JP3564989B2 - 機械式過給機付エンジンの制御装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エコノミーモードと、パワーモードとの一方を選択可能な自動変速機がエンジン本体の出力軸に連結されるとともに、機械式過給機を備えた機械式過給機付エンジンの制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば実公平1−44743号公報に示されるように、機械式過給機とエンジン本体の出力軸との間に設けられた電磁クラッチからなるクラッチ手段を、エンジンの低負荷低回転領域で遮断して機械式過給機を非作動状態とすることにより、エンジン出力の損失を防止するとともに、エンジンの高負荷高回転領域で上記クラッチ手段を接続状態として機械式過給機を起動することにより、過給エアをエンジンに供給して車両の走行状態に適合した加速性能が得られるようにすることが行われている。
【0003】
上記エンジンの吸気通路には、機械式過給機をバイパスするエアバイパス通路が設けられるとともに、このエアバイパス通路の途中にバイパス制御弁が設けられている。一般に、この種のエンジンにおいては、エンジンの高負荷過給領域で、上記バイパス制御弁を閉止することによって過給エアのバイパスを停止する一方、低負荷側の非過給領域で上記バイパス制御弁を開放し、かつ低回転側でクラッチ手段を遮断するように構成されている。また、上記公報に記載された制御装置では、クラッチ手段を遮断状態から接続状態に移行させる際にエンジン回転数が急変するのを防止するために、上記クラッチ手段の遮断状態でバイパス制御弁を閉止し、機械式過給機の設置部を通る吸気流によりロータを回転させて機械式過給機を予回転させることが行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように非過給領域で機械式過給機を予回転させるように構成した場合には、エンジン負荷の上昇に応じて機械式過給機を起動させる際に、上記ロータの回転数を十分に高めた後にクラッチ手段を接続状態に移行させることができるため、このクラッチ手段に大きな接続負荷が生じるのを防止してクラッチ手段の耐久性を確保できるという利点がある。この反面、上記予回転状態から機械式過給機による過給を開始する際に、バイパス制御弁が閉止状態のままであれば、急激に過給圧が上昇するので、エンジントルクが急上昇して走行性の悪化を招くことになる。したがって、閉止状態にあるバイパス制御弁を一旦開放した後、上記電磁クラッチを接続状態として過給を開始する必要があり、上記バイパス制御弁の開放作業が終了するまでの時間に相当する過給の応答遅れが生じることが避けられないという問題がある。
【0005】
また、エンジンの燃費を重視したエコノミーモードと、エンジンの加速性能を重視したパワーモードとの一方を選択する選択手段を備えた自動変速機がエンジン本体の出力軸に連結されるとともに、機械式過給機と、この機械式過給機への駆動力の伝達を断続するクラッチ手段とを備えた機械式過給機付エンジンにおいて、上記予回転制御を実行すると、パワーモードの選択時に機械式過給機の予回転状態から過給を開始する際に、上記過給の応答遅れが生じてパワーモードの走行に適した加速性能が得られなくなるという問題がある。
【0006】
上記問題が生じるのを防止するため、機械式過給機の非過給領域でも上記クラッチ手段を接続状態に保持してロータを回転駆動するとともに、上記バイパス制御弁を開放して過給エアを吸気通路の上流側に戻すようにし、エンジン負荷が過給領域に上昇した時点で、上記バイパス制御弁を閉止状態に移行させることにより、応答遅れを生じることなく過給を開始できるようにすることも考えられるが、この場合には、機械式過給機の非過給領域で上記ロータをエンジン本体の出力軸によって回転駆動する必要があるので、その駆動抵抗損失によって燃費が悪化するという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑み、エコノミーモードの走行時に、クラッチ手段の耐久性を確保しつつ燃費を効果的に改善することができるとともに、パワーモードの走行時に、上記過給の応答遅れに起因した加速性能の悪化を防止することができる機械式過給機付エンジンの制御装置を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、相対的にエンジンの低回転側でシフト変更するエコノミーモードと、エンジンの高回転側でシフト変更するパワーモードとの一方を選択する選択手段を備えた自動変速機がエンジン本体の出力軸に連結されるとともに、吸気通路に介在される機械式過給機と、この機械式過給機への駆動力の伝達を断続するクラッチ手段とを備えた機械式過給機付エンジンの制御装置において、上記エコノミーモードの選択時に、機械式過給機による非過給領域で上記クラッチ手段を遮断状態とするとともに機械式過給機を予回転させ、同領域におけるパワーモードの選択時に、上記クラッチ手段を接続状態とするように構成したものである。
【0009】
上記構成によれば、エコノミーモードの選択時には、機械式過給機による非過給領域で上記クラッチ手段を遮断状態とし、かつ機械式過給機を予回転させることにより、そのロータの回転数が高められるため、クラッチ手段を接続状態として過給を開始する際に、クラッチ手段に大きな接続負荷が作用することが防止されるとともに、上記非過給領域でクラッチ手段が遮断されて機械式過給機が非作動状態に保持されることにより、燃費が効果的に改善されることになる。また、パワーモードの選択時には、上記非過給領域でクラッチ手段が接続状態に保持されるため、過給の応答遅れを生じることなく、上記機械式過給機による過給が迅速に開始されることになる。
【0010】
請求項2に係る発明は、少なくともエンジンの低負荷低回転領域で上記クラッチ手段を遮断状態とし、高回転領域でクラッチ手段を接続状態とするように構成された請求項1記載の機械式過給機付エンジンの制御装置において、エコノミーモードの選択時には、パワーモードの選択時に比べてクラッチ手段を遮断状態から接続状態に移行させるエンジンの設定回転数を高回転側に設定し、かつクラッチ遮断領域の高回転側で機械式過給機を予回転させるように構成したものである。
【0011】
上記構成によれば、エコノミーモードの選択時には、クラッチ手段を遮断状態から接続状態に移行させるエンジンの設定回転数が高回転側に設定されることにより、機械式過給機の駆動抵抗損失を抑制できる領域での運転頻度が増大されて燃費が効果的に改善される。つまり低負荷領域では、本来エンジンの高回転側での機械式過給機を作動させる必要がないが、クラッチ手段の耐久性を確保するためにエンジン本体の出力軸と機械式過給機の入力軸との回転数差の大きい高回転側でクラッチ手段を常に接続状態に維持する必要がある。これに対して上記のように機械式過給機を予回転させた場合には、上記回転数差を低減してクラッチ手段の接続領域をエンジンの高回転側にずらすことができるため、上記クラッチ手段の遮断による機械式過給機の駆動抵抗がない領域が拡大されて、燃費が改善されることになる。また、パワーモードの選択時には、エコノミーモードの選択時に比べて上記クラッチ手段が遮断状態となる領域が狭められることにより、機械式過給機を予回転させなくてもクラッチ手段の耐久性が確保され、かつ上記過給の応答遅れが生じるのを抑制してこれに起因した加速性能の低下を防止することができる。さらに、クラッチ手段の接続時におけるエンジン本体の出力軸と機械式過給機の入力軸の回転数差を、エコノミーモードおよびパワーモードのいずれの選択時においても小さくできるため、クラッチ手段の接続時におけるトルクショックが抑制されることになる。
【0012】
請求項3に係る発明は、機械式過給機をバイパスするエアバイパス通路が吸気通路に設けられた請求項1または2記載の機械式過給機付エンジンの制御装置において、上記エアバイパス通路を閉止することにより機械式過給機を予回転させるように構成したものである。
【0013】
上記構成によれば、エコノミーモードの選択時に、機械式過給機による非過給領域でクラッチ手段を遮断状態とするとともに、上記バイパス通路を閉止することにより、エンジン本体の吸気作用によって吸気通路から機械式過給機に吸気が供給され、この機械式過給機が予回転してロータの回転数が高められるため、クラッチ手段を接続状態として過給を開始する際に、クラッチ手段に大きな接続負荷が作用することが防止されるとともに、上記クラッチ手段が遮断状態にある非過給領域で機械式過給機が実質的に非作動状態に保持されることにより、燃費が効果的に改善されることになる。
【0014】
請求項4に係る発明は、上記請求項3記載の機械式過給機付エンジンの制御装置において、エコノミーモードの選択時に、クラッチ手段の遮断領域の低回転側では、エアバイパス通路を開放して機械式過給機の予回転を禁止するように構成したものである。
【0015】
上記構成によれば、エンジンの運転状態がクラッチ手段を接続状態とする設定回転数から離れた低回転側領域では、加速時にエアバイパス通路から吸気が増量されることにより、加速応答性が確保されるとともに、上記エコノミーモードの選択時においても、機械式過給機の予回転が禁止されることにより、機械式過給機の回転に伴う機械騒音の発生等が抑制されることになる。
【0016】
請求項5に係る発明は、上記請求項4記載の機械式過給機付エンジンの制御装置において、エンジンの低負荷領域におけるエコノミーモードの選択時に上記機械式過給機の予回転を禁止する領域に対して、パワーモード選択時にエアバイパス通路を開放する領域を広くするとともに、パワーモード選択時にクラッチ手段を遮断する領域を狭くしたものである。
【0017】
上記構成によれば、エアバイパス通路を閉止状態とするエコノミーモードの予回転領域がエンジンの高回転側にのみ設定されているため、エンジンの低負荷低回転領域でモード選択の切替が行なわれた場合に、エアバイパス通路が開放状態に維持されるため、エアバイパス通路の閉止状態と、クラッチ手段の接続状態とが同時に生じることがなく、これによってトルクショックの発生が防止されることになる。
【0018】
請求項6に係る発明は、少なくともエンジンの低負荷低回転領域で上記クラッチ手段を遮断状態とし、高回転領域でクラッチ手段を接続状態とするように構成された請求項1記載の機械式過給機付エンジンの制御装置において、エコノミーモードの選択時には、パワーモードの選択時に比べてクラッチ手段を遮断状態から接続状態に移行させるエンジンの設定回転数を高回転側に設定し、かつパワーモード選択時に遮断状態のクラッチ手段を接続状態に移行させる設定回転数から、エコノミーモードの選択時に遮断状態のクラッチ手段を接続状態に移行させる設定回転数の範囲で、機械式過給機を予回転させるように構成したものである。
【0019】
上記構成によれば、エコノミーモードおよびパワーモードのいずれの選択時でも、クラッチ手段の遮断領域を設けることにより、機械式過給機の駆動損失が防止されて燃費の向上が図られるとともに、出力要求の低いエコノミーモードの選択時には、クラッチ手段を遮断しつつ機械式過給機を予回転させる領域がエンジンの高回転側に設定されることにより、クラッチ手段の信頼性が確保されるとともに、燃費の向上が図られることになる。さらに、エコノミーモードにおける予回転領域からパワーモードに切り替えられても、機械式過給機の回転数が予回転により高められているために、大きな接続負荷が作用することが防止されてクラッチ手段の信頼性が確保されることになる。
【0020】
請求項7に係る発明は、上記請求項1記載の機械式過給機付エンジンの制御装置において、パワーモードの選択時にクラッチ手段を遮断状態とする領域を、エンジンのアイドル回転領域またはこれに近い回転領域に設定したものである。
【0021】
上記構成によれば、クラッチ手段を遮断状態から接続状態に移行させるエンジン回転数が低く設定されるため、機械式過給機の回転数が急変することが防止されてトルクショックの発生が抑制されるとともに、パワーモードでの出力応答性が向上することになる。
【0022】
請求項8に係る発明は、機械式過給機をバイパスするエアバイパス通路が吸気通路に設けられた請求項1記載の機械式過給機付エンジンの制御装置において、上記エアバイパス通路を閉止することにより機械式過給機を予回転させるとともに、エコノミーモード選択時の予回転領域を除いてパワーモードまたはエコノミーモードのいずれの選択時でも、エンジンの低負荷領域の全域でエアバイパス通路を開放するように構成したものである。
【0023】
上記構成によれば、エンジンの低負荷領域では、その全領域が非過給状態となって燃費が向上するとともに、機械式過給機の予回転領域からパワーモードへのモード切り替えが行なわれたときに、上記予回転によって機械式過給機のロータの回転数が高められているため、クラッチ手段の耐久性および信頼性が確保されることになる。
【0024】
請求項9に係る発明は、上記請求項5または請求項8記載の機械式過給機付エンジンの制御装置において、エコノミーモードからパワーモードの選択切替時には、少なくとも機械式過給機の予回転領域での切替に際してクラッチ手段の接続状態の移行を遅延させるように構成したものである。
【0025】
上記構成によれば、エコノミーモードからパワーモードの選択切替時に、クラッチ手段の接続状態の移行が遅延されることにより、閉止状態にあるエアバイパス通路を開放させる際の応答遅れが生じた状態で、クラッチ手段が接続状態となることによる一時的な過給が行なわれることがなくなり、トルクショックの発生が防止されることになる。
【0026】
請求項10に係る発明は、上記請求項3記載の機械式過給機付エンジンの制御装置において、エンジンの低負荷領域では、クラッチ手段の接続領域において上記バイパス通路を開放するとともに、エコノミーモードの選択時には、エンジンの運転状態が低負荷領域のクラッチ手段の接続領域から遮断領域に変化した時点から、所定時間が経過するまでの間、上記エアバイパス通路の開放状態から閉動作への移行を遅延させるように構成したものである。
【0027】
上記構成によれば、エコノミーモードの選択時において、エンジンの運転状態がクラッチ手段の接続領域から遮断領域に変化した後においても、クラッチ手段の遮断とエアバイパス通路の開放により、機械式過給機のロータの回転がその慣性により数秒間維持されるため、エアバイパス通路の閉止を遅延させることで、数秒間は機械式過給機のロータを回転させたまま、再びクラッチ手段を接続することができ、エンジン回転数の急激な加減速による機械式過給機の予回転の遅れが防止されて、クラッチ手段の耐久性が確保されることになる。
【0028】
請求項11に係る発明は、上記請求項3記載の機械式過給機付エンジンの制御装置において、エコノミーモードの選択時には、エンジンの運転状態が高負荷領域でクラッチ手段の接続領域から、低負荷領域でクラッチ手段の遮断領域に変化したときに、その変化時点から所定時間が経過するまでの間、クラッチ手段の遮断を遅延させるように構成したものである。
【0029】
上記構成によれば、エコノミーモードの選択状態で、エンジンが高負荷領域からエンジンの低負荷領域に移行してから、上記遅延時間内で再加速が行なわれるような場合は、クラッチ手段が接続状態に保持されるため、エンジン負荷の急変によってクラッチ手段の断続が繰り返されることが防止されるとともに、上記機械式過給機の予回転と併せてクラッチ手段の耐久性がさらに効果的に向上することになる。また、エンジン負荷が減少する場合にのみ、上記遅延制御が実行されるため、エンジンの加速応答性は確保される。
【0030】
請求項12に係る発明は、上記請求項1〜請求項11のいずれかに記載の機械式過給機付エンジンの制御装置において、自動変速機の最高変速段にシフトしたときの最終減速比が2.5以下に設定された車両に搭載されたものである。
【0031】
上記構成によれば、自動変速機が最高変速段にシフトされたときには、最終減速比が2.5以下となり、パワートレーンの最終減速比が通常の車両よりもかなり小さな値となるため、これによってもエンジンの燃費が効果的に改善されることになる。
【0032】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る機械式過給機付エンジンの制御装置の実施形態を示している。このエンジンは、複数の気筒を有するエンジン本体10を備え、このエンジン本体10には、吸気通路12と排気通路14とが接続されている。この吸気通路12には、その上流側から順に図外のエアクリーナと、スロットル弁16と、機械式過給機18と、インタークーラ20とが設けられ、かつ各気筒ごとにインジェクタ22が配設されている。
【0033】
上記機械式過給機18は、電磁クラッチ24からなるクラッチ手段と、図外の動力伝達ベルトとを介してエンジン本体10の出力軸に連結されている。そして、上記電磁クラッチ24がON状態となったクラッチ手段の接続時には、上記エンジン本体10の出力軸から機械式過給機18の入力軸に駆動力が伝達されて送風用のロータが回転駆動され、上記電磁クラッチ24がOFF状態となったクラッチ手段の遮断時には、上記エンジン本体10の出力軸から機械式過給機18の入力軸に対する駆動力の伝達が遮断されるようになっている。
【0034】
上記吸気通路12には、機械式過給機18をバイパスするエアバイパス通路26が接続され、このエアバイパス通路26には、ダイヤフラム式圧力調節弁からなるバイパス制御弁28が設けられている。このバイパス制御弁28が開放状態となると、上記エアバイパス通路26を吸気が流れ、上記バイパス制御弁28が閉止状態となると、エアバイパス通路26が閉止されて上記機械式過給機18の設置部を通ってエンジン本体10に吸気が供給されることになる。
【0035】
すなわち、ダイヤフラムで区画されたバイパス制御弁28の圧力室が負圧導入通路30を介してバイパス制御弁28の弁体上流側の通路に接続されるとともに、その途中に三方電磁弁32が設けられている。そして、この三方電磁弁32が上記圧力室に大気圧を導入させる状態となることにより、図示を省略したばねの付勢力で上記バイパス制御弁28が全閉状態に保持され、三方電磁弁32が上記圧力室に負圧を導入させる状態となることにより、この負圧力に応じてバイパス制御弁28が開放されるようになっている。また、上記三方電磁弁32のデューティ制御によりバイパス制御弁28の開度調節が可能に構成されている。
【0036】
また、上記エンジン本体10の出力軸には、エンジンの低回転側でシフト変更する燃費を重視したエコノミーモードと、エンジンの高回転側でシフト変更する加速性能を重視したパワーモードとの一方を選択可能に構成された切替スイッチ等からなる選択手段34を備えた図外の自動変速機が連結されている。
【0037】
さらに、上記エンジンには、アクセルペダルの踏込量を検出するアクセルセンサ36およびエンジン移転数を検出する回転数センサ38等の各種センサが設けられ、これらの検出信号がエンジンコントロールユニット(ECU)40に入力されるようになっている。このエンジンコントロールユニット40は、上記選択手段34から出力された選択信号および各センサから出力された検出信号に基づいて上記電磁クラッチ24と、三方電磁弁32とに制御信号を出力することにより、エンジン本体10から上記機械式過給機18への駆動力の伝達を断続制御するとともに、上記バイパス制御弁28を開閉制御するように構成されている。
【0038】
上記選択手段34によってエコノミーモードが選択された場合において、図2に示すように、エンジン負荷Peが、吸気通路12の圧力が略大気圧となる値に相当する設定値P1未満の低負荷状態となり、かつエンジン回転数Neが、1500rpm程度の第1設定回転数N1未満となったエンジンのアイドル領域またはこれに近い領域Aでは、上記バイパス制御弁28を開放状態とするとともに、上記電磁クラッチ24をOFF状態として機械式過給機18の入力軸に対する駆動力の伝達を遮断する制御信号が出力される。これによってエンジン本体10による機械式過給機18の駆動が停止された状態で、吸気が上記機械式過給機18をバイパスして上記エアバイパス通路26からエンジン本体10に供給されることにより、この機械式過給機18のロータが非回転状態に保持され、後述する予回転が禁止されることになる。
【0039】
そして、エンジン負荷Peが上記設定値P1未満の低負荷状態において、エンジン回転数Neが3500rpm程度の第2設定回転数N2未満で、上記領域A外となった斜線で示す低負荷低回転領域Bでは、上記バイパス制御弁28を閉止状態とする制御信号が出力されるとともに、上記電磁クラッチ24がOFF状態に維持されて、機械式過給機18の入力軸に対する駆動力の伝達が遮断された状態に保持される。この結果、エンジン本体10の出力軸による機械式過給機18の駆動が停止された状態で、上記エアバイパス通路26を介した吸気のバイパスが停止されて、エンジン本体10の吸気作用により上記吸気通路12から機械式過給機18の設置部に吸気が供給され、これによって機械式過給機18が非作動状態に保持されたまま、上記吸気流により機械式過給機18が予回転されてロータが回転し始める。
【0040】
また、エンジン負荷Peが上記設定値P1未満で、エンジン回転数Neが上記第2設定回転数N2以上となったエンジンの低負荷高回転領域Cでは、上記バイパス制御弁28を開放状態に移行させた後、上記電磁クラッチ24をON状態とする制御信号が出力されることにより、機械式過給機18の入力軸に対する駆動力の伝達が開始される。上記機械式過給機18によって加圧された過給エアは、エアバイパス通路26を通って吸気通路の上流側に戻されることにより、機械式過給機18による過給が停止状態に保持されることになる。
【0041】
そして、エンジン回転数Neが3500rpm程度の第2設定回転数N2以上の上記低負荷高回転領域Cから、エンジン負荷Peが増大して上記設定値P1以上となる高負荷領域Dにエンジンの運転状態が変化すると、上記電磁クラッチ24をON状態に維持したまま、バイパス制御弁28をエンジン負荷Peに対応した開度に閉止する制御信号が出力されることにより、上記エアバイパス通路26を介して吸気通路12の上流側に戻される過給エア量が低減され、上記機械式過給機18による過給が開始される。
【0042】
また、エンジン回転数Neが上記第2設定回転数N2未満の上記低負荷低回転領域Bから、エンジン負荷Peが増大して上記高負荷領域Dにエンジンの運転状態が変化した場合には、図3に示すように、この運転領域の変化時点T1で上記電磁弁32を制御してバイパス制御弁28を一旦開放状態に移行させた後、この移行時点T2で上記電磁クラッチ24をON状態として機械式過給機18の入力軸に対する駆動力の伝達を開始するとともに、上記バイパス制御弁28をエンジン負荷Peに対応した開度に閉止する制御信号が出力されることにより、上記エアバイパス通路26を介して吸気通路12の上流側に戻される過給エア量が低減され、上記機械式過給機18による過給が開始されることになる。
【0043】
なお、上記領域Aから上記高負荷領域Dにエンジン運転状態が変化すると、上記電磁クラッチ24がON状態となり、バイパス制御弁28がエンジン負荷Peに対応した開度に閉止される。
【0044】
一方、上記選択手段34によってパワーモードが選択された場合において、図4に示すように、エンジン負荷Peが設定値P1未満となり、かつエンジン回転数Neが1500rpm程度の第1設定回転数N1未満となったエンジンのアイドル領域またはこれに近い領域Aでは、上記エコノミーモードと同じくバイパス制御弁28を開放状態とするとともに、上記電磁クラッチ24をOFF状態として機械式過給機18の入力軸に対する駆動力の伝達を遮断する制御信号が出力されることにより、この機械式過給機18の駆動が停止された状態で、吸気が上記機械式過給機18をバイパスして上記エアバイパス通路26からエンジン本体10に供給される。
【0045】
そして、エンジン負荷Peが上記設定値P1未満の領域において、エンジン回転数Neが上記領域A外となった低負荷領域B,Cでは、上記バイパス制御弁28を開放状態に維持しつつ、上記電磁クラッチ24をON状態とする制御信号が出力されることにより、機械式過給機18の入力軸に対する駆動力の伝達が開始される。この結果、上記機械式過給機18によって加圧された過給エアがエアバイパス通路26を通って吸気通路12の上流側に戻されることにより、機械式過給機18による過給が停止状態に保持されることになる。
【0046】
その後、上記低負荷領域B,Cから、エンジン負荷Peが増大して高負荷領域Dにエンジンの運転状態が変化した場合には、図5に示すように、この運転領域の変化時点T1で、バイパス制御弁28をエンジン負荷Peに対応した開度に閉止する制御信号が出力されるとともに、上記電磁クラッチ24がON状態に維持されることにより、上記エアバイパス通路26を介して吸気通路12の上流側に戻される過給エア量が低減され、上記機械式過給機18による過給が開始されることになる。
【0047】
このようにエコノミーモードと、パワーモードとの一方を選択する選択手段34を備えた自動変速機がエンジ本体10の出力軸に連結されるとともに、吸気通路12に介在される機械式過給機18と、この機械式過給機18への駆動力の伝達を断続する電磁クラッチ24等からなるクラッチ手段とを備えた機械式過給機付エンジンの制御装置において、上記エコノミーモードの選択時に、機械式過給機18による非過給領域(低負荷低回転領域)Bで上記電磁クラッチ24をOFF状態とするとともに機械式過給機18を予回転させ、同領域Bにおけるパワーモードの選択時に、上記電磁クラッチ24をON状態とするように構成したため、エコノミーモードの選択時には、上記非過給領域Bで機械式過給機18を予回転させることにより、上記電磁クラッチ24の締結前に機構式過給機18のロータ回転数を予め高めておくことができる。
【0048】
したがって、上記低負荷低回転領域の非過給領域Bからエンジン負荷Peが上昇して高負荷領域Dに変化した時点で、電磁クラッチ24をON状態として過給を開始する際には、エンジン本体10の出力軸と機械式過給機18の入力軸との回転差に起因した大きな接続負荷が上記電磁クラッチ24に作用するのを防止し、この電磁クラッチ24の耐久性を確保することができる。そして上記のように機械式過給機18を予回転させるにより、エンジン回転数が比較的に高回転側でも電磁クラッチ24を遮断状態に維持することが可能となり、この電磁クラッチをOFF状態とすることによって機械式過給機18の駆動抵抗損失が生じるのを防止できる上記領域Bを拡大できるため、エンジンの燃費を効果的に改善することができる。
【0049】
なお、エンジンの運転状態が上記低負荷低回転領域の非過給領域Bから高負荷領域Dに変化して過給を開始する際には、運転状態に適合した過給エア量をエンジン本体10に供給できるようにするため、図3に示すように、上記運転領域の変化時点T1で上記電磁弁32を操作してバイパス制御弁28をエンジン負荷Peに対応する開度まで開放状態に移行させた後、この移行時点T2で上記電磁クラッチ24をON状態として機械式過給機18を起動するように構成する必要があり、上記バイパス制御弁28が閉止状態から部分開放状態に移行するまでの時間tに相当する過給の応答遅れが多少生じる。しかし、燃費を重視した上記エコノミーモードの選択時には、パワーモードの選択時に比べて加速性能がそれ程要求されないので、上記多少の応答遅れが生じても問題はない。
【0050】
これに対して上記パワーモードの選択時に、エンジンの運転状態が非過給領域B,Cから高負荷領域Dに変化して過給を開始する場合には、図5に示すように、電磁クラッチ24をON状態に維持したまま、上記運転領域の変化時点T1で、三方電磁弁32を閉止してエアバイパス通路26を開放状態から閉止状態に移行させることにより、上記変化時点T1から機械式過給機18によって加圧された過給エアをエンジン本体10に供給することができる。したがって、上記バイパス制御弁28が閉止状態から開放状態に移行するまでの時間tに相当する過給の応答遅れが生じるのを防止し、迅速に過給を開始してパワーモードの走行に適した加速性能を得ることができる。
【0051】
また、上記実施形態では、少なくともエンジンのアイドル領域またはこれに近い低負荷低回転領域Aで上記電磁クラッチ24からなるクラッチ手段を遮断状態とし、高回転領域Cでクラッチ手段を接続状態とするように構成された機械式過給機付エンジンの制御装置において、エコノミーモードの選択時には、パワーモードの選択時に比べて上記電磁クラッチ24をOFF状態からON状態に移行させるエンジンの設定回転数を高回転側に設定し、かつクラッチ遮断領域の高回転側の領域Bで機械式過給機18を予回転させるように構成したため、エコノミーモードの選択時に、機械式過給機18の駆動抵抗損失を抑制できる領域での運転頻度を増大して燃費を効果的に改善することができる。
【0052】
すなわち、パワーモードの選択時には、エンジン回転数が1500rpm程度に設定された第1設定回転数N1以上となった時点で、電磁クラッチ24をON状態とするようにしたのに対し、エコノミーモードの選択時には、エンジン回転数が3500rpm程度に設定された第2設定回転数N2以上となった時点で、電磁クラッチ24をON状態とするように構成したため、このエコノミーモードの選択時に、上記電磁クラッチ24をOFF状態とする領域を十分に確保し、これによって上記機械式過給機18の駆動抵抗損失を抑制できる領域での運転頻度を増大してエンジンの燃費を効果的に改善することができる。
【0053】
また、パワーモードの選択時には、上記エコノミーモードの選択時に比べて電磁クラッチ24がOFF状態となる領域が狭められることにより、機械式過給機18を予回転させなくても電磁クラッチ24からなるクラッチ手段の耐久性が確保され、かつ上記過給の応答遅れが生じる領域での運転頻度を低減してこの応答遅れに起因した加速性能の低下を効果的に防止することができる。さらに、上記クラッチ手段の接続時におけるエンジン本体10の出力軸と機械式過給機18の入力軸の回転数差を、エコノミーモードおよびパワーモードのいずれの選択時においても小さくできるため、クラッチ手段の接続時におけるトルクショックの発生を抑制することができる。
【0054】
また、上記実施形態に示すように、機械式過給機18をバイパスするエアバイパス通路26を備えた機械式過給機付エンジンの制御装置において、上記エアバイパス通路26を閉止して機械式過給機18に吸気を供給することにより、この機械式過給機18を予回転させるように構成した場合には、別体の予回転手段を設けることなく、エンジン本体10の吸気負圧を利用して簡単な構成で上記機械式過給機18を予回転させて、そのロータの回転数を予め高めた後に、上記電磁クラッチ24を締結することができる。したがって、この電磁クラッチ24からなるクラッチ手段に、エンジン本体10の出力軸機械式過給機18の入力時との回転差に起因した大きな締結負荷が作用するのを防止し、その耐久性を十分に確保することができるため、高回転での上記クラッチ手段の接続が可能となる。
【0055】
また、上記実施形態では、エコノミーモードの選択時に、エンジンがアイドル領域またはこれに近い領域Aにあるときには、上記エアバイパス通路26を開放状態として機械式過給機18の予回転を禁止し、この機械式過給機18の設置部に吸気が供給されるのを防止するように構成したため、加速時に、上記機械式過給機18の設置部を吸気が通過することに起因した吸気の応答遅れを防止し、十分な加速性能を得ることができるとともに、機械式過給機18の回転に伴う機械騒音の発生等を抑制することができる。しかも、エンジンがアイドル領域またはこれに近い領域Aにある場合には、直ぐに高回転のクラッチ接続領域Cに変化することはなく、エンジン本体10の出力軸と機械式過給機18の入力軸との間に大きな回転差は生じないため、上記電磁クラッチ24からなるクラッチ手段が高回転で接続状態に移行することはないと考えられる。したがって、上記領域Aで機械式過給機18の予回転を禁止したとしても特に問題が生じることはない。
【0056】
なお、エンジンの低負荷領域におけるエコノミーモードの選択時に上記機械式過給機18の予回転を禁止する領域に対して、パワーモード選択時にエアバイパス通路26を開放する領域を広くするとともに、パワーモード選択時にクラッチ手段を遮断する領域を狭くするようにしてもよい。すなわち、エコノミーモードの選択時には、図6に示すように、低負荷領域のエンジン回転数Neが2500rpm程度の第1設定回転数N1´未満の領域A´にある場合に、クラッチ手段を遮断するとともに、バイパス通路26を開放して予回転を禁止し、かつ、パワーモード選択時には、図4に示すように、低負荷領域A,B,Cの全域でエアバイパス通路26を開放してこの開放領域を上記予回転の禁止領域A´よりも広くするとともに、低負荷領域のエンジン回転数Neが1500rpm程度の第1設定回転数N1未満の領域Aにある場合に、クラッチ手段を遮断してこの遮断領域を上記予回転の禁止領域A´よりも狭くするようにしてもよい。
【0057】
上記構成によれば、エアバイパス通路26を閉止状態とするエコノミーモードの予回転領域Bがエンジンの高回転側にのみ設定されているため、モードの切替によってエコノミーモードの予回転領域Bから、パワーモードのクラッチ接続領域B,Cへの移行頻度が減少する。そして、図6に示すエコノミーモードの予回転禁止領域A内の点aにおいてパワーモードへの切替が行なわれ、クラッチ手段が遮断状態から接続状態に移行したとしても、上記エアバイパス通路26は開放状態に維持されているため、上記モード選択の切替に伴うエアバイパス通路26の閉止状態と、クラッチ手段の接続状態とが同時に生じることはなく、これによってトルクショックの発生を防止することができる。
【0058】
また、上記のように少なくともエンジンの低負荷低回転領域Aで上記クラッチ手段を遮断状態とし、高回転領域Cでクラッチ手段を接続状態とするように構成された機械式過給機付エンジンの制御装置において、エコノミーモードの選択時には、パワーモードの選択時に比べてクラッチ手段を遮断状態から接続状態に移行させるエンジンの設定回転数を高回転側に設定し、かつパワーモード選択時に遮断状態のクラッチ手段を接続状態に移行させる設定回転数から、エコノミーモードの選択時に遮断状態のクラッチ手段を接続状態に移行させる設定回転数の範囲で、機械式過給機18を予回転させるように構成してもよい。
【0059】
すなわち、エコノミーモードの選択時には、図6に示すように、低負荷領域のエンジン回転数Neが3500rpm程度の第2設定回転数N2以上となって高回転領域Cに移行した時点で、クラッチ手段を遮断状態から接続状態に移行させるとともに、パワーモードの選択時には、図7に示すように、低負荷領域のエンジン回転数Neが2500rpm程度の第1設定回転数N1´以上となって領域B,Cに移行した時点で、クラッチ手段を遮断状態から接続状態に移行させるように構成し、かつエコノミーモードの選択時に2500rpm程度の第1設定回転数N1´から上記3500rpm程度の第2設定回転数N2未満の範囲に設定された領域Bで、機械式過給機18を予回転させるように構成してもよい。
【0060】
上記構成によれば、エコノミーモードおよびパワーモードのいずれの選択時でも、クラッチ手段の遮断領域を設けることにより、機械式過給機18の駆動損失を防止して燃費の向上を図ることができるとともに、出力要求の低いエコノミーモードでは、クラッチ手段の遮断しつつ機械式過給機18を予回転させる領域Bがエンジンの高回転側に設定されることにより、クラッチ手段の信頼性を確保するとともに、燃費の向上を図ることができる。さらに、エコノミーモードにおける上記予回転領域Bからパワーモードに切り替えられても、機械式過給機18の回転数が予回転により高められているために、クラッチ手段に大きな接続負荷が作用するのを防止してその信頼性を確保することができる。
【0061】
また、上記図4に示すように、パワーモードの選択時にクラッチ手段を遮断状態とする領域Aを、エンジンの低負荷領域で回転数Neが1500rpm程度の第1設定回転数N1未満の領域に設置する等により、エンジンのアイドル回転領域またはこれに近い回転領域に設定した場合には、クラッチ手段を遮断状態から接続状態に移行させるエンジン回転数が低く設定されるため、機械式過給機18の回転数が急変することを防止し、これによってトルクショックの発生を抑制することができとともに、パワーモードでの出力応答性を効果的に向上させることができる。
【0062】
また、上記のように機械式過給機18をバイパスするエアバイパス通路26が吸気通路12に設けられた上記機械式過給機付エンジンの制御装置において、上記エアバイパス通路26を閉止することにより機械式過給機18を予回転させるとともに、エコノミーモード選択時の上記予回転領域Bを除いてパワーモードまたはエコノミーモードのいずれの選択時でも、エンジンの低負荷領域の全域でエアバイパス通路26を開放するように構成した場合には、エンジンの低負荷領域の全領域A,B,Cを非過給状態として燃費を向上させることができるとともに、機械式過給機18の予回転領域Bからパワーモードへのモード切り替えが行なわれたときに、上記予回転によって機械式過給機18のロータの回転数を高めておくことができるため、クラッチ手段に大きな接続負荷が作用するのを防止してその耐久性および信頼性を確保することができる。
【0063】
また、エコノミーモードからパワーモードの選択切替時には、少なくとも機械式過給機18の予回転領域Bにおける選択切替に際して上記電磁クラッチ24からなるクラッチ手段の接続状態の移行を遅延させるように構成してもよい。このように構成した場合には、エコノミーモードからパワーモードの選択切替時に、クラッチ手段の接続状態の移行を遅延させることにより、閉止状態にあるエアバイパス通路26を開放させる際の応答遅れが生じた状態で、クラッチ手段が接続状態となることによる一時的な過給が行なわれることがなくなるため、トルクショックの発生を防止することができる。
【0064】
なお、上記実施形態では、機械式過給機18を起動する際の制御動作について説明したが、エコノミーモードの選択時において、エンジンの運転状態が電磁クラッチ24からなるクラッチ手段の接続領域Cから遮断領域Bに変化した時点から、所定時間が経過するまでの間、上記エアバイパス通路の開放状態から閉動作への移行を遅延させるように構成してもよい。このように構成した場合には、エコノミーモードの選択時において、エンジンの運転状態がクラッチ手段の接続領域Cから遮断領域Bに変化した後においても、クラッチ手段の遮断とエアバイパス通路26の開放により、機械式過給機18のロータの回転がその慣性に応じて数秒間維持されるため、上記のようにエアバイパス通路26の閉止を遅延させることで、数秒間は機械式過給機18のロータを回転させたまま、再びクラッチ手段を接続することができ、エンジン回転数の急激な加減速による機械式過給機18の予回転の遅れを防止して、クラッチ手段の耐久性を確保することができる。
【0065】
また、エコノミーモードの選択時において、エンジンの運転状態が高負荷領域でクラッチ手段の接続領域Dから、エンジンの低負荷領域でクラッチ手段の遮断領域A,Bに変化した時点、その変化時点から所定時間が経過するまでの間、クラッチ手段の遮断を遅延させるように構成してもよい。このように構成した場合には、エコノミーモードの選択状態で、エンジンが高負荷領域からエンジンの低負荷領域に移行してから、上記遅延時間内で再加速が行なわれたとしても、クラッチ手段が接続状態に保持されるため、エンジン負荷の急変によってクラッチ手段の断続が繰り返されることが防止されるとともに、上記機械式過給機18の予回転と併せてクラッチ手段の耐久性を、さらに効果的に向上させることができる。また、エンジン負荷が減少する場合にのみ、上記遅延制御が実行されるため、エンジンの加速応答性が阻害されるという事態を生じることはない。
【0066】
また、自動変速機の最高変速段にシフトしたときの最終減速比を、通常のエンジンに比べて低い値である2.5以下に設定してなるエンジンに本発明を適用した場合には、自動変速機が最高変速段にシフトされたときに、最終減速比が2.5以下となって動力の伝達効率が向上するため、これによる燃費の改善効果と、上記過給制御を実行することによる燃費の改善効果の相乗作用により、エンジンの燃費を著しく向上させることができる。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、相対的にエンジンの低回転側でシフト変更するエコノミーモードと、エンジンの高回転側でシフト変更するパワーモードとの一方を選択する選択手段を備えた自動変速機がエンジン本体の出力軸に連結されるとともに、吸気通路に介在された機械式過給機と、この機械式過給機への駆動力の伝達を断続するクラッチ手段とを備えた機械式過給機付エンジンの制御装置において、上記エコノミーモードの選択時に、機械式過給機による非過給領域で上記クラッチ手段を遮断状態とするとともに機械式過給機を予回転させ、同領域におけるパワーモードの選択時に、上記クラッチ手段を接続状態とするように構成したため、エコノミーモードの走行時には、クラッチ手段の耐久性を確保しつつ燃費を良好状態に維持することができるとともに、パワーモードの走行時には、過給応答性を向上させて優れた加速性能が得られるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る機械式過給機付エンジンの制御装置の実施形態を示す説明図である。
【図2】エコノミーモードにおける制御領域を示すグラフである。
【図3】エコノミーモードにおけるバイパス制御弁および電磁クラッチの作動状態を示すタイムチャートである。
【図4】パワーモードにおける制御領域を示すグラフである。
【図5】パワーモードにおけるバイパス制御弁および電磁クラッチの作動状態を示すタイムチャートである。
【図6】エコノミーモードにおける制御領域の他の例を示すグラフである。
【図7】パワーモードにおける制御領域の他の例を示すグラフである。
【符号の説明】
10 エンジン本体
12 吸気通路
24 電磁クラッチ(クラッチ手段)
26 エアバイパス通路
28 バイパス制御弁
34 選択手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、エコノミーモードと、パワーモードとの一方を選択可能な自動変速機がエンジン本体の出力軸に連結されるとともに、機械式過給機を備えた機械式過給機付エンジンの制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば実公平1−44743号公報に示されるように、機械式過給機とエンジン本体の出力軸との間に設けられた電磁クラッチからなるクラッチ手段を、エンジンの低負荷低回転領域で遮断して機械式過給機を非作動状態とすることにより、エンジン出力の損失を防止するとともに、エンジンの高負荷高回転領域で上記クラッチ手段を接続状態として機械式過給機を起動することにより、過給エアをエンジンに供給して車両の走行状態に適合した加速性能が得られるようにすることが行われている。
【0003】
上記エンジンの吸気通路には、機械式過給機をバイパスするエアバイパス通路が設けられるとともに、このエアバイパス通路の途中にバイパス制御弁が設けられている。一般に、この種のエンジンにおいては、エンジンの高負荷過給領域で、上記バイパス制御弁を閉止することによって過給エアのバイパスを停止する一方、低負荷側の非過給領域で上記バイパス制御弁を開放し、かつ低回転側でクラッチ手段を遮断するように構成されている。また、上記公報に記載された制御装置では、クラッチ手段を遮断状態から接続状態に移行させる際にエンジン回転数が急変するのを防止するために、上記クラッチ手段の遮断状態でバイパス制御弁を閉止し、機械式過給機の設置部を通る吸気流によりロータを回転させて機械式過給機を予回転させることが行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように非過給領域で機械式過給機を予回転させるように構成した場合には、エンジン負荷の上昇に応じて機械式過給機を起動させる際に、上記ロータの回転数を十分に高めた後にクラッチ手段を接続状態に移行させることができるため、このクラッチ手段に大きな接続負荷が生じるのを防止してクラッチ手段の耐久性を確保できるという利点がある。この反面、上記予回転状態から機械式過給機による過給を開始する際に、バイパス制御弁が閉止状態のままであれば、急激に過給圧が上昇するので、エンジントルクが急上昇して走行性の悪化を招くことになる。したがって、閉止状態にあるバイパス制御弁を一旦開放した後、上記電磁クラッチを接続状態として過給を開始する必要があり、上記バイパス制御弁の開放作業が終了するまでの時間に相当する過給の応答遅れが生じることが避けられないという問題がある。
【0005】
また、エンジンの燃費を重視したエコノミーモードと、エンジンの加速性能を重視したパワーモードとの一方を選択する選択手段を備えた自動変速機がエンジン本体の出力軸に連結されるとともに、機械式過給機と、この機械式過給機への駆動力の伝達を断続するクラッチ手段とを備えた機械式過給機付エンジンにおいて、上記予回転制御を実行すると、パワーモードの選択時に機械式過給機の予回転状態から過給を開始する際に、上記過給の応答遅れが生じてパワーモードの走行に適した加速性能が得られなくなるという問題がある。
【0006】
上記問題が生じるのを防止するため、機械式過給機の非過給領域でも上記クラッチ手段を接続状態に保持してロータを回転駆動するとともに、上記バイパス制御弁を開放して過給エアを吸気通路の上流側に戻すようにし、エンジン負荷が過給領域に上昇した時点で、上記バイパス制御弁を閉止状態に移行させることにより、応答遅れを生じることなく過給を開始できるようにすることも考えられるが、この場合には、機械式過給機の非過給領域で上記ロータをエンジン本体の出力軸によって回転駆動する必要があるので、その駆動抵抗損失によって燃費が悪化するという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑み、エコノミーモードの走行時に、クラッチ手段の耐久性を確保しつつ燃費を効果的に改善することができるとともに、パワーモードの走行時に、上記過給の応答遅れに起因した加速性能の悪化を防止することができる機械式過給機付エンジンの制御装置を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、相対的にエンジンの低回転側でシフト変更するエコノミーモードと、エンジンの高回転側でシフト変更するパワーモードとの一方を選択する選択手段を備えた自動変速機がエンジン本体の出力軸に連結されるとともに、吸気通路に介在される機械式過給機と、この機械式過給機への駆動力の伝達を断続するクラッチ手段とを備えた機械式過給機付エンジンの制御装置において、上記エコノミーモードの選択時に、機械式過給機による非過給領域で上記クラッチ手段を遮断状態とするとともに機械式過給機を予回転させ、同領域におけるパワーモードの選択時に、上記クラッチ手段を接続状態とするように構成したものである。
【0009】
上記構成によれば、エコノミーモードの選択時には、機械式過給機による非過給領域で上記クラッチ手段を遮断状態とし、かつ機械式過給機を予回転させることにより、そのロータの回転数が高められるため、クラッチ手段を接続状態として過給を開始する際に、クラッチ手段に大きな接続負荷が作用することが防止されるとともに、上記非過給領域でクラッチ手段が遮断されて機械式過給機が非作動状態に保持されることにより、燃費が効果的に改善されることになる。また、パワーモードの選択時には、上記非過給領域でクラッチ手段が接続状態に保持されるため、過給の応答遅れを生じることなく、上記機械式過給機による過給が迅速に開始されることになる。
【0010】
請求項2に係る発明は、少なくともエンジンの低負荷低回転領域で上記クラッチ手段を遮断状態とし、高回転領域でクラッチ手段を接続状態とするように構成された請求項1記載の機械式過給機付エンジンの制御装置において、エコノミーモードの選択時には、パワーモードの選択時に比べてクラッチ手段を遮断状態から接続状態に移行させるエンジンの設定回転数を高回転側に設定し、かつクラッチ遮断領域の高回転側で機械式過給機を予回転させるように構成したものである。
【0011】
上記構成によれば、エコノミーモードの選択時には、クラッチ手段を遮断状態から接続状態に移行させるエンジンの設定回転数が高回転側に設定されることにより、機械式過給機の駆動抵抗損失を抑制できる領域での運転頻度が増大されて燃費が効果的に改善される。つまり低負荷領域では、本来エンジンの高回転側での機械式過給機を作動させる必要がないが、クラッチ手段の耐久性を確保するためにエンジン本体の出力軸と機械式過給機の入力軸との回転数差の大きい高回転側でクラッチ手段を常に接続状態に維持する必要がある。これに対して上記のように機械式過給機を予回転させた場合には、上記回転数差を低減してクラッチ手段の接続領域をエンジンの高回転側にずらすことができるため、上記クラッチ手段の遮断による機械式過給機の駆動抵抗がない領域が拡大されて、燃費が改善されることになる。また、パワーモードの選択時には、エコノミーモードの選択時に比べて上記クラッチ手段が遮断状態となる領域が狭められることにより、機械式過給機を予回転させなくてもクラッチ手段の耐久性が確保され、かつ上記過給の応答遅れが生じるのを抑制してこれに起因した加速性能の低下を防止することができる。さらに、クラッチ手段の接続時におけるエンジン本体の出力軸と機械式過給機の入力軸の回転数差を、エコノミーモードおよびパワーモードのいずれの選択時においても小さくできるため、クラッチ手段の接続時におけるトルクショックが抑制されることになる。
【0012】
請求項3に係る発明は、機械式過給機をバイパスするエアバイパス通路が吸気通路に設けられた請求項1または2記載の機械式過給機付エンジンの制御装置において、上記エアバイパス通路を閉止することにより機械式過給機を予回転させるように構成したものである。
【0013】
上記構成によれば、エコノミーモードの選択時に、機械式過給機による非過給領域でクラッチ手段を遮断状態とするとともに、上記バイパス通路を閉止することにより、エンジン本体の吸気作用によって吸気通路から機械式過給機に吸気が供給され、この機械式過給機が予回転してロータの回転数が高められるため、クラッチ手段を接続状態として過給を開始する際に、クラッチ手段に大きな接続負荷が作用することが防止されるとともに、上記クラッチ手段が遮断状態にある非過給領域で機械式過給機が実質的に非作動状態に保持されることにより、燃費が効果的に改善されることになる。
【0014】
請求項4に係る発明は、上記請求項3記載の機械式過給機付エンジンの制御装置において、エコノミーモードの選択時に、クラッチ手段の遮断領域の低回転側では、エアバイパス通路を開放して機械式過給機の予回転を禁止するように構成したものである。
【0015】
上記構成によれば、エンジンの運転状態がクラッチ手段を接続状態とする設定回転数から離れた低回転側領域では、加速時にエアバイパス通路から吸気が増量されることにより、加速応答性が確保されるとともに、上記エコノミーモードの選択時においても、機械式過給機の予回転が禁止されることにより、機械式過給機の回転に伴う機械騒音の発生等が抑制されることになる。
【0016】
請求項5に係る発明は、上記請求項4記載の機械式過給機付エンジンの制御装置において、エンジンの低負荷領域におけるエコノミーモードの選択時に上記機械式過給機の予回転を禁止する領域に対して、パワーモード選択時にエアバイパス通路を開放する領域を広くするとともに、パワーモード選択時にクラッチ手段を遮断する領域を狭くしたものである。
【0017】
上記構成によれば、エアバイパス通路を閉止状態とするエコノミーモードの予回転領域がエンジンの高回転側にのみ設定されているため、エンジンの低負荷低回転領域でモード選択の切替が行なわれた場合に、エアバイパス通路が開放状態に維持されるため、エアバイパス通路の閉止状態と、クラッチ手段の接続状態とが同時に生じることがなく、これによってトルクショックの発生が防止されることになる。
【0018】
請求項6に係る発明は、少なくともエンジンの低負荷低回転領域で上記クラッチ手段を遮断状態とし、高回転領域でクラッチ手段を接続状態とするように構成された請求項1記載の機械式過給機付エンジンの制御装置において、エコノミーモードの選択時には、パワーモードの選択時に比べてクラッチ手段を遮断状態から接続状態に移行させるエンジンの設定回転数を高回転側に設定し、かつパワーモード選択時に遮断状態のクラッチ手段を接続状態に移行させる設定回転数から、エコノミーモードの選択時に遮断状態のクラッチ手段を接続状態に移行させる設定回転数の範囲で、機械式過給機を予回転させるように構成したものである。
【0019】
上記構成によれば、エコノミーモードおよびパワーモードのいずれの選択時でも、クラッチ手段の遮断領域を設けることにより、機械式過給機の駆動損失が防止されて燃費の向上が図られるとともに、出力要求の低いエコノミーモードの選択時には、クラッチ手段を遮断しつつ機械式過給機を予回転させる領域がエンジンの高回転側に設定されることにより、クラッチ手段の信頼性が確保されるとともに、燃費の向上が図られることになる。さらに、エコノミーモードにおける予回転領域からパワーモードに切り替えられても、機械式過給機の回転数が予回転により高められているために、大きな接続負荷が作用することが防止されてクラッチ手段の信頼性が確保されることになる。
【0020】
請求項7に係る発明は、上記請求項1記載の機械式過給機付エンジンの制御装置において、パワーモードの選択時にクラッチ手段を遮断状態とする領域を、エンジンのアイドル回転領域またはこれに近い回転領域に設定したものである。
【0021】
上記構成によれば、クラッチ手段を遮断状態から接続状態に移行させるエンジン回転数が低く設定されるため、機械式過給機の回転数が急変することが防止されてトルクショックの発生が抑制されるとともに、パワーモードでの出力応答性が向上することになる。
【0022】
請求項8に係る発明は、機械式過給機をバイパスするエアバイパス通路が吸気通路に設けられた請求項1記載の機械式過給機付エンジンの制御装置において、上記エアバイパス通路を閉止することにより機械式過給機を予回転させるとともに、エコノミーモード選択時の予回転領域を除いてパワーモードまたはエコノミーモードのいずれの選択時でも、エンジンの低負荷領域の全域でエアバイパス通路を開放するように構成したものである。
【0023】
上記構成によれば、エンジンの低負荷領域では、その全領域が非過給状態となって燃費が向上するとともに、機械式過給機の予回転領域からパワーモードへのモード切り替えが行なわれたときに、上記予回転によって機械式過給機のロータの回転数が高められているため、クラッチ手段の耐久性および信頼性が確保されることになる。
【0024】
請求項9に係る発明は、上記請求項5または請求項8記載の機械式過給機付エンジンの制御装置において、エコノミーモードからパワーモードの選択切替時には、少なくとも機械式過給機の予回転領域での切替に際してクラッチ手段の接続状態の移行を遅延させるように構成したものである。
【0025】
上記構成によれば、エコノミーモードからパワーモードの選択切替時に、クラッチ手段の接続状態の移行が遅延されることにより、閉止状態にあるエアバイパス通路を開放させる際の応答遅れが生じた状態で、クラッチ手段が接続状態となることによる一時的な過給が行なわれることがなくなり、トルクショックの発生が防止されることになる。
【0026】
請求項10に係る発明は、上記請求項3記載の機械式過給機付エンジンの制御装置において、エンジンの低負荷領域では、クラッチ手段の接続領域において上記バイパス通路を開放するとともに、エコノミーモードの選択時には、エンジンの運転状態が低負荷領域のクラッチ手段の接続領域から遮断領域に変化した時点から、所定時間が経過するまでの間、上記エアバイパス通路の開放状態から閉動作への移行を遅延させるように構成したものである。
【0027】
上記構成によれば、エコノミーモードの選択時において、エンジンの運転状態がクラッチ手段の接続領域から遮断領域に変化した後においても、クラッチ手段の遮断とエアバイパス通路の開放により、機械式過給機のロータの回転がその慣性により数秒間維持されるため、エアバイパス通路の閉止を遅延させることで、数秒間は機械式過給機のロータを回転させたまま、再びクラッチ手段を接続することができ、エンジン回転数の急激な加減速による機械式過給機の予回転の遅れが防止されて、クラッチ手段の耐久性が確保されることになる。
【0028】
請求項11に係る発明は、上記請求項3記載の機械式過給機付エンジンの制御装置において、エコノミーモードの選択時には、エンジンの運転状態が高負荷領域でクラッチ手段の接続領域から、低負荷領域でクラッチ手段の遮断領域に変化したときに、その変化時点から所定時間が経過するまでの間、クラッチ手段の遮断を遅延させるように構成したものである。
【0029】
上記構成によれば、エコノミーモードの選択状態で、エンジンが高負荷領域からエンジンの低負荷領域に移行してから、上記遅延時間内で再加速が行なわれるような場合は、クラッチ手段が接続状態に保持されるため、エンジン負荷の急変によってクラッチ手段の断続が繰り返されることが防止されるとともに、上記機械式過給機の予回転と併せてクラッチ手段の耐久性がさらに効果的に向上することになる。また、エンジン負荷が減少する場合にのみ、上記遅延制御が実行されるため、エンジンの加速応答性は確保される。
【0030】
請求項12に係る発明は、上記請求項1〜請求項11のいずれかに記載の機械式過給機付エンジンの制御装置において、自動変速機の最高変速段にシフトしたときの最終減速比が2.5以下に設定された車両に搭載されたものである。
【0031】
上記構成によれば、自動変速機が最高変速段にシフトされたときには、最終減速比が2.5以下となり、パワートレーンの最終減速比が通常の車両よりもかなり小さな値となるため、これによってもエンジンの燃費が効果的に改善されることになる。
【0032】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る機械式過給機付エンジンの制御装置の実施形態を示している。このエンジンは、複数の気筒を有するエンジン本体10を備え、このエンジン本体10には、吸気通路12と排気通路14とが接続されている。この吸気通路12には、その上流側から順に図外のエアクリーナと、スロットル弁16と、機械式過給機18と、インタークーラ20とが設けられ、かつ各気筒ごとにインジェクタ22が配設されている。
【0033】
上記機械式過給機18は、電磁クラッチ24からなるクラッチ手段と、図外の動力伝達ベルトとを介してエンジン本体10の出力軸に連結されている。そして、上記電磁クラッチ24がON状態となったクラッチ手段の接続時には、上記エンジン本体10の出力軸から機械式過給機18の入力軸に駆動力が伝達されて送風用のロータが回転駆動され、上記電磁クラッチ24がOFF状態となったクラッチ手段の遮断時には、上記エンジン本体10の出力軸から機械式過給機18の入力軸に対する駆動力の伝達が遮断されるようになっている。
【0034】
上記吸気通路12には、機械式過給機18をバイパスするエアバイパス通路26が接続され、このエアバイパス通路26には、ダイヤフラム式圧力調節弁からなるバイパス制御弁28が設けられている。このバイパス制御弁28が開放状態となると、上記エアバイパス通路26を吸気が流れ、上記バイパス制御弁28が閉止状態となると、エアバイパス通路26が閉止されて上記機械式過給機18の設置部を通ってエンジン本体10に吸気が供給されることになる。
【0035】
すなわち、ダイヤフラムで区画されたバイパス制御弁28の圧力室が負圧導入通路30を介してバイパス制御弁28の弁体上流側の通路に接続されるとともに、その途中に三方電磁弁32が設けられている。そして、この三方電磁弁32が上記圧力室に大気圧を導入させる状態となることにより、図示を省略したばねの付勢力で上記バイパス制御弁28が全閉状態に保持され、三方電磁弁32が上記圧力室に負圧を導入させる状態となることにより、この負圧力に応じてバイパス制御弁28が開放されるようになっている。また、上記三方電磁弁32のデューティ制御によりバイパス制御弁28の開度調節が可能に構成されている。
【0036】
また、上記エンジン本体10の出力軸には、エンジンの低回転側でシフト変更する燃費を重視したエコノミーモードと、エンジンの高回転側でシフト変更する加速性能を重視したパワーモードとの一方を選択可能に構成された切替スイッチ等からなる選択手段34を備えた図外の自動変速機が連結されている。
【0037】
さらに、上記エンジンには、アクセルペダルの踏込量を検出するアクセルセンサ36およびエンジン移転数を検出する回転数センサ38等の各種センサが設けられ、これらの検出信号がエンジンコントロールユニット(ECU)40に入力されるようになっている。このエンジンコントロールユニット40は、上記選択手段34から出力された選択信号および各センサから出力された検出信号に基づいて上記電磁クラッチ24と、三方電磁弁32とに制御信号を出力することにより、エンジン本体10から上記機械式過給機18への駆動力の伝達を断続制御するとともに、上記バイパス制御弁28を開閉制御するように構成されている。
【0038】
上記選択手段34によってエコノミーモードが選択された場合において、図2に示すように、エンジン負荷Peが、吸気通路12の圧力が略大気圧となる値に相当する設定値P1未満の低負荷状態となり、かつエンジン回転数Neが、1500rpm程度の第1設定回転数N1未満となったエンジンのアイドル領域またはこれに近い領域Aでは、上記バイパス制御弁28を開放状態とするとともに、上記電磁クラッチ24をOFF状態として機械式過給機18の入力軸に対する駆動力の伝達を遮断する制御信号が出力される。これによってエンジン本体10による機械式過給機18の駆動が停止された状態で、吸気が上記機械式過給機18をバイパスして上記エアバイパス通路26からエンジン本体10に供給されることにより、この機械式過給機18のロータが非回転状態に保持され、後述する予回転が禁止されることになる。
【0039】
そして、エンジン負荷Peが上記設定値P1未満の低負荷状態において、エンジン回転数Neが3500rpm程度の第2設定回転数N2未満で、上記領域A外となった斜線で示す低負荷低回転領域Bでは、上記バイパス制御弁28を閉止状態とする制御信号が出力されるとともに、上記電磁クラッチ24がOFF状態に維持されて、機械式過給機18の入力軸に対する駆動力の伝達が遮断された状態に保持される。この結果、エンジン本体10の出力軸による機械式過給機18の駆動が停止された状態で、上記エアバイパス通路26を介した吸気のバイパスが停止されて、エンジン本体10の吸気作用により上記吸気通路12から機械式過給機18の設置部に吸気が供給され、これによって機械式過給機18が非作動状態に保持されたまま、上記吸気流により機械式過給機18が予回転されてロータが回転し始める。
【0040】
また、エンジン負荷Peが上記設定値P1未満で、エンジン回転数Neが上記第2設定回転数N2以上となったエンジンの低負荷高回転領域Cでは、上記バイパス制御弁28を開放状態に移行させた後、上記電磁クラッチ24をON状態とする制御信号が出力されることにより、機械式過給機18の入力軸に対する駆動力の伝達が開始される。上記機械式過給機18によって加圧された過給エアは、エアバイパス通路26を通って吸気通路の上流側に戻されることにより、機械式過給機18による過給が停止状態に保持されることになる。
【0041】
そして、エンジン回転数Neが3500rpm程度の第2設定回転数N2以上の上記低負荷高回転領域Cから、エンジン負荷Peが増大して上記設定値P1以上となる高負荷領域Dにエンジンの運転状態が変化すると、上記電磁クラッチ24をON状態に維持したまま、バイパス制御弁28をエンジン負荷Peに対応した開度に閉止する制御信号が出力されることにより、上記エアバイパス通路26を介して吸気通路12の上流側に戻される過給エア量が低減され、上記機械式過給機18による過給が開始される。
【0042】
また、エンジン回転数Neが上記第2設定回転数N2未満の上記低負荷低回転領域Bから、エンジン負荷Peが増大して上記高負荷領域Dにエンジンの運転状態が変化した場合には、図3に示すように、この運転領域の変化時点T1で上記電磁弁32を制御してバイパス制御弁28を一旦開放状態に移行させた後、この移行時点T2で上記電磁クラッチ24をON状態として機械式過給機18の入力軸に対する駆動力の伝達を開始するとともに、上記バイパス制御弁28をエンジン負荷Peに対応した開度に閉止する制御信号が出力されることにより、上記エアバイパス通路26を介して吸気通路12の上流側に戻される過給エア量が低減され、上記機械式過給機18による過給が開始されることになる。
【0043】
なお、上記領域Aから上記高負荷領域Dにエンジン運転状態が変化すると、上記電磁クラッチ24がON状態となり、バイパス制御弁28がエンジン負荷Peに対応した開度に閉止される。
【0044】
一方、上記選択手段34によってパワーモードが選択された場合において、図4に示すように、エンジン負荷Peが設定値P1未満となり、かつエンジン回転数Neが1500rpm程度の第1設定回転数N1未満となったエンジンのアイドル領域またはこれに近い領域Aでは、上記エコノミーモードと同じくバイパス制御弁28を開放状態とするとともに、上記電磁クラッチ24をOFF状態として機械式過給機18の入力軸に対する駆動力の伝達を遮断する制御信号が出力されることにより、この機械式過給機18の駆動が停止された状態で、吸気が上記機械式過給機18をバイパスして上記エアバイパス通路26からエンジン本体10に供給される。
【0045】
そして、エンジン負荷Peが上記設定値P1未満の領域において、エンジン回転数Neが上記領域A外となった低負荷領域B,Cでは、上記バイパス制御弁28を開放状態に維持しつつ、上記電磁クラッチ24をON状態とする制御信号が出力されることにより、機械式過給機18の入力軸に対する駆動力の伝達が開始される。この結果、上記機械式過給機18によって加圧された過給エアがエアバイパス通路26を通って吸気通路12の上流側に戻されることにより、機械式過給機18による過給が停止状態に保持されることになる。
【0046】
その後、上記低負荷領域B,Cから、エンジン負荷Peが増大して高負荷領域Dにエンジンの運転状態が変化した場合には、図5に示すように、この運転領域の変化時点T1で、バイパス制御弁28をエンジン負荷Peに対応した開度に閉止する制御信号が出力されるとともに、上記電磁クラッチ24がON状態に維持されることにより、上記エアバイパス通路26を介して吸気通路12の上流側に戻される過給エア量が低減され、上記機械式過給機18による過給が開始されることになる。
【0047】
このようにエコノミーモードと、パワーモードとの一方を選択する選択手段34を備えた自動変速機がエンジ本体10の出力軸に連結されるとともに、吸気通路12に介在される機械式過給機18と、この機械式過給機18への駆動力の伝達を断続する電磁クラッチ24等からなるクラッチ手段とを備えた機械式過給機付エンジンの制御装置において、上記エコノミーモードの選択時に、機械式過給機18による非過給領域(低負荷低回転領域)Bで上記電磁クラッチ24をOFF状態とするとともに機械式過給機18を予回転させ、同領域Bにおけるパワーモードの選択時に、上記電磁クラッチ24をON状態とするように構成したため、エコノミーモードの選択時には、上記非過給領域Bで機械式過給機18を予回転させることにより、上記電磁クラッチ24の締結前に機構式過給機18のロータ回転数を予め高めておくことができる。
【0048】
したがって、上記低負荷低回転領域の非過給領域Bからエンジン負荷Peが上昇して高負荷領域Dに変化した時点で、電磁クラッチ24をON状態として過給を開始する際には、エンジン本体10の出力軸と機械式過給機18の入力軸との回転差に起因した大きな接続負荷が上記電磁クラッチ24に作用するのを防止し、この電磁クラッチ24の耐久性を確保することができる。そして上記のように機械式過給機18を予回転させるにより、エンジン回転数が比較的に高回転側でも電磁クラッチ24を遮断状態に維持することが可能となり、この電磁クラッチをOFF状態とすることによって機械式過給機18の駆動抵抗損失が生じるのを防止できる上記領域Bを拡大できるため、エンジンの燃費を効果的に改善することができる。
【0049】
なお、エンジンの運転状態が上記低負荷低回転領域の非過給領域Bから高負荷領域Dに変化して過給を開始する際には、運転状態に適合した過給エア量をエンジン本体10に供給できるようにするため、図3に示すように、上記運転領域の変化時点T1で上記電磁弁32を操作してバイパス制御弁28をエンジン負荷Peに対応する開度まで開放状態に移行させた後、この移行時点T2で上記電磁クラッチ24をON状態として機械式過給機18を起動するように構成する必要があり、上記バイパス制御弁28が閉止状態から部分開放状態に移行するまでの時間tに相当する過給の応答遅れが多少生じる。しかし、燃費を重視した上記エコノミーモードの選択時には、パワーモードの選択時に比べて加速性能がそれ程要求されないので、上記多少の応答遅れが生じても問題はない。
【0050】
これに対して上記パワーモードの選択時に、エンジンの運転状態が非過給領域B,Cから高負荷領域Dに変化して過給を開始する場合には、図5に示すように、電磁クラッチ24をON状態に維持したまま、上記運転領域の変化時点T1で、三方電磁弁32を閉止してエアバイパス通路26を開放状態から閉止状態に移行させることにより、上記変化時点T1から機械式過給機18によって加圧された過給エアをエンジン本体10に供給することができる。したがって、上記バイパス制御弁28が閉止状態から開放状態に移行するまでの時間tに相当する過給の応答遅れが生じるのを防止し、迅速に過給を開始してパワーモードの走行に適した加速性能を得ることができる。
【0051】
また、上記実施形態では、少なくともエンジンのアイドル領域またはこれに近い低負荷低回転領域Aで上記電磁クラッチ24からなるクラッチ手段を遮断状態とし、高回転領域Cでクラッチ手段を接続状態とするように構成された機械式過給機付エンジンの制御装置において、エコノミーモードの選択時には、パワーモードの選択時に比べて上記電磁クラッチ24をOFF状態からON状態に移行させるエンジンの設定回転数を高回転側に設定し、かつクラッチ遮断領域の高回転側の領域Bで機械式過給機18を予回転させるように構成したため、エコノミーモードの選択時に、機械式過給機18の駆動抵抗損失を抑制できる領域での運転頻度を増大して燃費を効果的に改善することができる。
【0052】
すなわち、パワーモードの選択時には、エンジン回転数が1500rpm程度に設定された第1設定回転数N1以上となった時点で、電磁クラッチ24をON状態とするようにしたのに対し、エコノミーモードの選択時には、エンジン回転数が3500rpm程度に設定された第2設定回転数N2以上となった時点で、電磁クラッチ24をON状態とするように構成したため、このエコノミーモードの選択時に、上記電磁クラッチ24をOFF状態とする領域を十分に確保し、これによって上記機械式過給機18の駆動抵抗損失を抑制できる領域での運転頻度を増大してエンジンの燃費を効果的に改善することができる。
【0053】
また、パワーモードの選択時には、上記エコノミーモードの選択時に比べて電磁クラッチ24がOFF状態となる領域が狭められることにより、機械式過給機18を予回転させなくても電磁クラッチ24からなるクラッチ手段の耐久性が確保され、かつ上記過給の応答遅れが生じる領域での運転頻度を低減してこの応答遅れに起因した加速性能の低下を効果的に防止することができる。さらに、上記クラッチ手段の接続時におけるエンジン本体10の出力軸と機械式過給機18の入力軸の回転数差を、エコノミーモードおよびパワーモードのいずれの選択時においても小さくできるため、クラッチ手段の接続時におけるトルクショックの発生を抑制することができる。
【0054】
また、上記実施形態に示すように、機械式過給機18をバイパスするエアバイパス通路26を備えた機械式過給機付エンジンの制御装置において、上記エアバイパス通路26を閉止して機械式過給機18に吸気を供給することにより、この機械式過給機18を予回転させるように構成した場合には、別体の予回転手段を設けることなく、エンジン本体10の吸気負圧を利用して簡単な構成で上記機械式過給機18を予回転させて、そのロータの回転数を予め高めた後に、上記電磁クラッチ24を締結することができる。したがって、この電磁クラッチ24からなるクラッチ手段に、エンジン本体10の出力軸機械式過給機18の入力時との回転差に起因した大きな締結負荷が作用するのを防止し、その耐久性を十分に確保することができるため、高回転での上記クラッチ手段の接続が可能となる。
【0055】
また、上記実施形態では、エコノミーモードの選択時に、エンジンがアイドル領域またはこれに近い領域Aにあるときには、上記エアバイパス通路26を開放状態として機械式過給機18の予回転を禁止し、この機械式過給機18の設置部に吸気が供給されるのを防止するように構成したため、加速時に、上記機械式過給機18の設置部を吸気が通過することに起因した吸気の応答遅れを防止し、十分な加速性能を得ることができるとともに、機械式過給機18の回転に伴う機械騒音の発生等を抑制することができる。しかも、エンジンがアイドル領域またはこれに近い領域Aにある場合には、直ぐに高回転のクラッチ接続領域Cに変化することはなく、エンジン本体10の出力軸と機械式過給機18の入力軸との間に大きな回転差は生じないため、上記電磁クラッチ24からなるクラッチ手段が高回転で接続状態に移行することはないと考えられる。したがって、上記領域Aで機械式過給機18の予回転を禁止したとしても特に問題が生じることはない。
【0056】
なお、エンジンの低負荷領域におけるエコノミーモードの選択時に上記機械式過給機18の予回転を禁止する領域に対して、パワーモード選択時にエアバイパス通路26を開放する領域を広くするとともに、パワーモード選択時にクラッチ手段を遮断する領域を狭くするようにしてもよい。すなわち、エコノミーモードの選択時には、図6に示すように、低負荷領域のエンジン回転数Neが2500rpm程度の第1設定回転数N1´未満の領域A´にある場合に、クラッチ手段を遮断するとともに、バイパス通路26を開放して予回転を禁止し、かつ、パワーモード選択時には、図4に示すように、低負荷領域A,B,Cの全域でエアバイパス通路26を開放してこの開放領域を上記予回転の禁止領域A´よりも広くするとともに、低負荷領域のエンジン回転数Neが1500rpm程度の第1設定回転数N1未満の領域Aにある場合に、クラッチ手段を遮断してこの遮断領域を上記予回転の禁止領域A´よりも狭くするようにしてもよい。
【0057】
上記構成によれば、エアバイパス通路26を閉止状態とするエコノミーモードの予回転領域Bがエンジンの高回転側にのみ設定されているため、モードの切替によってエコノミーモードの予回転領域Bから、パワーモードのクラッチ接続領域B,Cへの移行頻度が減少する。そして、図6に示すエコノミーモードの予回転禁止領域A内の点aにおいてパワーモードへの切替が行なわれ、クラッチ手段が遮断状態から接続状態に移行したとしても、上記エアバイパス通路26は開放状態に維持されているため、上記モード選択の切替に伴うエアバイパス通路26の閉止状態と、クラッチ手段の接続状態とが同時に生じることはなく、これによってトルクショックの発生を防止することができる。
【0058】
また、上記のように少なくともエンジンの低負荷低回転領域Aで上記クラッチ手段を遮断状態とし、高回転領域Cでクラッチ手段を接続状態とするように構成された機械式過給機付エンジンの制御装置において、エコノミーモードの選択時には、パワーモードの選択時に比べてクラッチ手段を遮断状態から接続状態に移行させるエンジンの設定回転数を高回転側に設定し、かつパワーモード選択時に遮断状態のクラッチ手段を接続状態に移行させる設定回転数から、エコノミーモードの選択時に遮断状態のクラッチ手段を接続状態に移行させる設定回転数の範囲で、機械式過給機18を予回転させるように構成してもよい。
【0059】
すなわち、エコノミーモードの選択時には、図6に示すように、低負荷領域のエンジン回転数Neが3500rpm程度の第2設定回転数N2以上となって高回転領域Cに移行した時点で、クラッチ手段を遮断状態から接続状態に移行させるとともに、パワーモードの選択時には、図7に示すように、低負荷領域のエンジン回転数Neが2500rpm程度の第1設定回転数N1´以上となって領域B,Cに移行した時点で、クラッチ手段を遮断状態から接続状態に移行させるように構成し、かつエコノミーモードの選択時に2500rpm程度の第1設定回転数N1´から上記3500rpm程度の第2設定回転数N2未満の範囲に設定された領域Bで、機械式過給機18を予回転させるように構成してもよい。
【0060】
上記構成によれば、エコノミーモードおよびパワーモードのいずれの選択時でも、クラッチ手段の遮断領域を設けることにより、機械式過給機18の駆動損失を防止して燃費の向上を図ることができるとともに、出力要求の低いエコノミーモードでは、クラッチ手段の遮断しつつ機械式過給機18を予回転させる領域Bがエンジンの高回転側に設定されることにより、クラッチ手段の信頼性を確保するとともに、燃費の向上を図ることができる。さらに、エコノミーモードにおける上記予回転領域Bからパワーモードに切り替えられても、機械式過給機18の回転数が予回転により高められているために、クラッチ手段に大きな接続負荷が作用するのを防止してその信頼性を確保することができる。
【0061】
また、上記図4に示すように、パワーモードの選択時にクラッチ手段を遮断状態とする領域Aを、エンジンの低負荷領域で回転数Neが1500rpm程度の第1設定回転数N1未満の領域に設置する等により、エンジンのアイドル回転領域またはこれに近い回転領域に設定した場合には、クラッチ手段を遮断状態から接続状態に移行させるエンジン回転数が低く設定されるため、機械式過給機18の回転数が急変することを防止し、これによってトルクショックの発生を抑制することができとともに、パワーモードでの出力応答性を効果的に向上させることができる。
【0062】
また、上記のように機械式過給機18をバイパスするエアバイパス通路26が吸気通路12に設けられた上記機械式過給機付エンジンの制御装置において、上記エアバイパス通路26を閉止することにより機械式過給機18を予回転させるとともに、エコノミーモード選択時の上記予回転領域Bを除いてパワーモードまたはエコノミーモードのいずれの選択時でも、エンジンの低負荷領域の全域でエアバイパス通路26を開放するように構成した場合には、エンジンの低負荷領域の全領域A,B,Cを非過給状態として燃費を向上させることができるとともに、機械式過給機18の予回転領域Bからパワーモードへのモード切り替えが行なわれたときに、上記予回転によって機械式過給機18のロータの回転数を高めておくことができるため、クラッチ手段に大きな接続負荷が作用するのを防止してその耐久性および信頼性を確保することができる。
【0063】
また、エコノミーモードからパワーモードの選択切替時には、少なくとも機械式過給機18の予回転領域Bにおける選択切替に際して上記電磁クラッチ24からなるクラッチ手段の接続状態の移行を遅延させるように構成してもよい。このように構成した場合には、エコノミーモードからパワーモードの選択切替時に、クラッチ手段の接続状態の移行を遅延させることにより、閉止状態にあるエアバイパス通路26を開放させる際の応答遅れが生じた状態で、クラッチ手段が接続状態となることによる一時的な過給が行なわれることがなくなるため、トルクショックの発生を防止することができる。
【0064】
なお、上記実施形態では、機械式過給機18を起動する際の制御動作について説明したが、エコノミーモードの選択時において、エンジンの運転状態が電磁クラッチ24からなるクラッチ手段の接続領域Cから遮断領域Bに変化した時点から、所定時間が経過するまでの間、上記エアバイパス通路の開放状態から閉動作への移行を遅延させるように構成してもよい。このように構成した場合には、エコノミーモードの選択時において、エンジンの運転状態がクラッチ手段の接続領域Cから遮断領域Bに変化した後においても、クラッチ手段の遮断とエアバイパス通路26の開放により、機械式過給機18のロータの回転がその慣性に応じて数秒間維持されるため、上記のようにエアバイパス通路26の閉止を遅延させることで、数秒間は機械式過給機18のロータを回転させたまま、再びクラッチ手段を接続することができ、エンジン回転数の急激な加減速による機械式過給機18の予回転の遅れを防止して、クラッチ手段の耐久性を確保することができる。
【0065】
また、エコノミーモードの選択時において、エンジンの運転状態が高負荷領域でクラッチ手段の接続領域Dから、エンジンの低負荷領域でクラッチ手段の遮断領域A,Bに変化した時点、その変化時点から所定時間が経過するまでの間、クラッチ手段の遮断を遅延させるように構成してもよい。このように構成した場合には、エコノミーモードの選択状態で、エンジンが高負荷領域からエンジンの低負荷領域に移行してから、上記遅延時間内で再加速が行なわれたとしても、クラッチ手段が接続状態に保持されるため、エンジン負荷の急変によってクラッチ手段の断続が繰り返されることが防止されるとともに、上記機械式過給機18の予回転と併せてクラッチ手段の耐久性を、さらに効果的に向上させることができる。また、エンジン負荷が減少する場合にのみ、上記遅延制御が実行されるため、エンジンの加速応答性が阻害されるという事態を生じることはない。
【0066】
また、自動変速機の最高変速段にシフトしたときの最終減速比を、通常のエンジンに比べて低い値である2.5以下に設定してなるエンジンに本発明を適用した場合には、自動変速機が最高変速段にシフトされたときに、最終減速比が2.5以下となって動力の伝達効率が向上するため、これによる燃費の改善効果と、上記過給制御を実行することによる燃費の改善効果の相乗作用により、エンジンの燃費を著しく向上させることができる。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、相対的にエンジンの低回転側でシフト変更するエコノミーモードと、エンジンの高回転側でシフト変更するパワーモードとの一方を選択する選択手段を備えた自動変速機がエンジン本体の出力軸に連結されるとともに、吸気通路に介在された機械式過給機と、この機械式過給機への駆動力の伝達を断続するクラッチ手段とを備えた機械式過給機付エンジンの制御装置において、上記エコノミーモードの選択時に、機械式過給機による非過給領域で上記クラッチ手段を遮断状態とするとともに機械式過給機を予回転させ、同領域におけるパワーモードの選択時に、上記クラッチ手段を接続状態とするように構成したため、エコノミーモードの走行時には、クラッチ手段の耐久性を確保しつつ燃費を良好状態に維持することができるとともに、パワーモードの走行時には、過給応答性を向上させて優れた加速性能が得られるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る機械式過給機付エンジンの制御装置の実施形態を示す説明図である。
【図2】エコノミーモードにおける制御領域を示すグラフである。
【図3】エコノミーモードにおけるバイパス制御弁および電磁クラッチの作動状態を示すタイムチャートである。
【図4】パワーモードにおける制御領域を示すグラフである。
【図5】パワーモードにおけるバイパス制御弁および電磁クラッチの作動状態を示すタイムチャートである。
【図6】エコノミーモードにおける制御領域の他の例を示すグラフである。
【図7】パワーモードにおける制御領域の他の例を示すグラフである。
【符号の説明】
10 エンジン本体
12 吸気通路
24 電磁クラッチ(クラッチ手段)
26 エアバイパス通路
28 バイパス制御弁
34 選択手段
Claims (12)
- 相対的にエンジンの低回転側でシフト変更するエコノミーモードと、エンジンの高回転側でシフト変更するパワーモードとの一方を選択する選択手段を備えた自動変速機がエンジン本体の出力軸に連結されるとともに、吸気通路に介在される機械式過給機と、この機械式過給機への駆動力の伝達を断続するクラッチ手段とを備えた機械式過給機付エンジンの制御装置において、上記エコノミーモードの選択時に、機械式過給機による非過給領域で上記クラッチ手段を遮断状態とするとともに機械式過給機を予回転させ、同領域におけるパワーモードの選択時に、上記クラッチ手段を接続状態とするように構成したことを特徴とする機械式過給機付エンジンの制御装置。
- 少なくともエンジンの低負荷低回転領域で上記クラッチ手段を遮断状態とし、高回転領域でクラッチ手段を接続状態とするように構成された請求項1記載の機械式過給機付エンジンの制御装置において、エコノミーモードの選択時には、パワーモードの選択時に比べてクラッチ手段を遮断状態から接続状態に移行させるエンジンの設定回転数を高回転側に設定し、かつクラッチ遮断領域の高回転側で機械式過給機を予回転させるように構成したことを特徴とする機械式過給機付エンジンの制御装置。
- 機械式過給機をバイパスするエアバイパス通路が吸気通路に設けられた請求項1または2記載の機械式過給機付エンジンの制御装置において、上記エアバイパス通路を閉止することにより機械式過給機を予回転させるように構成したことを特徴とする機械式過給機付エンジンの制御装置。
- エコノミーモードの選択時に、クラッチ手段の遮断領域の低回転側では、エアバイパス通路を開放して機械式過給機の予回転を禁止するように構成したことを特徴とする請求項3記載の機械式過給機付エンジンの制御装置。
- エンジンの低負荷領域におけるエコノミーモードの選択時に上記機械式過給機の予回転を禁止する領域に対して、パワーモード選択時にエアバイパス通路を開放する領域を広くするとともに、パワーモード選択時にクラッチ手段を遮断する領域を狭くしたことを特徴とする請求項4記載の機械式過給機付エンジンの制御装置。
- 少なくともエンジンの低負荷低回転領域で上記クラッチ手段を遮断状態とし、高回転領域でクラッチ手段を接続状態とするように構成された請求項1記載の機械式過給機付エンジンの制御装置において、エコノミーモードの選択時には、パワーモードの選択時に比べてクラッチ手段を遮断状態から接続状態に移行させるエンジンの設定回転数を高回転側に設定し、かつパワーモード選択時に遮断状態のクラッチ手段を接続状態に移行させる設定回転数から、エコノミーモードの選択時に遮断状態のクラッチ手段を接続状態に移行させる設定回転数の範囲で、機械式過給機を予回転させるように構成したことを特徴とする機械式過給機付エンジンの制御装置。
- パワーモードの選択時にクラッチ手段を遮断状態とする領域を、エンジンのアイドル回転領域またはこれに近い回転領域に設定したことを特徴とする請求項1記載の機械式過給機付エンジンの制御装置。
- 機械式過給機をバイパスするエアバイパス通路が吸気通路に設けられた請求項1記載の機械式過給機付エンジンの制御装置において、上記エアバイパス通路を閉止することにより機械式過給機を予回転させるとともに、エコノミーモード選択時の予回転領域を除いてパワーモードまたはエコノミーモードのいずれの選択時でも、エンジンの低負荷領域の全域でエアバイパス通路を開放するように構成したことを特徴とする機械式過給機付エンジンの制御装置。
- エコノミーモードからパワーモードの選択切替時には、少なくとも機械式過給機の予回転領域での切替に際してクラッチ手段の接続状態の移行を遅延させるように構成したことを特徴とする請求項5または請求項8記載の機械式過給機付エンジンの制御装置。
- エンジンの低負荷領域では、クラッチ手段の接続領域において上記バイパス通路を開放するとともに、エコノミーモードの選択時には、エンジンの運転状態が低負荷領域のクラッチ手段の接続領域から遮断領域に変化した時点から、所定時間が経過するまでの間、上記エアバイパス通路の開放状態から閉動作への移行を遅延させるように構成したことを特徴とする請求項3記載の機械式過給機付エンジンの制御装置。
- エコノミーモードの選択時には、エンジンの運転状態が高負荷領域でクラッチ手段の接続領域から、低負荷領域でクラッチ手段の遮断領域に変化したときに、その変化時点から所定時間が経過するまでの間、クラッチ手段の遮断を遅延させるように構成したことを特徴とする請求項3記載の機械式過給機付エンジンの制御装置。
- 自動変速機の最高変速段にシフトしたときの最終減速比が2.5以下に設定された車両に搭載されたことを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれかに記載の機械式過給機付エンジンの制御装置。
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