JP2004094088A - 光スイッチおよびその製造方法 - Google Patents

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前田 英孝
Kenji Kato
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Abstract

【課題】MEMS技術を用いて微細に製造され、スイッチング動作が高速である光スイッチにおいて、電気的駆動方法を調整して動作および停止性能を向上させることを容易に可能にする。
【解決手段】下部基板11に設けられた第1のV溝12に可動光ファイバ16と固定光ファイバ26が、凹部14の上方に板ばね13がそれぞれ固定されている。上部基板21の第2のV溝22内にもう1つの固定光ファイバ26が固定され、下部基板11と上部基板21が互いに固定されている。上部基板21には、板ばね13の磁性片に磁力を及ぼしてスイッチング動作を行わせる電磁石18が配置されている。さらに、上部基板21には、この光スイッチの固有の特性に応じて最適化された駆動回路を構成するトランジスタ23とコンデンサ25が搭載され、配線パターン27により電磁石18に接続されている。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ伝送路の光路の切り換えや遮断を行う光通信用などの光スイッチとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光通信分野などにおいて、光ファイバ伝送路の光路の切り換えや遮断を行う光スイッチとして、光ファイバを直接駆動して光路を切り替える構造のメカニカル光スイッチが多く用いられている。このメカニカル光スイッチは、構造が簡単であり、低挿入損失、小型化、低駆動電力が得られると言う特徴を有しているため、これまでに多くの構造が提案されている。図11にその一例を示す。
【0003】
図11に示すメカニカル光スイッチは1×2型のスイッチであり、1本の可動光ファイバ109と、中空ソレノイドコイル110と、1対の永久磁石111a,111bと、2本の固定光ファイバ(半割円柱103内に隠れて見えない)と、円筒スリーブ112とを有している。円筒スリーブ112は、円筒管107および半割円柱103を整列保持し、かつ中空ソレノイドコイル110および永久磁石111a,111bが固定されている。可動光ファイバ109は、基部が円筒管107に片持ち梁状に固定されていて、その先端近傍表面に、所望の磁気特性を有するパイプ状の磁性体108が固着されている。中空ソレノイドコイル110は、流れる電流の向きを変えることにより、磁性体108両端の磁極を反転させるものである。1対の永久磁石111a,111bは、磁性体108に対して光軸と垂直方向に磁気吸引力を付与するものである。固定光ファイバは、半割円柱103の平坦部に形成されたV溝105内に固定されている。
【0004】
このような構造のメカニカル光スイッチの動作は以下に示す通りである。可動光ファイバ109は、磁性体108の両端部の磁極に応じて、1対の永久磁石のいずれか一方(例えば111a)に磁気的に吸引され、その先端は、半割円柱103の平坦部に形成されたV溝105内において2本の固定光ファイバのいずれか一方と光結合する。そして、中空ソレノイドコイル110に通電して磁性体108に光軸に沿った磁界を印加することにより、磁性体108両端の磁極を反転させると、可動光ファイバ109は他方の永久磁石(例えば111b)側に吸引されて他方の固定光ファイバに光結合する。電流を供給しない状態においても、磁性体108は永久磁石111aまたは111bに磁気的に吸引されているため、一方の固定光ファイバとの結合状態を保つことができ、自己保持型のスイッチング動作を得ることができる。
【0005】
【特許文献1】
特開昭63−313111号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図11に示す従来例では、半割円柱103や円筒スリーブ112などの主要な構成部品に、極めて高い加工精度および組立精度が要求される。そのため、部品費用が高く、組立には長い時間を要し、製造コストが高くなる。
【0007】
図11に示す例に限らず、従来のメカニカル光スイッチは、構造が比較的簡単であるものの、高精度の構成部品を必要とする。また、構成部品が高精度であっても、加工公差や組立誤差があるため、高性能の光学特性を得るためには、組立時の調整に時間がかかるという問題がある。そのため、大量生産には適さず低コスト化は困難であるという問題がある。
【0008】
また、近年の光ファイバを用いた光通信においては、時分割多重(TDM:Time Division Multiplexing)伝送ばかりでなく、波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)伝送を用いて、より大量の情報を伝達することが可能になっている。それに伴って、光信号を解析し、伝達された大量の情報を処理するために、光スイッチや光源や波長可変減衰器などの多数の様々な光学デバイスが複合されて用いられる。したがって、光通信システム全体をあまり大型化させないためには、光スイッチ等の個々の光学デバイスをできる限り小型化することが必要であり、光通信の多チャンネル化が進めば進むほど、さらに一層の小型化が望まれる。
【0009】
そこで、従来、半導体製造などで多用されている、いわゆるMEMS(Micro Electro Mechanical System)技術、すなわち、シリコン基板に対して露光およびエッチングなどを施すフォトリソグラフィ法で加工を行う技術を利用して、前記した従来例と同様な作動を行うメカニカル光スイッチを製造することが考えられる。図示しないが、この場合、シリコン基板を光スイッチの本体として、これにフォトリソグラフィ法により保持溝を形成し、この保持溝内に、可動光ファイバの少なくとも一部と固定光ファイバの少なくとも一部を、接着剤等により固定する構成である。MEMS技術は、高精度かつ微細な加工を行える技術として確立されており、小型の光学デバイスを低コストで大量生産することが可能になる。
【0010】
このような構成のメカニカル光スイッチでは、磁力を利用して可動光ファイバを変位させるのに加えて、板ばねを用いて光ファイバを付勢して、スイッチングの確実性と速度の向上が図られる。具体的には、磁性片と板ばねとを接合したものや磁性片自体を板ばねとして形成したもので光ファイバを保持し、光ファイバにばね力を付勢するとともに、電磁石によって板ばね(磁性片)に適宜に磁力を及ぼすことにより、確実かつ高速なスイッチング動作を可能にしている。ただし、光ファイバおよび板ばねが変位して所定の停止位置に到達した時点で即座に停止することは、慣性や反動のために困難であり、特に、スイッチング動作が速くなるとその傾向が顕著である。光ファイバおよび板ばねが、停止位置においてしばらくの時間ぶれる(振動する)チャタリングといわれる現象が生じ、その振動が減衰するまでの時間が、スイッチング動作の高速化の妨げになる。
【0011】
従来の比較的大型の光スイッチの場合には、機械的手段の利用や各部の形状および寸法の精度向上など構造上の対策によって、光ファイバおよび板ばねの停止性能を高めることが試みられていた。しかし、前記したようにMEMS技術等を用いて非常に小型化された光スイッチにおいては、機械的手段の利用や形状および寸法の精度向上など構造上の対策では光ファイバおよび板ばねの停止性能を高めることは困難である。その理由は、従来の比較的大型の光スイッチでは問題にならない程度の光ファイバおよび板ばねの停止時の僅かなぶれであっても、小型の光スイッチにとっては大きな影響を及ぼすため許容できないことと、より一層の微細な加工を行うのが困難なことである。そこで、MEMS技術等を用いて非常に小型化された光スイッチにおいては、電磁石を駆動する電気的駆動方法を工夫することによって、光ファイバおよび板ばねの停止性能を高めることが考えられる。そのためには、駆動回路の複雑化が避けられない。
【0012】
通常、光スイッチは独立した単独の製品として取り扱われ、その光スイッチのアクチュエータの駆動回路は外部に別途設けられる。例えば光スイッチ製品の使用者が、予め外部に用意していた駆動回路に光スイッチ製品を接続して使用する。しかし、光ファイバおよび板ばねの停止時の僅かなぶれなどは、各々の光スイッチ毎に異なる微小な寸法誤差や組立誤差等に基づいて生じるため、前記した使用方法では各光スイッチに応じた適切な電気的駆動を行うことはできない。このようなぶれを防ぐためには、各光スイッチ毎に個別に調整された専用の駆動回路を外部に構成することが必要であるが、それは、特に光スイッチの製造者(例えば光スイッチ製品の販売者)と使用者(例えば光スイッチ製品の購入者)が異なる場合には困難である。使用者は、光スイッチの光ファイバおよび板ばねの停止性能に関するデータすら知らないため、ぶれ等を防ぐために電気的駆動方法を調整する手だてがない。結局、画一的な汎用駆動回路に接続せざるを得ず、光ファイバおよび板ばねの停止時の僅かなぶれを電気的駆動方法の調整によって抑えることはできない。
【0013】
そこで本発明の目的は、MEMS技術を用いて微細に製造され、スイッチング動作が高速であるとともに、電気的駆動方法を調整して動作および停止性能を向上させることが容易にできる光スイッチおよびその製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の光スイッチは、光スイッチの基体と、基体に固定されている光ファイバと、基体に固定されており、光ファイバの可動部分を変位させることによりスイッチング動作を行わせるアクチュエータと、基体に設けられており、アクチュエータの駆動回路の一部を構成する電気部品とを有することを特徴とする。これによると、光スイッチの使用者が駆動回路を別途設けておく必要がほとんどないので、簡単に使用できるようになる。
【0015】
基体は1対の基板からなり、光ファイバは前記両基板間に固定されており、アクチュエータおよび電気部品は基板のうちの一方に設けられている構成であってもよい。また、1対の基板間に固定されて光ファイバを保持する板ばねを有し、アクチュエータは磁力を発生するものであり、板ばねは磁性材により形成されているか、または磁性片が固着されたものであってもよい。
【0016】
可動部分を有する光ファイバの先端と対向可能な位置に先端を有する固定光ファイバが、基体に固定されていてもよい。さらに、固定光ファイバから可動部分の可動方向に沿って離れた位置に、可動部分を有する光ファイバの先端と対向可能な先端を有するもう1つの固定光ファイバが設けられており、可動部分の移動に伴って、光ファイバの先端が、固定光ファイバの先端およびもう1つの光ファイバの先端のいずれか一方と選択的に対向する構成であってもよい。
【0017】
電気部品は、その光スイッチ自体の固有の特性に応じた駆動回路を構成するように設計されたものであることが好ましい。すなわち、電気部品が、例えば寸法誤差や製造誤差やスイッチング動作時の慣性などを考慮した上で設計または微調整されたものであると、その光スイッチに合わせて最適化された駆動回路を容易に得ることができ、所望の性能を保証できる。
【0018】
本発明の光スイッチの製造方法は、一方の基板上に、光ファイバの固定部分と、光ファイバを保持する板ばねを固定する工程と、一方の基板上に他方の基板を重ね合わせて、板ばねおよび光ファイバを挟み込むように固定する工程と、ばね力に抗して板ばねと光ファイバの可動部分を変位させることによりスイッチング動作を行わせるアクチュエータを、他方の基板上に固定する工程と、アクチュエータの駆動回路の一部をなす電気部品を他方の基板に設け、アクチュエータと接続する工程とを含む。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。まず、本実施形態の光スイッチ全体の基本構成について説明する。図1は、本実施形態の1×2光スイッチの主要部の分解斜視図であり、図2はその完成状態の斜視図、図3は上部基板を外した状態の模式的平面図である。また、図4はその第1の状態のA−A’線断面図、図5は第2の状態のA−A’線断面図である。図6〜9はそれぞれ、図3中のB−B’線断面図からE−E’線断面図である。図10はこの光スイッチの駆動回路の一例を示す回路図である。なお、これらの図においては、見易くするために、一部の寸法の縮尺を変えて図示している。
【0020】
本実施形態の光スイッチは、1つの入力側裸光ファイバ(可動光ファイバ17)が基板(下部基板)11に対して垂直方向に移動することにより、2つの出力側裸光ファイバ(固定光ファイバ16ともう1つの固定光ファイバ26)へ光路の切り換えを行うことができる1×2光スイッチである。この光スイッチの基体は、下部基板(シリコン基板)11と上部基板(もう1つのシリコン基板)21から構成されており、それぞれの基板11,21が向かい合う面には、V溝(保持溝)12,22と凹部14,24と流れ防止溝20が形成されている。図8,9に示すように、下部基板11に形成された第1のV溝(保持溝)12には、根元部(固定部分)が固定されていて、先端部(可動部分)が下部基板11に対して垂直方向に移動可能な片持ち梁状の可動光ファイバ17と、可動光ファイバ17と端面同士が近接して対向する第1の固定光ファイバ16が固定されている。また、上部基板21に形成された第2のV溝(保持溝)22には、図8に示すように端面の光軸方向の位置が第1の固定光ファイバ16とほぼ一致する第2の固定光ファイバ(もう1つの固定光ファイバ)26が、第1の固定光ファイバ16と平行に並んで固定されている。各光ファイバ16,17,26の各V溝12,22内への固定は接着剤によって行われ、それぞれの接着部分19の近傍には、流れ防止溝20が設けられている。なお、通常の光ファイバは心線の周りが樹脂コートされているが、ここでは、先端から所望の長さだけ樹脂コートを剥離して裸にした光ファイバを使用し、その裸にされた部分をV溝内に挿入している。
【0021】
図1,3に示すように、下部基板11の一部には凹部14が設けられており、その凹部14上に、板ばね13が取り付けられている。板ばね13は、下部基板11に固定されている1対の固定部13aと、大面積の単一の中間部13bと、1対の固定部13aと中間部13bとをそれぞれ連結する1対の細長い梁状部13cとからなり、中間部13bを中心として対称な形状に形成されている。
【0022】
図示していないが、中間部13bには、後述する電磁石18の磁力を受ける磁性片が固着されて一体化されている。また、中間部13bには、孔部13dが設けられている。図1,3〜5に示すように、この孔部13dに可動光ファイバ17が挿通されて、可動光ファイバ17は、孔部13dの上下両縁部と屈曲する中間部13bの上下両面に上下から当接されて挟まれた状態に保持されている。
【0023】
上部基板21の、凹部24および第2のV溝22と反対側の面には、電磁石18と、この電磁石18に配線パターン27により電気的に接続されている電気部品であるトランジスタ23とコンデンサ25が搭載されている。このトランジスタ23とコンデンサ25は、図10に概略的に示されている駆動回路の一部を構成するものである。電磁石18が鉄心とコイルで形成されている場合、図10に概略的に示されている駆動回路からコイルに電流を流すことにより、板ばね13の中間部13b(図示されていない磁性片)の周辺に磁場を発生させ、下部基板11に対して垂直な方向の磁気吸引力を与えることができる。この磁気吸引力により、図4に示す初期状態から、図5に示すように、板ばね13の中間部13bは電磁石18に向かって移動する。このとき、可動光ファイバ17の先端部は、板ばね13の中間部13bにより持ち上げられて、電磁石18の方へ移動する。
【0024】
なお、図6,7,9に示す断面図では、可動光ファイバ17が第1の固定光ファイバ16と光結合している状態を実線で示し、可動光ファイバ17が第2の固定光ファイバ26と光結合している状態を破線で示している。電磁石18のコイルに電流を流していないとき、すなわち、磁性片に磁気吸引力が働いていないときには、図4,7に示すように、可動光ファイバ17の先端部には、板ばね13の中間部13bから下部基板11方向への付勢力が加わり、図9に示すように、可動光ファイバ17は第1のV溝12内に保持される。
【0025】
第1のV溝12には、図1,3,4に示すように、第1の固定光ファイバ16が、可動光ファイバ17と端面同士が近接するように配置されており、同一のV溝12内で端面が近接する2本の光ファイバ16,17間で、挿入損失の低い光結合が行われる。そして、電磁石18のコイルに電流を流すと、すなわち、板ばね13の中間部13b(磁性片)に磁気吸引力が働くと、図5と図6の破線で示すように、板ばね13の中間部13bは下部基板11から離れる方向へ移動し、可動光ファイバ17の先端部は、板ばね13の中間部13bにより持ち上げられて、図9に破線で示すように、上部基板21に形成した第2のV溝22内に押し付けられる。このように可動光ファイバ17は第2のV溝22内に保持され、第2の固定光ファイバ26と光結合する。
【0026】
このような構成の光スイッチによると、電磁石18のコイルに流す電流をON/OFFすることにより、板ばね13を変位させ、中間部13bに保持されている可動光ファイバ17を、第1のV溝12内または第2のV溝22内に選択的に位置させて、2本の固定光ファイバ16,26への光の切り換えが可能である。この光スイッチは、比較的単純な構造であるために、組立時の調整が容易であり、高性能な光スイッチを低コストで供給できる。また、主要部品である上部基板21や下部基板11は、シリコンやガラスウェハから量産性良く製造できる。
【0027】
本実施形態では、図10に概略的に示す駆動回路の主要部であるトランジスタ23およびコンデンサ25が上部基板21上に搭載されている。上部基板21上に形成されている配線パターン27に外部電源28が接続されて駆動回路が構成され、前記したように電磁石18が駆動される。このトランジスタ23およびコンデンサ25は、実際の光スイッチの固有の特性、例えば寸法誤差や製造誤差やスイッチング動作時の慣性などを考慮した上で設定されている。すなわち、駆動回路を構成する電気部品、この例ではトランジスタ23やコンデンサ25を、各光スイッチ毎に個別に微調整しており、それによって、その光スイッチのスイッチング動作時に可動光ファイバ17および板ばね13の停止位置におけるぶれを最小にするように個別に設計された駆動回路が電磁石18に接続されることになる。具体的には、駆動回路の基本的な回路構成は同一であるが、その駆動回路を構成する電気部品であるトリマーコンデンサや可変抵抗を、それぞれの光スイッチの固有の特性に応じて微調整することが考えられる。
【0028】
このように、各光スイッチ毎にそれぞれ個別に微調整された電気部品が上部基板21上に搭載されているので、この光スイッチの使用者は、駆動回路のうち板ばね13および可動光ファイバ17のぶれに対する影響の小さい電源28程度しか、光スイッチの外部に予め用意しておく必要はない。従って、光スイッチの使用者(光スイッチ製品の購入者)は、ごく一般的な外部電源28を用意して配線パターン27に接続する程度で、この光スイッチの固有の特性に合わせて微調整された駆動回路を用いて電磁石18の駆動を行うことができ、スイッチング動作時の可動光ファイバ17および板ばね13の停止位置におけるぶれを最小にして、高性能の光スイッチを得ることができる。
【0029】
従って、光スイッチ自体は高品質であってもそのアクチュエータを駆動する駆動回路が適合していないために所望の性能が得られないという問題は生じない。本実施形態と同等の駆動回路を構成するためには、従来は各光スイッチの使用者が専用の外部回路を作らなければならなかったが、本実施形態では、各光スイッチの製造者が最適化した電気部品を付属させているため、使用者自身はほとんど手間がかからない。このことは、光スイッチを独立した単体の製品として取り扱う上で、使用者(購入者)を煩わせることなく所望の性能を確実に保証できるという極めて大きなメリットになる。
【0030】
ここで、本実施形態の光スイッチの製造方法について説明する。
【0031】
上部基板21および下部基板11としては、結晶方位が存在する単結晶シリコンやガラスを用いる。単結晶シリコンを使用する場合、結晶方位によってエッチングレートの異方性のあるエッチング液に浸して、エッチングを進行させることにより、容易に高精度なV溝が加工できる。例えば(100)方位の単結晶シリコンウェハを使用するときには、(111)あるいは(110)の側面を有するV溝が作製できる。これらの面はウェハ表面の(100)面に対し、一定の角度を有しており、高精度にエッチングマスクを加工できるフォトリソグラフィ技術と併用することにより、高精度なV溝加工が実現できる。そして、上部基板21と下部基板11とが、凹部内に配置される位置決めころ(基板間位置決め手段)15によって位置合わせされて、接着剤により互いに接合される。
【0032】
本実施形態においては、図1,3に示すように、第1のV溝12内への可動光ファイバ17および第1の固定光ファイバ16の固定と、下部基板11と上部基板21との接合と、第2のV溝22内への第2の固定光ファイバ26の固定は、すべて接着剤(例えば紫外線硬化型接着剤や、紫外線硬化型接着剤と熱硬化型接着剤の併用)によって行われ、それぞれ接着部分19が存在する。この接着部分19の近傍に流れ防止溝20a,20bが設けられている。
【0033】
光ファイバ16,17,26と板ばね13を固定して、両基板11,21を接合した後、上部基板21の上面の所定の位置に電磁石18を固定する。そして、ここまで組み立てた光スイッチの特性を調べ、寸法精度や組立精度や電磁石の性能などを考慮した上で、最適な、すなわちスイッチング動作時の可動光ファイバ17および板ばね13の停止位置におけるぶれが最小になるような駆動回路を設計する。そして、その駆動回路を構成する主要な電気部品(本実施形態ではトランジスタ23とコンデンサ25)を製造し、上部基板21の上面に搭載し、配線パターン27によって電磁石18と接続する。なお、この電気部品はこの光スイッチ専用のものであって、別の光スイッチには、またその光スイッチ固有の特性に応じた電気部品が別途設計されて製造される。
【0034】
なお、本実施形態では、上部基板21上に電気部品(本実施形態ではトランジスタ23とコンデンサ25)が搭載されているが、これらの電気部品は、ベアチップ部品であってもディスクリート部品であってもよい。また、上部基板21がシリコンからなり、このシリコン基板内部にトランジスタなどの電気部品を直接作り込む構成であってもよい。これは、一般的な半導体製造プロセスを用いることによって容易に製造でき、光スイッチの小型化および構成の単純化に寄与する。
【0035】
この光スイッチにおいて、可動光ファイバ17の端面と2本の固定光ファイバ16,26の端面間に空気が存在する場合、挿入損失を低減させるためには、端面間距離を約20μm以下まで近接させる必要がある。また、光ファイバ16,17,26の端面での屈折率差によって、表面反射が生じ、挿入損失や反射減衰量が増加する。そこで、それぞれの端面に反射防止膜をコーティングすることが望ましい。
【0036】
また、反射減衰量を低減させるために、光ファイバ16,17,26の端面を、光軸に垂直な面から5度から8度程度傾けるように加工することも考えられるが、光ファイバ端面での屈折により、光軸ずれが起こり、挿入損失が増加する。そこで、この場合には、1本のV溝に光ファイバを配置するのではなく、光軸ずれに対応した位置に光ファイバが配置できる2本の平行なV溝を形成することが望ましい。
【0037】
また、光ファイバ16,17,26の端面間を屈折率整合液で満たすことによって、反射損失及び挿入損失を低減させることも可能である。
【0038】
図示しないが、本実施形態の板ばね13の中間部13bには、磁性片が、貼り付けや、真空蒸着やスパッタリングなどの薄膜堆積法や、めっき法などにより一体化されている。しかし、板ばね13自体を磁性材で形成しても構わない。
【0039】
本実施形態の基板11,21はシリコン基板であるが、光ファイバ16,17,26と同一材料であるガラスにより基板11,21を形成すると、熱膨張係数が光ファイバ16,17,26と一致するため、広い温度範囲において、挿入損失、反射損失、偏波依存特性等において、温度変化に依存しない、優れた光スイッチを作製できる。その場合、V溝12,22は、基板11,21の表面を機械的に加工して作製される。例えば、切削用ブレードを高速回転させ、回転方向に走査させながらカッティングすることにより、ブレードの断面形状を転写させた形の溝が作製できる。ブレードのテーパ角を制御することにより、任意の傾斜の側面を容易に形成でき、様々な形状のV溝加工が実現する。
【0040】
本実施形態では、図示しない磁性片が固着された、または磁性材からなる板ばね13に、電磁石18から磁力を作用させて動作させる構成であるが、電磁石18以外の静電アクチュエータなどのアクチュエータによって板ばねを駆動する構成であってもよい。その場合、板ばね13は磁性を持たなくてもよい。
【0041】
なお、図10には、簡略化のために、非常に単純な構成の駆動回路の例を示しているが、実際には、もっと複雑で構成要素の多い駆動回路が構成される。
【0042】
【発明の効果】
本発明によると、アクチュエータの駆動回路を構成する電気部品が光スイッチの基体に設けられているので、光スイッチの使用者が駆動回路を別途設けておく必要がほとんどないので、簡単に使用できるようになる。特に、光スイッチの基体に設けられている電気部品が、実際の光スイッチの固有の特性、例えば寸法誤差や製造誤差やスイッチング動作時の慣性などを考慮した上で設計または微調整されたものであると、その光スイッチに合わせて最適化された駆動回路を、使用者が特に煩雑な作業を行うことなく容易に得ることができる。例えば、光スイッチのスイッチング動作時の光ファイバの停止位置におけるぶれを最小にするように設計または微調整された電気部品を、その光スイッチ自体に付属させることにより、使用者を煩わせることなく所望の性能を確実に保証できる。従って、光スイッチを独立した単体の製品として取り扱う上で非常に便利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の光スイッチの分解斜視図である。
【図2】図1に示す光スイッチの完成状態の斜視図である。
【図3】図1に示す光スイッチの上部基板を外した状態の模式的平面図である。
【図4】図1に示す光スイッチの第1の状態の、図3のA−A’線断面図である。
【図5】図1に示す光スイッチの第2の状態の、図3のA−A’線断面図である。
【図6】図1に示す光スイッチの、図3のB−B’線断面図である。
【図7】図1に示す光スイッチの、図3のC−C’線断面図である。
【図8】図1に示す光スイッチの、図3のD−D’線断面図である。
【図9】図1に示す光スイッチの、図3のE−E’線断面図である。
【図10】光スイッチのアクチュエータの駆動回路の一例を示すブロック図である。
【図11】従来の光スイッチの一部切欠斜視図である。
【符号の説明】
11   下部基板(基体)
12   第1のV溝(保持溝)
13   板ばね
16   第1の固定光ファイバ
17   可動光ファイバ(光ファイバ)
18   電磁石(アクチュエータ)
21   上部基板(基体)
22   第2のV溝(保持溝)
23   トランジスタ(電気部品)
25   コンデンサ(電気部品)
26   第2の固定光ファイバ(もう1つの固定光ファイバ)
27   配線パターン

Claims (7)

  1. 光スイッチの基体と、
    前記基体に固定されている光ファイバと、
    前記基体に固定されており、前記光ファイバの可動部分を変位させることによりスイッチング動作を行わせるアクチュエータと、
    前記基体に設けられており、前記アクチュエータの駆動回路の一部を構成する電気部品とを有する光スイッチ。
  2. 前記基体は1対の基板からなり、前記光ファイバは前記両基板間に固定されており、前記アクチュエータおよび前記電気部品は前記基板のうちの一方に設けられている、請求項1に記載の光スイッチ。
  3. 前記1対の基板間に固定されて前記光ファイバを保持する板ばねを有し、
    前記アクチュエータは磁力を発生するものであり、前記板ばねは磁性材により形成されているか、または磁性片が固着されたものである、請求項2に記載の光スイッチ。
  4. 前記可動部分を有する前記光ファイバの先端と対向可能な位置に先端を有する固定光ファイバが、前記基体に固定されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光スイッチ。
  5. 前記固定光ファイバから前記可動部分の可動方向に沿って離れた位置に、前記可動部分を有する前記光ファイバの先端と対向可能な先端を有するもう1つの固定光ファイバが設けられており、
    前記可動部分の移動に伴って、前記光ファイバの先端が、前記固定光ファイバの先端および前記もう1つの光ファイバの先端のいずれか一方と選択的に対向する、請求項4に記載の光スイッチ。
  6. 前記電気部品は、その光スイッチ自体の固有の特性に応じた駆動回路を構成するように設計されたものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光スイッチ。
  7. 一方の基板上に、光ファイバの固定部分と、前記光ファイバを保持する板ばねを固定する工程と、
    前記一方の基板上に他方の基板を重ね合わせて、前記板ばねおよび前記光ファイバを挟み込むように固定する工程と、
    ばね力に抗して前記板ばねと前記光ファイバの可動部分を変位させることによりスイッチング動作を行わせるアクチュエータを、前記他方の基板上に固定する工程と、
    前記アクチュエータの駆動回路の一部をなす電気部品を前記他方の基板に設け、前記アクチュエータと接続する工程とを含む光スイッチの製造方法。
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