JP3567603B2 - Pwht後の、靭性、溶接継手のクリープ特性および熱間加工性に優れた高クロムフェライト鋼 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は火力発電プラントの再熱蒸気管用大径溶接鋼管等の、550〜650℃前後の温度域で使用される、PWHT(溶接後熱処理)後の高温強度、靱性、耐酸化性、耐水蒸気酸化性および熱間加工性に優れた高クロムフェライト鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、火力発電プラントの再熱蒸気管等の550〜650℃前後の温度域では、2.25%Cr−1%Mo鋼、9%Cr−1%Mo−V−Nb鋼や18−8系オーステナイト系耐熱鋼が使用されており、使用環境や経済性等を加味してこれらの内からもっとも好ましい材料が選択されてきた。
【0003】
たとえば2.25%Cr−1%Mo鋼の、配管用継目無鋼管としてはSTPA24が知られており、またボイラ、圧力容器用鋼板としてはSCMV4が知られている。この鋼は優れた溶接性、信頼性、経済性を持ち、他を寄せつけない豊富な実績を有している。
【0004】
しかし、高温強度(クリープ強度を含めた高温強度)は他の系の鋼に比較してやや劣っている。また、Cr量が低いため、耐酸化性、耐水蒸気酸化性が十分ではなく、鋼の温度で550℃が実質的な上限である。
【0005】
オーステナイト系耐熱鋼であるSUS304鋼板、配管用継目無鋼管のSUS304TP等は、600℃以上の温度において高い高温強度を有する。また、溶接性、耐酸化性、耐水蒸気酸化性も良好であり、さらに高温において長時間使用した後も高い靱性を有している。
【0006】
一方、熱膨張率が高いこと、応力腐食割れ感受性がフェライト系耐熱鋼に比較して高いこと、高価である等の欠点がある。ただし、総合的に判断すると使いやすい材料とされておりこの鋼も実績は豊富である。
【0007】
9%Cr−1%Mo−V−Nb鋼は、600℃においてオーステナイト系ステンレス鋼に匹敵する高温強度を持つ鋼として開発された。この鋼はASTM A213 T91として知られており、前2者に比較すると実績は少ないが、経済的な材料として普及しつつある。ただし、Cr量がSUS304に比較して低く、600℃以上の温度における耐酸化性、耐水蒸気酸化性は必ずしも十分ではない。また、溶接部の高温強度の確保が難しいという欠点もある。
【0008】
フェライト系の耐熱鋼には、価格の他にもオーステナイト系鋼にない長所がある。すなわち、熱膨張係数が小さいこと、耐力が高いこと、応力腐食割れが起きにくいこと、酸化スケールが剥離しにくいこと等である。また、合金元素の含有量が少ないことは省資源の点からも注目されており、経済性も高い。
【0009】
このフェライト系の耐熱鋼の長所を生かしつつ、高温強度、耐酸化性、耐水蒸気酸化性を改善した鋼として、Cr量を12%程度に上げた高クロムフェライト鋼が、ボイラーの伝熱用鋼管を主たる使用対象として多数開発された。
【0010】
たとえば、特開昭63−76854号公報、特開平3−97832号公報、特開平5−311345号公報等に開示された技術がある。これらはいずれも600℃以上の高温環境下においても十分な強度を持ち、耐酸化性、耐水蒸気酸化性にも優れた鋼とされている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の高クロムフェライト鋼および上記した公報に開示されている鋼は、必ずしも靱性、溶接熱影響部の強度、価格等の問題を総合的に、かつ十分に解決した鋼とはなっていない。たちえば、火力プラントの建設時において必須である溶接後の長時間PWHTを受けた後の溶接継ぎ手等のデータは示されていない。
【0012】
高クロムフェライト鋼の特有の問題として、オーステナイト系耐熱鋼に比較して靱性が劣ること、溶接熱影響部の高温強度が母材部に比較して著しく低いことの2点がある。また、これらの特性が長時間のPWHTにより、一段と劣化することも重大な問題である。
【0013】
高クロムフェライト鋼においては、靱性の確保と、溶接熱影響部の強度の確保は一般的には両立が困難である。例えば、靱性の確保からはマルテンサイト相1相の組織とすることが望ましいが、マルテンサイト相1相の組織にすると溶接熱影響部の高温強度が母材部に比較して著しく低下する傾向がある。
【0014】
溶接熱影響部の高温強度の低下を抑えるためには、例えばマルテンサイト相中にδ−フェライト相を含む2相組織とすることが有効な場合もあるが、2相組織の鋼とすると靱性が著しく低下することが多い。このδ−フェライト相の靱性に対する悪影響はPWHTにより大きくなる。
【0015】
以上に示した様に、従来の高クロムフェライト鋼においては、その特性の重点を、靱性の確保と溶接熱影響部の高温強度の確保のいずれかに的を絞らざるを得ず、このことも高クロムフェライト鋼が広く普及する上での障害となっていた。また、高クロムフェライト鋼では、性能を得るために多種類の元素を含有させるが、特にCuは熱間圧延や熱間加工時に必要な熱間延性を低下させることが知られており、この熱間延性の確保も重要な課題である。
【0016】
したがって、PWHT後においてもオーステナイト系耐熱鋼に匹敵する溶接熱影響部高温強度と靱性を有し、さらに先に示した高クロムフェライト鋼の持つ種々の長所も持ち、かつ、優れた熱間延性を備えた高クロムフェライト鋼の開発が待たれていた。
【0017】
【課題を計決するための手段】
本発明者らは、この高クロムフェライト鋼において、高い靭性と溶接熱影響部の高温強度を両立させる課題の解決にとりくみ、マルテンサイト相1相の組織にすることでPWHT後の靭性を確保しつつ、Mn量を厳しく制限することにより、PWHT後の溶接熱影響部の強度の低下も最小限に抑えることが可能であり、さらに、低S化とCaまたはMg、希土類元素の添加により熱間加工性(延性)が十分に確保可能との知見を基に研究を重ねて本発明を完成させたものであり、第1発明は、質量%で、C:0.05〜0.18%、Si:0.1〜0.5%、Mn:<0.1%、S:≦0.005%,Cu:0.5〜3%、Ni:0.05〜1%、Cr:10〜13%、(Mo+W/2):0.5〜3%、V:0.1〜0.5%、Nb:0.05〜0.25%、B:0.001〜0.02%、Al:0.003〜0.04%、N:0.04〜0.15%を含有し、残部が実質的にFeよりなることを特徴とするPWHT後の、靭性、溶接継手のクリープ特性および熱間加工性に優れた高クロムフェライト鋼である。
【0018】
第2発明は、成分組成に更に、質量%でCo:0.5〜3%を含有することを特徴とする第1発明記載のPWHT後の、靭性、溶接継手のクリープ特性および熱間加工性に優れた高クロムフェライト鋼である。
【0019】
第3発明は、成分組成に更に、質量%でTi:0.005〜0.15%を含有することを特徴とする第1発明または第2発明記載のPWHT後の、靭性、溶接継手のクリープ特性および熱間加工性に優れた高クロムフェライト鋼である。
【0020】
第4発明は、成分組成に更に、質量%でCa:0.0005〜0.005%、Mg:0.003〜0.5%、希土類元素:0.001〜0.3%の内の1種または2種以上を含有することを特徴とする第1発明乃至第3発明の何れか一つに記載のPWHT後の、靭性、溶接継手のクリープ特性および熱間加工性に優れた高クロムフェライト鋼である。
【0021】
10〜12%程度のCrを含む高クロムフェライト鋼は従来より多数開発されてきた。それらはいずれも耐酸化性、耐水蒸気酸化性を確保するための11%程度のCrおよび若干量のSiと、高温強度を確保するための、Mo、W、C、N、B、Cu、Ni、Co、Nb、V、(Cr)、脱酸元素のSi、Alを含んでいる。
【0022】
高温強度を確保するために含有させる元素は上記した様に多種にわたるが、これは各々の元素の作用が異なり、それらの相加、相乗的な効果を目的としている。これらの合金元素を用いて高クロムフェライト鋼の成分設計を行なうが、その場合にはまず、鋼の組織をマルテンサイト相1相の組織にするか、δ−フェライト相を含む組織とするかを決定する。
【0023】
そして、例えば、靱性を重視する場合はオーステナイト相形成元素の割合を多くし、溶接熱影響部の高温強度を重視する場合は、フェライト相形成元素の割合を多くすることが行なわれてきた。これに対して、本発明は上記したように、Mn量を厳しく制限することにより、マルテンサイト相1相の組織の鋼においても溶接熱影響部の高温強度の低下を最小限にしたものであるが、この様な検討は従来は行なわれてこなかった。
【0024】
まず、組成の限定理由を述べる。なお、以下の記述はいずれも焼ならし(または熱間圧延後冷却)焼戻し後にPWHTを行なった場合に関するものである。
【0025】
C:
CはNと共にCr、Mo、W、V、Nb、Tiと炭窒化物を形成し、高温強度を高める作用を持つ。また、オーステナイト相の安定化元素であり、鋼をマルテンサイト組織にする重要な元素である。これらの効果はC量が0.05%未満では十分でない。一方、C量が高すぎ0.18%を越えると加工性、靱性、溶接性が下がる等の問題も生じる。したがってC量の範囲は0.05〜0.18%とする。
【0026】
Si:
Siは脱酸剤として添加する。また、耐酸化性、耐水蒸気酸化性を上げる効果もある。その含有量が0.1%未満の場合は脱酸が十分に行なわれず、靱性や高温強度が確保されない。一方、Siは鋼の脆化を促進する元素でもある。特に、高温環境に長時間さらされる場合の脆化を促進するが、その悪影響はSi量が0.5%を越えると著しくなる。したがってSi量の範囲は0.1〜0.5%とする。
【0027】
Mn:
Mnは本発明の構成上もっとも注目すべき元素である。従来、Mnは鋼に必須の添加元素として、相当量を添加し、また含有させることが半ば習慣的に続けられてきた。しかし、このMnの効果および影響は必ずしも厳密に検討されてきたわけではない。
【0028】
本発明者らは、Mnが析出する炭窒化物の粗大化を助長する結果、母材の靱性を低下させるのみならず、溶接熱影響部の高温強度も低下させることを見いだした。また、溶接熱影響部の高温強度に対する影響に比較すると小さくはあるが、母材のクリープ破断強度もかなり低下する。
【0029】
これらの悪影響はMn量の増加と共に大きくなり、0.2%を越えると顕著になる。したがってMn量は0.2%を上限とする。なお、本発明においては、Mn量の下限は規定しない。Mnは添加しない場合も例えばスクラップや、N等の母合金および炉壁からも混入する。
【0030】
したがって、原料の管理やMnを除くための製鋼上の工夫、さらには、前に溶解する鋼(前チャージ)を限定すると言った配慮が必要である。なお、Mn量の低減化による効果は0.03%程度で飽和し、それ以下に下げることはかえって経済性を損なうことがある。
【0031】
なお、Mnは鋼の熱間加工性を改善する元素とされており、また、オーステナイト相を安定化し、焼入れ後の組織をマルテンサイト相1相の組織にする上でも有用な元素である。しかし、熱間加工性の確保や、オーステナイト相の安定化に必須の添加元素ではない。
【0032】
本発明者らはMnの熱間加工性改善の効果は、S量が低い場合は必ずしも必要ではないことを見いだした。たとえば、S量が0.01%以下の場合は、Mn量が0.01%程度の場合も十分な加工性を有しており、S量がさらに低くなれば、実質的にMnを含有させる必要がない。
【0033】
S:
Sは熱間加工性に有害であり、低くすることが好ましい。熱間加工性を特に重要視する本発明の場合には、S量は0.005%以下とする。
【0034】
Cu:
Cuは鋼に高温強度を付与する主要な元素である。Cuは焼戻し処理中に析出し、さらに、高温環境において使用中にも析出して鋼の高温強度を高める。特に、溶接熱影響部の強度の確保に有効であるが、この効果はCu量が0.5%未満の場合は明瞭でない。
【0035】
なお、Cuにはオーステナイト相を安定化し、鋼をマルテンサイト組織1相にする効果や対酸化性を上げる効果もあるが、これらの効果も0.5%程度から認められる様になる。一方、Cuは熱間加工性を劣化させる元素でもある。この悪影響はCu量が3%を越えると著しくなる。したがって、Cu量の範囲は0.5〜3%とする。
【0036】
Ni:
NiはCuと同様にオーステナイト相を安定化し、鋼をマルテンサイト組織にする効果および対酸化性を上げる効果を有する。また、熱間加工性に対するCuの悪影響を減少させる効果もある。
【0037】
これらのNiは効果は0.05%程度より明瞭になる。一方、Niは鋼のAc1変態点を下げる元素であり、Niを多量に含有させると、必然的に焼戻し温度を低くすることとなり、その結果、高温強度の確保が困難になる。また、高価な元素であり経済性からも1%以下に制限することが妥当である。したがって、Ni量の範囲は0.05〜1%とする。
【0038】
Cr:
Crは耐酸化性、耐水蒸気酸化性の確保の上で必須の元素である。このための下限は10%である。また、炭窒化物を形成する元素であり、高温強度の確保の面においても重要な元素である。一方、Crはフェライト相形成元素であり、多量に添加すると高温においてオーステナイト相1相の組織にならず、δ−フェライト相が析出する。
【0039】
このδ−フェライト相は鋼の靱性を著しく損なう。Cr量が13%を越えると、δ−フェライト相を析出させないために、CやNi等の元素の量を多くする必要が生じるが、オーステナイト相形成元素の含有量を増加させることは、経済的でないと同時に変態点を下げる等の好ましくない影響がある。したがって、Cr量の範囲は10〜13%とする。
【0040】
(Mo+W/2):
MoおよびWは、高クロムフェライト鋼の高温強度を確保する上で重要な元素である。しかし、フェライト相形成元素であり、多量に添加するとδ−フェライト相が析出し、靱性、特に高温環境に長時間保持された後の靱性が大幅に低下する。 MoとWの高温強度への寄与および、δ−フェライト相の析出に対する影響は1原子あたりではほぼ等しいため、上限および下限は(Mo+W/2)の重量%で判断してよい。この値が0.5%未満の場合は、高温強度が不足する。また、3%を越えると、δ−フェライト相の析出を抑えることが困難になる。したがって(Mo+W/2)量の範囲は0.5〜3%とする。
【0041】
なお、1原子あたりのMo及びWの効果または影響は等価であるため、各々の元素の範囲は、Mo単独の場合は0.5〜3%、W単独の場合は1〜6%になる。
【0042】
V:
VはC、Nと微細炭窒化析出物を形成して高温強度、特にクリープ強度およびクリープ破断強度の向上に寄与する。このVの効果は0.1%未満では明瞭でない。一方、過剰に合金化すると、溶接性、靱性、対酸化性、高温強度を下げ、また、δ−フェライト相を析出させるという悪影響が現れる。これらの悪影響はVの含有量が0.5%を越えると著しくなるため、V量の範囲は0.1〜0.5%とする。
【0043】
Nb:
NbもC、Nと微細炭窒化物を形成して高温強度、特にクリープ強度およびクリープ破断強度の向上に寄与する。このNbの効果は0.05%未満では明瞭でない。一方、過剰に含有させた場合には、溶接性、靱性、高温強度を下げ、δ−フェライトの析出という悪影響があらわれる。これらの悪影響は含有量が0.25%を越えると著しくなるため、Nb量の範囲は0.05〜0.25%とする。
【0044】
B:
Bを微量添加すると、炭窒化物を微細に分散させ、また安定化することが可能になる。このBの効果が認められる下限の含有量は0.001%である。一方。Bは低融点化合物を形成し、鋼の高温における加工性、溶接性を下げる元素でもある。これらの悪影響はB量が0.02%を越えると著しくなる。したがって、B量の範囲は0.001〜0.02%とする。
【0045】
Al:
Alは脱酸剤としての効果の大きな元素である。また、適当量の添加は溶接性、熱間加工性を改善する作用もあり、さらに高温強度にも寄与する。これらの効果はAlの量が0.003%以上で現れる。
【0046】
ただし、Alのこれらの効果はその含有量が0.04%を越えると認められなくなるばかりか、かえって上記の諸特性を劣化させる。したがって、Alの含有量は0.003〜0.04%の範囲とする。
【0047】
N:
NはCと共にCr、V、Nb、Tiと炭窒化物を形成し、高温強度に大きく寄与する。また、オーステナイト相の形成元素でもあり、鋼をマルテンサイト相1相の組織とする上でも効果がある。しかし、高温強度に対するNの効果は含有量が0.04%未満では明瞭でないため、下限を0.04%とする。
【0048】
一方、Nを過剰に含有させると溶接性や熱間加工性、靱性が劣化する。また、高温強度もかえって低下する。これらの悪影響はNの含有量が0.15%を越えると著しくなる。したがって、N量の範囲は0.04〜.0.15%とする。
【0049】
Co:
CoはNiと同様にオーステナイト相の安定化元素であり、マルテンサイト1相の組織を得る上で有用であり、靱性改善の効果がある。また、高温強度も高める作用をもつ貴重な元素である。このCoの効果は0.5%以上で明瞭になるため、選択元素として含有させる場合は0.5%以上とする。上限は効果が飽和すること、および経済性を考慮して3%とする。
【0050】
Ti:
TiはNとの親和力が強く、安定な窒化物を形成し、特に圧延時や再加熱時のオーステナイト粒の成長を抑制して、最終的に組織を微細化して靱性を向上させる。このTiの効果は0.005%以上で現れるが、一方、0.15%を越えて過剰に含有させた場合には、TiNの粗大析出物が形成され、靱性を劣化させる。したがって、Ti量の範囲は0.005〜0.15%とする。
【0051】
Ca、Mg、希土類元素:
Ca、Mg、希土類元素(REM)はS等の不純物元素を固定することにより、熱間加工性を向上させる。特に、CuやB等を多量に含有させた場合にその改善効果が著しい。これらの効果は、Ca、Mg、希土類元素(REM)の量が、それぞれ、0.0005%以上、0.0003%以上、0.001%以上で現れてくる。
【0052】
一方、それぞれの量が0.005%、0.5%、0.3%を越えると、介在物が増加して靱性を劣化させる。したがって、Ca:0.0005〜0.005%、Mg:0.0003〜0.5%、希土類元素(REM):0.001〜0.3%の範囲とする。なお、Ca、Mg、希土類元素(REM)は上記したように、ほぼ同様な作用を持つが、単独で含有させても良く、複合で含有させても良い。
【0053】
本発明の鋼には通常、鋼に含まれる程度の不可避的不純物を含有してよい。たとえば、P、Oはおのおの0.02%、0.007%程度は含有してよい。ただし、熱間加工性を重要視する場合は、Oは0.005%以下にすることが望ましい。
【0054】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態は、まず、上記の範囲の成分を有する鋼を、電気炉または転炉で溶製し、鋼塊に造塊、または、連続鋳造法によりスラブまたはブルームとする。その後、分解圧延、仕上げ圧延等により、厚板や熱延鋼板としたり、さらには、電縫溶接鋼管等に加工しても良い。また、ブルームを圧延してビレットとし、継目無鋼管や、形鋼・条鋼・棒鋼とすることも可能である。
【0055】
上記の製品に加工後に熱処理を行う。本発明鋼の熱処理は焼きならし焼戻しである。ただし、圧延を800℃以上で仕上げて冷却し、そのまま焼戻しを行なってもよい。(以後、これをTMCP材とする)この場合は、焼きならし焼戻しの熱処理(以後、これをNT材とする)に比較して靱性やクリープ破断強度が改善される場合もある。もちろん再加熱して焼きならし焼戻しを行なう場合に比較して経済的でもある。
【0056】
焼きならし温度はVやNbの炭窒化物を十分に固溶させるために、1020℃以上とする。焼戻しは760〜840℃の温度範囲で行ない、安定した炭窒化物を析出させる。
【0057】
なお、本発明鋼は溶接構造物として使用することを前提としている。溶接後のPWHTは温度範囲:700〜800℃、処理時間は1時間以上であり、鋼の組成、製造履歴、厚さや使用目的に応じて最適温度及び時間を決定する。この処理は構造物全体に対して行なうため、後に述べる鋼の特性の把握は母材部も含め、PWHTを行なった後の材料について行なっている。
【0058】
【実施例】
表1に本発明の実施例No.1〜No.24の成分を示す(但し、No . 2、9、13、17,20、21、22は欠番)。また、表2に比較例であるNo.51〜No.74の成分を示す。尚、表2中の値の内で下線を付けた値は、本発明の成分範囲を外れているものである。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
表1中のNo.1〜No.14(但し、No.2、9、13は欠番)、No.18〜No.24(但し、No.17、20、21、22は欠番)は真空下で溶解・鋳造して鋼塊とし、分塊圧延、仕上げ圧延を経て、50mm厚さの厚板とした。圧延仕上がり温度は960〜1000℃である。圧延仕上がり後に空冷し、2分割し、一方は820℃×1時間の焼き戻しを行った。(TMCP材)また、残部は再度1080℃に加熱し、空冷後、820℃×1時間の焼き戻しを行った。
【0062】
(NT材)
また、表1中のNo.15、No.16は、50トン電気炉で溶解し、連続鋳造法により200×1300のスラブとした。その後は他の実施例と同様である。表2中の比較例も、No.1等と同様のプロセスにより厚板とした。
【0063】
この2種の熱処理を行なった鋼板を用いてTIG溶接継手を作製した。溶接方向は板の圧延方向である。溶接材料はほぼ同様の組成の12%Cr系である。溶接後に740℃×8時間のPWHTを行い、試験片を採取した。
【0064】
靱性は、板の表面近傍の溶着金属および溶接線から1mm母材側に入った溶接熱影響部にノッチを入れた衝撃試験片(JIS4号)を用いて吸収エネルギーにより評価した。試験温度は0℃である。また、溶接部からはなれた母材からも同様に試験片を採取した。ノッチの方向は板の圧延方向である。
【0065】
高温強度はクリープ破断試験(平行部径6mmφ、長さ30mm)により評価したが、溶接部を持つ試験片の採取方向は溶接方向と直角方向であり、板厚の中央部より試験片の平行部の中央が溶接熱影響部となる様に採取した。
【0066】
なお、この系の鋼の溶接継手のクリープ破断試験においては、溶着金属破断を起こすことは極めて少ないことが知られているため、溶接材料は個々の鋼毎に変化させずに同一とした。クリープ破断強度は試験温度650℃、応力100MPaにおける破断時間で評価した。なお、母材からも圧延方向の直角方向より試験片を採取して比較を行なっている。高温延性は、1000℃の高温引張試験の破断伸びで評価した。
【0067】
表3に本発明の実施例のNT材およびTMCP材の衝撃試験結果を示す。溶着金属の0℃吸収エネルギーはいずれも40〜56J程度である。NT材の母材の値は65〜98Jの範囲にある。TMCP材は64〜97Jの範囲にあるが、平均値はTMCP材の方がやや大きい。
【0068】
一方、溶接熱影響部の吸収エネルギーはやや低く、NT材は48〜72Jの間、TMCP材は53〜72の範囲にあり、やはりTMCP材がまさっている。なお、母材の吸収エネルギーと溶接熱影響部の吸収エネルギーはほぼ相関している。工場で製造した材料も同程度の値を示している。
【0069】
【表3】
【0070】
表4に比較例の衝撃試験結果を示す。No.52はC量が高く吸収エネルギーが低い。No.55はNi量が高く焼戻し時にマルテンサイト変態が起こったため吸収エネルギーが低い。
【0071】
No.57はCr量が高くδ−フェライトが若干析出したため吸収エネルギーが低い。No.61は(Mo+W/2)量が多くδ−フェライトが析出したためやはり、吸収エネルギーが低い。No.63はV,Nbの量が多く吸収エネルギーが低い。No.66はAl量が低いため吸収エネルギーが低い。
【0072】
No.69はN量が多く、吸収エネルギーが低い。No.70はSi量が少なく、またNo.71はSi量が多く、No.72はCa量が多く、No.73はTi量が多く、No.74はS量が高くいずれも吸収エネルギーが低い。その他の比較例の吸収エネルギーは実施例と同程度のレベルにある。
【0073】
【表4】
【0074】
表5に本発明の実施例の母材部および溶接部を持つ試験片のクリープ破断試験結果を示す(但し、No . 2、9、13、17、20、21、22は欠番)。実施例であるNo.1〜No.24(但し、No . 2、9、13、17、20、21、22は欠番)の破断時間はいずれも1000時間を越えており、SUS304と比較しても遜色ない。なお、(Mo+W/2)の量の多いNo.3、No . 7、No.12の破断時間はやや長い。No.11はW量は多いがCu量、Nb量、B量が下限近くであり、2000時間に達していない。
【0075】
No.6はCu量が範囲内ではあるが低く破断時間がやや短い。Mn量が0.05%、0.06%のNo.5、No.10も破断時間がやや短い。Coを含有しているNo.8、No.9は、Cu量、(Mo+W/2)量が同程度のNo.1、No.3と比較して破断時間が長い。
【0076】
【表5】
【0077】
表6に比較例の母材部および溶接部を持つ試験片のクリープ破断試験結果を示す。No.51はC量が低く、No.53、No.54はMn量が高く、No.55はNi量が高く、No.58はCu量が低く、No.60は(Mo+W/2)の量が低く、No.62はV、Nbの量が低く、No.63はV、Nbの量が高く、No.64はBが添加されておらず破断時間は1000時間未満である。
【0078】
また、No.67はAl量が多いため、No.68、No.69はN量が少なすぎ、または多過ぎ、No.70はSiが添加されていないため、いずれも破断時間は1000時間未満である。他の比較例の破断時間は1000時間以上である。なお、破断位置はいずれも溶接熱影響部であった。
【0079】
【表6】
【0080】
表7に熱間延性を調査するための、1000℃高温引張試験結果を示した(但し、No . 2、9、13、17、20、21、22は欠番)。熱間圧延においては、破断伸びが40%以上あることが一応の目安となる。本発明の実施例の破断伸びはいずれも、40%を越えている。また、Ca,Mg、希土類元素を含むNo.16〜No.24(但し、No.17、20、21、22は欠番)の破断伸びは90%以上である。また、Ca等は添加されていないが、S量が低いNo.15の破断伸びは82%である。
【0081】
比較例のNo.51、No.53、No.74の破断伸びは、S量が多いためまた、No.59はCu量が多く、No.65はBの含有量が上限以上であり、破断伸びはいずれも40%未満である。これらの鋼は熱間圧延時にかなりの高温割れが発生した。その他の比較例はいずれも40%以上の破断伸びを示している。
【0082】
なお、比較例の内、No.56は上記の機械試験値は良好であったが、Crの含有量が9.6%であり、700℃、1000時間の水蒸気酸化によるスケール厚さは150μmを越えていた。これに対して、他の鋼は実施例、比較例ともに100μm程度または、それ以下であった。
【0083】
【表7】
【0084】
【発明の効果】
本発明に係るの高クロムフェライト鋼は、従来の高クロムフェライト鋼では達成できなかった、PWHT後の靱性と溶接熱影響部の高温強度の両立を達成した画期的な鋼であり、さらに優れた熱間加工性も有しており製造も容易である。本発明鋼は、オーステナイト系耐熱鋼に匹敵する機械的特性と、高クロムフェライト鋼の長所(耐酸化性等)を併せ持っており、優れた実用性と同時に経済性も兼ね備えている。
Claims (4)
- 質量%で、C:0.05〜0.18%、Si:0.1〜0.5%、Mn:<0.1%、S:≦0.005%,Cu:0.5〜3%、Ni:0.05〜1%、Cr:10〜13%、(Mo+W/2):0.5〜3%、V:0.1〜0.5%、Nb:0.05〜0.25%、B:0.001〜0.02%、Al:0.003〜0.04%、N:0.04〜0.15%を含有し、残部が実質的にFeよりなることを特徴とするPWHT後の、靭性、溶接継手のクリープ特性および熱間加工性に優れた高クロムフェライト鋼。
- 成分組成に更に、質量%でCo:0.5〜3%を含有することを特徴とする請求項1記載のPWHT後の、靭性、溶接継手のクリープ特性および熱間加工性に優れた高クロムフェライト鋼。
- 成分組成に更に、質量%でTi:0.005〜0.15%を含有することを特徴とする請求項1または2記載のPWHT後の、靭性、溶接継手のクリープ特性および熱間加工性に優れた高クロムフェライト鋼。
- 成分組成に更に、質量%でCa:0.0005〜0.005%、Mg:0.003〜0.5%、希土類元素:0.001〜0.3%の内の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載のPWHT後の、靭性、溶接継手のクリープ特性および熱間加工性に優れた高クロムフェライト鋼。
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