JP3564003B2 - 高度道路交通システム対応道路のレーンマーカーの施工方法 - Google Patents

高度道路交通システム対応道路のレーンマーカーの施工方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高度道路交通システム(ITS)〔Intelligent Transport Systems〕対応道路のレーンマーカーの施工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高度道路交通システム(ITS)は、最先端の情報通信技術を活用し、人、道路、車両を一体のシステムとして構築するもので、道路環境を飛躍的に向上させることを目的としている。
【0003】
走行支援道路システム(AHS)〔Advanced Cruise-assist System〕は高度道路交通システム(ITS)の開発分野の1つで、車両と道路を通信させることにより運転の支援、自動化を実現させるものである。
【0004】
この走行支援道路システム(AHS)には種々の走行方式が開発されているが、基本的にはレーンマーカーを道路に設け、このレーンマーカーにより車両と道路が相互通信され、その位置を検知する。そして、レーンマーカーには一般的には磁気ネイルが使用され、自動車を車線中央に配したレーンマーカーに沿って走行するように制御する磁気誘導システムとして実現される。
【0005】
車両側には車体の底面に磁気センサを設置し、路面側には車線中央に沿って磁気信号を出す磁気ネイル(マーカー)を設置し、車両の進行方向に対して左右方向への変位を、磁気ネイル(マーカー)からの磁束の垂直成分を磁気信号として計ることにより、原点での磁気信号と各左右方向変位での磁気信号の差△を検出し、その大きさで変位を計り、その変位に応じて原点すなわち車線中央へ自動車をよせるように制御する。
【0006】
この磁気ネイルは、円柱をしており、道路面より一個ずつコア抜きした孔に埋め込んでいた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように路面に孔を開けて埋め込む場合は、舗装完成後に道路面を1〜2m毎にコア抜きすることになり、施工能率が悪く、コスト高となる。また、施工精度の管理が困難であり、長距離の施工として不適で、しかも、メンテナンスに手間がかかる。さらに、施工時における振動や熱等が直接磁気ネイルに伝わるおそれもある。
【0008】
これに対して特開平10-280344 号公報では、磁気マーカーとしてプラスチック磁石による偏平磁石を使用し、これを釘打ちまたは接着により特別な道路工事無しで路面に固着することを提案しているが、該磁気マーカーは路面から突出するものとなり、耐防水、耐磨耗性が問題で、誤って自動車に踏まれた場合に衝撃で路面から離脱するおそれもある。
【0009】
本発明は前記従来例の不都合を解消し、レーンマーカーとなる磁気ネイルを路面に突出または突出せずに埋め込む場合において、施工速度が早く、施工精度の管理も簡単で、安価に実現でき、長距離の施工として最適な高度道路交通システム対応道路のレーンマーカーの施工方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するため、第1に、合成樹脂製、ゴム製、その他の繊維製または紙製の帯状シートに磁気ネイルを適宜間隔で配設し、路面を溝状に切削し、その中にこの帯状シートを敷設すること、および、帯状シートの上にグースアスファルト等の保護性のある材質による保護材を充填すること、第2に、合成樹脂製、ゴム製、その他の繊維製または紙製の帯状シートに磁気ネイルを適宜間隔で配設し、路面の舗装前にこの帯状シートを敷設し、その後、舗装を施すことを要旨とするものである。
【0011】
第3に、路面を切削して、この切削個所に磁気ネイル挿入用のカップラーが適宜間隔で埋設埋設され、かつ、端部に嵌合用継ぎ手を形成したプレキャスト材を連続性を確保して配設し、カップラー内に磁気ネイルを装填すること、第4に、磁気ネイル挿入用のカップラー適宜間隔で埋設され、かつ、端部に嵌合用継ぎ手を形成したプレキャスト材を路面の舗装前に連続性を確保して配設し、カップラー内に磁気ネイルを装填すること、および、プレキャスト材の上部に舗装を施すことを要旨とするものである。
【0012】
請求項1記載の本発明によれば、既設道路にレーンマーカーを施工する場合で、既設道路の切削は従来のコア抜きのような点ではなく、線上で切削するので連続作業ですみ、施工延長が長距離の場合でも迅速に施工できる。
【0013】
また、合成樹脂製、ゴム製、その他の繊維製または紙製の帯状シートの敷設によるので、道路の曲線部や起伏部にも簡単に対応でき、施工性に優れる。
【0014】
請求項2記載の本発明によれば、前記作用に加えて、帯状シートの上にグースアスファルト等の保護性のある材質による保護材を充填することで、シートの保護および道路面高の調整を行うことが簡単にできる。
【0015】
請求項3記載の本発明によれば、新設道路にレーンマーカーを施工する場合で、帯状シートの敷設によるので、 線上で切削するので連続作業ですみ、施工延長が長距離の場合でも迅速に施工でき、また、道路の曲線部や起伏部にも簡単に対応でき、施工性に優れる。
【0016】
請求項4記載の本発明によれば、既設道路にレーンマーカーを施工する場合で、磁気ネイル挿入用のカップラーが適宜間隔で埋設され、かつ、端部に嵌合用継ぎ手を形成したプレキャスト材を路面に連続性を確保して配設し、カップラー内に磁気ネイルを装填するだけでよいので、コア抜きをする必要がないため、高速施工が可能であり、前記請求項1や請求項3と同様に連続作業ですみ、施工延長が長距離の場合でも迅速に施工できる。
【0017】
請求項5記載の本発明によれば、新設道路にレーンマーカーを施工する場合で、前記請求項4記載の本発明と同様であるが、さらに、カップラー付きの磁気ネイルの使用となり、道路舗装時における熱、振動、転圧負荷等の影響を磁気ネイルは受けないですむ。さらに、磁気ネイルは簡単に取り外しが可能なので、メンテナンス性が向上する。
【0018】
請求項6記載の本発明によれば、前記作用に加えて、プレキャスト材の上部に舗装を施すことで、プレキャスト材が路面に大きく露出しないですむ。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の高度道路交通システム対応道路のレーンマーカーの施工方法第1実施形態を示す一部切欠いた斜視図で、図中1は道路の路面を示す。かかる路面1の舗装としてはアスファルトでも、コンクリートでもよい。
【0020】
先に本発明で使用する磁気ネイル2について説明すると、図2に示すように偏平磁石として形成したものを、ポリエチレン製またはポリプロピレン製もしくは塩化ビニル製等の合成樹脂製の帯状シート3に適宜間隔で配設する。配設方法は接着、溶着、挟み込み等いずれを問わない。
【0021】
また、このように磁気ネイル2を配設した合成樹脂製の帯状シート3はこれを巻いてロール物としておく。帯状シート3は合成樹脂以外のゴム製、その他の繊維製または紙製のものでもよい。
【0022】
既設道路の舗装面に設置する場合、図3にも示すように前記路面1を路面切削機(カッター)で溝状に切削し、舗装面を切り取り、溝部4を連続的に形成する。
【0023】
この溝部4内に前記合成樹脂製の帯状シート3を敷設し、それにより磁気ネイル2を適宜間隔で敷設および固定する。
【0024】
これで十分な場合もあるが、必要に応じて、合成樹脂製の帯状シート3の上にグースアスファルト等の保護性のある材質による保護材5を充填した。
【0025】
このような保護材5を配設することで、磁気ネイル2を含めた合成樹脂製の帯状シート3の保護および道路面高の調整を行うことが簡単にできる。
【0026】
他の実施形態として、新設道路の舗装面に設置する場合は、同様に、合成樹脂製の帯状シート3を路面の舗装前に敷設し、その後、舗装を施すようにすればよい。
【0027】
図4は本発明の第3実施形態を示すもので、プレキャスト材として、細長板形状のプレキャストコンクリート材6を路面1に連続的に配設する。なお、プレキャストコンクリート材6は図7に示すように端部の凹凸の嵌合用継ぎ手6a,6bを形成し、連続性を確保するようにしてもよい。
【0028】
図5、図6に示すように、磁気ネイル2は鋼製または合成樹脂製のカップラー7を有し、このカップラー7に挿入可能である。図6の場合はカップラー7は下端を円錐状に尖らせた。
【0029】
前記プレキャストコンクリート材6には磁気ネイル2を除いたカップラー7のみを適宜間隔で埋設しておく。
【0030】
既設道路に設置する場合は、路面を切削して、この切削個所に前記磁気ネイル挿入用のカップラー7を適宜間隔で埋設したプレキャストコンクリート材6を路面1へ配設し、配設後、カップラー7内に磁気ネイル2を装填する。
【0031】
このプレキャストコンクリート材6はそのまま道路面を構成するものとして利用する場合と、その上をアルファルト系の材質により再舗装する場合のどちらにも適用可能であり、既設道路で再舗装を行わない場合は、前記第1実施形態のように、路面切削機により路面1を溝状に切削して舗装面を切り取り、このように形成した溝部4にこのプレキャストコンクリート材6を配設する。
【0032】
また、プレキャストコンクリート材6を路面になるべく見えないようにするには、図8に示すように、断面逆T字形とするなどして上面を縮径し、下部の上部の段差のある部分はプレキャストコンクリート材6の上部に舗装9を施す。
【0033】
図9に示すように、道路の建設で路面1の施工時にプレキャストコンクリート材6を配設する場合には、このプレキャストコンクリート材6を路盤10の所定位置に設置・固定し、舗装9を実施する。
【0034】
プレキャストコンクリート材6を路面に配設後、カップラー7内に磁気ネイル2を装填する。
【0035】
なお、プレキャストコンクリート材6は中空形状とすることで、軽量化を図ることも可能である。
【0036】
また、プレキャストコンクリート材6の代わりに他のプレキャスト材、例えば、合成樹脂製や鋼製のプレキャスト材を使用することも可能である。
【0037】
【発明の効果】
以上述べたように本発明の高度道路交通システム対応道路のレーンマーカーの施工方法は、レーンマーカーとなる磁気ネイルを路面に突出または突出せずに埋め込む場合において、施工速度が早く、施工精度の管理も簡単で、安価に実現でき、長距離の施工として最適なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高度道路交通システム対応道路のレーンマーカーの施工方法の第1実施形態を示す一部切欠いた斜視図である。
【図2】本発明の高度道路交通システム対応道路のレーンマーカーの施工方法の第1実施形態で使用する合成樹脂製の帯状シートの斜視図である。
【図3】本発明の高度道路交通システム対応道路のレーンマーカーの施工方法の第1実施形態を示す施工手順の説明図である。
【図4】本発明の高度道路交通システム対応道路のレーンマーカーの施工方法の第3実施形態を示す斜視図である。
【図5】本発明の高度道路交通システム対応道路のレーンマーカーの施工方法の第3実施形態で使用する磁気ネイルの一例を示す斜視図である。
【図6】本発明の高度道路交通システム対応道路のレーンマーカーの施工方法の第3実施形態で使用する磁気ネイルの他例を示す斜視図である。
【図7】プレキャストコンクリート材の一例を示す斜視図である。
【図8】路面に露出しない場合のプレキャストコンクリート材の他例を示す断面図である。
【図9】新設道路にプレキャストコンクリート材を設置する場合の説明図である。
【符号の説明】
1…路面 2…磁気ネイル
3…帯状シート 4…溝部
5…保護材 6…プレキャストコンクリート材
6a,6b…嵌合用継ぎ手 7…カップラー
8…路面切削機 9…舗装
10…路盤

Claims (6)

  1. 合成樹脂製、ゴム製、その他の繊維製または紙製の帯状シートに磁気ネイルを適宜間隔で配設し、路面を溝状に切削し、その中にこの帯状シートを敷設することを特徴とする高度道路交通システム対応道路のレーンマーカーの施工方法。
  2. 帯状シートの上にグースアスファルト等の保護性のある材質による保護材を充填する請求項1記載の高度道路交通システム対応道路のレーンマーカーの施工方法。
  3. 合成樹脂製、ゴム製、その他の繊維製または紙製の帯状シートに磁気ネイルを適宜間隔で配設し、路面の舗装前にこの帯状シートを敷設し、その後、舗装を施すことを特徴とする高度道路交通システム対応道路のレーンマーカーの施工方法。
  4. 路面を切削して、この切削個所に磁気ネイル挿入用のカップラー適宜間隔で埋設され、かつ、端部に嵌合用継ぎ手を形成したプレキャスト材を連続性を確保して配設し、カップラー内に磁気ネイルを装填することを特徴とした高度道路交通システム対応道路のレーンマーカーの施工方法。
  5. 磁気ネイル挿入用のカップラー適宜間隔で埋設され、かつ、端部に嵌合用継ぎ手を形成したプレキャスト材を路面の舗装前に連続性を確保して配設し、カップラー内に磁気ネイルを装填することを特徴とした高度道路交通システム対応道路のレーンマーカーの施工方法。
  6. プレキャスト材の上部に舗装を施す請求項4または請求項5記載の高度道路交通システム対応道路のレーンマーカーの施工方法。
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