JP3567369B2 - 作業機械のクイックカプラ装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、作業機械のクイックカプラ装置、さらに詳しくは、作業機械の作業腕に作業装置を着脱自在にかつ迅速に連結するためのクイックカプラ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば油圧ショベルのごとき作業機械は、その作業腕の先端に装着される作業装置を異なったものと交換することにより種々の作業を遂行することができる。バケットを装着することにより土砂の掘削、積込などの作業が遂行され、油圧ブレーカを装着することにより採石、路面破砕などの作業が遂行され、圧砕機を装着することにより構造物の解体などの作業が遂行される。したがって、バケット、ブレーカ、圧砕機などの種々の作業装置を適宜に着脱交換すれば、一台の油圧ショベルを多目的、多機能に用いることができる。
【0003】
そこでこの種の作業機械には、作業装置を作業腕に着脱自在にかつ迅速に連結するためのクイックカプラ装置(以下単にクイックカプラと呼ぶことがある)が用意されている。クイックカプラの典型例を図8及び図9を参照して説明すると、全体を番号50で示すクイックカプラは、作業機械の作業腕52の先端部のボス52aの部分に同一の軸線上を摺動可能に配設された一対の軸部材であるピストン54、54を備え、ピストン54、54の間には圧縮ばね56が介在され、ばね56の力によってピストン54、54は作業腕52の外方に突出する方向に付勢されている。そして、ボス52aの内部に油圧力を作用させることにより、ピストン54、54はばね56の付勢力に抗して作業腕52の内方に引込められる(図9に示す状態)。
【0004】
連結される作業装置としてのバケット58を、作業腕52の先端部においてピストン54、54を中心に揺動作動させるための、作業腕52に備えられバケット58に連結される揺動作動部材60の先端部には、ピストン54、54と実質上平行に配設され左右に突出した係合軸である一対のピン62、62が備えられている。
【0005】
さらに、作業腕52のピストン54、54と揺動作動部材60のピン62、62との間には、ピストン54とピン60との間の軸間距離Lを規定する枠体64が設けられている。また、バケット58には互いに逆の方向に開口された一対の切欠溝66a、66bを備えたブラケット66が枠体64の外側に一対設けられている。
【0006】
バケット58を作業腕52及び揺動作動部材60の先端部に連結するには、作業腕52及び/又は揺動作動部材60を作動させ先ず揺動作動部材60の先端の突出しているピン62、62を一方の切欠溝66a、66aにそれぞれ係合させる。その後作業腕52の先端部のピストン54、54の各々を油圧力によって枠体64から突出させ他方の切欠溝66b、66bにそれぞれ係合させる。かくしてバケット58が連結される。バケット58を作業腕52及び揺動作動部材60の先端部から外すには、連結の手順とは逆に、先ずピストン54、54の油圧力を解除してそれぞれを枠体64の中に引込め切欠溝66b、66bとの係合を解除する。その後作業腕52及び/又は揺動作動部材60を作動させピン62、62と切欠溝66a、66aとの係合を解除する。
【0007】
かくして、作業腕52の先端部及び揺動作動部材60の先端部にバケット58が着脱自在に連結される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したとおりの形態の従来のクイックカプラ装置には、次のとおりの解決すべき問題がある。
【0009】
(1)作業腕先端部の軸部材の損傷:
作業腕52の先端部の進退自在な軸部材である一対のピストン54、54は、ばね56の力及び油圧力によって摺動するように構成され、ピストン54の摺動部分には作動油の外部への漏れを止めるシールと、ピストン54に作業装置58から加わる負荷を受けるための軸受が設けられ、軸受は作動油によって潤滑されている。したがって、ピストン54の摺動部分にはシールと軸受が配設されるので、軸受の面積は限られ、また粘度の低い作動油で軸受が潤滑されるので、作業装置58に高負荷、すなわち軸受に大きな力が加わる場合には、軸受及び軸部材が損傷され易く、また外部への作動油の漏れも発生し易い。
【0010】
(2)異なった作業装置の取付け:
作業装置58を取付けるための軸間距離Lは作業腕52の先端部と揺動作動部材60の先端部とを結ぶ枠体64によって一種類に限定される。したがって、軸間距離Lの異なる作業装置を連結するには、軸間距離Lの異なった枠体を作業装置の種類に応じて用意しなければならない。
【0011】
(3)作業腕と作業装置の間の「がたつき」:
ピストン54、54の軸線方向の、作業腕52と枠体64、また枠体64と作業装置58との間には、連結のための隙間が設けられている。しかしながらこの隙間は作業腕52、枠体64並びに作業装置58の間に軸線方向の「がたつき」を生じさせ、互いに衝突することによる打撃騒音の発生や、作業腕52に対して作業装置58が軸線方向に「がたつき」の分自由に動いてしまうことによる作業装置58の位置決めが不安定になる、などの問題を発生させる。
【0012】
本発明は上記事実に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、作業腕に作業装置を着脱自在に連結するクイックカプラ装置において、作業腕と作業装置とを連結する軸部材の摺動部分の軸受を十分に確保できるようにし、また作業腕及び作業腕の揺動作動部材とに取付けの軸間距離の異なる作業装置を連結することができるようにし、さらには軸部材の軸線方向における作業装置の「がたつき」を抑えることができるようにした、作業機械のクイックカプラ装置を提供することである。
【0013】
【問題を解決するための手段】
本発明においては、上記技術的課題を解決する作業機械のクイックカプラ装置として、作業装置が連結される作業腕に備えられた一対の腕部軸受孔と、該作業装置に備えられた一対の装置部軸受孔と、該装置部軸受孔の各々を介して該軸部軸受孔に挿入自在に挿入される一対の軸部材と、該一対の軸部材を摺動させる軸移動手段とを備え、該軸移動手段によって該一対の軸部材を該装置部軸受孔及び該腕部軸受孔に離脱自在に挿入することにより、該作業腕に該作業装置が着脱自在に連結され、
該一対の腕部軸受孔は、各々が該作業腕の外方に開口して同一の軸線上に形成され、該軸移動手段は、該軸部材と該作業腕との間に配設されて該軸部材の各々を該装着部軸受孔及び腕部軸受孔に挿入させた挿入位置と該腕部軸受孔及び装置部軸受孔から抜出した抜出位置との間で自在に移動させ、
該軸部材と該軸移動手段との連結部には、該作業装置に当接して軸線方向における該作業装置の動きを規制する当接部が設けられている、ことを特徴とする作業機械のクイックカプラ装置が提供される。
【0014】
本発明によるクイックカプラ装置においては、軸部材に連結された軸移動手段によって軸部材を摺動移動させ、作業腕及び作業装置の軸受孔に作業装置の軸受孔を介して離脱自在に挿入させる。そして、軸部材の摺動部分の作動油の漏れ止め手段を不要にし、軸受部分を大きくすることができるようにし、作動油とは別のグリースなどで潤滑を行うことができるようにする。また、軸部材を作業装置を介して作業腕に挿入させ当接部によって作業装置の軸線方向の「がたつき」をを押さえることができるようにする。
【0017】
好適実施形態においては、該軸移動手段は、該軸部材の軸線と実質上平行に該作業腕に配設された伸縮自在な流体圧シリンダを備えている。また、該流体圧シリンダは該作業腕に内蔵されその出力ロッドが該作業腕の外方において該軸部材に連結されている。
【0018】
そして、流体圧シリンダを伸縮させて軸部材を自在に移動させる。また、シリンダを作業腕に内蔵して異物、障害物などから保護する。
【0019】
好適実施形態においては、該作業装置には該作業腕に備えられ該作業装置を該軸部材を中心に揺動作動させる揺動作動部材の先端部が連結される係合軸が備えられ、該揺動作動部材の先端部には該係合軸に離脱自在に係合される断面U字形状の係合溝が該係合軸に向けて開口して形成され、該揺動作動部材の先端部と該作業腕の先端部との間には該係合軸と該係合溝とを離脱自在に係合させる伸縮自在な係合手段が備えられている。また、該係合手段は流体圧シリンダを備えている。
【0020】
そして、流体圧シリンダを備える係合手段によって、作業腕の先端と揺動作動部材の先端との間の軸間距離を自在に変え、かつ揺動作動部材を作業装置の係合軸に離脱自在に係合させ、種々の異なった軸間距離の作業装置を連結することができるようにする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に従って構成された作業機械のクイックカプラ装置の好適実施形態を図示している添付図面を参照して、さらに詳細に説明する。
【0022】
図1〜図3を参照して説明すると、作業機械の作業腕2の先端部に作業装置としてのバケット4を着脱自在に連結するための全体を番号6で示すクイックカプラは、作業腕2の先端部に同一の軸線X1上で各々が作業腕2の外方に開口し形成された一対の腕部軸受孔8、8と、腕部軸受孔8、8の軸線X1方向の外方にそれぞれ配置可能にバケット4に形成された一対の装置部軸受孔14、14と、腕部軸受孔8及び装置部軸受孔14各々の一方及び他方のそれぞれに装置部軸受孔14を通して腕部軸受孔8に摺動自在に挿入される一対の軸部材10、10と、軸部材10、10の各々を装置部軸受孔14及び腕部軸受孔8に挿入した「挿入位置」と腕部軸受孔8及び装置部軸受孔14から抜出した「抜出位置」との間で自在に移動させる作業腕2と軸部材10との間に配設された軸移動手段12とを備えている。
【0023】
主として図2を参照して説明すると、作業腕2は箱型断面を有して延在し、その先端部に円筒状ボス2aが延在方向に直交して一体的に取付けられている。腕部軸受孔8、8はボス2aの軸線X1方向両端部に形成されている。軸受孔8、8の各々には軸受部材8aが備えられている。ボス2aの軸線X1方向の中間部には軸線X1方向に所定の幅で隙間部24が形成され、この部分に係合手段22(係合手段22については後に述べる)が取付けられる。
【0024】
主として図3を参照して説明すると、バケット4にはその上部に間隔をおいて立設された一対の取付板4a、4a各々に一対の装置部軸受孔14、14が同一軸線X1上に腕部軸受孔8と実質上同一の径で形成されている。軸受孔14には軸受部材14aが備えられている。取付板4a、4aの間にはまた、軸受孔14の軸線X1と実質上平行に係合軸15が軸間距離Yの間隔で軸線X2を規定して取付られている。
【0025】
軸移動手段12を図2とともに図4を参照して説明すると、軸移動手段12は、作業腕2の箱型断面構造の中にシリンダ本体16aが取付けられた伸縮自在な一対の複動式の流体圧シリンダ16、16と、流体圧シリンダ16の出力部材であるロッド16b、16bの各々と軸部材10、10の各々とをそれぞれ連結している連結部材17、17とを備えている。作業腕2にはまた、流体圧シリンダ16及び軸部材10に連結された連結部材17の移動を案内する案内部材19が一対備えられている。
【0026】
一対の流体圧シリンダ16、16は、軸線X1と実質上平行な同一の軸線上に本体部16a同士を連結した形態で、それぞれのロッド16bを作業腕2の外方に突出させて配設されている。流体圧シリンダ16の伸縮作動は、作業機械本体の流体制御手段から作動流体が配管を介して供給され制御される(配管の図示は省略されている)。
【0027】
連結部材18は、実質上平行に配設された軸部材10とロッド16bの間に軸部材10の基端部とロッド16bの先端部とを結んで厚板部材によって形成されている。連結部材17の一端部には軸部材10の基端部が一体的に取付けられ、この連結部には作業装置4の軸受孔14が形成されたボスの端面に当接する円板状の当接部18が形成されている。当接部18は軸部材10の一部として形成してもよい。連結部材18の他端部にはロッド16bがボルト17aによって取付られている。軸部材10の先端部には面取り10aが形成されている。
【0028】
案内部材19は、矩形の厚板により形成され作業腕2に一体的に立設されている。立設された先端から作業腕2に取付けられた基端側にかけて連結部材17の移動を案内する溝19aが形成されている。案内部材19によって流体圧シリンダ16におけるロッド16bの回転方向の動きが規制され、軸部材10の軸受孔14への挿入が案内される。
【0029】
かくして、一対の軸部材10、10は、流体圧シリンダ16、16を、伸張作動させることにより腕部軸受孔8及び装置部軸受孔10から外方に向けて摺動され抜出され「抜出位置」(図2に二点鎖線で示す位置)に位置付けられ、収縮作動させることにより軸受孔10及び軸受孔8に挿入された「挿入位置」(図2に実線で示す位置)に位置付けられる。「挿入位置」においては当接部18は作業装置4の端部に当接する。
【0030】
図1とともに図5〜図7を参照して説明を続けると、クイックカプラ6にはさらに、作業腕2に備えられバケット4を軸部材10、10(軸線X1)を中心に揺動作動させる揺動作動部材20の先端部に形成されバケット4の係合軸15に離脱自在に係合する係合溝21と、揺動作動部材20の先端部とアーム2の先端部との間に取付けられ係合軸15と係合溝21を離脱自在に係合する伸縮自在な係合手段22とが備えられている。
【0031】
前述の作業腕2の先端のボス2aに形成された隙間部24の部分には、ボス2aの軸線X1方向の一対の軸受孔8、8の間に、係合手段22の一端が取付けられる円筒状の軸部材25が挿入されている。
【0032】
係合溝21は、揺動作動部材20の先端部に作業腕2の先端部の軸線X1と実質上平行に一体的に取付けられた丸棒状部材20aに、その軸線X2の方向に延び断面U字形状を成してバケット4の係合軸15に向けて開口して形成されている。係合溝21の延在方向の中央部には、半径方向外方に係合溝21よりも大径の断面U字形状の、係合手段22の他端が取付けられる、係合手段取付溝26が形成されている。丸棒状部材20aにはまた、取付溝26のU字形状の底部から半径方向外方に連通し、外周方向に所定の長さを有する長孔27が形成されている。
【0033】
係合手段22は、作業腕2に設けられた隙間部24の軸部材25と揺動作動部材20に設けられた係合手段取付溝26との間に配設され、伸縮自在な複動式の流体圧シリンダ28と、流体圧シリンダ28の出力ロッド28aの先端部に取付けられロッド28aの伸張方向に向けて開口した円弧部材30と、流体圧シリンダ28のシリンダ本体28bの基部28cが取付けられるブラケット32とを備えている。流体圧シリンダ28の伸縮作動は、作業機械本体の流体制御手段から作動流体が配管を介して供給され制御される(配管の図示は省略されている)。
【0034】
円弧部材30は、断面が半円形を成して内径が係合軸15に係合する径に、また外径及び軸線X2方向の幅が取付溝26に係合する大きさにそれぞれ規定されて形成され、半円形状の中央部にはロッド28aが連結される雌ねじ30aが形成されている。ロッド28aの先端部には雄ねじ28dが設けられており、長孔27を通して雌ねじ30aに螺合されるとともに、雄ねじ28dには板部材34がロッド28aが挿入される貫通孔を有して丸棒状部材20aの外周部に当接し円弧部材30と板部材34によって丸棒状部材20aを挟持するようにナット35によって位置付けられて取付けられている。
【0035】
ブラケット32は、作業腕2に設けられた軸部材25に回動自在に取付けられる軸受孔が形成された板状を成す軸受部32aと、シリンダ取付板32bとを備え、シリンダ本体28bの基部28cがシリンダ取付板32bに形成されたねじ孔にボルト36によって取付けられている。なお、ブラケット32の作業腕2の先端部への取付けは、隙間部24に軸受部32aが位置付けられた後に軸部材25が軸受孔8、8の間に挿入されて取付けられる。
【0036】
かくして、係合手段22の流体圧シリンダ28を伸縮作動させることにより、揺動作動部材20の先端部の係合溝21とバケット4に備えられた係合軸15とは離脱自在に係合される。この係合手段22は、揺動作動部材20の先端部と作業腕2の先端部との間に取付けられた状態で作業腕2の先端(軸線X1)を中心に揺動が可能である。
【0037】
上述のように構成されたクイックカプラ装置6を介して作業腕2の先端部にバケット4を着脱自在に連結する手順について説明する。
【0038】
バケット4を作業腕2に連結するには、先ずバケット4を係合軸15及び軸受孔14を上方にして設置し(図3に示す状態)、また作業腕2先端の一対の軸部材10、10を軸移動手段12を伸張作動させて「抜出位置(図2に二点鎖線で示す位置)」にする。そして、係合手段22を収縮作動させ、作業腕2及び/又は揺動作動部材20を作動させ係合軸15と係合溝21を係合させる。この係合状態を維持しながら作業腕2を作動させ、また係合手段22を伸張させて、一対の軸部材10、10と軸受孔14、14の軸線X1を合わせ、軸部材10、10を軸移動手段12によって「挿入位置(図2に実線で示す位置)」に移動させ、各々を軸受孔14及び軸受孔8に挿入させる。かくして、バケット4は作業腕2にクイックカプラ6を介して連結される。なお、バケット4の軸受孔14(軸線X1)と係合軸15(軸線X2)の間隔Yが係合手段22の伸縮作動に対し十分に大きい場合には、最初に軸部材10、10を軸受孔14及び軸受孔8に挿入し、その後で係合手段22を伸張させて係合溝21と係合軸15とを係合させることができる。
【0039】
バケット4を作業腕2から取外すには、上述の連結の手順とは逆に、先ず作業腕2の一対の軸部材10、10を軸移動手段12を伸張作動させて「抜出位置」に移動させ軸部材10と軸受孔14及び軸受孔8の係合を解除し、その後で作業腕2を作動させ係合軸15と係合軸21との係合を解除する。
【0040】
かくして、作業腕2の一対の軸部材10、10を軸移動手段12によって「挿入位置」と「抜出位置」の間で移動させバケット4の軸受孔14及び作業腕2の軸受孔8に離脱自在に挿入させ、また揺動作動部材20の係合溝21を係合手段22によってバケット4の係合軸15に離脱自在に係合させることにより、作業腕2にバケット4がクイックカプラ6を介して着脱自在に連結される。
【0041】
上述したとおりの作業機械のクイックカプラ装置6の作用を説明する。
【0042】
(1)作業腕先端部の軸部材の損傷:
図1及び図2を参照して説明すると、作業腕2の先端部の一対の軸部材10、10は、軸移動手段12の流体圧シリンダ16の伸縮作動が連結部材17で連結されて自在に移動するよう構成されている。したがって、従来のように軸部材の摺動部に作動油の漏れ止め手段を設けなくてよく、軸受部分を大きくすることができ、さらにグリースなどによる潤滑を行うことができる。したがって、軸部材の損傷が防止され、また外部への作動油の漏れの問題もなくなる。
【0043】
(2)異なった作業装置の取付け:
図1及び図5を参照して説明すると、作業腕2の先端部と揺動作動部材20の先端部とを結ぶ伸縮自在な係合手段22によって、バケット4を取付けるための軸線X1と軸線X2との軸間距離Yが自在に調整される。したがって、軸間距離Yの異なる種々の作業装置を任意に連結することができる。
【0044】
(3)作業腕と作業装置の間の「がたつき」:
作業腕2に一対の軸部材10、10によって連結されるバケット4は、軸部材10が軸移動手段12によってバケット4の外方からバケット4の軸受孔14を通して作業腕2の軸受孔8に挿入され、そのときに軸部材10と軸移動手段12との連結部に設けられた当接部18がバケット4に当接され、バケット4は両側から押付けられる。したがって、作業腕2とバケット4との軸線X1方向の「がたつき」が抑えられる。そして、作業腕2とバケット4との打撃騒音や、バケット4の位置決めが不安定、などの問題が除かれる。
【0045】
以上、本発明を実施の形態に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内においてさまざまな変形あるいは修正ができるものである。
【0046】
(1)軸移動手段:
軸移動手段12の一対の流体圧シリンダ16、16は、同一の軸線上に配設されているが、必ずしも同一の軸線上である必要はない。図2において紙面に垂直の方向に二段に配設してもよいし、図2の上下の方向に二段に配設してもよい。また、流体圧シリンダ16、16は一体になった形態の一個のシリンダで二個の出力ロッドを備えるものでもよい。
【0047】
(2)係合手段:
伸縮自在な係合手段22には流体圧シリンダ28が備えられているが、流体圧シリンダ28に代えて右ねじ及び左ねじの組合せからなる機械的に伸縮可能なターンバックルを用いることもできる。
【0048】
【発明の効果】
本発明に従って構成された作業機械のクイックカプラ装置によれば、作業腕に作業装置を着脱自在に連結するクイックカプラ装置において、作業腕と作業装置とを連結する軸部材の摺動部分の軸受を十分に確保できるようにし、また作業腕及び作業腕の揺動作動部材とに取付けの軸間距離の異なる作業装置を連結することができるようにし、さらには軸部材の軸線方向における作業装置の「がたつき」を抑えることができるようにした、作業機械のクイックカプラ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って構成されたクイックカプラ装置を介して作業腕に作業装置を連結した形態を示す側面図。
【図2】図1のA−A矢印方向に見た断面図。
【図3】作業装置としてのバケットの斜視図。
【図4】図2のB−B矢印方向に見た断面図。
【図5】図1のC−C矢印方向に見た断面図。
【図6】図5のD−D矢印方向に見た断面図。
【図7】図5のE−E矢印方向に見た断面図。
【図8】従来のクイックカプラ装置を介して作業腕に作業装置を連結した形態を示す側面図。
【図9】図8のF−F矢印方向に見た断面図。
【符号の説明】
2:作業腕
4:バケット(作業装置)
6:クイックカプラ装置
8:腕部軸受孔
10:軸部材
12:軸移動手段
14:装置部軸受孔
15:係合軸
16:流体圧シリンダ
16b:出力ロッド
17:連結部材
18:当接部
20:揺動作動部材
21:係合溝
22:係合手段
28:流体圧シリンダ
50:クイックカプラ装置
X1、X2:軸線
Y、L:軸間距離
【発明の属する技術分野】
本発明は、作業機械のクイックカプラ装置、さらに詳しくは、作業機械の作業腕に作業装置を着脱自在にかつ迅速に連結するためのクイックカプラ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば油圧ショベルのごとき作業機械は、その作業腕の先端に装着される作業装置を異なったものと交換することにより種々の作業を遂行することができる。バケットを装着することにより土砂の掘削、積込などの作業が遂行され、油圧ブレーカを装着することにより採石、路面破砕などの作業が遂行され、圧砕機を装着することにより構造物の解体などの作業が遂行される。したがって、バケット、ブレーカ、圧砕機などの種々の作業装置を適宜に着脱交換すれば、一台の油圧ショベルを多目的、多機能に用いることができる。
【0003】
そこでこの種の作業機械には、作業装置を作業腕に着脱自在にかつ迅速に連結するためのクイックカプラ装置(以下単にクイックカプラと呼ぶことがある)が用意されている。クイックカプラの典型例を図8及び図9を参照して説明すると、全体を番号50で示すクイックカプラは、作業機械の作業腕52の先端部のボス52aの部分に同一の軸線上を摺動可能に配設された一対の軸部材であるピストン54、54を備え、ピストン54、54の間には圧縮ばね56が介在され、ばね56の力によってピストン54、54は作業腕52の外方に突出する方向に付勢されている。そして、ボス52aの内部に油圧力を作用させることにより、ピストン54、54はばね56の付勢力に抗して作業腕52の内方に引込められる(図9に示す状態)。
【0004】
連結される作業装置としてのバケット58を、作業腕52の先端部においてピストン54、54を中心に揺動作動させるための、作業腕52に備えられバケット58に連結される揺動作動部材60の先端部には、ピストン54、54と実質上平行に配設され左右に突出した係合軸である一対のピン62、62が備えられている。
【0005】
さらに、作業腕52のピストン54、54と揺動作動部材60のピン62、62との間には、ピストン54とピン60との間の軸間距離Lを規定する枠体64が設けられている。また、バケット58には互いに逆の方向に開口された一対の切欠溝66a、66bを備えたブラケット66が枠体64の外側に一対設けられている。
【0006】
バケット58を作業腕52及び揺動作動部材60の先端部に連結するには、作業腕52及び/又は揺動作動部材60を作動させ先ず揺動作動部材60の先端の突出しているピン62、62を一方の切欠溝66a、66aにそれぞれ係合させる。その後作業腕52の先端部のピストン54、54の各々を油圧力によって枠体64から突出させ他方の切欠溝66b、66bにそれぞれ係合させる。かくしてバケット58が連結される。バケット58を作業腕52及び揺動作動部材60の先端部から外すには、連結の手順とは逆に、先ずピストン54、54の油圧力を解除してそれぞれを枠体64の中に引込め切欠溝66b、66bとの係合を解除する。その後作業腕52及び/又は揺動作動部材60を作動させピン62、62と切欠溝66a、66aとの係合を解除する。
【0007】
かくして、作業腕52の先端部及び揺動作動部材60の先端部にバケット58が着脱自在に連結される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したとおりの形態の従来のクイックカプラ装置には、次のとおりの解決すべき問題がある。
【0009】
(1)作業腕先端部の軸部材の損傷:
作業腕52の先端部の進退自在な軸部材である一対のピストン54、54は、ばね56の力及び油圧力によって摺動するように構成され、ピストン54の摺動部分には作動油の外部への漏れを止めるシールと、ピストン54に作業装置58から加わる負荷を受けるための軸受が設けられ、軸受は作動油によって潤滑されている。したがって、ピストン54の摺動部分にはシールと軸受が配設されるので、軸受の面積は限られ、また粘度の低い作動油で軸受が潤滑されるので、作業装置58に高負荷、すなわち軸受に大きな力が加わる場合には、軸受及び軸部材が損傷され易く、また外部への作動油の漏れも発生し易い。
【0010】
(2)異なった作業装置の取付け:
作業装置58を取付けるための軸間距離Lは作業腕52の先端部と揺動作動部材60の先端部とを結ぶ枠体64によって一種類に限定される。したがって、軸間距離Lの異なる作業装置を連結するには、軸間距離Lの異なった枠体を作業装置の種類に応じて用意しなければならない。
【0011】
(3)作業腕と作業装置の間の「がたつき」:
ピストン54、54の軸線方向の、作業腕52と枠体64、また枠体64と作業装置58との間には、連結のための隙間が設けられている。しかしながらこの隙間は作業腕52、枠体64並びに作業装置58の間に軸線方向の「がたつき」を生じさせ、互いに衝突することによる打撃騒音の発生や、作業腕52に対して作業装置58が軸線方向に「がたつき」の分自由に動いてしまうことによる作業装置58の位置決めが不安定になる、などの問題を発生させる。
【0012】
本発明は上記事実に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、作業腕に作業装置を着脱自在に連結するクイックカプラ装置において、作業腕と作業装置とを連結する軸部材の摺動部分の軸受を十分に確保できるようにし、また作業腕及び作業腕の揺動作動部材とに取付けの軸間距離の異なる作業装置を連結することができるようにし、さらには軸部材の軸線方向における作業装置の「がたつき」を抑えることができるようにした、作業機械のクイックカプラ装置を提供することである。
【0013】
【問題を解決するための手段】
本発明においては、上記技術的課題を解決する作業機械のクイックカプラ装置として、作業装置が連結される作業腕に備えられた一対の腕部軸受孔と、該作業装置に備えられた一対の装置部軸受孔と、該装置部軸受孔の各々を介して該軸部軸受孔に挿入自在に挿入される一対の軸部材と、該一対の軸部材を摺動させる軸移動手段とを備え、該軸移動手段によって該一対の軸部材を該装置部軸受孔及び該腕部軸受孔に離脱自在に挿入することにより、該作業腕に該作業装置が着脱自在に連結され、
該一対の腕部軸受孔は、各々が該作業腕の外方に開口して同一の軸線上に形成され、該軸移動手段は、該軸部材と該作業腕との間に配設されて該軸部材の各々を該装着部軸受孔及び腕部軸受孔に挿入させた挿入位置と該腕部軸受孔及び装置部軸受孔から抜出した抜出位置との間で自在に移動させ、
該軸部材と該軸移動手段との連結部には、該作業装置に当接して軸線方向における該作業装置の動きを規制する当接部が設けられている、ことを特徴とする作業機械のクイックカプラ装置が提供される。
【0014】
本発明によるクイックカプラ装置においては、軸部材に連結された軸移動手段によって軸部材を摺動移動させ、作業腕及び作業装置の軸受孔に作業装置の軸受孔を介して離脱自在に挿入させる。そして、軸部材の摺動部分の作動油の漏れ止め手段を不要にし、軸受部分を大きくすることができるようにし、作動油とは別のグリースなどで潤滑を行うことができるようにする。また、軸部材を作業装置を介して作業腕に挿入させ当接部によって作業装置の軸線方向の「がたつき」をを押さえることができるようにする。
【0017】
好適実施形態においては、該軸移動手段は、該軸部材の軸線と実質上平行に該作業腕に配設された伸縮自在な流体圧シリンダを備えている。また、該流体圧シリンダは該作業腕に内蔵されその出力ロッドが該作業腕の外方において該軸部材に連結されている。
【0018】
そして、流体圧シリンダを伸縮させて軸部材を自在に移動させる。また、シリンダを作業腕に内蔵して異物、障害物などから保護する。
【0019】
好適実施形態においては、該作業装置には該作業腕に備えられ該作業装置を該軸部材を中心に揺動作動させる揺動作動部材の先端部が連結される係合軸が備えられ、該揺動作動部材の先端部には該係合軸に離脱自在に係合される断面U字形状の係合溝が該係合軸に向けて開口して形成され、該揺動作動部材の先端部と該作業腕の先端部との間には該係合軸と該係合溝とを離脱自在に係合させる伸縮自在な係合手段が備えられている。また、該係合手段は流体圧シリンダを備えている。
【0020】
そして、流体圧シリンダを備える係合手段によって、作業腕の先端と揺動作動部材の先端との間の軸間距離を自在に変え、かつ揺動作動部材を作業装置の係合軸に離脱自在に係合させ、種々の異なった軸間距離の作業装置を連結することができるようにする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に従って構成された作業機械のクイックカプラ装置の好適実施形態を図示している添付図面を参照して、さらに詳細に説明する。
【0022】
図1〜図3を参照して説明すると、作業機械の作業腕2の先端部に作業装置としてのバケット4を着脱自在に連結するための全体を番号6で示すクイックカプラは、作業腕2の先端部に同一の軸線X1上で各々が作業腕2の外方に開口し形成された一対の腕部軸受孔8、8と、腕部軸受孔8、8の軸線X1方向の外方にそれぞれ配置可能にバケット4に形成された一対の装置部軸受孔14、14と、腕部軸受孔8及び装置部軸受孔14各々の一方及び他方のそれぞれに装置部軸受孔14を通して腕部軸受孔8に摺動自在に挿入される一対の軸部材10、10と、軸部材10、10の各々を装置部軸受孔14及び腕部軸受孔8に挿入した「挿入位置」と腕部軸受孔8及び装置部軸受孔14から抜出した「抜出位置」との間で自在に移動させる作業腕2と軸部材10との間に配設された軸移動手段12とを備えている。
【0023】
主として図2を参照して説明すると、作業腕2は箱型断面を有して延在し、その先端部に円筒状ボス2aが延在方向に直交して一体的に取付けられている。腕部軸受孔8、8はボス2aの軸線X1方向両端部に形成されている。軸受孔8、8の各々には軸受部材8aが備えられている。ボス2aの軸線X1方向の中間部には軸線X1方向に所定の幅で隙間部24が形成され、この部分に係合手段22(係合手段22については後に述べる)が取付けられる。
【0024】
主として図3を参照して説明すると、バケット4にはその上部に間隔をおいて立設された一対の取付板4a、4a各々に一対の装置部軸受孔14、14が同一軸線X1上に腕部軸受孔8と実質上同一の径で形成されている。軸受孔14には軸受部材14aが備えられている。取付板4a、4aの間にはまた、軸受孔14の軸線X1と実質上平行に係合軸15が軸間距離Yの間隔で軸線X2を規定して取付られている。
【0025】
軸移動手段12を図2とともに図4を参照して説明すると、軸移動手段12は、作業腕2の箱型断面構造の中にシリンダ本体16aが取付けられた伸縮自在な一対の複動式の流体圧シリンダ16、16と、流体圧シリンダ16の出力部材であるロッド16b、16bの各々と軸部材10、10の各々とをそれぞれ連結している連結部材17、17とを備えている。作業腕2にはまた、流体圧シリンダ16及び軸部材10に連結された連結部材17の移動を案内する案内部材19が一対備えられている。
【0026】
一対の流体圧シリンダ16、16は、軸線X1と実質上平行な同一の軸線上に本体部16a同士を連結した形態で、それぞれのロッド16bを作業腕2の外方に突出させて配設されている。流体圧シリンダ16の伸縮作動は、作業機械本体の流体制御手段から作動流体が配管を介して供給され制御される(配管の図示は省略されている)。
【0027】
連結部材18は、実質上平行に配設された軸部材10とロッド16bの間に軸部材10の基端部とロッド16bの先端部とを結んで厚板部材によって形成されている。連結部材17の一端部には軸部材10の基端部が一体的に取付けられ、この連結部には作業装置4の軸受孔14が形成されたボスの端面に当接する円板状の当接部18が形成されている。当接部18は軸部材10の一部として形成してもよい。連結部材18の他端部にはロッド16bがボルト17aによって取付られている。軸部材10の先端部には面取り10aが形成されている。
【0028】
案内部材19は、矩形の厚板により形成され作業腕2に一体的に立設されている。立設された先端から作業腕2に取付けられた基端側にかけて連結部材17の移動を案内する溝19aが形成されている。案内部材19によって流体圧シリンダ16におけるロッド16bの回転方向の動きが規制され、軸部材10の軸受孔14への挿入が案内される。
【0029】
かくして、一対の軸部材10、10は、流体圧シリンダ16、16を、伸張作動させることにより腕部軸受孔8及び装置部軸受孔10から外方に向けて摺動され抜出され「抜出位置」(図2に二点鎖線で示す位置)に位置付けられ、収縮作動させることにより軸受孔10及び軸受孔8に挿入された「挿入位置」(図2に実線で示す位置)に位置付けられる。「挿入位置」においては当接部18は作業装置4の端部に当接する。
【0030】
図1とともに図5〜図7を参照して説明を続けると、クイックカプラ6にはさらに、作業腕2に備えられバケット4を軸部材10、10(軸線X1)を中心に揺動作動させる揺動作動部材20の先端部に形成されバケット4の係合軸15に離脱自在に係合する係合溝21と、揺動作動部材20の先端部とアーム2の先端部との間に取付けられ係合軸15と係合溝21を離脱自在に係合する伸縮自在な係合手段22とが備えられている。
【0031】
前述の作業腕2の先端のボス2aに形成された隙間部24の部分には、ボス2aの軸線X1方向の一対の軸受孔8、8の間に、係合手段22の一端が取付けられる円筒状の軸部材25が挿入されている。
【0032】
係合溝21は、揺動作動部材20の先端部に作業腕2の先端部の軸線X1と実質上平行に一体的に取付けられた丸棒状部材20aに、その軸線X2の方向に延び断面U字形状を成してバケット4の係合軸15に向けて開口して形成されている。係合溝21の延在方向の中央部には、半径方向外方に係合溝21よりも大径の断面U字形状の、係合手段22の他端が取付けられる、係合手段取付溝26が形成されている。丸棒状部材20aにはまた、取付溝26のU字形状の底部から半径方向外方に連通し、外周方向に所定の長さを有する長孔27が形成されている。
【0033】
係合手段22は、作業腕2に設けられた隙間部24の軸部材25と揺動作動部材20に設けられた係合手段取付溝26との間に配設され、伸縮自在な複動式の流体圧シリンダ28と、流体圧シリンダ28の出力ロッド28aの先端部に取付けられロッド28aの伸張方向に向けて開口した円弧部材30と、流体圧シリンダ28のシリンダ本体28bの基部28cが取付けられるブラケット32とを備えている。流体圧シリンダ28の伸縮作動は、作業機械本体の流体制御手段から作動流体が配管を介して供給され制御される(配管の図示は省略されている)。
【0034】
円弧部材30は、断面が半円形を成して内径が係合軸15に係合する径に、また外径及び軸線X2方向の幅が取付溝26に係合する大きさにそれぞれ規定されて形成され、半円形状の中央部にはロッド28aが連結される雌ねじ30aが形成されている。ロッド28aの先端部には雄ねじ28dが設けられており、長孔27を通して雌ねじ30aに螺合されるとともに、雄ねじ28dには板部材34がロッド28aが挿入される貫通孔を有して丸棒状部材20aの外周部に当接し円弧部材30と板部材34によって丸棒状部材20aを挟持するようにナット35によって位置付けられて取付けられている。
【0035】
ブラケット32は、作業腕2に設けられた軸部材25に回動自在に取付けられる軸受孔が形成された板状を成す軸受部32aと、シリンダ取付板32bとを備え、シリンダ本体28bの基部28cがシリンダ取付板32bに形成されたねじ孔にボルト36によって取付けられている。なお、ブラケット32の作業腕2の先端部への取付けは、隙間部24に軸受部32aが位置付けられた後に軸部材25が軸受孔8、8の間に挿入されて取付けられる。
【0036】
かくして、係合手段22の流体圧シリンダ28を伸縮作動させることにより、揺動作動部材20の先端部の係合溝21とバケット4に備えられた係合軸15とは離脱自在に係合される。この係合手段22は、揺動作動部材20の先端部と作業腕2の先端部との間に取付けられた状態で作業腕2の先端(軸線X1)を中心に揺動が可能である。
【0037】
上述のように構成されたクイックカプラ装置6を介して作業腕2の先端部にバケット4を着脱自在に連結する手順について説明する。
【0038】
バケット4を作業腕2に連結するには、先ずバケット4を係合軸15及び軸受孔14を上方にして設置し(図3に示す状態)、また作業腕2先端の一対の軸部材10、10を軸移動手段12を伸張作動させて「抜出位置(図2に二点鎖線で示す位置)」にする。そして、係合手段22を収縮作動させ、作業腕2及び/又は揺動作動部材20を作動させ係合軸15と係合溝21を係合させる。この係合状態を維持しながら作業腕2を作動させ、また係合手段22を伸張させて、一対の軸部材10、10と軸受孔14、14の軸線X1を合わせ、軸部材10、10を軸移動手段12によって「挿入位置(図2に実線で示す位置)」に移動させ、各々を軸受孔14及び軸受孔8に挿入させる。かくして、バケット4は作業腕2にクイックカプラ6を介して連結される。なお、バケット4の軸受孔14(軸線X1)と係合軸15(軸線X2)の間隔Yが係合手段22の伸縮作動に対し十分に大きい場合には、最初に軸部材10、10を軸受孔14及び軸受孔8に挿入し、その後で係合手段22を伸張させて係合溝21と係合軸15とを係合させることができる。
【0039】
バケット4を作業腕2から取外すには、上述の連結の手順とは逆に、先ず作業腕2の一対の軸部材10、10を軸移動手段12を伸張作動させて「抜出位置」に移動させ軸部材10と軸受孔14及び軸受孔8の係合を解除し、その後で作業腕2を作動させ係合軸15と係合軸21との係合を解除する。
【0040】
かくして、作業腕2の一対の軸部材10、10を軸移動手段12によって「挿入位置」と「抜出位置」の間で移動させバケット4の軸受孔14及び作業腕2の軸受孔8に離脱自在に挿入させ、また揺動作動部材20の係合溝21を係合手段22によってバケット4の係合軸15に離脱自在に係合させることにより、作業腕2にバケット4がクイックカプラ6を介して着脱自在に連結される。
【0041】
上述したとおりの作業機械のクイックカプラ装置6の作用を説明する。
【0042】
(1)作業腕先端部の軸部材の損傷:
図1及び図2を参照して説明すると、作業腕2の先端部の一対の軸部材10、10は、軸移動手段12の流体圧シリンダ16の伸縮作動が連結部材17で連結されて自在に移動するよう構成されている。したがって、従来のように軸部材の摺動部に作動油の漏れ止め手段を設けなくてよく、軸受部分を大きくすることができ、さらにグリースなどによる潤滑を行うことができる。したがって、軸部材の損傷が防止され、また外部への作動油の漏れの問題もなくなる。
【0043】
(2)異なった作業装置の取付け:
図1及び図5を参照して説明すると、作業腕2の先端部と揺動作動部材20の先端部とを結ぶ伸縮自在な係合手段22によって、バケット4を取付けるための軸線X1と軸線X2との軸間距離Yが自在に調整される。したがって、軸間距離Yの異なる種々の作業装置を任意に連結することができる。
【0044】
(3)作業腕と作業装置の間の「がたつき」:
作業腕2に一対の軸部材10、10によって連結されるバケット4は、軸部材10が軸移動手段12によってバケット4の外方からバケット4の軸受孔14を通して作業腕2の軸受孔8に挿入され、そのときに軸部材10と軸移動手段12との連結部に設けられた当接部18がバケット4に当接され、バケット4は両側から押付けられる。したがって、作業腕2とバケット4との軸線X1方向の「がたつき」が抑えられる。そして、作業腕2とバケット4との打撃騒音や、バケット4の位置決めが不安定、などの問題が除かれる。
【0045】
以上、本発明を実施の形態に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内においてさまざまな変形あるいは修正ができるものである。
【0046】
(1)軸移動手段:
軸移動手段12の一対の流体圧シリンダ16、16は、同一の軸線上に配設されているが、必ずしも同一の軸線上である必要はない。図2において紙面に垂直の方向に二段に配設してもよいし、図2の上下の方向に二段に配設してもよい。また、流体圧シリンダ16、16は一体になった形態の一個のシリンダで二個の出力ロッドを備えるものでもよい。
【0047】
(2)係合手段:
伸縮自在な係合手段22には流体圧シリンダ28が備えられているが、流体圧シリンダ28に代えて右ねじ及び左ねじの組合せからなる機械的に伸縮可能なターンバックルを用いることもできる。
【0048】
【発明の効果】
本発明に従って構成された作業機械のクイックカプラ装置によれば、作業腕に作業装置を着脱自在に連結するクイックカプラ装置において、作業腕と作業装置とを連結する軸部材の摺動部分の軸受を十分に確保できるようにし、また作業腕及び作業腕の揺動作動部材とに取付けの軸間距離の異なる作業装置を連結することができるようにし、さらには軸部材の軸線方向における作業装置の「がたつき」を抑えることができるようにした、作業機械のクイックカプラ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って構成されたクイックカプラ装置を介して作業腕に作業装置を連結した形態を示す側面図。
【図2】図1のA−A矢印方向に見た断面図。
【図3】作業装置としてのバケットの斜視図。
【図4】図2のB−B矢印方向に見た断面図。
【図5】図1のC−C矢印方向に見た断面図。
【図6】図5のD−D矢印方向に見た断面図。
【図7】図5のE−E矢印方向に見た断面図。
【図8】従来のクイックカプラ装置を介して作業腕に作業装置を連結した形態を示す側面図。
【図9】図8のF−F矢印方向に見た断面図。
【符号の説明】
2:作業腕
4:バケット(作業装置)
6:クイックカプラ装置
8:腕部軸受孔
10:軸部材
12:軸移動手段
14:装置部軸受孔
15:係合軸
16:流体圧シリンダ
16b:出力ロッド
17:連結部材
18:当接部
20:揺動作動部材
21:係合溝
22:係合手段
28:流体圧シリンダ
50:クイックカプラ装置
X1、X2:軸線
Y、L:軸間距離
Claims (3)
- 作業装置が連結される作業腕に備えられた一対の腕部軸受孔と、該作業装置に備えられた一対の装置部軸受孔と、該装置部軸受孔の各々を介して該軸部軸受孔に挿入自在に挿入される一対の軸部材と、該一対の軸部材を摺動させる軸移動手段とを備え、該軸移動手段によって該一対の軸部材を該装置部軸受孔及び該腕部軸受孔に離脱自在に挿入することにより、該作業腕に該作業装置が着脱自在に連結され、
該一対の腕部軸受孔は、各々が該作業腕の外方に開口して同一の軸線上に形成され、該軸移動手段は、該軸部材と該作業腕との間に配設されて該軸部材の各々を該装着部軸受孔及び腕部軸受孔に挿入させた挿入位置と該腕部軸受孔及び装置部軸受孔から抜出した抜出位置との間で自在に移動させ、
該軸部材と該軸移動手段との連結部には、該作業装置に当接して軸線方向における該作業装置の動きを規制する当接部が設けられている、ことを特徴とする作業機械のクイックカプラ装置。 - 該軸移動手段は、該軸部材の軸線と実質上平行に該作業腕に配設された伸縮自在な流体圧シリンダを備えている、請求項1記載の作業機械のクイックカプラ装置。
- 該流体圧シリンダは該作業腕に内蔵されその出力ロッドが該作業腕の外方において該軸部材に連結されている、請求項2記載の作業機械のクイックカプラ装置。
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