JP3564543B2 - フロピリジン抗細菌剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フロピリジン抗細菌剤に関する。本発明は、特に、真菌クラドボトリウム・バリウム(Cladobotryum varium;FERM BP−5732)の発酵によって生成されるフロピリジン抗細菌剤、及び微生物カロネクトリア・デコラ(Calonectria decora;FERM BP−6124)、クンニンハメラ・エチヌラタ・バー・エレガンス(Cunninghamella echinulata var. elegans;FERM BP−6126)、又は未同定細菌(FERM BP−6125)によるそれらのバイオトランスフォーメーション生成物に関する。また、本発明は、それらを含有し、種々の細菌〔例えば、スタフィロコッカス種(Staphylococcus sp.)、ストレプトコッカス種(Streptococcus sp.)、及びエンテロコッカス種(Enterococcus sp.)の多剤耐性株〕の感染によって発生する疾患、障害、及び悪化状態の治療に有用な医薬組成物にも関する。
【0002】
【従来の技術】
ペニシリンが発見(A.Fleming,1929)され、そして開発(H.W.Floreyら,1941)されて以来、人類は、多種の感染症に対する健康管理において大きな利益を享受している。しかしながら、最近、多くの標準的薬剤(例えば、β−ラクタム類、マクロライド類、及びキノロン類)の有用性を制限する多剤耐性感染の発生率が増加するという警報が発せられている。例えば、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MRSA)及びバンコマイシン耐性エンテロコッカス種は、現在、実質的に全ての他の抗生物質群に対して共耐性である。また、多剤耐性肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)も、小児及び成人の両方における上気道感染及び低気道感染における頻度のために、最も重要な病原性細菌の1つである。肺炎連鎖球菌は、現在利用可能な全ての療法に対して急速に耐性を持ちつつある。一般に処方されている抗感染剤(例えば、β−ラクタム及び現在のマクロライド)は、もはや確実に有効とは限らない。
【0003】
これらの多剤耐性細菌は、病院に限らず、世界中の種々の人間社会において発生する。多くの場合、多剤耐性感染は、潜在的な致死的状態をもたらしたり、入院が必要になることがある。前記多剤耐性細菌の出現は、薬剤発見計画を促進した。例えば、MRSAに対する有効な抗細菌活性を有する新規抗生物質として、ジペプチド類が「R.M.Williamsら,J.Antibiotics,51(2),189−201,1998」に記載されている。種々の細菌〔例えば、多剤耐性細菌(例えば、スタフィロコッカス種、ストレプトコッカス種、及びエンテロコッカス種)〕に対して良好な活性を有する化合物を提供することは、重度の医学的需要によって要求されるだけでなく、治療の失敗、実験室試験、及び入院を最小化することによって達成することができる全体的健康管理経費の抑制によっても要求される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、種々の細菌(例えば、多剤耐性細菌)に対して良好な抗細菌活性を有するフロピリジン化合物を提供すること、及び前記化合物を含む医薬組成物を提供することである。種々のフロピリジン化合物が知られている。例えば、ドイツ国特許公報DE4218978A1には、液晶材料としてのフロピリジン化合物が開示されている。また、国際特許公報WO97/11076には、殺真菌剤としてのフロピリジン化合物が開示されている。
本発明の別の課題は、前記フロピリジン化合物の製造方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、式(I):
【化9】
Figure 0003564543
[式中、X及びXは、炭素原子又は窒素原子であり;
及びRは、それぞれ独立して場合によりヒドロキシ基で置換されていることのあるフェニル基であるが、但し、X及びXが同時に炭素原子又は窒素原子であることはなく、Xが窒素原子である場合にはRが存在せず、そしてXが窒素原子である場合にはRが存在しないものとし;
は、メチル基又はヒドロキシメチル基であり;
は、ホルミル基、ヒドロキシメチル基、又はヒドロキシC3−6アルケニル基であり;そして
は、ヒドロキシ基、C3−6アルケニル基、又はヒドロキシC3−6アルケニル基であるか;あるいは
及びRは、それらが結合するフロピリジン環中の炭素原子と一緒になって、式:
【化10】
Figure 0003564543
で表される基、又は式:
【化11】
Figure 0003564543
で表される(前記フロピリジン環と縮合する)環を形成することができるが;但し、Rがメチル基であって、そしてRが2−ブテン−2−イル基である場合には、Xは窒素原子以外の基であるものとする]で表される化合物、又は薬剤学的に許容することのできるその塩を提供する。
【0006】
また、本発明は、(1)分子式がC1919NOであり;
(2)メタノール中でのスペクトルの紫外光域の吸収極大が、206.0nm及び247.0nmにあり;
(3)メタノール中で濃度6%の場合の旋光度([α] 24)が+13.3゜であり;
(4)KBr中でペレット化した場合の赤外域の特性吸収が、3378、2963、1647、1614、1450、1427、1228、1042、823、774、及び694cm−1の波長で生じ;
(5)H NMRスペクトル(270MHz)の主要なピークが、δ7.52(m,2H),7.47(s,1H),7.31(m,2H),7.24(m,1H),5.36(brs,1H),3.13(brs,1H),2.78(q,J=7.3Hz,1H),1.67(s,3H),1.58(s,3H),1.18(d,J=7.3Hz,3H)であり;そして
(6)13C NMRスペクトル(270MHz)の主要なピークが、δ165.03(s),162.55(s),151.38(s),135.38(d),130.23(s),129.71(d×2),128.79(d×2),128.15(d),127.81(d),114.34(s),111.06(s),104.28(s),58.32(d),50.30(d),26.97(q),20.93(q),15.28(q)である;
特性を有する化合物、又は薬剤学的に許容することのできるその塩に関する。
【0007】
本発明のフロピリジン化合物は、細菌(例えば、スタフィロコッカス種、ストレプトコッカス種、及びエンテロコッカス種の多剤耐性株)に対する抗生物質活性を示す。従って、本発明は、細菌によって生じる感染疾患の治療に有効な量の式(I)で表される化合物又は薬剤学的に許容することのできるその塩、及び薬剤学的に許容することのできる担体を含む、前記疾患治療用の医薬組成物も提供する。
また、本発明は、治療有効量の式(I)で表される化合物を哺乳動物に投与することを含む、前記哺乳動物における細菌によって発生する感染疾患を治療する方法に用いることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本明細書において「多剤耐性」は、微生物が抗生物質(例えば、マクロライド類及びβ−ラクタム類)に対して耐性を有することを意味する。前記抗生物質としては、ペニシリン、エリスロマイシン、メチシリン及びバンコマイシンを挙げることができる。
本発明には、式(I)で表される化合物の可能な全ての立体異性体及び互変異性体を含む。
【0009】
より具体的な本発明の化合物は、Xが炭素原子であり、Xが窒素原子であり、Rがフェニル基であり、Rが存在せず、Rがメチル基であり、R及びRが一緒になって、フロピリジン環に縮合する式:
【化12】
Figure 0003564543
で表される環を形成するか;
が炭素原子であり、Xが窒素原子であり、Rがフェニル基であり、Rが存在せず、R及びRがヒドロキシメチル基であり、そしてRが2−ブテン−2−イル基であるか;
が炭素原子であり、Xが窒素原子であり、Rがフェニル基であり、Rが存在せず、Rがメチル基であり、Rがホルミル基であり、そしてRが4−ヒドロキシ−2−ブテン−2−イル基であるか;
が炭素原子であり、Xが窒素原子であり、Rがフェニル基であり、Rが存在せず、Rがメチル基であり、Rがヒドロキシメチル基であり、そしてRが4−ヒドロキシ−2−ブテン−2−イル基であるか;
が窒素原子であり、Xが炭素原子であり、Rが存在せず、Rがフェニル基であり、Rがメチル基であり、Rがヒドロキシメチル基であり、そしてRが2−ブテン−2−イル基であるか;
が窒素原子であり、Xが炭素原子であり、Rが存在せず、Rがフェニル基であり、Rがメチル基であり、R及びRがそれらが結合する炭素原子と一緒になって、フロピリジン環に縮合する式:
【化13】
Figure 0003564543
で表される環を形成するか;又は
が窒素原子であり、Xが炭素原子であり、Rが存在せず、Rがフェニル基であり、Rがメチル基であり、Rが3−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブテン−1−イル基であり、そしてRがヒドロキシ基である、式(I)で表される化合物である。
【0010】
本発明の具体的な化合物は、
2R,3R−2,3−ジヒドロ−2−[(E)−2−ブテン−2−イル]−4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−3−メチル−7−フェニルフロ[3,2−c]ピリジン又はその塩;
2R,4aR,9aS−4a,9a−ジヒドロ−5−ヒドロキシ−8−フェニル−2,3,4a−トリメチル−2H−ピラノ[2,3−b]フロ[3,2−c]ピリジン又はその塩;
1R,4bS−1,3,4a,4b−テトラヒドロ−9−ヒドロキシ−4b−メチル−8−フェニル−4−(E)−エチリデンピラノ[4,3−b]フロ[2,3−b]ピリジン又はその塩;
2,3−ジヒドロ−2−[(E)−2−ブテン−2−イル]−3,3−ジ−(ヒドロキシメチル)−4−ヒドロキシ−5−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン又はその塩;
2R,3S−2,3−ジヒドロ−2,4−ジヒドロキシ−3−[(E)−3−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブテニル]−7−フェニルフロ[3,2−c]ピリジン又はその塩;
2R,3R−2,3−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−2−[(E)−4−ヒドロキシ−2−ブテン−2−イル]−3−メチル−5−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボアルデヒド又はその塩;
2R,3S−2,3−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−2−[(E)−4−ヒドロキシ−2−ブテン−2−イル]−3−ヒドロキシメチル−3−メチル−5−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン又はその塩から選択した化合物である。
【0011】
前記医薬組成物中に含ませるのに最も好ましい具体的な化合物は、2R,3R−2,3−ジヒドロ−2−[(E)−2−ブテン−2−イル]−4−ヒドロキシ−3−メチル−5−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボアルデヒドである。この化合物(以下、化合物1と称する)は、以下の構造:
【化14】
Figure 0003564543
を有すると考えられる。
【0012】
本発明に用いる微生物としては、ニューヨークボタニカルガーデン(New York Botanical Garden;The Bronx,New York,ニューヨーク州,10458,米国)から購入したクラドボトリウム・バリウム(Cladobotryum varium)の菌株を挙げることができる。前記微生物は、ブダペスト条約に基づいて、1996年10月29日に、受託番号FERM BP−5732として、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(あて名:郵便番号305日本国茨城県つくば市東1丁目1−3)に寄託した。クラドボトリウム・バリウムの分類学的特徴は、「Gams K.W.and Hoozemans,A.C.M.,Persoonia 6,96−110,1970」に記載されている。
【0013】
本発明で用いる別の微生物は、カロネクトリア・デコラ(Calonectria decora;FERM BP−6124)、クンニンハメラ・エチヌラタ・バー・エレガンス(Cunninghamella echinulatavar. elegans;FERM BP−6126)、及びアメリカンタイプカルチャーコレクション(10801 University Blvd.Manassas,バージニア州,20110−2209,米国)から購入した未同定細菌(FERM BP−6125)である。これらは、ブダペスト条約に基づいて、1997年9月26日に、前記の受託番号で通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(あて名:郵便番号305日本国茨城県つくば市東1丁目1−3)に寄託した。
【0014】
本発明により、FERM BP−5732、又はそれらの突然変異若しくは組換え形態を好気的発酵すると、
が炭素原子であり、Xが窒素原子であり、Rがフェニル基であり、Rが存在せず、Rがメチル基であり、Rがホルミル基であり、そしてRが2−ブテン−2−イル基であるか;
が炭素原子であり、Xが窒素原子であり、Rがフェニル基であり、Rが存在せず、Rがメチル基であり、Rがヒドロキシメチル基であり、そしてRが2−ブテン−2−イル基であるか;
が炭素原子であり、Xが窒素原子であり、Rがフェニル基であり、Rが存在せず、Rがメチル基であり、R及びRが一緒になって、フロピリジン環に縮合する式:
【化15】
Figure 0003564543
で表される環を形成するか;
が炭素原子であり、Xが窒素原子であり、Rがフェニル基であり、Rが存在せず、R及びRがヒドロキシメチル基であり、そしてRが2−ブテン−2−イル基であるか;
が窒素原子であり、Xが炭素原子であり、Rが存在せず、Rがフェニル基であり、Rがメチル基であり、Rがヒドロキシメチル基であり、そしてRが2−ブテン−2−イル基であるか;
が窒素原子であり、Xが炭素原子であり、Rが存在せず、Rがフェニル基であり、Rがメチル基であり、R及びRがそれらが結合する炭素原子と一緒になって、フロピリジン環に縮合する式:
【化16】
Figure 0003564543
で表される環を形成するか;又は
が窒素原子であり、Xが炭素原子であり、Rが存在せず、Rがフェニル基であり、Rがメチル基であり、Rが3−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブテン−1−イル基であり、そしてRがヒドロキシ基である、式(I)で表されるフロピリジン化合物を産生することができる。
【0015】
また、FERM BP−5732菌株の好気的発酵により、
(1)分子式がC1919NOであり;
(2)メタノール中でのスペクトルの紫外光域の吸収極大が、206.0nm及び247.0nmにあり;
(3)メタノール中で濃度6%の場合の旋光度([α] 24)が+13.3゜であり;
(4)KBr中でペレット化した場合の赤外域の特性吸収が、3378、2963、1647、1614、1450、1427、1228、1042、823、774、及び694cm−1の波長で生じ;
(5)H NMRスペクトル(270MHz)の主要なピークが、δ7.52(m,2H),7.47(s,1H),7.31(m,2H),7.24(m,1H),5.36(brs,1H),3.13(brs,1H),2.78(q,J=7.3Hz,1H),1.67(s,3H),1.58(s,3H),1.18(d,J=7.3Hz,3H)であり;そして
(6)13C NMRスペクトル(270MHz)の主要なピークが、δ165.03(s),162.55(s),151.38(s),135.38(d),130.23(s),129.71(d×2),128.79(d×2),128.15(d),127.81(d),114.34(s),111.06(s),104.28(s),58.32(d),50.30(d),26.97(q),20.93(q),15.28(q)である;
特性を有する化合物も産生することができる。以下、この化合物を化合物2と称する。
【0016】
これらの化合物は、水性栄養培地中又は水性栄養培地中の固体支持体上で、15〜50℃、好ましくは25〜35℃の温度で、3〜30日間、好ましくは7〜20日間、FERM BP−5732を発酵させることによって生成することができる。培地のpHは、4.0〜9.0、好ましくは5.0〜7.0の範囲に調節することができる。前記プロピリジン化合物を生成するためのFERM BP−5732の培養は、通常、20〜35℃の温度で、7〜21日間で実施する。培地のpHは、4.0〜9.0、好ましくは5.0〜7.0の範囲に調節することができる。
【0017】
前記発酵に有用な栄養培地は、同化可能な炭素の供給源(例えば、糖、デンプン、及びグリセロール);及び有機窒素の供給源[例えば、カゼイン、カゼインの酵素消化物、大豆ミール(挽き割り粉)、綿実ミール、落花生ミール、小麦グルテン、大豆粉(フラワー)、肉抽出物、及びフィッシュミール]を含む。生長物質の供給源(例えば、無機塩、塩化ナトリウム、及び炭酸カルシウム);並びに微量元素(例えば、鉄、マグネシウム、銅、亜鉛、コバルト、及びマンガン)も利用することができ、有利な結果をもたらす。
表面培養用の不溶性材料の量は、10〜50%〔質量/体積(w/v)〕であることができる。発酵に有用な適当な不溶性材料としては、砂、砕石、木片、並びにまるごとの及び割れた穀類(例えば、そば粉、オートミール、砕けたトウモロコシ、及びキビなど)を挙げることができる。
【0018】
液内生長用の発酵器内における培地の通気は、1分間あたりの滅菌空気体積/培地体積を、3〜200%、好ましくは50〜150%に維持する。撹拌速度は、使用する撹拌機のタイプに依存する。発酵器は、通常300〜2,000rpmで運転するが、振とうフラスコは、通常150〜250rpmで運転する。当然であるが、生物の移植の間及びその生長の間を通じて、無菌状態を維持しなければならない。水性培地中の液内発酵の間に過剰の泡が発生する場合には、消泡剤(例えば、ポリプロピレングリコール又はシリコーン)を発酵培地に加えることができる。
【0019】
カロネクトリア・デコラ(FERM BP−6124)、クンニンハメラ・エチヌラタ・バー・エレガンス(FERM BP−6126)、及び未同定細菌(FERM BP−6125)の菌株は、化合物1(2R,3R−2,3−ジヒドロ−2−[(E)−2−ブテン−2−イル]−4−ヒドロキシ−3−メチル−5−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボアルデヒド)をバイオトランスフォームするのに用いることができる。これらの微生物は、1997年9月26日に、ブダペスト条約に基づいて、各微生物の名称の後ろに記載された受託番号で通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(あて名:郵便番号305日本国茨城県つくば市東1丁目1−3)に寄託した。
本発明には、例えば、カロネクトリア属及びクンニンハメラ属に属する別の菌株、並びに前記バイオトランスフォーメーションを行うことのできる別の微生物も用いることができる。前記菌株の突然変異形態又は組換え形態であって、化合物1をバイオトランスフォームする能力を有する突然変異形態又は組換え形態も用いることができる。前記の突然変異又は組換えは、自然突然変異、紫外線放射若しくは突然変異誘発物質(例えば、N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン又はエチル・メタンスルホネート)による人工突然変異、又は細胞技術方法(例えば、細胞融合)、又は遺伝子操作などによって、周知の方法で得ることができる。
【0020】
本発明により、バイオトランスフォーメーションによって生物活性化合物を生成するのに用いられる一般的な条件と同様の条件下で、FERM BP−6124、FERM BP−6125、FERM BP−6126、又はそれらの突然変異形態若しくは組換え形態をフロピリジン化合物1と一緒に好気的発酵することによって、化合物1のバイオトランスフォーメーションを実施することができる。
【0021】
すなわち、FERM BP−6124、FERM BP−6125、FERMBP−6126、又はそれらの突然変異形態若しくは組換え形態を、フロピリジン化合物1と一緒に、水性栄養培地中又は水性栄養培地中に懸濁した不溶性材料表面上で発酵させる。前記バイオトランスフォーメーションに有用な栄養培地及び発酵条件は、FERM BP−5732の発酵に対する前記のものと基本的に同じである。フロピリジン化合物1は、発酵の前に培地中に加えるか、あるいは、培養開始後好ましくは1〜2日目に、懸濁液又は溶液の形態で、発酵ブロスに加えることができる。フロピリジン化合物1の懸濁液又は溶液を作るには、培養基に用いられる任意の材料及び少量の有機溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド又はエタノール)を使用することができる。フロピリジン化合物1をバイオトランスフォームするためのFERM BP−6124、FERM BP−6125、又はFERM BP−6126の培養は、15〜50℃、好ましくは25〜35℃の温度で、3〜30日間、好ましくは7〜20日間実施する。培地のpHは、4.0〜9.0、好ましくは5.0〜7.0の範囲内に調節することができる。
【0022】
本発明のフロピリジン化合物は、標準的技術(例えば、抽出及び種々のクロマトグラフィー技術)によって単離することができる。実施例に記載のフロピリジン化合物は、実質的に純粋な形態で発酵混合物から単離し、そして種々の分光技術(例えば、UV分光光度法、NMR、及び質量分析法)によって同定した。その分析によると、FERM BP−5732の発酵によって調製されるフロピリジン化合物は、
2R,3R−2,3−ジヒドロ−2−[(E)−2−ブテン−2−イル]−4−ヒドロキシ−3−メチル−5−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボアルデヒド又はその塩;
2R,3S−2,3−ジヒドロ−2−[(E)−2−ブテン−2−イル]−4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−3−メチル−5−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン又はその塩;
2R,3R−2,3−ジヒドロ−2−[(E)−2−ブテン−2−イル]−4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−3−メチル−7−フェニルフロ[3,2−c]ピリジン又はその塩;
2R,4aR,9aS−4a,9a−ジヒドロ−5−ヒドロキシ−8−フェニル−2,3,4a−トリメチル−2H−ピラノ[2,3−b]フロ[3,2−c]ピリジン又はその塩;
1R,4bS−1,3,4a,4b−テトラヒドロ−9−ヒドロキシ−4b−メチル−8−フェニル−4−(E)エチリデンピラノ[4,3−b]フロ[2,3−b]ピリジン又はその塩;
2,3−ジヒドロ−2−[(E)−2−ブテン−2−イル]−3,3−ジ−(ヒドロキシメチル)−4−ヒドロキシ−5−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン又はその塩;及び
2R,3S−2,3−ジヒドロ−2,4−ジヒドロキシ−3−[(E)−3−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブテニル]−7−フェニルフロ[3,2−c]ピリジン又はその塩であると考えられる。
【0023】
2R,3S−2,3−ジヒドロ−2,4−ジヒドロキシ−3−[(E)−3−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブテニル]−7−フェニルフロ[3,2−c]ピリジンは、2種類のジアステレオマーからなる。以下、これらのジアステレオマーを、それぞれジアステレオマーA及びジアステレオマーBと称する。
【0024】
FERM BP−6124、FERM BP−6125、及びFERM BP−6126の培養から、化合物1とのインキュベーションによって3種類の化合物を産生することができる。FERM BP−6124、FERM BP−6125、及びFERM BP−6126の培養物から単離された化合物は、それぞれ
2R,3R−2,3−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−2−[(E)−4−ヒドロキシ−2−ブテン−2−イル]−3−メチル−5−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボアルデヒド;
2R,3S−2,3−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−2−[(E)−4−ヒドロキシ−2−ブテン−2−イル]−3−ヒドロキシメチル−3−メチル−5−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン;及び
2R,3R−2,3−ジヒドロ−2−[(E)−2−ブテン−2−イル]−4−ヒドロキシ−5−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルフロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボアルデヒドであると考えられる。
【0025】
FERM BP−5732の発酵により得られるブロス中に含まれている化合物2の構造は、分析に利用することのできる前記化合物の量が少量であったために、解明することができなかったが、前記で同定されている本発明のフロピリジン化合物(この構造は解明されている)に関連する新規化学式を有すると考えられる。
【0026】
【投与】
本発明のフロピリジン化合物は、種々の細菌〔例えば、スタフィロコッカス種、ストレプトコッカス種、及びエンテロコッカス種の多剤耐性株〕の感染によって発生する疾患、障害、及び悪化状態の治療に有用である。哺乳動物(特に、ヒト)における抗感染剤として用いる場合には、本発明のフロピリジン化合物を、標準的医薬慣行に従って、単独で、それらの薬剤学的に許容することのできる塩として、別の抗生物質と一緒に、又は医薬組成物中で不活性担体と一緒に、投与することができる。前記化合物は、非経口又は経口投与によって投与することができる。前記活性成分は、例えば、錠剤、ペレット、カプセル、座薬、溶液、乳液、懸濁液、及び使用に適した他の形態用の通常の無毒の薬剤学的に許容することのできる担体と調合することができる。使用することのできる担体は、水、グルコース、ラクトース、アラビアゴム、ゼラチン、マンニトール、デンプンペースト、三ケイ酸マグネシウム、タルク、コーンスターチ、ケラチン、コロイド状シリカ、ポテトデンプン、尿素、及び工業製造において使用するのに適した他の担体である。更に、必要により、補助剤、安定化剤、着色料、及び香料を用いることができる。一般的に、本発明のフロピリジン化合物は、5〜70質量%、好ましくは10〜50質量%の範囲の濃度レベルで前記投与形態中に提供される。
【0027】
本発明のフロピリジン化合物は、0.01〜100mg/kgの投与範囲で、抗感染剤として哺乳動物に使用することができる。具体的な症例において使用される投与量は、多くの要素(例えば、治療する疾患の状態、投与する個々の化合物の効力、具体的な患者の応答、及び投与経路)によって変化することになろう。しかしながら、種々の細菌の感染によって発生する疾患、障害、及び悪化状態を治療するために本発明のフロピリジン化合物の1種類をヒト患者において使用する場合には、経口又は非経口投与量は、通常、1日当たり1回〜4回で、0.5〜250mg、好ましくは5〜250mgの範囲内となろう。
【0028】
【抗細菌アッセイ】
抗細菌活性は、連続寒天希釈法によって評価することができる。この方法は、各フロピリジン化合物の最小阻止濃度(MIC)を、以下の通りに決定する。
【0029】
1.微生物
アッセイに用いた薬剤耐性菌株を、以下の表1にまとめた。同様の薬剤耐性特徴を有する別の菌株も使用することができる。前記菌株は、当業者に容易に入手することができる。
【0030】
【表1】
Figure 0003564543
【0031】
2.保存培養物の調製
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)01A1105、エンテロコッカス・ファエカリス(Enterococcus faecalis)03A1069、及び大腸菌(Esherichia coli)51A0266の各菌株を、トリプチカーゼ大豆ブロス(Trypticase Soy Broth;TSB,DIFCO)10mlを含む試験管中に接種し、37℃で200rpmで一晩振盪して生長させる。TSB及び50%水性グリセロールで希釈することによって、培養物の細胞密度を、600nm(光路=1cm)における光学密度が1.4であり、そして最終的なグリセロール濃度が20%であるように調節する。希釈した培養物を、瓶当たり1mlずつでクリオチューブ(cryotube)に分注し、そして使用まで−80℃で貯蔵する。
【0032】
TSB(10ml)及び溶解ウマ血液(0.5ml,Nippon Bio−Supply Center)を含む試験管中に化膿連鎖球菌(Storeptococcus pyogenes)02C1068菌株を接種し、そして37℃で24時間静置して生長させた。このインキュベーションの後に、細胞を遠心分離し、そして50%水性グリセロール(4ml)と脱繊維素ヒツジ血液(6ml,Nippon Bio−Supply Center)との混合物中に再懸濁した。得られた細胞懸濁液を、瓶当たり1mlずつでクリオチューブに分注し、そして使用まで−80℃で貯蔵した。
【0033】
3.アッセイプレートの調製
各貯蔵培養物(黄色ブドウ球菌及び大腸菌は200μl、並びにエンテロコッカス・ファエカリスは1ml)を、Mueller Hinton培地(DIFCO)100mlに加え、混合し、そしてアッセイプレート中に注ぐ。化膿連鎖球菌の貯蔵培養物(1ml)を、TSB(20ml)及び脱繊維素ウマ血液(1ml,Nippon Bio−Supply Center)を含む試験管中に接種し、そして37℃で24時間静置してインキュベートする。インキュベート培養物(5ml)及びヒツジ血液(5ml,Nippon Bio−Supply Center)をMueller Hinton培地(100ml)に加え、混合し、そしてアッセイプレート中に注いだ。
【0034】
4.抗細菌活性の検出
紙製円盤(内径=6mm,薄型,Advantec)にサンプル溶液を加え、そして乾燥する。前記円盤を前記アッセイプレート上に配置し、そして37℃で一晩インキュベートする。円盤周囲における生長阻害領域の大きさを計測することによって活性を決定する。対照として、バンコマイシン1μg及びテトラサイクリン1μgの円盤を使用する。
最小阻止濃度(MIC)の決定には、前記と同じインキュベーション条件で連続寒天希釈法を用いる。655nmにおける光学密度を計測することによって細菌の生長を監視する。
【0035】
【実施例】
以下の実施例によって本発明を説明するが、本発明は、これらの実施例における特定の細部事項に限定されるものではないと理解されたい。
【0036】
【実施例1】
《クラドボトリウム・バリウム(FERM BP−5732)の発酵によるフロピリジン化合物の製造》
〈クラドボトリウム・バリウム(FERM BP−5732)の発酵〉
(A)FERM BP−5732の斜面培養物から、500mlフラスコ2個中の培地−1(ポテトデキストロースブロス2.4%,イースト抽出物0.5%,及び寒天0.1%)100mlに、栄養細胞懸濁液を接種した。前記フラスコを回転式振盪機〔26℃,振幅=7cm,210rpm〕上で4日間振盪して、種培養物を得た。フラスコ2個中の前記種培養物を用いて、それぞれ5mlずつ、培地−2(グルコース1%,グリセロール6.6%,NZアミンタイプA0.5%,硫酸アンモニウム0.2%,脱脂大豆ミール0.5%,トマトペースト0.5%,クエン酸ナトリウム0.2%,及びpH7.0)100ml及びそば粉30gを含む500mlフラスコ30個に接種した。26℃で14〜21日間インキュベーションを実施した。
(B)FERM BP−5732の斜面培養物から、500mlフラスコ中の培地−1(ポテトデキストロースブロス2.4%,イースト抽出物0.5%,及び寒天0.1%)100mlに、栄養細胞懸濁液を接種した。前記フラスコを回転式振盪機(26℃,振幅=7cm,210rpm)上で4日間振盪して、第1の種培養物を得た。培地−1(150ml)を含む500mlフラスコに、前記の第1の種培養物5mlを接種した。そのフラスコを、回転式振盪機(26℃)上で3日間振盪して、第2の種培養物を得た。第2の種培養物を用いて、滅菌培地(培地−3:グリセロール8.5%,大豆ミール0.5%,トウモロコシ粉1.0%,及びコーン・スチープ・リカー粉0.25%,及びpH5.0)3リットルを含む6リットル発酵器に接種した。そのブロスを、1,700rpmで攪拌及び3リットル/分で通気しながら、26℃で12日間発酵した。
【0037】
〈抽出及び単離〉
発酵ブロス(3リットル)をエタノール(3リットル)で抽出し、そしてろ過した。ろ液を濃縮して500mlの水溶液とし、Diaion HP20(三菱化成)カラム上に与え、そして30%、50%、及び100%水性メタノール及びアセトンで溶離した。メタノール及びアセトンフラクションを混合し、蒸発乾固し、50%水性メタノールを用いて再形成し、次にODSカラム上に与え、そして70%水性メタノールで溶離した。その活性フラクション(3.1g)をSephadex LH−20カラム(160ml,メタノール)上に与えた。活性を示すフラクションをプールし、そして留去した材料(1.7g)を、HPLC〔YMC−パックODS AM SH−343−5AMカラム(20×250mm,商品名Yamamuraとして市販されている),メタノール−水(13:7)で流速10ml/分で40分間溶離〕における多重注入によって更に分離した。240nmにおける紫外線吸光度によって検出した。溶出ピークを収集して、以下の化合物を得た:
2R,3R−2,3−ジヒドロ−2−[(E)−2−ブテン−2−イル]−4−ヒドロキシ−3−メチル−5−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボアルデヒド(700mg);
2R,3S−2,3−ジヒドロ−2−[(E)−2−ブテン−2−イル]−4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−3−メチル−5−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン(8.4mg);
2R,3R−2,3−ジヒドロ−2−[(E)−2−ブテン−2−イル]−4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−3−メチル−7−フェニルフロ[3,2−c]ピリジン(18.3mg);
2R,4aR,9aS−4a,9a−ジヒドロ−5−ヒドロキシ−8−フェニル−2,3,4a−トリメチル−2H−ピラノ[2,3−b]フロ[3,2−c]ピリジン(2.8mg);
化合物2(10.2mg);
1R,4bS−1,3,4a,4b−テトラヒドロ−9−ヒドロキシ−4b−メチル−8−フェニル−4−(E)−エチリデンピラノ[4,3−b]フロ[2,3−b]ピリジン(16.2mg);及び
2,3−ジヒドロ−2−[(E)−2−ブテン−2−イル]−3,3−ジ−(ヒドロキシメチル)−4−ヒドロキシ−5−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン(3.3mg)。
【0038】
また、最後のHPLC精製をアセトニトリル−水(1:4)で実施すること以外は前記と殆ど同じ精製工程を用いて、前記液体発酵ブロス(3リットル)から、以下の2種類の化合物も単離された:
2R,3S−2,3−ジヒドロ−2,4−ジヒドロキシ−3−[(E)−3−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブテニル]−7−フェニルフロ[3,2−c]ピリジン(ジアステレオマーA,5.6mg),及び
2R,3S−2,3−ジヒドロ−2,4−ジヒドロキシ−3−[(E)−3−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブテニル]−7−フェニルフロ[3,2−c]ピリジンのジアステレオマー(ジアステレオマーB,7.3mg)。
【0039】
〈HPLC分析〉
前記フロピリジン化合物を含むサンプルの分析HPLCを、YMCパックODS−AM AM−310−3カラム(6.0×50mm,商品名Yamamuraとして市販されている)を用いて、アセトニトリル−水勾配系〔最初の2分間=10:90(体積/体積;v/v)から35:65,続く7.5分間=35:65から60:40,最後の3分間=60:40から100:0〕で流速0.9ml/分で溶離することによって実施した。抽出されたフロピリジン化合物の保持時間は以下の通りであった:
2R,3R−2,3−ジヒドロ−2−[(E)−2−ブテン−2−イル]−4−ヒドロキシ−3−メチル−5−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボアルデヒド(6.4分);
2R,3S−2,3−ジヒドロ−2−[(E)−2−ブテン−2−イル]−4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−3−メチル−5−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン(7.9分);
2R,3R−2,3−ジヒドロ−2−[(E)−2−ブテン−2−イル]−4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−3−メチル−7−フェニルフロ[3,2−c]ピリジン(7.6分);
2R,4aR,9aS−4a,9a−ジヒドロ−5−ヒドロキシ−8−フェニル−2,3,4a−トリメチル−2H−ピラノ[2,3−b]フロ[3,2−c]ピリジン(8.2分);
化合物2(9.0分);
1R,4bS−1,3,4a,4b−テトラヒドロ−9−ヒドロキシ−4b−メチル−8−フェニル−4−(E)−エチリデンピラノ[4,3−b]フロ[2,3−b]ピリジン(5.1分);
2,3−ジヒドロ−2−[(E)−2−ブテン−2−イル]−3,3−ジ−(ヒドロキシメチル)−4−ヒドロキシ−5−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン(5.8分);
2R,3S−2,3−ジヒドロ−2,4−ジヒドロキシ−3−[(E)−3−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブテニル]−7−フェニルフロ[3,2−c]ピリジン(ジアステレオマーA)(4.4分);及び
2R,3S−2,3−ジヒドロ−2,4−ジヒドロキシ−3−[(E)−3−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブテニル]−7−フェニルフロ[3,2−c]ピリジン(ジアステレオマーB)(4.4分)。
【0040】
〈発酵培地から単離された化合物の特性〉
前記の抽出及び単離の欄に記載した化合物を、物理化学的データに関して特徴付けした。本発明のフロピリジン化合物に対するスペクトル及び物理化学的データは、以下の装置によって得た:融点(無修正),ヤナコ(Yanako)マイクロ融点計測機;IR,シマズIR−470;UV,JASCO Ubest−30;旋光度,JASCO DIP−370(5cmセルを使用);NMR,JEOL JNM−GX270(LSI−11/73ホストコンピューター,TH−5同調可能プローブ,及びバージョン1.6ソフトウェアを装備);及びFAB−MS,JEOL JMS−700。バイオトランスフォーム生成物に対するスペクトルデータは、以下の装置によって得た:UV,シマズUV160U分光光度計;NMR,Varian Unity Plus 400MHz;及びFAB−MS,VG Analytical ZAB 2SE高フィールド質量分析計。特に断らない限り、全てのNMRスペクトルは、アセトン−d中で測定し、そしてピークの位置は、H NMRに関して2.0ppm(parts per million)、及び13C NMRに関して30.3ppmにおけるアセトンピークを参照してppmで表す。ピークの形状は、以下のように示す:s=一重線;d=二重線;t=三重線;q=四重線;m=多重線;及びbr=幅広(broad)。全てのFAB−MSスペクトルは、グリセロール−マトリクスを用いて計測した。前記化合物の物理化学的特性及びスペクトルデータは、以下の通りである。
【0041】
《2R,3R−2,3−ジヒドロ−2−[(E)−2−ブテン−2−イル]−4−ヒドロキシ−3−メチル−5−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボアルデヒド》
無色針状結晶;融点:198〜l99℃;分子式:C1919NO
LRFAB−MS m/z 310[M+H]
HRFAB−MS m/z 310.1429(C1920NOに対する理論値,310.1444);
[a] 24+21.2°(c0.52,MeOH);
UVλmax(MeOH)nm(ε):209.0(24,000),234.0(19,000);
IRνmax(KBr)cm−1:3025,1724,1645,1593,1440,1413,1374,1289,1201,1063,1049,1013,792,696;
H NMR δ9.57(s,1H),7.74(s,1H),7.43(m,2H),7.39(m,2H),7.36(m,1H),5.78(q,J=6.6Hz,1H),4.96(s,1H),1.61(d,J=6.6Hz,3H),1.60(s,3H),1.53(s,3H);
13C NMR δ201.15(d),131.81(s),130.79(d×2),129.92(d×2),128.77(d),125.50(d),107.84(s),59.17(s),20.68(q),13.53(q),13.52(q)
【0042】
《2R,3S−2,3−ジヒドロ−2−[(E)−2−ブテン−2−イル]−4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−3−メチル−5−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン》
無色針状結晶;融点:207〜208℃;分子式:C1921NO
LRFAB−MS m/z 312[M+H]
HRFAB−MS m/z 312.1595(C1922NOに対する理論値,312.1601);
[α] 24+52.3°(c0.09,MeOH);
UVλmax(MeOH)nm(ε):208.5(24,000),233.0(19,000);
IRνmax(KBr)cm−1:3035,1594,1431,1297,1235,1193,1070,1050,945,791,698;
H NMR δ7.78(s,1H),7.49(m,2H),7.33(m,2H),7.23(m,1H),5.59(q,J=6.8Hz,1H),4.80(s,1H),3.75(d,J=10.3Hz,1H),3.69(d,J=10.3Hz,1H),1.58(d,J=6.8Hz,3H),1.50(s,3H),1.47(s,3H);
13C NMR δ137.31(s),133.71(s),130.57(d×2),129.29(d×2),127.95(d),125.29(d),111.78(s),95.31(d),67.22(t),50.44(s),25.74(q),13.53(q),13.38(q)
【0043】
《2R,3R−2,3−ジヒドロ−2−[(E)−2−ブテン−2−イル]−4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−3−メチル−7−フェニルフロ[3,2−c]ピリジン》
無色粉末;分子式:C1921NO
LRFAB−MS m/z 312[M+H]
HRFAB−MS m/z 312.1598(C1922NOに対する理論値,312.1601);
[α] 24+15.4°(c0.26,MeOH);
UVλmax(MeOH)nm(ε):206.5(22,000),246.0(21,000);
IRνmax(KBr)cm−1:3395,2975,1647,1611,1444,1213,1055,782,694;
H NMR δ7.59(s,1H),7.57(m,2H),7.35(m,2H),7.27(m,1H),5.59(q,J=7.0Hz,1H),5.27(brs,1H),4.90(s,1H),3.66(s,2H),1.67(s,3H),1.65(d,J=7.0Hz,3H),1.17(s,3H);
13C NMR δ166.80(s),163.27(s),135.81(d),134.75(s),133.10(s),129.84(d×2),128.91(d×2),128.50(d),124.29(d),117.05(s),111.62(s),95.15(d),70.05(t),52.04(s),17.54(q),14.39(q),13.61(q)
【0044】
《2R,4aR,9aS−4a,9a−ジヒドロ−5−ヒドロキシ−8−フェニル−2,3,4a−トリメチル−2H−ピラノ[2,3−b]フロ[3,2−c]ピリジン》
無色針状結晶;融点:243〜244℃;分子式:C1919NO
LRFAB−MS m/z 310[M+H]
HRFAB−MS m/z 310.1456(C1920NOに対する理論値,310.1444);
[α] 24−22.7°(c0.33,MeOH);
UVλmax(MeOH)(ε)nm:207.0(28,000),247.0(27,000);
IRνmax(KBr)cm−1:3435,2940,1659,1617,1428,1215,1157,911,838,781,693;
H NMR δ10.57(brs,1H),7.55(m,2H),7.48(s,1H),7.35(m,2H),7.25(m,1H),5.90(s,1H),5.71(s,1H),4.35(q,J=7.6Hz,1H),1.62(s,3H),1.50(s,3H),1.25(d,J=7.6Hz,3H);
13C NMR δ164.61(s),161.28(s),135.87(d),135.61(s),134.80(s),129.79(d×2),128.84(d×2),128.31(d),124.67(d),116.80(s),112.79(d),110.50(s),68.14(d),43.00(s),23.68(q),19.89(q),19.50(q)
【0045】
《1R,4bS−1,3,4a,4b−テトラヒドロ−9−ヒドロキシ−4b−メチル−8−フェニル−4−(E)−エチリデンピラノ[4,3−b]フロ[2,3−b]ピリジン》
無色針状結晶;融点:234〜235℃;分子式:C1919NO
LRFAB−MS m/z 326[M+H]
HRFAB−MS m/z 326.1398(C1920NOに対する理論値,326.1393);
[α] 24+205.0°(c0.12,MeOH);
UVλmax(MeOH)nm(ε):208.5(28,000),235.0(25,000);
IRνmax(KBr)cm−1:3055,1645,1597,1441,1414,1376,1198,1078,947,794,697;
H NMR δ7.66(s,1H),7.51(m,2H),7.31(m,2H),7.24(m,1H),5.86(q,J=7.0Hz,1H),4.81(s,1H),4.75(s,1H),4.44(s,2H),1.61(d,J=7.0Hz,3H),1.41(s,3H);
13C NMR δ144.23(d),137.34(s),132.24(s),130.47(d×2),129.19(d×2),127.94(d),124.54(d),100.39(d),92.29(d),64.11(t),53.21(s),22.25(q),13.53(q)
【0046】
《2,3−ジヒドロ−2−[(E)−2−ブテン−2−イル]−3,3−ジ−(ヒドロキシメチル)−4−ヒドロキシ−5−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン》
無色針状結晶;融点:214〜216℃;分子式:C1921NO
LRFAB−MS m/z 328[M+H]
HRFAB−MS m/z 328.1534(C1922NOに対する理論値,328.1549);
[α] 24+40.0°(c0.02,MeOH);
UVλmax(MeOH)nm(ε):207.5(15,000),234.5(13,000);
IRνmax(KBr)cm−1:3073,1643,1597,1436,1379,1156,1070,944,796,697;
H NMR δ7.73(s,1H),7.49(d,J=7.0Hz,2H),7.31(t,J=7.0Hz,2H),7.23(t,J=7.0Hz,1H),5.54(q,J=7.0Hz,1H),5.05(s,1H),3.98(d,J=7.3Hz,1H),3.94(d,J=7.3Hz,1H),3.59(d,J=7.3Hz,1H),3.51(d,J=7.3Hz,1H),1.58(d,J=7.0Hz,3H),1.53(s,3H);
13C NMR δ162.61(s),148.90(d),137.80(s),133.93(s),130.54(d×2),129.20(d×2),127.72(d),124.38(d),90.15(d),63.94(t),61.98(t),56.30(s),13.61(q),13.51(q)
【0047】
《2R,3S−2,3−ジヒドロ−2,4−ジヒドロキシ−3−[(E)−3−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブテニル]−7−フェニルフロ[3,2−c]ピリジン(ジアステレオマーA)》
無色粉末;分子式:C1921NO
LRFAB−MS m/z 328[M+H]
HRFAB−MS m/z 328.1559(C1922NOに対する理論値,328.1550);
[α] 24−7.40°(c0.11,MeOH);
UVλmax(MeOH)nm(ε):206.5(23,000),245.0(23,000);
IRνmax(KBr)cm−1:3375,1648,1614,1428,1311,1154;
H NMR δ7.55(m,2H),7.51(s,1H),7.33(m,2H),7.24(m,1H),5.98(s,1H),5.77(s,1H),4.08(q,J=6.8Hz,1H),1.62(s,3H),1.50(s,3H),1.12(d,J=6.8Hz,3H);
13C NMR δ164.29(s),161.69(s),143.27(s),135.61(d),135.16(s),129.72(d×2),128.90(d×3),128.27(d),117.25(s),111.23(d),110.80(s),74.19(d),49.78(s),22.86(q),22.86(q),12.98(q)
【0048】
《2R,3S−2,3−ジヒドロ−2,4−ジヒドロキシ−3−[(E)−3−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブテニル]−7−フェニルフロ[3,2−c]ピリジン(ジアステレオマーB)》
無色粉末;分子式:C1921NO
LRFAB−MS m/z 328[M+H]
HRFAB−MS m/z 128.1570(C1922NOに対する理論値,328.1550);
[α] 24+2.17°(c0.14,MeOH);
UVλmax(MeOH)nm(ε):207.0(22,000),245.5(22,000);
IRνmax(KBr)cm−1:3384,1649,1609,1427,1152,1047,874,694;
H NMR δ7.55(m,2H),7.54(s,1H),7.33(m,2H),7.24(m,1H),5.99(s,1H),5.74(s,1H),4.08(q,J=6.8Hz,1H),1.62(s,3H),1.49(s,3H),1.12(d,J=6.8Hz,3H);
13C NMR δ164.42(s),161.83(s),143.31(s),135.68(d),135.15(s),129.72(d×2),128.91(d×3),128.28(d),117.40(s),111.48(d),110.92(s),74.26(d),49.70(s),22.81(q),22.81(q),12.94(q)
【0049】
《化合物2》
無色粉末;分子式:C1919NO
LRFAB−MS m/z 292[M−H]
HRFAB−MS m/z 292.1319(C1918NOに対する理論値,292.1338);
[α] 24+13.3°(c0.06,MeOH);
UVλmax(MeOH)nm(ε):206.0(21,000),247.0(22,000);
IRνmax(KBr)cm−1:3378,2963,1647,1614,1450,1427,1228,1042,823,774,694;
H NMR δ7.52(m,2H),7.47(s,1H),7.31(m,2H),7.24(m,1H),5.36(brs,1H),3.13(brs,1H),2.78(q,J=7.3Hz,1H),1.67(s,3H),1.58(s,3H),1.18(d,J=7.3Hz,3H);
13C NMR δ165.03(s),162.55(s),151.38(s),135.38(d),130.23(s),129.71(d×2),128.79(d×2),128.15(d),127.81(d),114.34(s),111.06(s),104.28(s),58.32(d),50.30(d),26.97(q),20.93(q),15.28(q)
【0050】
【実施例2】
《化合物1(2R,3R−2,3−ジヒドロ−2−[(E)−2−ブテン−2−イル]−4−ヒドロキシ−3−メチル−5−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボアルデヒド)のバイオトランスフォーメーション》
〈微生物〉
カロネクトリア・デコラ(FERM BP−6124)、クンニンハメラ・エチヌラタ・バー・エレガンス(FERM BP−6126)、及び未同定細菌(FERM BP−6125)の培養物を、−80℃で冷凍した13.3%グリセロール中の栄養菌糸(FERM BP−6125)又は胞子懸濁液(FERM BP−6124及びFERM BP−6126)として維持した。
【0051】
〈バイオトランスフォーメーション条件〉
バイオトランスフォーメーションスクリーニング実験を、R.V.Smith及びJ.P.Rosazza(J.Pharm.Sci.,64,1737−1759,1975)によって記載された培地〔脱イオン水(1リットル)中に、グルコース(20g)、NaCl(5g)、KHPO(5g)、イースト抽出物(5g)、及びダイズ粉(5g)を含む〕中で実施した。この混合物のpHを7.0に調節し、そして121℃で20分間オートクレーブ(高圧滅菌)した。冷凍グリセロール保存物0.05mlを接種した培地2.5mlを含む16×125mm試験管中でスクリーニングを実施した。接種の1日後に、ジメチルスルホキシド(DMSO)中の2R,3R−2,3−ジヒドロ−2−[(E)−2−ブテン−2−イル]−4−ヒドロキシ−3−メチル−5−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボアルデヒド(5mg/ml)の溶液0.05mlを、最終ブロス濃度0.1mg/mlとなるように加えた。振盪(220rpm)しながら28℃で1〜6日間インキュベートした。
【0052】
バイオコンバージョン生成物を単離するために、FERM BP−6124及びFERM BP−6126培養物を増やして、エーレンマイヤーフラスコ(125ml)又はフェルンバッハフラスコ(2800ml)に移した。エーレンマイヤーフラスコには、前記培地25mlを含有させ、フェルンバッハフラスコには前記培地250mlを含有させた。同じ培地で2〜3日間生長した段階の10%予備形成接種物を、それぞれに接種した。FERM BP−6125の培養に、前記接種物と、「T.S.Chenら,J.Antibiotics,45,577−580,1992」に記載のバイオトランスフォーメーション培地とを、同じ割合で使用した。接種の1日後に、2R,3R−2,3−ジヒドロ−2−[(E)−2−ブテン−2−イル]−4−ヒドロキシ−3−メチル−5−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボアルデヒドを、最終濃度0.1mg/mlとなるように培地に加え、そして3日間インキュベーションを続けた。
【0053】
〈アッセイ〉
2R,3R−2,3−ジヒドロ−2−[(E)−2−ブテン−2−イル]−4−ヒドロキシ−3−メチル−5−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボアルデヒド及びそのバイオトランスフォーメーション生成物を、コントローラー(600)、オートサンプラー(717)、及びフォトダイオード配列検出器(996)を含むWaters Millennium系上のHPLCによって検出した。ブロスサンプル(2.5ml)を、必要によりpH6に調節し、次に酢酸エチル(同体積量)で抽出した。有機層を除去し、そして窒素を用いて蒸発乾固し、その後、その固形物をメタノール1ml中で再形成した。サンプル(20μl)を、5μ・Inertsil C8カラム(4.6×250mm)上に流し込み、そして20mM−KHPO(pH6):アセトニトリル(67:33)で、流速1ml/分で、実施時間30分間で溶離した。溶出物は、233nmにおけるUV吸光度によって監視した。
【0054】
〈バイオトランスフォーメーション生成物の単離〉
酢酸エチル(同体積量)で、バイオコンバージョン発酵物からブロス(合計体積:1.6リットル〜4.2リットル)を3回抽出した。HPLCによって分析したところ、前記ブロス中には生成物が、有意量で残存していなかった。減圧下における回転蒸発によって前記抽出物を乾固し、そして乾燥した抽出物をヘキサン10mlで洗浄した。ヘキサンフラクションをデカントし、アリコートを乾燥し、そしてHPLC分析用にメタノール中で再形成した。ヘキサンフラクション中に、所望の生成物は有意な量で検出されなかった。得られた乾燥抽出ペレットをDMSO(1.0ml)中に溶解した。アセトニトリル及び水の階段状勾配による10g・YMC−XQSFAQ100固相抽出カートリッジからの溶離によって、この材料の部分精製を実施した。所望の材料を含むフラクションは、最初に溶媒をストリップし、次に酢酸エチルで3回再度抽出し、そして以下の変形〔20×250mm半調製5μ・Inertsil C8カラム及び50×20mm10μC8 Inertsilガードカラム、並びに20mM−KHPO(pH6):アセトニトリル(比率=78:22)の修正移動相〕を加えた前記の系を用いるHPLCによって更に精製した。所望のピークに相当するフラクションをプールし、溶媒をストリップし、酢酸エチルで抽出し、そして乾燥して、最終生成物を得た。FERM BP−6124培養物4.2リットルから、2R,3R−2,3−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−2−[(E)−4−ヒドロキシ−2−ブテン−2−イル]−3−メチル−5−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボアルデヒド(77.2mg)を単離した。FERM BP−6126培養物3.2リットルから、2R,3R−2,3−ジヒドロ−2−[(E)−2−ブテン−2−イル]−4−ヒドロキシ−5−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルフロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボアルデヒド(8.1mg)を単離し、そしてFERM BP−6125培養物1.6リットルから、2R,3S−2,3−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−2−[(E)−4−ヒドロキシ−2−ブテン−2−イル]−3−ヒドロキシメチル−3−メチル−5−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン(35.4mg)を単離した。
【0055】
〈バイオトランスフォーム化合物の特徴〉
前記バイオトランスフォーム化合物に対するスペクトル及び物理化学的データは、前記の通りに得た。これらの化合物の物理化学的特性及びスペクトルデータは、以下の通りである。
2R,3R−2,3−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−2−[(E)−4−ヒドロキシ−2−ブテン−2−イル]−3−メチル−5−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボアルデヒド:
無色粉末;分子式:C1919NO
LRFAB−MS m/z 326[M+H]
HRFAB−MS m/z 326.1376(C1920NOに対する理論値,326.1392);
UVλmax(EtOH)nm(ε):208.0(33,400),233.0(24,200);
H NMR δ9.55(s,1H),7.62(s,1H),7.50(d,J=7.5Hz,2H),7.32(t,J=7.5Hz,2H),7.22(t,J=7.5Hz,1H),5.86(t,J=6Hz,1H),4.88(s,1H),4.14(d,J=6Hz,2H),1.61(s,3H),1.57(s,3H);
2R,3R−2,3−ジヒドロ−2−[(E)−2−ブテン−2−イル]−4−ヒドロキシ−5−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルフロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボアルデヒド:
無色粉末;分子式:C1919NO
LRFAB−MS m/z 326[M+H]
HRFAB−MS m/z 326.1380(C1920NOに対する理論値,326.1392);
UVλmax(EtOH)nm(ε):211.0(17,200),245.0(11,800);
H NMR δ9.57(s,1H),7.65(s,1H),7.27(d,J=8.5Hz,2H),6.83(t,J=8.5Hz,2H),5.77(q,J=6.6Hz,1H),4.90(s,1H),1.62(d,J=6.6Hz,3H),1.59(s,3H),1.55(s,3H);
2R,3S−2,3−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−2−[(E)−4−ヒドロキシ−2−ブテン−2−イル]−3−ヒドロキシメチル−3−メチル−5−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン:
無色粉末;分子式:C1921NO
LRFAB−MS m/z 328[M+H]
HRFAB−MS m/z 328.1534(C1922NOに対する理論値,328.1549);
UVλmax(EtOH)nm(ε):211.0(52,000),234.0(45,300);
H NMR δ7.82(s,1H),7.53(d,J=7.5Hz,2H),7.38(t,J=7.5Hz,2H),7.28(t,J=7.5Hz,1H),5.72(t,J=6Hz,1H),4.86(s,1H),4.14(d,J=6Hz,2H),3.80(s,2H),1.58(s,3H),1.53(s,3H)
【0056】
実施例で調製した化合物の化学構造を、以下の表2にまとめた。
【化17】
Figure 0003564543
【0057】
【表2】
Figure 0003564543
【0058】
前記表2において、Ph.はフェニル基であり、(a)は2−ブテン−2−イル基であり、(b)はヒドロキシメチル基であり、(c)は式:
【化18】
Figure 0003564543
で表される基であり、(d)は式:
【化19】
Figure 0003564543
で表される基であり、(e)は3−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブテン−1−イル基であり、(f)はp−ヒドロキシフェニル基であり、そして(g)は4−ヒドロキシ−2−ブテン−2−イル基である。
【0059】
《アッセイ》
実施例1で調製した化合物(2R,3R−2,3−ジヒドロ−2−[(E)−2−ブテン−2−イル]−4−ヒドロキシ−3−メチル−5−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボアルデヒド)を、前記のアッセイ法に従って試験した。アッセイの結果を以下の表3にまとめた。
【0060】
【表3】
Figure 0003564543
【0061】
前記表3に示されているように、実施例1の化合物(2R,3R−2,3−ジヒドロ−2−[(E)−2−ブテン−2−イル]−4−ヒドロキシ−3−メチル−5−フェニルフロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボアルデヒド)は、種々の細菌に対して顕著な抗細菌活性を有する。

Claims (1)

  1. (1)分子式がC1919NOであり;
    (2)メタノール中でのスペクトルの紫外光域の吸収極大が、206.0nm及び247.0nmにあり;
    (3)メタノール中で濃度6%の場合の旋光度([α] 24)が+13.3゜であり;
    (4)KBr中でペレット化した場合の赤外域の特性吸収が、3378、2963、1647、1614、1450、1427、1228、1042、823、774、及び694cm−1の波長で生じ;
    (5)H NMRスペクトル(270MHz)の主要なピークが、δ7.52(m,2H),7.47(s,1H),7.31(m,2H),7.24(m,1H),5.36(brs,1H),3.13(brs,1H),2.78(q,J=7.3Hz,1H),1.67(s,3H),1.58(s,3H),1.18(d,J=7.3Hz,3H)であり;そして
    (6)13C NMRスペクトル(270MHz)の主要なピークが、δ165.03(s),162.55(s),151.38(s),135.38(d),130.23(s),129.71(d×2),128.79(d×2),128.15(d),127.81(d),114.34(s),111.06(s),104.28(s),58.32(d),50.30(d),26.97(q),20.93(q),15.28(q)である;
    特性を有する化合物、又は薬剤学的に許容することのできるその塩。
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