JP3563483B2 - エアフィルタ濾材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はエアフィルタ濾材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からエアフィルタ濾材の1つとして、メルトブロー法により得た不織布が使用されている。しかしながら、このエアフィルタ濾材は伸びやすく、しかも強度が弱いため、補強材と一体化するのが一般的であるが、一体化する際に破損しやすいため、取り扱いにくいものであった。そのため、特開平4−257359号には、極細繊維に分割できる分割性繊維から繊維ウエブを形成した後、水流を作用させて、分割性繊維を極細繊維に分割すると同時に極細繊維を交絡させた不織布、及びこの不織布を構成する低融点の極細繊維を融着した不織布を開示している。しかしながら、前者の不織布であっても強度が弱く、後者の不織布はメルトブロー法により得た不織布よりも捕集効率の悪いものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたものであり、強度、捕集効率ともに優れたエアフィルタ濾材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のエアフィルタ濾材は、二種類以上の樹脂成分からなる分割性繊維が分割された極細繊維が絡合していると共に、前記分割性繊維の構造を有する融着部を部分的に有する不織布であり、濾過風速が10cm/秒で測定された捕集効率E(%)と圧力損失D(Pa)とが、(1−e−0.016D)×100≦E、の関係を満たし、かつ、少なくとも一方向の引張強度が3Kg/5cm幅以上のものである。
【0005】
本発明のエアフィルタ濾材の製造方法は、上述した分割繊維を含む繊維ウエブを熱処理して、この分割性繊維の低融点成分を少なくとも融着した後、流体流を作用させることにより、この分割性繊維を極細繊維に分割及び絡合し、濾過風速が10cm/秒で測定された捕集効率E(%)と圧力損失D(Pa)とが、(1−e−0.016D)×100≦E、の関係を満たし、かつ、少なくとも一方向の引張強度が3Kg/5cm幅以上とする方法である。
【0006】
【作用】
本発明のエアフィルタ濾材について、製造方法をもとに説明する。本発明においては、二種類以上の樹脂成分からなり、極細繊維に分割可能な分割性繊維を、極細繊維に分割することにより、繊維表面積を広くして、濾材の捕集効率を高くする。
【0007】
この分割性繊維を構成する樹脂成分として、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアクリロニトリルなどを二種類以上組み合わせることができる。なお、ポリエチレンとポリプロピレンとを組み合わせた場合のように、同種で相溶性の樹脂成分同士を組み合わせても良い。
【0008】
上記のような樹脂成分を2種類以上、任意に組み合わせた分割性繊維を使用できるが、分割性繊維を構成する樹脂成分の中で、最も融点の低い樹脂成分(低融点成分)と、最も融点の高い樹脂成分(高融点成分)との融点差が10℃以上、より好ましくは15℃以上あるように組み合わせると、高融点成分以外の、少なくとも一種類の樹脂成分を融着させることによって、エアフィルタ濾材に強度を付与できると共に、後述のように、極細繊維に分割しやすいので、好適な組み合わせである。融点差を10℃以上有する二種類の樹脂成分の組み合わせとして、例えば、ポリアミド成分とポリエステル成分、ポリアミド成分とポリオレフィン成分、ポリエステル成分とポリオレフィン成分、或いはポリオレフィン成分同士などがある。これらの中でも、ポリオレフィン成分としてポリプロピレンを使用すると、後述のエレクトレット化により、より捕集効率を高めることができるので、好適な樹脂成分である。また、ポリエチレンはポリプロピレンよりも融点が低く、融着しやすいため好適に使用できる。そのため、分割性繊維を構成する樹脂成分として、ポリエチレンとポリプロピレンとを含んでいるのが、最も好ましい。
【0009】
なお、ポリエチレンとポリプロピレンとを組み合わせた場合のように、相溶性の樹脂成分を組み合わせた分割性繊維は、極細繊維に分割しにくいものであるが、樹脂成分中に、ポリプロピレン系、ポリスチレン系、ポリカーボネート系などの樹脂を混在させると、分割しやすくなるので、好適である。また、分割性繊維の低融点成分中にこれらの樹脂が混在していると、この分割性繊維の低融点成分を融着させる際の温度範囲が広くなり、分割性繊維の低融点成分を均一に融着できるので好適である。これら樹脂の低融点成分中における混在量としては、5〜70重量%であるのが好ましい。5重量%未満では分割性が向上ぜず、70重量%を越えると樹脂の相が反転してしまうためで、より好ましくは10〜40重量%である。なお、樹脂がポリプロピレン系であると、極細繊維表面に露出したポリプロピレン系樹脂をエレクトレット化でき、より捕集効率を高くできるので、好適である。
【0010】
この分割性繊維の断面形状としては、例えば、二種類の樹脂成分からなる断面形状を表す図1(a)〜(d)に示すように、一樹脂成分1を他樹脂成分2の間に配した菊花状の繊維断面を有するものや、図1(e)に示すように、一樹脂成分1と他樹脂成分2とを交互に層状に積層した多層バイメタル状の断面形状を有するものを使用できるが、前者の菊花状の繊維断面を有する分割性繊維は、低融点成分が均一に繊維表面に露出しているため、少なくとも分割性繊維の低融点成分により均一に融着でき、しかも分割して得られる極細繊維が異形断面形状を有し、より緻密な構造の不織布を形成でき、より捕集効率が高くなるため、好適に使用できる。この異形断面形状とは、円形でないものをいい、例えば、略長円形、略楕円形状、略多角形状、楔形状をいい、この極細繊維は長径Xと短径Yとの比率(X/Y)が1〜10であるものが好ましい。この比率が10を越えると嵩高さがでず、圧力損失の大きいものとなるため、より好ましくは2〜6である。なお、この長径Xとは、極細繊維断面の中で最も長く採ることのできる直線の長さをいい、短径Yとは長径Xに対して直交する直線の中で最も長く採ることのできる直線の長さをいう。なお、極細繊維の径によって、捕集効率に大きな影響を及ぼすため、円形断面換算の平均繊維径が、0.1〜9μmの極細繊維に分割できる分割性繊維を使用するのが好ましい。0.1μm未満ではエアフィルタ濾材の剛性や強度が低下し、9μmを越えると捕集効率が悪くなるためで、より好ましい平均繊維径は0.2〜6μmである。更に、分割性繊維の低融点成分の繊維表面を占める面積が狭いと、分割性繊維の低融点成分による融着を効率的に行うことができず、強度のないエアフィルタ濾材となりやすいため、低融点成分は分割性繊維表面の20〜90%、より好ましくは40〜70%を占めているのが好ましい。
【0011】
このような分割性繊維は50重量%以上、より好ましくは80重量%以上使用する。この分割性繊維以外に使用できる繊維としては、例えば、レーヨンなどの再生繊維、アセテートなどの半合成繊維、ナイロン、ビニロン、ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリクラールなどの合成繊維、綿などの植物繊維、羊毛などの動物繊維などを使用できる。これらの中でも、エレクトレット化しやすいポリプロピレン繊維が好適に使用できる。なお、より強度を必要とする場合には、接着繊維を使用して、強度を向上させることもできる。この接着繊維を構成する樹脂成分としては、分割性繊維を構成する樹脂成分と同様のものを使用できるが、後述のように、少なくとも分割性繊維の低融点成分を融着した後に流体流を作用させるため、流体流を作用させた後に接着繊維のみを接着するのが好ましい。そのため、分割性繊維の低融点成分よりも10℃以上、より好ましくは15℃以上低い融点を有する接着繊維を使用するのが好ましい。なお、接着繊維は単一の樹脂成分からなっていても良いし、芯鞘型、サイドバイサイド型、或いは偏芯型の複合接着繊維を使用しても良いが、後者の複合接着繊維は接着成分以外の樹脂成分によって強度を維持できるため、より好適に使用できる。
【0012】
なお、本発明で使用する繊維の平均繊維長は、繊維ウエブの形成方法によって異なり、湿式法によって形成する場合には3〜25mmであるのが好ましく、乾式法によって形成する場合には、20〜110mmであるのが好ましい。なお、前者の湿式法によれば、より緻密で均一な繊維ウエブ、結果として、より緻密で均一なエアフィルタ濾材を得ることができるので、より好適である。本発明においては、カード法、エアレイ法などの乾式法により得た繊維ウエブ、湿式法により得た繊維ウエブ、或いはメルトブロー法やスパンボンド法などの直接法により得た繊維ウエブを単独で、又は適宜複合した繊維ウエブを使用できる。また、繊維ウエブの目付は10〜100g/mであるのが好ましい。10g/m以下では後述の方法によってエアフィルタ濾材を形成することが困難であり、100g/mを越えると、圧力損失が高くなりすぎるためである。
【0013】
次いで、この繊維ウエブを全体的又は部分的に熱処理して、少なくとも分割性繊維の低融点成分を融着する。この融着により、エアフィルタ濾材の強度を向上させると共に、次工程の流体流の作用による分割性繊維の分割及び交絡を効率的に行うことが可能となった。つまり、分割性繊維の自由度が高いと、流体流を作用させても、分割性繊維が流体流から逃げて、繊維ウエブの幅又は長さ方向に粗密構造を形成したり、分割性繊維の分割及び絡合が生じにくいが、融着により分割性繊維の自由度が低くなり、流体流が作用しやすくなるため、極細繊維に分割し、絡合しやすくなった。特に、分割性繊維の平均繊維長が3〜25mm程度と短い場合には自由度が高く、分割性繊維の分割及び絡合が困難であったが、この融着により分割性繊維の分割及び絡合が容易になった。また、分割性繊維を融着により固定しているため、流体流を作用させても、元の分割性繊維の構造を残した極細繊維束を形成しやすいため、より圧力損失の低いエアフィルタ濾材を得やすくなった。このように、分割性繊維の自由度の低い方がより好ましいので、繊維ウエブ全体に分散している分割性繊維の少なくとも低融点成分を融着する。なお、この分割性繊維を分割しやすいように、無加圧下で、高融点成分以外の少なくとも低融点成分を融着するのが好ましい。このように、繊維ウエブ全体を固定して、分割性繊維を分割しやすくしたため、孔を形成することなく、目付が10g/m程度の低目付のエアフィルタ濾材を形成することが可能となり、結果として、薄型のエアフィルタ濾材を得ることが可能となった。
【0014】
次いで、流体流を作用させて分割性繊維を分割するが、流体流を作用させる前に、融着した繊維ウエブを固体押圧手段により押圧することにより、分割性繊維に歪みを生じさせると同時に、分割性繊維の断面形状を長円状に変形させ、流体流の作用する確率を高くして、より分割しやすくすることができる。なお、この固体押圧手段により押圧したとしても、融着が完全に破壊される訳ではないので、融着による分割性繊維の自由度の低い状態は維持されている。
【0015】
この固体押圧手段としては、例えば、カレンダーがあり、このカレンダーは強い線圧による剪断力を連続的に作用させることができるので、好適である。このカレンダーを使用する場合、線圧は20〜300kg/cmで押圧するのが好ましい。線圧が20kg/cm未満では、分割性繊維の歪みが不十分であり、300kg/cmを越えると、融着部分の破壊も生じ、分割性繊維の自由度が高くなってしまうためで、より好ましい線圧は50〜250kg/cmである。なお、この押圧は1度である必要はなく、必要に応じて2度以上行っても良い。
【0016】
次いで、流体流を作用させて、分割性繊維を極細繊維に分割すると共に絡合して不織布を得る。この不織布は極細繊維が絡合していると共に、繊維ウエブの段階で融着した融着部が残存し、部分的に融着している。本発明の場合、少なくとも分割性繊維の低融点成分を融着しているため、極細繊維の長さ方向に融着部を有しており、結果として、束状になる場合がある。この場合、極細繊維に分割していると共に、極細繊維束を形成しているため、不織布の強度が向上すると同時に、より圧力損失の低いエアフィルタ濾材となる。なお、この極細繊維束とは、一本の分割性繊維において、分割性繊維の長さの50%以上が分割し、かつ融着して束状になったものをいい、この分割とは隣接する樹脂成分が剥離した状態をいう。本発明の場合、極細繊維は極細繊維束から完全に分離した状態にあっても良いし、極細繊維の一部が極細繊維束に留まった状態にあっても良い。この極細繊維と極細繊維束とが混在した状態にある場合、極細繊維束は不織布表面の均一性の点から、不織布内部に存在しているのが好ましい。
【0017】
本発明のエアフィルタ濾材は、分割性繊維が極細繊維に分割しているため、捕集効率が高く、この極細繊維が絡合と共に部分的に融着しているため、強度的にも優れたものであるが、分割性繊維の分割及び絡合が不十分であると、捕集効率E(%)と圧力損失D(Pa)との、(1−e−0.016D)×100≦E、の関係と、少なくとも一方向の引張強度が3kg/5cm幅以上の性能を同時に満足するものとはならない。因みに、分割性繊維を含む繊維ウエブを熱融着することなく流体流を作用させて極細繊維に分割した従来の不織布は、強度、捕集効率とも上記関係を満足しないものであり、また、極細繊維に分割した不織布の低融点成分からなる極細繊維を融着した不織布は、強度は向上するものの、捕集効率と圧力損失とが上記関係を満たすものではない。なお、引張強度は目付50g/mに換算した値をいう。
【0018】
なお、この捕集効率とは、濾過風速10cm/秒で、直径0.3〜0.5μmの粒子を含む大気を濾過した際、エアフィルタ濾材による濾過の前後における粒子数を、パーティクルカウンターにより測定し、下記の式により得られる値をいう。

Figure 0003563483
【0019】
また、圧力損失とは、上記のエアフィルタ濾材で上記の大気を濾過した際、エアフィルタ濾材の前後の差圧をマノメータにより測定した値をいう。
【0020】
また、引張強度は5cm幅の不織布を引張強伸度試験機((株)オリエンテック製)のチャック間(10cm)に挟み、引張速度100mm/分で引張った時の、破断時の強度をいう。なお、目付50g/mの引張強度(T50)に換算する方法は、不織布の目付をW、破断時の強度をTとした場合、T50=(50/W)×Tの式により換算する。
【0021】
この流体流として水流を作用させることにより、繊維に付着した界面活性剤を洗い流すことができるので、特に不織布をエレクトレット化する場合、界面活性剤によりエレクトレット化作用を減衰させない、つまり捕集効率を低下させないという特長がある。この流体流の作用により、界面活性剤の付着量を不織布の目付の0.3重量%以下とするのが好ましい。
【0022】
この流体流による作用は、上記の捕集効率と圧力損失とが前記関係を満たすまで行う。より具体的には、ノズル径0.05〜0.3mm、好適には0.08〜0.2mm、ピッチ0.2〜3mm、好適には0.4〜2mmで一列以上配列したノズルプレートから、圧力10〜300kg/cm、好適には50〜200kg/cmの流体流を噴出する。この流体流による作用は1回である必要はなく、必要であれば、2回以上作用させる。また、流体流の作用面は繊維ウエブの片面又は両面である。なお、本発明においては、融着した繊維ウエブに流体流を作用させるため、最初から100kg/cm程度の高圧流体流を作用させたり、孔径0.15〜0.18mm程度の大きな径のノズルを使用することができるので、流体流の作用回数を減らすことができ、効率的に作用させることができるという特長がある。
【0023】
なお、流体流を作用させる際に、繊維ウエブを載置するネットや多孔板などの支持体の非開孔部が太いと、得られる不織布も大きな孔を有するものとなり、捕集効率が悪くなるので、線径0.25mm以下の細いワイヤーからなる60メッシュ以上の目の細かい平滑なネットなどを使用するのが好ましい。
【0024】
なお、前述の接着繊維を繊維ウエブに混合しておき、流体流を作用させた後に、熱処理により接着させると、より強度の優れたエアフィルタ濾材とすることができる。前述のように、この熱処理により極細繊維を融着させて捕集効率を低下させないように、分割性繊維の低融点成分よりも10℃以上低い融点を有する接着繊維を使用するのが好ましい。この接着繊維は分割性繊維の量を減らさないように、40重量%以下、より好ましくは25重量%以下混合する。
【0025】
このようにして得られる不織布の目付は10〜100g/mであるのが好ましい。10g/m未満では不織布の形態をなさず、100g/mを越えると、圧力損失が高くなるためで、より好ましくは15〜60g/mである。なお、厚さはカレンダーなどによって調整することができ、20g/cm荷重時の厚さが0.10〜1.50mmであるのが好ましい。
【0026】
本発明においては、このようにして得た不織布をエレクトレット化することにより、より圧力損失が低く、捕集効率の高いエアフィルタ濾材とすることができる。このエレクトレット方法としては、例えば、熱エレクトレット法、コロナ荷電法、電子線照射法、イオン照射法、或いは摩擦帯電法などがあり、これらの中でも、コロナ荷電法は処理時間が短く、荷電装置が簡単であるなどの利点があるため、好適に使用できる。なお、このコロナ荷電法において、直流電圧を印加しても良いし、交流電圧を印加しても良い。また、交流電圧を印加する場合には、電極面に沿って放電させても良い。
【0027】
このようにして得た不織布をそのままエアフィルタ濾材として使用することもできるが、織物や不織布などの補強材と複合してエアフィルタ濾材とすると、襞折加工により、より捕集効率を高めることができるので、好適な実施態様である。この補強材としては、通気性の高い不織布を使用するのがより好ましい。この補強材との複合方法としては、流体流やニードルによる絡合法、粉末状、溶剤系、又はエマルジョン系の接着剤による結合方法、補強材又は不織布構成繊維による部分熱融着方法などがある。これらの中でも、流体流やニードルによる絡合法や補強材又は不織布構成繊維による部分熱融着法により複合すれば、通気性を損わないため好適である。
【0028】
以上のように、本発明のエアフィルタ濾材は優れた捕集効率及び強度を有する不織布を有するため、エアフィルタ、マスク、集塵濾過布等として好適に使用できるものである。
【0029】
以下に、本発明のエアフィルタ濾材の実施例を記載するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0030】
【実施例】
(実施例1)
図1(c)に示すような菊花状の断面形状を有し、長径X6μm、短径Y2.7μm(X/Y=2.2)で、楔形状を有するポリプロピレン成分(融点160℃、分割後の平均繊維径3.3μm)と、長径X6μm、短径Y2.7μm(X/Y=2.2)で、楔形状を有する高密度ポリエチレン成分(融点138℃、分割後の平均繊維径3.3μm)と、円形状を有するポリプロピレン成分(融点160℃、分割後の平均繊維径2.4μm)からなり、この高密度ポリエチレン成分が繊維表面の50%を占める17分割可能な分割性繊維(繊度1.2デニール、繊維長5mm)を100%使用し、湿式法により繊維ウエブを形成した。次いで、この繊維ウエブを140℃の熱風乾燥機を通して、この分割性繊維の高密度ポリエチレン成分のみを融着させた。次いで、この融着した繊維ウエブを室温下で、線圧160kg/cmのカレンダー間を20m/分の速度通した後、5m/分で移動する、空間率28%、たて方向の線径0.132mm、よこ方向の線径0.152mmで構成された100メッシュのコンベアー上に載置し、直径0.14mm、ピッチ0.9mmで配置したノズルから、順に、水圧50kg/cm、80kg/cm、120kg/cmの水流を噴出した後、繊維ウエブを反転させ、同様のノズルから、水圧120kg/cm、120kg/cm、70kg/cmの水流を噴出した。そして、この水流を作用させた繊維ウエブを123℃の熱風乾燥機で乾燥して、目付20g/m、厚さ0.20mmで、内部に繊維束を有するエアフィルタ濾材を得た。このエアフィルタ濾材の界面活性剤の付着量、長さ方向の引張強度、捕集効率E、及び圧力損失Dは表1に示す通りであった。
【0031】
【表1】
Figure 0003563483
【0032】
(実施例2)
実施例1と全く同様にして、目付30g/m、厚さ0.23mmで、内部に繊維束を有するエアフィルタ濾材を得た。このエアフィルタ濾材の界面活性剤の付着量、長さ方向の引張強度、捕集効率E、及び圧力損失Dは表1に示す通りであった。
【0033】
(実施例3)
実施例1と全く同様にして、目付50g/m、厚さ0.30mmで、内部に繊維束を有するエアフィルタ濾材を得た。このエアフィルタ濾材の界面活性剤の付着量、長さ方向の引張強度、捕集効率E、及び圧力損失Dは表1に示す通りであった。
【0034】
(実施例4)
繊維長が10mmであること以外は、実施例1と同じ17分割可能な分割性繊維80重量%と、ポリプロピレン繊維(繊度0.7デニール、繊維長10mm、融点160℃)20重量%とを使用した以外は、実施例1と全く同様にして、目付80g/m、厚さ0.35mmで、内部に繊維束を有するエアフィルタ濾材を得た。このエアフィルタ濾材の界面活性剤の付着量、長さ方向の引張強度、捕集効率E、及び圧力損失Dは表1に示す通りであった。
【0035】
(実施例5)
実施例1のエアフィルタ濾材を印加電圧10キロボルトで15秒間コロナ放電して、エレクトレット化した。このエアフィルタ濾材の界面活性剤の付着量、長さ方向の引張強度、捕集効率E、及び圧力損失Dは表1に示す通りであった。
【0036】
(比較例1)
実施例2と全く同様にして得た繊維ウエブ(高密度ポリエチレンは融着していない)を、実施例2と全く同様に、カレンダー処理、水流処理、及び乾燥処理を行い、目付30g/m、厚さ0.20mmのエアフィルタ濾材を得た。このエアフィルタ濾材の界面活性剤の付着量、長さ方向の引張強度、捕集効率E、及び圧力損失Dは表1に示す通りであった。
【0037】
(比較例2)
実施例2と全く同様にして水流を作用させた後に、絡合した繊維ウエブを140℃の熱風乾燥機で乾燥することにより、高密度ポリエチレン成分からなる極細繊維を融着させて、目付30g/m、厚さ0.23mmのエアフィルタ濾材を得た。このエアフィルタ濾材の界面活性剤の付着量、長さ方向の引張強度、捕集効率E、及び圧力損失Dは表1に示す通りであった。
【0038】
(比較例3)
メルトブロー法により得た、平均繊維径1.5μmのポリプロピレンからなる、目付30g/m、厚さ0.20mmの不織布を、エアフィルタ濾材とした。このエアフィルタ濾材の界面活性剤の付着量、長さ方向の引張強度、捕集効率E、及び圧力損失Dは表1に示す通りであった。
【0039】
(比較例4)
ポリプロピレン繊維(繊度0.7デニール、繊維長10mm、融点160℃)80重量%と、芯成分がポリプロピレン(融点160℃)で、鞘成分が低密度ポリエチレン成分(融点115℃)からなる芯鞘型複合繊維(繊度2デニール、繊維長20mm)20重量%とを使用し、湿式法により繊維ウエブを形成した。次いで、この繊維ウエブを120℃の熱風乾燥機を通して、この芯鞘型複合繊維の低密度ポリエチレン成分のみを融着させた。次いで、実施例1と全く同様に水流を作用させた後(カレンダー処理はしない)、110℃の熱風乾燥機で乾燥して、目付40g/m、厚さ0.32mmのエアフィルタ濾材を得た。このエアフィルタ濾材の界面活性剤の付着量、長さ方向の引張強度、捕集効率E、及び圧力損失Dは表1に示す通りであった。
【0040】
【発明の効果】
本発明のエアフィルタ濾材は、二種類以上の樹脂成分からなる分割性繊維が分割された極細繊維が絡合していると共に、前記分割性繊維の構造を有する融着部を部分的に有する不織布であり、濾過風速が10cm/秒で測定された捕集効率E(%)と圧力損失D(Pa)とが、(1−e−0.016D)×100≦E、の関係を満たし、かつ、少なくとも一方向の引張強度が3Kg/5cm幅以上の、捕集効率及び強度の優れたものである。
【0041】
本発明のエアフィルタ濾材の製造方法は、上述した分割性繊維を含む繊維ウエブを熱処理して、この分割性繊維の低融点成分を少なくとも融着した後、流体流を作用させることにより、この分割性繊維を極細繊維に分割及び絡合し、濾過風速が10cm/秒で測定された捕集効率E(%)と圧力損失D(Pa)とが、(1−e−0.016D)×100≦E、の関係を満たし、かつ、少なくとも一方向の引張強度が3Kg/5cm幅以上のエアフィルタを容易に形成できる方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a) 本発明の分割性繊維の模式的な断面図
(b) 本発明の他の分割性繊維の模式的な断面図
(c) 本発明の他の分割性繊維の模式的な断面図
(d) 本発明の他の分割性繊維の模式的な断面図
(e) 本発明の他の分割性繊維の模式的な断面図
【符号の説明】
1 一樹脂成分
2 他樹脂成分

Claims (19)

  1. 二種類以上の樹脂成分からなる分割性繊維が分割された極細繊維が絡合していると共に、前記分割性繊維の構造を有する融着部を部分的に有する不織布であり、濾過風速が10cm/秒で測定された捕集効率E(%)と圧力損失D(Pa)とが、(1−e−0.016D)×100≦E、の関係を満たし、かつ、少なくとも一方向の引張強度が3Kg/5cm幅以上であることを特徴とするエアフィルタ濾材。
  2. 目付が10〜100g/mであることを特徴とする請求項1に記載のエアフィルタ濾材。
  3. 界面活性剤の付着量が不織布目付の0.3重量%以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエアフィルタ濾材。
  4. エレクトレット化されていることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれかに記載のエアフィルタ濾材。
  5. 前記極細繊維がポリプロピレンを含むことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のエアフィルタ濾材。
  6. 前記極細繊維の円形断面換算の平均繊維径が、0.1〜9μmであることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれかに記載のエアフィルタ濾材。
  7. 前記極細繊維が異形断面形状を有することを特徴とする請求項1〜請求項のいずれかに記載のエアフィルタ濾材。
  8. 前記極細繊維が長径Xと短径Yの比率(X/Y)1〜10の異形断面形状を有することを特徴とする請求項に記載のエアフィルタ濾材。
  9. 前記極細繊維の平均繊維長が3〜25mmであることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれかに記載のエアフィルタ濾材。
  10. 請求項1〜請求項のいずれかに記載のエアフィルタ濾材が補強材と複合されていることを特徴とするエアフィルタ濾材。
  11. 二種類以上の樹脂成分からなり、極細繊維に分割可能な分割性繊維を含む繊維ウエブを熱処理して、該分割性繊維の低融点成分を少なくとも融着した後、流体流を作用させることにより、該分割性繊維を極細繊維に分割及び絡合し、濾過風速が10cm/秒で測定された捕集効率E(%)と圧力損失D(Pa)とが、(1−e−0.016D)×100≦E、の関係を満たし、かつ、少なくとも一方向の引張強度が3Kg/5cm幅以上の不織布を形成することを特徴とするエアフィルタ濾材の製造方法。
  12. 前記繊維ウエブを熱処理した後、流体流を作用させる前に、カレンダー
    で押圧することを特徴とする請求項11に記載のエアフィルタ濾材の製造方法。
  13. 前記不織布を形成した後、エレクトレット化することを特徴とする請求項11又は請求項12に記載のエアフィルタ濾材の製造方法。
  14. 前記流体流が水流であることを特徴とする請求項11〜請求項13のいずれかに記載のエアフィルタ濾材の製造方法。
  15. 前記繊維ウエブの形成方法が、湿式法であることを特徴とする請求項11〜請求項14のいずれかに記載のエアフィルタ濾材の製造方法。
  16. 前記繊維ウエブの目付が10〜100g/mであることを特徴とする請求項11〜請求項15のいずれかに記載のエアフィルタ濾材の製造方法。
  17. 前記分割性繊維の低融点成分と、前記分割性繊維の高融点成分との融点差が10℃以上であることを特徴とする請求項11〜請求項16のいずれかに記載のエアフィルタ濾材の製造方法。
  18. 前記分割性繊維の繊維断面において、低融点成分が分割性繊維表面の20〜90%を占めていることを特徴とする請求項11〜請求項17のいずれかに記載のエアフィルタ濾材の製造方法。
  19. 前記分割性繊維がポリプロピレン成分を含むことを特徴とする請求項11〜請求項18のいずれかに記載のエアフィルタ濾材の製造方法。
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