JPH0343434Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、一端にロータ若しくは外歯ギヤを設
けた回転軸を軸受メタルを介してポンプハウジン
グに回転可能に支持させるようにした油圧ポンプ
に関するものである。

〈従来の技術〉 回転軸を軸受メタルを介してポンプハウジング
に回転可能に支持し、回転軸の一端にベーンを保
持したロータを設け、他端にプーリを設け、プー
リと軸受メタル間にシール部材を設けたベーンポ
ンプにおいて、軸受メタルの内周面にはロータ側
の圧油をシール部材側へリークさせて軸受メタル
と回転軸間を潤滑させる油溝が形成され、このリ
ークした圧油をさらにポンプの吸入ポート側へ逃
がす逃がし通路がポンプハウジングに形成されて
いる。

〈考案が解決しようとする問題点〉 前記油溝を通過する圧油の中には、金属同士の
摺り合せにより発生する鉄粉が含まれており、こ
の鉄粉が軸受メタルの油溝以外のランド部と回転
軸間に侵入して油膜の形成が阻害されることによ
り軸受メタルと回転軸との焼付きが発生するとい
う問題があつた。

〈問題点を解決するための手段〉 上述した問題点を解決すべく本考案は、ポンプ
ハウジングに円筒状の軸受メタルを介して回転軸
を回転可能に支持し、回転軸の一端にベーンを保
持するロータ若しくは内歯ギヤに噛合う外歯ギヤ
を設け、他端にシール部材を設け、前記軸受メタ
ルの内周面にロータ若しくは外歯ギヤ側の圧油を
シール部材側へリークさせる凹状の油溝を軸受メ
タルの軸方向全長に渡つて螺旋状に形成し、この
リークした圧油をさらに低圧側へ逃がす逃がし通
路をポンプハウジングに形成した油圧ポンプにお
いて、前記油溝より凹んだ位置にこの油溝に一部
が露出するような形で磁気を帯びた磁性体を軸受
メタルの軸方向全長に渡つて連続して軸受メタル
に埋設したものである。

〈作用〉 上述した構成により、ロータ若しくは外歯ギヤ
側からリークした圧油は、油溝、逃がし通路を介
して低圧側へ逃がされる。油溝を通過する圧油
は、回転軸の回転と連れ回りして軸受メタルと回
転軸間に流れ込み、軸受メタルと回転軸間の潤滑
を行う。圧油に含まれる鉄粉は、油溝内の磁性体
に吸着され、油の流れによつて離脱した鉄粉は再
度異なる位置で磁性体に吸着される。

〈実施例〉 以下本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。第１図において、１０はポンプハウジングを
示し、このポンプハウジング１０には有底の中空
室１１が形成され、この中空室１１はポンプハウ
ジング１０の一端に開口している。ポンプハウジ
ング１０の一端にはその開口部を閉塞するエンド
カバー１２が複数の締付ボルトにより固着されて
いる。ポンプハウジング１０とエンドカバー１２
とで囲まれた前記中空室１１内にはカムリング１
４と、このカムリング１４の一側面に対接するリ
ング状のサイドプレート１５と、一端がカムリン
グ１４の他側面に対接しかつ背面がエンドカバー
１２に対接する円板状のサイドプレート１６が収
納され、一方のサイドプレート１５はポンプハウ
ジング１０のメタル挿入穴１０ａに嵌合されてい
る。一方のサイドプレート１５とポンプハウジン
グ１０との間にはウエーブワツシヤ１７が弾発し
た状態で介挿され、このウエーブワツシヤ１７の
撥力によつて前記カムリング１４、一対のサイド
プレート１５，１６およびエンドカバー１２が互
いに当接されている。なお、カムリング１４およ
び一対のサイドプレート１５，１６はポンプハウ
ジング１０とエンドカバー１２との間に支持され
た図略の位置決めピンにより位相決めされてい
る。

前記カムリング１４の内周には略楕円形のカム
面２０が形成され、このカム面２０に摺接する複
数のベーン２１を放射方向に摺動可能に嵌挿した
ロータ２２がカムリング１４内に収納されてい
る。かかるロータ２２およびベーン２１の軸線方
向幅はカムリング１４の軸線方向幅よりも幾分小
さな寸法に定められ、前記一対のサイドプレート
１５，１６がカムリング１４の両側面に当接され
た状態においてロータ２２とサイドプレート１
５，１６との各間に適正なサイドクリアランス
（軸線方向隙間）が保たれるようにしてある。

一方、前記ポンプハウジング１０のメタル挿入
穴１０ａに軸受メタル２３が嵌着されており、こ
の軸受メタル２３に回転軸２４が回転可能に軸承
されている。そして回転軸２４の一端にはロータ
２２がスプライン係合され、ロータ２２と回転軸
２４との軸線方向の相対変位を阻止するスナツプ
リング２５が回転軸２４の一端に嵌め込まれてい
る。また、前記軸受メタル２３の外方にはオイル
シール（シール部材）１８が圧入されている。

前記軸受メタル２３は第２図、第３図８に示す
ように、鋼板製の裏金４０にホワイトメタル等か
ら成る軸受メタル層４１を接合した板材を円筒状
に形成したもので、回転軸２４の外周面に接する
軸受メタル層４１の表面には軸受メタル２３の両
端間を連通する凹形状の油溝４２がプレス成形さ
れ、このプレス成形時に磁気を帯びた帯状の磁性
体４３が前記油溝４２より凹んだ位置に軸受メタ
ル２３の軸方向全長に渡つて連続して埋設され
る。磁性体４３の一部は油溝４２にむき出してい
る。

上記した構成によりカムリング１４のカム面２
０とロータ２２の外周面との間にベーン２１によ
つて区画された複数のポンプ室が形成され、各ポ
ンプ室はロータ２２の回転により容積変化を生ず
る。前記一対のサイドプレート１５，１６のロー
タ２２に対接する各面には、膨張工程をなすポン
プ室に対応して吸入ポート２６ａ，２６ｂが、ま
た圧縮工程をなすポンプ室に対応して吐出ポート
２７ａ，２７ｂがそれぞれ形成されている。吸入
ポート２６ａ，２６ｂはカムリング１４に取巻く
ように中空室１１に凹設された環状溝２９に開口
され、この環状溝２９はリザーバ３０に通ずる吸
入通路３１と、流量調整弁３２に通ずるバイパス
通路３３に連通されている。吐出ポート２７ａ，
２７ｂは前記ウエーブワツシヤ１７が介挿された
圧力室３４に開口され、この圧力室３４は吐出通
路を介して流量調整弁３２に通じている。又ポン
プハウジング１０には軸受メタル２３の外端部と
シール部材１８とによつて区画される油留り４５
とバイパス通路３３とを連通する逃がし通路３５
が形成されている。

上記した構成において、回転軸２４がエンジン
によつて駆動されると、ロータ２２が回転し、こ
れによつて作動流体が吸入通路３１より吸入ポー
ト２６ａ，２６ｂを介してポンプ室に吸入される
とともに、吐出流体がポンプ室により吐出ポート
２７ａ，２７ｂを介して圧力室３４に吐出され、
この圧力室３４より図略の吐出通路を経て動力舵
取装置等に送出される。

このとき、ポンプ室Ａからリークした圧油は、
ロータ２２とサイドプレート１５，１６間のすき
間、油溝４２、逃がし通路３５を介してバイパス
通路３３に戻される。油溝４２を通過する圧油に
より回転軸２４と軸受メタル２３間が潤滑され、
圧油に含まれる鉄粉は磁性体４３に吸着され、し
かも、油の流れによつて離脱した鉄粉は、再度異
なる位置で磁性体４３に吸着されるため、軸受メ
タル２３の油溝４２を除いたランド部と回転軸２
４間に侵入する確率が少なくなる。また、鉄粉が
吸着される面積が大きいため、長時間ポンプのメ
ンテナンスを不要にできる。

上述した実施例は、ベーンポンプに適用した例
について述べたが、内歯ギヤに噛合う外歯ギヤを
備えた内接ギヤ型ポンプにも適用できる。

〈考案の効果〉 以上述べたように本考案は、回転軸を回転可能
に支持する円筒状の軸受メタルの内周面に凹状の
油溝を軸受メタルの軸方向全長に渡つて螺旋状に
形成し、この油溝より凹んだ位置に油溝に一部が
露出するような形で磁気を帯びた磁性体を軸受メ
タルの軸方向全長に渡つて連続して軸受メタルに
埋設した構成であるので、油中に含まれている鉄
粉は磁性体に吸着され、油の流れによつて離脱し
た鉄粉は再度異なる位置で磁性体に吸着されるた
め、油溝を除く軸受メタルと回転軸間に鉄粉が侵
入する確率が少なくなる。よつて、軸受 メタル
と回転軸間に良好な油膜の形成が維持され、軸受
メタルと回転軸との焼付きを防止できる効果が得
られる。また。、磁性体が油溝に沿つて軸受メタ
ルの軸方向全長に渡つて設けられているため、鉄
粉が吸着する面積が大きくなり、長時間ポンプの
メンテナンスを不要できる効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
ベーンポンプに適用した例を示す断面図、第２図
は軸受メタルの展開図、第３図は第２図における
−線断面図。 １０……ポンプハウジング、１２……エンドカ
バー、１４……カムリング、１５，１６……サイ
ドプレート、１８……オイルシール、２１……ベ
ーン、２２……ロータ、２３……軸受メタル、２
６ａ，２６ｂ……吸入ポート、２７ａ，２７ｂ…
…吐出ポート、４０……裏金、４１……軸受メタ
ル層、４２……油溝、４３……磁性体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ポンプハウジングに円筒状の軸受メタルを介し
   て回転軸を回転可能に支持し、回転軸の一端にベ
   ーンを保持するロータ若しくは内歯ギヤに噛合う
   外歯ギヤを設け、他端にシール部材を設け、前記
   軸受メタルの内周面にロータ若しくは外歯ギヤ側
   の圧油をシール部材側へリークさせる凹状の油溝
   を軸受メタルの軸方向全長に渡つて螺旋状に形成
   し、このリークした圧油をさらに低圧側へ逃がす
   逃がし通路をポンプハウジングに形成した油圧ポ
   ンプにおいて、前記油溝より凹んだ位置にこの油
   溝に一部が露出するような形で磁気を帯びた磁性
   体を軸受メタルの軸方向全長に渡つて連続して軸
   受メタルに埋設したことを特徴とする油圧ポン
   プ。