JP3564566B2 - 新規rk−75物質、その製造方法及び用途 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、新規RK−75物質、その製造方法、該物質を有効成分とする抗腫瘍剤及び該物質を生産する微生物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の抗腫瘍剤の多くは、DNAに直接作用するか、分裂装置に作用する化合物が多く、生体の中でも骨髄細胞や毛根細胞など、増殖の盛んな正常細胞に対する副作用が問題であった。しかしながら最近では、細胞増殖のメカニズムが分子レベルで解明されてきたので、癌遺伝子の発現や癌遺伝子産物の機能を阻害する選択的な抗腫瘍剤の開発が可能になりつつある。従って、抗腫瘍剤及び免疫抑制剤の分野では、新しい作用機序を有し、特異性及び有効性に優れた抗腫瘍剤や免疫抑制剤の開発が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、特異性及び有効性に優れた抗腫瘍剤の有効成分となりうる新規RK−75物質、その製造方法及び抗腫瘍剤を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、抗腫瘍作用を有する物質の探索を目的として多数の土壌試料から微生物を分離し、その産生する物質を探索した結果、栃木県今市市で採取した土壌から分離された菌株のうちの特定の放線菌が、抗腫瘍作用を有する新規な化学物質を生産することを見出し、本発明を完成した。
【0005】
即ち、本発明は、式(I)
【0006】
【化5】
【0007】
で示される新規RK−75物質にある。
さらに、本発明はストレプトミセス属に属し、前記RK−75物質産生能を有する微生物を培地に培養し、培養物から前記RK−75物質を採取することを特徴とする新規RK−75物質の製造方法である。
さらに、本発明は前記RK−75物質を有効成分として含有する抗腫瘍剤である。
【0008】
さらに、本発明は前記RK−75物質産生能を有するストレプトミセス・エスピー91−75株である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明者らは、栃木県今市市の土壌を採取し、その土壌の中に抗腫瘍作用を有する放線菌を見いだし、この菌を分離した。
【0009】
この分離された菌株の菌学的性質は次の通りである。
分離土壌: 栃木県今市市
形態学的特徴
a)胞子柄: 直線〜ゆるやかな波形
b)胞子の表面: 平滑
c)気菌糸の色: 灰白〜暗灰色
d)基生菌糸の色: 茶色
e)生育温度: 4〜33.3℃
化学分類学的性状
細胞壁構成主要アミノ酸: L,L−ジアミノピメリン酸
以上の菌学的性質に基づいて、Bergey’s manual of systematic bacteriology1986 に従って分類すると、ストレプトミセス属(Streptomyces sp.)に属する株であると同定された。この菌株をストレプトミセス・エスピー (Streptomycessp.) 91−75と名ずけた。そして、本菌株は工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM P−14190として寄託されている。
【0010】
ストレプトミセス・エスピー91−75株は、他のストレプトミセス属の放線菌と同様に、その性状が変化しやすく、たとえば紫外線、エックス線、放射線、人工変異剤などを用いる人工的変異手段で容易に変異しうるものであり、このような変異であっても、後述する抗腫瘍作用を有するRK−75物質の生産能を有するものは、すべて本発明の方法に使用することができる。
【0011】
また、本発明で用いる微生物としては、抗腫瘍作用を有する後述のRK−75物質を生産する能力を有するストレプトミセス属に属する微生物であればよい。
上記微生物の培養に使用する培地としては、窒素源、無機塩類、ビタミン類、その他の栄養源を適宜含有した培地を使用すればよい。ここで、窒素源としては、例えば硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機態窒素源でも、例えば尿素、イーストエキス、ペプトン、グルタミン酸又はグルタミン酸ナトリウム等の有機態窒素源でもよい。培地のpHは、5〜10、好ましくは6〜9、培養温度は、通常10〜35℃、好ましくは18〜29℃である。
【0012】
培養は、微生物の生育状況等により適宜決定し得るが、通常は3〜14日間好気的条件下で行う。
培養物からの本発明の新規RK−75物質の単離・精製は、微生物代謝生産物を培養物から単離・精製するために常用される方法、例えば有機溶媒による抽出、吸着剤による吸着及び溶出、クロマトグラフィー等を適当に組み合わせて実施することができる。
【0013】
後述の実施例により得られた抗腫瘍作用を有する物質は、下記の理化学的性質及び構造式をを有する化合物である。
(a) 分子式:C37H51N7O7
(b) 分子量:705
(c) 融点:180 〜220 ℃
(d) 外観:白色粉末
【0014】
【0015】
(f) 溶解性:ジメチルスルホキサイドに易溶。アセトン及びメタノールに可溶。クロロホルムに難溶。水に不溶。
(g) 呈色反応:ニンヒドリン、I2 による呈色反応に陽性。
(h) 紫外線吸収スペクトル:
λmax(MeOH)(ε) ;223 nm(7,760)、300 nm(18,890)(図1)
(i) 赤外線吸収スペクトル:3300、2926、1670、1608、1560、1541、1420、1375、1254、1196、1127、1001cm−1(図2)
(j) 核磁気共鳴スペクトル:
重DMSO中で測定した 1H−NMRの結果・・・図3に示す通りである。
【0016】
重DMSO中で測定した13C−NMRの結果・・・図4に示す通りである。
以上の理化学的性質に基づき、本物質の構造を決定した結果、該物質は式(I)
【0017】
【化6】
【0018】
の構造式で示され、これをRK−75物質と名付けた。この物質は既知の化学物質の中に一致するものはなく、新規な物質であることが判明した。
本発明の新規なRK−75物質をその抗腫瘍作用に基づく抗腫瘍剤として使用する場合の投与方法は次の通りある。
注射剤として使用する場合、本有効成分にpH調整剤、緩衝剤、安定化剤、賦形剤等を添加してもよい。また、常法によって凍結乾燥を行ない、凍結乾燥注射剤とても使用することができる。さらには、本有効成分にpH調整剤、緩衝剤、安定化剤、等張剤、局麻剤糖を添加し、常法により溶液又は懸濁液の形の皮下、筋肉内、静脈内用注射剤としても使用することができる。
【0019】
一方、固形製剤として使用する場合は、本有効成分に通常の賦形剤、安定化剤、必要によって結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤等を添加し、常法により錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等にすることができる。
【0020】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
グルコース2%、可溶性澱粉1%、肉エキス0.1 %、酵母0.4 %、食塩0.2 %、リン酸第二カリウム0.005 %、及び大豆粉2.5 %の組成からなる培地 (pH 7.0)に、放線菌91−75株を接種して、28℃で96時間振盪培養を行った。この培養液350mlを同組成の培地36Lに接種し、28℃で96時間にわたって毎分7Lの通気を行いながら、毎分300 回転の攪拌培養を行った。
【0021】
上記培養液を高速遠心分離器(15000 回転/分)で菌体と上清に分離し、70%アセトン5Lを用いて菌体を抽出した。減圧濃縮後、得られた水溶液をpH 7.0に調製し、5Lの酢酸エチルで2回抽出を繰り返した。抽出後、全ての酢酸エチルを合わせて減圧濃縮し、褐色のシロップ0.3 gを得た。
得られたシロップ300mgをクロロホルム30mlに溶解し、クロロホルムで調製したシリカゲルカラム(直径6cm、長さ90cm)に浸潤させ、最初にクロロホルムを2L流した後、クロロホルム−メタノール溶液を配合割合を順次変えて(50:1、10:1、5:1、1:1)それぞれ1Lづつ流し、最後にメタノール2Lを流した。
【0022】
活性はクロロホルムーメタノール溶液(5:1から1:1)の画分に溶出した。これを減圧濃縮することによって60mgの白色粉末を得た。
さらにこの白色粉末をクロロホルム−メタノール溶液(1:1)に溶解し、同じ溶液で調製したセファデックス LH−20(ファルマシア社製)のカラム(直径4.5 cm、長さ120 cm)にかけて、クロロホルム−メタノール溶液(1:1)で溶出した。それぞれ10mlずつ分画し、主な活性画分であるフラクションを集め、このフラクションから減圧濃縮により7.2 mgの白色粉末を得た。
【0023】
最後に、ODSカラム(直径2cm、長さ25cm; カプセルパック、資生堂社製)を用いて高速液体クロマトグラフィーによる分取を行った。なお、用いた溶媒は70%メタノールであり、流速は6.0 ml/分とした。
この結果、白色粉末として精製標品約3.8 mgを得た。この白色粉末は、前述の理化学的性質及び構造式を有する化合物である。
(試験例1)
実施例1で得られたRK−75物質の活性を以下の方法に従って測定した。
【0024】
ラット腎細胞(NRK) に温度感受性のラウス肉腫ウイルスを感染させた srcts−NRK細胞を用意し、1、3.2 、10、32及び100 μg/mlの濃度でRK−75物質を含む培養液に、当該 srcts−NRK細胞を32℃の温度の下で培養し、顕微鏡で観察した。
通常32℃で srcts−NRK細胞を培養すると、球形のトランスフォーム形態を示すが、本RK−75物質を培養液に添加すると、細胞のトランスフォーメーションは完全に阻害され正常な形態を示した。RK−75物質の各濃度における腫瘍活性の阻害率を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
この結果、ストレプトミセス・エスピー91−75株から製造した本発明の新規RK−75物質は、細胞のトランスフォーメーションを阻害し、抗腫瘍作用を有することが明らかとなった。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、新規RK−75物質及び該物質を有効成分とする抗腫瘍剤を提供することができる。さらに、本発明によれば、新規RK−75物質を生産する微生物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のRK−75物質の紫外線吸収スペクトル(methanol)のチャートである。
【図2】本発明のRK−75物質の赤外線吸収スペクトル(KBr)のチャートである。
【図3】本発明のRK−75物質の 1H−NMR (DMSO−d6) の結果を表すチャートである。
【図4】本発明のRK−75物質の13C−NMR (DMSO−d6) の結果を表すチャートである。
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