JP2004094089A - 光スイッチとその製造方法 - Google Patents

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Hidetaka Maeda
前田 英孝
Kenji Kato
加藤 健二
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Abstract

【課題】MEMS技術を用いて微細に製造された光スイッチにおいて、スイッチング動作を確実かつ高速にし、動作効率を良好にして消費電力を小さくし、漏れ磁束を小さくする。
【解決手段】下部基板11に、光ファイバ固定用の第1のV溝12と板ばね位置決め手段23の凹部23aとを、エッチングにより同時に形成する。そして、可動光ファイバ16と固定光ファイバ26を第1のV溝12内に、板ばね13を凹部23aに位置決めしてそれぞれ固定する。下部基板11の凹部11aと上部基板21の凹部21aに位置決めころ15を位置させて、両基板11,21を位置合わせして互いに固定する。上部基板21の第2のV溝22内にはもう1つの固定光ファイバ26を固定しておく。それから、上部基板21の上面にエッチングにより形成されている電磁石位置決め凹部25に電磁石18の一部を嵌合させて位置決めして固定する。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ伝送路の光路の切り換えや遮断を行う光通信用などの光スイッチとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光通信分野などにおいて、光ファイバ伝送路の光路の切り換えや遮断を行う光スイッチとして、光ファイバを直接駆動して光路を切り替える構造のメカニカル光スイッチが多く用いられている。このメカニカル光スイッチは、構造が簡単であり、低挿入損失、小型化、低駆動電力が得られると言う特徴を有しているため、これまでに多くの構造が提案されている。図10にその一例を示す。
【0003】
図10に示すメカニカル光スイッチは1×2型のスイッチであり、1本の可動光ファイバ109と、中空ソレノイドコイル110と、1対の永久磁石111a,111bと、2本の固定光ファイバ(半割円柱103内に隠れて見えない)と、円筒スリーブ112とを有している。円筒スリーブ112は、円筒管107および半割円柱103を整列保持し、かつ中空ソレノイドコイル110および永久磁石111a,111bが固定されている。可動光ファイバ109は、基部が円筒管107に片持ち梁状に固定されていて、その先端近傍表面に、所望の磁気特性を有するパイプ状の磁性体108が固着されている。中空ソレノイドコイル110は、流れる電流の向きを変えることにより、磁性体108両端の磁極を反転させるものである。1対の永久磁石111a,111bは、磁性体108に対して光軸と垂直方向に磁気吸引力を付与するものである。固定光ファイバは、半割円柱103の平坦部に形成されたV溝105内に固定されている。
【0004】
このような構造のメカニカル光スイッチの動作は以下に示す通りである。可動光ファイバ109は、磁性体108の両端部の磁極に応じて、1対の永久磁石のいずれか一方(例えば111a)に磁気的に吸引され、その先端は、半割円柱103の平坦部に形成されたV溝105内において2本の固定光ファイバのいずれか一方と光結合する。そして、中空ソレノイドコイル110に通電して磁性体108に光軸に沿った磁界を印加することにより、磁性体108両端の磁極を反転させると、可動光ファイバ109は他方の永久磁石(例えば111b)側に吸引されて他方の固定光ファイバに光結合する。電流を供給しない状態においても、磁性体108は永久磁石111aまたは111bに磁気的に吸引されているため、一方の固定光ファイバとの結合状態を保つことができ、自己保持型のスイッチング動作を得ることができる。
【0005】
【特許文献1】
特開昭63−313111号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図10に示す従来例では、半割円柱103や円筒スリーブ112などの主要な構成部品に、極めて高い加工精度および組立精度が要求される。そのため、部品費用が高く、組立には長い時間を要し、製造コストが高くなる。
【0007】
図10に示す例に限らず、従来のメカニカル光スイッチは、構造が比較的簡単であるものの、高精度の構成部品を必要とする。また、構成部品が高精度であっても、加工公差や組立誤差があるため、高性能の光学特性を得るためには、組立時の調整に時間がかかるという問題がある。そのため、大量生産には適さず低コスト化は困難であるという問題がある。
【0008】
また、近年の光ファイバを用いた光通信においては、時分割多重(TDM:Time Division Multiplexing)伝送ばかりでなく、波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)伝送を用いて、より大量の情報を伝達することが可能になっている。それに伴って、光信号を解析し、伝達された大量の情報を処理するために、光スイッチや光源や波長可変減衰器などの多数の様々な光学デバイスが複合されて用いられる。したがって、光通信システム全体をあまり大型化させないためには、光スイッチ等の個々の光学デバイスをできる限り小型化することが必要であり、光通信の多チャンネル化が進めば進むほど、さらに一層の小型化が望まれる。
【0009】
そこで、従来、半導体製造などで多用されている、いわゆるMEMS(Micro Electro Mechanical System)技術、すなわち、シリコン基板に対して露光およびエッチングなどを施すフォトリソグラフィ法で加工を行う技術を利用して、前記した従来例と同様な作動を行うメカニカル光スイッチを製造することが考えられる。図示しないが、この場合、シリコン基板を光スイッチの本体として、これにフォトリソグラフィ法により保持溝を形成し、この保持溝内に、可動光ファイバの少なくとも一部と固定光ファイバの少なくとも一部を、接着剤等により固定する構成である。MEMS技術は、高精度かつ微細な加工を行える技術として確立されており、小型の光学デバイスを低コストで大量生産することが可能になる。
【0010】
このような構成のメカニカル光スイッチでは、磁力を利用して可動光ファイバを変位させるのに加えて、板ばねを用いて光ファイバを付勢して、スイッチングの確実性と速度の向上が図られる。具体的には、磁性片と板ばねとを接合したものや磁性片自体を板ばねとして形成したもので光ファイバを保持し、光ファイバにばね力を付勢するとともに、電磁石によって板ばね(磁性片)に適宜に磁力を及ぼすことにより、確実かつ高速なスイッチング動作を可能にしている。この構成では、板ばね(磁性片)と電磁石との間の高い位置精度が要求される。仮に、両者の相対位置精度が悪いと、電磁石が発生した磁力が板ばねの変形に有効に使われず、所望の特性が得られなくなるおそれがあり、また、板ばねを十分に変形させるために、必要以上の高電流を電磁石に供給する必要が生じ、消費電力が大きくなるおそれがある。さらに、近年の光スイッチは小型化が進み高密度実装されるので、板ばね(磁性片)と磁力発生手段の位置精度が悪いことに起因する磁束の漏れが、外部部材に磁気的な影響を及ぼしてしまうおそれがある。例えば、通常の光スイッチでは電磁石に30mA程度の電流を供給するが、電磁石と板ばね(磁性片)との相対位置が50μm程度ずれると、供給すべき電流が20〜30mA程度変動する可能性がある。従って、両者の位置精度は5〜10μm以下の誤差に抑えることが望ましい。
【0011】
そこで本発明の目的は、MEMS技術を用いて微細に製造され、スイッチング動作が確実かつ高速であるとともに、動作効率が良好で消費電力が小さく、漏れ磁束の小さい光スイッチおよびその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の光スイッチは、積層状態で互いに固定されている1対の基板と、1対の基板の間に固定されている固定部分と可動部分とを有する光ファイバと、一方の基板に一部が固定されている、光ファイバを保持してばね力を付与する板ばねと、ばね力に抗して板ばねと光ファイバの可動部分を変位させることによりスイッチング動作を行わせるアクチュエータと、1対の基板を互いに位置合わせする基板間位置決め手段と、板ばねが固定されている基板に設けられている板ばね位置決め手段と、1対の基板のいずれか一方に設けられている、アクチュエータ位置決め用凹部とを有するところにある。
【0013】
この構成によると、アクチュエータを板ばねに対して容易に相対位置精度よく配置できるので、効率よく板ばねを作動させることができ、設計通りの所望の特性が得られ、消費電力を小さく抑えることができる。さらに、アクチュエータが発生した作動力が外部部材にできるだけ影響を及ぼさないように正確に配置することができ、高密度実装および装置の小型化が可能になる。
【0014】
アクチュエータ位置決め凹部はエッチングにより形成されていることが好ましい。同様に、板ばね位置決め手段はエッチングにより形成された凹部を有することが好ましい。これらの場合、基板はシリコンからなるものである。このような構成によると、アクチュエータや板ばね位置決め手段を非常に容易に正確に形成することができ、板ばね位置決め手段を光ファイバの保持溝と同時に形成することができ、板ばねと光ファイバの相対位置精度をさらに向上させることかできる。
【0015】
アクチュエータは、板ばねが固定されていない方の基板に固定されている。そして、アクチュエータは磁力を発生するものであり、板ばねは磁性材により形成されているか、または磁性片が固着されたものであってもよい。アクチュエータ位置決め凹部によって、アクチュエータと板ばねとの間の間隔が短くなり、それによってアクチュエータと磁性体の距離が短くなることが好ましい。その場合、エネルギー効率がさらに向上する。
【0016】
可動部分を有する光ファイバの先端と対向可能な位置に先端を有する固定光ファイバが、1対の基板間に固定されていてもよい。さらに、固定光ファイバから可動部分の可動方向に沿って離れた位置に、可動部分を有する光ファイバの先端と対向可能な先端を有するもう1つの固定光ファイバが設けられており、可動部分の移動に伴って、光ファイバの先端が、固定光ファイバの先端およびもう1つの光ファイバの先端のいずれか一方と選択的に対向する構成であってもよい。
【0017】
本発明の光スイッチの製造方法は、一方の基板上に、光ファイバの固定部分を固定するとともに、光ファイバを保持する板ばねを、板ばね位置決め手段によって位置決めして固定する工程と、一方の基板上に、基板間位置決め手段によって位置合わせして他方の基板を重ね合わせて、板ばねおよび前記光ファイバを挟み込むように固定する工程と、ばね力に抗して板ばねと光ファイバの可動部分を変位させることによりスイッチング動作を行わせるアクチュエータを、他方の基板上のアクチュエータ位置決め凹部にはめ込んで、他方の基板を介して板ばねの一部と対向するように固定する工程とを含むことを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。まず、本実施形態の光スイッチ全体の基本構成について説明する。図1は、本実施形態の1×2光スイッチの主要部の分解斜視図であり、図2はその完成状態の斜視図、図3は上部基板を外した状態の模式的平面図である。また、図4はその第1の状態のA−A’線断面図、図5は第2の状態のA−A’線断面図である。図6〜9はそれぞれ、図3中のB−B’線断面図からE−E’線断面図である。なお、これらの図においては、見易くするために、一部の寸法の縮尺を変えて図示している。
【0019】
本実施形態の光スイッチは、1つの入力側裸光ファイバ(可動光ファイバ17)が基板(下部基板)11に対して垂直方向に移動することにより、2つの出力側裸光ファイバ(固定光ファイバ16ともう1つの固定光ファイバ26)へ光路の切り換えを行うことができる1×2光スイッチである。この光スイッチの本体は、下部基板(シリコン基板)11と上部基板(もう1つのシリコン基板)21から構成されており、それぞれの基板11,21が向かい合う面には、V溝(保持溝)12,22と凹部14,24と流れ防止溝20が形成されている。図8,9に示すように、下部基板11に形成された第1のV溝(保持溝)12には、根元部(固定部分)が固定されていて、先端部(可動部分)が下部基板11に対して垂直方向に移動可能な片持ち梁状の可動光ファイバ17と、可動光ファイバ17と端面同士が近接して対向する第1の固定光ファイバ16が固定されている。また、上部基板21に形成された第2のV溝(保持溝)22には、図8に示すように端面の光軸方向の位置が第1の固定光ファイバ16とほぼ一致する第2の固定光ファイバ(もう1つの固定光ファイバ)26が、第1の固定光ファイバ16と平行に並んで固定されている。各光ファイバ16,17,26の各V溝12,22内への固定は接着剤によって行われ、それぞれの接着部分19の近傍には、流れ防止溝20が設けられている。なお、通常の光ファイバは心線の周りが樹脂コートされているが、ここでは、先端から所望の長さだけ樹脂コートを剥離して裸にした光ファイバを使用し、その裸にされた部分をV溝内に挿入している。
【0020】
図1,3に示すように、下部基板11の一部には凹部14が設けられており、その凹部14上に、板ばね13が取り付けられている。板ばね13は、下部基板11に固定されている1対の固定部13aと、大面積の単一の中間部13bと、1対の固定部13aと中間部13bとをそれぞれ連結する1対の細長い梁状部13cとからなり、中間部13bを中心として対称な形状に形成されている。下部基板11には、凹部14と近接して、1対の板ばね位置決め手段23がMEMS技術を利用して設けられている。そして、この板ばね位置決め手段23にエッチングにより形成されている凹部23aに、板ばね13の固定部13aが嵌合されることにより、板ばね13は下部基板11上に位置精度よく取り付けられている。
【0021】
図示していないが、中間部13bには、後述する電磁石18の磁力を受ける磁性片が固着されて一体化されている。また、中間部13bには、孔部13dが設けられている。図1,3〜5に示すように、この孔部13dに可動光ファイバ17が挿通されて、可動光ファイバ17は、孔部13dの上下両縁部と屈曲する中間部13bの上下両面に上下から当接されて挟まれた状態に保持されている。
【0022】
上部基板21の、凹部24および第2のV溝22と反対側の面には、電磁石18が配置されている。具体的には、図1,2,4,5に示すように、電磁石位置決め用凹部(アクチュエータ位置決め用凹部)25が上部基板21上にMEMS技術を利用してエッチングにより設けられている。そして、電磁石18の一部がこの電磁石位置決め用凹部25に嵌合されることにより、電磁石18は上部基板21上に位置精度よく取り付けられている。
【0023】
この電磁石18が鉄心とコイルで形成されている場合、コイルに電流を流すことにより、板ばね13の中間部13b(図示されていない磁性片)の周辺に磁場を発生させ、下部基板11に対して垂直な方向の磁気吸引力を与えることができる。この磁気吸引力により、図4に示す初期状態から、図5に示すように、板ばね13の中間部13bは電磁石18に向かって移動する。このとき、可動光ファイバ17の先端部は、板ばね13の中間部13bにより持ち上げられて、電磁石18の方へ移動する。
【0024】
なお、図6,7,9に示す断面図では、可動光ファイバ17が第1の固定光ファイバ16と光結合している状態を実線で示し、可動光ファイバ17が第2の固定光ファイバ26と光結合している状態を破線で示している。電磁石18のコイルに電流を流していないとき、すなわち、磁性片に磁気吸引力が働いていないときには、図4,7に示すように、可動光ファイバ17の先端部には、板ばね13の中間部13bから下部基板11方向への付勢力が加わり、図9に示すように、可動光ファイバ17は第1のV溝12内に保持される。
【0025】
第1のV溝12には、図1,3,4に示すように、第1の固定光ファイバ16が、可動光ファイバ17と端面同士が近接するように配置されており、同一のV溝12内で端面が近接する2本の光ファイバ16,17間で、挿入損失の低い光結合が行われる。そして、電磁石18のコイルに電流を流すと、すなわち、板ばね13の中間部13b(磁性片)に磁気吸引力が働くと、図5と図6の破線で示すように、板ばね13の中間部13bは下部基板11から離れる方向へ移動し、可動光ファイバ17の先端部は、板ばね13の中間部13bにより持ち上げられて、図9に破線で示すように、上部基板21に形成した第2のV溝22内に押し付けられる。このように可動光ファイバ17は第2のV溝22内に保持され、第2の固定光ファイバ26と光結合する。
【0026】
このような構成の光スイッチによると、電磁石18のコイルに流す電流をON/OFFすることにより、板ばね13を変位させ、中間部13bに保持されている可動光ファイバ17を、第1のV溝12内または第2のV溝22内に選択的に位置させて、2本の固定光ファイバ16,26への光の切り換えが可能である。この光スイッチは、比較的単純な構造であるために、組立時の調整が容易であり、高性能な光スイッチを低コストで供給できる。また、主要部品である上部基板21や下部基板11は、シリコンやガラスウェハから量産性良く製造できる。
【0027】
ここで、本実施形態の光スイッチの製造方法について説明する。
【0028】
上部基板21および下部基板11としては、結晶方位が存在する単結晶シリコンやガラスを用いる。単結晶シリコンを使用する場合、結晶方位によってエッチングレートの異方性のあるエッチング液に浸して、エッチングを進行させることにより、容易に高精度なV溝が加工できる。例えば(100)方位の単結晶シリコンウェハを使用するときには、(111)あるいは(110)の側面を有するV溝が作製できる。これらの面はウェハ表面の(100)面に対し、一定の角度を有しており、高精度にエッチングマスクを加工できるフォトリソグラフィ技術と併用することにより、高精度なV溝加工が実現できる。そして、上部基板21と下部基板11とが、凹部11a,21a内に配置される位置決めころ(基板間位置決め手段)15によって位置合わせされて、接着剤により互いに接合される。
【0029】
本実施形態では、電磁石位置決め凹部25が上部基板21にエッチングにより精度よく形成されているため、電磁石位置決め凹部25に位置決めされる電磁石18は非常に位置精度よく保持される。従来は、上部基板21を下部基板11に貼り付けると、通常は不透明である上部基板21に遮られて可動光ファイバ16および板ばね13が目視できないため、電磁石18の正確な取付位置が作業者に認識し難かった。しかし、本実施形態では、予め上部基板21の上面に電磁石位置決め凹部25が設けられているので、この電磁石位置決め凹部25に電磁石18の一部を嵌合させるだけで、非常に簡単に正確な位置決めができる。
【0030】
さらに、本実施形態では、板ばね13を下部基板11に正確に取り付けるための板ばね位置決め手段23が設けられており、しかも、板ばね位置決め手段23の凹部23aは下部基板11のエッチングにより第1のV溝12等と同時に形成されているため、板ばね位置決め手段23の凹部23aに位置決めされる板ばね13と第1のV溝12内に配置される可動光ファイバ16とが、非常に相対位置精度よく保持される。そして、この下部基板11と上部基板21とが、位置決めころ15により位置精度よく接合されるため、可動光ファイバ16と板ばね13と電磁石18の相対位置精度が非常に良好である。
【0031】
従って、電磁石18の発生する磁力が効率よく板ばね13を作動させることができ、設計通りの所望の特性が得られ、消費電力を小さく抑えることができる。さらに、磁束漏れが小さく、高密度実装されていても外部部材に磁気的な影響を及ぼすことは殆どない。なお、位置決めころ15を保持する下部基板11および上部基板21の凹部11a,21aが、板ばね位置決め手段23の凹部23aや第1のV溝12等と同時にエッチングにより形成されていると、上部基板11と下部基板21の接合状態における相対位置精度が向上するため、より効果的である。また、電磁石18と板ばね13との間隔が、電磁石位置決め用凹部25の深さの分だけ上部基板21の厚さよりも薄くなっているため、電磁石18の発生する磁力を板ばね13に作用させるエネルギー効率が向上する。
【0032】
本実施形態においては、図1,3に示すように、第1のV溝12内への可動光ファイバ17および第1の固定光ファイバ16の固定と、下部基板11と上部基板21との接合と、第2のV溝22内への第2の固定光ファイバ26の固定は、すべて接着剤(例えば紫外線硬化型接着剤や、紫外線硬化型接着剤と熱硬化型接着剤の併用)によって行われ、それぞれ接着部分19が存在する。この接着部分19の近傍に流れ防止溝20a,20bが設けられている。
【0033】
なお、この光スイッチにおいて、可動ファイバ17の端面と2本の固定ファイバ16,26の端面間に空気が存在する場合、挿入損失を低減させるためには、端面間距離を約20μm以下まで近接させる必要がある。また、光ファイバ16,17,26の端面での屈折率差によって、表面反射が生じ、挿入損失や反射減衰量が増加する。そこで、それぞれの端面に反射防止膜をコーティングすることが望ましい。
【0034】
また、反射減衰量を低減させるために、光ファイバ16,17,26の端面を、光軸に垂直な面から5度から8度程度傾けるように加工することも考えられるが、光ファイバ端面での屈折により、光軸ずれが起こり、挿入損失が増加する。そこで、この場合には、1本のV溝に光ファイバを配置するのではなく、光軸ずれに対応した位置に光ファイバが配置できる2本の平行なV溝を形成することが望ましい。
【0035】
また、光ファイバ16,17,26の端面間を屈折率整合液で満たすことによって、反射損失及び挿入損失を低減させることも可能である。
【0036】
図示しないが、本実施形態の板ばね13の中間部13bには、磁性片が、貼り付けや、真空蒸着やスパッタリングなどの薄膜堆積法や、めっき法などにより一体化されている。しかし、板ばね13自体を磁性材で形成しても構わない。
【0037】
本実施形態の基板11,21はシリコン基板であるが、光ファイバ16,17,26と同一材料であるガラスにより基板11,21を形成すると、熱膨張係数が光ファイバ16,17,26と一致するため、広い温度範囲において、挿入損失、反射損失、偏波依存特性等において、温度変化に依存しない、優れた光スイッチを作製できる。その場合、V溝12,22は、基板11,21の表面を機械的に加工して作製される。例えば、切削用ブレードを高速回転させ、回転方向に走査させながらカッティングすることにより、ブレードの断面形状を転写させた形の溝が作製できる。ブレードのテーパ角を制御することにより、任意の傾斜の側面を容易に形成でき、様々な形状のV溝加工が実現する。
【0038】
本実施形態では、図示しない磁性片が固着された、または磁性材からなる板ばね13に、電磁石18から磁力を作用させて動作させる構成であるが、電磁石18以外の静電アクチュエータなどのアクチュエータによって板ばねを駆動する構成であってもよい。その場合、板ばね13は磁性を持たなくてもよい。
【0039】
板ばね位置決め手段23は、下部基板11を直接エッチングすることにより形成しても、下部基板11上にレジストを形成してそれをパターニングすることにより形成してもよい。いずれの場合も、板ばね位置決め手段23の凹部23aと第1のV溝12とを、エッチングにより同時に形成することが好ましい。
【0040】
【発明の効果】
本発明によると、電磁石などのアクチュエータを、作動力を及ぼすべき板ばねに対して容易に相対位置精度よく配置できるので、効率よく板ばねを作動させることができ、設計通りの所望の特性が得られ、消費電力を小さく抑えることができる。さらに、アクチュエータが発生した磁力などの作動力が外部部材にできるだけ影響を及ぼさないように正確に配置することができ、高密度実装および装置の小型化が可能になる。また、アクチュエータ位置決め用凹部の深さの分だけ、アクチュエータと板ばねとの間隔が基板の厚さよりも薄くなっていると、エネルギー効率が向上する。
【0041】
アクチュエータ位置決め凹部および板ばね位置決め手段をエッチングにより形成すると、これらを非常に容易に正確に形成することができる。特に、板ばね位置決め手段を光ファイバの保持溝と同時に形成すると、板ばねと光ファイバの相対位置精度が非常に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の光スイッチの分解斜視図である。
【図2】図1に示す光スイッチの完成状態の斜視図である。
【図3】図1に示す光スイッチの上部基板を外した状態の模式的平面図である。
【図4】図1に示す光スイッチの第1の状態の、図3のA−A’線断面図である。
【図5】図1に示す光スイッチの第2の状態の、図3のA−A’線断面図である。
【図6】図1に示す光スイッチの、図3のB−B’線断面図である。
【図7】図1に示す光スイッチの、図3のC−C’線断面図である。
【図8】図1に示す光スイッチの、図3のD−D’線断面図である。
【図9】図1に示す光スイッチの、図3のE−E’線断面図である。
【図10】従来の光スイッチの一部切欠斜視図である。
【符号の説明】
11   下部基板
11a  凹部
12   第1のV溝
13   板ばね
15   位置決めころ
16   第1の固定光ファイバ
17   可動光ファイバ
18   電磁石
21   上部基板
21a  凹部
22   第2のV溝
23   板ばね位置決め手段
23a  凹部
25   電磁石位置決め用凹部
26   第2の固定光ファイバ

Claims (10)

  1. 積層状態で互いに固定されている1対の基板と、
    前記1対の基板の間に固定されている固定部分と可動部分とを有する光ファイバと、
    一方の前記基板に一部が固定されている、前記光ファイバを保持してばね力を付与する板ばねと、
    前記ばね力に抗して前記板ばねと前記光ファイバの前記可動部分を変位させることによりスイッチング動作を行わせるアクチュエータと、
    前記1対の基板を互いに位置合わせする基板間位置決め手段と、
    前記板ばねが固定されている前記基板に設けられている板ばね位置決め手段と、
    前記1対の基板のいずれか一方に設けられている、前記アクチュエータ位置決め用凹部とを有する光スイッチ。
  2. 前記アクチュエータ位置決め凹部はエッチングにより形成されている、請求項1に記載の光スイッチ。
  3. 前記板ばね位置決め手段はエッチングにより形成された凹部を有する、請求項1または2に記載の光スイッチ。
  4. 前記基板はシリコンからなる請求項2または3に記載の光スイッチ。
  5. 前記アクチュエータは、前記板ばねが固定されていない方の基板に固定されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光スイッチ。
  6. 前記アクチュエータは磁力を発生するものであり、前記板ばねは磁性材により形成されているか、または磁性片が固着されたものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光スイッチ。
  7. 前記アクチュエータ位置決め凹部によって、前記アクチュエータと前記板ばねとの間の間隔が前記基板の厚さよりも短くなっている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光スイッチ。
  8. 前記可動部分を有する前記光ファイバの先端と対向可能な位置に先端を有する固定光ファイバが、前記1対の基板間に固定されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の光スイッチ。
  9. 前記固定光ファイバから前記可動部分の可動方向に沿って離れた位置に、前記可動部分を有する前記光ファイバの先端と対向可能な先端を有するもう1つの固定光ファイバが設けられており、
    前記可動部分の移動に伴って、前記光ファイバの先端が、前記固定光ファイバの先端および前記もう1つの光ファイバの先端のいずれか一方と選択的に対向する、請求項8に記載の光スイッチ。
  10. 一方の基板上に、光ファイバの固定部分を固定するとともに、前記光ファイバを保持する板ばねを、前記板ばね位置決め手段によって位置決めして固定する工程と、
    前記一方の基板上に、基板間位置決め手段によって位置合わせして他方の基板を重ね合わせて、前記板ばねおよび前記光ファイバを挟み込むように固定する工程と、
    ばね力に抗して前記板ばねと前記光ファイバの可動部分を変位させることによりスイッチング動作を行わせるアクチュエータを、前記他方の基板上のアクチュエータ位置決め凹部にはめ込んで、前記他方の基板を介して前記板ばねの一部と対向するように固定する工程とを含む光スイッチの製造方法。
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