JP3566999B2 - 熱式流速センサ - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、例えばフルイディック流量計におけるフルイディック発振を検出するために用いられる熱式流速センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスメータ等に利用される流量計として、熱式流速センサ(以下、フローセンサという。)を用いたものがある。フローセンサは、配管中を流れる流体の流速を求めるセンサであり、感度が高く応答が速いという利点がある。このフローセンサを用いた流量計では、フローセンサの出力から、流速に対応する流量を求め、これを表示するようになっている。
【0003】
フローセンサとしては、例えば特開平2−259527号公報に示されるように自ら熱を放出する2つの測温抵抗エレメントを流体の流れの方向に沿って配列したものや、例えば特開平4−58111号公報に示されるように2つの測温抵抗エレメント(センサ抵抗器)とこの2つの測温抵抗エレメント間に設けられたヒータエレメント(ヒータ抵抗器)とを流体の流れの方向に沿って配列したもの等がある。このようなフローセンサでは、流体の流れによって熱が移動し、2つの測温抵抗エレメントの抵抗値が変化するので、ブリッジ回路を用いて2つの測温抵抗エレメントの抵抗値のアンバランスに応じた信号を生成し、この信号から流速を求めるようになっている。
【0004】
また、ガスメータ等に利用される他の種類の流量計として、フルイディック流量計が知られている。このフルイディック流量計は、噴流を発生させるノズル部の下流側に、一対の側壁によって流路拡大部を形成すると共に、側壁の外側に設けられたリターンガイドによって、ノズル部を通過した流体を各側壁の外側に沿ってノズル部の噴出口側へ導く一対のフィードバック流路を形成し、ノズル部を通過した流体が一対のフィードバック流路を交互に流れる現象(本出願において、フルイディック発振という。)を利用し、フルイディック発振の周波数や周期に基づいて流体の流量を測定するものである。このフルイディック流量計においてフルイディック発振を検出するセンサとしては、圧力センサが用いられることが多いが、前記特開平4−58111号公報に示されるようにフローセンサを用いることも考えられる。
【0005】
ところが、フローセンサは熱を放出するアクティブセンサであって、多くの電力を必要とするため、ガスメータのように電池で駆動する機器に使用する場合には連続的に使用することができないという問題があった。この問題を解決するため、例えば、供給電流の大きさを小さくする方法がある。しかしながら、フローセンサの出力電圧はヒータの消費電力に比例し、消費電力は消費電流の2乗に反比例するため、単に消費電流を減らすとセンサ出力電圧が減少してしまい、S/N比が悪くなる。従って、S/N比を改善するための高価な回路が必要となり、また、その改善の効果にも限界がある。
【0006】
そのため、従来、ガスメータに使用されるフローセンサでは、連続的にフローセンサを駆動するのでなく、必要なときにのみ駆動するいわゆる間欠駆動を行うことによって間欠的な測定を行っていた。
【0007】
図22は、間欠的に駆動するように構成したフローセンサの要部を示す回路図である。このフローセンサは、流体の流れの方向に沿って配列された上流測温抵抗エレメント501と下流測温抵抗エレメント502とを備えている。これらの測温抵抗エレメント(センサ抵抗器)501,502は、温度が等しいときには抵抗値が等しい。上流測温抵抗エレメント501の一端はスイッチ503を介して定電流回路504に接続されている。上流測温抵抗エレメント501の他端は下流測温抵抗エレメント502の一端に接続され、下流測温抵抗エレメント502の他端は接地されている。直列に接続された2つの抵抗エレメント501,502の両端には、直列に接続された抵抗値の等しい基準抵抗器505,506が接続され、これらの抵抗エレメント501,502および基準抵抗器505,506によってブリッジ回路が構成されている。抵抗エレメント501,502の接続点と基準抵抗器505,506の接続点はそれぞれ増幅器507の各入力端に接続されている。スイッチ503は駆動制御回路508によってオン、オフが制御されるようになっている。この回路には、通電によって発熱するヒータエレメント515と、このヒータエレメント515に定電流を供給するための定電流回路516と、駆動制御回路508の制御によって定電流回路516からヒータエレメント515への電流供給をオンオフするスイッチ517とが設けられている。ヒータエレメント515は、2つの測温抵抗エレメント501,501の間に配置され、このヒータエレメント515で生じた熱が流体の流れによって下流側抵抗エレメント502の方向に流れるようになっている。
【0008】
図23(a)に示すように、このフローセンサでは、駆動制御回路508によって一定の周期(T)、且つ一定のデューティ比(周期Tに対するスイッチオンの時間Tonの比)で間欠的にスイッチ503および517がオンにされ、定電流回路504からブリッジ回路に電流が間欠的に供給されると共に、定電流回路516からヒータエレメント515に電流が間欠的に供給される。この場合、ヒータエレメント515での消費電流は、連続駆動の場合に比べてTon/Tに減少する。この電流によってヒータエレメント515は熱を発する。ここで、流速がゼロのときはヒータエレメント515から放出された熱は両側の測温抵抗エレメントに均等に伝わるため、これらの測温抵抗エレメントの抵抗値が等しくなり、増幅器507から出力される検知信号はゼロである。一方、流速がある大きさを持つ場合には、測温抵抗エレメント501,502の抵抗値に差が生じ、この差は流速が大きいほど大きくなる。従って、増幅器507から出力される検知信号518は流速に応じた大きさとなる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来のフローセンサにおいて、ヒータエレメント515は、スイッチ517がオンしている時間(Ton)において発熱し、センサの形状等で定まる熱時定数で徐々に温度が上昇する。そして、発熱開始から平衡温度に達するまでに所定の時間(以下、熱応答時間τ)を要する。このため、ある一定の流速の下では、測温抵抗エレメント501,502の温度差は図23(b)に示すように変化し、これに伴って増幅器507の出力518は図23(c)に示すように変化する。従って、出力を正確にサンプリングするため、スイッチオン期間(Ton)は、少なくとも増幅器507の出力508が安定するまでの時間(τ)以上にする必要がある。一方、消費電流を減少させるにはスイッチオフ期間(Toff )が必要である。従って、測定サンプリングの周期は少なくとも(τ+Toff )以上にする必要がある。ここに、センサの出力電圧(出力518)が安定する時間τは、熱応答の早いフローセンサにおいても数十msec程度である。従って、例えば消費電流を1/10にしようとすると、Ton:T=1:10となり、サンプリング周期を数百msec程度にする必要がある。
【0010】
一方、間欠駆動の場合、スイッチオフの間は測定できないので、例えばフルイディック流量計のように流速が高い周波数で変動している流れを計測するには、100Hz程度の応答性が必要とされる。すなわち、サンプリング周期を10msec程度にする必要がある。従って、上記のような間欠駆動の方法をフルイディック流量計には応用するのは困難である。これを改善するため、フローセンサの形状をさらに小さくする等して熱時定数を小さし、熱応答時間を短くすることも考えられるが、これには製作上の困難性を伴うと共に、形状が小さくなることによってダストから受ける悪影響が大きくなるため、実用上問題がある。
【0011】
また、フローセンサをフルイディック流量計においてフルイディック発振を検出するセンサとして用いた場合、図24に示すように、流量の増加に伴ってフルイディック発振の発振周波数511が増加すると共に、フローセンサの出力信号512も増加する。しかしながら、フルイディック発振を検出するためには流速の絶対値は必要なく、流体の流れの方向が分かれば十分である。従って、フローセンサの出力信号512が、流速を検出できる最低限の出力レベル513を越える領域については無駄な電力を消費していることになる。
【0012】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、連続的な測定を可能にしながら消費電力を低減できるようにした熱式流速センサを提供することにある。
【0013】
また、本発明の第2の目的は、上記目的に加え、フルイディック流量計においてフルイディック発振を検出するセンサとして用いた場合に、より消費電力を低減できるようにした熱式流速センサを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の熱式流速センサは、電力の供給を受けて熱を放出するヒータ(ヒータ抵抗器)と、このヒータの近傍に設けられると共に温度に応じて抵抗値が変化する測温用抵抗器(センサ抵抗器)を有し、ヒータから放出された熱の流体による移動によって生じた測温用抵抗器の抵抗値の変化に基づいて、流体の流速に応じた検知信号を出力するセンサ回路と、流速を認識可能な最低限の検知信号を前記センサ回路から出力させるのに必要な最低限の熱量をヒータが放出できるように、ヒータに対して間欠的に電力を供給するヒータ制御手段とを備えたものである。
【0015】
この熱式流速センサでは、ヒータから熱が放出され、この熱の流体による移動によって生じた測温用抵抗器の抵抗値の変化に基づいて、センサ回路から流体の流速に応じた検知信号が出力される。また、ヒータ制御手段によって、流速を認識可能な最低限の検知信号をセンサ回路から出力させるのに必要な最低限の熱量をヒータが放出できるように、ヒータに対して間欠的に電力が供給される。これにより、センサ回路による流量測定を常時可能としながら、ヒータにおける消費電力を低減することができる。
【0016】
請求項2記載の熱式流速センサは、請求項1記載の熱式流速センサにおいて、前記ヒータ制御手段によってヒータに供給される間欠的な電力の供給周期が、ヒータの熱時定数の2倍以下であるように構成したものである。一般に、ヒータは熱容量に起因する固有の熱時定数を有し、連続的な通電に対して発熱開始から平衡温度に達するまで一定の時間(熱応答時間)を要する。従って、このヒータの熱時定数の2倍以下の周期で電力を間欠的に供給することによって、次第に温度が上昇し、やがて発熱と放熱が平衡したところで一定温度に落ちつくようになる。これにより、間欠的な電力供給にもかかわらず、ヒータの温度(発熱量)をほぼ一定にすることができる。なお、前記ヒータ制御手段によってヒータに供給される間欠的な電力の供給周期は、ヒータの熱時定数以下であることが好ましい。
【0017】
請求項3記載の熱式流速センサは、請求項1または2記載の熱式流速センサにおいて、センサ回路の測温用抵抗器に間欠的に電流を供給するセンサ回路制御手段を更に備えたものである。
【0018】
この熱式流速センサでは、センサ回路の測温用抵抗器への電力供給をも間欠的に行うことで、より消費電力が低減される。
【0019】
請求項4記載の熱式流速センサは、請求項3記載の熱式流速センサにおいて、センサ回路制御手段が、ヒータ制御手段によるヒータに対する間欠的な電力供給に同期して測温用抵抗器に電流を供給するように構成したものである。
【0020】
この熱式流速センサでは、ヒータに対する間欠的な電力供給と測温用抵抗器に対する間欠的な電流供給とを同期させることによって、常にヒータの温度がほぼ一定の状態(タイミング)で流速を測定することが可能となり、測定精度が向上する。
【0021】
請求項5記載の熱式流速センサは、請求項3または4記載の熱式流速センサにおいて、センサ回路制御手段による電流供給時に電力を蓄積し、この蓄積した電力を用いて、センサ回路制御手段による電流非供給時に測温用抵抗器に電流を供給する電力蓄積手段を更に備えたものである。
【0022】
この熱式流速センサでは、センサ回路制御手段による電流非供給時にも、電力蓄積手段によって測温用抵抗器に電流が供給されるので、連続的な検知信号の出力が可能となる。
【0023】
請求項6記載の熱式流速センサは、フルイディック流量計においてフルイディック発振に伴って流速の変化する流路に設けられ、フルイディック発振を検出するために流速を検出する熱式流速センサであって、電力の供給を受けて熱を放出するヒータと、このヒータの近傍に設けられると共に温度に応じて抵抗値が変化する測温用抵抗器を有し、ヒータから放出された熱の流体による移動によって生じた測温用抵抗器の抵抗値の変化に基づいて、流体の流速に応じた検知信号を出力するセンサ回路と、このセンサ回路の検知信号に応じて、流速を認識可能な最低限の検知信号を前記センサ回路から出力させるのに必要な最低限の熱量を前記ヒータが放出できるように前記ヒータへの供給電力を制御するヒータ制御手段とを備えたものである。
【0024】
この熱式流速センサでは、ヒータから熱が放出され、この熱の流体による移動によって生じた測温用抵抗器の抵抗値の変化に基づいて、センサ回路から流体の流速に応じた検知信号が出力される。また、ヒータ制御手段によって、センサ回路の検知信号(すなわち流速)に応じて、流速を認識可能な最低限の検知信号を前記センサ回路から出力させるのに必要な最低限の熱量をヒータが放出できるように、ヒータに供給する電力が制御される。熱式流速センサによってフルイディック発振を検出する場合、流速の絶対値は必要なく、流体の流れの方向が分かれば十分である。そこで、上述のように、センサ回路の検知信号に応じて、必要最低限の熱量がヒータから放出されて流体の流れにより測温用抵抗器の周囲に移動・保持されるように、ヒータへの供給電力を制御する。これによって、消費電力をより一層低減することができる。
【0025】
請求項7記載の熱式流速センサは、請求項6記載の熱式流速センサにおいて、ヒータ制御手段が、ヒータに対して間欠的に電力を供給すると共に、センサ回路の検知信号に応じて電力供給のデューティを変化させることによって電力を制御するように構成したものである。
【0026】
請求項8記載の熱式流速センサは、請求項7記載の熱式流速センサにおいて、ヒータ制御手段が、電力供給の周期を一定とする一方、電力供給の時間を変えることによって電力供給のデューティを変化させるように構成したものである。
【0027】
請求項9記載の熱式流速センサは、請求項6記載の熱式流速センサにおいて、ヒータ制御手段が、ヒータに対して間欠的に電力を供給すると共に、センサ回路の検知信号に応じてヒータに印加する電圧を変化させることによってヒータに供給する電力を制御するように構成したものである。
【0028】
請求項10記載の熱式流速センサは、請求項7ないし9のいずれか1に記載の熱式流速センサにおいて、前記ヒータ制御手段によってヒータに供給される間欠的な電力の供給周期が、ヒータの熱時定数の2倍以下であるように構成したものである。この熱式流速センサでは、請求項2記載の熱式流速センサの場合と同様に、間欠的な電力供給にもかかわらず、ヒータの温度(発熱量)をほぼ一定にすることができる。なお、前記ヒータ制御手段によってヒータに供給される間欠的な電力の供給周期は、ヒータの熱時定数以下であることが好ましい。
【0029】
請求項11記載の熱式流速センサは、請求項6記載の熱式流速センサにおいて、ヒータ制御手段が、センサ回路の検知信号のレベルに応じて、ヒータに供給する電力を制御するように構成したものである。熱式流速センサによってフルイディック発振を検出する場合、ヒータに供給する電力が一定であれば、流量が大きくなるほどセンサ回路の検知信号のレベルは大きくなる。従って、センサ回路の検知信号のレベルが大きいほど、ヒータに供給する電力を小さくすることが可能となる。そこで、センサ回路の検知信号のレベルに応じて、ヒータに供給する電力を制御することによって、消費電力を低減することが可能となる。
【0030】
請求項12記載の熱式流速センサは、請求項6記載の熱式流速センサにおいて、ヒータ制御手段が、センサ回路の検知信号の周波数または周期に応じて、ヒータに供給する電力を制御するように構成したものである。熱式流速センサによってフルイディック発振を検出する場合、流量が大きくなるほど、センサ回路の検知信号の周波数は大きくなり(周期は小さくなり)、かつ検知信号レベルが大きくなる。従って、センサ回路の検知信号の周波数が大きいほど(周期が小さいほど)、ヒータに供給する電力を小さくすることが可能となる。そこで、センサ回路の検知信号の周波数または周期に応じて、ヒータに供給する電力を制御することによって、消費電力を低減することが可能となる。
【0031】
請求項13記載の熱式流速センサは、請求項1ないし12のいずれか1に記載の熱式流速センサにおいて、測温用抵抗器がヒータの両側に1つずつ設けられているものである。
【0032】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【0033】
図1は本発明の一実施例に係る熱式流速センサを備えたフルイディック流量計の断面を表わすものである。なお、本実施例は、ガスメータとして使用するフルイディック流量計の例である。
【0034】
図1に示すように、このフルイディック流量計は、気体(ガス)を導入するための入口部11と気体を排出するための出口部12とを有する本体10を備えている。本体10内には隔壁13が設けられ、この隔壁13と入口部11との間に気体流路14が形成され、隔壁13と出口部12との間に気体流路15が形成されている。隔壁13には開口部16が設けられ、気体流路14内には、開口部16を閉塞可能な遮断弁17が設けられている。本体10の外側にはソレノイド18が固定され、このソレノイド18のプランジャ19が、本体10の側壁を貫通して遮断弁17に接合されている。遮断弁17と本体10との間におけるプランジャ19の周囲にはばね20が設けられ、このばね20が遮断弁17を開口部16側へ付勢している。
【0035】
気体流路15内には、入口部11から導入した気体を通過させて噴流を配設させるノズル部21が設けられている。このノズル部21の上流側には、気体の流れを整えるための整流部材22が設けられている。ノズル部21の下流側には、拡大された流路を形成する一対の側壁23,24が設けられている。この側壁23,24の間には、所定の間隔を開けて、上流側に第1ターゲット25、下流側に第2ターゲット26がそれぞれ配設されている。側壁23,24の外側には、ノズル部21を通過した気体を各側壁23,24の外周部に沿ってノズル部21の噴出口側へ帰還させる一対のフィードバック流路27,28を形成するリターンガイド29が配設されている。フィードバック流路27,28の各出口部分と出口部12との間には、リターンガイド29の背面と本体10とによって、一対の排出路31,32が形成されている。ノズル部21の噴出口の近傍には、ノズル部21を通過した気体の流れる方向の切り替わりを検出するための熱式流速センサに通じる導圧孔33,34が設けられている。
【0036】
図2は図1における導圧孔33,34および熱式流速センサを含む断面を拡大して表すものである。この図に示すように、本体10の底部の外側には、導圧孔33と導圧孔34との間を連通する導圧管37が設けられている。導圧管37のほぼ中央部の内壁面には、導圧孔33における圧力と導圧孔34における圧力との差(以下、単に差圧という)を、導圧管37内を流れる気体の流速として検出し、その流れの方向の変化を検出することによってノズル部21を通過した気体の流れ方向の切り替わり(すなわち、フルイディック発振)を検知する熱式流速センサ(以下、フローセンサという)38が配設されている。また、導圧管37は本体10の底部の外側に固定されたケース39によって覆われている。
【0037】
図3は図2の導圧管37を本体10の底部に平行な面で切った断面を表すものである。この図に示すように、導圧管37の内壁に配設されたフローセンサ38は、半導体基台40と、この半導体基台40上に形成された薄膜層(図示せず)と、この薄膜上に形成された測温用の2つのセンサ抵抗器41、42と、加熱用のヒータ抵抗器43とを備えている。これらの3つの抵抗器は、気体の流れ方向(矢印AまたはB)に沿ってセンサ抵抗器41(または42)、ヒータ抵抗器43、センサ抵抗器42(または41)の順に配置されると共に、相互に熱伝導による大きな熱移動が生じないように隔絶されている。
【0038】
次に、以上のような構成のフルイディック流量計の概略動作を説明する。入口部11から導入された気体は、気体流路14、開口部16、気体流路15、整流部材22を順に経て、ノズル部21に入る。ノズル部21を通過した気体は、噴流となって噴出口より噴出される。噴出口より噴出された気体は、コアンダ効果により一方の側壁に沿って流れる。ここでは、まず側壁23に沿って流れるものとする。側壁23に沿って流れた気体は、更にフィードバック流路27を経て、ノズル部21の噴出口側へ帰還され、排出路31を経て出口部12より排出される。このとき、ノズル部21より噴出された気体は、フィードバック流路27を流れてきた気体によって方向が変えられ、今度は他方の側壁24に沿って流れるようになる。この気体は、更にフィードバック流路28を経て、ノズル部21の噴出口側へ帰還され、排出路32を経て出口部12より排出される。すると、ノズル部21より噴出された気体は、今度は、フィードバック流路28を流れてきた気体によって方向が変えられ、再び側壁23、フィードバック流路27に沿って流れるようになる。以上の動作を繰り返すことにより、ノズル部21を通過した気体は一対のフィードバック流路27,28を交互に流れるフルイディック発振を行う。
【0039】
このフルイディック発振の周波数(または周期)は流量(流速)と対応関係があり、フローセンサ38によって検出される。すなわち、ノズル部21を通過した気体が一対のフィードバック流路27,28を交互に流れると、ベルヌーイの法則により、導圧孔33と導圧孔34との間に差圧が生じると共に、この差圧の方向が流量(流速)に対応した周波数で変化する。このため、導圧管37内には、この差圧方向の変化に応じて矢印AおよびBの方向に気体が交互に流れる。この流れの方向の変化をフローセンサ38で検出することでフルイディック発振周波数が求められ、これよりフルイディック流量計のノズル部21を流れる流量が求まる。
【0040】
図4は図3のフローセンサ38を用いてフルイディック発振周波数を検出するように構成したセンサ回路の要部を表すものである。この図に示すように、フローセンサ38のセンサ抵抗器41とセンサ抵抗器42とは直列接続され、同様に直列接続された他の2つの基準抵抗器51,52と共にブリッジ回路50を構成している。センサ抵抗器41,42は同一温度下で同一抵抗値を有し、温度上昇と共に抵抗値が増加するようになっている。基準抵抗器51,52は常に同一抵抗値を有するように共に同一温度状態に保持される。センサ抵抗器41,42の接続点と基準抵抗器51,52の接続点とはそれぞれ差動増幅器53の各入力端に接続されている。差動増幅器53の出力端は周期検出回路56に接続されている。センサ抵抗器41の他端は基準抵抗器51の他端に接続されると共に、一定のセンシング(測温用)電流を供給するための定電流回路65に接続されている。センサ抵抗器42の他端は抵抗器52の他端に接続されると共に、接地接続されている。
【0041】
一方、フローセンサ38のヒータ抵抗器43はスイッチ62を介して定電流回路61に接続されるようになっている。スイッチ62は、スイッチング制御回路64から出力されるスイッチング信号63によりオン/オフ(閉/開)動作を行い、これにより定電流回路61からの一定電流をヒータ抵抗器43に間欠的に供給するようになっている。
【0042】
図5は図4のスイッチング制御回路64の具体的な構成を表すものである。また、図6はスイッチング制御回路64およびヒータ抵抗器43の動作を説明するための波形図である。スイッチング制御回路64は、抵抗器81,82およびキャパシタ83を外付け素子として有するパルス発生器84と、抵抗器85およびキャパシタ86を外付け素子として有する単安定マルチバイブレータ87とを備えている。パルス発生器84は、抵抗器81の抵抗値(R)、抵抗器82の抵抗値(R)、およびキャパシタ83の容量値(C)の組合せで定まる周期(T)でトリガパルス88(図6(a))を発生し、単安定マルチバイブレータ87に供給するようになっている。単安定マルチバイブレータ87は、抵抗器85の抵抗値(R)とキャパシタ86の容量値(C)とによって定まるパルス幅(T)のパルス信号を生成し、これをスイッチング制御信号63(図6(b))として出力するようになっている。
【0043】
次に、以上のような構成のセンサ回路(図4)の動作を図7を参照して説明する。スイッチング制御回路64から出力されたスイッチング信号63(図7(a))は、例えばNPN型のトランジスタで構成されるスイッチ62のベースに印加され、このスイッチ62は、スイッチング信号63の“0”,“1”レベルに対応してオンオフする。これにより、ヒータ抵抗器43には、定電流回路61から一定電流(I)が周期Tごとに時間Tだけ流れる。ヒータ抵抗器43は電流供給期間において発熱する一方、電流非供給期間においては発熱が停止しヒータ抵抗器43の熱時定数で定まる勾配で温度が下がる。このため、ヒータ抵抗器43の温度はスイッチ62のオンオフに応じて上下に変動する。
【0044】
ここで、周期(T)の値をヒータ抵抗43の熱時定数の2倍以下に設定しておくと、ヒータ抵抗器43の温度は図7(b)に示すように、階段状に上昇し、発熱と放熱が平衡したところでほぼ一定温度(t)で安定する。ここに、熱時定数は、連続通電した場合において発熱開始から一定温度になるまでの時間(応答時間τ)の1/e倍(約63%)である。この場合、ヒータ抵抗器43に電力を間欠的に供給しているにもかかわらず、ヒータ抵抗器43の温度は、センサ自体の熱容量によるフィルタ効果によって平滑化されることとなる。但し、この温度(t)は、差動増幅器53の出力(検知信号58)によって導圧管37内の最小流速を認識できるような最低限の温度(tTH)以上になるように設定する。具体的には、この条件を満たすために、スイッチング信号63のデューティ比(すなわち、周期(T)に対するパルス幅(T)の比)と、定電流回路61からヒータ抵抗器43に供給される電流の大きさ(I)とを適正に設定する。すなわち、ヒータ抵抗器43で生じ、ここから最小流速の気体流に乗ってセンサ抵抗器41,42の周囲に移動し保持される熱量によって、センサ抵抗器41,42間に検出可能な抵抗値差が生じるように設定する。なお、周期(T)の値は、ヒータ抵抗器43の温度の脈動を考慮すると、ヒータ抵抗43の熱時定数以下であることが好ましい。
【0045】
このようにして、ヒータ抵抗器43が一定温度(t)で安定した状態において、流速の計測を行う。図3の導圧管37内に気体の流れがない場合(すなわち、フルイディック流量計の流量(流速)がゼロの場合(図7(c))には、センサ抵抗器41,42の温度差がなくなるため(図7(d))、センサ抵抗器41,42の抵抗値は等しくなる。このため、点a,bの電位が等しくなり(すなわち、ブリッジ回路50は平衡状態となり)、差動増幅器53の出力はゼロとなる(図7(e))。
【0046】
一方、気体がある大きさの流速でフルイディック流量計内を流れると、その流速に応じた周波数でフルイディック発振が生じ、導圧管37を気体が矢印AおよびBの方向に交互に流れる(図7(c))。ここで、例えば、ある瞬間における気体流の方向が矢印Aの方向であったとすると、風下側となるセンサ抵抗器42は風上側のセンサ抵抗器41から気体流によって運ばれた熱によって温度が流速ゼロのときよりも上昇し、風上側となるセンサ抵抗器41は気体流によって冷却されて温度が流速ゼロのときよりも下降する。このため、センサ抵抗器41の抵抗値が小さくなる一方、センサ抵抗器42の抵抗値が大きくなり、両抵抗値間に差が生じる。これにより、ブリッジ回路50の平衡が破れ(すなわち、センサ抵抗器41,42の点aの電位が基準抵抗器51,52の点bの電位よりも大きくなり)、差動増幅器53の出力(検知信号58)は増大する。一方、気体の流れの方向が矢印Bの方向の場合には、上記と全く逆の状態となり、センサ抵抗器41,42の接続点aの電位が基準抵抗器51,52の接続点bの電位よりも小さくなり、検知信号58は減少する。従って、フルイディック発振により導圧管37を気体が矢印AおよびBの方向に交互に流れると(図7(c))、センサ抵抗器41,42の温度差は図7(d)に示すように正弦波状に変動する。この場合、検知信号58を得るのに必要なセンシング用の電流は定電流回路65によって常時供給されているため、検知信号58は図7(e)のような連続的な正弦波状の波形となる。
【0047】
この検知信号58(図7(e))は、周期検出回路56に入力されて周期(または周波数)が検出される。ここで検出される周波数は、フルイディック発振周波数であり、図24の符号511で示したように、フルイディック流量計内を流れる気体の流速の増大と共に増大する。なお、フルイディック発振周波数の増大に伴って導圧管37内の流速も増大するため、接続点a,bの電位差も大きくなり、図24の符号512で示すように、センサ回路の出力信号(検知信号58振幅)も増大する。
【0048】
このように、本実施例によれば、ヒータ抵抗器43を間欠駆動することにより消費電力を低減することができるため、電池駆動方式でセンサを構成する場合に特に有効になると共に、その間欠駆動の周期をヒータ抵抗器43の熱時定数の2倍以下(好ましくは熱時定数以下)にすることでヒータ抵抗器43の温度をほぼ一定状態に保持するようにしたので、ヒータ抵抗器43に常時電力を供給したのと同様の状態とすることができる。また、センサ抵抗器41,42へのセンシング電流は常時供給するため、センサ回路は常時出力状態となる。従って、ヒータ抵抗器43の必要最小限の温度が確保されるように電力供給デューティを設定する限り、センサ回路は、連続的かつ有効な検知信号を出力することができる。このため、測定サンプリング周期を極めて小さくすることも可能となり、フルイディック流量計のように高い周波数(短い周期)で流速が変動するような用途にも十分適用することができる。
【0049】
図8は、本発明のフローセンサを用いてフルイディック発振周波数を検出するようにしたセンサ回路の他の実施例を表すものである。この図で、上記実施例(図4)と同一部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0050】
このセンサ回路は、定電流回路65とブリッジ回路50との間にスイッチ66を備え、このスイッチ66のオンオフ制御がスイッチング制御回路64からのスイッチング信号63によって行われるようにしたものでる。また、差動増幅器53と周期検出回路56との間にはサンプルホールド回路55が設けられている。その他の構成は図4と同じである。
【0051】
このセンサ回路では、スイッチ66のオンオフ動作によってブリッジ回路50に流れるセンシング用電流も間欠的となり、差動増幅器53からの検知信号54は図9(a)に示すようになる。この検知信号54は、サンプルホールド回路55により信号の欠落部分を補間されて図9(b)に示すような階段状の信号57となり、さらに周期検出回路56に入力されて周期(または周波数)が検出される。
【0052】
このように、本実施例によれば、ヒータ抵抗器43およびブリッジ回路50への通電制御を双方共に間欠的に行うことにより、ヒータ抵抗器43において熱発生に消費される電力の低減のみならず、ブリッジ回路50においてセンシングに消費される電力をも低減することができ、より一層の電力節約が可能となる。
【0053】
なお、本実施例では、ブリッジ回路50の通電制御をヒータ抵抗器43の通電と同時に行うこととしたが、流速ゼロでのヒータ抵抗器43の温度が図7(b)のしきい値(tTH)以上に保持される限り、同時である必要はなく、また、同期させる必要もない。何故なら、フルイディック流量計において流量を求める場合には、センサ出力信号(検知信号54)の周波数(フルイディック発振周波数)のみが必要であって、その絶対値(振幅)は不要であるため、気体流の認識に必要な最小限の大きさの検知信号54が得られる限り、ヒータ抵抗器43の温度が変化しても周波数を検出可能だからである。
【0054】
従って、例えば、ヒータ抵抗器43への電力供給は、最小レベルのセンサ出力を得るのに足りる比較的長い周期で行う一方、センサ抵抗器41,42へのセンシング用電流の供給は、大流量に対応した高いフルイディック周波数をも検出できるような短い周期で行うことも可能である。このようにすることにより、センサ抵抗器41,42への供給電力をも低減すると同時に、フルイディック流量計におけるフルイディック発振のように相当高い周波数で流速が変動するような用途にも十分対応することができる。これは、図8において、スイッチング制御回路64とは別のスイッチング制御回路を設け、これより出力する高周波のスイッチング信号によってスイッチ66をオンオフさせ、センサ抵抗器41,42への通電を高速でオンオフ制御することで可能となる。
【0055】
但し、通常の定常流のように流速変動の周期が比較的長い場合には、回路構成の簡略化のため、図8のようにヒータ抵抗器43の駆動とセンサ抵抗器41,42の駆動とを同時に行うか、あるいは少なくとも両者を同期させて行うことが好ましい。この場合には、ヒータ抵抗器43の温度が常に一定(すなわち、気体流によってヒータ抵抗器43からセンサ抵抗器41,42の周囲に移動する熱量が常に一定)となるタイミングで検知信号54が得られるため、検知信号54の絶対値(すなわち定常流の流速の絶対値)を精度よく検出することができる。なお、同期制御は、例えば、スイッチング信号63を所定時間遅延させた信号によってスイッチ66のオンオフ制御を行う構成で可能となる。この場合、遅延回路を1つ追加するだけで済み、回路構成も簡単である。
【0056】
図10は本発明のフローセンサを用いてフルイディック発振周波数を検出するようにしたセンサ回路の他の実施例を表すものである。この図で、上記実施例(図8)と同一部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0057】
このセンサ回路は、図8の回路構成に加えて、スイッチ66とブリッジ回路50との接続点と接地との間にバックアップ用のキャパシタ69を接続配置したものである。また、本実施例では、サンプルホールド回路は設けられていない。その他の構成は図8の回路と同じである。
【0058】
このセンサ回路では、スイッチ66がオンの期間においてブリッジ回路50にセンシング用電流が供給されると同時にキャパシタ69が充電され、スイッチ66がオフの期間においてはキャパシタ69が放電し、ブリッジ回路50に電流が供給される。このため、スイッチ66のオンオフ動作にかかわらず、ブリッジ回路50の通電状態が確保される。従って、差動増幅器53からの検知信号58は図9(a)のように間欠的にはならず、図7(e)に示した滑らかな正弦波状の波形となる。このため、キャパシタ69を設ける一方で図8の場合のような検知信号54の欠落部分を補間するためのサンプルホールド回路は不要となり、差動増幅器53からの検知信号54を周期検出回路56に直接入力して周期を検出することができる。従って、本実施例の構成によれば、ブリッジ回路50に供給されるセンシング用電力の消費を連続供給の場合よりも低減できると共に、回路の簡素化が可能となる。
【0059】
なお、以上の3つの実施例(図4、図8および図10)では、フローセンサのヒータ抵抗器の間欠駆動制御を主としてフルイディック流量計におけるフルイディック発振周波数の検出という特殊な用途に適用する場合について説明したが、これに限るものではなく、一定条件の下では、一定方向に流れる定常流の流量(流速)を検出する場合にも適用することができる。すなわち、図8の説明においても述べたように、ヒータ抵抗器43の温度が常に一定(あるいは、気体流によってヒータ抵抗器43からセンサ抵抗器41,42の周囲に移動する熱量が常に一定)となる一定タイミング(具体的にはヒータ抵抗器43の駆動と同期したタイミング)で検知信号54をサンプリングするようにすれば、図7(b)に示したようなヒータ抵抗器43の温度の変動は殆ど問題とならなくなり、一定間隔ではあるが流速の絶対値およびその変化を比較的精度よく検出することができる。
【0060】
また、図7(b)に示したようにヒータ抵抗器43の温度(すなわち、気体流によってヒータ抵抗器43からセンサ抵抗器41,42の周囲に移動する熱量)が多少変動しても、その変動幅が流量の測定精度から要求される一定の許容範囲内に入るように、ヒータ抵抗器43の熱時定数をも考慮してヒータ抵抗器43の間欠駆動制御を行うようにすれば、定常流の流量(流速)の絶対値の変化を連続的あるいは極めてきめ細かく検出することができる。
【0061】
図11は本発明のフローセンサを用いてフルイディック発振周波数を検出するようにしたセンサ回路の他の実施例を表すものである。この図で、上記実施例(図4)と同一部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0062】
このセンサ回路は、差動増幅器53からの検知信号58をスイッチング制御回路74にフィードバックし、検知信号58のレベルまたは周期(または周波数)に応じてスイッチング信号73のデューティ比(周期Tに対するパルス幅Tの比)を可変制御するようにしたものである。これにより、ヒータ抵抗器43への間欠的電力供給のデューティが導圧管37内の流速、すなわちフルイディック流量計の流量に応じて変化するように自動制御が行われる。具体的には、流量の増大と共にヒータ抵抗器43への電力供給デューティを減少させるように制御が行われるようになっている。その他の回路構成は図4に示した実施例と同じである。
【0063】
図12は図11のスイッチング制御回路74の具体的回路構成例を表すものである。この回路は、差動増幅器53からの検知信号58の電圧レベルと所定の基準電圧(VTH)とを比較し、その比較結果に応じてディジタル信号“0”または“1”を出力する比較回路90と、この比較回路90からの比較結果信号に基づき、ヒータ抵抗器43への電力供給のデューティを決定するデューティ決定回路100とを備えている。そして、本回路では、検知信号58のレベルに応じてスイッチング信号73のデューティ比(周期Tに対するパルス幅Tの比)を可変制御するようにしている。
【0064】
比較回路90は、検知信号58がアノードに入力されるダイオード91およびこのダイオード91のカソードと接地との間に接続されたキャパシタ92からなる整流回路93と、ダイオード91とキャパシタ92との接続点を一方の入力端に接続し定電圧電源95を他の入力端に接続した比較器96とを備えている。比較器96は、整流回路93の出力信号94と定電圧電源95からの基準電圧(VTH)とを比較し、出力信号94がVTH未満のとき“0”、出力信号94がVTH以上のとき“1(=VCC)”の比較結果信号97を出力するようになっている。
【0065】
デューティ決定回路100は、比較結果信号97に応じてカウント方向(アップ/ダウン)を切り替えてカウントを行うアップダウンカウンタ101と、リセット信号108によってカウント値がリセットされカウントアップを開始するカウンタ102と、アップダウンカウンタ101のカウント値103とカウンタ102のカウント値104とを逐次比較し、その比較結果に応じて“0”または“1”の比較結果信号110を出力する比較器105と、比較結果信号110を反転するインバータ106と、アップダウンカウンタ101およびカウンタ102に所定の周波数(周期T)のクロック信号109を供給するクロック供給回路107とを備えている。
【0066】
以上のような構成のスイッチング制御回路74の動作を図13および図14を参照して説明する。
【0067】
フルイディック流量計を流れる気体の流量が低流量から高流量に変化すると、導圧管37内のセンサ回路(図11)によって検出されるフルイディック発振の周波数と振幅とが次第に増大し、例えば差動増幅器53からの検知信号58の波形は図13(a)のように変化する。この検知信号58は比較回路90の整流回路93で半波整流され、図13(b)に示すような波形の出力信号94として比較器96の一方の入力端に入力される。比較器96は、出力信号94と基準電圧(VTH)とを比較し、出力信号94がVTH未満のとき“0”、出力信号94がVTH以上のとき“1(=VCC)”の比較結果信号97を出力する(図13(c))。なお、整流回路93は半波整流回路でなく全波整流回路として構成してもよい。
【0068】
デューティ決定回路100のアップダウンカウンタ101は、比較結果信号97が“0”のときはカウントアップ動作を行い、比較結果信号97が“1”のときはカウントダウン動作を行う。従って、出力信号94がVTHを超えるtの時点でアップダウンカウンタ101のカウント方向がアップからダウンに切り替わる(図13(c),(d),図14(a))。一方、フルイディック流量計の気体流量が減少する場合は、フルイディック発振の周波数と振幅とが次第に減少し、出力信号94がVTHを下回った時点で、アップダウンカウンタ101のカウント方向がダウンからアップに切り替わる。
【0069】
図14(c)は、このようなアップダウンカウンタ101の動作の一例を示している。この図で、アップダウンカウンタ101のカウント値103は、クロック信号109(図14(b))の立ち上がりのタイミングで、“i−1”から“j”まで増加した後、時刻tでカウント方向が切り替わり、今度は“j”,“j−1”,……というように減少する。
【0070】
一方、カウンタ102は、リセット信号108(図14(e))の立ち下がりのタイミングでそれまでのカウント値がリセットされカウント動作を開始する。そして、クロック信号109(図14(b))の立ち上がりのタイミングで“1”,“2”,……というようにカウントアップし、これをカウント値104(図14(d))として出力する。
【0071】
比較器105は、アップダウンカウンタ101のカウント値103とカウンタ102のカウント値104とを比較し、その結果、前者が後者より大きいときは比較結果信号110として“0”を出力する一方、前者が後者より小さいときは“1”を出力する。例えば図14(c),(d)において、カウント値103が“j−2”から“j−3”へと減少すると共にカウント値104が“n”から“n+1”へと増加するタイミング(t)においてカウント値103がカウント値104を下回ったとすると、このタイミングで比較結果信号110が“0”から“1”に変化する(図14(f))。なお、この場合、n=j−3となる。
【0072】
比較結果信号110は、リセット信号108(図14(e))のタイミングで“0”レベルにリセットされると共に、インバータ106によって反転される。従って、インバータ106からは、図14(g)に示すように、パルス幅がnTのスイッチング信号73が出力される。
【0073】
この場合、クロック信号109のm個ごとにリセット信号108を与えるものとすると、リセット信号108のパルス周期はmTとなる。従って、スイッチング信号73のデューティ比はn/mとなる。
【0074】
ここに、整数nは検知信号58のレベル(振幅の大きさ)と比較器96の基準電圧VTHとの差に対応して間接的に定まるものである。すなわち、上述のように、流量変化によって検知信号58のレベルが基準電圧VTHをクロスするごとにアップダウンカウンタ101のカウント方向が切り替わるが、検知信号58のレベルが基準電圧VTHに満たないときはアップダウンカウンタ101はカウントアップを続け、その後カウントダウンとカウントアップとを交互に行いながら最終的にカウント値103は大きい値に収斂するため、nも大きい値となり、スイッチング信号73のパルス幅(T=nT)は増大する。一方、検知信号58のレベルが基準電圧VTHを超えているときは、アップダウンカウンタ101はカウントダウンを続け、その後カウントアップとカウントダウンとを交互に行いながら最終的にカウント値103は小さい値に収斂するため、nも小さい値となり、スイッチング信号73のパルス幅(T=nT)は縮小する。
【0075】
このようにして、流量の増大に伴って差動増幅器53からの検知信号58のレベル(振幅)が大きくなると、スイッチング信号73によってスイッチ62のオン期間が短くなる一方、流量の減少に伴って検知信号58のレベル(振幅)が小さくなると、スイッチ62のオン期間が長くなる。すなわち、図15に示すように、ヒータ抵抗器43への電力供給デューティ(符合111)は、流量の増大に伴って減少する形となる。従って、ヒータ抵抗器43の発生熱量(符合112)も流速の増大に伴って減少する。
【0076】
ヒータ抵抗器43の発生熱量が減少すると、フローセンサ38のセンサ抵抗器41,42の温度差の拡大が抑制される。従って、流速が増大する場合において、ヒータ抵抗器43からセンサ抵抗器41(42)への気体流による熱移動量の増大に起因するセンサ抵抗器41,42の温度差の拡大と、熱源であるヒータ抵抗器43の発生熱量の減少に起因するセンサ抵抗器41,42の温度差の縮小とが相殺するようにセンサ抵抗器41の発生熱量を制御することにより、図16に示すように、差動増幅器53からの検知信号58(符合120)は、流速にかかわらずほぼ一定レベルに保持される。具体的には、センサ出力はヒータ抵抗器43への供給電力に比例するため、センサ出力の増加率をkとした場合、ヒータ抵抗器43への供給電力のデューティは1/kとすればよい。但し、このとき、検知信号58のレベル120は、周期検出回路56によって周期(周波数)の検出が可能な程度のレベル121を超えていることが必要である。
【0077】
このように本実施例は、フルイディック流量計においては、流量はフルイディック発振に伴うセンサ出力電圧の周波数を検出するのみで求めることができ、センサ出力電圧の絶対値を検出する必要がないという特性に着目したものである。そして、図16に示すように、センサ回路の出力電圧(符合120)は、センサ抵抗器41への電力供給のデューティを制御しない場合の出力電圧122と比べると、出力電圧差123に相当する分だけ、ヒータ抵抗器43への供給電力を節約することができる。従って、フルイディック流量計を電池駆動方式で構成する場合には、特に効果が大きい。
【0078】
図17は図11におけるスイッチング制御回路74の他の回路構成例を表すものである。この回路は、図11の差動増幅器53からの検知信号58を半波整流するための整流回路130と、整流回路130の出力信号136のレベルを検出し、その検出レベルに応じた制御信号145を出力するレベル検出回路140と、このレベル検出回路140からの制御信号145に対応したパルス幅のパルス信号であるスイッチング信号73を出力するデューティ決定回路150とを備えている。そして、本回路では、検知信号58のレベルに応じてスイッチング信号73のデューティ比(周期Tに対するパルス幅Tの比)を可変制御するようにしている。
【0079】
整流回路130は、検知信号58がアノードに入力されるダイオード131、およびこのダイオード131のカソードと接地との間に接続されたキャパシタ132からなり、交流信号として入力された検知信号58を半波整流して出力するようになっている。
【0080】
レベル検出回路140は、整流回路130からの整流信号136が抵抗器141を介して入力端の一方に入力される差動増幅器(オペアンプ)142を備えている。差動増幅器142の他の入力端は、一定の基準電圧VTHを出力する定電圧電源144に接続されている。この差動増幅器53の出力端は、抵抗器143を介して、抵抗器141が接続された方の差動増幅器53の入力端に接続されている。このレベル検出回路140は、基準電圧VTHと整流信号136との差を増幅し、この差に応じたレベルの制御信号145を出力するようになっている。
【0081】
デューティ決定回路150は、抵抗器81,82およびキャパシタ83を外付け素子として有するパルス発生器84と、N型のMOS(Metal−Oxide Semiconductor) トランジスタ151およびキャパシタ86を外付け素子として有する単安定マルチバイブレータ87とを備えている。MOSトランジスタ151のゲートには、レベル検出回路140からの制御信号145が印加され、この制御信号145のレベルに応じてソース・ドレイン間抵抗値(R′)が変化するようになっている。
【0082】
以上のような構成のスイッチング制御回路74の動作を図18を参照して説明する。フルイディック流量計を流れる気体の流量が低流量から高流量に変化すると、導圧管37内のセンサ回路(図11)によって検出されるフルイディック発振の周波数と振幅とが次第に増大し、例えば、差動増幅器53からの検知信号58の波形は図18(a)のように変化する。
【0083】
この検知信号58は整流回路130で半波整流され、図18(b)に示すような波形の整流信号136となってレベル検出回路140に入力される。レベル検出回路140の差動増幅器142は、抵抗器141を介して一方の入力端に入力される整流信号136と基準電圧VTHとの差を増幅し、図18(c)に示すような制御信号145を出力する。
【0084】
レベル検出回路140からの制御信号145はデューティ決定回路150のMOSトランジスタ151のゲートに印加され、このMOSトランジスタ151のソース・ドレイン間抵抗値(R′)を制御する。具体的には、制御信号145のレベルが大きくなるとR′が減少し、制御信号145のレベルが小さくなるとR′が増大する。
【0085】
一方、パルス発生器84は、抵抗器81の抵抗値(R)、抵抗器82の抵抗値(R)、およびキャパシタ83の容量値(C)の組合せで定まる周期(T)でトリガパルス88(図18(d))を発生し、単安定マルチバイブレータ87に供給する。単安定マルチバイブレータ87は、MOSトランジスタ151のソース・ドレイン間抵抗値(R′)とキャパシタ86の容量値(C)との積によって定まるパルス幅(T)のパルス信号を生成し、これをスイッチング制御信号63(図18(e))として出力する。
【0086】
ここで、流量の増大に伴って検知信号58の振幅が増大すると、レベル検出回路140の差動増幅器142からデューティ決定回路150に入力される制御信号145のレベルも増大する。これにより、MOSトランジスタ151のソース・ドレイン間抵抗値(R′)は減少して積(R′×C)の値が減少するため、単安定マルチバイブレータ87から出力されるスイッチング信号73のパルス幅はTからT′,T″というように徐々に減少する(図18(e))。このとき、スイッチング信号63の周期(T)は一定なので、結局、ヒータ抵抗器43に供給される電力のデューティは図18(f)に示すように減少していく。この場合、センサ出力(検知信号58)はヒータ抵抗器43への供給電力に比例するため、センサ出力の増加率をkとした場合、ヒータ抵抗器43への供給電力のデューティは1/kとなるように制御される。
【0087】
このように、本実施例の回路構成によっても、図12の場合と同様に、流量増大に応じてヒータ抵抗器43への電力供給のデューティを減少させる制御を行うことができ、図12の場合と同等の効果を得ることができる。
【0088】
なお、本実施例では、検知信号58のレベルに応じてスイッチング信号73のデューティ比を可変制御するようにしているが、図12の説明においても述べたように、検知信号58の周波数に応じてスイッチング信号73のデューティ比を可変制御するようにしてもよい。この場合には、図17のレベル検出回路140の代わりに、検知信号58の周波数に応じた電圧を出力するための周波数・電圧変換回路を設け、この周波数・電圧変換回路の出力によってデューティ決定回路150のMOSトランジスタ150のソース・ドレイン間抵抗(R′)を変化させるようにすればよい。
【0089】
また、以上説明した実施例(図12,図17)では、スイッチング信号73のデューティ比を変化させる方法として、パルス周期を一定にしてパルス幅を変化させるようにしているが、これに限るものではなく、逆にパルス幅を一定にしてパルス周期を変化させるようにしたり、あるいはパルス周期およびパルス幅の双方を変化させてデューティ比を変化させるように構成することも可能である。
【0090】
図19は、本発明のフローセンサを用いてフルイディック発振周波数を検出するようにしたセンサ回路の他の実施例を表すものである。この図においても、上記実施例(図4)と同一部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0091】
このセンサ回路は、ヒータ抵抗器43への電力供給源として、図4の定電流回路61の代わりに可変電圧電源75を備えると共に、差動増幅器53からの検知信号58を可変電圧電源75にフィードバックするようにしたものである。そして、検知信号58のレベルに応じて可変電圧電源75の出力レベルを変化させることにより、ヒータ抵抗器43への電力供給のデューティを可変制御するようにしている。すなわち、導圧管37内の流速の変化(つまりフルイディック流量計の流量変化)に応じて供給電流の大きさ自体を増減させることによって、ヒータ抵抗器43への電力供給のデューティを変化させるように自動制御を行うものである。具体的には、流量の増大と共にヒータ抵抗器43への供給電流の大きさを減少させるように制御が行われるようになっている。その他の回路構成は図4に示した実施例と同じであり、スイッチング制御回路64からのスイッチング信号63によってスイッチ62をオンオフする点、および定電流回路65によってブリッジ回路50への電流供給を常時行う点も同様である。
【0092】
図20は図19の可変電圧電源75の回路構成例を表すものである。この回路は、交流信号である検知信号58を半波整流するための整流回路160と、整流回路160から出力される整流信号163を平滑化するためのフィルタ回路170と、このフィルタ回路170から出力される平滑出力信号174のレベルに応じた大きさのヒータ駆動電圧186を出力するヒータ電圧設定回路180とを備えている。
【0093】
整流回路160は、検知信号58がアノードに入力されるダイオード161と、このダイオード161のカソードと接地との間に接続されたキャパシタ162とを備え、検知信号58を半波整流して出力するようになっている。
【0094】
フィルタ回路170は、出力端を負入力端に帰還接続した差動増幅器(オペアンプ)171と、この差動増幅器171の出力端に接続された抵抗器172と、この抵抗器172の他端と接地との間に挿入接続されたキャパシタ173とを備えている。差動増幅器171の正入力端は、整流回路160のダイオード161とキャパシタ162との接続点に接続され、抵抗器172とキャパシタ173との接続点はヒータ電圧設定回路180に接続されている。そして、フィルタ回路170は、整流回路160からの整流信号163を平滑化し、平滑出力信号174を出力するようになっている。
【0095】
ヒータ電圧設定回路180は、出力端を抵抗器183を介して負入力端に帰還接続した差動増幅器(オペアンプ)182と、この差動増幅器182の負入力端とフィルタ回路170の抵抗器172およびキャパシタ172の接続点との間にに接続された抵抗器181と、電源VCCと接地との間に直列接続され、その接続点から所定の基準電圧VTHを出力する分圧抵抗器184,185とを備えている。差動増幅器182の正入力端は分圧抵抗器184,185の接続点に接続され、基準電圧VTHが入力されるようになっている。そして、ヒータ電圧設定回路180は、フィルタ回路170から入力される平滑化信号174と基準電圧VTHとの差を反転増幅し、この差に応じたヒータ駆動電圧186を出力するようになっている。
【0096】
以上のような構成の可変電圧電源75(図20)およびこれを含むセンサ回路(図19)の動作を、図21を参照して説明する。
【0097】
フルイディック流量計を流れる気体の流量が低流量から高流量に変化すると、導圧管37内のセンサ回路(図19)によって検出されるフルイディック発振の周波数と振幅とが次第に増大し、例えば、差動増幅器53からの検知信号58の波形は図21(a)のように変化する。
【0098】
この検知信号58は整流回路160で半波整流され、図21(b)に示すような波形の整流信号163となってフィルタ回路170に入力される。フィルタ回路170では、整流信号163の平滑化が行われ、図21(c)に示すような平滑化信号174が出力される。差動増幅器182は、平滑化信号174と基準電圧VTHとの差を反転増幅し、この差に応じたヒータ駆動電圧186(図21(d))を出力する。一方、センサ回路(図19)のスイッチ62は、図4の場合と同様に、スイッチング制御回路64からのスイッチング信号63によって一定のデューティ比(周期T,パルス幅T)でオンオフする。従って、ヒータ抵抗器43には、図21(e)に示すように、一定周期(T)ごとに一定期間(T)だけ電流が流れると共に、その電流値は、流量の増大に伴ってIからI′,I″というように徐々に減少していくこととなる。
【0099】
このように本実施例によれば、流量の増大に伴ってヒータ抵抗器43への供給電流の大きさ自体が減少し、図15に示したように、電流供給デューティ(符合111)が減少する。このため、ヒータ抵抗器43の発生熱量112も流量の増大に伴って減少する。従って、センサ出力の増加率kに対してヒータ抵抗器43への供給電力のデューティを1/kとすれば、上記実施例(図11)において間欠的ヒータ駆動によって電力供給デューティを変化させた場合と同様に、ヒータ抵抗器43の発生熱量の減少に伴ってセンサ抵抗器41,42の温度差の拡大が抑制され、差動増幅器53からの検知信号58のレベル(図16の符合120)は、流速にかかわらずほぼ一定レベルに保持される。但し、この場合も、検知信号58のレベル120は周期検出回路56によって周期(周波数)の検出が可能な程度のレベル121(図16)を超えていることが必要であることは同様である。
【0100】
このように、本実施例においても、図16の出力電圧差123に相当するだけのヒータ抵抗器43への供給電力を節約することができる。
【0101】
なお、本実施例では、スイッチ63のオン周期(T)とオン期間(T)とを一定にしてヒータ間欠駆動の時間的デューティ比は一定とすることとしたが、これに限るものではなく、ヒータ間欠駆動の時間的デューティ制御と供給電流値自体を変化させる電流制御とを併用することも可能である。この場合には、図19のスイッチング制御回路64の代わりに図11のスイッチング制御回路74(具体的には図12または図17の回路構成)を用い、これに差動増幅器53からの検知信号58をフィードバックするように構成すればよい。
【0102】
また、本実施例では、検知信号58のレベルに応じてヒータ抵抗器43への供給電流の大きさを制御するようにしているが、図12の説明においても述べたように、検知信号58の周波数に応じて供給電流の大きさを制御するようにしてもよい。この場合には、図20の整流回路160およびフィルタ回路170の代わりに、検知信号58の周波数に応じた電圧を出力するための周波数・電圧変換回路を設け、この周波数・電圧変換回路の出力をヒータ電圧設定回路180に入力するように構成すればよい。
【0103】
なお、センサ出力に応じた電力供給デューティの制御を行う場合(図11および図19)には、以下の点に留意する必要がある。すなわち、本センサは熱を発生させて流体の流速変化による熱の変化を計測するアクティブセンサである。従って、計測対象となる流体の流速に応じて最適な熱を発生させることが重要である。例えば、ヒータ抵抗器43からの発熱が比較的大きく、センサ抵抗器41,42との熱結合が比較的強い場合において、流速が微小なときには、ヒータ抵抗器43からセンサ抵抗器41,42への伝熱による熱移動に比べて流体の流れによる熱移動が少ないため、センサ抵抗器41,42間の温度差が小さくなり、最適な計測が困難となる。一方、ヒータ抵抗器43からの発熱が比較的小さく、センサ抵抗器41,42との熱結合が比較的弱い場合においては、微小な流速変化に対してもセンサ抵抗器41,42間の温度差が十分とれ、計測が可能となる。このように、ヒータ抵抗器43とセンサ抵抗器41,42との熱結合の程度を最適化することが極めて重要であり、この点を考慮してヒータ抵抗器43への電力供給デューティを決定する必要がある。
【0104】
以上説明した各実施例では、ヒータ抵抗器43やブリッジ回路50の駆動電源(図19の可変電圧電源75を除く)を電流源として説明したが、これを電圧源としても同様である。また、2つのセンサ抵抗器41,42をそれぞれヒータ抵抗器43の両側に配置する構成としたが、これに限るものではなく、1つのセンサ抵抗器41のみを流れ方向に沿ってヒータ抵抗器53の近傍に配置するようにしてもよい。この場合には、例えば図4において、センサ抵抗器42の代わりに基準抵抗器51,52と同じ抵抗値を有する別の基準抵抗器を設け、これらの4つの抵抗器によってブリッジ回路50を構成するようにすればよい。但し、このような構成とした場合には、点aと点bとの電位差は、2つのセンサ抵抗器41,42を用いる場合に比べて小さくなるため、センサ回路としての感度は低下する。従って、感度をより重視する場合には、2つのセンサ抵抗器41,42を用いる方式が好ましい。
【0105】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1またはこれを引用する請求項13記載の熱式流速センサによれば、ヒータ制御手段によって、流速を認識可能な最低限の検知信号をセンサ回路から出力させるのに必要な最低限の熱量をヒータが放出できるようにしたので、連続的な測定を可能にしながら消費電力を低減することができる。従って、電池駆動方式でセンサを構成する場合には、特に有効である。
【0106】
特に、請求項2または請求項10またはこれらを引用する請求項13記載の熱式流速センサによれば、ヒータ制御手段によってヒータに供給される間欠的な電力の供給周期を、ヒータの熱時定数の2倍以下としたので、電力供給が間欠的であるにもかかわらず、ヒータ温度をほぼ一定に保持することができる。
【0107】
また、請求項3ないし請求項5のいずれか、またはこれらを引用する請求項13に記載の熱式流速センサによれば、更に、センサ回路の測温用抵抗器への電流供給をも間欠的に行うようにしたので、上記第1の効果に加え、消費電力をより一層低減することができるという効果がある。
【0108】
また、請求項6ないし請求項12のいずれか、またはこれらを引用する請求項13に記載の熱式流速センサによれば、ヒータ制御手段によって、センサ回路の検知信号に応じて、流速を認識可能な最低限の検知信号をセンサ回路から出力させるのに必要な最低限の熱量をヒータが放出できるようにしたので、上記第1の効果に加え、フルイディック流量計においてフルイディック発振を検出するセンサとして用いた場合に、流量に応じてヒータの放出熱量(ひいては測温用抵抗器の温度)を最適化することができ、消費電力をより一層低減することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る熱式流速センサを備えたフルイディック流量計の断面図である。
【図2】図1における導圧孔および熱式流速センサを含む断面を拡大して表す断面図である。
【図3】図2の導圧管を本体の底部と平行な面で切った状態を表す断面図である。
【図4】図3のフローセンサを用いてフルイディック発振周波数を検出するようにしたセンサ回路の要部構成を表す回路図である。
【図5】図4のスイッチング制御回路の構成を表す回路図である。
【図6】スイッチング制御回路およびヒータ抵抗器の動作を表すタイミング図である。
【図7】図4のセンサ回路の動作を表す信号波形図である。
【図8】図3のフローセンサを用いてフルイディック発振周波数を検出するようにしたセンサ回路の他の実施例を表す回路図である。
【図9】図8のセンサ回路の動作を表す信号波形図である。
【図10】図3のフローセンサを用いてフルイディック発振周波数を検出するようにしたセンサ回路の他の実施例を表す回路図である。
【図11】図3のフローセンサを用いてフルイディック発振周波数を検出するようにしたセンサ回路の他の実施例を表す回路図である。
【図12】図11のスイッチング制御回路の回路構成例を表す回路図である。
【図13】図12のスイッチング制御回路の動作を説明するためのタイミング図である。
【図14】図12のスイッチング制御回路の動作を説明するためのタイミング図である。
【図15】本発明の熱式流速センサを用いたフルイディック流量計における流量と電力供給デューティおよびヒータ発生熱量との関係を示す説明図である。
【図16】フルイディック流量計における流量とセンサ出力電圧との関係を示す説明図である。
【図17】図11のスイッチング制御回路の他の回路構成例を表す回路図である。
【図18】図17のスイッチング制御回路の動作を説明するためのタイミング図である。
【図19】図3のフローセンサを用いてフルイディック発振周波数を検出するようにしたセンサ回路の他の実施例を表す回路図である。
【図20】図19の可変電圧電源の回路構成を表す回路図である。
【図21】図20の可変電圧電源およびヒータ抵抗器の動作を説明するための信号波形図である。
【図22】従来のフローセンサを用いてフルイディック発振周波数を検出するようにしたセンサ回路の要部構成を表す回路図である。
【図23】図22のセンサ回路の動作を示す説明図である。
【図24】図22のセンサ回路の動作特性を示す説明図である。
【符号の説明】
10 本体
11 入口部
12 出口部
21 ノズル部
33,34 導圧孔
37 導圧管
38 フローセンサ
41,42 センサ抵抗器
43 ヒータ抵抗
50 ブリッジ回路
53 差動増幅器
54,58 検知信号
55 サンプルホールド回路
56 周期検出回路
61,65 定電流回路
62,66 スイッチ
63,73 スイッチング信号
64,74 スイッチング制御回路
69 キャパシタ
75 可変電圧電源
84 パルス発生器
87 単安定マルチバイブレータ
90 比較回路
93,130,160 整流回路
96 比較器
100,150 デューティ決定回路
101 アップダウンカウンタ
102 カウンタ
105 比較器
140 レベル検出回路
142,171,182 差動増幅器
151 MOSトランジスタ
170 フィルタ回路
180 ヒータ電圧設定回路
186 ヒータ駆動電圧

Claims (14)

  1. 電力の供給を受けて熱を放出するヒータと、
    このヒータの近傍に設けられると共に温度に応じて抵抗値が変化する測温用抵抗器を有し、前記ヒータから放出された熱の流体による移動によって生じた前記測温用抵抗器の抵抗値の変化に基づいて、流体の流速に応じた検知信号を出力するセンサ回路と、
    前記ヒータの熱時定数を考慮して、流速を認識可能な最低限の検知信号を前記センサ回路から出力させるのに必要な最低限の熱量を前記ヒータが継続的に放出できるように、前記ヒータに対して間欠的に電力を供給するヒータ制御手段と
    を備えたことを特徴とする熱式流速センサ。
  2. 前記ヒータ制御手段によって前記ヒータに供給される間欠的な電力の供給周期は、前記ヒータの熱時定数の2倍以下であることを特徴とする請求項1記載の熱式流速センサ。
  3. 前記センサ回路の測温用抵抗器に間欠的に電流を供給するセンサ回路制御手段を更に備えたことを特徴とする請求項1または2記載の熱式流速センサ。
  4. 前記センサ回路制御手段は、前記ヒータ制御手段による前記ヒータに対する間欠的な電力供給に同期して前記測温用抵抗器に電流を供給することを特徴とする請求項3記載の熱式流速センサ。
  5. 前記センサ回路制御手段による電流供給時に電力を蓄積し、この蓄積した電力を用いて、前記センサ回路制御手段による電流非供給時に前記測温用抵抗器に電流を供給する電力蓄積手段を更に備えたことを特徴とする請求項3または4記載の熱式流速センサ。
  6. フルイディック流量計においてフルイディック発振に伴って流速の変化する流路に設けられ、フルイディック発振を検出するために流速を検出する熱式流速センサであって、
    電力の供給を受けて熱を放出するヒータと、
    このヒータの近傍に設けられると共に温度に応じて抵抗値が変化する測温用抵抗器を有し、前記ヒータから放出された熱の流体による移動によって生じた前記測温用抵抗器の抵抗値の変化に基づいて、流体の流速に応じた検知信号を出力するセンサ回路と、
    前記ヒータの熱時定数を考慮して、流速を認識可能な最低限の検知信号を前記センサ回路から出力させるのに必要な最低限の熱量を前記ヒータが継続的に放出できるように、前記ヒータに対して間欠的に電力を供給するヒータ制御手段と
    を備えたことを特徴とする熱式流速センサ。
  7. 前記ヒータ制御手段は、前記センサ回路の検知信号に応じて前記ヒータに供給する電力を制御することを特徴とする請求項6記載の熱式流速センサ。
  8. 前記ヒータ制御手段は、前記センサ回路の検知信号に応じて電力供給のデューティを変化させることによって前記ヒータに供給する電力を制御することを特徴とする請求項6記載の熱式流速センサ。
  9. 前記ヒータ制御手段は、電力供給の周期を一定とする一方、電力供給時間の長さを変えることによって電力供給のデューティを変化させることを特徴とする請求項7記載の熱式流速センサ。
  10. 前記ヒータ制御手段は、前記センサ回路の検知信号に応じて前記ヒータに印加する電圧を変化させることによって前記ヒータに供給する電力を制御することを特徴とする請求項6記載の熱式流速センサ。
  11. 前記ヒータ制御手段によって前記ヒータに供給される間欠的な電力の供給周期は、前記ヒータの熱時定数の2倍以下であることを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1に記載の熱式流速センサ。
  12. 前記ヒータ制御手段は、前記センサ回路の検知信号のレベルに応じて前記ヒータに供給する電力を制御することを特徴とする請求項6記載の熱式流速センサ。
  13. 前記ヒータ制御手段は、前記センサ回路の検知信号の周波数または周期に応じて前記ヒータに供給する電力を制御することを特徴とする請求項6記載の熱式流速センサ。
  14. 前記測温用抵抗器は、前記ヒータの両側に1つずつ設けられていることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1に記載の熱式流速センサ。
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