。
【図3】(a) ,(b) ,(c) は第2の実施例に係る印刷配線板の製造実施態様を工程順に模式的に示す断面図。
【図4】第2の実施例に係る印刷配線板の他の要部構成を示す断面図。
【図5】(a) ,(b) ,(c) は第3の実施例に係る印刷配線板の要部構成を示す断面図。
【図6】(a) ,(b) は参考例に係るプラスチック成型品の製造法の実施態様を工程順に模式的に示す断面図。
【符号の説明】
1……銅箔
1′,1″……ハーフエッチングした銅箔
1a,1a′,1a″……突起(配線パターン)
2a,2a′,2b……レジスト膜
3……絶縁体層(絶縁性樹脂層)
4……両面銅張り板
5,5′……両面型配線板
6……ソルダーレジスト膜
7……貫通孔
8……凹面部
9……半田層
10……小形プラスチック成型品
Claims (5)
- 導電性の金属箔ないし薄板の一主面に選択的に、第1のエッチングレジスト膜を形成する工程と、
前記第1のエッチングレジスト膜を形成した金属箔ないし薄板をハーフエッチングし、一主面に配線パターンを突起状に形設する工程と、
前記第1のエッチングレジスト膜を除去し、配線パターン形設面に絶縁体層を積層配置する工程と、
前記積層体を加圧一体化して配線パターンを絶縁体層に埋め込み・一体化する工程と、
前記埋め込んだ配線パターンの少なくとも一部に対応する金属箔ないし薄板の外表面に、第2のエッチングレジスト膜を形成する工程と、
前記第2のエッチングレジスト膜を形成した金属箔ないし薄板を埋め込まれた配線パターンを残してエッチング除去する工程と、
を有することを特徴とする印刷配線板の製造方法。 - 導電性の金属箔ないし薄板の一主面に選択的に、第1のエッチングレジスト膜を形成する工程と、
前記第1のエッチングレジスト膜を形成した金属箔ないし薄板をハーフエッチングし、一主面に配線パターンを突起状に形設する工程と、
前記第1のエッチングレジスト膜を除去し、配線パターン形設面に絶縁体層を積層配置する工程と、
前記積層体を加圧一体化して配線パターンを絶縁体層に埋め込み・一体化する工程と、
前記埋め込んだ配線パターンの少なくとも一部に対応する金属箔ないし薄板の外表面に、第2のエッチングレジスト膜を形成する工程と、
前記第2のエッチングレジスト膜を形成し金属箔ないし薄板を絶縁体層が露出し、かつ配線パターン領域が絶縁体層面に対して凹面化するまでエッチング除去する工程と、
を有することを特徴とする印刷配線板の製造方法。 - 導電性の金属箔ないし薄板の一主面に選択的に、第1のエッチングレジスト膜を形成する工程と、
前記第1のエッチングレジスト膜を形成した金属箔ないし薄板をハーフエッチングし、一主面に配線パターンを突起状に形設する工程と、
前記第1のエッチングレジスト膜を除去し、配線パターン形設面に絶縁体層を積層配置する工程と、
前記積層体を加圧一体化して配線パターンを絶縁体層に埋め込み・一体化する工程と、
前記埋め込んだ配線パターンに対応する金属箔ないし薄板の外表面に、第2のエッチングレジスト膜を形成する工程と、
前記第2のエッチングレジスト膜を形成した金属箔ないし薄板を埋め込まれた配線パターンを残してエッチング除去する工程と、
前記残された配線パターンのうち、一部の配線パターン面に第3のエッチングレジスト膜を形成し他の配線パターンをエッチング除去して絶縁体層の一部を凹面化ないし貫通孔化する工程と、
を有することを特徴とする印刷配線板の製造方法。 - 導電性の金属箔ないし薄板が銅製であることを特徴とする請求項1ないし請求項3いずれか一記載の印刷配線板の製造方法。
- 絶縁体層が液晶ポリマーから成ることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一記載の印刷配線板の製造方法。
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