JP3565180B2 - ネットワークプリンティングシステム、サービス代行サーバ、及びプログラム - Google Patents

ネットワークプリンティングシステム、サービス代行サーバ、及びプログラム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、端末からネットワークを介してプリント要求を受け、プリントするネットワークプリンティングシステム、サービス代行サーバ、及びサービス代行サーバを動作させるプログラムに関し、そのようなシステムにおける節電と操作性の向上技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリンタの待機状態における消費電力の削減はユーザの要望であると共に、環境への配慮という面からも対応を迫られている。待機時にどの程度の電力を削減するかは、ユーザの利便性とのトレードオフとなる場合が多い。例えば、定着部の電力の削減はユーザの待ち時間の発生を意味するし、また、ネットワーク接続の遮断は、ネットワークからのリモートアクセスを不可能にする。したがって、従来のネットワーク環境においては、一定時間いずれの端末からもプリント要求がない場合、ネットワークの接続は維持した状態とし、定着部の電力を削減しての待機状態に遷移させるのが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この待機状態においては、リモート端末からプリント要求があると、待機状態を自動的に脱し、定着部が定着所要温度まで急速加熱されて、プリント開始するものの、それまでの間、端末はプリントデータの送出を待たされることになり、プリント処理の迅速性に欠けるものである。
【0004】
本発明は、かかる課題に鑑み、待機中はネットワーク接続をも遮断し、節電を図ることのできるものでありながら、起動要求を受けてから起動完了するまでの間においても、端末からプリント指示、プリントデータの送出を行うことが出来、ユーザの待ち時間の発生を極力少なくすることができ、コストパフォーマンスに優れたネットワークプリンティングシステム、サービス代行サーバ、及びサービス代行サーバを動作させるプログラムを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、2以上のネットワーク手段と、各ネットワークに接続されたプリンタと、各ネットワークと接続されたサービス代行サーバとを備え、前記サービス代行サーバは、第1のネットワーク手段につながった端末からのプリンタに対する起動要求を受け、第2のネットワーク手段を通じて起動要求を行うネットワーク経路変換手段と、前記端末が起動要求を発してから、前記プリンタが起動完了通知を発するまでの間、前記端末に対して第1のネットワーク手段を通じてプリンタの代行をする代行手段とプリンタから起動完了通知が発されるとこれを受信し、端末に対しプリントシーケンスの遂行を中断させる指示を行う中断指示手段と、中断の指示をするまでの間に受信したプリントデータを第1のネットワーク手段を通じてプリンタに転送する転送手段と、転送後に、端末に対してプリントシーケンスを再開する指示を行う再開指示手段とを備えていることを特徴としている。
【0008】
<作用>
この構成によれば、プリンタの待機時は、端末がつながっているネットワーク手段からプリンタを遮断することが出来て、無駄な電力を削減できるものでありながら、もう一方のネットワークを通じて起動要求を受けることができ、かつ、プリンタが端末と通信が出来るようになるまでの間、サービス代行サーバがプリンタの代行をし、プリント指示、プリントデータの受信等を行うので、端末の待ち時間を最小化することが出来る。
【0011】
<構成>
また、本発明は、2以上のネットワーク手段でプリンタと接続されたサービス代行サーバであって、第1のネットワーク手段につながった端末からのプリンタに対する起動要求を受け、第2のネットワーク手段を通じて起動要求を行うネットワーク経路変換手段と、前記端末が起動要求を発してから、前記プリンタが起動完了通知を発するまでの間、前記端末に対して第1のネットワーク手段を通じてプリンタの代行をし、前記プリンタ宛のプリントデータを受信する代行手段と、プリンタから起動完了通知が発せられるとこれを受信し、端末に対しプリントシーケンスの遂行を中断させる指示を行う中断指示手段と、中断の指示をするまでの間に受信したプリントデータを第1のネットワーク手段を通じてプリンタに転送する転送手段と、転送後に、端末に対してプリントシーケンスを再開する指示を行う再開指示手段とを備えていることを特徴としている。
【0012】
<作用>
この構成によれば、プリンタの待機時は、端末がつながっているネットワーク手段からプリンタを遮断することが出来て、無駄な電力を削減できるものでありながら、もう一方のネットワークを通じて起動要求を受けることができ、かつ、プリンタが端末と通信が出来るようになるまでの間、サービス代行サーバがプリンタの代行をし、プリント指示、プリントデータの受信等を行うので、端末の待ち時間を最小化することが出来る。
【0013】
<構成>
ここで、前記第2のネットワーク手段は電力線を用いることが出来る。
【0014】
<構成>
さらに、本発明は、2以上のネットワーク手段でプリンタと接続されたコンピュータにおいて実行されるプログラムであって、第1のネットワーク手段につながった端末からのプリンタに対する起動要求フレームを受信し、第2のネットワーク手段にルーティングし、同ネットワーク手段を通じてプリンタに対して起動要求フレームを送信するルーティングステップと、前記端末が起動要求フレームを発してから、前記プリンタが起動完了通知フレームを発するまでの間、前記コンピュータに、端末からプリンタに送られるフレームの代行受信をさせ、その間に送られてくるプリントデータをコンピュータの記憶部に蓄積する代行受信ステップと、プリンタから起動完了通知フレームが送信されると、これを検知し、端末に対しプリントシーケンスの遂行を中断させる指示フレームを送信する中断指示ステップと、中断の指示をするまでの間に前記コンピュータに受信し蓄積したプリントデータを第1のネットワーク手段を通じてプリンタにフレーム転送する転送ステップと、プリントデータの転送後に、端末に対してプリントシーケンスを再開する指示フレームを送信する再開指示ステップとをコンピュータに実行させることを特徴としている。
【0015】
<作用>
このプログラムを実装することによって、プリンタの待機時は、端末がつながっているネットワーク手段からプリンタを遮断することが出来て、無駄な電力を削減できるものでありながら、もう一方のネットワークを通じて起動要求を受けることができ、かつ、プリンタが端末と通信が出来るようになるまでの間、サービス代行サーバがプリンタの代行をし、プリント指示、プリントデータの受信等を行うことができる。
【0017】
【実施の形態】
<全体構成>
図1は、本発明の一適用例を示している。図中、1はプリンタ、2はサービス代行サーバ、3はプリント要求端末である。プリンタ1は、プリンタサーバ機能を有していて、省エネモードに遷移していないでReady状態にあるときは、直接プリント要求端末からプリント依頼を受け付ける事が出来る。端末3は図示例では、1台であるが、実際には複数台接続されている。サービス代行サーバ2は、通常のプリンタシステムにおいて用いられるプリンタサーバとは異なる。プリンタサーバの代行を行ったり、一方のネットワークのパケットを他方のネットワークに送出するルータとして振る舞う。プリンタ1とサービス代行サーバ2とは、それぞれ1対のネットワークインターフェース11、12、21、22を備えている。プリント要求端末3は、1のネットワークインターフェース31を備えている。そして、これらのプリンタ、サービス代行サーバ、端末の各装置1、2、3は、それぞれ前記ネットワークインターフェース11、21、31を介して第1ネットワーク4に接続され、また、サービス代行サーバ2とプリンタ1とは、他の一つのネットワークインターフェース12、22を介して第2のネットワーク5に接続されている。第1のネットワーク4は例えば、バス型ネットワークであり、10BASE−Tのより対線で各装置間を接続している。第2のネットワーク5は、電力線を用いている。前記各装置1、2、3は、この電力線5を通じて駆動電力を供給されている。いずれのネットワーク4、5とも、標準プロトコルとしてTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)を使用したコネクションレス型オープンネットワークである。
【0018】
電力線兼用のネットワーク5と接続されるネットワークインターフェース12、22は、商用周波数の電流に重畳された信号成分を抽出するフィルタと、抽出信号を復調する復調回路を主たる構成としている。これに対して、第1のネットワーク4と接続されるネットワークインターフェース11、21は、LANカードが用いられる。
【0019】
各プリンタ1、サービス代行サーバ2、端末3は、それぞれ各ネットワーク4、5に対してIPアドレスを有している。例えば、プリンタ1は第1のネットワーク4上では、「192.168.0.2」というIPアドレスを持ち、第2のネットワーク5上では「192.168.1.2」というIPアドレスを持つ。同様に、サービス代行サーバ2は、第1のネットワーク4上では、「192.168.0.1」、第2のネットワーク5上では「192.168.1.1」というIPアドレスを持つ。
【0020】
<プリンタの構成>
前記プリンタ1の内部において、第1のネットワーク4からネットワークインターフェース11を通じて入力された情報はプリンタ制御部13に伝送され、他方、第2のネットワーク5からネットワークインターフェース12を通じて入力された情報はPMP部14に伝送される。プリンタ1内はこのほかに、図示はしていないがプリントを実行するプリンタ本体を含む。プリンタ本体としては、静電複写方式のプリンタが代表的である。即ち、このプリンタは感光体ドラムと、その周囲に配された帯電チャージャ、半導体レーザ露光ユニット、現像ユニット、転写ユニット、クリーニングユニット、並びに転写後のトナー像に対して熱定着作用する定着ユニット等を備えると共に、ネットワークを通じて受信した文書データから印字用データに変換する処理回路、印字データに対し輪郭強調等の補正を行う処理回路並びに印字用データを一時的に格納する画像メモリを備える。プリンタ1は、図3に示すように状態遷移をし、一定時間いずれの端末からのプリント依頼が来ない場合、省エネを図るように構成されている。図3の状態遷移図の説明は、PMP部14の説明の次に述べる。
【0021】
プリンタ制御部13は、プリンタサーバとしての機能を主としており、第1のネットワーク4から自装置宛に印字要求フレームが伝送されてくると、前記プリンタ本体の各部を制御してプリントさせるもので、CPU、メモリ等のハードウエア及びアプリケーションソフトからなる。
図7にプリンタ制御部13のフローチャートを示す。PMP部14によって起動されるとRAMの初期化等の起動処理を行って(S71)、起動完了すれば、PMP部14に起動処理終了を通知する(S72)。以後、ネットワークインターフェース部11からプリント指示受信通知またはプリントデータ受信通知を受けると(S73)、通常のプリント受信シーケンスを実行する(S74)。そして、受信したデータのプリント印字処理を行う(S77)。
【0022】
他方、常にプリンタの無操作状態及びネットワークを介しての信号入力を監視しており、一定時間以上の無操作状態が継続しており信号入力が無いなら(S75)、PMP部14へSleep状態に移行する旨の要求をする(S76)。
PMP部14は、プリンタ1全体の電源管理を行う部分で、例えば、8bitのマイクロコンピュータからなり、ネットワークインターフェース部12やプリンタ制御部13とは図2に示すように接続されていて、プリンタ1がSleep状態にあるとき、第2のネットワーク5に所定の信号(後述するようにこの信号は、起動信号である。)が伝送されてくると、ネットワークインターフェース部12がその信号成分を抽出し、復調して、スイッチ投入制御信号を生成し、PMP部14の電源スイッチSW1を投入する。電源スイッチSW1は、例えば、トランジスタを含むスイッチング回路で構成される。電源スイッチSW1が投入されると、PMP部14が起動し、プリンタ制御部13の各種コントローラ131に電源が投入される。
【0023】
図8は、PMP部14の制御動作を示すフローチャートである。ネットワークインターフェース部12から起動開始要求を受信した旨の通知があると(S81)、プリンタ制御部13に電源を投入し(S82)、サービス代行サーバ2に対して起動開始した旨の通知を行う(S83)。また、プリンタ制御部13から起動処理を終了した旨の通知があると(S84)、サービス代行サーバ2にその旨の通知をする(S85)。さらに、プリンタ制御部13からSleep状態に移行する旨の要求がされると(S86)、プリンタ制御部13への通電を遮断する(S87)。この後、自らの電源も遮断する。
【0024】
なお、プリンタ制御部13に電源が投入されると、プリンタ1は図3に示すSleep状態からWait状態を経てやがてReady状態に移行する。図3において、Sleep状態は、図2の各スイッチSW1、SW2ともOFFし、PMP部14もOFFしている状態をいう。このとき、第1のネットワーク4につながっているネットワークインターフェース部11もOFF状態になっている。したがって、Sleep状態ではプリンタ1は、第1のネットワークに対して遮断されており、第2のネットワーク5を通じてしか起動出来ない。Wait状態は、Sleep状態からReady状態に遷移する過程の中途段階をいい、印字データを受信するところまでは至っていないが、図2のSW1が投入され、PMP部14に電源が入った段階をいう。Ready状態は印字データを正常に受信することが出来る段階をいい、実際にプリントできるかどうかは問わない。メモリに印字データを格納する状態も、ここではReady状態という。Busy状態は、印字中の状態をいう。
【0025】
また、Sleep状態でネットワークインターフェース12への通電をOFFし、Sleep状態での第2のネットワーク5からの起動指示信号をバイパスさせてSW1をONすると共に、SW1のONでPMPとネットワークインターフェースを同時に起動するようにしてもよい。このように構成することで、Sleep状態におけるプリンタの消費電力を実質ゼロにすることが出来る。また、その際、後述するプリンタにおけるIPアドレスの書き換えは、ネットワークインターフェース12の起動完了後にする。
【0026】
<端末の構成>
次に、プリント要求端末3は、例えばパソコンからなり、文書作製と通信機能等を統合したアプリケーションソフトを装備し、そのソフトで作製した文書を、メッセージ本体とする印字要求フレームを生成し、ネットワークインターフェース部31を介して第1のネットワークに送出する。印字要求フレームの一例を図4に示す。図示のフレームは、CSMA/CD方式のフレーム構成で、PAは同期確立のために使用されるプリアンブル、SFDはフレーム開始デリミタ、FCSはフレームチェックシーケンス(CRC)である。宛先アドレス、発信アドレスは、それぞれMAC(Media Access Control)アドレスが使用される。MACアドレスは、OSI基本参照モデルのデータリンク層の副層のプロトコルにおいて、LAN上の特定の装置を識別するためのアドレスである。通常48ビットで構成され、32ビットで構成されるIPアドレスとは異なる。
【0027】
プリント要求端末3は、内部にアドレス管理テーブルを有していて、ネットワーク上に存在するプリンタ1、サービス代行サーバ2等全ての装置のIPアドレス、MACアドレスを管理している。アドレス管理テーブルでは、起動時のIPアドレス、MACアドレスはデータ送出時のIPアドレス、MACアドレスと異なって登録されている。これは、起動は上述したように第2のネットワーク5を通じて行うからである。このため、起動要求フレームに格納されるターゲットアドレスは、プリントデータ送出フレームに格納されるターゲットアドレスとは異なっている。
【0028】
<サービス代行サーバの構成>
サービス代行サーバ2は、ルータとしての機能と、プリンタ1の代行をする機能とを有する。ルータ機能は、プリント要求端末3から送出されたフレームに格納された宛先アドレスが、第1のネットワーク4上に存在しない場合、サービス代行サーバ2がそのフレームを宛先アドレスが存在するネットワークへ転送する機能をいう。代行機能は、一定の場合、プリンタ1として振舞う機能をいう。プリンタ1として振舞う方法として、この実施例では、プリント要求端末3がフレームを送出する際に参照するアドレス管理テーブルのMACアドレスを書き換えるという方法をとる。MACアドレスが書き換えられると、プリント要求端末は、プリンタに送ったつもりでフレームを送出するが、フレームの宛先アドレスはサービス代行サーバ2になっているため、サービス代行サーバ2がフレームを受け取ることになる。このようにサービス代行サーバ2がプリンタ1として振舞うことから、代行中の状態を本明細書中では、「成りすまし」という用語を用いる。なお、プリント要求端末3内のテーブルの書き換えは、ARP(address Resolution Protocol:アドレス解決プロトコル)要求/応答処理によってなされる。ARP要求/応答に用いられるフレーム図を図5に示す。フレーム中、ターゲットMACアドレスを自己のアドレスに書き換えて、ネットワークに送り出すと、それを受け取ったプリント要求端末3はテーブルのMACアドレスを書き換えることになる。
【0029】
以上の機能を実現するために、サービス代行サーバ2は、ネットワークインターフェース21、22のほかに、プリンタ監視部23、経路変換部24、代行処理部25を備える。プリンタ監視部23は、プリンタが現在いずれの状態に遷移しているかを監視している。経路変換部24は、ルータ機能を有する部分である.代行処理部25は、プリンタ1として振舞う部分である。この処理部には、代行中、プリント要求端末3から送られてくるフレーム、特に印字データを格納するためのメモリを有する。サービス代行サーバ2の処理の詳細は、図9から図14までのフローチャートに示されており、システム全体の動作の後で説明する。
【0030】
<システム全体の動作>
図6に基づきネットワークシステム全体の動作の概略を説明する。図6は、プリンタ1、サービス代行サーバ2、プリント要求端末3の間の処理の流れを示すシーケンスである。まず、前提として、プリンタ1は長期間プリント要求を受け付けていないため、Sleep状態にあるとする.この状態のとき、時刻T0において、いずれかのプリント要求端末3から起動要求が発されると、そのフレームのターゲットIPアドレスが第2のネットワーク5上のIPアドレスを指定しているので、サービス代行サーバ2のルータ機能により、起動要求フレームをルーティングし、第2のネットワーク5を通じてプリンタ1に転送する。プリンタ1は、この要求を受信すると、起動開始すると共に、起動開始した旨の応答フレームを送信元のプリント要求端末3に対して送出する。
【0031】
この応答フレームも第2のネットワーク5を通じて発されるため、サービス代行サーバ2はこの応答フレームもルーティング処理する。サービス代行サーバ2はこの時点T1から、成りすまし処理を開始し、代行処理部25を作動させてプリンタ1の代行を行う。このため、時刻T2でプリント要求端末3からプリンタ宛に、プリント印字指示フレームが、続いて印字データフレームが送出されるが、これらの全てのフレームをサービス代行サーバ2が受信する。
【0032】
起動開始から一定時間が経ち、プリンタ1がSleep状態からWait状態を経てReady状態に移行すると、プリント要求端末3あてに起動完了した旨のメッセージフレームが第2のネットワークに送出される(T3)。サービス代行サーバ2はこのフレームをルーティングすると共に、この時点で、成りすまし処理を終了する。そして、プリント要求端末3に対して、一時的にフレーム送出を中断するよう要求する。これはサービス代行サーバ2内のメモリに代行中に格納された印字データをプリンタ1に送出し、先に印字もしくはプリンタ内のメモリに格納するためである。代行中の印字データのプリンタへの送出を完了すると、続いて、時刻T4で、プリント要求端末3に対して、プリントデータの転送再開を許可する通知を行う。この後は、プリント要求端末3から直接印字データがプリンタ1へ送出され、印字が継続実行される。
【0033】
<サービス代行サーバの動作>
サービス代行サーバ2の処理動作は、ネットワークインターフェース部21、22と、プリンタ監視部23、経路変換部24、代行処理部25とに分けて示している。
図9は、サービス代行サーバの代行処理部25、経路変換部24が第1のネットワーク4に対して行う処理を示すフローチャート、図10は、第2のネットワーク5に対して行う処理を示すフローチャートである。これらの処理はサブルーチン化されており、交互に実行される。
【0034】
第1のネットワーク4に対しては、まず、プリント代行中であるかどうか判定する(S91)。代行中であるかどうかは、代行開始フラグの状態を見て判断する。代行開始フラグは、初期状態でリセットされている。このフラグを見て、代行中であると判断されると、代行中処理のサブルーチンをコールする(S92)。このサブルーチンは図11に示され、図10の説明の後で説明する。代行中でないと判断された場合において、ネットワークインターフェース部21から他のネットワーク上のIPアドレスを格納したフレームを受信した旨の通知を受けて、受信フレームを解析した結果、当該フレームがプリンタへの起動要求であることが判明した場合には(S93)、第2のネットワーク5へ起動要求を転送するルーティングを行う(S94)。一方、第2のネットワーク処理ルーチン(図10)からの起動開始の応答を受信した場合であると(S95)、ネットワークインターフェース部21に代行開始要求を通知し(S96)、代行開始フラグをセットする(S97)。
【0035】
第2のネットワークに対しては、第1のネットワーク処理ルーチン(図9)からの起動開始指示を受信した場合であると(S101)、プリンタへ起動要求を送信する(S102)。他方、プリンタからの起動開始応答であった場合には(S103)、第1のネットワーク処理ルーチンへ起動開始応答を転送する(S104)。更に、プリンタからの起動完了通知であった場合には(S105)、第1のネットワーク処理ルーチンに起動完了通知を転送する(S106)。
【0036】
図11は、上記ステップS92の代行中処理を示し、受信したフレームがプリンタへの印字指示であった場合(S111)、プリント受信データバッファの領域を確保して後(S112)、代行処理を開始する(S113)。この後、印字データが送られてくる度に(S114)、領域を確保したデータバッファに保存する(S115)。一方、第2のネットワーク処理ルーチンからの起動完了通知を受信した場合であると(S116)、ネットワークインターフェース部21に代行処理を解除するよう要求し、プリント要求端末3に対してプリントデータの送信を中断する旨依頼する。また、プリンタへ印字指示を送信すると共に、それまでデータバッファに格納していたプリントデータをプリンタへ転送する。そして、プリント要求端末に対して、プリントデータの転送再開を要求し、代行処理フラグをリセットする(S117)。
【0037】
次に、ネットワークインターフェース部21、22の処理を説明する。ネットワークインターフェース部21、22は図12に示すように、受信処理(S121)、成りすまし処理(S122)、送信処理(S123)を実行する。受信処理はサブルーチンになっており、図13に示す。このサブルーチンは、ネットワークを通じてフレームを受信するたびにコールされる。そして、受信したフレームのターゲットMACアドレスに自己のMACアドレスが格納されているかどうか(S131)、ARP要求かどうか(S132)を判定する。S131で自己以外のMACアドレスが格納されていた場合においては、ターゲットIPアドレスを参照し、他のネットワーク上のアドレスかどうかを判定し(S139)、他のネットワーク上のIPアドレスだった場合、ルーティングが必要であるので、第1のネットワーク処理ルーチンに通知する(S140)。この通知は、第1のネットワーク処理ルーチンのステップS93において、検出され、ルーティングされることになる。
【0038】
一方、自己のMACアドレスを格納している受信フレームであって、ARP要求フレームで無い場合には、通常のIPパケット受信処理を行う(S133)。
受信したフレームがARP要求フレーム(図5参照)であると、そのターゲットIPアドレスに格納されているアドレスが自己のIPアドレスである場合は(S134)、通常どおり、自己のMACアドレスをターゲットMACアドレスにセットしてARP応答フレームを作成し、ネットワークに送出する(S135)。他方、ターゲットIPアドレスが自己のIPアドレスでない場合には、成りすまし中かどうかにより処理を異にする。プリンタ1に成りすまし中であると(S136)、ターゲットIPアドレスにプリンタのIPアドレスが記載されていた場合(S137)、ターゲットIPアドレスはプリンタのIPアドレスのままで、自己のMACアドレスをターゲットMACアドレスにセットしてARP応答フレームを作成し、送り返す(S138)。このように自己のMACアドレスをターゲットMACアドレスにセットしたARP応答フレームを送り返すと、以後、プリンタを宛先アドレスとするフレームをサービス代行サーバが受信し、ステップS133のIPパケット受信処理へ移行するようになる。
【0039】
成りすまし中でなく(S136)、また、成りすまし中であっても、ターゲットIPアドレスがプリンタでない場合(S137)、受信したフレームを何ら処理することなくそのままネットワークに送出する。
ステップS136のプリンタに成りすまし中かどうかの判断は、成りすましフラグを見て行う。成りすましフラグは、次に述べる成りすまし要求処理ルーチンにおいて、セット、リセットされる。
【0040】
図14は、成りすまし要求処理ルーチンを示している。図9の第1のネットワーク処理ルーチンにおいて成りすまし開始要求が通知されていると(S96)、本サブルーチンにおいて、判断される(S141)。そして、送り手IPアドレスとターゲットIPアドレスはプリンタのIPアドレスにし、送り手MACアドレスを自己のMACアドレスにセットしたARP要求フレームを作成し、ネットワークにブロードキャストで送出する(S142)。これにより、ネット上の各端末が有するIPアドレスとMACアドレスの対応テーブル(ARPテーブル)を書き換えさせる。この結果、プリンタをターゲットIPアドレスとするフレームは全てサービス代行サーバ2に到達することになる。続いて、成りすましフラグをセットする(S143)。
【0041】
また、図11の代行中サブルーチンにおいて成りすまし解除要求の通知がされていると(S117)、ステップS144にて検出される。そして、送り手IPアドレスは自己のIPアドレス、ターゲットIPアドレスはプリンタのIPアドレスにし、送り手MACアドレスを自己のMACアドレスにセットしたARP要求フレームを作成し、ネットワークにブロードキャストで送出する(S145)。これによりネット上の各端末が有するIPアドレスとMACアドレスの対応テーブルが元の内容に書き換えられることになり、プリンタを宛先とするフレームは正しくプリンタに行くようになる。しかる後、成りすましフラグをリセットする(S146)。
【0042】
<第2の実施の形態>
上記実施の形態では、プリンタ、サービス代行サーバが2本のネットワークに接続されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、1本のネットワークにつながっている構成で実施することが出来る。本実施の形態は、ネットワークが1本の場合の構成を示す。
【0043】
図15は、第2の実施の形態のシステム全体の構成を示すブロック図である。プリンタ151とサービス代行サーバ152、プリンタ53がネットワーク上に存在するのは、図1と基本的に同じであるが、図1と異なり、ネットワークは1本である。このため、プリンタ151、サービス代行サーバ152はそれぞれネットワークインターフェース部1511、1521を1個づつしか備えない。また、プリンタ151のPMP部1512は、前記実施例のように起動要求で電源投入されるのではなく、常時作動状態にあり、ネットワークインターフェースを通じて起動要求を受信すると、プリンタ制御部1513を起動するという、一般的な構成である。
【0044】
サービス代行サーバ152は、前記実施の形態と異なり、経路変換部を備えていない。ネットワークが1本のため不要となったものである。これ以外の構成は第1の実施の形態と異ならない。
<システム全体の動作>
図16は、システム全体の動作を示すシーケンス図である。第1の実施の形態の対応する図(図6)と比べて、プリンタ、サービス代行サーバが1のIPアドレスしか持たない点が異なっているだけであり、そのため、プリント要求端末からの起動開始要求(T1)は、直接プリンタに送られ、プリンタは起動を開始する。起動を開始した通知はサービス代行サーバに送付される(T2)。
サービス代行サーバはこの通知を受けて、代行処理を開始する。この後の処理は、図6と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0045】
図17は、サービス代行サーバの行う代行処理を示すフローチャートである。サービス代行サーバは、処理がステップS171に進む各瞬時において、代行処理を行う状態であるか否かを判定している。代行中であるか否かは、代行処理中フラグの状態を見ることにより、判断される。初期設定では、リセットされているので、代行中で無いと判断し、S172に進む。そして、プリンタから起動開始通知を受信したなら、ネットワークインターフェース部1521に成りすまし要求を発し(ステップS173)、代行処理中フラグをセットする(ステップS174)。これ以後、サービス代行サーバは代行処理を行うことになる。このため、次にメインルーチンから分岐して、ステップS171に達した際には、処理はS175、S176、S177へと進み、これらの内容である各イベントの発生を監視する。そして、イベントがプリンタへの印字指示であれば、プリント受信用データバッファ領域を確保して(S178)、プリントシーケンス代行処理を開始する(S179)。
【0046】
また、プリント印字データを受信するイベントであれば(S176)、当該受信データをバッファに保存して行く(S180)。
さらに、プリンタからの起動完了を受信するイベントである場合には(S177)、ステップS181〜ステップS185までの処理を行って後、代行中フラグをリセットして代行処理を終了する(S186)。
【0047】
ステップS182において、プリント要求端末に対しプリントデータ転送の中断を指示するので、プリント要求端末は一時的にプリントデータの送信を中止する。この状態で、サービス代行サーバ内の受信バッファに格納しているデータをプリンタに転送する(S184)ので、プリンタにはプリント要求端末が送信し始めた当初からのデータが届くことになる。そして、転送を完了すると、プリント要求端末に対し転送再開通知を発するので(S185)、プリンタはこれ以降、プリンタからデータを受け取ることになる。この場合、プリンタには、プリント要求端末が送信した順番にプリントデータが届くことになり、素のまま通常のプリント動作をすれば、正常な状態で、即ち、プリントページの順序が逆になったりすることなくプリントを完了することができる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、2以上のネットワーク手段と、各ネットワークに接続されたプリンタと、各ネットワークと接続されたサービス代行サーバとを備え、前記サービス代行サーバは、第1のネットワーク手段につながった端末からのプリンタに対する起動要求を受け、第2のネットワーク手段を通じて起動要求を行うネットワーク経路変換手段と、前記端末が起動要求を発してから、前記プリンタが起動完了通知を発するまでの間、前記端末に対して第1のネットワーク手段を通じてプリンタの代行をする代行手段と、プリンタから起動完了通知が発されるとこれを受信し、端末に対しプリントシーケンスの遂行を中断させる中断指示手段と、中断の指示をするまでの間に受信したプリントデータを第1のネットワーク手段を通じてプリンタに転送する転送手段と、転送後に、端末に対してプリントシーケンスを再開する指示を行う再開指示手段とを備えているものであるから、上記したコストパフォーマンスの効果の高さに加えて、プリンタの待機中においてももう1本のネットワークを介して起動することができ、このもう1本のネットワーク手段として省電力のものを用いることにより、さらなる省電力化を図ることができるという効果がある。
【0050】
また、本発明は、上記ネットワークプリンティングシステムにおけるプリンタ、サービス代行サーバ、並びにそれら特有の処理を実行するプログラムを個別に請求しており、それぞれネットワーク上で用いることにより、またプログラムにあってはパソコン本体のハードディスクに実装することにより上記と同様な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施形態としてのネットワーク全体の構成を示すシステム図である。
【図2】プリンタのPMP回路を示す図である。
【図3】プリンタの状態遷移図である。
【図4】フレーム構造を示す図である。
【図5】ARP要求/応答フレームの構成を示す図である。
【図6】プリント要求端末、サービス代行サーバ、プリンタ間のプリントシーケンスを示す図である。
【図7】プリンタ制御部の動作を示すフローチャートである。
【図8】PMP回路の処理を示すフローチャートである。
【図9】第1のネットワークに対する処理を示すフローチャートである。
【図10】第2のネットワークに対する処理を示すフローチャートである。
【図11】サービス代行サーバの代行中処理を示すフローチャートである。
【図12】ネットワークインターフェース部の処理を示すフローチャートである。
【図13】サービス代行サーバの受信処理を示すフローチャートである。
【図14】成りすまし要求処理を示すフローチャートである。
【図15】第2の実施の形態にかかるネットワーク全体の構成を示すブロック図である。
【図16】プリンタ、サービス代行サーバ、プリント要求端末の間のプリントシーケンスを示す図である。
【図17】サービス代行サーバの代行処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1、151:プリンタ
2、152:サービス代行サーバ
3、153:プリント要求端末
4:ネットワーク、第1のネットワーク
5:第2のネットワーク
11、12、21、22、31、
1511、1521、1531、:ネットワークインターフェース部
13、1513:プリント制御部
14、1512:PMP部
23、1523:サーバ処理部
24:経路変換部
25、1522:代行処理部

Claims (7)

  1. 2以上のネットワーク手段と、各ネットワークに接続されたプリンタと、各ネットワークと接続されたサービス代行サーバとを備え、
    前記サービス代行サーバは、
    第1のネットワーク手段につながった端末からのプリンタに対する起動要求を受け、第2のネットワーク手段を通じて起動要求を行うネットワーク経路変換手段と、
    前記端末が起動要求を発してから、前記プリンタが起動完了通知を発するまでの間、前記端末に対して第1のネットワーク手段を通じてプリンタの代行をする代行手段と、
    プリンタから起動完了通知が発されるとこれを受信し、端末に対しプリントシーケンスの遂行を中断させる指示を行う中断指示手段と、
    中断の指示をするまでの間に受信したプリントデータを第1のネットワーク手段を通じてプリンタに転送する転送手段と
    転送後に、端末に対してプリントシーケンスを再開する指示を行う再開指示手段と
    を備えていることを特徴とするネットワークプリンティングシステム。
  2. 前記プリンタは、第2のネットワーク手段を通じて起動完了通知を発することを特徴とする請求項1に記載のネットワークプリンティングシステム。
  3. 前記第2のネットワークは電力線であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のネットワークプリンティングシステム。
  4. 2以上のネットワーク手段でプリンタと接続されたサービス代行サーバであって、
    第1のネットワーク手段につながった端末からのプリンタに対する起動要求を受け、第2のネットワーク手段を通じて起動要求を行うネットワーク経路変換手段と、
    前記端末が起動要求を発してから、前記プリンタが起動完了通知を発するまでの間、前記端末に対して第1のネットワーク手段を通じてプリンタの代行をする代行手段と、
    プリンタから起動完了通知が発せられるとこれを受信し、端末に対しプリントシーケンスの遂行を中断させる指示を行う中断指示手段と、
    中断の指示をするまでの間に受信したプリントデータを第1のネットワーク手段を通じてプリンタに転送する転送手段と、
    転送後に、端末に対してプリントシーケンスを再開する指示を行う再開指示手段と
    を備えていることを特徴とするサービス代行サーバ。
  5. 前記第2のネットワーク手段は電力線であることを特徴とする請求項に記載のサービス代行サーバ。
  6. 2以上のネットワーク手段でプリンタと接続されたコンピュータにおいて実行されるプログラムであって、
    第1のネットワーク手段につながった端末からのプリンタに対する起動要求フレームを受信し、第2のネットワーク手段にルーティングし、同ネットワーク手段を通じてプリンタに対して起動要求フレームを送信するルーティングステップと、
    前記端末が起動要求フレームを発してから、前記プリンタが起動完了通知フレームを発するまでの間、前記コンピュータに、端末からプリンタに送られるフレームの代行受信をさせ、その間に送られてくるプリントデータをコンピュータの記憶部に蓄積する代行受信ステップと、
    プリンタから起動完了通知フレームが送信されると、これを検知し、端末に対しプリントシーケンスの遂行を中断させる指示フレームを送信する中断指示ステップと、
    中断の指示をするまでの間に前記コンピュータに受信し蓄積したプリントデータを第1のネットワーク手段を通じてプリンタにフレーム転送する転送ステップと、
    プリントデータの転送後に、端末に対してプリントシーケンスを再開する指示フレームを送信する再開指示ステップと
    をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
  7. 前記第2のネットワーク手段は電力線であることを特徴とする請求項6に記載のプログラム。
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