JP3563241B2 - 溶剤含有被処理体の乾燥装置 - Google Patents
溶剤含有被処理体の乾燥装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3563241B2 JP3563241B2 JP21518397A JP21518397A JP3563241B2 JP 3563241 B2 JP3563241 B2 JP 3563241B2 JP 21518397 A JP21518397 A JP 21518397A JP 21518397 A JP21518397 A JP 21518397A JP 3563241 B2 JP3563241 B2 JP 3563241B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- solvent
- drying chamber
- drying
- concentration
- solvent concentration
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Coating Apparatus (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶剤含有被処理体(例えば、顔料等の固形成分を溶剤中に分散させた塗工液を塗布した基材など)を加熱して溶剤を蒸発させる乾燥装置に関する。
【0002】
さらに詳細には、爆発の危険性なく安全に乾燥させつつ、ヒビ割れなどの表面欠陥のない高品質の乾燥被処理体を連続的に安定して得ることが可能な乾燥装置に関する。
【0003】
【従来の技術】
従来より、溶剤含有被処理体(例えば、顔料等の固形成分を有機溶剤中に分散させた塗工液を塗布した基材など)を帯状ウェブ式、または連続コンベア式などの搬送手段により連続的に乾燥炉(室)内に導入し、塗工液中の溶剤を加熱して蒸発させる乾燥装置が、種々の産業分野において広範囲に利用されてきた。
【0004】
このような乾燥装置の代表例としては、1)インキなどで印刷された紙、布、プラスチック、金属箔、鋼板、ゴムなどの帯状ウェブ、2)磁気粉溶剤、粘着剤溶剤などの塗布されたプラスチックフィルムなどの帯状ウェブ、および3)回路パターンが塗工印刷されたセラミックグリーンシート(連続乾燥炉(室)にて乾燥処理される)などの溶剤含有被処理体を、空気中で乾燥する方式(エアーモード)の乾燥装置などが挙げられる。
【0005】
一般に、上記エアーモードの乾燥装置を用いて上記被処理体の乾燥を行う際、乾燥処理の間に乾燥炉内の溶剤濃度が爆発下限界(LEL)を超えると、任意の着火源により溶剤が爆発、燃焼する危険性がある。このため、従来のエアーモードの乾燥装置においては、乾燥装置を安全に運転するために、大量の希釈空気を乾燥室内に導入し、これにより乾燥室内の溶剤濃度を爆発下限界より充分低く保持する技術が不可欠であった。
【0006】
このような安全に関する技術を備えた乾燥装置としては、例えば、以下が挙げられる。特開昭59−41772号公報は、エアーモードの乾燥装置において、有機溶剤を含有する顔料、染料、塗料、樹脂、金属微粉末などの塗着料が塗工された各種形状の被処理体を加熱して、該塗着料を急速に乾燥させる方法を開示し、これには予め乾燥炉内を通って流れる空気流量速度を制御して乾燥炉内の溶剤濃度を爆発下限界(LEL)の約20〜25%以下に保持する方法が記載されている。特公平5−66194号公報は、エアーモードの乾燥装置において、乾燥室内をいくつかのゾーンに仕切り、各ゾーン毎に溶剤濃度を爆発危険濃度以下に抑制する方法を開示している。
【0007】
ところで、従来の乾燥装置では、生産効率を上げるために、乾燥処理を行う際、被処理体の加熱速度を上げて運転されてきた。しかし、このような加熱速度を上げた乾燥処理を行う場合には、各乾燥室内において、塗膜に吹き付ける熱風の温度または風速(風圧)の制御などの伝熱係数の制御や煩雑な乾燥条件の設定などが必要であった。
【0008】
しかも、乾燥室において熱風を塗膜表面に吹き付けながら塗膜の乾燥を行う「気流方式」の乾燥装置では、乾燥塗膜表面に著しい表面欠陥が生じる場合があった。
【0009】
ここで、以下に、乾燥過程で生じる塗膜表面欠陥の発生について説明する。
【0010】
一般的に、乾燥プロセスは恒率乾燥プロセスと減率乾燥プロセスに分類される。前者は乾燥の初期、即ち溶剤が多い時に、乾燥速度が塗膜表面からの蒸発速度によって支配されるプロセスであり、また後者は、塗膜表面からある程度の溶剤が蒸発して除去された後に、塗膜内部から塗膜表面へ溶剤が拡散する速度によって乾燥速度が支配されるプロセスである。この2つのプロセスのうち、表面欠陥の発生原因は一般に減率乾燥プロセスに起因する。
【0011】
例えば、固形成分の濃度が高い塗工液を用いた場合やウェット塗膜の厚みが大きい場合には、塗膜表面の溶剤は容易に蒸発し得るが、塗膜内部から塗膜表面への溶剤拡散はあまり容易ではない。このため、塗膜表面の溶剤蒸発のみが急速に進行して塗膜表面に固形成分濃度の高い層が生じる(皮ばり現象)。そしてこの皮ばり現象が生じると、塗膜内部の溶剤の塗膜表面上への拡散が抑制され、溶剤が塗膜内部に残留する。次いでこの残留溶剤が上記加熱により急速に蒸発すると、塗膜内に気泡を生じ、これが、上記高固形分層表面を変形させて、ひび割れや、発泡などを生じる。
【0012】
一方、固形成分の濃度が低い場合やウエット塗膜の厚みが小さい場合には、溶剤の蒸発により塗膜中の固形成分濃度が急速に上昇する間に、塗膜内部の溶剤が激しく対流し、これにより乾燥塗膜表面上に風紋上の乱れが生じる。さらに、微粒子を含有する塗工液からなる塗膜の場合には、塗膜中の微粒子の偏在が生じることがあり、特に、微粒子が着色顔料の場合には、塗膜表面の着色ムラが生じる場合がある。
【0013】
上記のような乾燥塗膜の表面欠陥を防止するための従来の知見は、一般に乾燥処理時の加熱速度を遅くして塗膜が硬化するまでの時間を長くし、これにより塗膜の硬化を充分に遅らせて残留溶剤の蒸発を促進させることであった。しかし、この知見に基づいた乾燥処理では、生産効率の向上は望めない。
【0014】
さらに、特開平3−169507号公報は、気流方式のエアーモードの乾燥装置を用いて、上記乾燥塗膜の表面欠陥を防止する方法を開示し、この公報には、乾燥室内の溶剤濃度をある濃度(但し、通常LEL未満)まで向上させて、スラリー内溶剤の乾燥速度を制御し、これによりスラリー乾燥固化時のひび割れなどの塗膜の表面欠陥を防止する手段が記載されている。
【0015】
ここで、図4に特開平3−169507号公報に記載されるような従来の乾燥装置400の模式図を示す。本発明との差異を容易に理解するため、図4は、乾燥室40が3つのゾーンに仕切られた場合の乾燥装置400の概略構成図を示す。従来の乾燥装置400は、乾燥室40内に相当量の希釈空気を供給する空気供給系41と、乾燥室40内の雰囲気ガスを排出する排気系42と、溶剤濃度をバッチ式に検出する溶剤濃度計43と、溶剤濃度調節計44とを備える。この排気系42は、排出される雰囲気ガス量を調整する雰囲気ガス流量調節弁45を備え、この雰囲気ガス流量調節弁45の開閉は、溶剤濃度計43に電気的に連結した溶剤濃度調節計44からの信号により制御される。乾燥装置400は、以上のように構成されるため、乾燥室40内の溶剤濃度を幾分制御することが可能となり、これにより塗膜の溶剤蒸発の速度が幾分制御され得、この結果、塗膜上の表面欠陥がある程度抑制され得た。
【0016】
しかし、この乾燥装置400は、あくまでもエアーモードであり、本質的に乾燥室内の溶剤濃度をLEL以上にすることができない。なぜなら、前述したように乾燥室内の溶剤濃度がLELを上回ると、任意の着火源により溶剤の爆発、燃焼の危険性があるからである。また、この乾燥装置400は、乾燥装置400が有効に運転し得る状態に立ち上がるまで(すなわち、乾燥室内の溶剤濃度が塗膜中の溶剤の蒸発によりある程度上昇するまで)に、多大な時間的ロスおよび製品ロスが生じ、これにより製品の歩留まりが低下するなどの問題があった。さらに、この乾燥装置400は、乾燥室40内の溶剤濃度を1分〜10分間隔のバッチ式で検出するので、溶剤濃度の検出の度に乾燥装置の間欠制御を行う必要があり、これにより乾燥室の立ち上げから乾燥室内が安定な状態となるまでに製品ロスが生じるなどの問題点があった。
【0017】
他方、以上のようなエアーモードの乾燥装置と異なり、特公昭55−36389号公報は、溶剤ガスの爆発、燃焼を防止するために、乾燥室内雰囲気を窒素ガスなどの不活性ガスで実質的に置換して乾燥室内の酸素濃度を低下させ、これにより乾燥室内の溶剤濃度を安全に上昇させ得る乾燥装置を開示している。しかし、この文献の開示する乾燥装置は、基本的に塗膜の品質向上を目的としたものではなく、たとえ乾燥室内の溶剤濃度を安全に上昇させ得たとしても、塗膜の乾燥に適した溶剤濃度に乾燥室内が保持され得ず、このため乾燥塗膜の表面欠陥の改善は不十分であった。しかも、この公報に開示される乾燥装置には、従来の乾燥装置における場合と同様に、乾燥装置の立ち上げから乾燥室内が安定状態となるまでの時間的ロスおよび製品ロスに起因した歩留まり低下を生じるなどの問題点もあった。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、爆発の危険性なく安全に被処理体を乾燥させつつ、表面欠陥のない高品質の乾燥被処理体を連続的に安定して得ることが可能な乾燥装置を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は、溶剤を含有する被処理体を乾燥させる装置であって、該被処理体に熱風を吹き付けて該溶剤を蒸発させる手段を備える、乾燥室と、該乾燥室内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段と、該乾燥室内の溶剤濃度を検出し、該溶剤濃度に対応する電気信号を発生する溶剤濃度検出手段と、該溶剤濃度検出手段の電気信号を受け、該乾燥室内の溶剤濃度を一定に調整する溶剤濃度制御手段と、を備え、該溶剤濃度制御手段が、該乾燥室内に溶剤を供給する溶剤供給手段を備える、乾燥装置に関する。
【0020】
本発明の好ましい実施態様では、上記溶剤濃度制御手段が、上記乾燥室内に溶剤を供給する溶剤供給手段を備える。
【0021】
本発明の好ましい実施態様では、上記溶剤供給手段が、上記乾燥室内に溶剤を噴霧して溶剤濃度を増加させる手段を備える。
【0022】
本発明の好ましい実施態様では、上記溶剤濃度制御手段が、上記乾燥室内の雰囲気ガスを抽気して溶剤濃度を減少させる手段を備える。
【0023】
本発明の好ましい実施態様では、上記抽気された雰囲気ガスから溶剤を除去回収する手段、および上記溶剤が除去回収された雰囲気ガスを上記乾燥室内に供給する手段をさらに備える。
【0024】
本発明の好ましい実施態様では、上記除去回収された溶剤を上記噴霧用溶剤として使用する手段をさらに備える。
【0025】
本発明の好ましい実施態様では、上記溶剤を除去回収する手段が、上記溶剤を冷却させて除去する溶剤凝縮器を備える。
【0026】
本発明は、さらに、溶剤を含有する被処理体を乾燥させる装置であって、該被処理体に熱風を吹き付けて該溶剤を蒸発させる手段を備える、乾燥室と、該乾燥室内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段と、該乾燥室内の溶剤濃度を検出し、該溶剤濃度に対応する電気信号を発生する溶剤濃度検出手段と、
該溶剤濃度検出手段の電気信号を受け、該乾燥室内の溶剤濃度を一定に調整する溶剤濃度制御手段と、を備え、該乾燥室内の溶剤濃度を連続的に検出する手段が、光干渉式溶剤濃度計を備える、乾燥装置に関する。
【0027】
本発明は、さらに、溶剤を含有する被処理体を乾燥させる装置であって、該被処理体に熱風を吹き付けて該溶剤を蒸発させる手段を備える、乾燥室と、該乾燥室内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段と、該乾燥室内の溶剤濃度を検出し、該溶剤濃度に対応する電気信号を発生する溶剤濃度検出手段と、該溶剤濃度検出手段の電気信号を受け、該乾燥室内の溶剤濃度を一定に調整する溶剤濃度制御手段と、を備え、該溶剤濃度制御手段が、溶剤濃度を爆発下限界(LEL)〜約30mol%の範囲にある一定値に制御する手段である、乾燥装置に関する。
【0029】
本発明は、さらに、溶剤を含有する被処理体を乾燥させる装置であって、該被処理体に熱風を吹き付けて該溶剤を蒸発させる手段を備える、乾燥室と、該乾燥室内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段と、該乾燥室内の溶剤濃度を検出し、該溶剤濃度に対応する電気信号を発生する溶剤濃度検出手段と、該溶剤濃度検出手段の電気信号を受け、該乾燥室内の溶剤濃度を一定に調整する溶剤濃度制御手段と、を備え、該不活性ガス供給手段が、該乾燥室内の酸素濃度を検出する酸素濃度検出手段と、該酸素濃度検出手段の検出信号を受け、該酸素濃度を所定範囲内に保つようにする不活性ガス供給調整手段とを備え、該不活性ガス供給調整手段が、該乾燥室の酸素濃度を5mol%以下に保つようにする不活性ガス供給調整手段である、乾燥装置に関する。
【0030】
以下に本発明の作用について説明する。
【0031】
本発明では、乾燥室内雰囲気ガスを不活性ガスと実質的に置換し、かつ乾燥室内の溶剤濃度を被処理体の乾燥に最適な濃度(好ましくは、溶剤爆発下限界(LEL)〜約30mol%の範囲内の濃度)に保持することにより、被処理体内の溶剤の乾燥速度を好適に制御し、乾燥過程で生じる被処理体表面上のひび割れ、発泡などの表面欠陥の発生を防止することを第1の目的とし、そして上記乾燥室内の溶剤濃度を常に該所定濃度に保持することによって、表面欠陥の防止に有効な乾燥運転を連続的に安定して行うことを第2の目的とする。
【0032】
一般に、密閉またはほぼ密閉された雰囲気内の乾燥プロセスにおける塗膜の乾燥速度(蒸発速度)は、その雰囲気の状態により左右される。詳しくは、乾燥速度は、その密閉雰囲気内の乾燥温度、および溶剤濃度(溶剤ガス濃度)に起因する。
【0033】
例えば、該密閉雰囲気内の乾燥温度を下げると、乾燥速度は遅くなる。なぜなら、より高い乾燥温度の飽和蒸気圧と比較すると、より低い乾燥温度における飽和蒸気濃度は、一般的に小さく、このため一定時間内に蒸発する溶剤量が、より低い乾燥温度ほど少ないからである。
【0034】
次に、溶剤がトルエンの場合の飽和蒸気濃度曲線を示すグラフを図2に示し、この図2を参照しながら、該雰囲気内の溶剤濃度と密閉雰囲気内の溶剤の乾燥速度との関係を説明する。
【0035】
図2に示されるように、トルエンの乾燥温度70℃の大気圧における飽和蒸気濃度は約27mol%であり、密閉雰囲気内に溶剤が全く存在しない時点(a)から溶剤濃度が飽和蒸気濃度に到達する(b)までに蒸発可能な溶剤量は、その飽和蒸気濃度27mol%に相当する量であるが、例えば、密閉雰囲気内の溶剤濃度を予め15mol%(c)に設定した場合には、(b)と(c)との間で蒸発可能な溶剤量は、27−15=12mol%に相当する量となる(差(d))。つまり、一定時間内に蒸発する溶剤量は、(c)から乾燥を開始した方が、(a)から乾燥を開始した場合より少ないことになる(すなわち、乾燥速度は遅くなる)。従って、該密閉雰囲気内の溶剤濃度を予め高く設定しておくと、先に説明したように該密閉雰囲気内の乾燥温度を下げた場合と同様に、溶剤の乾燥速度を遅らせる効果がある。
【0036】
本発明者らは、上記効果に着目し、鋭意研究を続けた結果、乾燥室内の溶剤濃度を上昇させ(好ましくは、LEL以上)、乾燥室内の溶剤濃度を被処理体の乾燥に最適な溶剤濃度に保持することにより、溶剤が塗膜表面から蒸発する速度と、溶剤が塗膜内部から拡散する速度との両方が好適に制御され得、これにより乾燥塗膜の表面欠陥が充分に防止され得ることを見出した。
【0037】
固形成分濃度が高い塗工液を施された厚い塗膜を乾燥させる場合は、溶剤の塗膜内部拡散速度を低下させることなく、表面からの蒸発速度を抑制することが可能となり、これにより、発泡およびひび割れなどの乾燥塗膜の表面欠陥が防止され得る。
【0038】
固形成分濃度が低い場合は、乾燥初期の急激な表面からの溶剤蒸発が効率よく抑制され得、かつ塗膜内部の溶剤の対流が防止され得る。これにより、塗工液中に含まれる微粒子などの偏在に起因する乾燥塗膜の表面欠陥が防止され得る。
【0039】
ところで、先に記載したように、エアーモードの乾燥装置(酸素濃度21%)を用いる場合、乾燥室内の溶剤濃度がLELを超えると、静電気などの任意の着火源により溶剤ガスの爆発、燃焼の危険性がある。
【0040】
しかし、たいていの溶剤(例えば、トルエン)では、雰囲気内の酸素濃度を約13%以下にすれば、爆発、燃焼の危険性が消失する。
【0041】
このため、乾燥室内の酸素を排除し、爆発、燃焼という溶剤の酸化反応に対して不活性な状態を実現することにより、安全に溶剤濃度を高めることが可能となる。本発明では、乾燥室内を実質的に不活性ガスで置換し、塗膜乾燥に有効な溶剤濃度まで、乾燥室内の溶剤濃度を安全に高め得るようにしている。ここで、本明細書中使用される「有効溶剤濃度」とは、得られる乾燥被処理体に表面欠陥が生じなくなるのに有効な溶剤濃度を意味することとする。有効溶剤濃度は、当業者が容易に理解し得るように、個々の溶剤に応じた値をとる。
【0042】
以上より、第1の目的が達成される。
【0043】
次いで、図3に、乾燥装置内の溶剤濃度と運転開始からの時間との関係を示し、この図3を参照しながら、被処理体が含有する溶剤以外のさらなる溶剤を添加することなく乾燥室内の溶剤濃度を上昇させる場合と、乾燥室内に適切な量の溶剤を噴霧して予め強制的に溶剤濃度を上昇させる場合との各乾燥室内溶剤濃度について比較する。ここで、点線は、前者の場合を示し、実線は、後者の場合を示す。
【0044】
図3に示されるように、前者の場合の乾燥室内の溶剤濃度は、運転開始からの時間に比例して少しずつ上昇する(g)のみであり、有効溶剤濃度(h)に到達するまで、比較的長い時間(i)を要する。これに対し、後者の場合の乾燥室内の溶剤濃度は、急激に上昇(j)して、短時間の間(K)に上記有効溶剤濃度(h)に到達する。
【0045】
上図より容易に理解し得るように、被処理体が含有する溶剤以外のさらなる溶剤を乾燥室内に噴霧することにより、極めて短時間の間に有効溶剤濃度を達成することが可能となる。従って、有効溶剤濃度を達成した後に、塗工乾燥運転を開始(k)すれば、先に記載したような乾燥装置立ち上げ時などに発生する時間ロスおよび製品ロスが軽減され得る。
【0046】
本発明は、上記のように乾燥運転開始時に迅速に有効溶剤濃度を達成するために、被処理体が含有する溶剤以外のさらなる溶剤を乾燥室内に噴霧して、乾燥室内の溶剤濃度を強制的に有効溶剤濃度まで上昇させる手段を備える。本発明はまた、乾燥処理の継続に伴い、乾燥室内の溶剤濃度が過度に上昇した場合、乾燥室内から溶剤含有雰囲気ガスを適宜抽気することにより、常に乾燥室内の溶剤濃度を有効溶剤濃度に保持する手段を備える。
【0047】
さらに、本発明では、乾燥室内の溶剤濃度検出のために、従来のようなバッチ式の溶剤濃度検出法を用いても差し支えないが、連続的に乾燥室内溶剤濃度を検出する方法を用いるのが好ましい。これにより、検出のための装置の間欠制御が不要となり、時間的ロスまたは製品ロスが充分に抑えられる。
【0048】
以上により、第2の目的が達成される。
【0049】
【発明の実施の形態】
本発明は、例えば、1)インキなどで印刷された紙、布、プラスチック、金属箔、鋼板、ゴムなどの帯状ウェブ、2)磁気粉または粘着剤溶剤液などが塗布されたプラスチックなどの帯状ウェブ、3)連続乾燥炉(室)にて乾燥処理される回路パターンが塗工印刷されたセラミックグリーンシートなどの塗工液を塗布した基材のような溶剤含有被処理体を、爆発の危険性なく安全に乾燥させつつ、ヒビ割れなどの表面欠陥のない高品質の乾燥塗膜を連続的に安定して得ることが可能な乾燥装置に関する。
【0050】
工業的に採用されている乾燥装置は、乾燥室が2室以上の多ゾーンに仕切られているのが通常である。本発明においては、必要に応じて各ゾーン毎に独立して溶剤濃度を保持する手段を設け得る。
【0051】
以下、図面を参照して、本発明の一実施態様を詳細に説明する。
【0052】
図1は、乾燥室が3つのゾーンに仕切られた場合の実施態様を示す概要図である。ここでは、本発明の内容を説明する便宜上、乾燥室の第1ゾーンについての実施態様を説明する。図1に示されるように、本発明の乾燥装置100は、乾燥室2と、乾燥室2に接続された窒素ガス供給系3および排気系4と、酸素濃度計5と、溶剤濃度計9および溶剤濃度調節計11と、溶剤噴霧ポンプ12および溶剤噴霧ノズル14と、雰囲気抽気ファン15とを備える。
【0053】
乾燥室2は、その内部の適切な位置に、溶剤を含有する被処理体1に熱風を吹き付ける手段を備える。上記熱風は、好ましくは、適切なガス(好ましくは、窒素のような不活性ガス)を適切なヒータを用いて加熱することにより得られる。上記ヒータの例としては、特に限定されないが、スチーム、電熱、燃焼ガスなどの熱源が挙げられる。上記被処理体1の加熱温度は、被処理体の乾燥条件に応じて適宜決められる。さらに、他の公知の赤外線輻射による直接加熱も、被処理体の加熱手段として好適に使用され得る。
【0054】
乾燥室2はまた、被処理体1を供給する供給口および被処理体を排出する排出口(図示せず)を備えるが、乾燥室2内は、後述のように窒素雰囲気に保持されるため、外気の侵入を抑える構造(基本的に外気と同圧)が好ましい。乾燥室の圧力が極端に負圧になった場合は、乾燥室の供給口から外気が流入し、乾燥室内の温度条件が乱れたり、移送される被処理体の円滑な走行が妨げられる。一方、乾燥室内が極端に正圧となった場合には、供給口から溶剤ガスが外部へ漏れる。このため、供給口および排出口には、乾燥室を外気から実質的に遮断する機能(例えば、不活性ガスカーテンによるパージ機能)を備えたシールボックス7を備えるのが好ましい。外気の侵入が予想される回転機軸部などにも、不活性ガスによるシール構造を要する。このようなシール構造としては、特公昭59−021656号公報に開示される窒素シール機構が挙げられる。さらに、これらの給排口以外の部分は、断熱材などで被覆された周壁により気密に保持された構造とするのが好ましい。
【0055】
窒素ガス供給系3は、窒素ガスを乾燥室2に供給する適切な供給バルブ3aと、適切な供給管とを備える。排気系4は、乾燥室内を実質的に窒素雰囲気に置換するため、乾燥室2内から空気雰囲気を排出する適切な排出ファン4aを備える。
【0056】
酸素濃度計5は、乾燥室2内の酸素濃度を連続的にサンプリングしてモニターし、乾燥室2内の酸素濃度が常に安全な濃度範囲にあるように作用する。該酸素濃度5は、コントロールシステム6と電気的に連結され、コントロールシステム6は、上記窒素ガス供給バルブ3aと連係されている。
コントロールシステム6は、乾燥室2内の酸素濃度が異常に上昇した場合に乾燥装置の運転を停止させるか、または窒素ガスの供給量を設定値よりも上げて乾燥室2内をパージするように作用する。この場合、該コントロールシステム6からの信号を受けて窒素ガス供給バルブ3aから必要量の窒素ガスが乾燥室2内に供給される。さらに、コントロールシステム6は、上記のような不測の場合に、直ちに酸素濃度の異常を知らせるブザー、ベルなどの警報器に作用する酸素濃度指示警報器(図示せず)を備えるのが好ましい。上記酸素濃度計5および酸素濃度指示警報器は、特に限定されず、公知のものが使用され得る。この酸素濃度計5およびコントロールシステム6により、乾燥室内の酸素濃度は常にモニターされ、好ましくは5mol%以下に保持される。
【0057】
溶剤濃度計9は、該乾燥室2内の雰囲気ガス中の溶剤濃度を連続的に検出するために乾燥室2に接続される。該溶剤濃度計9は、特に限定されないが、高濃度の溶剤濃度を連続的に測定するため、高濃度検出と不活性ガス中の検出とが可能で、化学反応を伴わず、かつ感度劣化や被毒の影響がなく、さらに長期安定運転に適する光波干渉式などの光学式センサーが好ましい。該溶剤濃度計9はまた、乾燥室2内の適切な位置から雰囲気ガスをサンプリングするサンプリング配管8と、該サンプリング配管8の適切な位置に大気温度において結露が発生しない程度に窒素ガスを一定量供給する希釈用窒素ガス供給器10とを備える。該サンプリング配管8は、ヒーターにて加温するか保温材にて保温し、ガス温度の低下を防止する構造とするのが好ましい。なぜなら、高濃度の溶剤ガスがサンプリング配管の途中部分で冷えて結露し、これにより測定値に誤差を生じることがあるからである。しかし、溶剤濃度計9は、従来のバッチ式のものでも差し支えない。
【0058】
溶剤濃度調節計11は、該溶剤濃度計9により検出された溶剤濃度に応じた電気出力を発生し、これにより乾燥室2内の溶剤濃度を予め設定した濃度に保持するように作用する。このメカニズムとしては、まず溶剤濃度調節計11が、溶剤濃度計9により電気信号に変換された溶剤濃度を該予め設定した濃度と比較し、その比較値に応じて、後述の溶剤噴霧ポンプ12または雰囲気ガス流量調節弁18のいずれかに信号を送る。該検出された溶剤濃度が該予め設定した値より低い場合は、該信号は溶剤噴霧ポンプ12に送られ、乾燥室内に溶剤を噴霧するよう作用する。該検出された溶剤濃度が予め設定した値より過度に高い場合は、該信号は雰囲気ガス流量調節弁18に送られ、乾燥室内から雰囲気ガスを抽気するよう作用する。
【0059】
該溶剤噴霧ポンプ12は、噴霧用溶剤を貯留した溶剤タンク13、および溶剤を乾燥室内に供給する溶剤噴霧ノズル14と適切な配管により連結される。該溶剤噴霧ポンプ12と該溶剤濃度調節計11との間は電気的に連結されており、溶剤濃度調節計11からの信号を必要に応じて上記溶剤噴霧ポンプ12が受け、これによりポンプ12に連結された溶剤タンク13から汲み上げられる溶剤量が調節される。
【0060】
雰囲気ガス流量調整弁18は、図1に示すように乾燥室2内の雰囲気ガスを適宜抽気する雰囲気ガス抽気ファン15、該抽気した雰囲気ガスを乾燥室内に循環させる循環配管系17と乾燥室内の雰囲気ガスが再使用され得るように適切な配管により連結される。雰囲気ガス流量調整弁18はまた、上記のように溶剤濃度調節計11との間で電気的に連結されており、必要に応じて溶剤濃度調節計11からの信号を上記雰囲気ガス流量調整弁18が受け、これにより循環配管系17を通過する雰囲気ガスの流量(乾燥室2内に供給される雰囲気ガス量)が調整される。この乾燥室2内に再供給される雰囲気ガス流量に応じて、雰囲気ガス抽気ファン15から乾燥室内の溶剤含有雰囲気ガスが抽気される。
【0061】
このように、溶剤濃度9により検出された値に応じて、乾燥室2内の溶剤濃度が常に設定濃度に保持される。
【0062】
本発明の乾燥装置100は、必要に応じて該循環配管系17の適切な位置に該抽気された雰囲気ガスから溶剤のみを除去回収する溶剤回収装置16を備えるのが好ましい。
【0063】
このように乾燥室2内の雰囲気ガスを溶剤回収装置16に一旦送って溶剤を回収し、残りの雰囲気ガスを乾燥室2に戻す密閉循環系17を構築し、乾燥室内溶剤濃度の過剰分を除去回収する技術は特に限定されないが、特公平3−25228号公報に開示される技術が経済的、環境保護的観点から好ましい。この技術によれば、乾燥室内に新しく供給する窒素の供給量が抑えられ、かつ装置外への雰囲気ガス放出が実質的に回避される。しかし、本発明の乾燥装置100においては、必ずしも上記密封循環系を構築する必要はなく、通常のように単に雰囲気ガス抽気ファン15から抽気された溶剤含有雰囲気ガスを適切な排出口(図示せず)を通して乾燥装置100外へ放出してもよい。この場合は、適切な量の新しい窒素を適切な窒素ガス供給系より乾燥室2内へ供給する。
【0064】
さらに、該溶剤回収装置16と上記溶剤タンク13とを適切な配管を介して連結することにより(すなわち、溶剤含有雰囲気ガスから溶剤回収装置16によって回収された溶剤を噴霧用溶剤として再利用(循環)することにより)、乾燥室内へ噴霧する溶剤を乾燥運転中に適宜補う必要がなくなる。
【0065】
溶剤回収装置16は、特に限定されないが、このような回収方法の例としては、特開昭55−36389号公報に記載されるような、溶剤ガスを冷却して凝縮回収する凝縮方式が好ましい(この公報に開示される技術は、本明細書中参考として援用される)。
【0066】
凝縮方式が用いられる場合、溶剤回収装置に導入された雰囲気ガスは、液化窒素などの冷熱を用いた多段熱交換に供されて溶剤ガスのみが凝縮回収される。この際、凝縮器へ供給する冷媒の温度は、使用する溶剤に応じてある程度選定するのが好ましい。
【0067】
その他の回収方法の例としては溶剤ガスを吸着剤に通して回収する吸着方式などが挙げられる。
【0068】
(乾燥方法)
上記構成を有する乾燥装置を用いて溶剤を含有する被処理体を乾燥する方法を以下に説明する。
【0069】
まず、窒素ガス供給系3から乾燥室2内に窒素ガスを供給し、かつ乾燥室2内の空気雰囲気を排気系4から排気することにより乾燥室2内を実質的に窒素雰囲気に置換する。次いで、溶剤噴霧ポンプ12を起動して、乾燥室2内の各所に位置された溶剤噴霧ノズル14から溶剤を乾燥室2内に噴霧し、これにより、乾燥室2内の溶剤濃度を設定値まで高める。次いで溶剤を含有する被処理体1を乾燥室2内に連続的に図1中矢印A方向に移送させ、これが乾燥室2を通過する間に、熱風を吹き付けて該被処理体1の乾燥を行う。乾燥処理の間、酸素濃度計5により乾燥室2内の酸素濃度を連続的にサンプリングしてモニターし、常に酸素濃度が安全な範囲、好ましくは5mol%未満にあることを確認しながら運転する。さらに、サンプリング管8により乾燥室2内の雰囲気ガスをサンプリングし、溶剤濃度計9により、雰囲気ガス中の溶剤濃度を好ましくは連続的に測定する。
【0070】
ところで、乾燥室内の溶剤濃度が設定値(好ましくは、有効溶剤濃度)に達した後、被処理体の塗工運転を開始すると、被処理体表面から蒸発する溶剤ガスにより、乾燥室内の溶剤濃度は設定値以上に上昇し、溶剤の蒸発量が極端に抑制されて、被処理体表面に残留する溶剤量が増加するなど、最適な乾燥運転ができなくなる場合がある。上記現象を回避するため、過剰に発生した溶剤を乾燥室2外部に排出して乾燥室内雰囲気ガス中の溶剤濃度を設定値に保持する。この際、乾燥室2内に新しい窒素を供給し、かつ溶剤蒸気を含んだ雰囲気ガスを同量だけ排気することにより乾燥室内雰囲気を入れ替えるのが一般的である。しかし、窒素消費量の増大を抑えた経済的な運転を考慮して、先に記載のように特公平3−25228号公報に開示されるような、密閉循環系を構築するのが好ましい。すなわち、ファン15を起動して、適切な流量の乾燥室内雰囲気ガスを抽気する。次いで、抽気した雰囲気ガスを、循環配管系17を経由させ、溶剤回収装置16により溶剤を除去回収する。除去回収した溶剤は、溶剤タンク13中へ適切な配管により送り、後述の乾燥室2への噴霧用溶剤として再使用する。この際、除去回収した溶剤を噴霧用溶剤として使用せずに、除去回収された溶剤を他の溶剤タンクへ貯蔵してもよい。
【0071】
溶剤を除去した雰囲気ガスは、必要に応じて乾燥室2内に供給するが、循環配管系17を通過する雰囲気ガスの流量(前記抽気雰囲気量)は、溶剤濃度調節計11からの信号により、雰囲気ガス流量調整弁18により調節する。
尚、乾燥室内の溶剤(濃度)は、乾燥処理に伴う被処理体中に含有される溶剤の乾燥蒸発により、充分補給され得る。しかし、乾燥装置の立ち上げ時以外でも乾燥室2内の溶剤濃度が設定値に満たない際には、溶剤タンク13から溶剤を溶剤噴霧ポンプ12で昇圧し、溶剤を溶剤噴霧ノズル14から噴霧することにより乾燥室2内の溶剤濃度を強制的に上昇させる。溶剤の噴霧量は、溶剤濃度調節計11からの信号に応じて、溶剤噴霧ポンプ12の吐出量制御または溶剤供給移送管中の流量調節弁(図示せず)の調整により行う。この際、乾燥室2内での噴霧溶剤の蒸発に伴う気化熱による温度の低下について十分注意する必要が有る。
【0072】
このように、溶剤濃度計9によって、乾燥室2内の溶剤濃度を連続的にモニターして、乾燥装置100の立ち挙げ段階から乾燥室2内の溶剤濃度が常に設定値となるように制御しながら被処理体1の乾燥処理を連続的に行う。
【0073】
この溶剤濃度の制御は、複数の乾燥ゾーンに仕切られた乾燥室の場合(図1では3つのゾーンに仕切られている)は、各ゾーン毎に独立して行うことが可能である。
【0074】
【発明の効果】
本発明の乾燥装置は、乾燥室内を不活性ガスで実質的に置換し、そして必要に応じて乾燥室内の酸素濃度を連続的にモニターするため、乾燥室内の溶剤濃度をLEL以上に安全に高めることが可能である。従って、本発明によれば、溶剤を含有する被処理体を、爆発の危険性なく安全に乾燥させ得るだけでなく、被処理体表面および被処理体内部の溶剤蒸発速度を適切に常に制御することが可能となり、表面欠陥のない高品質の乾燥被処理体を容易に得ることができる。
【0075】
本発明の乾燥装置はまた、乾燥室内の溶剤濃度を常に所定の値に保持する手段を備えているために、例えば、乾燥装置が有効に運転し得る状態に立ち上がるまでの間に、時間的ロスを生じることがなく、これにより乾燥炉の立ち上げから安定状態となるまでの製品ロスを極力避けることが可能である。
【0076】
さらに、本発明の乾燥装置は、必要に応じて乾燥炉内の不活性ガスと溶剤ガスとを乾燥装置内で循環させるクローズドシステム形式を採り得るため、実質的に溶剤蒸気の外気への放出を回避し得、これにより環境保全にも優れた効果を有し得る。
【0077】
このように本発明によれば、爆発の危険性なく安全に被処理体を乾燥しつつ、表面欠陥のない高品質の乾燥被処理体を連続的に安定して得ることが可能であり、しかも環境保全に優れた効果を有する乾燥装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の乾燥装置を示す模式図である。
【図2】溶剤がトルエンの場合の飽和蒸気濃度曲線を示すグラフである。
【図3】乾燥装置内の溶剤濃度と運転開始からの時間との関係を示すグラフである。
【図4】従来の乾燥装置を示す模式図である。
【符号の説明】
1.被処理体
2.乾燥室
3.窒素ガス供給系
3a.供給バルブ
4.排気系
4a.排出ファン
5.酸素濃度計
6.コントロールシステム
7.シールボックス
8.サンプリング配管
9.溶剤濃度計
10.希釈用窒素ガス
11.溶剤濃度調節計
12.溶剤噴霧ポンプ
13.溶剤タンク
14.溶剤噴霧ノズル
15.雰囲気ガス抽気ファン
16.溶剤回収装置
17.循環配管系
18.雰囲気ガス流量調整弁
40.乾燥室
41.空気供給系
42.排気系
43.溶剤濃度計
44.溶剤濃度調節計
45.雰囲気ガス流量調節弁
100.本発明の乾燥装置
400.従来の乾燥装置
Claims (9)
- 溶剤を含有する被処理体を乾燥させる装置であって、
該被処理体に熱風を吹き付けて該溶剤を蒸発させる手段を備える、乾燥室と、
該乾燥室内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段と、
該乾燥室内の溶剤濃度を検出し、該溶剤濃度に対応する電気信号を発生する溶剤濃度検出手段と、
該溶剤濃度検出手段の電気信号を受け、該乾燥室内の溶剤濃度を一定に調整する溶剤濃度制御手段と、
を備え、
該溶剤濃度制御手段が、該乾燥室内に溶剤を供給する溶剤供給手段を備える、乾燥装置。 - 前記溶剤供給手段が、前記乾燥室内に溶剤を噴霧して溶剤濃度を増加させる手段を備える、請求項1に記載の乾燥装置。
- 前記溶剤濃度制御手段が、前記乾燥室内の雰囲気ガスを抽気して溶剤濃度を減少させる手段を備える、請求項1または2に記載の乾燥装置。
- 前記抽気された雰囲気ガスから溶剤を除去回収する手段、および該溶剤が除去回収された雰囲気ガスを前記乾燥室内に供給する手段をさらに備える、請求項3に記載の乾燥装置。
- 前記除去回収された溶剤を前記噴霧用溶剤として使用する手段をさらに備える、請求項4に記載の乾燥装置。
- 前記溶剤を除去回収する手段が、該溶剤を冷却させて除去する溶剤凝縮器を備える、請求項4または5に記載の乾燥装置。
- 溶剤を含有する被処理体を乾燥させる装置であって、
該被処理体に熱風を吹き付けて該溶剤を蒸発させる手段を備える、乾燥室と、
該乾燥室内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段と、
該乾燥室内の溶剤濃度を検出し、該溶剤濃度に対応する電気信号を発生する溶剤濃度検出手段と、
該溶剤濃度検出手段の電気信号を受け、該乾燥室内の溶剤濃度を一定に調整する溶剤濃度制御手段と、
を備え、
該乾燥室内の溶剤濃度を連続的に検出する手段が、光干渉式溶剤濃度計を備える、乾燥装置。 - 溶剤を含有する被処理体を乾燥させる装置であって、
該被処理体に熱風を吹き付けて該溶剤を蒸発させる手段を備える、乾燥室と、
該乾燥室内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段と、
該乾燥室内の溶剤濃度を検出し、該溶剤濃度に対応する電気信号を発生する溶剤濃度検出手段と、
該溶剤濃度検出手段の電気信号を受け、該乾燥室内の溶剤濃度を一定に調整する溶剤濃度制御手段と、
を備え、
該溶剤濃度制御手段が、溶剤濃度を爆発下限界(LEL)〜約30mol%の範囲にある一定値に制御する手段である、乾燥装置。 - 溶剤を含有する被処理体を乾燥させる装置であって、
該被処理体に熱風を吹き付けて該溶剤を蒸発させる手段を備える、乾燥室と、
該乾燥室内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段と、
該乾燥室内の溶剤濃度を検出し、該溶剤濃度に対応する電気信号を発生する溶剤濃度検出手段と、
該溶剤濃度検出手段の電気信号を受け、該乾燥室内の溶剤濃度を一定に調整する溶剤濃度制御手段と、
を備え、
該不活性ガス供給手段が、該乾燥室内の酸素濃度を検出する酸素濃度検出手段と、該酸素濃度検出手段の検出信号を受け、該酸素濃度を所定範囲内に保つようにする不活性ガス供給調整手段とを備え、
該不活性ガス供給調整手段が、該乾燥室の酸素濃度を5mol%以下に保つようにする不活性ガス供給調整手段である、乾燥装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21518397A JP3563241B2 (ja) | 1997-08-08 | 1997-08-08 | 溶剤含有被処理体の乾燥装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21518397A JP3563241B2 (ja) | 1997-08-08 | 1997-08-08 | 溶剤含有被処理体の乾燥装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1157577A JPH1157577A (ja) | 1999-03-02 |
JP3563241B2 true JP3563241B2 (ja) | 2004-09-08 |
Family
ID=16668052
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21518397A Expired - Fee Related JP3563241B2 (ja) | 1997-08-08 | 1997-08-08 | 溶剤含有被処理体の乾燥装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3563241B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007171481A (ja) * | 2005-12-21 | 2007-07-05 | Sharp Corp | カラーフィルタのリペア方法 |
JP4880363B2 (ja) * | 2006-05-24 | 2012-02-22 | 富士フイルム株式会社 | 防爆装置及び方法並びにポリマーフイルムの製造装置及び方法 |
JP5322468B2 (ja) * | 2008-03-25 | 2013-10-23 | 富士フイルム株式会社 | 放射線検出器の製造方法及び成膜装置 |
JP5633149B2 (ja) * | 2009-03-09 | 2014-12-03 | 凸版印刷株式会社 | 反射防止フィルム及びその製造方法、偏光板、透過型液晶ディスプレイ |
CN102157505A (zh) * | 2011-01-20 | 2011-08-17 | 日月光半导体制造股份有限公司 | 发光模块 |
JP6280194B1 (ja) * | 2016-12-12 | 2018-02-14 | 中外炉工業株式会社 | 塗装乾燥装置および塗装乾燥方法 |
-
1997
- 1997-08-08 JP JP21518397A patent/JP3563241B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH1157577A (ja) | 1999-03-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US8973283B2 (en) | System and method for solvent recovery in a batch fluidized bed process | |
JP3563241B2 (ja) | 溶剤含有被処理体の乾燥装置 | |
KR20050077502A (ko) | 기판처리방법 및 기판처리장치 | |
RU2441075C2 (ru) | Способ охлаждения металлической полосы, движущейся через секцию охлаждения линии непрерывной термообработки, и установка для внедрения вышеуказанного способа | |
US4308876A (en) | Methods and apparatus for expanding tobacco | |
US20070163502A1 (en) | Substrate processing apparatus | |
US4484396A (en) | Oxygen reduction system and condenser apparatus with automatic defrost | |
JP2007513754A (ja) | プロセスチャンバーのクリーニング方法およびクリーニング装置 | |
JP2016135545A (ja) | オフセット輪転印刷機の乾燥脱臭装置 | |
JPH0370134A (ja) | 溶剤蒸気乾燥装置および乾燥方法 | |
BR112021001355A2 (pt) | sistema de resfriamento e método para removedores de camadas | |
EP3540349B1 (en) | Coating drying method and device therefor | |
US4377173A (en) | Methods and apparatus for expanding tobacco | |
US8142727B2 (en) | Valveless regenerative thermal oxidizer for treating closed loop dryer | |
JP7462161B2 (ja) | 乾燥方法及び乾燥装置 | |
JPS5742121A (en) | Method and apparatus for drying wafer | |
JP2003253268A (ja) | 有機化合物の加熱方法及び加熱装置 | |
JP5871308B2 (ja) | 低沸点溶剤回収方法及びその装置 | |
JP4287988B2 (ja) | 乾燥装置 | |
JPH07120143A (ja) | 真空乾燥装置及び真空乾燥方法 | |
JPH0513426Y2 (ja) | ||
JPH06337194A (ja) | 高温熱風乾燥装置 | |
KR200169676Y1 (ko) | 반도체 웨이퍼 건조장치 | |
JPH0854184A (ja) | 密閉型洗浄器の乾燥方法と装置 | |
JPH06145941A (ja) | 鋼板の加熱乾燥設備 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20040121 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040203 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040304 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20040513 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20040602 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080611 Year of fee payment: 4 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090611 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090611 Year of fee payment: 5 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D04 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100611 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100611 Year of fee payment: 6 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D04 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100611 Year of fee payment: 6 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D02 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100611 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110611 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110611 Year of fee payment: 7 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110611 Year of fee payment: 7 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120611 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130611 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140611 Year of fee payment: 10 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |