JP3560626B2 - 有用物質の回収法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、生理活性物質その他各種の有用物質の回収法に関するものであって、更に詳細には、本発明は有用物質含有液、例えば微生物の培養液、化学反応液、または人及び動物の尿や血液等から有用物質を回収する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び問題点】
従来、微生物の培養液、化学反応液、または人および動物の尿や血液等の有用物質含有液から有用物質を回収する方法として、塩類や各種有機溶媒を適量添加する分別沈澱法またはpH調整を併用する分別沈澱法や、分子の大きさまたは形状で分画する限外濾過法やゲル濾過法またはイオン結合力や疎水結合力等を利用した各種クロマトグラフィー等がよく用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの回収方法では工程が非常に複雑になり、目的有用物質の回収率が低く生産効率が悪いため、目的とする有用物質を産業上利用する量を得ることができなく、また、目的有用物質のコストが高くなるといった問題があった。そこで、効率よく工業的にも対応できる有用物質の回収方法の開発が強く求められていた。
【0004】
また、例えば生体成分中に含有される生理活性物質などは、その含有量が微量であるだけでなく回収処理中に活性が低下したりあるいは失活したりする場合が多く、したがって、このような微量な目的有用物質を活性を保持しながら効率的に回収できる方法の開発も強く求められていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような業界の現状に鑑み、有用物質含有液から目的とする有用物質を効率よく回収する方法について鋭意検討を行ったところ、ポリエーテルアルコールと種々の物質が複合体を形成することを見い出し、この知見に基づき本発明を完成した。
【0006】
本発明は、有用物質含有液にポリエーテルアルコールを加え、有用物質とポリエーテルアルコールの複合体を形成せしめ回収する有用物質の回収法をその基本的技術思想とするものである。
【0007】
そして本発明の実施態様のひとつとして、次のような回収法が挙げられる。目的有用物質とポリエーテルアルコールの複合体を形成せしめ、該複合体を濾過膜または遠心にて集め、濃縮し、その後水等で洗浄して共存する成分を除いたのち、溶媒で目的有用物質を抽出し、該抽出画分に目的有用物質と共に抽出され含有されているポリエーテルアルコールを限外濾過することにより除去し、有用物質を回収することを特徴とする有用物質の回収法。
【0008】
以下本発明についてさらに詳細に説明する。
【0009】
本発明を実施するには、有用物質とポリエーテルアルコールとを接触せしめて複合体を形成せしめる必要があるが、本発明に用いるポリエーテルアルコールは、目的有用物質と複合体を形成せしめる性質を有するものであれば如何なるものでも使用出来、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールまたはそれらの誘導体を用いることができる。それらの誘導体の具体例としては、ポリオキシプロピレングリコールエチルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールブチルエーテル、ポリオキシブチレングリコールブチルエーテル、ポリオキシエチレン・プロピレングリコールブチルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールグルセリルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールソルビトールエーテル、ポリオキシプロピレンブチルアミン、ポリオキシエチレン・オキシプロピレンブチルアミン、ポリオキシプロピレングリコールアセテート、ポリオキシブチレングリコールプロピオネート、ポリオキシエチレン・オキシプロピレンアセテート等が挙げられる。
【0010】
本発明で使用されるポリエーテルアルコールは、有用物質を回収する目的で有用物質含有液に加えられる。例えば有用物質含有液が微生物の培養液や化学反応液などの場合、培養または化学反応終了後に添加し有用物質との複合体を形成させればよいが、微生物の生育阻害や化学反応を阻害しない範囲であれば、培養時または化学反応時に添加してもよい。
【0011】
本発明の回収方法が適用される有用物質含有液は、前記したような微生物の培養液、発酵液、生合成の反応液、動物又は植物の抽出液、人や動物の尿や血液等のほか、化学合成の反応液等有用物質を含有する液体をすべて包含する。
【0012】
回収される目的有用物質としては、酵素、ホルモン、抗体、抗原、生理活性物質等のタンパク質やペプタイドのほか、脂質、炭水化物、糖タンパク質、ビタミン、抗生物質、核酸関連物質、各種のバイオテクノロジー生産物等、及び、合成反応生成物、バイオリアクター反応生成物等、すべての物質が包含される。
【0013】
本発明は、例えば、バチルス・アミロリキファシエンス HSCC 124(Bacillus amyloliquefaciens HSCC 124、FERM P−13845)の培養液から抗生物質イツリンAの回収等にも有効に適用できる。イツリンAは既知のペプチド系抗生物質(Tetrahedron Lett.,23,3065〜3068(1982))で、8種のペプチド化合物の混合物として同定され抗菌作用のあることが知られている。
【0014】
本発明においては、目的有用物質含有液にポリエーテルアルコールを添加し、複合体を形成せしめ、目的有用物質を回収するが、この時ポリエーテルアルコールと複合体を形成しない共存成分は洗浄除去する事ができる。
【0015】
目的有用物質とポリエーテルアルコールとの複合体を回収する方法としては、濾過膜による回収法、遠心分離による回収法等が挙げられるが、好適にはMF膜、UF膜等による分画回収方法が好ましい。使用する膜としては、目的有用物質とポリエーテルアルコールとの複合体を濃縮できるポアサイズを有するものならばどのような形状及び材質の膜でもよい。
【0016】
また膜濾過等により回収した目的有用物質−ポリエーテルアルコール複合体と残存する共存物質から目的有用物質を抽出する溶媒としては、目的有用物質の活性や構造等に影響を与えないものであればどのようなものでもよく、その濃度は目的有用物質を効率良く抽出できる濃度を適宜選択すればよい。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル等が好適に用いられ、その濃度は1〜99%、好ましくは10〜80%で用いられる。
【0017】
溶媒処理によって、目的有用物質−ポリエーテルアルコール複合体が目的有用物質とポリエーテルアルコールとに分離されて抽出される。したがって溶媒にて抽出した画分には、このようにして分離抽出された目的有用物質とポリエーテルアルコールのほかに、該複合体の抽出に関与しなかったポリエーテルアルコールも同時に抽出されて含有されている。この画分から目的有用物質だけを分画回収する方法としては、限外濾過膜による分画や、クロマトグラフィー等が挙げられるが、目的有用物質とポリエーテルアルコールの分子量が異なる場合には、限外濾過膜による回収方法が好適に用いられる。目的有用物質またはポリエーテルアルコールのみが濾過される分画分子量を有する膜を使用すれば目的有用物質をポリエーテルアルコールと容易に分画回収することができる。
【0018】
本発明回収法によって目的有用物質を有用物質含有液より回収することができるが、さらに目的有用物質を精製するためにはクロマトグラフィー等既知の精製法を用いて精製すればよい。
【0019】
以下本発明を実施例によって示すが、これは例示的なものであり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0020】
【実施例1】
種培地としてグルコース2%、ペプトン0.5%、酵母エキス0.1%、CaCO 0.01%、NaCl 0.01%の組成の培地を用いた。
また、生産培地としてフルクトース2%、ペプトン1%、酵母エキス0.1%、CaCO 0.01%、NaCl 0.01%の組成からなる培地を用いた。なお前記種培地及び生産培地は滅菌前に全てpH7.2に調整して使用した。
【0021】
前記の種培地150mlを分注した500ml容三角フラスコを120℃で15分間滅菌し冷却した。これにバチルス アミロリキファシエンス HSCC 124(FERM P−13845)の斜面寒天培地の2〜3白金耳を接種し、30℃で12時間振とう培養して種培養とした。次いで、前記の生産培地15Lを30Lジャーファーメンターに入れ、ポリプロピレングリコール10mlを加えた後、120℃、15分間滅菌し、冷却した。これに前記種培養150mlを接種して30℃、通気量0.5vvm、攪拌数150rpmで12時間培養し、ポリプロピレングリコール30mlを加えてさらに24時間培養した。
【0022】
培養終了後、培養液15Lを0.45μmの濾過膜で濾過することにより、膜上に菌体並びにイツリンAを含む複合体を集め、水で十分水洗し、夾雑物を除去した。次いで、膜上に残った菌体並びにイツリンAを含む画分にイソプロパノールを40%〜50%濃度になる様に加え、イツリンAを含む画分を抽出し、0.45μmの濾過膜の濾液画分として分取した。この濾液画分3Lを更に分画分子量3000の限外濾過膜にて濾過分画し、濾過画分を分取することにより夾雑物を除去し、イツリンA含有液2.5Lを得た。この様に分取したイツリンAを含む画分を1.9LのODS−C18(綜研化学社製)を充填したカラムに通し吸着させた。カラムを25%アセトニトリル5Lで洗浄した後、38%アセトニトリルで溶出させ、分画した。生物活性を測定後各々の活性画分を集め減圧濃縮した。
本発明方法により培養液より90%の回収率でイツリンAを回収することができた。
【0023】
【実施例2】
実施例1と同じ組成の培地を種培地として使用し、これにバチルス アミロリキファシエンス HSCC 124(FERM P−13845)の斜面寒天培養の2〜3白金耳を接種し、30℃で12時間振とう培養して種培養とした。次いで、フルクトース2%、ペプトン1%、酵母エキス0.1%、CaCO 0.01%、NaCl 0.01%(pH7.2)の組成からなる生産培地15Lを30Lジャーファーメンターに入れ、120℃、15分間滅菌し、冷却した。これに前記種培養150mlを接種して30℃、通気量0.5vvm、攪拌数150rpmで36時間培養した。
【0024】
培養終了後、培養液15Lにポリプロピレングリコール40mlを加え攪拌した後、0.45μmの濾過膜で濾過することにより、膜上に菌体並びにイツリンAを含む複合体を集めて、水で十分水洗し、夾雑物を除去した。次いで、膜上に残った菌体並びにイツリンAを含む画分にイソプロパノールを40%〜50%濃度になる様に加え、イツリンAを含む画分を抽出し、0.45μmの濾過膜の濾液画分として分取した。この濾液画分3Lを更に分画分子量3000の限外濾過膜にて濾過分画し、濾過画分を分取することにより夾雑物を除去し、イツリンA含有液2.5Lを得た。この様に分取したイツリンAを含む画分を1.9LのODS−C18(綜研化学社製)を充填したカラムに通し吸着させた。カラムを25%アセトニトリル5Lで洗浄した後、38%アセトニトリルで溶出させ、分画した。生物活性を測定後各々の活性画分を集め減圧濃縮した。
【0025】
本発明方法により培養液より88%の回収率でイツリンAを回収することができた。
【0026】
【発明の効果】
本発明は有用物質含有液より有用物質を高収率で回収することができる工業的に優れた方法である。本発明により、低コストで各種有用物質の生産が可能になった。

Claims (7)

  1. 有用物質含有液にポリプロピレングリコールを加え、有用物質とポリプロピレングリコールとの複合体を形成せしめること、を特徴とするポリプロピレングリコールと複合体を形成する有用物質の回収法。
  2. 有用物質含有液にポリプロピレングリコールを加え、有用物質とポリプロピレングリコールとの複合体を形成せしめた後これを溶媒により抽出し、次いで有用物質を分画回収すること、を特徴とするポリプロピレングリコールと複合体を形成する有用物質の回収法。
  3. 有用物質含有液にポリプロピレングリコールを加え、有用物質とポリプロピレングリコールとの複合体を形成せしめ、該複合体を濾過膜または遠心にて集め、洗浄し、共存する成分を除去した後、溶媒で有用物質とポリプロピレングリコールを抽出し、得られた有用物質とポリプロピレングリコール抽出液を限外濾過することによりポリプロピレングリコールを除去し、有用物質を回収すること、を特徴とするポリプロピレングリコールと複合体を形成する有用物質の回収法。
  4. 溶媒がメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、及びアセトニトリルより選択される単独あるいは混合物であることを特徴とする請求項2〜請求項3のいずれか1項に記載の回収法。
  5. ポリプロピレングリコールと複合体を形成する有用物質がタンパク質、ペプタイド、脂質、炭水化物、糖タンパク質、ビタミン、抗生物質及び核酸関連物質から選択される1種又は2種以上であること、を特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の回収法。
  6. ポリプロピレングリコールと複合体を形成する有用物質が、ペプチド系抗生物質であること、を特徴とする請求項5に記載の回収法。
  7. ペプチド系抗生物質がイツリンAであること、を特徴とする請求項6に記載の回収法。
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