JP3567462B2 - 車体側部のエネルギ吸収構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体側部のエネルギ吸収構造に係り、特に、車両の側面衝突時に車内側に展開して車室内の乗員を拘束するエアバッグを備えた車体側部のエネルギ吸収構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、例えば、実開平1−117957号公報に示されているように、車両の側面衝突時における乗員保護の観点から、ドアのベルトライン部やドアのアームレスト部分にエアバッグを設けることにより、車両の側面衝突時にはこのエアバッグを車室内に展開させて乗員を拘束し、それにより、乗員がドア内面等に直接衝突するのを防止するようにしたものが知られている。
さらに、特開昭50−14035号公報に示されているように、サイドルーフレールの近傍のルーフ部にエアバッグを設けるようにしたものも知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した公報に記載された従来技術においては、ドア部分やルーフ部にエアバッグを配置することによって車両の側面衝突時における乗員保護の向上を図っているが、本発明の発明者らは乗員保護性能のより一層の向上を図るために、側面衝突時における乗員の挙動を以下のように検討した。
【0004】
図19に示すように、車両1の運転席2に乗員Mが着座している状態において運転席側の外方から他の車両Xが衝突してきた場合における乗員Mの挙動を考える。この場合、他の車両Xが乗用車タイプの車両である場合には一般にそのバンパーは車両1の乗員Mの腰部付近の高さに位置するため、他の車両Xの衝突によって乗員Mは先ずその腰部付近に横荷重F1を受ける。このため、乗員Mは、慣性力によってその上体が一旦衝突側、即ち、車両1の左側部1a側に振られ、ここでこの左側部1aの内壁部材に衝突することになる。
【0005】
さらに、乗員Mは、このように一旦左側部1a側へ振られた後は、その反動によって、今度は図20に示すように、運転席2側から助手席3側に大きく投げ出されるが、この場合、上述のように乗員Mに対する衝撃力は乗員Mの腰部付近に入るため、たとえ乗員Mは運転席2に対して前方に向って着座していたとしても、乗員Mは体全体が横にねじ向けられ且つその腰部を右側部1b側に突き出した状態でしかも斜め上方に向って投げ出されることになる。この結果、乗員Mは、車両1の右側部1bの上部からルーフサイドレール1dにかけての内壁部分に衝突することが予想される。
【0006】
また、この場合、乗員Mはその腰部を後方に突き出した状態で投げ出されるために、この腰部はこれより上側の肩部あるいは頭部よりも早いタイミングで内壁部材に衝突すると考えられる。
即ち、車両の側面衝突時には乗員が車室側部の比較的上側部分に衝突する可能性のあること、及び乗員が車室内壁部材に衝突するタイミングは衝突側と反衝突側との間、及び車室の上下位置間ではそれぞれズレがあることが、本発明者らにより知見されたのである。
従って、車両の側面衝突時における乗員保護性能のより一層の向上を図るためには、車室上部付近への乗員の衝突及びその衝突のタイミング等の乗員の挙動を十分に考慮した対策が必要であることが判明した。
【0007】
また一方、乗員保護性能という観点からすれば、エアバッグの特性そのものも考慮する必要がある。即ち、エアバッグはインフレータから発生するガス(通常は窒素ガス)によってこれを展開させる構造であるが、このエアバッグの反発力が過大になると却って乗員に対する拘束性能が低下するため、一般にエアバッグにはベントホールが設けられ、展開したエアバッグに乗員が当接するとベントホールからガスを適度に逃がしながら衝撃荷重を吸収し、乗員拘束上最適な展開状態を確保するように構成されている。
しかし、このインフレータの発生ガス量は限りがあるため、エアバッグの最適な展開状態が得られる期間は自ずと限定される。従って、この最適な展開状態が得られる期間中に乗員の拘束作用が行えるようにその展開タイミングを考慮することが肝要である。
【0008】
そこで本発明は、このような乗員の挙動あるいはエアバッグの構造等を考慮して、車両の側面衝突時における乗員の保護性能をより向上させることができる車体側部のエネルギ吸収構造を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、車両の側面衝突時に車内側に展開して車室内の乗員を拘束するエアバッグを備えた車体側部のエネルギ吸収構造であって、エアバッグが車室の上側側部に位置するルーフサイドレール部に配置されたエアバッグとこのルーフサイドレール部から下方に延びるピラー部に配置されたエアバッグからなり、エアバッグを展開させるためのガスを噴出する単一のインフレータが上記ピラー部に設けられ、このインフレータとルーフサイドレール部に配置されたエアバッグがガス通管により接続され、このインフレータがピラー部に配置されたエアバッグ及びルーフサイドレール部に配置されたエアバッグを展開するようになっていることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、車両の側面衝突時に、ルーフサイドレール部に配置したエアバッグとピラー部に配置したエアバッグを展開して車室内の乗員を拘束するようにしているため、乗員を確実に受け止めることができる。また、単一のインフレータをピラー部に設け、このインフレータとルーフサイドレール部に配置されたエアバッグをガス通管により接続し、このインフレータがピラー部に配置されたエアバッグ及びルーフサイドレール部に配置されたエアバッグを展開するようになっている。その結果、本発明によれば、乗員の挙動に対応した保護が可能となり、車両の側面衝突時における乗員の保護性能をより向上させることができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、ルーフサイドレール部に配置されたエアバッグは、ガス通管と接続されたガス吹き出し部材を備えている。
本発明において、好ましくは、インフレータは、ピラー部に配置されたエアバッグと一体的にモジュール化されている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
先ず、図1乃至図6により本発明の第1実施形態を説明する。図1には、本発明の第1実施形態にかかる車体側部のエネルギ吸収構造を備えた車両1の助手席3(図5参照)側の上側側部が示されており、同図において符号1cはルーフ、1dはこのルーフ1cの側部を車体前後方向に延びる閉断面状のルーフサイドレール(図3参照)、1eはこのルーフサイドレール1dの前後方向中間位置から下方に延びるピラー(いわゆるセンターピラー)であり、この実施形態では左右一対のピラー1eに後述のピラー側エアバッグモジュール4を、また左右一対のルーフサイドレール1dに後述のルーフサイドレール側エアバッグモジュール5をそれぞれ取り付けている(図5及び図6参照)。
【0012】
ピラー側エアバッグモジュール4は、図2に示すように、ピラー1eのインナーパネルの一部を凹状にへこませて形成されたモジュール取付ブラケット12に対して車室側から取り付けられるものであって、モジュール取付ブラケット12に締着固定されるモジュールケース10の内部に、多数のガス噴出口6aを形成した円筒状のインフレータ6と、折り畳まれた状態のエアバッグ8とを収容して構成されている。そして、本実施形態では、エアバッグ8の一部を、ピラー1eの内側にシーミングウェルト15によって固定される比較的軟質の素材からなるピラートリム14で構成している。
従って、このピラー側エアバッグモジュール4は、通常時(即ち、非側面衝突時)には、図2に実線で示すように、ピラー1e内に収容され且つピラートリム14によってその車室側から覆われた状態となっており、乗員には何等違和感を与えることがない。
【0013】
一方、車両1が側面衝突しこれを車体側部に配置した衝突センサ(図示せず)が検知し、これを受けてインフレータ6が作動してその各ガス噴出口6aからエアバッグ8の内部にガスが噴出されると、このエアバッグ8はこのガス圧によって展開されピラートリム14をその内側から押圧する。このとき、このピラートリム14を固定した各シーミングウェルト15が外れてピラートリム14はピラー1eから離脱し、エアバッグ8の展開を許容する。従って、エアバッグ8は最終的には図2に鎖線8’で示すようにピラートリム14とともに車室側に大きく展開し、乗員を拘束し得る状態となる。
【0014】
一方、ルーフサイドレール側エアバッグモジュール5は、図3及び図4に示すように、ルーフサイドレール1dのインナパネル側の一部を切り欠いて形成したモジュール収容部18内にモジュール取付ブラケット13を介して取り付けられるものであって、このモジュール取付ブラケット13に固定されるモジュールケース11にインフレータ7とエアバッグ9を取り付けて構成されている。そして、本実施形態では、ルーフサイドレール1dの車室側に取り付けられるレールトリム16のうち、ルーフサイドレール側エアバッグモジュール5に対応する部分をエアバッグリッド16aとして利用するようにしている。即ち、レールトリム16のルーフサイドレール側エアバッグモジュール5に対応する部分にこのルーフサイドレール側エアバッグモジュール5の外形形状に沿うように外周切り欠き溝19を、またその中間位置には中間切り欠き溝20をそれぞれ内側から形成し、この外周切り欠き溝19によって囲まれた部分をエアバッグリッド16aとしている。
従って、通常時には、図3に示すように、ルーフサイドレール側エアバッグモジュール5はレールトリム16によって車室側への露出が防止されているため、乗員には何等違和感を与えることがない。
【0015】
一方、車両1の側面衝突時には、図4に示すように、インフレータ7からの噴出ガスによってエアバッグ9が展開される時、このエアバッグ9はその展開圧力でエアバッグリッド部16aをその内面側から押圧し、これを中間切り欠き溝20部分から破断し外周切り欠き溝19部分を中心として上下方向に押し開く。従って、エアバッグ9は、その展開が許容され、車室側に大きく展開し、乗員を拘束可能な状態で待機することとなる。
【0016】
本実施形態では、上述のようにピラー側エアバッグモジュール4とルーフサイドレール側エアバッグモジュール5を車両1の両側にそれぞれ配置しており、この車両1の側面衝突時にこれら各エアバッグモジュール4,5からエアバッグ8,9がそれぞれ車室側に展開することによって乗員の保護が図られるものであるが、その具体的な作動状態を図5及び図6を参照して説明する。
【0017】
本実施形態においては、例えば、図5に示すように、他の車両Xが車両1の左側部1a側に衝突したような場合には、この衝突を衝突センサ(図示せず)が検知すると、これを受けて車室の上側両側部にそれぞれ配置された各ピラー側エアバッグモジュール4のエアバッグ8と各ルーフサイドレール側エアバッグモジュール5のエアバッグ9とが同時に展開するようにしている。
従って、側面衝突の初期段階において乗員Mが衝突側に振られた場合には、図5に示すように、左側部1a側に配置した各エアバッグ8,9によって乗員Mはその肩部及び頭部が拘束され、直接車室の内壁部材(例えば、ピラー1eとかルーフサイドレール1d部分)に衝突するのが防止される。
【0018】
また、側面衝突の後期においては、図6に示すように乗員Mは運転席2側から助手席3側に且つその腰部を突き出した格好でしかも上方に浮き上がった状態に投げ出されるが、この場合、乗員Mは反衝突側、即ち右側部1bの上部において展開状態で待ち受けている各エアバッグ8,9によって確実に拘束され、直接ピラー1eあるいはルーフサイドレール1dに衝突するのが防止される。
このように、車室の上側両側部に配置した各エアバッグ8,9によって乗員Mを拘束することによってこの乗員Mが受ける損傷を可及的に低減することができ、それだけ側面衝突に対する乗員保護性能が向上するものである。
【0019】
尚、本実施形態においては上述のように、左右の各エアバッグ8,9を側面衝突時に同時に展開させるようにしているが、この他に例えば、反衝突側(本実施形態の場合には右側部1b側)の各エアバッグ8,9を衝突側(本実施形態では左側部1a)の各エアバッグ8,9よりも所定時間遅らせて展開させ、衝突側と反衝突側におけるエアバッグ8,9による乗員拘束タイミングのズレにかかわらず衝突側においても反衝突側においても最適な展開状態にある各エアバッグ8,9によって乗員Mを拘束するようにすることもでき、この場合には乗員に対する保護性能がさらに向上することになる。
【0020】
次に、図7により、本発明の第2実施形態を説明する。図7には、本発明の第2実施形態にかかる車体側部のエネルギ吸収構造を備えた車両1の要部が示されている。この実施形態において、ピラー1eとルーフサイドレール1dの両方にそれぞれピラー側エアバッグモジュール4とルーフサイドレール側エアバッグモジュール5を配置したことは、第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と同様の作用効果が得られるものである。しかしながら、特に、第2実施形態では、第1実施形態において各エアバッグモジュール4,5毎に設けられていたエアバッグ8,9を、両エアバッグモジュール4,5に跨がる一つのエアバッグ8で構成したところが異なっている。
【0021】
このようにした場合には、車両1の側面衝突時には車室側に略L字状にエアバッグ8が展開するため、例えば、相互に密接状態で展開するピラー側エアバッグモジュール4側のエアバッグ8とルーフサイドレール側エアバッグモジュール5側のエアバッグ9との接触部に投げ飛ばされた乗員Mの体が入り込むというようなおそれが全くないため、第2実施形態のものでは、第1実施形態よりもより高い乗員保護性能が確保される。
【0022】
次に、図8乃至図10により、本発明の第3実施形態を説明する。図8及び図9には、本発明の第3実施形態にかかる車体側部のエネルギ吸収構造を備えた車両1が示されている。この実施形態は、第1実施形態において説明したと同様の構造をもつピラー側エアバッグモジュール4とルーフサイドレール側エアバッグモジュール5を車両1の両側部にそれぞれ配置したものであり、その構成自体においては第1実施形態のものと何等変わるところがない。
【0023】
しかし、本実施形態は、後述のように各エアバッグモジュール4,5の作動タイミングに特徴を有するものであり、これにより第1実施形態に比較してより確実に乗員保護性能が確保される。
即ち、本実施形態においては、図10のフロ−チャ−トにも示すように、側面衝突が発生したことを衝突センサが検知した場合には(ステップS1,2)、ピラー1e側のエアバッグ8を展開させ(ステップS3)、その後、所定の時間遅れてルーフサイドレール1d側のエアバッグ9を展開させる(ステップS4,5)ようにしたものであり、このようにエアバッグの展開タイミングをズラせることによって次のような動作が可能となるものである。
【0024】
即ち、図8に示すように、側面衝突の初期段階においては、左右の各ピラー側エアバッグモジュール4のエアバッグ8のみを同時に展開させる。これは、まず側面衝突の初期段階においては乗員Mは浮き上がることなくそのまま衝突側に振られるものであるため車室の最上部に位置する各ルーフサイドレール側エアバッグモジュール5は作動させる必要性がピラー側エアバッグモジュール4の場合に比して少ないこと、及び車両1の使用状態によっては運転席2側のみでなく助手席3側にも乗員が着座していることも考えられることによるものである。このようにすることによって、側面衝突の初期段階においてはピラー側エアバッグモジュール4のエアバッグ8によって乗員Mが拘束され、その保護が図られるものである。
【0025】
一方、側面衝突の後期段階においては図9に示すように、乗員Mは衝突側の上部に向けて投げ出されるが、この場合にはルーフサイドレール側エアバッグモジュール5のエアバッグ9が既に展開して乗員Mを待ち受けているため、この乗員Mは上下に並んだ二つのエアバッグ8,9によって確実に拘束され、その保護が図られる。
即ち、本実施形態では、側面衝突時の乗員Mの挙動により的確に対応した乗員保護機能が確保される。
【0026】
次に、図11乃至図13により、本発明の第4実施形態を説明する。図11には本発明の第4実施形態にかかる車体側部のエネルギ吸収構造を備えた車両1の要部が示されている。この実施形態は、第3実施形態におけるピラー1e側のエアバッグ8とルーフサイドレール1d側のエアバッグ9との展開タイミングの調整の仕方の一つの具体例を示すものであって、図11に示すように、ピラー側エアバッグモジュール4はこれをインフレータ6とエアバッグ8を備えた第1実施形態の場合と同様の構成としているが、ルーフサイドレール側エアバッグモジュール5はインフレータを持たず、エアバッグ9の内部に単なるガス吹出部材22を設けた構成としている。そして、このガス吹出部材22を、その通路途中に後述のガス制御バルブ24を備えたガス通管23を介してピラー側エアバッグモジュール4側のインフレータ6に接続している。即ち、本実施形態では、ピラー側エアバッグモジュール4側のインフレータ6によって二つのエアバッグ8,9をともに展開させようとするものであり、しかもその場合にガス制御バルブ24によってガス吹出部材22側へ流れるガス量を制御することによってルーフサイドレール1d側のエアバッグ9をピラー1e側のエアバッグ8よりも所定時間遅らせて展開させるようにしている。
本実施形態では、このようにルーフサイドレール1d側のエアバッグ9をピラー1e側のエアバッグ8よりも遅らせて展開させることにより、第3実施形態の場合と同様の作用効果が得られる。
【0027】
ここで、上述のガス制御バルブ24の具体的構成を説明すると、先ず図12に示すガス制御バルブ24は、バルブケーシング25内にスプリング27によって常時弁座28に着座する如く付勢された弁体26を収容して構成され、弁座28をピラー側エアバッグモジュール4のインフレータ6側に向けた状態でガス通管23に取り付けられる。このような構成のガス制御バルブ24においては、車両1のものにおいては側面衝突により上記ピラー側エアバッグモジュール4のインフレータ6が作動してこれからガスが噴出された場合、ガスは先ずピラー1e側のエアバッグ8の展開に専用される。そして、このエアバッグ8がほぼ完全に展開すると、その内部のガス圧力が上昇し、これによりガス制御バルブ24の弁体26がスプリング27のバネ力に抗して押し開かれ、このガス制御バルブ24を介してルーフサイドレール1d側のエアバッグ9にインフレータ6からのガスが供給され、このエアバッグ9が展開される。即ち、このガス制御バルブ24は、ピラー1e側のエアバッグ8の内部圧によって自動的にルーフサイドレール1d側のエアバッグ9の展開タイミングをピラー1e側のエアバッグ8の展開タイミングよりも遅らせるようにしたものである。従って、構造が簡単でその信頼性が高く且つ安価であるという利点を有する。
【0028】
一方、図13に示すガス制御バルブ24は、図12に示すものとは異なり、弁体30をソレノイド29によって駆動するようにしている。従って、このガス制御バルブ24は上記のもののようにガス圧による自動開閉は行えないものの、ガス圧に無関係にこれを開閉し得るところから、ピラー1e側のエアバッグ8に対するルーフサイドレール1d側のエアバッグ9の展開タイミングを任意に設定可能であり、乗員の挙動により細かく対応した制御が可能になるという利点を有する。
【0029】
次に、図14乃至図16により、本発明の第5実施形態を説明する。図14及び図15には、本発明の第5実施形態にかかる車体側部のエネルギ吸収構造を備えた車両1が示されている。本実施形態は、第1実施形態と同様に、ピラー側エアバッグモジュール4とルーフサイドレール側エアバッグモジュール5を車室の両側にそれぞれ配置したものであり、その構造上は何等変わりない。しかし、本実施形態は、このような基本構造を有するものにおいて、側面衝突時にこれら各エアバッグを選択して展開させること、及びその展開タイミングを衝突側と反衝突側とで差を持たせた点に特徴を有しており、これにより第1実施形態の場合に加えて、後述の如き有用な作用効果を得ることができる。
【0030】
即ち、この実施形態のものにおいては、図16のフロ−チャ−トに示すように、車両1が側面衝突しこれを衝突センサが検知した場合には(ステップS11,12)、先ず最初に、図14に示すように、衝突側の上下二つのエアバッグ8,9のうち、ピラー1e側のエアバッグ8のみを展開させる(ステップS13)。これは、側面衝突の初期段階においては乗員Mが衝突側に振られるため衝突側においてはエアバッグを展開させる必要があり、しかもその場合、乗員Mはほぼ着座状態の比較的低い位置において振られるため低い位置にあるピラー1e側のエアバッグ8に対して高い位置にあるルーフサイドレール1d側のエアバッグ9はその展開要求が低いことによるものである。
従って、この側面衝突の初期段階においては、衝突側のしかも比較的低い位置において展開するエアバッグ8によって乗員Mは確実に拘束され、その保護が図られるものである。
【0031】
一方、図15に示すように、側面衝突の後期段階においては、反衝突側の二つのエアバッグ8,9が同時に展開し、乗員Mを拘束すべく待ち受ける。従って、腰部を突き出した状態で運転席2側から助手席3側に投げ出された乗員Mは、この反衝突側の二つのエアバッグ8,9によってその腰部のみならず、肩部及び頭部までの広い範囲に亘って確実に拘束され、その保護が図られるものである。
また、この場合、反衝突側の各エアバッグ8,9が衝突側のエアバッグ8よりも所定時間遅れて展開することによって、この反衝突側の各エアバッグ8,9はそれぞれ最適な展開状態で乗員Mを待ち受けることができ、それだけより確実な乗員保護が期待できる。
【0032】
さらに、本実施形態のように、合計四つ備えられている各エアバッグ8,9の全てを展開させるのではなく、乗員保護上必要最少限と考えられる三つのエアバッグのみを展開させるようにした場合は、例えば、四つ全てを展開させる場合に比して、展開時のガス音の発生が少なく、また車室内に放出されるガス量そのものが少ないため、乗員に与える不快感あるいは健康上の影響を可及的に低減させることができるという利点が得られる。
【0033】
次に、図17及び図18により、本発明の第6実施形態を説明する。図17及び図18には上記各実施形態の変形例とも言うべきエネルギ吸収構造を備えた車両1が示されている。本実施形態は、上記各実施形態と同様に、車室の両側上部にそれぞれピラー側エアバッグモジュール4とルーフサイドレール側エアバッグモジュール5を配置するとともに、これに加えて、図17に示すように、ルーフ1cの車室側に配置されるトップシール部分にエアバッグ21を配置し、且つこのエアバッグ21をこのエアバッグ21の左右両側に位置する各ルーフサイドレール側エアバッグモジュール5の各エアバッグ9に連通させている。
そして、車両1の側面衝突時には各ピラー側エアバッグモジュール4のエアバッグ8と各ルーフサイドレール側エアバッグモジュール5のエアバッグ9とを同時に展開させる。すると、この各ルーフサイドレール1d側のエアバッグ9の展開と同時にルーフ1c側のエアバッグ21が車室の天井側に展開し、これら五つのエアバッグによって車室上部が囲まれた状態となり、乗員Mの保護がより完全なものとなる。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の車体側部のエネルギ吸収構造によれば、車両の側面衝突時における乗員の保護性能をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる車体側部のエネルギ吸収構造を備えた車両を示す要部側面図である。
【図2】図1のII−II線に沿って見た拡大縦断面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿って見た拡大縦断面図である。
【図4】図3の状態変化図である。
【図5】図1に示した第1実施形態のエアバッグの作動説明図である。
【図6】図1に示した第1実施形態のエアバッグの作動説明図である。
【図7】本発明の第2実施形態にかかる車体側部のエネルギ吸収構造を備えた車両を示す要部側面図である。
【図8】本発明の第3実施形態にかかる車体側部のエネルギ吸収構造を備えた車両におけるエアバッグの作動説明図である。
【図9】本発明の第3実施形態にかかる車体側部のエネルギ吸収構造を備えた車両におけるエアバッグの作動説明図である。
【図10】本発明の第3実施形態の制御フローチャートである。
【図11】本発明の第4実施形態にかかる車体側部のエネルギ吸収構造を備えた車両を示す要部側面図である。
【図12】本発明の第4実施形態のガス制御バルブを示す構造説明図である。
【図13】本発明の第4実施形態のガス制御バルブを示す構造説明図である。
【図14】本発明の第5実施形態にかかる車体側部のエネルギ吸収構造を備えた車両におけるエアバッグの作動説明図である。
【図15】本発明の第5実施形態にかかる車体側部のエネルギ吸収構造を備えた車両におけるエアバッグの作動説明図である。
【図16】本発明の第5実施形態の制御フローチャートである。
【図17】本発明の第6実施形態にかかる車体側部のエネルギ吸収構造を備えた車両におけるエアバッグの作動説明図である。
【図18】本発明の第6実施形態にかかる車体側部のエネルギ吸収構造を備えた車両におけるエアバッグの作動説明図である。
【図19】車両の側面衝突時における乗員の挙動を示す説明図である。
【図20】車両の側面衝突時における乗員の挙動を示す説明図である。
【符号の説明】
1 車両
1d ルーフサイドレール
1e ピラー
2 運転席
3 助手席
4,5 エアバッグモジュール
6,7 インフレータ
8,9,21 エアバッグ
10,11 モジュールケース
12,13 モジュール取付ブラケット
14 ピラートリム
15 シーミングウェルト
16 レールトリム
22 ガス吹出部材
23 ガス通管
24 ガス制御バルブ
29 ソレノイド

Claims (3)

  1. 車両の側面衝突時に車内側に展開して車室内の乗員を拘束するエアバッグを備えた車体側部のエネルギ吸収構造であって、上記エアバッグが車室の上側側部に位置するルーフサイドレール部に配置されたエアバッグとこのルーフサイドレール部から下方に延びるピラー部に配置されたエアバッグからなり、上記エアバッグを展開させるためのガスを噴出する単一のインフレータが上記ピラー部に設けられ、このインフレータと上記ルーフサイドレール部に配置されたエアバッグがガス通管により接続され、このインフレータが上記ピラー部に配置されたエアバッグ及びルーフサイドレール部に配置されたエアバッグを展開するようになっていることを特徴とする車体側部のエネルギ吸収構造。
  2. 上記ルーフサイドレール部に配置されたエアバッグは、上記ガス通管と接続されたガス吹き出し部材を備えている請求項1記載の車体側部のエネルギ吸収構造。
  3. 上記インフレータは、上記ピラー部に配置されたエアバッグと一体的にモジュール化されている請求項1又は請求項2に記載の車体側部のエネルギ吸収構造。
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