JP3565443B2 - 噴射装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は,フオトマスク製造等に用いられる液体噴射装置に関するもので、詳しくは、高精度で温度制御できる液体噴射装置及び噴射処理液の温度制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、フオトマスク等の微細加工に用いられる液体噴射装置200は、図2に示される機能図のように、配管20L3を介して高圧のNガス等の気体204に加圧される加圧タンク本体201と、噴射処理に用いる処理液の温度を制御するための温調器202と噴射処理部203からなっており、高圧のNガス等の気体204により、加圧タンク本体201から押し出された液体205はテフロン・チューブ等の配管20L1で導かれ、必要に応じて温調器202およびフイルター(図示していない)を通り、配管20L2を経て使用される噴射処理部203内においてノズル203Nより噴霧(以後、噴射と言う)される。処理液の噴射の制御は制御弁203Vによりなされ、液体を噴射しない場合は制御弁を閉じて処理液を遮断する。
このような噴射装置においては、制御弁203Vを遮断することにより、噴射処理部203内での噴射処理への処理液の供給が停止され噴射は止まるが、制御弁203が遮断された際には、温調器202および制御弁203間の配管20L2内に噴射処理用の液体が滞留してしまう。この為、滞留した噴射処理用の処理液は外界の影響を受け、温度上昇あるい温度下降の変化を起こし、制御弁203を開き噴射処理用の液体の供給を再開した直後の供給液体の温度が所望の温度に制御されず、処理される製品へ品質的に大きな影響を与えることがある、特に、フオトマスクの現像、エッチング等の噴射処理の場合、大きな問題となっていた。
この問題に対応する方法として、配管20L21部に断熱材205を巻き、外界からの温度影響を低減する方法が採れてきたが、噴射停止時間が長時間になると少なからず外界の影響を免れない。
別に、配管20L21部を二重配管とし、外部配管に温度調整用の水を流す方法も提案されている。この方法の場合は、コスト面、メンテナンスの点で負担の面で問題がある。
又、特に、微細な加工を行うフオトマスク製造等のプロセスにおいては、噴射装置としては、噴射の安定の良いことを前提として、高い温度制御のでるものが求められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況のもと、フオトマスク製造プロセス等に使用される噴射装置において、外界からの温度影響を殆ど受けない、高精度の温度制御できる装置を提供しようとするもので、且つ、噴射の安定が良いものを提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の噴射装置は、加圧されたタンクから、処理液を温度制御して噴射処理部内へ供給し、噴射処理を行う噴射装置であって、少なくとも、処理液を供給するための加圧されたタンク本体と、処理液を温度調整するための温調器と、噴射処理を行うための噴射処理部と、噴射処理しない場合には処理液を循環させて回収するための回収タンクと、処理液の循環、噴射等を制御するための複数の電磁弁とを有しており、加圧タンク本体には、加圧するための加圧気体流入配管および処理液を噴射処理部へ送るための配管が設けられており、処理液を噴射処理部へ送るための配管と噴射処理部との間には、処理液の温度を制御するための温調部が設けられており、噴射処理部には、処理液の噴射を制御する電磁弁を介してノズル(スプレーとも言う。)が設けられており、且つ、処理液を噴射しない場合には回収タンクへと処理液を循環させるための電磁弁を介した配管を設けており、回収タンクにはタンク内を外気圧にするための電磁弁を介した配管と、処理液を回収するための電磁弁を介した噴射処理部と連結する配管があり、且つ、回収タンクと加圧されたタンク本体間には、両者の気体圧を調整するための電磁弁を介した配管、回収した処理液を加圧されたタンク本体へ流入するための電磁弁を介した配管が設けられている、ことを特徴とするものである。
そして、本発明の噴射装置は、上記において、回収タンクを2つ以上設け、これらの回収タンクを必要に応じ交互に使用することを特徴とするものである。
又、本発明の噴射装置は、回収タンク内の回収した液が加圧タンク本体内の処理液の位置より高い位置になるように配置し、且つ、重力により、回収タンク内から加圧タンク本体内への処理液の流入を行うことを特徴とするものである。
【0005】
【0006】
【作用】
本発明の噴射装置は、上記のような構成にすることにより、噴射処理部へ供給された、処理液は、噴射処理を停止している場合においても、噴射処理部内で停滞することなく継続して循環させることを可能としており、結局、外界から、処理液が温度変化を受けにくい装置としている。
詳述すると、処理液を圧縮されたN2 ガス等で押出す加圧タンク本体を設けることにより、圧縮されたガスが処理液の循環動力源となり、処理液の循環を可能としており、回収タンクを設け、且つ、噴射処理装置内に電磁弁を介した回収タンクへの配管を設けていることにより、噴射処理の停止の際にも液の循環を可能としている。
また、回収タンクを2つ以上設けて、これらの回収タンクを交互に使用することにより、停止することなく継続的に循環と、噴射処理を可能としている。さらに、回収タンク内の回収した液が加圧タンク本体内の処理液の位置より高い位置になるように配置したこととにより、回収タンク内の回収した液を重力のみにより、加圧タンク本体に流入することを可能とし、特別に加圧タンク本体へ流入させるためのポンプ等装置を必要としない。
【0007】
【実施例】
本発明の噴射装置の実施例を挙げ、実施例噴射装置と本発明の噴射装置による処理液の温度制御方法について、以下、図1にそって説明する。
図1は、本実施例の噴射装置を示す概略図である。図1中、100は噴射装置、101は加圧タンク本体、102A、102Bは回収タンク、103は温調器、104は噴射処理部、104Nはノズル、SVA1、SVA2、SVB1、SVB2、SVC1、SVC2、SVD1、SVD2、SVE、SVFは電磁弁である。配管L9を介して圧縮気体N2 により加圧された処理液D1は、配管L1、温調器103を経て、噴射処理部104に供給され、給液されたノズル104Nから噴射される。加圧タンク本体101から噴射処理部104への配管L1の途中において温調器103により配管L1内の処理液が所定温度に設定される。本実施例装置の場合、噴射処理に際しては、電磁弁SVFを閉じて電磁弁SVEを開いた状態で処理液がノズル104Nから噴射され、噴射処理を行わない時には、電磁弁SVEを閉じて電磁弁SVFを開いた状態で処理液が配管L2を経由して回収タンク102Aないし102Bへと循環される。
【0008】
回収タンク102A、102Bの処理液回収と液循環の動作について図1をもとに説明する。
先ず、回収タンク102Aの電磁弁SVA1を開け、電磁弁SVC1、SVD1を閉じて、回収タンク102Aを開放状態として配管L3を通し外気圧と同じ常圧にしておく。この状態で電磁弁SVFを経た液を、電磁弁SVB1を開けて電磁弁SVB2を閉じることにより、配管L21を通し回収タンク102Aに流入させる。
この状態で、回収タンク102Bの電磁弁SVA2を開け、電磁弁SVC2、SVD2を閉じて、回収タンク102Bを開放状態として配管L3を通し外気圧と同じ常圧にしておく。
回収タンク102Aが満液になったところで、電磁弁SVB1を閉じ、電磁弁SVB2を開けることにより、液回収を回収タンク102A側から回収タンク102B側に切替えて、配管L22を通し継続して液を回収タンク102Bに回収する。
回収液を回収タンク102B側に流入させている間に、回収タンク102Aに溜まった回収液を、電磁弁SVA1を閉じ、電磁弁SVC1開けて配管L5を通し回収タンク102Aと加圧タンク101との気体圧差をなくし、且つ、SVD1を開けて、配管L7を通し加圧タンク本体101に重力降下させる。
さらに、回収タンク2Aの回収液が全て加圧タンク本体101に還ったところで、電磁弁SVC1、SVD1を閉じ、電磁弁SVA1を開けて、再び、開放状態として待機させておく。
この状態で、回収タンク102Bが満液になった場合は、同様にして、回収タンク102B側から回収タンク102A側に切替え、電磁弁SVA2を閉じ、電磁弁SVC2開けて配管L6を通し回収タンク102Bと加圧タンク本体101との気体圧差をなくし、且つ、SVD2を開けて、配管L8を通し加圧タンク本体101に重力降下させる。
回収タンク102B側の回収液が全て加圧タンク本体101に還ったところで、電磁弁SVC2、SVD2を閉じ、電磁弁SVA2を開けて、再び、開放状態として待機させておく。
本実施例の噴射装置は、上記のように、回収タンク102Aと回収タンク102Bの切替えを繰り返すことにより、継続運転を可能にしている。
【0009】
本実施例の噴射装置は、このように、図2に示す従来の装置のような、噴射処理を停止した場合に処理用の液が配管等に滞留する構成でなく、液の循環を絶えず繰り返す構成で、噴射処理における液の温度を高精度で制御可能とするものである。
又、回収液の循環を全て電磁弁を用いた圧力調整によっておこなっており、従来、問題となっていたポンプの脈動が皆無の構造としている。
さらに、本実施例装置の場合、回収タンク内の回収した液が加圧タンク本体内の処理液の位置より高い位置になるように配置され、回収タンク内の回収した液を重力のみにより、加圧タンク本体に流入することを可能としており、特別に加圧タンク本体へ流入させるためのポンプ等装置を必要としない構成である。
温度制御されて循環される処理液と噴射用のノズルNとの距離は、噴射処理停止においても外界からの温度影響が無視できる程、できるだけ短かくしてある。尚、処理液濾過用の(図1に示していない)フイルターは、処理液循環ないし噴射処理用のノズル4Nの直前等の適当な所定の箇所に設けると良い。
【0010】
本発明の噴射装置による処理液の温度制御方法は、上記実施例装置等を用いて行うもので、加圧タンク本体から、温度制御されて噴射処理部内に供給された処理液を噴射処理停止時に溜めることなく、噴射処理部内を介して、循環させ、再度温度制御を経て使用するもので、このような構成とすることにより、常に温度制御された処理液が噴射用ノズルの直前迄供給されていることとなり、噴射処理用の処理液を高精度で安定的に温度制御できる。
また、本発明の噴射装置による処理液の温度制御方法における処理液の循環は、噴射処理部からの処理液を一旦回収タンクに回収し、且つ、回収タンクに回収された処理液を加圧タンク本体へ流入させながら行うもので、上記実施例装置を用いた場合のように、回収タンクを2つ以上設け、これらの回収タンクを必要に応じ交互に使用する。
【0011】
【発明の効果】
本発明は、上記のように、噴射処理における処理液の温度を高精度で制御可能とするものであり、従来のポンプを用いた循環システムとは異なり、回収液の循環を全て電磁弁を用いた圧力調整によっておこなっており、脈動による悪影響も皆無としている。
結果として、フオトマスク等の微細加工に要求される液体噴射処理において、温度安定性が高い処理を可能としている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の噴射装置図
【図2】従来の噴射装置図
【符号の説明】
100 噴射装置
101 加圧タンク本体
102A、102B 回収タンク
103 温調器
104 噴射処理部
104N ノズル
D1 処理液
SVA1、SVA2、SVB1、SVB2 電磁弁
SVC1、SVC2、SVD1、SVD2 電磁弁
SVE、SVF 電磁弁
L1、L2、L21、L22、L3、L4 配管
L5、L6、L7、L8、L9 配管
200 噴射装置
201 加圧タンク本体
202 温調器
203 噴射処理部
203N ノズル
203V 電磁弁
204 気体
D2 処理液
20L1、20L2、20L21、20L3 配管

Claims (3)

  1. 加圧されたタンクから、処理液を温度制御して噴射処理部内へ供給し、噴射処理を行う噴射装置であって、少なくとも、処理液を供給するための加圧されたタンク本体と、処理液を温度調整するための温調器と、噴射処理を行うための噴射処理部と、噴射処理しない場合には処理液を循環させて回収するための回収タンクと、処理液の循環、噴射等を制御するための複数の電磁弁とを有しており、加圧タンク本体には、加圧するための加圧気体流入配管および処理液を噴射処理部へ送るための配管が設けられており、処理液を噴射処理部へ送るための配管と噴射処理部との間には、処理液の温度を制御するための温調部が設けられており、噴射処理部には、処理液の噴射を制御する電磁弁を介してノズルが設けられており、且つ、処理液を噴射しない場合には回収タンクへと処理液を循環させるための電磁弁を介した配管を設けており、回収タンクにはタンク内を外気圧にするための電磁弁を介した配管と、処理液を回収するための電磁弁を介した噴射処理部と連結する配管があり、且つ、回収タンクと加圧されたタンク本体間には、両者の気体圧を調整するための電磁弁を介した配管、回収した処理液を加圧されたタンク本体へ流入するための電磁弁を介した配管が設けられている、ことを特徴とする噴射装置。
  2. 請求項1において、回収タンクを2つ以上設け、これらの回収タンクを必要に応じ交互に使用することを特徴とする噴射装置。
  3. 請求項1ないし2において、回収タンク内の回収した液が加圧タンク本体内の処理液の位置より高い位置になるように配置し、且つ、重力により、回収タンク内から加圧タンク本体内への処理液の流入を行うことを特徴とする噴射装置。
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