JP2004232507A - 水ポンプ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水ポンプは、回転部分3のフランジ部3bの外周部に形成された円筒部3cとこの円筒部3cの内側に位置する固定側部材2との間に玉軸受が介在させられ、回転部分3のフランジ部3bに開口が形成されている水ポンプであって、回転部分3に、フランジ部3bの軸方向外側に位置して開口12の部分を覆うカバー7が設けられている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車用エンジンの冷媒循環などに使用される水ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
水ポンプは、シャフト、プーリおよびインペラを含む回転部分が固定部分であるハウジングに対して回転するようになっており、従来は、回転部分のシャフトの部分が2列の玉軸受によってハウジングに回転支持されていた。
【0003】
近年、水ポンプの小型化、軽量化、低コスト化を図るため、回転部分をプレス加工により成形した部材により構成し、プレス加工により成形した固定側部材を固定部分に固定し、固定側部材の円筒部に対し、回転部分の円筒状のプーリ部を1列の玉軸受で回転支持するものが提案されている(特許文献1・特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−089486号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2002−155893号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来の水ポンプでは、回転部分は、中空シャフトの開口端側の径方向外側にフランジ部を介して円筒部が同心状に形成された回転側部材と、シャフト部の他端部に固定されたインペラとから構成されており、回転側部材の円筒部の内側に位置する玉軸受の軸方向外側にフランジ部が位置している。
【0007】
そして、回転側部材のフランジ部には、軸受組み込みのため、および固定部分と回転部分との間のメカニカルシールの部分から外部に漏れてきた水(水蒸気)を逃がすための開口が形成される。このため、この開口を通って、玉軸受の部分に水、泥水などが浸入するおそれがある。
【0008】
この発明の目的は、上記の問題を解決し、玉軸受の部分への水、泥水などの浸入を防止できる水ポンプを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
この発明による水ポンプは、回転部分のフランジ部の外周部に形成された円筒部とこの円筒部の内側に位置する固定側部材との間に玉軸受が介在させられ、回転部分のフランジ部に開口が形成されている水ポンプにおいて、回転部分に、フランジ部の軸方向外側に位置して開口の部分を覆うカバーが設けられている。
【0010】
回転部分は、好ましくは、プレス加工により成形された複数の部材を互いに連結することにより構成される。固定側部材も、好ましくは、プレス加工により成形される。
【0011】
カバーは、通常、円板状をなす。その場合、カバーの外径は、フランジ部の開口を全て含む円の直径より大きくする。また、カバーと円筒部およびフランジ部との軸方向の間隔は、できるだけ小さいのが望ましい。
【0012】
この発明の水ポンプによれば、回転部分に設けられたカバーによりフランジ部の開口の部分を覆って、玉軸受への水、泥水などの浸入を防止することができる。また、カバーは回転部分とともに回転しているので、これに付着した水、泥水などを外側に振り切り、玉軸受への浸入を確実に防止することができる。
【0013】
この発明の水ポンプにおいて、たとえば、回転部分の円筒部の外側に、プーリ部が外側フランジ部を介して一体に形成されている。
【0014】
このようにすれば、回転部分の部品点数を低減することができる。
【0015】
この発明の水ポンプにおいて、たとえば、回転部分のフランジ部が、中空シャフト部の開口端部に一体化あるいは連結されており、カバーの軸部が、シャフト部の開口端部に圧入により固定されている。
【0016】
このようにすれば、カバーを回転部分に確実に固定して、フランジ部の開口の部分を覆うようにすることができる。
【0017】
上記の水ポンプにおいて、たとえば、回転部分が、シャフト部とプーリ部が一体化された回転側部材と、回転側部材に固定されたインペラとからなり、回転側部材が、一端が閉鎖して他端が開口した円筒状のシャフト部と、シャフト部の開口端部の外側に一体に形成された内側フランジ部と、内側フランジ部の外周部のシャフト部閉鎖端側に形成された円筒部と、円筒部のシャフト部閉鎖端側端部の外側に一体に形成された外側フランジ部と、外側フランジ部の外周部のシャフト部開口端部側に形成されたプーリ部とからなり、シャフト部の閉鎖端部に、インペラの円筒部が圧入により固定されている。
【0018】
このようにすれば、回転側部材とインペラを含む回転部分を軽量化することができる。また、プーリ部の外径が玉軸受の外径に制約されることがなく、プーリ部の外径の設定の自由度が大きくなる。
【0019】
たとえば、回転部分の円筒部がプーリ部である。
【0020】
このようにすれば、プーリ部の直径が玉軸受の外径より少し大きくなるだけで、回転部分を小型化することができる。
【0021】
たとえば、回転部分は、シャフト部およびインペラが一体に形成された部材と、残りの部分が一体に形成された部材とが互いに連結されたものである。
【0022】
このようにした場合も、プーリ部、シャフト部およびインペラを含む回転部分を軽量化することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。
【0024】
図1は、水ポンプの全体構成を示している。以下の説明において、図1の左右を左右とする。
【0025】
図1に示すように、水ポンプは、固定部分であるハウジング(1)、ハウジング(1)に固定された固定側部材(2)、回転部分を構成する回転側部材(3)、インペラ(4)およびカバー(7)、固定側部材(2)に対して回転側部材(3)を回転支持する1列の密封型玉軸受(5)、ならびに固定側部材(2)と回転側部材(3)の間をシールするシール部材(6)を備えている。
【0026】
ハウジング(1)には、左端が開口した水室(10)が設けられている。固定側部材(2)は、冷間圧延鋼板やSPCCなどの鋼板をプレス成形することにより一体に形成されたものであり、左右方向の水平軸を中心とする小径円筒部(2a)、円筒部(2a)の右端部の外側に一体に形成された内側フランジ部(2b)、小径円筒部(2a)と同心となるようにフランジ部(2b)の外周部の右側に一体に形成された大径円筒部(2c)、および円筒部(2c)の右端部の外側に一体に形成された外側フランジ部(2d)よりなる。そして、外側フランジ部(2d)が、水室(10)の開口部の周囲のハウジング(1)の左端面にシール(11)を介して固定されている。
【0027】
回転側部材(3)は、固定側部材(2)と同様の鋼板をプレス成形することにより一体に形成されたものであり、左右方向の水平軸を中心とし右端部が閉鎖して左端部が開口した比較的長い有底円筒状のシャフト部(3a)、シャフト部(3a)の左端部の外側に一体に形成され内側フランジ部(3b)、シャフト部(3a)と同心となるようにフランジ部(3b)の外周部の右側に一体に形成された内側円筒部(3c)、円筒部(3c)の右端部の外側に一体に形成された外側フランジ部(3d)、およびフランジ部(3d)の外周部の左側に一体に形成されたプーリ部(外側円筒部)(3e)よりなる。回転側部材(3)は、固定側部材(2)と同心となるように配置されている。シャフト部(3a)は、固定側部材(2)の小径円筒部(2a)の内側に左側から挿入され、これらの間にシール部材(6)が介在させられている。シャフト部(3a)の右端部は、ハウジング(1)の水室(10)内に位置している。内側フランジ部(3b)は、固定側部材(2)の小径円筒部(2a)の左端部に近接している。内側円筒部(3c)は、固定側部材(2)の小径円筒部(2a)の外側に位置しており、これらの間に玉軸受(5)が介在させられている。回転側部材(3)のフランジ部(3b)には、シール部材(6)を通過してきた水(水蒸気)を逃がすための複数の開口(12)が形成されている。図示は省略したが、プーリ部(3e)には、回転側部材(3)に回転駆動力を伝達するためのベルトがかけられる。
【0028】
インペラ(4)は、鋼板をプレス成形することにより一体に形成されたものであり、左右方向の水平軸を中心とし右端部が閉鎖して左端部が開口した比較的短い有底円筒部(4a)、円筒部(4a)の左端部の外側に一体に形成されたフランジ部(4b)、およびフランジ部(4b)の右側に一体に形成された複数の羽根(4c)よりなる。インペラ(4)の円筒部(4a)が、回転側部材(3)のシャフト部(3a)の右端部外側に右側から圧入されて固定されており、インペラ(4)全体がハウジング(1)の水室(10)内に位置している。
【0029】
玉軸受(5)は深みぞ玉軸受であり、内輪(5a)、外輪(5b)、これらの間に介在させられた複数の玉(5c)、および内外輪(5a)(5b)間の両端部に設けられた密封部材(5d)を備えている。内輪(5a)は、固定側部材(2)の小径円筒部(2a)の外周に圧入により固定されている。外輪(5b)は、回転側部材(3)のプーリ部(3c)の内周に圧入により固定されている。
【0030】
シール部材(6)は、詳細な説明は省略したが、公知のメカニカルシールであり、内周側部分が回転側部材(3)のシャフト部(3a)の外周に圧入により固定され、外周側部分が固定側部材(2)の小径円筒部(2a)の内周に圧入により固定されている。
【0031】
カバー(7)は円板状をなし、その中心の一体に形成された軸部(7a)が回転側部材(3)シャフト部(3a)の開口端部に圧入により固定されている。そして、カバー(7)は、回転側部材(3)の内側フランジ部(3b)の軸方向外側(左側)に比較的小さな間隔をあけて位置し、フランジ部(3b)の開口の部分を覆っている。カバー(7)の外径は、回転側部材(3)の内側円筒部(3c)の外径より少し大きく、したがって、フランジ部(3b)の開口(12)を全て含む円の直径より大きい。また、カバー(7)の外周端部は、回転側部材(3)の内側フランジ部(3b)と内側円筒部(3c)の境界部に沿って、断面が円弧状となるように成型されている。
【0032】
上記の水ポンプでは、プーリ部(3e)にかけられたベルトにより、回転側部材(3)およびインペラ(4)が回転させられ、玉軸受(5)の外輪(5b)が内輪(5a)に対して回転する。
【0033】
水ポンプの運転中、回転部分に設けられたカバー(7)によりフランジ部(3b)の開口(12)の部分を覆って、玉軸受(5)への水、泥水などの浸入を防止することができる。また、カバー(7)は回転部分とともに回転しているので、これに付着した水、泥水などを外側に振り切り、玉軸受(5)への浸入を確実に防止することができる。
【0034】
上記実施形態では、回転部分が、インペラ(4)と、残りの部分が一体に形成された回転側部材(3)とから構成されているが、回転部分は、シャフト部とインペラが一体に形成された部材と、残りの部分が一体に形成された部材とから構成されてもよい。
【0035】
また、上記実施形態では、玉軸受(5)の外輪(5b)が固定される内側円筒部(3c)の外側に、ベルトをかけるためのプーリ部(3e)が外側フランジ部(3d)を介して一体に形成されているが、外側フランジ部(3d)とプーリ部(3e)を除き、円筒部(3c)をプーリ部としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の実施形態を示す水ポンプの主要部の縦断面図である。
【符号の説明】
(2) 固定側部材
(2a) 円筒部
(3) 回転側部材
(3a) シャフト部
(3b) 内側フランジ部
(3c) 内側円筒部
(3d) 外側フランジ部
(3e) プーリ部
(4) インペラ
(5) 玉軸受
Claims (4)
- 回転部分のフランジ部の外周部に形成された円筒部とこの円筒部の内側に位置する固定側部材との間に玉軸受が介在させられ、回転部分のフランジ部に開口が形成されている水ポンプにおいて、
回転部分に、フランジ部の軸方向外側に位置して開口の部分を覆うカバーが設けられていることを特徴とする水ポンプ。 - 回転部分の円筒部の外側に、プーリ部が外側フランジ部を介して一体に形成されていることを特徴とする請求項1の水ポンプ。
- 回転部分のフランジ部が、中空シャフト部の開口端部に一体化あるいは連結されており、カバーの軸部が、シャフト部の開口端部に圧入により固定されていることを特徴とする請求項1または2の水ポンプ。
- 回転部分が、シャフト部とプーリ部が一体化された回転側部材と、回転側部材に固定されたインペラとからなり、回転側部材が、一端が閉鎖して他端が開口した円筒状のシャフト部と、シャフト部の開口端部の外側に一体に形成された内側フランジ部と、内側フランジ部の外周部のシャフト部閉鎖端側に形成された円筒部と、円筒部のシャフト部閉鎖端側端部の外側に一体に形成された外側フランジ部と、外側フランジ部の外周部のシャフト部開口端部側に形成されたプーリ部とからなり、シャフト部の閉鎖端部に、インペラの円筒部が圧入により固定されていることを特徴とする請求項3の水ポンプ。
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JP2003019838A JP2004232507A (ja) | 2003-01-29 | 2003-01-29 | 水ポンプ |
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Cited By (2)
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2003
- 2003-01-29 JP JP2003019838A patent/JP2004232507A/ja active Pending
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