JP3562571B2 - 電子部品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子部品に関し、さらに詳しく言えば、リード同一方向型の部品本体に耐熱性合成樹脂からなる座板を取り付けて表面実装可能なチップ型としたアルミニウム電解コンデンサなどの電子部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、回路基板に実装される各種電子部品は、自動機による表面実装化と実装密度を向上させるためにチップ化が進められている。図8に、その一例としてのチップ化されたアルミニウム電解コンデンサ10の分解斜視図を示す。なお、この斜視図において、コンデンサ10は説明の便宜上逆様とした状態で示されている。
【0003】
これによると、このアルミニウム電解コンデンサ10は、内部にコンデンサ素子が収納された有底円筒状の外装ケース11を含み、同外装ケース11の封口部12から一対のリード端子13,13が引き出されたコンデンサ本体10Aと、外装ケース11における封口部12側の端面に取り付けられた座板14とを備えている。
【0004】
座板14は耐熱性合成樹脂からなり、隣接する角部2箇所に極性判別用の角落とし141,141が設けられている点を除けば、全体としてほぼ四角形状に形成されている。座板14には2つのリード挿通孔142,142が穿設されているとともに、座板14の底面(図8において上面)15には、各リード挿通孔142,142から同一直線上において互いに反対方向に延びるリード案内溝143,143が形成されている。
【0005】
各リード端子13,13は、リード挿通孔142,142を挿通して座板14の底面15側に引き出され、その各先端部側がそれぞれリード案内溝143,143にはまり込むように折り曲げられる。
【0006】
なお、リード端子13,13はCP線(銅被覆鋼線)などからなり、本来丸棒であるが、座板14に挿通する前に、その先端部側が羽子板状の平板部にプレスされる(図8参照)。
【0007】
このようにしてチップ化されたアルミニウム電解コンデンサ10は、座板14の底面15に沿う各リード端子13,13を図示しない回路基板のランドにはんだ付けすることにより、その回路基板に表面実装される。
【0008】
回路基板への実装時の安定性とはんだ付け強度を高めるため、この従来例では、座板14の底面15にもっぱらはんだ付けだけのためのダミー端子を設けている。すなわち、2つのダミー端子16,16をリード端子13,13と直交する方向に沿って配置することにより、擬似的な4端子構造として、回路基板に対する実装時の安定性とはんだ付け強度を高めるようにしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来例によると、次のような課題がある。すなわち、各リード端子13,13を座板14のリード挿通孔142,142に挿通した後、互いに離れる方向に折り曲げているが、リード端子13,13には弱いにしろバネ弾性がある。
【0010】
このため、その折り曲げ力を解くとスプリングバックを起こし、図9に誇張して示されているように、リード端子13,13が座板14の底面15から浮いてしまい、回路基板に対する実装時の安定性に欠け、はんだ付け不良などの原因となる。
【0011】
そこで、このスプリングバックを防止するため、図10に示されているように、例えばリード端子13を平板状にプレスする際、リード端子13の根元側に楔状の折り曲げ溝131を刻設し、この折り曲げ溝131の部分からリード端子13を折り曲げることが行なわれている。
【0012】
これによれば、スプリングバックの問題はなくなるが、次のような別の課題が生ずる。すなわち、折り曲げ溝131が刻設された部分の機械的強度が低下するため、例えば車載用とした場合、その振動によって折り曲げ溝131の部分が切断してしまうことがある。
【0013】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的は、リード端子のスプリングバックを押さえて、端子浮きが発生しないにようにした電子部品を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、部品素子が内蔵された有底筒状の外装ケースを含み、同外装ケースの封口部から一対のリード端子が同一方向に引き出された部品本体と、上記リード端子に対応する一対のリード挿通孔を有し、上記部品本体の封口部側に装着される耐熱性合成樹脂からなる座板とを備え、上記一対のリード端子が上記リード挿通孔から上記座板の底面側に引き出され、その各先端部側が同座板の底面に沿って互いに離れる方向に折り曲げられている電子部品において、上記リード端子の各先端部を上記座板に対して挟み付けるクリップ端子を備えていることを特徴としている。
【0015】
この構成によれば、リード端子の折り曲げ後に、その先端部側がクリップ端子端子にて座板に挟み付けられるため、スプリングバックが発生せず、端子浮きとなるおそれがない。
【0016】
また、本発明によれば、各リード端子を座板の底面側に引き出すことなくチップ化することができる。すなわち、本発明の別の特徴は、部品素子が内蔵された有底筒状の外装ケースを含み、同外装ケースの封口部から一対のリード端子が同一方向に引き出された部品本体と、上記部品本体の封口部側に装着される耐熱性合成樹脂からなる座板とを備え、上記一対のリード端子の各先端部側が上記座板の上面に沿って互いに離れる方向に折り曲げられているとともに、上記リード端子の各先端部がクリップ端子により上記座板に対して挟み付けられていることにある。
【0017】
本発明において、上記クリップ端子は弾性変形可能な導電性金属からなり、上記座板の端面に相対する基板部と、同基板部の両端から上記座板の上面および底面に沿って延在するように折り曲げられた上下一対の挟持片とを備えていればよく、用いられる導電性金属は板状もしくは棒状のいずれであってもよい。
【0018】
上記クリップ端子の少なくとも上記座板の底面に沿わされる下方の挟持片にははんだメッキが施されていることが好ましい。これによれば、上記部品本体の各リード端子は、当該電子部品が実装される回路基板の所定のパターンに上記クリップ端子を介して確実に電気的に接続されることになる。
【0019】
また、上記座板の底面には、上記クリップ端子を同座板の底面とほぼ同一面に収納する深さの溝が形成されていることが好ましく、これによれば、実装時の安定性が確保される。
【0020】
本発明の好ましい態様によれば、座板とリード端子とのずれやクリップ端子の脱落を防止するため、上記座板の上面もしくは底面の少なくとも一方の面には係合溝が形成されるとともに、上記リード端子には上記係合溝内に係合する係合突起が形成される。また、上記クリップ端子の挟持片にも上記係合溝内に係合する係合突起が形成される。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を図面に示された実施例に基づいてより詳しく説明する。なお、この実施例もチップ化する対象の電子部品は、上記従来例と同様のアルミニウム電解コンデンサであり、特に変更を要しない部分には同じ参照符号が援用されている。
【0022】
図1には、これからチップ化しようとする部品本体としてのコンデンサ本体10Aと、これに装着される座板14とが互いに分離した状態で示されている。この実施例においても、コンデンサ本体10Aは、先に説明したのと同様に、その封口部12から一対のリード端子13,13が同一方向に引き出されたリード同一方向型である。各リード端子13には、丸棒状のCP線(銅被覆鋼線)が用いられているが、各リード端子13は図示しないプレス手段により扁平な帯板状に加工されている。
【0023】
座板14についても、先に説明したのと同様に耐熱性合成樹脂からなり、一対のリード挿通孔142,142が穿設されているとともに、その底面15には、各リード挿通孔142,142の部分から同一直線上において互いに反対方向に延びるリード案内溝143,143が形成されている。なお、耐熱性合成樹脂としては、例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)や液晶ポリマーもしくはポリフタルアミド樹脂などが例示される。
【0024】
また、座板14の底面15には、もっぱらはんだ付けだけのためのダミー端子16,16がリード端子13,13と直交する方向に沿って配置され、擬似的な4端子構造として、回路基板に対する実装時の安定性とはんだ付け強度を高めるようにしている。
【0025】
本発明において、リード端子13,13は折り曲げ溝を形成されることなく座板14のリード挿通孔142,142に挿通され、その各先端部側がリード案内溝143,143内に嵌合するように互いに離れる方向にほぼ直角に折り曲げられるのであるが、この場合、一対のクリップ端子20,20を備えており、リード端子13,13の各先端部は図2に示されているように、クリップ端子20,20により座板14に対して挟み付けられる。クリップ端子20は、挟み付けた後にはリード端子13と溶接してもよく、また、座板14の耐熱性合成樹脂と接着材で固着してもよい。
【0026】
クリップ端子20,20は同一構成であるため、その一方を図3(a)の斜視図により説明する。この実施例において、クリップ端子20は、はんだ付け可能もしくははんだメッキ処理された弾性変形可能な金属の帯板からなり、座板14の端面に相対する基板部21と、同基板部21の両端から座板14の上面および底面に沿って延在するように折り曲げられた上下一対の挟持片22,23とを備えている。
【0027】
クリップ端子20には、真鍮にはんだメッキしたものや硬鉄にはんだメッキしたものが好ましく採用されるが、挟持片22,23の自然状態における間隔は、座板14の厚さにリード端子13の厚さを足した合計厚さよりも実質的に狭い間隔とされ、この実施例においては、挟持片22,23の各先端部221,231は座板14への差し込みを容易とするため外側に向けて若干湾曲されている。
【0028】
なお、図3(b)に変形例として示されているように、挟持片22,23を基板部21に対して単純に鋭角的に折り曲げただけのクリップ端子20Aを用いてもよい。また、クリップ端子20,20Aは必ずしも板材である必要はなく、場合によってはバネ線材から構成されていてもよい。
【0029】
このように、リード端子13,13は折り曲げ溝を形成されることなくほぼ直角に折り曲げられるが、その各先端部がクリップ端子20,20により座板14に挟み付けられるため、端子浮きが生ずるおそれはない。
【0030】
図2からも分かるように、本発明によれば、下方挟持片23がリード端子13とともに、図示しない回路基板の所定のはんだランド上に置かれて、そのはんだランドにはんだ付けされることになる。したがって、回路基板への実装時の安定性を高めるため、リード案内溝143は下方挟持片23が座板14の底面15またはダミー端子16の底面から突きでないように、その板厚分だけ従来例のリード案内溝よりも深く形成されていることが好ましい。
【0031】
以上が本発明の第1実施例であり、次に、図4により本発明の第2実施例について説明する。図4には一対のリード端子13,13の内の一方しか示されていないが、この第2実施例の特徴は、リード端子13を座板14の底面15側に引き出すことなくチップ化し得る点である。図示されていない他方のリード端子13も同様に構成されていると理解されたい。
【0032】
すなわち、この第2実施例において、リード端子13は座板14の上面17に沿って折り曲げられ、その先端部がクリップ端子20により座板14に挟み付けられている。したがって、リード端子13に折り曲げ溝を形成することなく、リード端子13を折り曲げたとしても、そのスプリングバックがクリップ端子20により押さえ付けられることになる。
【0033】
この第2実施例においては、クリップ端子20のみが図示しない回路基板とはんだ付けされ、リード端子13と回路基板はクリップ端子20を介して電気的に接続されることになる。この場合においても、回路基板への実装時の安定性を高めるため、座板14の底面15側には、クリップ端子20の下方挟持片23が座板14の底面15から突きでないように、その板厚分を吸収する溝151が形成されることが好ましい。
【0034】
上記第1および第2実施例では、座板14がコンデンサ本体10Aよりも大きく形成され、その側縁がコンデンサ本体10Aの側方にせり出しているが、図5に示されているように、座板14の上面17に、クリップ端子20の上方挟持片22の板厚分を吸収する溝171を形成することにより、クリップ端子20をコンデンサ本体10Aの封口部12内に潜り込ませて、座板14をより小型化することができる。
【0035】
また、特に上記第2実施例のように、リード端子13を座板14の上面17に沿わせる場合、その上面17の所定部位に係合溝172を設けるとともに、リード端子13側に係合溝172に係合する係合凸部132を形成して、クリップ端子20で挟み付けることにより、コンデンサ本体10Aと座板14の相対的な位置ずれを確実に防止することができる。なお、リード端子13がクリップ端子20の挟み付け力により容易に変形可能である場合、必ずしもリード端子13に係合凸部132を形成する必要はない。
【0036】
また、図6の構成に加えて、図7に示されているように、座板14の溝151内にさらに係合溝152を形成して、その係合溝152内にクリップ端子20の下方挟持片23を係合させることにより、クリップ端子20の脱落をも確実に防止することができる。なお、図5ないし図7の構成は上記第1実施例に対しても適用可能である。
【0037】
本発明において、ダミー端子16は必ずしも必要とされる部品ではないが、回路基板に対する実装時の安定性とはんだ付け強度を高める点からすれば、ダミー端子16の使用が推奨される。また、本発明で言う部品本体はアルミニウム電解コンデンサに限定されるものでない。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、リード同一方向型の部品本体に座板を取り付け、楔状の折り曲げ溝を形成することなく各リードをそのまま折り曲げてチップ部品化するにあたって、各リード端子の先端部側をクリップ端子にて座板に挟み付けるようにしたことにより、リード端子の端子浮きを確実に防止することができる。
【0039】
また、本発明によれば、部品本体の各リード端子を座板の底面側に引き出すことなく、部品本体をチップ化することができる。したがって、座板にリード挿通孔を設ける必要がなく、座板成形金型が単純なもので済むとともに、組み立て作業性の改善が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例であるチップ型アルミニウム電解コンデンサを、そのコンデンサ本体と座板とに分離して示した斜視図。
【図2】同チップ型アルミニウム電解コンデンサの要部断面図。
【図3】上記実施例に適用されているクリップ端子の斜視図。
【図4】本発明の第2実施例の要部断面図。
【図5】上記第2実施例の第1変形例を示した断面図。
【図6】上記第2実施例の第2変形例を示した断面図。
【図7】上記第2実施例の第3変形例を示した断面図。
【図8】従来例の構成を示した分解斜視図。
【図9】同従来例の正立させた状態における側面図。
【図10】別の従来例を説明するための説明図。
【符号の説明】
10 電子部品(アルミニウム電解コンデンサ)
10A 部品本体(コンデンサ本体)
11 外装ケース
12 封口部
13 リード端子
132 係合凸部
14 座板
142 リード挿通孔
143 リード案内溝
15 座板の底面
151 溝
152 係合溝
17 座板の上面
171 溝
172 係合溝
20 クリップ端子
21 基板部
22,23 挟持片

Claims (8)

  1. 部品素子が内蔵された有底筒状の外装ケースを含み、同外装ケースの封口部から一対のリード端子が同一方向に引き出された部品本体と、上記リード端子に対応する一対のリード挿通孔を有し、上記部品本体の封口部側に装着される耐熱性合成樹脂からなる座板とを備え、上記一対のリード端子が上記リード挿通孔から上記座板の底面側に引き出され、その各先端部側が同座板の底面に沿って互いに離れる方向に折り曲げられている電子部品において、
    上記リード端子の各先端部を上記座板に対して挟み付けるクリップ端子を備えていることを特徴とする電子部品。
  2. 部品素子が内蔵された有底筒状の外装ケースを含み、同外装ケースの封口部から一対のリード端子が同一方向に引き出された部品本体と、上記部品本体の封口部側に装着される耐熱性合成樹脂からなる座板とを備え、上記一対のリード端子の各先端部側が上記座板の上面に沿って互いに離れる方向に折り曲げられているとともに、上記リード端子の各先端部がクリップ端子により上記座板に対して挟み付けられていることを特徴とする電子部品。
  3. 上記クリップ端子が弾性変形可能な導電性金属からなり、上記座板の端面に相対する基板部と、同基板部の両端から上記座板の上面および底面に沿って延在するように折り曲げられた上下一対の挟持片とを備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の電子部品。
  4. 上記クリップ端子の少なくとも上記座板の底面に沿わされる下方の挟持片にははんだメッキが施されていることを特徴とする請求項1,2または3に記載の電子部品。
  5. 上記座板の底面には、上記クリップ端子を同座板の底面とほぼ同一面に収納する深さの溝が形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電子部品。
  6. 上記座板の上面もしくは底面の少なくとも一方の面には係合溝が形成されているとともに、上記リード端子には上記係合溝内に係合する係合突起が形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電子部品。
  7. 上記クリップ端子の挟持片にも上記係合溝内に係合する係合突起が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の電子部品。
  8. 上記部品本体の各リード端子は、当該電子部品が実装される回路基板の所定のパターンに上記クリップ端子を介して電気的に接続されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の電子部品。
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