JP3565430B2 - 溝付きブロックおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信分野等で用いる機械式光スイッチの溝付きブロックに関し、特に光ファイバーを固定するV溝と逆台形状もしくは矩形状の位置決め用溝を有する溝付きブロックとその製造方法に係わる。
【0002】
【従来技術】
光通信分野では、非常に細いコア(コア径10μm以下)を有する光ファイバーを高精度に接続することが不可欠である。ここで接続とは、光ファイバーの端面同士を近接・対向させて光信号を伝達することを含む用語として用いる。一般に、複数本の光ファイバーをサブミクロンオーダーの精度で一括接続するためには、V溝付きブロック(以下、従来技術の説明でVブロックと称する)が用いられている。このV溝は、光ファイバー固定用溝である。用途としては、光ファイバーの多芯接続の他に、LD(レーザーダイオード)アレイと多芯光ファイバーの接続、光導波路と多芯光ファイバーの接続、機械式光スイッチにおける光ファイバーの接続等がある。
【0003】
Vブロックの形成方法には、石英等の基板に機械加工でV溝を形成する方法の他に、エッチングを用いた微細加工による方法がある。例えば、(100)面のシリコンウェハーをアルカリエッチングすると、エッチング速度の結晶方位依存性によって先端角度70.56°のV溝が形成される(異方性ウェットエッチング)。このようなV溝加工方法は、例えば「エレクトロニクスの微細加工」(総合電子出版社)に開示されている。シリコンのウエットエッチングによる微細加工の手順は、シリコンウェハーに熱酸化膜を形成し、その上にフォトレジストパターンを形成し、フォトレジストパターンをマスクとして熱酸化膜をエッチングし、熱酸化膜をマスクとしてシリコンをウエットエッチングするというものである。<111>方向にはエッチングが進行しないため、V溝深さ精度はマスクで規定するV溝幅精度で決まる。V溝幅やピッチ精度(V溝同士の間隔)はフォトレジストパターンのマスクで精度良く形成することができる。シリコンウェハー上に精度良く多数のV溝を形成して、シリコンウェハーを分割加工してVブロックを大量に作製することができる。精度±0.5μm以下に加工することができるウエットエッチング条件(液組成や温度)が検討されている。さらに高精度にV溝を加工するために、エッチングをドライエッチングで行なってアンダーエッチングの影響を無くすことにより、精度±0.3μmの溝加工がなされている。ドライエッチングは等方エッチングであるため、矩形溝になる。ただし、先にウェットエッチングで小さいV溝を形成した後にドライエッチングを行なってV溝を形成することもできる。
【0004】
正確な位置決めを行なう光スイッチにおいて、光ファイバーを固定するV溝以外の溝(逆台形もしくは矩形溝)を設けることがある。V溝以外の溝は、位置決め用溝として、ガイドピン支持溝やガイドレール(ガイド溝)として用いられる。これらの溝の精度が、Vブロックの光ファイバー同士の突き合わせ位置精度を左右する。従って、位置決め用溝には、高い寸法精度が要求される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、V溝の形成に用いられる機械研削やエッチング加工方法では高い寸法精度で逆台形溝もしくは矩形溝をシリコンに形成することは難しい。機械加工で矩形溝、逆台形溝を基板に形成することはできるが、台形の面を1回の研削で高精度に加工することは困難である。研削加工を複数回行なって高精度な逆台形溝を作ることは可能であるが、工数が多くなる。また、加工工程数が増えることもあり加工歩留まりを高くすることも難しい。従って、大量生産には向いていなかった。
【0006】
ウエットエッチングを用いた微細加工では、V溝を形成する途中段階でエッチングを止めて逆台形溝を形成することができる。ただし、逆台形溝の深さを高精度にかつ再現性良く形成するには、エッチング液の組成や液の温度等のエッチング条件を正確に管理する必要がある。エッチング液組成がずれたりエッチング液の温度が変わったりすると、エッチング速度(エッチングレート)が変わり、エッチング量(深さ)を時間で管理することが難しい。この方法で作製した溝の深さ精度は実用的には±2μm程度である。また、ドライエッチングも同様にエッチング時間だけでエッチング深さを制御することは難しい。また、イオンミリングの様にイオンを被エッチング材に衝突させてエッチングする場合、エッチングされたものが再付着する等の問題がある。
【0007】
本発明の目的は、高い精度で加工した逆台形状もしくは矩形状の位置決め用溝を備え、歩留まり良く大量生産することが可能なV溝を有するの溝付きブロックを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の溝付きブロックは、シリコンとソフトフェライト(以降、フェライトと言う)からなり、ガイドピンを設ける逆台形状の位置決め用溝は、シリコンの2つの斜面とフェライトの一面で構成され、光ファイバーを設けるV溝はフェライトと平行なシリコン面に設けられていることが好ましい。位置決め用溝はシリコンの2つの垂直面とフェライトの一面で構成した矩形溝とすることもできる
【0009】
シリコンとフェライトからなる2層板を準備する。次に、シリコンをエッチングして位置決め用溝を形成しようとすると、フェライトがエッチングストッパーとなるため、溝深さを精度よく加工することができる。エッチングとは、エッチング液を用いたウエットエッチングおよび、反応性ガスを用いたドライエッチングを言う。ここで、前記位置決め用溝は複数の部材の面で構成する。これに対して、光ファイバーを固定するためのV溝はシリコンの位置決め用溝を構成しない面つまり、フェライトと平行な面に形成する。光ファイバーを固定しやすいように溝の断面形状をV形にするが、このV形溝はシリコンの2つの斜面で構成される。なお、2層板はシリコンとフェライトを接着剤で接合したものである。
【0010】
上記本発明の溝付きブロックにおいて、シリコンとフェライトの対向する面のいずれかの面に接着剤用溝を有し、前記接着剤用溝に充填した接着剤によって前記シリコンと前記フェライトを接合することを特徴とする。この構成は、シリコンもしくはフェライトに一様に接着剤を塗布してから接合するのではなく、シリコンとフェライトを接合する面のうち、位置決め用溝を形成しない箇所に接着用の溝を設け、接着剤を溝内に充填し接合するものである。接着層の厚みを無視できるので精度の良い位置決め用溝を形成できる。また、接着用の溝部に樹脂が充填されているため、位置決め用溝の底面及び側面に接着剤が露出しない。エッチングストッパーとしても機能するフェライトは、エッチング液に耐性のあることが重要である。エッチングに耐性があるということは、エッチング液で全くエッチングされないか、エッチングレート(時間当たりのエッチング量を言う)が、被エッチング材に比べ著しく小さい事を言う。接着剤用溝は、フォトリソグラフィー技術を利用したエッチングで形成することができる。接着剤を充填できるのであれば、接着剤用溝の断面形状は任意の形状にしてよい。接着剤は樹脂系に限らず、低融点ガラス等を用いることもできる。
【0011】
上記本発明の溝付きブロックは、シリコンをエッチングして前記位置決め用溝を形成する際に、フェライトをエッチングストッパーとして機能させることにより、寸法精度の高い位置決め用溝を形成できる。エッチングストッパーとは、エッチング処理の進行を止める部材に相当する。エッチングストッパーとして機能するフェライトを用いてエッチング処理するため、単一のシリコンで構成したブロックをエッチングして形成した位置決め用溝(逆台形溝)に比べて溝深さの寸法精度が高い。位置決め用溝として逆台形溝の深さを0.1〜0.5mmとしたときに±0.5μmの精度で加工できる。精度が高いため、この溝付きブロックを光スイッチの可動ブロックや固定ブロックとして使うとができる。
【0012】
光スイッチにおいて、可動ブロックを電磁アクチュエーターにより平行移動させることで光路を切り替える場合、溝付きブロックは磁界で吸引される磁性体であることが重要である。溝付きブロックを非磁性材のシリコンと磁性材であるフェライトの組合わせとすることで、磁界で吸引される溝付きブロックが得られる。
【0013】
少なくとも、可動ブロックのフェライト面はガイドピンと摺動することになる。また、シリコン斜面とガイドピンは接触することになる。ガイドピンの摺動でフェライト面が磨耗してしまうと、位置決め溝の深さが変化することになり、光ファイバーの対向に不具合が生じてしまう。フェライトはビーカース硬度で550から650あり、充分な耐磨耗性を有している。フェライトには多結晶ソフトフェライトを用いることも出来るが、結晶方向の揃った単結晶ソフトフェライトを用いることがより好ましい。ソフトフェライト材料も飽和磁束密度と透磁率の高いMn−Zn系を用いることがより好ましい。
【0014】
シリコンの2つの斜面もしくは側面とフェライトの一面で囲われた領域が位置決め用溝となる。フェライト面が位置決め用溝の深さ方向のエッチングを停止させるように機能するために、従来の方法に比べて台形溝の深さを高精度に再現性良く形成することができる。シリコンは、予め厚さ精度の良いものを用いる。フェライトに所望の厚さより僅か厚いシリコンを接合した後に、シリコンを研磨加工して所望の厚さおよび精度を得ても良い。アルカリ溶液を用いたウェットエッチングあるいは反応性ガスを用いたドライエッチングによって位置決め用溝を形成する。
【0015】
上記本発明の製造方法において、分割される側のシリコンの厚さdと位置決め用溝の深さhが同等であることを特徴とする。
【0016】
本発明の溝付きブロックの製造方法は、シリコンのエッチングレートは、フェライトのエッチングレートの10倍以上であり、シリコンのエッチングはウエットエッチングもしくは反応性ガスを使用したドライエッチングで行うことを特徴とする。エッチングレートとは、エッチング液もしくは反応性ガスに被エッチング材を曝し、単位時間当たりエッチングされる量(深さ)を言う。シリコンのエッチングレートは、フェライトのエッチングレートの10倍以上、好ましくは20倍以上である。この様にエッチングレートの差を利用することで、シリコンの途中でエッチングを止める方式に比べ、エッチング量のばらつきを1/10以下に抑えることができる。エッチングはエッチング液もしくは反応性ガスを用いたドライエッチング(反応性イオンエッチング)を用いる事が好ましい。アルゴン等のイオンを被エッチング物にぶつけて削るイオンミリングの様なドライエッチング方式は、削られたものが再付着し寸法精度を落とすので使用するのはあまり好ましくはない。
【0017】
本発明の溝付きブロックは、シリコンもしくはフェライトの面に接着剤用溝を形成する工程、シリコンとフェライトを接着剤で貼りあわせる工程、シリコン面にフォトレジストを形成する工程、シリコンをエッチングして少なくとも2個以上のブロック部材に分割し、ブロック部材の2つの斜面とフェライトの一面で位置決め用溝を形成する工程、シリコン面と位置決め用溝にフォトレジストを形成する工程、フェライトと平行なシリコン面をエッチングして光ファイバーを固定するためのV溝を形成する工程を有することが好ましい。V溝を形成する工程と位置決め用溝を形成する工程を前後させることは何ら問題はない。
【0018】
シリコンとフェライトが接合されたウェハー上にシリコンの斜面とフェライトの面で構成された位置決め用溝と、シリコンのV溝を多数作製し、ウェハーを分割して前記溝付きブロックを作製することで、各々の位置決め用溝の深さ精度を均一に形成できるため、本発明の構成と製造方法は大量生産に向いている。従来のエッチングストッパー材を用いない方法では、シリコンウェハー上で溝の深さhを大面積にわたり均一且つ高精度にエッチングで形成することが難しく、大量生産することが難しかった。
【0019】
上記本発明の溝付きブロックを用いた光スイッチは、光ファイバーの端面同士を正確に対向させることができ、損失の少ない光スイッチを得ることができる。また、高精度の溝付きブロックを安価に大量に供給できるためスイッチ自体の低価格化と大量生産にもつながる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の溝付きブロックおよび該溝付きブロックを用いた光スイッチに係る実施形態を説明する。 図1〜図4にて、実施形態1を説明する。図1は溝付きブロックの斜視図である。この溝付きブロック20は、フェライト1に、2本のV形の光ファイバーを固定するV溝6を有するシリコンのブロック部材2と、その両側に沿って設けたシリコンのブロック部材3および4を有する。ブロック部材2とブロック部材3の間にはフェライトの面1bが露出され、ブロック部材の斜面3b,2bと共に逆台形溝5aを構成している。同様に、ブロック部材2とブロック部材4の間にはフェライトの面1bが露出され、逆台形溝5bを構成している。逆台形溝5a及び5bは、位置決め用溝である。フェライト1の厚さtは0.8mmとし、シリコンのブロック部材2,3,4の厚さd(=溝深さh)は0.3mmとした。逆台形溝の幅wは0.83mmとした。フェライトは、Mn−Zn単結晶ソフトフェライトで、磁気特性は飽和磁束密度0.51(T)、保磁力4.1A/m、初透磁率1300(at0.5MHz)の特性のものを用いた。
【0021】
図2は、図1の溝付きブロックを作製する工程を説明するプロセスフロー図である。(工程S1)まず、平坦なフェライト1の上面にシリコン10を接合させた。(工程S2)次に、シリコン10の上面にフォトリソグラフィー技術によってレジストのマスク11及び12を被覆した。マスクの間に露出させたシリコン10の上面を、85℃の水酸化カリウム4.5モル%溶液を用い異方性ウェットエッチングでエッチングを行い、一対のV溝6を形成した。マスク11及び12は、有機溶剤系の剥離液を用いて除去した。(工程S3)次に、V溝6を覆うマスク15と、台形溝の幅を決める一対のマスク16を被覆した。マスク間に露出させたシリコン10の上面を、85℃の水酸化カリウム4.5モル%溶液を用い異方性ウェットエッチングでエッチングを行い、一対の位置決め用溝となる逆台形溝5a及び5bを形成した。この際、フェライト1はエッチングストッパーとして機能した。シリコン10は分離されて、中央のブロック部材2と、基板端の2つのブロック部材3及び4となった。(工程S4)次に、剥離液を用いてマスク15及び16を除去し溝付きブロック20を得た。85℃の水酸化カリウム4.5モル%溶液を用いたエッチングレートは、シリコンが1(μm/分)フェライトが0.02(μm/秒)と、約50倍の差であった。
【0022】
図3は、図1の溝付きブロックを固定ブロックと可動ブロックに用いた光スイッチの斜視図である。同図は、2x4光スイッチについて蓋材35をはずした様子を示している。点線に沿って蓋材35と筺体30を接着剤40で接合させた状態は後で説明する図4に示す。この光スイッチは、ファイバー駆動用電極33に流す電流の向きを変えることにより、光ファイバー切替手段を駆動し、可動ブロック20に固定された可動光ファイバー22と対向する固定ブロック23に固定された固定光ファイバー27の組合せを変更して、可動光ファイバー22あるいは固定光ファイバー27から入射させたレーザー光を固定光ファイバー27あるいは可動光ファイバー22に導くように光路を切替えるものである。蓋材35の一方の側面に設けられた凹み37は、筺体30に設けられた一対のファイバー駆動用電極33に対応する。凹み37は、蓋材35と筐体30を接合した状態でも、蓋材35がファイバー駆動用電極33を圧迫しないようにするために設けた。蓋材35の他端には、一対の補助電極36が打ち込まれて固定されている。なお、補助電極36は、光スイッチを回路基板に固定するためのピンとして用いたが、光スイッチ内に他の電気回路を組込んだときには電流を供給する手段として使うことができるものである。
【0023】
図3の2x4光スイッチの光ファイバー切替手段について詳細に説明する。筺体30の内部に設けた光ファイバー切替手段は、入力側の支持ブロック21と可動ブロック20と出力側の固定ブロック23と、可動ブロック20をY−Y′方向に動かすファイバー駆動回路20bと、光信号を入力する可動光ファイバー22と、光信号を出力する固定光ファイバー27を備える。2本の可動光ファイバー22は途中で支持ブロック21に支えられ、その先端を可動ブロック20に設けた。4本の固定光ファイバー27は、その先端を固定ブロック23に設けた。支持ブロック21および可動ブロック20、固定ブロック23には蓋板7を接着し光ファイバー22、27を固定した。蓋板7はガイドピン9が位置決め用の逆台形溝5a,5bから浮き上がるのを防ぐ役目も果たす。可動ブロック20と固定ブロック23は、各々に設けられた可動光ファイバー22、固定光ファイバー27の端面と共に対向させた。対向する光ファイバー間では光信号(レーザー光)の伝達が可能となる。ファイバー駆動回路20bは、略コ字状型のヨーク26にコイル25を巻き、略コ字状型のヨーク26の間に出力側の固定ブロック23と永久磁石24を配置した構成とした。ヨーク26の両方の腕に巻いたコイル25に流す電流の向きを変えることによって、ヨークの先端29の間で可動ブロック20をYもしくはY′方向に平行移動させて、可動光ファイバー22と固定光ファイバー27の対向する接続の組合せを変更することができた。可動ブロックはシリコンとフェライトから構成されており、ヨークに発生する磁界でフェライトが磁化され、YもしくはY’方向に可動ブロックが移動する。また、コイルの通電が遮断されてもヨークに設けられた永久磁石の磁界で、フェライトが磁化され可動ブロックはYもしくはY’方向に移動した状態を保持することができる。
【0024】
図7を用いてより詳細に溝付きブロックである可動ブロック20と固定ブロック23、可動光ファイバー22、固定光ファイバー27、ガイドピン9の位置関係、動作等に付いて説明する。対向している固定ブロック23と可動ブロック20の断面の配置をガイドピンを基準として示している。図7a)は図3のY方向に可動ブロックが動いた状態、図7b)はY’方向に動いた状態を示している。固定ブロック23にはガイドピン9と固定光ファイバー27が固着されている。固定ブロック23の位置決め溝5とV溝6には樹脂が充填されていても良いものである。光ファイバーやガイドピンを確実に溝内に固定するため、蓋材7を付加している。可動ブロック20は逆台形の位置決め溝5a,5bにガイドピン9が挿入されている。可動光ファイバーは22はV溝6に樹脂で固着されている。図7a)では、光ファイバー22aと27a、22bと27cが対向している。可動ブロック20がY’方向に磁力で移動するとガイドピンに沿って位置が変わり、光ファイバー22aと27b、22bと27dが対向するようになり光路が切替る。ガイドピンはシリコンのブロック部材の斜面(側面)に接触し、Y−Y’方向の位置決めをおこなうことになる。可動ブロックではガイドピンとフェライト1及び蓋材7が摺動するため、耐磨耗性が高いことが要求される。また、可動ブロックは磁力で移動するため、少なくともフェライト1が磁性材であることが必要である。蓋材7もフェライトとすることがより好ましい。固定ブロックも磁気回路の一部を担うため、可動ブロックと同様の材料構成とすることが好ましい。シリコンのブロック部材は斜面としているが、垂直に加工し矩形状とすることも可能であることは、本図から容易に理解できるものである。
【0025】
図1に示す本発明の溝付きブロック20を可動ブロックと固定ブロックに用いたため、従来の光スイッチに比べ光ファイバーの対向位置ズレを0.5(μm)、光信号を伝達する際の損失を0.3(dB)小さくした光スイッチを構成することができた。固定ブロック23は可動ブロック20と同様の構成であるが、逆台形溝の代わりに非磁性超硬ピン(ガイドピン9)を支持できる寸法の逆台形溝もしくは矩形溝を位置決め用溝として備える。固定ブロック23の逆台形溝もしくは矩形溝に2本の非磁性超硬ピンを固定し、非磁性超硬ピンの一部を逆台形溝もしくは矩形溝から突出させた。可動ブロック20において、2ヶ所の逆台形溝に前記突出させた非磁性超硬ピンを挿入した。非磁性超硬ピンは移動する可動ブロックを停止させる部材として機能するため、磁気ヨークの先端29との間に隙間を残した状態で可動ブロック20を磁気ヨークに近接して配置させたため、切替え時の電力を小さくすることができた。なお、図を複雑にしないため、図3では光ファイバーを覆う被覆の図示は省略した。
【0026】
図4は、接着剤40を介して筐体30に蓋材35を接合した様子を示す斜視図である。可動光ファイバー22と固定光ファイバー27は筐体30に設けた凹部から外部に出されており、凹部を接着剤で埋めることにより、双方の光ファイバーと筐体の間を密封した。蓋材の上面に設けた注入孔35bから屈折率整合剤を注入して、対向する可動光ファイバー22と固定光ファイバー27の端面間に屈折率整合剤を満たした後、注入孔35bを密封して光スイッチを完成させた。
【0027】
図5は、本発明の他の実施形態を説明する断面図である。図5に挙げる構成はすべて基板1の面がエッチングストッパーとして機能するものである。図5(1)はフェライト1上に、一対のV溝6を設けたシリコンのブロック部材2と、ブロック部材2と共に位置決め用溝となる矩形溝5c,5dを構成するブロック部材3,4を設けた溝付きブロック50である。この構成の製造手順は図2と同様であるが、位置決め用溝として逆台形溝に代えて矩形溝を形成した点が異なる。これは、矩形溝をエッチングで形成する際に異方性ウェットエッチングに代えて、反応性ガス(CF)を用いたリアクティブイオンエッチング(RIE)のドライエッチングを用いたためである。
【0028】
図5(2)〜(3)は図2の変形例である。図5(2)の溝付きブロック50bが図2と異なる点は、フェライト1にエポキシ樹脂の接着剤52を充填するための接着剤用溝51を備え、接着剤52を介してフェライト1とシリコンのブロック部材2,3,4を結合している点である。この製造工程の詳細は図6で説明する。また、図5(3)の溝付きブロック50cは、図5(2)とは逆に、接着剤52を充填する接着剤用溝51をシリコンのブロック部材2,3,4の側に設けて、基板1とブロック部材を結合している。接着剤用溝51にエポキシ樹脂の代わりに低融点のガラスを用いることも出来る。軟化点430℃の低融点ガラス棒を接着剤用溝51に挿入し、ガラス軟化点より120から200℃高い温度で20分間加熱し、ガラスをフェライトとシリコン間に流し込み接着することもできる。
【0029】
図6は、図5(2)の溝付きブロックを作製する工程を説明するプロセスフロー図である。(工程S61)まず、フォトリソグラフィーによるレジストマスク形成とエッチングによって、フェライト1に複数の接着剤用溝51を形成した。接着剤用溝51を埋めるようにエポキシ樹脂の接着剤52を塗布した。(工程S62)フェライト1の接着剤52を設けた側にシリコン10を貼り合わせて接合させた。(工程S63)次に、シリコン10の上面にフォトリソグラフィー技術によってレジストのマスク11及び12を被覆した。マスクの間に露出したシリコン10の上面を、異方性ウェットエッチングで削って、一対のV溝6を形成した。マスク11及び12は、剥離液を用いて除去した。(工程S64)次に、V溝6を覆うマスク15と逆台形溝の幅を決める一対のマスク16をシリコン基板10上に被覆した。マスク間に露出したシリコン10の上面を、異方性ウェットエッチングで削って、逆台形溝5a及び5bを形成した。シリコン10の深さ方向のエッチングは、フェライト1の面が露出した段階で止めた。異方性ウェットエッチングによりシリコン10は分離されて、中央のブロック部材2と、端の2つのブロック部材3及び4となった。(工程S65)次に、剥離液を用いてマスク15及び16を除去溝付きブロック50bを得た。シリコン10の厚さdは0.3mmとした。逆台形溝の幅wは0.83mmとした。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、少なくとも2つ以上のシリコンのブロック部材をフェライト上に有し、少なくとも隣り合うブロック部材の斜面とフェライトの面で位置決め用溝を構成し、前記位置決め用溝の断面形状は逆台形もしくは矩形であり、前記シリコンのブロック部材の少なくとも1つに光ファイバーを固定するための固定用溝を1つ以上有する本発明の構成を用いることにより、加工精度の高い溝付きブロックを量産性良く得ることができたまた、高精度の溝付きブロックを安価に大量に供給できるため光スイッチの低損失化が実現でき、光スイッチの低価格化と大量生産にもつながった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である溝付きブロックを説明する斜視図である。
【図2】図1の構成の製造工程を説明するプロセスフロー図である。
【図3】図1の溝付きブロックを用いた光スイッチの斜視図である。
【図4】図3の構成で、筐体に蓋を接着させた様子を示す斜視図である。
【図5】本発明の他の実施形態の溝付きブロックを説明する平面図である。
【図6】本発明の他の実施形態の製造工程を説明するプロセスフロー図である。
【図7】本発明の溝付きブロックを用いた光スイッチの位置関係、動作を説明する図である。
【符号の説明】
フェライト、1b フェライトの面、2 ブロック部材、
2b ブロック部材の斜面、3,4 ブロック部材、
3b ブロック部材の斜面、5a,5b,5c,5d 逆台形溝
V溝、7 蓋材、9 ガイドピン、10 シリコン
11,12 マスク、15 マスク、16 マスク、
20 溝付きブロック(可動ブロック)、20b ファイバー駆動回路、
21 支持ブロック、22 可動光ファイバー、23 固定ブロック、
24 永久磁石、25 コイル、26 ヨーク、27 固定光ファイバー、
29 ヨーク先端、30 筐体、33 ファイバー駆動用電極、35 蓋材、
35b 注入孔、36 補助電極、37 凹み、40 接着剤、
50,50b,50c 溝付きブロック、51 接着剤用溝、52 接着剤。

Claims (4)

  1. 可動光ファイバーを支持する可動ブロックと、固定光ファイバーを支持する固定ブロックを有し、前記可動ブロックを平行移動させる際のストッパーとして、前記固定ブロックには突出させた1本以上のガイドピンを設け、前記可動ブロックには前記ガイドピンを挿入させる為に1カ所以上の逆台形状もしくは矩形状の位置決め用溝を設け、前記可動ブロックの位置決め用溝内で前記ガイドピンが平行移動することによって光路を切替える光スイッチに用いる溝付きブロックと称する可動ブロックと固定ブロックであって、該可動ブロックと固定ブロックはシリコンとソフトフェライトからなり、ガイドピンを設ける逆台形状もしくは矩形状の位置決め用溝は、シリコンの2つの斜面(側面)とソフトフェライトの一面で構成され、光ファイバーを設けるV溝はソフトフェライトと平行なシリコン面に設けられていることを特徴とる溝付きブロック。
  2. シリコンとソフトフェライトの対向する面のいずれかの面に接着剤用溝を有し、前記接着剤用溝に充填した接着剤によって前記シリコンと前記ソフトフェライトが接合されたことを特徴とする請求項1に記載の溝付きブロック。
  3. シリコンもしくはソフトフェライトの面に接着剤用溝を形成する工程、シリコンとソフトフェライトを接着剤で貼りあわせる工程シリコン面にフォトレジストを形成する工程、シリコンをエッチングして少なくとも2個以上のブロック部材に分割し、ブロック部材の2つの斜面(側面)とソフトフェライトの一面で位置決め用溝を形成する工程、シリコン面と位置決め用溝にフォトレジストを形成する工程、ソフトフェライトと平行なシリコン面をエッチングして光ファイバーを固定するためのV溝を形成する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の溝付きブロックの製造方法。
  4. シリコンのエッチングレートは、ソフトフェライトのエッチングレートの10倍以上であり、シリコンのエッチングはウエットエッチングもしくは反応性ガスを使用したドライエッチングで行うことを特徴とする請求項3に記載の溝付きブロックの製造方法。
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