JP3560571B2 - 半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は半導体装置に関し、特に半導体基板の位置決め構造、およびトリガ信号として機能する光信号の伝送を行う部品の位置決め構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
図9は、従来の圧接型半導体装置の一つである光トリガ型の圧接型サイリスタの一例を示す正面断面図である。図9に示すように、この圧接型サイリスタでは、サイリスタ素子が作り込まれた半導体基板1の下主面に、この半導体基板1と熱膨張係数が近似した材料で構成される熱補償板3が取り付けられている。この熱補償板3と半導体基板1とは、アルミニウムあるいはアルミニウム−シリコン等のろう材によって、互いにろう付けされている。
【0003】
熱補償板3には、その端面において整形加工が施されるとともに、化学処理が施されており、さらに表面処理剤が塗布されている。また、熱補償板3の下主面には、銅で構成される主電極5が当接している。この主電極5は、金属板8を介して、セラミックで構成される絶縁筒6と、銀ろう付けされている。
【0004】
半導体基板1の上主面には、もう一つの熱補償板2が設置されている。この熱補償板2は、半導体基板1の上主面にシリコーンゴム等で貼着されている。熱補償板2の上主面には、銅で構成される主電極4が当接している。主電極4は、金属板7を介して、セラミックで構成される絶縁筒6と、銀ろう付けされている。
【0005】
絶縁筒6は、2つの主電極間の絶縁を行うとともに、主電極4、5、および金属板7、8とともに、半導体基板1等を内部に収納するハウジングを構成する。絶縁筒6には、光信号を導くための金属管11aおよび排気栓として機能する金属管11bが銀ろう付けによって取付られている。
【0006】
金属管11aには、外部から入力される光信号を受光部へ導くライトガイド10が挿入されている。このライトガイド10は、ハンダあるいは低融点ガラス等の接着剤によって金属管11aに気密に固着されている。半導体基板1の中央には受光部1aが設けられており、ライトガイド10の出光端面は、この受光部1aに固定的に結合している。
【0007】
ライトガイド10と受光部1aとの結合は、光学的透過性があり屈折率がライトガイド10のそれと近似し、かつ緩衝作用のあるシリコーンゴム等の光結合剤21によって行われている。ライトガイド10が固定されるのは、光伝送系の結合効率の低下を防いで、できるだけ大きな光パワーを受光部1aへ伝達するためである。
【0008】
上述したハウジングの内部は、気密となっており、しかも不活性ガスが封入されている。ハウジングの中に、半導体基板1、熱補償板2、および熱補償板3が収納された状態で、主電極5に銀ろう付けされた金属板8の端面と絶縁筒6とを最後に溶接した後、内部に残留するガスを金属管11bを通して排気ししかも不活性ガスで置換し、その後、金属管11bの端部をアーク溶接することによって、ハウジングの気密性と不活性ガスの封入とが実現されている。
【0009】
光信号は、光源となる外部のLEDもしくはLD等(図示せず)から、外部の光ファイバー(図示せず)を通して伝達され、外部のコネクタ(図示せず)を介してライトガイド10の入光端面へと導かれる。ライトガイド10は、入射された光信号の進行方向を90゜変えて、半導体基板1の受光部1aに対向する出光端面より受光部1aへ照射する。
【0010】
半導体基板1は、この光信号を受光部1aの付近で光電流に転換し、この光電流を増幅することによって、2つの主電極4、5の間を導通状態とする。すなわち、この装置は光信号をトリガとしてスイッチング動作を行う。
【0011】
図10は、特開平4−120772号公報に開示されるもう1つの従来の圧接型サイリスタの正面断面図である。この装置は、半導体基板1と熱補償板2、3との間がろう付けされない、いわゆるアロイフリー構造を有する電気トリガ型のGTO(ゲートターンオフ)サイリスタである。
【0012】
この装置は、図9に示した装置とは異なり、半導体導体1と熱補償板2、3との間がろう付けされないので、これらの部材間の熱膨張係数の相違に起因して発生する熱変形、すなわち温度変化に伴う反り変形が数μm程度に小さく抑えられる。このため、熱補償板2、3、と主電極4、5との間に均一な圧接が実現するので、加圧接触時の熱的及び電気的接触抵抗が低いという利点がある。
【0013】
図10において、図9に示した装置と同一部分には同一の符号を付し、その詳細な説明を略する。図10に示される装置では、半導体基板1に対して、その端面が整形加工された後、化学処理が施され、さらに表面処理剤が塗布されている。熱補償板3の端面には段付け加工が施されており、この段差部にシリコーンゴム23等によって半導体基板1が接着されている。接着は端面でのみ行われているので、上述したように熱補償板3には熱変形が発生しない。
【0014】
また、図9の装置と同様に、セラミックからなる絶縁筒6に、主電極4、金属板7、金属管11が銀ろう付けされており、これらによってハウジングが構成されている。熱補償板2に当接する主電極4の底面中央部には溝が形成されており、この溝には絶縁材で構成される案内環50が挿入されている。電気的なトリガ信号を伝達するゲートリード線60の出力端部が、この案内環50に組込まれており、一方の入力端部は金属管11を貫通している。
【0015】
案内環50は、バネ31の弾性力によって、ゲートリード線60の出力端面を半導体基板1の上主面に押圧付勢する。ゲートリード線60の入力端部と出力端部との間の部分は、絶縁チューブ61で被覆されている。絶縁チューブ61は、ゲートリード線60が主電極4と電気的に接触することを防止する目的で設けられている。
【0016】
図9の装置と同様に、ハウジングの内部は、気密となっており、しかも不活性ガスが封入されている。ハウジングの中に、半導体基板1、熱補償板2、および熱補償板3が収納された状態で、主電極5に銀ろう付けされた金属板8の端面と絶縁筒6とを最後に溶接した後、内部に残留するガスを金属管11bを通して排気ししかも不活性ガスで置換し、その後、金属管11bの端部をアーク溶接することによって、ハウジングの気密性と不活性ガスの封入とが実現されている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
従来の半導体装置は以上のように構成されているので、以下に列挙するような問題点を有していた。
【0018】
第1に従来の圧接型半導体装置では、半導体基板1と熱補償板3とがろう材によって合金固着されていたため、合金工程後の冷却時に双方の熱膨張係数の差異に起因して生じる熱収縮差によって、半導体基板1と熱補償板3の結合体に反り変形が生じ、その結果、半導体基板1と主電極4、5との接触面が不均一となり、装置の歩留が低下するという問題があった。特に最近の装置の大口径化にともなって、この問題は一層顕著となりつつある。
【0019】
その対策として、上述のように半導体基板1と熱補償板3を合金しないアロイフリーの構造を有する装置が出現している。しかしながら、このアロイフリータイプの従来装置においては、半導体基板1と熱補償板3が固着されていないために、組立てや輸送の際にそれらが半径方向や軸方向に動き、その結果、半導体基板1を破損するという問題点があった。特に光トリガ型の装置では、ライトガイド10が破損したり、半導体基板1の受光部1aとライトガイド10の出光端面との相対位置が偏位することによって半導体基板1に光信号が伝わらず、その結果、装置が適切に動作しなくなるといった問題点があった。
【0020】
第2に、従来の光トリガ半導体装置は、通電によって半導体基板1で発生する損失熱を熱補償板2、3および電極4、5を通して外部へ伝達し、半導体基板1が過熱するのを防いでいる。しかしながら、光信号を伝達するためのライトガイド10を導入するために、主電極4に切欠き4aが形成されており、しかも、半導体基板1の受光部1aにライトガイド10の出力端部の定位を行う案内環等を用いる場合には、主電極4の底面の中央部に一定の容積の溝が設けられる。従来の装置では、これらの切り欠き4aおよび溝の容積が大きいほど、損失熱の伝達効率が低下するという問題点があった。
【0021】
第3に、従来の光トリガ半導体装置の組立てを行う際には、ライトガイド10を組込んだ後に、主電極4の外周に予め固着されている金属板7と絶縁筒6との間に溶接を行うことにより、主電極4が絶縁筒6に固着される。このため、溶接完了までの工程において、仮組みされた状態で主電極4が回転し、その結果、切欠き4aがライトガイド10に接触することにより、ライトガイド10が破損するという問題点があった。
【0022】
第4に、従来の光トリガ半導体装置では、ライトガイド10の入光端部および出光端部の双方が固着されているために、温度変化の繰返しによる部材の伸縮によってライトガイド10が破損する恐れがあった。これに加えて、ライトガイド10を装置へ組込む際の作業、すなわちハンダを用いて固着を行い、さらに気密を実現する工程において、装置の歩留りが低下するという問題点があった。
【0023】
第5に、従来のアロイフリー構造の圧接型半導体装置は、図10に示す様に構成されているので、半導体基板1と熱補償板3とが、所定の相対位置から互いにずれないように半導体基板1の端面を熱補償板3へ接着する必要があったが、この作業は容易ではないという問題点があった。また、接着に用いられるシリコーンゴム等は、流動性を有するので、半導体基板1と熱補償板3の間に流れ込む危険性があった。
【0024】
この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、半導体基板および熱補償板を固定するとともに、装置内部で発生する熱を効率よく外部へ伝達し、ライトガイドが破損することを防止し、しかも、ライトガイドの装置への組込み作業が容易な半導体装置を提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかる請求項1記載の圧接型半導体装置は、半導体基板と、当該半導体基板に接触する熱補償板と、当該熱補償板に接触する主電極と、前記熱補償板と前記主電極の双方の外周に嵌合するリングと、前記主電極と前記リングの間に介挿される弾性体と、を備え、前記リングは前記熱補償板の前記主電極と当接する面の外縁部分に係合しており、前記弾性体の弾性力によって前記リングが前記熱補償板に押圧付勢されていることを特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態を図に沿って説明する。図1はこの実施の形態における光トリガ型の圧接型サイリスタの正面断面図である。この装置では、半導体基板1の上主面の中央部に受光部1aが設けられている。この受光部1aには、外部より入力される光信号(制御信号)を伝達するライトガイド(制御信号伝達経路)10の出光端面が対向している。
【0027】
半導体基板1の上主面および下主面には、それぞれ熱補償板2および熱補償板3が当接している。これらの熱補償板2、3は、いずれも半導体基板1にはろう付けなどによって合金されることなく、いわゆるアロイフリーで半導体基板1の両主面に圧接される。
【0028】
熱補償板2、3は、それぞれ主電極4、5によって挟持されている。これらの主電極4、5は、それぞれ円環状の金属板7、8を介して、例えばセラミクスで構成される絶縁筒6に固着されている。絶縁筒6は、沿面放電を抑えるための外方突出部、あるいは凹凸部を外周に有する。また、絶縁筒6はその内周に沿って内方へ突出した突起部6aを有する。
【0029】
熱補償板3と主電極5とは、ねじピン(ピン)32によって定位されている。すなわち、熱補償板3の中央に貫通孔が設けられるとともに、対応する主電極5の中央にネジ孔が設けられており、ネジ孔に螺合するネジ32が熱補償板3の貫通孔に嵌合することによって、熱補償板3の半径方向の動きが拘束されている。熱補償板3が半径方向に移動しないので、半導体基体1を破損する恐れがない。また、半導体基板1の外周に取り付けられた後述する絶縁樹脂(保護用樹脂)23を破損したり移動させる恐れもない。
【0030】
また、ねじピン32は、主電極5のネジ孔に螺合することによって貫通孔の軸方向へは動かないので、半導体基板1に衝突して半導体基板1を破損させる恐れがない。さらに、ねじピン32は、熱補償板3と主電極5の中央の一箇所のみで係合するという、最も簡単な構造で熱補償板3における半径方向の移動を阻止している。
【0031】
ねじピン32の代わりに、ネジを有しないピンを用いることも可能である。図2および図3にその例を示す。これらの図2、図3は、図1に示した熱補償板3の中央付近の部分拡大断面図である。
【0032】
図2に示す例では、熱補償板3の中央には貫通孔の代わりに有底孔が設けられ、対応する主電極5の中央にはネジ孔の代わりに熱補償板3と同様の有底孔が設けられている。そして、ねじピン32の代わりにネジを有しないピン33が用いられ、このピン33が双方の有底孔に嵌合することによって熱補償板3と主電極5との定位が実現されている。
【0033】
この例においても、熱補償板3の半径方向の動きが拘束されるので、半導体基板1の外周に取り付けられた絶縁樹脂23を破損したり移動させる恐れがない。また、熱補償板3に設けられる孔が貫通孔ではなく有底孔であるので、ピン33が半導体基板1に衝突して半導体基板1を破損させる恐れがない。
【0034】
図3に示す例では、ピン33は主電極5の有底孔に単に嵌合するだけでなく、ろう材25によってろう付けされている。このため、ピン33は孔の軸方向に移動することがないので、熱補償板3に設けられる孔は、図2に示すように貫通孔であってもよい。また、ピン33を主電極5へろう付けする代わりに、熱補償板3へろう付けしてもよい。これらのいずれの構成によっても、ねじピン32を用いた構成と同様の効果が得られる。
【0035】
図1に戻って、主電極4の外周側面と、熱補償板2の外周側面および上主面の外縁部分とに嵌合する固定リング30によって、熱補償板2の半径方向の動きが拘束されている。このため、熱補償板2が半導体基体1に沿って滑動することによって半導体基体1に損傷を与えたり、絶縁樹脂23を破損したりする恐れがない。なお、固定リング30は、樹脂もしくはアルミなどの金属で構成される。
【0036】
また主電極4は、その外周側面の上端部に、外側へ張り出したフランジ部4cを備えている。このフランジ部4cの下面と固定リング30の上端面との間にスプリングコイル、波状リングバネ、あるいは皿バネなどのバネ(弾性体)31が介挿されている。
【0037】
このバネ31の弾性力によって、固定リング30は熱補償板2、3と半導体基板1とを、主電極5へ押圧付勢している。このため、金属板7および8のバネ作用が引き起こす振動に起因して、半導体基板1や熱補償板2、3が軸方向に個別に動き、その結果、半導体基板1およびライトガイド10を破損するという恐れがない。また、ライトガイド10の出光端面と、半導体基板の受光部1aの結合を損なうなどの障害も防止され、装置の歩留りの低下が抑えられる。また同時に、バネ31の作用によって熱補償板2、3と半導体基板1の面接触が均一となり、放熱特性等が改善される。
【0038】
半導体基板1の半径方向の動きは、半導体基板1の外周に固着された側壁保護用の絶縁樹脂23と、絶縁筒内部の突起6aを接着剤24で固着することによって拘束されている。半導体基体1の半径方向の動きが拘束されるので、半導体基体1が熱補償板2、3の間で滑動することによる損傷、あるいは絶縁筒6の内壁に当接することによる損傷が防止される。さらに、絶縁樹脂2を介して固着されているので、外部から付与される振動、衝撃が、この絶縁樹脂23によって吸収される。このため、これらの振動、衝撃による半導体基板1の破損も抑制される。
【0039】
また、半導体基板1の半径方向の動きが拘束されていることは、同時にライトガイド10の出光端面と半導体基板の受光部1aとの位置決めにも役立っている。すなわち、ライトガイド10の出光端面と受光部1aとの位置を合わせておき、その後、接着剤24による固着を行うならば、ライトガイド10の寸法公差等による部品間の寸法上の誤差を調整して正確な位置決めを行うことができる。
【0040】
図4は、半導体基体1が突起部6aへ固定される様子を示す平面図である。図4に示すように、接着剤24は、半導体基体1の周囲に間隔をおいて塗布されている。そして、突起部6aには、それらの接着剤24が塗布されない部分に、突起部6aの上面と下面との間を貫通する貫通孔6bが設けられている。図1に戻って、このことにより、半導体基板1の上方と下方とが互いに連通する。その結果、半導体基体1の上方に設けられた排気栓11bを通じて、ハウジング内で発生した酸化性ガス、水蒸気等のガスを排出し、さらにハウジング内のガスを不活性ガスと置換することが可能である。
【0041】
図1に示すように、主電極4にはライトガイド10を導入するための切欠き(溝部)4a、4bが形成されている。ところで、半導体基板1で発生する損失熱は主電極4、5を伝導することによって装置の外部へ放散される。損失熱を効率よく伝導するためには、切欠き4a、4bによって主電極4に形成される空洞の容積は小さい方が望ましい。この要請に沿うために、主電極4の断面図である図5および底面図である図6に示すように、主電極4の中央部の切欠き4bの形状は円筒形ではなく円錐台形、すなわちテーパ状となっている。
【0042】
このことによって、ライトガイド10の出光端部およびその付属部材の挿入を容易としつつ、しかも主電極4の金属部分の体積を増すことによって損失熱の伝達効率を改善している。切欠き4bの形状は、円錐台形である代わりに、半球であってもよく、また開口面積が底面に至るほど大きくなるその他の形状であってもよい。また図示を略するが、切欠き4aの形状も同様に、溝の底部から開口部に至るほど広くなるように設定されるのが望ましい。
【0043】
図7は、L字型に屈曲したライトガイド10における水平な入光端部付近の拡大正面断面図である。絶縁筒6には、光信号を伝達するための貫通孔が水平方向に形成されている。この貫通孔には金属管40が固定的に嵌挿されている。金属管40には、外部からの光信号が通過する光透過性の光導入窓42が円環状の固定治具41を介して気密に固着されている。金属管40の内側面には、筒体43が螺合することによって固定的に貫挿されている。
【0044】
筒体43は、例えば樹脂または金属等で構成され、その内径はライトガイド10の直径より幾分大きく、互いに接触しないように構成される。筒体43は、絶縁筒6の内側面よりもさらに内方へ向かって突出している。図1における主電極4が、例えば溶接前の組立作業中に回転することがあっても、筒体43が備わるために、切欠き4aはライトガイド10に直接には当接しない。すなわち、筒体43はライトガイド10を保護する保護部材として機能する。ライトガイド10と切欠き4aとが当接しないので、当接にともなうライトガイド10の破損が防止されるとともに、半導体基板1の受光部1aからのライトガイド10の出光端面の変位(位置ずれ)が生じない。
【0045】
また、図7に示すように、筒体43とライトガイド10の間には、シリコーンゴム系などの柔軟性のある弾性筒体44が介挿されている。この弾性筒体44を間に挟むことによって、ライトガイド10は金属管40に柔軟に支持されている。このため、例えば外部から付加される振動、衝撃等が弾性筒体44によって吸収されるので、これらの振動、衝撃等によるライトガイド10の破損が防止される。
【0046】
また、温度変化の繰返しすなわち温度サイクルにともなうライトガイド10等の部材の伸縮が弾性筒体44によって吸収される。このため、温度サイクルにともなって発生する熱応力に起因する破損、疲労等も防止できる。さらに、ライトガイド10の出光端部の位置決めが容易であるという利点も得られる。
【0047】
光導入窓42の両表面には、1層ないし多層からなる二酸化シリコンなどの反射防止膜が蒸着などの方法によって形成されている。このことによって、光信号の伝達損失の原因となる光信号の反射を抑え、伝達効率を向上させている。反射防止膜の形成は、光導入窓42を固定治具41にろう付けなどの方法で固着する前に行われるので、光防止膜にはろう付けの際の高温に十分耐え得る材料が選択される。また同様の反射防止膜が、ライトガイド10の入光端面、出光端面の両方、または一方に生成されており、光信号の伝達効率の向上を図っている。
【0048】
図8は、ライトガイド10の出光端部付近の拡大正面断面図である。ライトガイド10の出光端面を半導体基板1の受光部1aに定位するために、2つの案内環50、51が用いられている。案内環50、51は樹脂等で構成されている。案内環50には、その中央部に貫通孔が形成されており、この貫通孔にライトガイド10が嵌挿されている。案内環50は更に案内環51の外周に嵌合し得るように構成されている。
【0049】
ライトガイド10の出光端部を固定するには、まず案内環51を半導体基板1の受光部1aと同心円となる位置に載置した後、接着剤52で固着する。その後、案内環51の内部に光結合剤20を充填する。固化する前にはある程度の流動性があり、熱処理もしくは常温放置によって固化した後もある程度の柔軟性を保持し、しかも光学的透過性を有し、さらに屈折率が1.3〜1.5程度の樹脂が光結合剤20に選ばれる。これには、例えばシリコーンゴム系などが適する。
【0050】
光結合剤が固化しないうちに、ライトガイド10の出光端部を光結合剤20の中に挿入し、予めライトガイド10に挿入されている案内環50を案内環51に嵌合させる。すでに案内環51が所定の位置に固定されているので、案内環50、51同士の嵌合によって、ライトガイド10の出光端部は必然的に受光部1aの上方に定位される。このことによって、光信号が半導体基板1の受光部1aへ確実に伝達される。
【0051】
また、光結合剤20には柔軟性があるので、温度サイクルによるライトガイド10等の部材の伸縮が光結合剤20によって吸収される。このことによって、温度サイクルにともなう熱応力に起因するライトガイド10の破損等が防止される。
【0052】
<変形例>
(1)上述の実施の形態では、熱補償板3と主電極5とが中央に位置する1本のピンを介して結合していた。1本のピンの代わりに、複数のピンを用いて熱補償板3と主電極5とが複数箇所で結合していても良い。このとき、熱補償板3と主電極5との間の熱膨張係数の差異に起因する熱変形を吸収し得るように、これらの熱補償板3または主電極5の少なくとも一方は、幾分かの遊びをもってピン結合されるのが望ましい。
【0053】
(2)突起部6aは、絶縁筒6の内壁の全周にわたって形成されていなくても良い。例えば、全周に沿った4箇所に等間隔に形成されていてもよい。この構成によっても、半導体基板1を安定して支持することが可能である。しかし、より安定した支持を行う上では、全周にわたって突起部6aが形成されている方が望ましい。
【0054】
(3)絶縁筒6の内壁には突起部6aが設けられず、半導体基板1が絶縁樹脂(保護用樹脂)23を介して絶縁筒6の内壁に固定されても良い。このとき、絶縁樹脂23は接着等を施されることなく、絶縁樹脂23自身の弾性復元力をもって絶縁筒6の内壁に当接することによって絶縁筒6に支持されるように構成しても良い。あるいは、絶縁樹脂23が絶縁筒6の軸方向にずれないように、接着を施しても良い。
【0055】
更に、絶縁樹脂23は、半導体基板1の全周にわたって取り付けられていなくてもよい。例えば、全周に沿った4箇所に等間隔に取り付けられていても良い。しかし、より安定した支持を行う上では、全周にわたって絶縁樹脂23が形成されている方が望ましい。
【0056】
(4)ライトガイド10の入力端部は、金属管40および筒体43を介することなく、弾性筒体44のみを介して絶縁筒6に形成された貫通孔へ直接装着しても良い。この構成によっても、外部から付加される振動、衝撃等がライトガイド10へ伝わることによるライトガイド10の破損を防止することができる。
【0057】
(5)上述の実施の形態では2つの案内環50、51が用いられているが、1つの案内環51のみを用いてライトガイドの出光端部を固定してもよい。この構成の装置では、案内環51の中に光結合剤を充填し、これが固化する以前にライトガイド10の出光端部が光結合剤の中に挿入される。このとき、案内環51に案内されて、ライトガイド10は最適な位置に固定される。
【0058】
(6)また、熱補償板の位置決め構造等は、光トリガ型サイリスタに限らず、GTOサイリスタなどの電気トリガ型サイリスタ、あるいはダイオードなどの半導体装置に実施しても、同様の効果を奏する。電気トリガ型サイリスタでは、ライトガイド10の代わりに、電気的な制御信号を伝達する信号伝達経路が設置されるので、切欠き4a、4b、筒体43なども上述の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0059】
【発明の効果】
この発明の圧接型半導体装置では、リングによって熱補償板が主電極に拘束される。このため、熱補償板が半導体基板に沿って滑動することよって半導体基板に損傷を与える恐れがない。さらに、リングが熱補償板の前記主電極と当接する面の外縁部分に係合しており、弾性体の作用でリングが熱補償板に押圧付勢されているので、外部から付加される衝撃等によって半導体基板および熱補償板が個別に振動することによる半導体基板の破損が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態おける圧接型半導体装置の正面断面図である。
【図2】実施の形態における装置の部分拡大正面断面図である。
【図3】実施の形態における装置の部分拡大正面断面図である。
【図4】実施の形態における装置の部分平面図である。
【図5】実施の形態における主電極の正面断面図である。
【図6】実施の形態における主電極の底面図である。
【図7】実施の形態における光導入窓付近の拡大正面断面図である。
【図8】実施の形態における受光面付近の拡大正面断面図である。
【図9】従来の圧接型半導体装置の正面断面図である。
【図10】もう一つの従来の圧接型半導体装置の正面断面図である。
【符号の説明】
1 半導体基板、1a 受光部、2 熱補償板(第1の熱補償板)、3 熱補償板(第2の熱補償板)、4 主電極(第1の主電極)、4a 切欠き(溝部)、4b 切欠き(溝部)、4c フランジ部、5 主電極(第2の主電極)、6 絶縁筒、6a 突起部、6b 貫通孔、7,8 円環状の金属板、10 ライトガイド(制御信号伝達経路)、11 金属環、11b 排気栓、12 貫通孔、20,21 光結合剤、23 絶縁樹脂(保護用樹脂)、24 接着剤、25 ろう材、30 固定リング、31 バネ、32 ねじピン(ピン)、33 ピン、40 金属管、41 固定治具、42 光導入窓、43 筒体、44 弾性筒体、50 案内環(第2の案内環)、51 案内環(第1の案内環)、52接着剤、60 ゲートリード線、61 絶縁チューブ。
Claims (1)
- 半導体基板と、
当該半導体基板に接触する熱補償板と、
当該熱補償板に接触する主電極と、
前記熱補償板と前記主電極の双方の外周に嵌合するリングと、
前記主電極と前記リングの間に介挿される弾性体と、を備え、
前記リングは前記熱補償板の前記主電極と当接する面の外縁部分に係合しており、前記弾性体の弾性力によって前記リングが前記熱補償板に押圧付勢されていることを特徴とする圧接型半導体装置。
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