JP3565995B2 - 使い捨ておむつ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、腰部保持部材を具備する展開型の使い捨ておむつに関し、更に詳しくは、装着中におむつがずり落ちることがなく、フィット性に優れ、また着用者の肌を傷つけるおそれもなく、更に装着操作性にも優れた使い捨ておむつに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明の解決しようとする課題】
従来より、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、両シート間に介在された液保持性の吸収体とを具備してなり、腹側部又は背側部の少なくとも何れか一方における左右両側に一対の腰部保持部材が配されている展開型の使い捨ておむつは、広く用いられている。
【0003】
このような使い捨ておむつの具体例としては、図4に示す使い捨ておむつ等が挙げられる。
図4に示す従来の使い捨ておむつ101は、液透過性のトップシート102と、液不透過性のバックシート103と、両シート間に介在された液保持性の吸収体104とを具備してなり、背側部B’の左右両側に一対の腰部保持部材110、110’が配されている。また、該腰部保持部材110、110’は、その一方110の先端部に且つトップシート102側に該腰部保持部材110、110’止着用の機械的ファスナーの凸部材からなる止着部材111が配されており、また、腹側部A’の左右両側縁部におけるトップシート102側に機械的ファスナーの凸部材からなるおむつ止着用のおむつ止着部材120が配されている。
そして、このような使い捨ておむつは、一方の上記腰部保持部材110の先端部に設けられている上記止着部材111を他方の腰部保持部材110’のバックシート側に当接させて腰部保持部材110、110’の止着を行い、更に止着された腰部保持部材110、110’のバックシート側に、上記おむつ止着部材120を当接させておむつの止着を行うことにより、おむつの装着を行っていた。
【0004】
しかし、このような従来の使い捨ておむつにおいては、上記腰部保持部材がその一部に設けられた止着部材によって止着されていただけであったため、装着中に腰部保持部材の係合が弱まり、おむつ自体がずり落ちてしまうという問題があった。
また、止着部材111は、腰部保持部材110、110’の何れか一方のトップシート側のみに配されていたため、装着操作性に劣るという問題もあった。
また、止着部材111を両方に設けると止着されない止着部材により、着用者の肌を傷つけるという問題もあった。
尚、本明細書において「装着者」とは、装着操作を行う者、例えば、母親、介護者を意味し、「着用者」とは、おむつを着用し使用する者、例えば、乳幼児、老人等を意味する。また、「装着者」と「着用者」とが同一人である場合もある。
【0005】
従って、本発明の目的は、装着中におむつのずり落ちがない、フィット性に優れ、また着用者の肌を傷つけるおそれもなく、更には装着操作性に優れた使い捨ておむつを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解消すべく鋭意検討した結果、開口部を有する腰部保持部材を具備する使い捨ておむつが上記目的を達成しうることを知見した。
【0007】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、両シート間に介在された液保持性の吸収体とを具備してなり、腹側部又は背側部の何れか一方における左右両側に一対の腰部保持部材が配されており、少なくとも一方の該腰部保持部材は、該腰部保持部材を再止着可能に止着する腰部保持部材止着部を有しており、更に該腰部保持部材の設けられている側と対向する側の左右両側部に、おむつ止着部が設けられている、展開型の使い捨ておむつにおいて、一方の上記腰部保持部材には、他方の上記腰部保持部材を貫通させるようになされた直線状の開口部が、その長手方向を該腰部保持部材の巾方向に向けて設けられていることを特徴とする使い捨ておむつを提供するものである。
【0008】
また、本発明は、上記腰部保持部材止着部は、両方の上記腰部保持部材における先端部に設けられている上記使い捨ておむつを提供するものである。
また、本発明は、他方の上記腰部保持部材は、その巾が、先端部から基端部まで上記開口部の長さよりも狭くなされている上記使い捨ておむつを提供するものである。
また、本発明は、一対の上記腰部保持部材は、その少なくとも一方が伸縮性を有する上記使い捨ておむつを提供するものである。
また、本発明は、腹側のウエスト部又は背側のウエスト部は、その少なくとも一部が伸縮性を有する上記使い捨ておむつを提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の使い捨ておむつの一形態について図面を参照して詳細に説明する。
ここで、図1は、本発明の使い捨ておむつの一形態を示す斜視図であり、図2は、図1に示す形態の使い捨ておむつを装着する途中の態様を示す斜視図であり、図3は、組あがった使い捨ておむつを示す斜視図である。
【0010】
図1に示す形態の使い捨ておむつ1は、液透過性のトップシート2と、液不透過性のバックシート3と、両シート間に介在された液保持性の吸収体4とを具備してなり、背側部Bの左右両側に一対の腰部保持部材10、10’が配されており、両方の該腰部保持部材10、10’は、そのトップシート2側に、相互に、再止着可能に止着する腰部保持部材止着部11、11’を有しており、更に該腰部保持部材10、10’の設けられている側(即ち、背側部B)と対向する側(即ち、腹側部A)の左右両側部に、おむつ止着部20が設けられている、展開型の使い捨ておむつである。
【0011】
更に詳細に説明すると、本形態の使い捨ておむつ1は、図1に示すように、吸収体4が股下領域が縊れた砂時計状に湾曲形成され、トップシート2及びバックシート3も吸収体4の形状に即して股下領域が上述の如く湾曲形成されており、該吸収体4は、トップシート2及びバックシート3により挟持・固定されている。
また、上記表面シート2上には、防漏シート8aをおむつの外方側に固定して形成された、おむつの内方側に自由端8bを有する立体ガード8が配されている。
また、上記吸収体4の周縁部におけるウエスト部5とレッグ部6とには、おむつを着用した際に、着用者にウエスト部5とレッグ部6とをフィットさせるためのウエスト部弾性伸縮部材7a,レッグ部弾性伸縮部材7bがトップシート2とバックシート3とにより挟持・固定されて設けられている。即ち、腹側及び背側のウエスト部5は、その一部(中央部分)が伸縮性を有するようになされている。
また、上記自由端8bには、立体ガード弾性伸縮部材7cが設けられている。
このような構成は、従来の展開型の使い捨ておむつと同じである。
【0012】
次に、上記使い捨ておむつ1を構成する各部材の形成材料について説明する。上記トップシート2としては、排泄物を吸収体へ透過させる液透過性シートで肌着に近い感触を有したものが好ましく、このような液透過性シートとしては、例えば、織布、不織布、多孔性フィルム等が好ましく挙げられる。また、トップシート2の周縁にシリコン系油剤、パラフィンワックス等の疎水性化合物を塗布する方法や、予めアルキルリン酸エステルのような親水性化合物を全体に塗布し、周縁を温水で洗浄する方法により、撥水処理を施し、周縁における尿等の滲みによる漏れを防止することができる。
本形態においては、後述するように不織布が用いられている。
【0013】
また、上記バックシート3としては、熱可塑性樹脂にフィラーを加えて延伸した液不透過性かつ蒸気透過性のフィルムシート、不織布などの繊維集合体、又はこれらの積層シート等が用いられるが、本形態においては、不織布又は表面に不織布が位置する積層シートが用いられている。
【0014】
また、上記吸収体4としては、解繊パルプを主材とした高分子吸水ポリマーを併用したものが好ましい。該高分子吸水ポリマーは、上記吸収体の上層、中層、下層のいずれに存在させてもよく、また、パルプと混合したものであってもよい。また、該高分子吸水ポリマーは自重の20倍以上の液体を吸収して保持し得る保持性能を有し、ゲル化する性質を有する粒子状のものが好ましく、このような高分子吸水ポリマーとしては、例えば、デンプン−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、デンプン−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物、アクリル酸(塩)重合体などが好ましく挙げられる。
【0015】
上記立体ガード8を形成する上記防漏シート8aとしては、通常公知のものを特に制限なく用いることができるが、疎水性不織布や撥水処理された不織布などが好ましく用いられる。
【0016】
また、上記ウエスト部弾性伸縮部材7a,上記レッグ部弾性伸縮部材7b及び上記立体ガード弾性伸縮部材7cとしては、糸ゴム、平ゴム、フィルムタイプの弾性材あるいはフィルム状の発泡ポリウレタン等が好ましく挙げられ、50%伸長時の応力が40〜150グラムのものが好ましい。
【0017】
また、上記腰部保持部材止着部11、11’及びおむつ止着部20は、面ファスナーの凸部材により形成されている。該凸部材としては、「マジックテープ」(登録商標、クラレ社製)、「クイックロン」(登録商標、YKK社製)、「マジクロス」(登録商標、カネボウベルタッチ社製)等、鍵状やキノコ形状などの凸状の係合部材が多数付設されてなるシート等の公知の(市販の)面ファスナーの凸部材を特に制限なく用いることができる。
【0018】
また、一対の上記腰部保持部材10、10’は、両方とも伸縮性の部材により形成されており、伸縮性を有する。このため、上記腰部保持部材止着部11、11’が設けられていない部分において、該腰部保持部材10、10’の長手方向(おむつの周方向)に伸縮可能になされており、これにより更にフィット性が向上されている。
この際用いられる上記の伸縮性の部材としては、上記腰部保持部材止着部11、11’を形成する上記凸部材と係合可能であって伸縮性を有する公知の不織布、またはフィルムタイプの弾性材や糸ゴム、平ゴム等を不織布で挟み込んだもの等が特に制限なく用いられる。
【0019】
而して、本形態の使い捨ておむつ1においては、図1に示すように、一方の上記腰部保持部材10には、他方の上記腰部保持部材10’を貫通させるようになされた直線状の開口部12が、その長手方向を該腰部保持部材の長手方向に向けて設けられている。
ここで、上記「直線状」とは、後述するようにある程度の巾を有していてもよいものである。
【0020】
更に詳述すると、上記腰部保持部材止着部11、11’は、両方の上記腰部保持部材10、10’の先端部13、13’に設けられており、上記開口部12は、該腰部保持部材止着部11側に設けられている。
また、他方の上記腰部保持部材10’は、その巾W1 が、先端部13’から基端部14’まで上記開口部12の長さL1 よりも狭くなされている。即ち、他方の該腰部保持部材10’は、その巾が先端部13’から基端部14’までほぼ一定であり、この巾が上記開口部12の長さよりも狭くなされている。
【0021】
また、一方の上記腰部保持部材10は、先端部13から基端部14にかけて巾が狭くなるようになされている。
上記開口部12の長さL1 は、10〜200mmであるのが好ましく、その巾W2 は特に制限されないが、5〜100mmであるのが好ましい。そして、該開口部12の先端から上記腰部保持部材の側縁までの長さL2 (基端から側縁までの長さと同じ)は、5〜50mmであるのが好ましい。
また、上記の他方の腰部保持部材10’の巾W1 は、20〜300mmであるのが好ましい。
【0022】
次に、図2及び3を参照して本形態の使い捨ておむつの使用の態様について説明する。
先ず、本形態の使い捨ておむつ1を使用するには、図2に示すように、一方の腰部保持部材10の開口部12に、他方の腰部保持部材10’を貫通させて、一方の腰部保持部材10のバックシート3側に他方の腰部保持部材10’の腰部保持部材止着部11’を係合させると共に一方の腰部保持部材10の腰部保持部材止着部11を他方の腰部保持部材10’のバックシート3側に係合させる。これにより、先ず腰部保持部材10、10’の止着を行う。
次いで、上記おむつ止着部20を上記腰部保持部材10、10’に係合させて、おむつを止着し、おむつを使用する。
尚、このような使用法は、着用者が寝た状態でも又立った状態でも可能である。
【0023】
本形態の使い捨ておむつ1は、上記開口部12を有しているため、上記腰部保持部材10、10’をベルト状に使用しておむつの装着を行うことができ、この腰部保持部材10、10’が着用者の肌に密着してフィット性が向上する。このため、おむつが着用中にずり落ちることがない。
また、上述の如く構成されているため、開口部を有しない腰部保持部材10’上の止着部11’が、着用者の肌に当たることが無く、着用者の肌を傷つけることがない。
【0024】
また、本形態の使い捨ておむつ1は、常法に従って上記トップシート2、上記吸収体4及び上記バックシート3を重ね合わせ、更に上記防漏シート8aを所定位置に配して上記立体ガード8を形成した後、上記腰部保持部材を所定位置に配することにより、容易に製造することができる。
【0025】
尚、本発明の使い捨ておむつは、上述した形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
例えば、上記腰部保持部材止着部11、11’は、何れか一方の腰部保持部材10、10’に設けてもよい。
また、上記腰部保持部材10、10’は、腹側部Aに設けることもできる。
また、上記腰部保持部材10、10’は、その一部に伸縮部を設けることにより、伸縮性を賦与する形態とすることもできる。従って、この場合には伸縮性の部材を用いる必要はない。
また、上記開口部12は、単なるスリットとしてもよい。
また、上記腰部保持部材止着部11、11’及び上記おむつ止着部20は、上記凸部材でなく通常のホットメルト接着剤などにより形成してもよい。
【0026】
また開口部12は、上記腰部保持部材10、10’の両方に設けることができ、この場合には、腰部保持部材を左右どちらからでも止着することができるため、装着操作性に優れる。
【0027】
【発明の効果】
本発明の使い捨ておむつは、装着者の誤操作などによって着用者の肌を傷つけるおそれがなく、装着操作性に優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の使い捨ておむつの一形態を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す形態の使い捨ておむつを装着する途中の態様を示す斜視図である。
【図3】図3は、組あがった使い捨ておむつを示す斜視図である。
【図4】図4は、従来の使い捨ておむつを示す平面図である。
【符号の説明】
1 使い捨ておむつ
2 トップシート
3 バックシート
4 吸収体
5 ウエスト部
6 レッグ部
7a ウエスト部弾性伸縮部材
7b レッグ部弾性伸縮部材
7c 立体ガード弾性伸縮部材
8 立体ガード
10、10’ 腰部保持部材
11、11’ 腰部保持部材止着部
12 開口部
13 先端部
14 基端部
20 おむつ止着部
A 腹側部
B 背側部
Claims (5)
- 液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、両シート間に介在された液保持性の吸収体とを具備してなり、腹側部又は背側部の何れか一方における左右両側に一対の腰部保持部材が配されており、少なくとも一方の該腰部保持部材は、該腰部保持部材を再止着可能に止着する腰部保持部材止着部を有しており、更に該腰部保持部材の設けられている側と対向する側の左右両側部に、おむつ止着部が設けられている、展開型の使い捨ておむつにおいて、
一方の上記腰部保持部材には、他方の上記腰部保持部材を貫通させるようになされた直線状の開口部が、その長手方向を該腰部保持部材の巾方向に向けて設けられていることを特徴とする使い捨ておむつ。 - 上記腰部保持部材止着部は、両方の上記腰部保持部材における先端部に設けられていることを特徴とする請求項1記載の使い捨ておむつ。
- 他方の上記腰部保持部材は、その巾が、先端部から基端部まで上記開口部の長さよりも狭くなされていることを特徴とする請求項1記載の使い捨ておむつ。
- 一対の上記腰部保持部材は、その少なくとも一方が伸縮性を有することを特徴とする請求項1記載の使い捨ておむつ。
- 腹側のウエスト部又は背側のウエスト部は、その少なくとも一部が伸縮性を有することを特徴とする請求項1記載の使い捨ておむつ。
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