JP3563406B2 - 4−オキソ−2−アルケン酸エステルの製造方法 - Google Patents
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Description
発明の詳細な説明
本発明は4−オキソ−2−アルケン酸エステルの新規な製造方法に関する。より詳細には、本発明は、リンゴ酸誘導体とグリニャール試薬とを反応させ、得られた化合物を脱カルボン酸することにより4−オキソ−2−アルケン酸エステルを製造する方法に関する。
産業上の利用分野
本発明により製造される4−オキソ−2−アルケン酸エステルは、例えば本出願人により開示されている、抗高脂血症剤として有用な化合物であるリグナン誘導体(特開平5−310634)の製造原料として有用である。
従来の技術
従来より、種々の方法で4−オキソ−2−アルケン酸エステル類は合成されている。例えば、シンレット(Synlett)1990年282頁に記載のB.リゴ(B.Lygo)らの方法や、その引用文献3及び4に示される方法がある[Chem.Letters,(11)2165(1992);Tetrahedron Letters,29,3997(1988);IT 796247(1,Dec,1967)]。また、前記特開平5−310634号においても、参考例24に開示されている。
発明が解決しようとする課題
しかしながら、これらの方法は、原料合成に多工程を要したり、合成又は入手が困難な原料を用いたりしており、工業的大量合成には適さない。本発明は、容易にしかも安価に4−オキソ−2−アルケン酸エステルを工業的に大量合成するのに適した製造方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、遷移金属触媒存在下でのリンゴ酸誘導体とグリニャール試薬との縮合反応に引き続き、脱カルボン酸することを特徴とする、4−オキソ−2−アルケン酸エステルを製造する方法を見い出した。この方法で用いる式(II)で示される合成原料は安価なラセミ体のリンゴ酸から製造でき、しかもそれが短工程で可能であることと相俟って、本発明方法は安価にかつ簡便に4−オキソ−2−アルケン酸エステルを製造できる方法である。
発明の詳しい説明
本発明は式(II):
[式中、R2は低級アルキル基であり、R3は低級アルキルカルボニル基であり、X1はハロゲン原子である]
で示されるリンゴ酸誘導体に式(III):
R1−MgX2
[式中、R1は低級アルキル基、シクロアルキル基またはシクロアルキル低級アルキル基であり、X2はハロゲン原子である]
で示されるグリニャール試薬を遷移金属触媒の存在下に反応させ、得られた化合物を脱カルボン酸することにより式(I):
[式中、R1及びR2は前記の定義と同意義である]
で示される4−オキソ−2−アルケン酸エステルを製造する方法を提供するものである。
R1、R2及びR3の定義における「低級アルキル」とは、それぞれ独立して直鎖又は分枝鎖状のC1−C8アルキルを意味し、それにはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、2−エチルブチル、1−エチルプロピル等が例示される。R2、R3においては、好ましくはC1−C6アルキルであり、さらに好ましくは、C1−C3アルキルである。
R1の定義における「シクロアルキル基」とはC5−C7シクロアルキルを意味し、それにはシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチルが例示される。「シクロアルキル低級アルキル基」とは、前記定義した低級アルキル基に前記定義したシクロアルキルが置換したものを意味し、例えばシクロヘキシルメチル、シクロペンチルエチル等が例示される。
また、R3は低級アルキルカルボニル基であるが、特にアセチルが好ましい。
X1、X2の定義におけるハロゲン原子とは、それぞれ独立して塩素、臭素等が例示される。
本発明の製造方法は、詳細には以下の2工程から構成される。
第1工程は、リンゴ酸誘導体(II)とグリニャール試薬(III)とを遷移金属触媒の存在下に反応させて化合物(IV)を合成する工程である。
第2工程は、化合物(IV)の脱カルボン酸を行ない、目的とする化合物(I)を合成する工程である。脱カルボン酸は、好ましくは塩基又は酸の存在下に行う。なお、本工程は第1工程終了後、化合物(IV)を単離することなく引き続き行うこともできる。
反応条件の説明
第1工程で使用する化合物(II)及び化合物(III)の使用割合は特に制限されないが、通常は、化合物(III)を化合物(II)に対してモル換算で等量もしくは小過剰量、好ましくは1:1〜1:2、さらに好ましくは1:1〜1:1.3で使用する。
使用する遷移金属触媒としては、周期表の第3族から第11族、好ましくは第7族から第11族のいずれかの元素を含有する塩または錯体である。好ましくは、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅等のハロゲン化塩、リチウムハロゲン化錯体、またはアセチルアセトナート錯体等が例示されるが、特に銅を含有する塩または錯体が好ましい。具体的には、ハロゲン化塩としてFeCl3、CuI、CuBr等が、リチウムハロゲン化錯体としてLi2MnCl4、Li2CuCl4等が、アセチルアセトナート錯体としてFe(acac)3、Ni(acac)2等が例示される。なお、acacは式:
で示される構造を有する部分を表し、例えばNi(acac)2は式:
で示される。好ましくは、CuI、Li2CuCl4を化合物(II)に対して、触媒量、例えばモル換算で2〜10%を用いる。
反応溶媒は、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル類、n−ヘキサン、n−ペンタンなどの炭化水素類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類を単独で、又は混合して使用できる。特に好ましい溶媒は、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルである。
本反応は、通常、−80℃から室温、好ましくは、−50℃から0℃にて、数分から数時間で完結する。
第2工程にて塩基を使用する場合、好ましくは有機塩基であり、例えばトリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ−7−セン等のアミン類が挙げられる。酸としてはHCl、HNO3、H2SO4、ルイス酸(例、BF3・OEt2)等である。塩基又は酸の使用量については特に制限はないが、好ましくは化合物(IV)に対して約1〜5当量、さらに好ましくは、約1〜約3当量を用いる。
反応溶媒は、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル類、n−ヘキサン、n−ペンタンなどの炭化水素類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル等のニトリル類、酢酸エチル等のエステル類を単独で、又は混合して使用できる。特に好ましい溶媒はトルエン、アセトニトリルである。
本工程の反応は、通常、約0℃から約150℃、好ましくは、室温から約120℃、さらに好ましくは約50℃〜約100℃にて数分から数時間で完了する。尚、本工程においてはトランス体である化合物(I)が選択的に得られるので、精製も容易である。
本発明の原料物質であるリンゴ酸誘導体(II)及び、グリニャール試薬(III)は既知の化合物から常法により製造することができる。詳細は参考例により説明する。
以下に実施例及び参考例を記載し、本発明をさらに詳細に説明するが、これらは本発明の限定を意図するものではない。
化合物(II)の合成例
参考例
(±)−3−アセトキシ−3−(メトキシカルボニル) プロピオン酸クロリド:II−aの合成
工程1 (±)−3−アセトキシ−3−(メトキシカルボニル)プロピオン酸:1の合成
シンセティック・コミュニケーションズ(Synth.Commun.)1986年第16巻183頁に記載のS.ヘントロット(S.Henrot)らの方法に従い、(±)−リンゴ酸268gより目的とするハーフエステル体1を結晶として279g得る。収率:73%。融点:62−64℃(トルエン)。
工程2 II−aの合成
上記で得たハーフエステル体1 45.0gと塩化チオニル33.8gの混合物に、N,N−ジメチルホルムアミド0.1mlを加え、40℃で2時間撹拌する。反応液を減圧濃縮し、残渣にトルエン50mlを加え、再び減圧濃縮して目的とする酸塩化物II−aの粗生成物50.0gを得る。このものは精製することなく次の反応に用いる。上記参考例の反応式を下記に示す。
実施例1
(E)−6−エチル−4−オキソ−2−オクテン酸メチ ル:I−aの合成
工程1 (±)−2−アセトキシ−6−エチル−4−オキソオクタン酸メチル:IV−aの合成
窒素気流下、上記で得た酸塩化物II−aの粗生成物50.0gを乾燥テトラヒドロフラン(以下THFと略す)225mlに溶解し、1M Li2CuCl4−THF溶液11.7mlを加える。−15℃に冷却した反応液に、0.72M(2−エチル)ブチルマグネシウムブロミド−THF溶液362mlを1時間で滴下する。滴下終了後、同温でさらに30分間撹拌した反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出する。抽出液を、1N塩酸、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、減圧濃縮して、目的とするケトン体IV−aの粗生成物を油状物質として60.4g得る。このものは精製することなく次の反応に用いる。
1HNMR:δ(CDCl3)0.85(6H,t,J=7,2Hz)1.18〜1.42(4H,m)1.76〜1.90(1H,m)2.11(3H,s)2.36(2H,d,J=6.4Hz)2.84〜3.08(2H,m)3.76(3H,s)5.50(1H,dd,J=7.6Hz,4.6Hz)
工程2:I−aの合成
上記得たケトン体IV−aの粗生成物60.4gをトルエン225ml溶液に、トリエチルアミン39.7mlを加え、85℃で2時間撹拌する。反応液を、1N塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄する。減圧濃縮した残渣を減圧蒸留して目的とするI−aを油状物質として34.6g得る。収率:73.7%(化合物1より、3工程通算)。沸点:92〜95℃(0.6mmHg)。
1HNMR:δ(CDCl3)0.86(6H,j,J=7.2Hz)1.19〜1.50(4H,m)1.79〜1.96(1H,m)2.54(2H,d,J=6.6Hz)3.82(3H,s)6.67(1H,d,J=15.8Hz)7.09(1H,d,J=15.8Hz)
実施例2
(E)−5−エチル−4−オキソ−2−ヘプテン酸メチ ル:I−bの合成
(2−エチル)ブチルマグネシウムブロミドの替わりに3−ペンチルマグネシウムブロミドを用いて、実施例1と同様に反応行ない、目的とする化合物I−bを油状物質として得る。収率:53%(化合物1より、3工程通算)。沸点:68〜72℃(0.8mmHg)。
1HNMR:δ(CDCl3)0.86(6H,t,J=7.4Hz)1.42〜1.80(4H,m)2.51〜2.70(1H,m)3.82(3H,s)6.72(1H,d,J=15.8Hz)7.19(1H,d,J=15.8Hz)
実施例3
(E)−4−シクロヘキシル−4−オキソ−2−ブテン 酸メチル:I−cの合成
(2−エチル)ブチルマグネシウムブロミドの替わりにシクロヘキシルマグネシウムブロミドを用いて、実施例1と同様に反応行ない、目的とする化合物I−cを結晶として得る。融点:53〜56℃(含水メタノール)。
1HNMR:δ(CDCl3)1.10〜1.50(5H,m)1.60〜2.00(5H,m)2.50〜2.63(1H,m)3.81(3H,s)6.69(1H,d,J=15.6Hz)7.17(1H,d,J=15.6Hz)以下に、実施例により製造した化合物の構造式を示す。
実施例4
ヨウ化銅(CuI)を触媒に用いる実施例1と同じ化合物 I−aの製造方法
Li2CuCl4の替わりにヨウ化銅(CuI)を用いて、実施例1と同様に反応を行い、化合物1 32.3gより目的とする化合物I−aを油状物質として25.0g得る。収率:74%(化合物1より、3工程通算)
1HNMR:実施例1にて得た化合物のスペクトルに一致
実施例5
鉄(III)アセチルアセトナート(Fe(acac) 3 )を触 媒に用いる実施例1と同じ化合物I−aの製造法
Li2CuCl4の替わりに鉄(III)アセチルアセトナート(Fe(acac)3)を用いて、実施例1と同様に反応を行い、化合物1 456mgより目的とする化合物I−aを油状物質として196mg得る。収率:41%(化合物1より、3工程通算)
1HNMR:実施例1にて得た化合物のスペクトルに一致
本発明は4−オキソ−2−アルケン酸エステルの新規な製造方法に関する。より詳細には、本発明は、リンゴ酸誘導体とグリニャール試薬とを反応させ、得られた化合物を脱カルボン酸することにより4−オキソ−2−アルケン酸エステルを製造する方法に関する。
産業上の利用分野
本発明により製造される4−オキソ−2−アルケン酸エステルは、例えば本出願人により開示されている、抗高脂血症剤として有用な化合物であるリグナン誘導体(特開平5−310634)の製造原料として有用である。
従来の技術
従来より、種々の方法で4−オキソ−2−アルケン酸エステル類は合成されている。例えば、シンレット(Synlett)1990年282頁に記載のB.リゴ(B.Lygo)らの方法や、その引用文献3及び4に示される方法がある[Chem.Letters,(11)2165(1992);Tetrahedron Letters,29,3997(1988);IT 796247(1,Dec,1967)]。また、前記特開平5−310634号においても、参考例24に開示されている。
発明が解決しようとする課題
しかしながら、これらの方法は、原料合成に多工程を要したり、合成又は入手が困難な原料を用いたりしており、工業的大量合成には適さない。本発明は、容易にしかも安価に4−オキソ−2−アルケン酸エステルを工業的に大量合成するのに適した製造方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、遷移金属触媒存在下でのリンゴ酸誘導体とグリニャール試薬との縮合反応に引き続き、脱カルボン酸することを特徴とする、4−オキソ−2−アルケン酸エステルを製造する方法を見い出した。この方法で用いる式(II)で示される合成原料は安価なラセミ体のリンゴ酸から製造でき、しかもそれが短工程で可能であることと相俟って、本発明方法は安価にかつ簡便に4−オキソ−2−アルケン酸エステルを製造できる方法である。
発明の詳しい説明
本発明は式(II):
[式中、R2は低級アルキル基であり、R3は低級アルキルカルボニル基であり、X1はハロゲン原子である]
で示されるリンゴ酸誘導体に式(III):
R1−MgX2
[式中、R1は低級アルキル基、シクロアルキル基またはシクロアルキル低級アルキル基であり、X2はハロゲン原子である]
で示されるグリニャール試薬を遷移金属触媒の存在下に反応させ、得られた化合物を脱カルボン酸することにより式(I):
[式中、R1及びR2は前記の定義と同意義である]
で示される4−オキソ−2−アルケン酸エステルを製造する方法を提供するものである。
R1、R2及びR3の定義における「低級アルキル」とは、それぞれ独立して直鎖又は分枝鎖状のC1−C8アルキルを意味し、それにはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、2−エチルブチル、1−エチルプロピル等が例示される。R2、R3においては、好ましくはC1−C6アルキルであり、さらに好ましくは、C1−C3アルキルである。
R1の定義における「シクロアルキル基」とはC5−C7シクロアルキルを意味し、それにはシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチルが例示される。「シクロアルキル低級アルキル基」とは、前記定義した低級アルキル基に前記定義したシクロアルキルが置換したものを意味し、例えばシクロヘキシルメチル、シクロペンチルエチル等が例示される。
また、R3は低級アルキルカルボニル基であるが、特にアセチルが好ましい。
X1、X2の定義におけるハロゲン原子とは、それぞれ独立して塩素、臭素等が例示される。
本発明の製造方法は、詳細には以下の2工程から構成される。
第1工程は、リンゴ酸誘導体(II)とグリニャール試薬(III)とを遷移金属触媒の存在下に反応させて化合物(IV)を合成する工程である。
第2工程は、化合物(IV)の脱カルボン酸を行ない、目的とする化合物(I)を合成する工程である。脱カルボン酸は、好ましくは塩基又は酸の存在下に行う。なお、本工程は第1工程終了後、化合物(IV)を単離することなく引き続き行うこともできる。
反応条件の説明
第1工程で使用する化合物(II)及び化合物(III)の使用割合は特に制限されないが、通常は、化合物(III)を化合物(II)に対してモル換算で等量もしくは小過剰量、好ましくは1:1〜1:2、さらに好ましくは1:1〜1:1.3で使用する。
使用する遷移金属触媒としては、周期表の第3族から第11族、好ましくは第7族から第11族のいずれかの元素を含有する塩または錯体である。好ましくは、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅等のハロゲン化塩、リチウムハロゲン化錯体、またはアセチルアセトナート錯体等が例示されるが、特に銅を含有する塩または錯体が好ましい。具体的には、ハロゲン化塩としてFeCl3、CuI、CuBr等が、リチウムハロゲン化錯体としてLi2MnCl4、Li2CuCl4等が、アセチルアセトナート錯体としてFe(acac)3、Ni(acac)2等が例示される。なお、acacは式:
で示される構造を有する部分を表し、例えばNi(acac)2は式:
で示される。好ましくは、CuI、Li2CuCl4を化合物(II)に対して、触媒量、例えばモル換算で2〜10%を用いる。
反応溶媒は、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル類、n−ヘキサン、n−ペンタンなどの炭化水素類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類を単独で、又は混合して使用できる。特に好ましい溶媒は、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルである。
本反応は、通常、−80℃から室温、好ましくは、−50℃から0℃にて、数分から数時間で完結する。
第2工程にて塩基を使用する場合、好ましくは有機塩基であり、例えばトリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ−7−セン等のアミン類が挙げられる。酸としてはHCl、HNO3、H2SO4、ルイス酸(例、BF3・OEt2)等である。塩基又は酸の使用量については特に制限はないが、好ましくは化合物(IV)に対して約1〜5当量、さらに好ましくは、約1〜約3当量を用いる。
反応溶媒は、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル類、n−ヘキサン、n−ペンタンなどの炭化水素類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル等のニトリル類、酢酸エチル等のエステル類を単独で、又は混合して使用できる。特に好ましい溶媒はトルエン、アセトニトリルである。
本工程の反応は、通常、約0℃から約150℃、好ましくは、室温から約120℃、さらに好ましくは約50℃〜約100℃にて数分から数時間で完了する。尚、本工程においてはトランス体である化合物(I)が選択的に得られるので、精製も容易である。
本発明の原料物質であるリンゴ酸誘導体(II)及び、グリニャール試薬(III)は既知の化合物から常法により製造することができる。詳細は参考例により説明する。
以下に実施例及び参考例を記載し、本発明をさらに詳細に説明するが、これらは本発明の限定を意図するものではない。
化合物(II)の合成例
参考例
(±)−3−アセトキシ−3−(メトキシカルボニル) プロピオン酸クロリド:II−aの合成
工程1 (±)−3−アセトキシ−3−(メトキシカルボニル)プロピオン酸:1の合成
シンセティック・コミュニケーションズ(Synth.Commun.)1986年第16巻183頁に記載のS.ヘントロット(S.Henrot)らの方法に従い、(±)−リンゴ酸268gより目的とするハーフエステル体1を結晶として279g得る。収率:73%。融点:62−64℃(トルエン)。
工程2 II−aの合成
上記で得たハーフエステル体1 45.0gと塩化チオニル33.8gの混合物に、N,N−ジメチルホルムアミド0.1mlを加え、40℃で2時間撹拌する。反応液を減圧濃縮し、残渣にトルエン50mlを加え、再び減圧濃縮して目的とする酸塩化物II−aの粗生成物50.0gを得る。このものは精製することなく次の反応に用いる。上記参考例の反応式を下記に示す。
実施例1
(E)−6−エチル−4−オキソ−2−オクテン酸メチ ル:I−aの合成
工程1 (±)−2−アセトキシ−6−エチル−4−オキソオクタン酸メチル:IV−aの合成
窒素気流下、上記で得た酸塩化物II−aの粗生成物50.0gを乾燥テトラヒドロフラン(以下THFと略す)225mlに溶解し、1M Li2CuCl4−THF溶液11.7mlを加える。−15℃に冷却した反応液に、0.72M(2−エチル)ブチルマグネシウムブロミド−THF溶液362mlを1時間で滴下する。滴下終了後、同温でさらに30分間撹拌した反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出する。抽出液を、1N塩酸、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、減圧濃縮して、目的とするケトン体IV−aの粗生成物を油状物質として60.4g得る。このものは精製することなく次の反応に用いる。
1HNMR:δ(CDCl3)0.85(6H,t,J=7,2Hz)1.18〜1.42(4H,m)1.76〜1.90(1H,m)2.11(3H,s)2.36(2H,d,J=6.4Hz)2.84〜3.08(2H,m)3.76(3H,s)5.50(1H,dd,J=7.6Hz,4.6Hz)
工程2:I−aの合成
上記得たケトン体IV−aの粗生成物60.4gをトルエン225ml溶液に、トリエチルアミン39.7mlを加え、85℃で2時間撹拌する。反応液を、1N塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄する。減圧濃縮した残渣を減圧蒸留して目的とするI−aを油状物質として34.6g得る。収率:73.7%(化合物1より、3工程通算)。沸点:92〜95℃(0.6mmHg)。
1HNMR:δ(CDCl3)0.86(6H,j,J=7.2Hz)1.19〜1.50(4H,m)1.79〜1.96(1H,m)2.54(2H,d,J=6.6Hz)3.82(3H,s)6.67(1H,d,J=15.8Hz)7.09(1H,d,J=15.8Hz)
実施例2
(E)−5−エチル−4−オキソ−2−ヘプテン酸メチ ル:I−bの合成
(2−エチル)ブチルマグネシウムブロミドの替わりに3−ペンチルマグネシウムブロミドを用いて、実施例1と同様に反応行ない、目的とする化合物I−bを油状物質として得る。収率:53%(化合物1より、3工程通算)。沸点:68〜72℃(0.8mmHg)。
1HNMR:δ(CDCl3)0.86(6H,t,J=7.4Hz)1.42〜1.80(4H,m)2.51〜2.70(1H,m)3.82(3H,s)6.72(1H,d,J=15.8Hz)7.19(1H,d,J=15.8Hz)
実施例3
(E)−4−シクロヘキシル−4−オキソ−2−ブテン 酸メチル:I−cの合成
(2−エチル)ブチルマグネシウムブロミドの替わりにシクロヘキシルマグネシウムブロミドを用いて、実施例1と同様に反応行ない、目的とする化合物I−cを結晶として得る。融点:53〜56℃(含水メタノール)。
1HNMR:δ(CDCl3)1.10〜1.50(5H,m)1.60〜2.00(5H,m)2.50〜2.63(1H,m)3.81(3H,s)6.69(1H,d,J=15.6Hz)7.17(1H,d,J=15.6Hz)以下に、実施例により製造した化合物の構造式を示す。
実施例4
ヨウ化銅(CuI)を触媒に用いる実施例1と同じ化合物 I−aの製造方法
Li2CuCl4の替わりにヨウ化銅(CuI)を用いて、実施例1と同様に反応を行い、化合物1 32.3gより目的とする化合物I−aを油状物質として25.0g得る。収率:74%(化合物1より、3工程通算)
1HNMR:実施例1にて得た化合物のスペクトルに一致
実施例5
鉄(III)アセチルアセトナート(Fe(acac) 3 )を触 媒に用いる実施例1と同じ化合物I−aの製造法
Li2CuCl4の替わりに鉄(III)アセチルアセトナート(Fe(acac)3)を用いて、実施例1と同様に反応を行い、化合物1 456mgより目的とする化合物I−aを油状物質として196mg得る。収率:41%(化合物1より、3工程通算)
1HNMR:実施例1にて得た化合物のスペクトルに一致
Claims (9)
- 銅触媒が、銅を含有する塩または錯体であ る、請求項1記載の方法。
- 銅触媒が、銅を含有するリチウムハロゲン 化錯体またはハロゲン化塩である、請求項1記載の方 法。
- 銅触媒が、Li 2 CuCl 4 またはCuIである、請 求項1記載の方法。
- R 1 が低級アルキルである、請求項1記載の 方法。
- 銅触媒が、銅を含有する塩または錯体であ り、R 1 が低級アルキルである、請求項1記載の方法。
- R1がC1−C6アルキル、C5−C7シクロアルキル、またはC5−C7シクロアルキルC1−C6アルキルである請求項1に記載の方法。
- R1が2−エチルブチルである請求項1に記載の方法。
- R2がメチルである請求項1から8のいずれかに記載の方法。
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