JP3565788B2 - 配線・配管材引込みカバー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、建物のコンクリート体に埋設される配線・配管材の保護管の端部と繋がるとともに、前記コンクリート体の外側に臨むようにしてそのコンクリート体に埋め込まれる、配線・配管材引込みカバーに関するものである。
【0002】
【従来の技術および、発明が解決しようとする課題】
従来、建物のコンクリート体としての天井に埋め込まれる配線・配管材引込みカバーとして、例えば、図5に示すようなものがあった。この配線・配管材引込みカバー11は、カバー本体12とコネクタ13とを有しており、天井14への埋込みにあたっては、配線・配管材引込みカバー11が、型枠15に止められて、その配線・配管材引込みカバー11を覆うように、天井14を形成する生コンクリートが打設された。そして、配線・配管材引込みカバー11には、予め、カバー本体12の一方側D1のコネクタ13に、配線・配管材の保護管16の端部が接続されており、この保護管16もまた、天井14に埋設された。
【0003】
しかし、前記従来の配線・配管材引込みカバー11においては、打設された生コンクリートの硬化後に型枠15を取り外そうとすると、コネクタ13側となるカバー本体12の一方側D1を中心として、他方側D2が、天井14から抜け出すように回動する虞があった(図5において二点鎖線で示す)。
【0004】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、コンクリート体から抜け出すのを防止することができる、配線・配管材引込みカバーを提供することにある。
【0005】
また、他の目的は、必要な場合に、カバー本体をコンクリート体から、容易に取り出すことができる、配線・配管材引込みカバーを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る配線・配管材引込みカバーは、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る配線・配管材引込みカバーは、建物のコンクリート体に埋設される配線・配管材の保護管の端部と繋がるとともに、前記コンクリート体の外側に臨むようにしてそのコンクリート体に埋め込まれる引込みカバーである。そして、この配線・配管材引込みカバーは、前記保護管の端部が接続される中空のコネクタと、前記コンクリート体の外面と面一となる基準面を備えるカバー本体とを有する。ここで、前記コネクタは、前記カバー本体の一方側に設けられるとともに、そのコネクタの軸心が、前記カバー本体の他方側ほど前記基準面に近づくように、前記基準面に対して傾斜して設けられている。そして、前記コネクタは、前記カバー本体の外側に、そのコネクタの一方側の端面が前記カバー本体の取付板に当接するようにして、前記カバー本体に、固着手段を介して着脱可能に取り付けられる。一方、前記カバー本体は、前記コネクタの内側空間と連通するとともに前記基準面側に開口する開口部を備える。そして、前記カバー本体には、そのカバー本体の一方側を中心として、他方側が前記コンクリート体から抜け出すように回動するのを防止する抜脱防止部が、前記基準面と略直角となるようにして備わる。そこで、前記カバー本体は、前記固着手段が外されると、前記コネクタを残して、前記コンクリート体から、そのコンクリート体の前記外面と直交する方向に取り出し可能となっている。
【0007】
こうして、カバー本体には、基準面と略直角となる抜脱防止部が備わっており、この抜脱防止部によって、カバー本体の一方側、すなわちコネクタがある側を中心として、他方側がコンクリート体から抜け出すように回動するのが防止される。
【0008】
そして、固着手段を外すことで、カバー本体を、コンクリート体の外面と直交する方向に取り出すことができる。しかも、抜脱防止部は、コンクリート体の外面と面一となる基準面と、略直角となっており、カバー本体をコンクリート体の外面と直交する方向に取り出す際に、その取出しを、この抜脱防止部が邪魔することがない。
また、請求項2に記載の発明に係る配線・配管材引込みカバーのように、前記固着手段は、雄ネジ部が形成された中空の他のコネクタからなり、また、前記コネクタには、雌ネジ部が形成されており、前記コネクタの雌ネジ部に、前記他のコネクタの雄ネジ部が螺合することで、前記取付板を、前記コネクタと前記他のコネクタとで挟み込んでもよい。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る配線・配管材引込みカバーのように、前記抜脱防止部は、前記カバー本体の他方側に設けられているのが望ましい。こうして、抜脱防止部が、カバー本体の回動中心となるコネクタ側である一方側とは離れた他方側に設けられることで、この抜脱防止部の機能が十分に発揮される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係る配線・配管材引込みカバーの実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1ないし図4は、本発明に係る配線・配管材引込みカバーの一実施の形態を示す。図中符号1は、建物のコンクリート体としての、例えば、二重天井における上側の天井であって、上階のスラブに相当する。2は、天井1に埋設される配線・配管材の保護管であり、電力線、信号線等の配線材(図示せず)あるいは給水管、給湯管、ガス管等の配管材(図示せず)を収容保護するためのものである。3は、配線・配管材引込みカバーであり、前記保護管2の端部と繋がるとともに、天井1の外側(図示実施の形態においては下側)に臨むようにしてその天井1に埋め込まれる。
【0012】
配線・配管材引込みカバー3は、図1に示すように、保護管2の端部が接続される中空のコネクタ4と、天井1の外面1a(図示実施の形態においては下面)と面一となる基準面5aを備えるカバー本体5とを有している。ここで、コネクタ4は、カバー本体5の一方側D1に設けられるとともに、そのコネクタ4の軸心4aが、カバー本体5の他方側D2ほど前記基準面5aに近づくように、前記基準面5aに対して傾斜して設けられている。そして、カバー本体5は、コネクタ4の内側空間4bと連通するとともに前記基準面5a側に開口する開口部5bを備えている。
【0013】
具体的には、カバー本体5は、図1および図2に示すように、コネクタ4の軸心4aに沿う筒状形状を斜めに切断したような形状の本体部5cを備えている。そして、この本体部5cにおける前記筒状形状の切断側が、前記開口部5b側となっている。そして、この開口部5b側には、そのほぼ全周に、鍔部5dが設けられており、この鍔部5dの底面が、前記基準面5aとなっている。また、本体部5cには、その筒状形状の端部を覆うとともに、コネクタ4の軸心4aと直交するようにして、取付板5eが設けられている。この取付板5eは、コネクタ4を取り付けるためのものであり、この取付板5eには、コネクタ4の内側空間4bとカバー本体5内とを連通させるための貫通孔5fが形成されている。また、カバー本体5には、この取付板5eの下端部分から突出する突出部5gが設けられている。そして、この突出部5gの底面は、前記基準面5aと面一となって、それらが全体として、基準面5aとなっている。
【0014】
そして、カバー本体5には、そのカバー本体5の一方側D1、つまりコネクタ4のある側を中心として、他方側D2が天井1から抜け出すように回動するのを防止する抜脱防止部5hが、前記基準面5aと略直角となるようにして備わっている。詳細には、この抜脱防止部5hは、コネクタ4のある側とは反対となる、カバー本体5の他方側D2であって、後述する固定手段Kに近接する位置に設けられている。そして、抜脱防止部5hは、カバー本体5の他方側D2の頂部部分から、基準面5aとは反対側に略三角形状に突出する突部5iから、さらに板状に突出した突起部5jの、コネクタ4側とは反対側の面からなっている。
【0015】
また、カバー本体5は、図2および図3に示すように、このカバー本体5を、天井1を形成する生コンクリートNが打設される型枠6に固定するための、固定手段Kを備えている。この固定手段Kは、カバー本体5の他方側D2寄りの頂部部分から、カバー本体5内を下方に延びる筒部5kと、その筒部5k内に保持される釘等の固定具5mとからなっている。そして、この固定具5mが、筒部5k内に保持されたまま型枠6に打ち込まれることで、カバー本体5は、型枠6に固定される。その後、生コンクリートNが打設されて、天井1が形成される(図3参照)。そして、型枠6が取り外される際に、筒部5kが根元から折り取られることで、この筒部5kと固定具5mは、カバー本体5から取り除かれる。
【0016】
さらに、カバー本体5は、固定手段Kがある頂部から両サイドに下った位置に、この固定手段Kと選択的に用いられる、他の固定手段Lを備えている(図2参照)。この固定手段Lは、本体部5cと鍔部5dにまたがるように突出しており、その頂部L1が薄肉に形成されている。そして、別途用意される釘等の固定具(図示せず)が、頂部L1に貫通するようにして、型枠6に打ち込まれることで、前記固定手段Kと同様にして、カバー本体5は、型枠6に固定される。そして、生コンクリートNが打設された後に、型枠6が取り外される際には、頂部L1と固定具とがともに、カバー本体5から取り除かれる。
【0017】
一方、コネクタ4は、カバー本体5に、コネクタの機能を兼ね備えた、固着手段としての、中空の他のコネクタ7を介して、着脱可能に取り付けられる。すなわち、コネクタ4は、カバー本体5の外側に、そのコネクタ4の一方側の端面が取付板5eに当接するようにして配備される。そして、コネクタ4には、その一方側に、雌ネジ部4cが形成されており、他方側に、保護管2の端部が接続される。他のコネクタ7は、カバー本体5の内側に、そのコネクタ7の一方側のフランジ部7bが取付板5eに当接するようにして配備される。そして、他のコネクタ7には、その一方側に、フランジ部7bから先端側に突出するようにして雄ネジ部7cが形成されており、他方側に、他の、配線・配管材の保護管(図示せず)が接続される。このとき、コネクタ4の雌ネジ部4cに、他のコネクタ7の雄ネジ部7cが螺合することで、取付板5eを、両コネクタ4、7で挟み込んでおり、この挟み込みにより、コネクタ4および他のコネクタ7は、カバー本体5に取り付けられている。そして、他のコネクタ7が、雌ネジ部4cと雄ネジ部7cとの螺合を緩めるようにして外されると、コネクタ4を残して、カバー本体5は、天井1から、その天井1の外面1aと直交する方向に取り出し可能となる(図4参照)。そして、このようにカバー本体5を天井1から取り出すことで、このカバー本体5を再利用することができる。
【0018】
次に、以上の構成からなる配線・配管材引込みカバー3の作用効果について説明する。カバー本体5には、基準面5aと略直角となる抜脱防止部5hが備わっており、この抜脱防止部5hによって、カバー本体5の一方側D1、すなわちコネクタ4がある側を中心として、他方側D2が天井1から抜け出すように回動するのが防止される。したがって、この抜脱防止部5hによって、この配線・配管材引込みカバー3が天井1から抜け出すのを防止することができる。その上、抜脱防止部5hが、カバー本体5の回動中心となるコネクタ4側である一方側D1とは離れた他方側D2に設けられることで、この抜脱防止部5hの機能が十分に発揮される。
【0019】
また、他のコネクタ7を、コネクタ4から外すことで、カバー本体5とコネクタ4との固着が解除されて、カバー本体5を、天井1の外面1aと直交する方向に取り出すことができる。このように、カバー本体5を天井1から取り出す方向が、天井1の外面1aと直交する方向となっており、天井1の外側(図示実施の形態においては下側)であって、カバー本体5と向き合うところの側方に、障害物、例えば壁8等があっても、必要な場合には他のコネクタ7を外せば、カバー本体5を天井1から、容易に取り出すことができる(図4参照)。しかも、抜脱防止部5hは、天井1の外面1aと面一となる基準面5aと、略直角となっており、カバー本体5を天井1の外面1aと直交する方向に取り出す際に、その取出しを、この抜脱防止部5hが邪魔することがない。
【0020】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、コンクリート体は、天井1でなくとも、間仕切壁や外壁等の壁であってもよく、その他、建物を構成するコンクリート体であればどのような構成体であってもよい。
【0021】
また、固着手段は、他のコネクタ7でなくとも、コネクタとしての機能を兼ね備えない、例えば、フランジ部7bと雄ネジ部7cとからなる等の固着具であってもよい。
【0022】
【発明の効果】
以上、詳述したところから明らかなように、この発明に係る配線・配管材引込みカバーによれば、次の効果がある。
【0023】
請求項1および2に記載された配線・配管材引込みカバーによれば、コンクリート体の外面と面一となる基準面と略直角な抜脱防止部によって、この配線・配管材引込みカバーがコンクリート体から抜け出すのを防止することができる。
【0024】
そして、カバー本体をコンクリート体から取り出す方向が、コンクリート体の外面と直交する方向となっており、コンクリート体の外側であって、カバー本体と向き合うところの側方に障害物があっても、必要な場合には固着手段を外せば、カバー本体をコンクリート体から、容易に取り出すことができる。
【0025】
また、請求項3に記載された配線・配管材引込みカバーによれば、加えて、抜脱防止部が、カバー本体の回動中心となるコネクタ側である一方側とは離れた他方側に設けられており、この抜脱防止部の機能を十分に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る配線・配管材引込みカバーの一実施の形態の、断面図である。
【図2】同じく、カバー本体の斜視図である。
【図3】同じく、天井の形成過程を示す断面図である。
【図4】同じく、カバー本体をコンクリート体から取り出す過程を示す断面図である。
【図5】従来の配線・配管材引込みカバーを示す断面図である。
【符号の説明】
1 天井(コンクリート体) 1a 外面
2 保護管(配線・配管材の保護管) 3 配線・配管材引込みカバー
4 コネクタ 4a 軸心
4b 内側空間 4c 雌ネジ部
5 カバー本体 5a 基準面
5b 開口部 5e 取付板
5h 脱抜防止部
7 他のコネクタ(固着手段) 7c 雄ネジ部
D1 一方側 D2 他方側

Claims (3)

  1. 建物のコンクリート体に埋設される配線・配管材の保護管の端部と繋がるとともに、前記コンクリート体の外側に臨むようにしてそのコンクリート体に埋め込まれる、配線・配管材引込みカバーであって、
    前記保護管の端部が接続される中空のコネクタと、前記コンクリート体の外面と面一となる基準面を備えるカバー本体とを有し、
    前記コネクタは、前記カバー本体の一方側に設けられるとともに、そのコネクタの軸心が、前記カバー本体の他方側ほど前記基準面に近づくように、前記基準面に対して傾斜して設けられ、かつ、前記コネクタは、前記カバー本体の外側に、そのコネクタの一方側の端面が前記カバー本体の取付板に当接するようにして、前記カバー本体に、固着手段を介して着脱可能に取り付けられ、
    前記カバー本体は、前記コネクタの内側空間と連通するとともに前記基準面側に開口する開口部を備え、また、
    前記カバー本体には、そのカバー本体の一方側を中心として、他方側が前記コンクリート体から抜け出すように回動するのを防止する抜脱防止部が、前記基準面と略直角となるようにして備わり、
    前記カバー本体は、前記固着手段が外されると、前記コネクタを残して、前記コンクリート体から、そのコンクリート体の前記外面と直交する方向に取り出し可能となっていることを特徴とする、配線・配管材引込みカバー。
  2. 前記固着手段は、雄ネジ部が形成された中空の他のコネクタからなり、また、前記コネクタには、雌ネジ部が形成されており、
    前記コネクタの雌ネジ部に、前記他のコネクタの雄ネジ部が螺合することで、前記取付板を、前記コネクタと前記他のコネクタとで挟み込むことを特徴とする請求項1に記載の、配線・配管材引込みカバー。
  3. 前記抜脱防止部は、前記カバー本体の他方側に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の、配線・配管材引込みカバー。
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