JP3565888B2 - ウォータポンプ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、内燃機関冷却用の水を圧送する自動車用のウォ−タポンプ、特に軸受の長寿命化を図り且つ軸受のシ−ルの密封性も緩和することの出来るウォ−タポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の水冷式内燃機関では、内燃機関より取り出した動力を利用して冷却水を強制的に圧送し循環させるためウォ−タポンプが用いられる。このようなウォ−タポンプでは軸受からのグリ−スの漏洩や軸受部分への水分の侵入を防止するための密封構造が極めて重要となる。
【0003】
従来のウォ−タポンプの密封シ−ル構造には、回転軸を支承する軸受部と冷却水を圧送するインペラとの間に水シ−ルを配置し、更にこれら軸受部と水シ−ルとの間に水落とし穴を設けたもの(実開昭51−89301号)、軸受部と冷却水を圧送するインペラとの間にメカニカルシ−ルを配置し、更にこれら軸受部とメカニカルシ−ルとの間の回転軸に鍔を形成すると共に別個のシ−ル部材を配置したもの(実公昭54−43361号)、軸受部とインペラとの間にシ−ル部材を配置し、更に冷却水を遮断するためこれら軸受部とシ−ル部際との間にシ−ルフランジを設けたもの(実開昭58−119665号)、軸受部とベ−ンとの間のシ−ル構造をより一層水漏れしないような構造としたもの(実開昭59−117899号)、或いはまた軸受部とインペラとの間にシ−ルを設け、これら軸受部とシ−ルとの間に水切板とケ−ス内側にグリ−ス溜用の凹所を設けたもの(実開昭61−51497号)等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記するように自動車用のウォ−タポンプは、回転軸の支持部(軸受部)とインペラとメカニカルシ−ル等は分離された構造となっており、これらの間にグリ−スの漏洩防止や水の軸受部への侵入防止の工夫がなされている。
しかしながらウォ−タポンプはその構造上内燃機関の近傍に設置され、熱や振動等の影響によるメカニカルシ−ルの摩耗等は避けられず軸受の短寿命化、即ちウォ−タポンプの寿命低下を生じることがある。また、その構造上軸方向に長くなり比較的大きなスペ−スを必要としている。この発明はかかる課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、軸受部への水の侵入を完全に防止すると共に大きなスペ−スを必要とせず容量もコンパクト化することの出来るウォ−タポンプを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、この発明は上記する課題を解決するために、請求項1に記載のウォ−タポンプは、冷却水の流れるハウジングに底部を有する筒部を形成し、該筒部の内部に、一方の端部に筒部外に位置するインペラを取付け且つ該インペラ片側に、中央部に磁性材料で製作した受動ロ−タを固定した回転軸を配置し、前記受動ロ−タの両側の前記筒部と回転軸間に動圧軸受を配置し、前記ハウジングの筒部の外周にプーリ内径側に2つの転がり軸受を配置して該プーリを支持し、該プ−リの内径側の2つの転がり軸受の間に円周方向にN極とS極とを交互に配列した磁石を前記受動ロ−タに対応するように配置してなることを特徴とするものである。
【0006】
また、請求項2に記載のウォータポンプは、冷却水の流れるハウジングに底部を有する筒部を形成し、該筒部の内部に、一方の端部に筒部外に位置するインペラを取付け且つ該インペラ片側の筒部内の中央部に受動ロ−タを固定した回転軸を配置し、前記受動ロ−タの両側の前記筒部と回転軸間に動圧軸受を配置し、前記ハウジングの筒部の外周にプーリ内径側に2つの転がり軸受を配置して該プーリを支持し、前記受動ロ−タ自体もしくはその外径部を円周方向にN極とS極とを交互に配置した磁石とし、前記プ−リの内径側の2つの転がり軸受の間にリング状磁性体を前記受動ロ−タに対応するよう配置してなることを特徴とするものである。
【0008】
更に、請求項3に記載のウォータポンプは、冷却水の流れるハウジングに底部を有する筒部を形成し、該筒部の内部に、一方の端部に筒部外に位置するインペラを取付け且つ該インペラ片側の筒部内の中央部に受動ロ−タを固定した回転軸を配置し、前記受動ロ−タの両側の前記筒部と回転軸間に動圧軸受を配置し、前記ハウジングの筒部の外周にプーリ内径側に2つの転がり軸受を配置して該プーリを支持し、前記受動ロ−タ自体もしくはその外径部を円周方向にN極とS極とを交互に配置した磁石とし、前記プ−リの内径側の2つの転がり軸受の間に円周方向にN極とS極とを交互に配列した磁石を前記受動ロ−タの磁石に対応するよう配置してなることを特徴とするものである。
【0009】
或いは、請求項4に記載のウォータポンプは、上記請求項1乃至請求項3において、ハウジングの底部と回転軸の端面間に動圧軸受もしくはピボット軸受を配置してなることを特徴とするものである。
【0010】
【作用】
ウォ−タポンプを上記手段とした場合の作用について添付図(図1及び図2)とその符号を用いて説明する。
請求項1によれば、内燃機関より取り出した動力を利用してベルト9によりプ−リ7を回転駆動すると、該プ−リ7に嵌め込んだ磁石8の磁力によりハウジング1内の受動ロ−タ4が回転すると同時に該受動ロ−タ4と一体にした回転軸3が回転してインペラ2を回転させて冷却水を圧送する(請求項2及び請求項3も同様)。そして請求項4によれば、回転軸3は動圧軸受5及び6により動圧支持されると共に側面も動圧軸受支持或いはピボット軸受支持される。また、いずれの場合も、プ−リ7を支持する転がり軸受10及び11は、ハウジング1により冷却水と遮断されているので、冷却水による浸水を考慮する必要がない。
【0011】
【実施例】
以下、この発明の具体的実施例について図面を参照して説明する。
図1はこの発明のウォ−タポンプの軸方向断面図である。ハウジング1には底部1bを有する筒部1aを形成し、該筒部1aには一方の端部に筒部1a外に位置するインペラ2を取付けた回転軸3を配置する。該回転軸3の中央部には磁性材料(鉄、ニッケル、コバルト等)で製作した受動ロ−タ4を固定して装着すると共に該受動ロ−タ4の両側には所定の間隔を開けて動圧軸受5及び6をハウジング1の筒部1aに固定する。
【0012】
前記ハウジング1の筒部1aの外周には転がり軸受10及び11を介してベルト9を巻き掛けたプ−リ7が取付けられる。更に、該プ−リ7の内径側中央にはリング8が嵌め込まれるが、該リング8は円周方向にN極とS極とを交互に配列したリング状の磁石としてある。このように該磁石製リング8と前記受動ロ−タ4とはハウジング1の筒部1aを隔てて対応して配置させた磁気カップリングとするが、軸方向幅の中心線はなるべく一致させるように配置する。尚、リング8は完全なリング状磁石に限らず円周上で分割されている等実質的に磁石カップリングを構成する形状であれば良い。
【0013】
尚、前記受動ロ−タ4自体を円周方向にN極とS極とを交互に持つリング状の磁石とするか、もしくは受動ロ−タ4の内径部に円周方向にN極とS極を交互にもつリング状磁石を嵌め込み、前記プ−リ7に嵌め込むリング8を磁性材料に置き換えても良い。更に、回転力を大きくするためプ−リ7に嵌め込むリング8と受動ロ−タ4とは共に円周方向にN極とS極とを交互に配列した磁気カップリングとしても良い。そしていずれにしても受動ロ−タ4は防錆処理することが好ましい。尚、前記受動ロ−タ4の磁石は完全なリング状磁石に限らない。
【0014】
次に、前記動圧軸受5及び6の該回転軸3外周面と対向する内周面には動圧溝12、13を形成すると共に、前記ハウジング1の筒部1aの底部1bと対向する回転軸3の端面3aには動圧溝14を形成するか或いはピボット支持として軸受を構成する。即ち、ハウジング1の内部のインペラ2側には冷却水が通過するので、前記動圧軸受5及び6により回転軸3を動圧支持し、インペラ2の回転により発生する推力を回転軸3の端面3aに設けた動圧溝14と筒部1aの底部1bとで動圧軸受支持するか或いはピボット軸受支持するものである。従ってインペラ2を取付けた回転軸3は動圧軸受5及び6により自由支持されている。
【0015】
ウォ−タポンプを上記する構成とすると、内燃機関より取り出した動力を利用してベルト9によりプ−リ7を回転駆動すると該プ−リ7に嵌め込んだ磁石製のリング8が回転すると共に磁力によりハウジング1内の受動ロ−タ4が回転すると同時に該受動ロ−タ4と一体にした回転軸3が回転する。そして該回転軸3は動圧軸受5及び6により動圧軸受支持されると共に側面も動圧支持或いはピボット軸受支持されつつインペラ2を回転させて冷却水を圧送する。この場合、プ−リ7を支持する転がり軸受10及び11は、ハウジング1により冷却水と遮断されているので、冷却水による浸水を考慮する必要がない。
【0016】
図2はこの発明のウォ−タポンプの変形実施例の軸方向断面図である。
この実施例では動圧軸受5及び6の内周面ではなく、これらによって支持される回転軸3の表面に動圧溝15及び16を形成してある。更にプ−リ7は軽量化を図るため合成樹脂とし、また転がり軸受10及び11にはころ或いは針状ころを用いる。勿論、第1図の実施例においても回転軸3の側に動圧溝15及び16を形成しても良いし、合成樹脂製のプ−リ7を用いても良い。また、プ−リ7はベルト駆動として説明したが、プ−リ7の表面に歯車を設けて歯車駆動としても良いし或いはプ−リ7の代わりにチェ−ン駆動によるスプロケットを利用しても良い。
【0017】
【発明の効果】
この発明のウォ−タポンプは以上詳述したような構成としたので、従来回転軸を支持する軸受部とインペラ部との間のシ−ル構造にかなりの工夫を要していたが、軸受部への冷却水の侵入を簡単に且つ完全にシ−ルすることが出来るだけでなく、軸受自体のシ−ル構造も簡単とすることが出来る。また、回転軸の長手方向も短くすることが出来るので全体的にコンパクトな構成のウォ−タポンプとすることが出来る。更に、軸受部からのグリ−ス漏れによるメカニカルシ−ルの劣化と寿命低下を防止しウォ−タポンプの長寿命化を図ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のウォ−タポンプの軸方向断面図である。
【図2】この発明のウォ−タポンプの変形実施例の軸方向断面図である。
【符号の説明】
1 ハウジング
1a ハウジング筒部
1b 筒部の底部
2 インペラ
3 回転軸
3a 回転軸端面
4 受動ロ−タ
5、6 動圧軸受
7 プ−リ
8 リング
9 ベルト
10、11 転がり軸受
12、13 動圧溝
14 動圧溝
15、16 動圧溝
Claims (4)
- 冷却水の流れるハウジングに底部を有する筒部を形成し、該筒部の内部に、一方の端部に筒部外に位置するインペラを取付け且つ該インペラ片側に、中央部に磁性材料で製作した受動ロ−タを固定した回転軸を配置し、前記受動ロ−タの両側の前記筒部と回転軸間に動圧軸受を配置し、前記ハウジングの筒部の外周にプーリ内径側に2つの転がり軸受を配置して該プーリを支持し、該プ−リの内径側の2つの転がり軸受の間に円周方向にN極とS極とを交互に配列した磁石を前記受動ロ−タに対応するように配置してなるウォ−タポンプ。
- 冷却水の流れるハウジングに底部を有する筒部を形成し、該筒部の内部に、一方の端部に筒部外に位置するインペラを取付け且つ該インペラ片側の筒部内の中央部に受動ロ−タを固定した回転軸を配置し、前記受動ロ−タの両側の前記筒部と回転軸間に動圧軸受を配置し、前記ハウジングの筒部の外周にプーリ内径側に2つの転がり軸受を配置して該プーリを支持し、前記受動ロ−タ自体もしくはその外径部を円周方向にN極とS極とを交互に配置した磁石とし、前記プ−リの内径側の2つの転がり軸受の間にリング状磁性体を前記受動ロ−タに対応するよう配置してなるウォ−タポンプ。
- 冷却水の流れるハウジングに底部を有する筒部を形成し、該筒部の内部に、一方の端部に筒部外に位置するインペラを取付け且つ該インペラ片側の筒部内の中央部に受動ロ−タを固定した回転軸を配置し、前記受動ロ−タの両側の前記筒部と回転軸間に動圧軸受を配置し、前記ハウジングの筒部の外周にプーリ内径側に2つの転がり軸受を配置して該プーリを支持し、前記受動ロ−タ自体もしくはその外径部を円周方向にN極とS極とを交互に配置した磁石とし、前記プ−リの内径側の2つの転がり軸受の間に円周方向にN極とS極とを交互に配列した磁石を前記受動ロ−タの磁石に対応するよう配置してなるウォ−タポンプ。
- ハウジングの底部と回転軸の端面間に動圧軸受もしくはピボット軸受を配置してなる請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のウォ−タポンプ。
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1994
- 1994-01-19 JP JP02001094A patent/JP3565888B2/ja not_active Expired - Fee Related
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