JP3115421B2 - 光ファイバ駆動方法及び光モジュールとその組み付け方法 - Google Patents

光ファイバ駆動方法及び光モジュールとその組み付け方法

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JP3115421B2 JP20373092A JP20373092A JP3115421B2 JP 3115421 B2 JP3115421 B2 JP 3115421B2 JP 20373092 A JP20373092 A JP 20373092A JP 20373092 A JP20373092 A JP 20373092A JP 3115421 B2 JP3115421 B2 JP 3115421B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光通信、光情報処理等に
応用される技術であって、光ファイバの一部を微動させ
る光ファイバ駆動方法、及び、光ファイバなどの光学部
品と受・発光素子及び光機能素子等からなる光モジュー
ルとその組み付け方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光ファイバの微動方法及び光モジ
ュールの組み付け方法としては、例えば、図5に示した
ような静電駆動による光ファイバアライメント方法があ
る(1991年電子情報通信学会秋季大会講演論文集C
−160参照)。この静電駆動アライメント機構は、側
面を金属コートしたファイバ、2枚の電極を形成したV
溝、ファイバとV溝上の電極間に数十μm程度の隙間を
形成するためのV溝型スペーサ、ファイバ周囲を満たす
紫外線硬化型接着剤から構成され、このファイバとV溝
上の電極との間に電圧を印加したときの静電引力により
ファイバを駆動してアライメントを行なう。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】光モジュールの小型化
や生産性の向上のため光部品と光ファイバとの接続の
際、各部品を配置させた後にアライメントできることが
望まれる。特に、複数本の光ファイバを一括して接続す
る際には、基板の反りや導波路や受光素子などの膜厚分
布に起因する位置ずれなどによる各ファイバへの結合の
バラツキを補正できることが望まれる。また、ファイバ
ーセンサーなどでは、ファイバを外部から電気的に制御
して微動させることが望まれる。そこで、この問題を解
決するために、従来、図5に示された方法があった。し
かし、この方法では、V溝上の電極と光ファイバとの間
の静電引力によりファイバを微動させているため、その
可動範囲は電極方向に限られ微動できる範囲が制限さ
れ、その微動及びアライメント可能な範囲が限られると
いう問題があった。
【0004】また、本発明者は、光ファイバの先端の所
定の部分に導電性を有する部材を装備し、光の伝搬方向
に沿って電流を流し、ファイバの伝搬方向と概略垂直方
向に磁界を印加して印加磁界の強さ、磁界の方向、電流
の大きさ及びその方向の少なくとも何れか一つを制御し
て磁界と電流との相互作用を利用してファイバの先端部
を駆動し、光モジュールの組み付けを行なう方法を提案
した。しかし、この方法では、外部より磁界を印加する
必要から、組み付け時の装置が大きくなってしまう等の
問題点が残る。
【0005】本発明は上記のような問題点に鑑みてなさ
れたものであって、調整範囲の自由度が大きい光ファイ
バ駆動方法を実現し、生産性の良い光モジュールの組み
付け方法及び光モジュールを提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明による光ファイバ駆動方法は、筐体に一部固
定された光ファイバの所定の一部分もしくは複数部を外
部からの制御によりその温度が変化可能な一つないしは
複数の部材により温度変化させ、光ファイバ内に温度分
布を形成し、その温度分布に応じた体積変化を利用して
光ファイバの先端部を駆動することを特徴とする。
【0007】また、本発明の光モジュール組み付け方法
は、一つないし複数個の部材からなる筐体上に所定の位
置に配置した一つないしは複数個の光素子と光ファイバ
を組み付ける方法であって、光ファイバを前記光素子と
概略光軸が一致するように配置して前記光ファイバの所
定の一部分もしくは複数部分を外部からの制御によりそ
の温度が変化可能な一つないしは複数の部材により温度
変化させ前記光ファイバ内に温度分布を形成し、その温
度分布に応じた体積変化を利用して光ファイバ先端部を
微動させ、アライメントした後にファイバ先端部を固定
することを特徴とする。
【0008】さらに、本発明の光モジュールは、結晶基
板上の所定の位置に配置した一つないしは複数個の光素
子と光ファイバからなる光モジュールであって、前記基
板上に光ファイバを固定するための溝と光ファイバ端を
微小領域において微動可能にするための溝とを形成し、
前記溝の一部及び前記光ファイバ上の所定の一部に少な
くとも一つの発熱体を形成し、該発熱体は少なくとも一
つの外部電気回路と電気的に接続され、光ファイバが前
記光素子と概略光軸が一致するように配置され、前記回
路の電流を制御して発熱体の温度を変化させ光ファイバ
内に温度分布を形成し、その温度分布に応じた体積変化
を利用して光ファイバ先端部を微動させ、アライメント
した後に光ファイバ先端が固定されたことを特徴とす
る。
【0009】また、上記光モジュール組み付け方法にお
いて、光ファイバの固定に光硬化性樹脂を用い、微動ア
ライメント後に光ファイバ先端部を光照射により固定す
ることを特徴とする。
【0010】
【作用】本発明による光ファイバの駆動法では、筐体に
一部固定された光ファイバの所定の一部分もしくは複数
部分を外部からの制御によりその温度が変化可能な一つ
ないしは複数の部材により温度変化させ、ファイバ内に
温度分布を形成しその温度分布に応じた体積変化を利用
してファイバの先端部を駆動させる。従って、本発明に
よれば、外部から電気的に制御可能な可動範囲の自由度
が大きい駆動方法が可能となる。
【0011】また、本発明による光モジュールの組み付
け方法では、一つないし複数個の部材からなる筐体上に
光ファイバを光素子と概略光軸が一致するように配置し
て前記光ファイバの所定の一部分もしくは複数部分を外
部からの制御によりその温度が変化可能な一つないしは
複数の部材により温度変化させ、前記光ファイバ内に温
度分布を形成し、その温度分布に応じた体積変化を利用
してファイバ先端部を微動させ、アライメントした後に
ファイバ先端部を固定する。従って、本発明によれば、
光モジュール組み付け中に外部からからの制御により光
素子と光ファイバとの位置合わせが可能になり、光モジ
ュールの小型化及び生産性の向上が可能になる。
【0012】さらに、本発明の光モジュールは、結晶基
板上の所定の位置に配置した一つないしは複数個の光素
子と光ファイバからなる光モジュールであり、前記基板
上に光ファイバを固定するための溝と光ファイバ端を微
小領域において微動可能にするための溝とを形成し、前
記溝の一部及び前記光ファイバ上の所定の一部に少なく
とも一つの発熱体を形成し、該発熱体は少なくとも一つ
の外部電気回路と電気的に接続され、光ファイバが前記
光素子と概略光軸が一致するように配置され、前記回路
の電流を制御して発熱体の温度を変化させ光ファイバ内
に温度分布を形成し、その温度分布に応じた体積変化を
利用して光ファイバ先端部を微動させ、アライメントし
た後に光ファイバ先端が固定された構成からなる。従っ
て、本発明によれば、構成が簡単で回路基板等に搭載可
能な小型の光モジュールを提供することが可能になる。
【0013】
【実施例】以下、本発明を図示の実施例に基づいて詳細
に説明する。先ず、本発明による光ファイバ駆動方法に
ついて実施例を基に具体的に説明する。図1(a),
(b)に本発明による光ファイバ駆動方法の概念図を示
す。図1において、先ず、光ファイバ固定用溝4に光フ
ァイバ1を先端部を所定の長さ突出させて固定したファ
イバ保持部材2をベース部材3の上に配置させる。この
時、ファイバ保持部材2の固定用溝4上に位置する光フ
ァイバ1の上面の一部にはあらかじめクロム等の発熱体
の薄膜5(5b)を蒸着後所定の形状にエッチングによ
りパターニングして作製している。また、光ファイバ固
定用の溝4の光ファイバ1と接触する側壁の一部とその
周りの一部にも発熱体の薄膜5(5a,5c)を蒸着及
びフォトリソグラフィの手法を用いパターニングしてお
き、前記各発熱体5(5a,5b,5c)を外部電気回
路6と接続する。そして、前記電気回路6により発熱体
5に流れる電流を制御することにより、発熱体5の温度
を可変し、光ファイバ1内の一部に温度分布を形成させ
る。これにより、高温部分はよりその体積を膨張させる
ことから、形成された温度分布に応じて光ファイバ1が
一部変形し、それにより光ファイバ先端部が微動する。
この時、各発熱体5の温度を制御することにより、光フ
ァイバ先端部の可変量及びその方向を制御することがで
きる。
【0014】次に、上記駆動方法を用いた光モジュール
組み付け方法について実施例を基により具体的に説明す
る。図2に本発明による光モジュール組み付け方法の概
念図を、図3に光ファイバ先端部の固定方法を示す。図
2に示す実施例では、光素子12にレーザダイオード
(LD)や発光ダイオード(LED)などの発光素子ア
レイを考え、光ファイバ1には多モードファイバアレイ
を仮定する。先ず、ベース部材3の上に、発光素子12
を金属膜の蒸着及びフォトリソグラフィの手法を用いて
電極パターンを形成した保持部材11の上にボンディン
グした光素子ユニットと、光ファイバ固定用溝4に光フ
ァイバ1を先端部を所定の長さ突出させて固定したファ
イバ保持部材2とを概略光軸が一致するように配置させ
る。この時、ファイバ保持部材2の各固定用溝4上に位
置する各光ファイバ1の上面の一部にはあらかじめクロ
ム等の発熱体の薄膜5を蒸着後所定の形状にエッチング
によりパターニングして作製している。また、各光ファ
イバ固定用の溝4の光ファイバ1と接触する側壁の一部
とその周りの一部にも発熱体の薄膜5を蒸着及びフォト
リソグラフィの手法を用いパターニングしておき、前記
各発熱体5を外部電気回路6と接続しておく。次に、発
光素子12を駆動し、光ファイバ1に光を入射させる。
そして、前記電気回路6により各発熱体5を流れる電流
を制御することにより、各発熱体5の温度を可変し、光
ファイバ1内の一部に温度分布を形成し、その熱変形に
よりファイバ先端部を微動する。そして、光軸調整の際
は、光ファイバ出射端での光パワーをモニターしてその
強度が最大になるように各発熱体5の温度を制御し、フ
ァイバ先端部を動かせば良い。尚、アライメント後の光
ファイバの固定は、図3に示すようにあらかじめ凝固収
縮率の小さい紫外線硬化樹脂21を光ファイバ1の先端
部に配置しておき、光軸を調整した後に紫外線20を照
射して紫外線硬化樹脂21を硬化し、光ファイバの固定
を行なう。
【0015】図4に本発明による方法により作製される
光モジュールの実施例を示す。ここでは一つのSi結晶
基板2を用いてベース部材と各保持部材の機能を実現
し、熱酸化などにより基板表面に酸化膜を形成し、これ
をマスクにしてEPW(エチレンジアミンピロカテコー
ル水溶液)などをエッチング液に用いた異方性エッチン
グの手法を用い、基板2上に精度良くファイバ保持用V
溝4及び光ファイバ1の微動を可能にするための溝7を
アレイ状に光素子12の配列と同一ピッチで精度良く作
製する。次に、通常の薄膜形成技術、フォトリソグラフ
ィの技術及び微細加工技術を用いて、光素子用電極と、
ファイバ固定用V溝の一部に発熱体5のパターンを作製
し、この後、光素子12と光ファイバ1とを概略光軸が
一致するように配置し固定する。尚、本実施例では作製
を容易にするため、発熱体5はファイバ固定用V溝4上
にのみ作製し、光素子12は若干光ファイバ1の光軸よ
り上にオフセットされている。そして、前記発熱体5を
外部電気回路(図示せず)と接続し、前述した本発明の
組み付け方法にて光ファイバ先端部の微動調整後、各フ
ァイバ先端部を前述した固定法で固定し、光モジュール
を作製する。
【0016】以上、本発明の実施例について説明した
が、本発明による光モジュール組み付け方法は上記のも
のに限らず種々の変形が可能であり、例えば、光素子が
受光素子の場合はファイバ端面からの伝搬光を受光素子
で電気的にモニターすることによりモジュールを組み付
ければ良い。また、光ファイバにシングルモードファイ
バや先球加工された光ファイバを用いることができ、光
素子としても種々の導波路デバイスが考えられる。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の光
ファイバ駆動方法によれば、筐体に一部固定された光フ
ァイバの所定の一部分もしくは複数部分を外部からの制
御によりその温度が変化可能な一つないしは複数の部材
により温度変化させ、ファイバ内に温度分布を形成しそ
の温度分布に応じた体積変化を利用してファイバの先端
部を駆動させるため、外部から電気的に制御可能な可動
範囲の自由度が大きい駆動方法が可能となる。
【0018】請求項2記載の光モジュール組み付け方法
によれば、一つないし複数個の部材からなる筐体上に光
ファイバを光素子と概略光軸が一致するように配置して
前記光ファイバの所定の一部分もしくは複数部分を外部
からの制御によりその温度が変化可能な一つないしは複
数の部材により温度変化させ、前記光ファイバ内に温度
分布を形成し、その温度分布に応じた体積変化を利用し
てファイバ先端部を微動させ、アライメントした後にフ
ァイバ先端部を固定する方法のため、光モジュール組み
付け中に外部からからの制御により光素子と光ファイバ
との位置合わせが可能になり、光モジュールの小型化及
び生産性の向上が可能になる。
【0019】請求項3記載の光モジュールは、結晶基板
上の所定の位置に配置した一つないしは複数個の光素子
と光ファイバからなる光モジュールであり、前記基板上
に光ファイバを固定するための溝と光ファイバ端を微小
領域において微動可能にするための溝とを形成し、前記
溝の一部及び前記光ファイバ上の所定の一部に少なくと
も一つの発熱体を形成し、該発熱体は少なくとも一つの
外部電気回路と電気的に接続され、光ファイバが前記光
素子と概略光軸が一致するように配置され、前記回路の
電流を制御して発熱体の温度を変化させ光ファイバ内に
温度分布を形成し、その温度分布に応じた体積変化を利
用して光ファイバ先端部を微動させ、アライメントした
後に光ファイバ先端が固定された構成からなるため、構
成が簡単で回路基板等に搭載可能な小型の光モジュール
を提供することが可能になる。
【0020】請求項4記載の光モジュール組み付け方法
によれば、光ファイバの固定に光硬化性樹脂を用い、微
動アライメント後に光ファイバ先端部を光照射により固
定するため、作業性の良い組み付け、固定が可能にな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による光ファイバ駆動方法の概念図であ
って、(a)は光ファイバ駆動状態を示す斜視図、
(b)は光ファイバの保持状態を示す断面図である。
【図2】本発明による光モジュール組み付け方法の概念
図である。
【図3】光ファイバ先端部の固定方法を示す図である。
【図4】本発明により作製される光モジュールの構成説
明図であって、(a)は光モジュールの斜視図、(b)
は光モジュールの光ファイバ保持部の断面図である。
【図5】従来技術の一例を示す光ファイバアライメント
方法の説明図である。
【符号の説明】
1・・・光ファイバ 2・・・ファイバ保持部材 3・・・ベース部材 4・・・ファイバ保持用(固定用)溝 5・・・温度可変部材(発熱体) 6・・・外部電気回路 7・・・微動用溝 11・・・光素子保持部材 12・・・光素子 20・・・紫外線光源 21,22・・・光硬化性樹脂

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】筐体に一部固定された光ファイバの所定の
    一部分もしくは複数部を外部からの制御によりその温度
    が変化可能な一つないしは複数の部材により温度変化さ
    せ、光ファイバ内に温度分布を形成し、その温度分布に
    応じた体積変化を利用して光ファイバの先端部を駆動す
    ることを特徴とする光ファイバ駆動方法。
  2. 【請求項2】一つないし複数個の部材からなる筐体上に
    所定の位置に配置した一つないしは複数個の光素子と光
    ファイバを組み付ける光モジュール組み付け方法であっ
    て、光ファイバを前記光素子と概略光軸が一致するよう
    に配置して前記光ファイバの所定の一部分もしくは複数
    部分を外部からの制御によりその温度が変化可能な一つ
    ないしは複数の部材により温度変化させ前記光ファイバ
    内に温度分布を形成し、その温度分布に応じた体積変化
    を利用して光ファイバ先端部を微動させ、アライメント
    した後にファイバ先端部を固定することを特徴とする光
    モジュール組み付け方法。
  3. 【請求項3】結晶基板上の所定の位置に配置した一つな
    いしは複数個の光素子と光ファイバからなる光モジュー
    ルであって、前記基板上に光ファイバを固定するための
    溝と光ファイバ端を微小領域において微動可能にするた
    めの溝とを形成し、前記溝の一部及び前記光ファイバ上
    の所定の一部に少なくとも一つの発熱体を形成し、該発
    熱体は少なくとも一つの外部電気回路と電気的に接続さ
    れ、光ファイバが前記光素子と概略光軸が一致するよう
    に配置され、前記回路の電流を制御して発熱体の温度を
    変化させ光ファイバ内に温度分布を形成し、その温度分
    布に応じた体積変化を利用して光ファイバ先端部を微動
    させ、アライメントした後に光ファイバ先端が固定され
    たことを特徴とする光モジュール。
  4. 【請求項4】請求項2記載の光モジュール組み付け方法
    において、光ファイバの固定に光硬化性樹脂を用い、微
    動アライメント後に光ファイバ先端部を光照射により固
    定することを特徴とする光モジュール組み付け方法。
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