JP3559393B2 - 多段式立体駐車装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多段式立体駐車装置の改良に関し、特にパレットの横揺れ対策に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、多段式立体駐車装置として、上下方向に延びるガイドレールを上下方向に並設された複数の格納スペースに設け、一方、スライダーを上記各格納スペースに配置されたパレットに突設し、入出庫時、上記スライダーをガイドレールに係合させて各パレットを安定して昇降案内するようにしたタイプの多段式立体駐車装置がある。
【0003】
▲1▼ 例えば実開平5−77461号公報に開示されている多段式立体駐車装置では、上下方向に延びるガイドレールを上下2段の格納スペースの奥部で上下全域に亘って設けている。
【0004】
▲2▼ また、例えば特開平7−158307号公報に開示されている多段式立体駐車装置では、複数の格納スペースが上下方向に並設された格納スペース列を前後方向及び左右方向に並設しており、車両乗入れ・乗出し部側から見て前列の最下段の格納スペースを除く格納スペースの奥部にガイドレールを設け、前列の最下段の格納スペースの奥部にガイドレールをなくすことで、後列の格納スペースと車両乗入れ・乗出し部との間に入出庫通路を確保するようにしている。
【0005】
▲3▼ さらに、例えば特開平7−158308号公報に開示されている多段式立体駐車装置では、基本的には、上記の▲2▼の多段式立体駐車装置と構造は同じであるが、車両乗入れ・乗出し部側から見て前列の最下段の格納スペースの奥部とその上隣の格納スペースの奥部との間でガイドレールを昇降可能に設け、該ガイドレールを前列の格納スペースに対する入出庫に際しては、最下段の格納スペースに下降待機させてパレットを昇降案内する一方、後列の格納スペースに対する入出庫に際しては、上隣の格納スペースに上昇退避させて後列の格納スペースと車両乗入れ・乗出し部との間に入出庫通路を確保するようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の▲1▼の多段式立体駐車装置では、ガイドレールが地上側である下段の格納スペースの下端にまで延びていることから、車両を車両乗入れ・乗出し部から下段の格納スペースのパレットに乗り入れようとする際、ガイドレールが運転者の視界に入って運転者に閉塞感や衝突危機感を与えて好ましくない。
【0007】
一方、上記の▲2▼の多段式立体駐車装置では、前列の最下段の格納スペースにはガイドレールがないことから、前列の格納スペースに車両を格納する場合、上記の▲1▼の多段式立体駐車装置のようには運転者に閉塞感や衝突危機感を与えることはないが、反面、ガイドレールがないため、パレットを安定して昇降案内することが難しくなり危険である。特に、車載パレットが最下段の格納スペースから上昇している最中に風等の影響で前後方向及び左右方向に横揺れすると、パレットに突設したスライダーを上方の格納スペースのガイドレールに係合し得ない事態が生じ、車載パレットを高所の格納スペースに安定して上昇させることができず、非常に危険である。
【0008】
また、上記の▲3▼の多段式立体駐車装置では、前列の格納スペースに車両を格納する場合、この最下段の格納スペースにガイドレールが下降待機していることから、上記の▲1▼の多段式立体駐車装置と同様に運転者に閉塞感や衝突危機感を与える。さらに、この▲3▼の多段式立体駐車装置では、ガイドレールを昇降させるための昇降駆動装置が必要で装置が複雑になるとともに、設備費用が嵩むことになる。
【0009】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、入庫時に運転者に閉塞感や衝突危機感を与えず、しかもパレットの安定した昇降、特に上昇時の安定化を構造の複雑化や設備費用の高騰を招くことなく図ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、最下段の格納スペースを除く上段の格納スペースにだけガイドレールを設け、最下段の格納スペースにはそれに代わるガイド部材を設けたことを特徴とする。
【0011】
具体的には、本発明は、車両をパレットごと格納する格納スペースが地上に上下方向に複数並設され、複数枚のパレットの各々の四隅に設けられた吊り金具に4個の吊下げ部材をそれぞれ連結し上記各パレットを4個の吊下げ部材で吊下げ支持して上記各格納スペースに昇降可能に配置し、入出庫時、上記各吊下げ部材の上下動作により、上記各パレットを昇降させるようにした多段式立体駐車装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0012】
すなわち、本発明の第1の解決手段は、上記複数の格納スペースのうち最下段の格納スペースを除く格納スペースの奥部に上下方向に延びるガイドレールを設け、入出庫時、各パレットに突設したスライダーを上記ガイドレールに係合せしめて該各パレットを昇降案内する。さらに、上記最下段の格納スペースの上端寄りに上下方向に短い4個の誘導部材を上記各パレットの各吊り金具に対応する間隔でスポット的に配置する。そして、パレット上昇時、上記各吊下げ部材及び各吊り金具を上記各誘導部材に上方案内させて各パレットの前後方向及び左右方向の位置を正規の位置に修正し、該各パレットのスライダーを上記ガイドレールに係合させるようにしていることを特徴とする。
【0013】
本発明の第2の解決手段は、第1の解決手段において、上下方向に並設された複数の格納スペースからなる格納スペース列を左右方向に複数列並設し、入出庫時、目的の格納スペースと地上の車両乗入れ・乗出し部との間の格納スペースからパレットをその隣の格納スペースに駆動手段により横移動させて昇降路を形成し、入出庫車両をパレットごと上記昇降路で昇降させるようにしたことを特徴とする。つまり、この第2の解決手段では、昇降横行式の多段式立体駐車装置を対象としている。
【0014】
本発明の第3の解決手段は、第1の解決手段において、上下方向に並設された複数の格納スペースからなる格納スペース列を左右方向及び前後方向に複数列並設し、入出庫時、目的の格納スペースと地上の車両乗入れ・乗出し部との間の格納スペースからパレットをその隣の格納スペースに駆動手段により横移動させて昇降路を形成し、入出庫車両をパレットごと上記昇降路で昇降させるようにしたことを特徴とする。つまり、この第3の解決手段では、昇降横行重列式の多段式立体駐車装置を対象としている。
【0015】
上記の構成により、本発明の第1〜3の解決手段では、入出庫時、最下段の格納スペース上方の格納スペースでは、パレットはスライダーをガイドレールに係合せしめて昇降案内されるため、昇降動作が安定する。
【0016】
一方、パレットが最下段の格納スペースから上昇する際には、4個の吊下げ部材が4個の誘導部材にそれぞれ上方案内され、これに引き続いて、4個の吊り金具が上記各誘導部材に上方案内される。
【0017】
したがって、パレットが上昇中に風等の影響によって前後方向及び左右方向に横揺れしても、各吊り金具が各誘導部材を通過することにより、横揺れによって位置ずれしているパレットが正規の位置に誘導させて位置修正され、これにより、パレットのスライダーがガイドレールに対応する位置に位置付けられ、その後のパレットの上昇によって上記スライダーがガイドレールに確実に係合しパレットが上昇案内されるため、パレットの上昇動作が安定する。
【0018】
なお、パレットが下から2段目の格納スペースを経て最下段の格納スペースに下降する際には、スライダーがガイドレールを離れるため、下降動作が不安定となるおそれがあるが、この不安定状態は最下段の格納スペースが低所であり、しかも下降動作中であるので、実際には安全上さしたる問題となることはない。
【0019】
また、最下段の格納スペースには4個の誘導部材があるが、その位置は格納スペースの上端寄りであり、かつパレットの各吊り金具に対応する間隔でスポット的に配置され、しかも寸法が上下方向に短いことから、格納スペースの上下全域に亘って延びるガイドレールに比べて占有領域が小さく、しかも格納スペースの上端寄りで運転者の視界に入り難く、入庫時、運転者は閉塞感や衝突危機感を覚えない。さらに、ガイドレールを昇降させる必要もなく、したがって、そのための昇降駆動装置がいらず、装置の複雑化及び設備費用の高騰が回避される。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0021】
図1及び図2は多段(4段2列の昇降横行)式立体駐車装置を示す。図1及び図2において、1は多段式立体駐車装置の骨格をなす枠組体であり、該枠組体1は、地面2に立設された4本の支柱3,3,…と、前後左右で隣り合う支柱3,3の上端及び中程をそれぞれ連結する複数の梁4,4,…とで枠組まれて構築されている。上記枠組体1は、上下方向に4分割されかつ左右方向に2分割され、各々の分割スペースを車両Cをパレットごと格納する格納スペースSとして該格納スペースSが地上に上下方向及び左右方向に8つ並設され、最下段の格納スペースS,S前方(図1手前側、図2左側)を車両乗入れ・乗出し部5としている。なお、上記8つの格納スペースS,S,…のうち最下段の格納スペースS,Sは、入出庫時の利用者の乗降を考慮してその上方の格納スペースS,S,…よりも上下方向に広く形成されている。
【0022】
この8つの格納スペースS,S,…は、全てが常に格納スペースとして利用されるのではなく、そのうちの3つが空スペースになっている。つまり、8つの格納スペースS,S,…の全てにパレットが配置されているのではなく、そのうちの3つの格納スペースS,S,Sにはパレットがなく、最上段の格納スペースSに車両Cを入庫する際や最上段の格納スペースSから車両Cを出庫する際には、その下方の車両乗入れ・乗出し部5との間の3つの格納スペースS,S,SからパレットP1,P2,P3をその隣の格納スペースS,S,Sに横移動させて昇降路6を形成するようになっている。図1では、昇降路6が右側の最上段の格納スペースSを除いてその下方の3つの格納スペースS,S,Sで形成されている場合を示す。
【0023】
下から3段目の格納スペースSに車両Cを入庫する際や下から3段目の格納スペースSから車両Cを出庫する際には、その下方の車両乗入れ・乗出し部5との間の2つの格納スペースS,SからパレットP1,P2をその隣の格納スペースS,Sに横移動させて昇降路6を形成するようになっている。
【0024】
下から2段目の格納スペースSに車両Cを入庫する際や下から2段目の格納スペースSから車両Cを出庫する際には、その下方の車両乗入れ・乗出し部5との間の最下段の格納スペースSからパレットP1をその隣の格納スペースSに横移動させて昇降路6を形成するようになっている。
【0025】
最下段の格納スペースSに車両Cを入庫する際には、車両乗入れ・乗出し部5から最下段の格納スペースSのパレットP1上にそのまま乗り入れればよく、逆に最下段の格納スペースSから車両Cを出庫する際には、最下段の格納スペースSのパレットP1から車両乗入れ・乗出し部5に乗り出せばよく、この場合には昇降路6を形成する必要はない。なお、上記最下段の2つの格納スペースS,Sは2つが同時に格納スペースSとなるのではなく、いずれか一方の格納スペースSは入出庫時の昇降路6となる。
【0026】
上記最下段の格納スペースS,Sの地面2には、2条のレール7,7が両格納スペースS,Sを連絡するように全幅に亘って敷設され、該レール7,7には、1台の自走式パレット(以下、横行パレットという)P1が四隅に転動自在に設けられた車輪8,8,…を係合させて配置され、後側(図2右側)の2個の車輪8,8の一方は横行モータ9の出力軸に駆動連結されている。そして、上記横行パレットP1は、入出庫時、昇降路6を形成すべく上記横行モータ9の駆動によりレール7,7を走行して左右に隣り合う最下段の格納スペースS,Sを横移動するようになっている。
【0027】
上記横行パレットP1の後端にはスタンド10が立設され、該スタンド10には給電線11の一端側が支持され、その先は図示しないが上記横行モータ9に接続されている。また、上記給電線11の他端側は、上記左右に隣り合う最下段の格納スペースS,S間でかつその上方の構築材である後部の梁4側で支持部材12によって支持され、その先は図示しないが電力供給源に接続されている。
【0028】
上記最下段の格納スペースS,Sと上下に隣り合う下から2段目の格納スペースS,Sとを仕切る前後の梁4,4には、2条のレール13,13が両格納スペースS,Sを連絡するように全幅に亘って敷設され、該レール13,13には、矩形フレームからなる1台の横行装置14が四隅に転動自在に設けられた車輪15,15,…を係合させて配置されている。上記横行装置14の後部一端には駆動手段としての横行モータ16が据え付けられ、該横行モータ16の出力軸は駆動スプロケット17、従動スプロケット18、アイドラー19及びチェーン20を介して後側(図2右側)の2個の車輪15,15に駆動連結されている。そして、上記横行装置14は、入出庫時、昇降路6を形成すべく上記横行モータ16の駆動によりレール13,13を走行して左右に隣り合う下から2段目の格納スペースS,Sを移動するようになっている。
【0029】
上記横行装置14の後部で上記横行モータ16の反対側には、別の駆動手段としての昇降モータ21が据え付けられているとともに、その下方には横行装置14の左右両側に延びるシャフト22が設けられ、上記昇降モータ21の出力軸は該シャフト22の一端側に駆動スプロケット23、従動スプロケット24及びチェーン25を介して駆動連結されている。また、上記シャフト22の両端にはスプロケット26,26が取り付けられているとともに、上記横行装置14の左右のフレームにもスプロケット27,27,…がそれぞれ取り付けられ、4個の吊下げ部材としての4条のチェーン28,28,…が横行装置14の左右両側で2条ずつ各々のスプロケット26,27に掛け渡されて各々の両端がパレットP2の四隅に連結され、該パレットP2を昇降可能に吊下げ支持して昇降装置を構成している。実際には、パレットP2の四隅には吊り金具29,29,…が取り付けられ、上記4条のチェーン28,28,…がこれらの吊り金具29,29,…にそれぞれ連結され、パレットP2を4条のチェーン28,28,…で吊下げ支持して格納スペースSに昇降可能に配置している。そして、上記パレットP2は、入出庫時、上記昇降モータ21の駆動による4条のチェーン28,28,…の上下動作により、昇降路6を昇降するようになっている。つまり、このパレットP2は、上記昇降モータ21及び横行モータ16の駆動により昇降及び横移動の2つの動作を行うようになっている。以下、このパレットP2を昇降横行パレットP2という。
【0030】
下から3段目の格納スペースS,Sにも横行装置及び昇降横行パレットが配置され、各々の動作は下から2段目の格納スペースS,Sに配置した横行装置14及び昇降装置と同じ機構にて行われるので、同一の構成部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。以下、この段の昇降横行パレットを昇降横行パレットP3という。
【0031】
最上段の格納スペースS,Sには横行装置14はなく昇降装置のみである。この昇降装置は、下から2段目及び3段目の格納スペースSの昇降装置と、左右のフレーム4a,4aに対するスプロケット27,27,…の配置関係が異なるほかは同じであるので、同一の構成部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。以下、この段のパレットを昇降パレットP4という。
【0032】
上記最下段の格納スペースS上方の3段の格納スペースS,S,Sにおいても、昇降横行パレットP2,P3を横移動及び昇降させる横行モータ16及び昇降モータ21への電力供給や、昇降パレットP4を昇降させる昇降モータ21への電力供給は、最下段の横行パレットP1の横行モータ9と同様に電力供給源(図示せず)から行われ、最上段では昇降モータ21に電力を供給する給電線は図示していないが、その下段側である下から2段目及び3段目の格納段では給電線30をそれぞれ表している。
【0033】
下から2段目及び3段目の格納段の各給電線30の支持構造は同一に構成されているので、ここでは下から2段目の格納段の支持構造を説明することとし、下から3段目の支持構造については同一の構成部分に同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0034】
すなわち、上記各給電線30の一端側は、横行装置14の後端フレームに立設されたスタンド31上端に支持され、その先は図示しないが上記横行モータ16又は昇降モータ21にそれぞれ接続されている。一方、上記各給電線30の他端側は、下から2段目の格納段上方の後部の梁4中央に設けられたクランプ部材32に支持され、その先は図示しないが電力供給源にそれぞれ接続されている。また、上記各給電線30の中途部は、左右に隣り合う格納スペースS,S間に跨がるように上記梁4側に水平に設けられた線状材33に移動体34を介して持上げ支持され、これにより、各給電線30の垂れ下がり部を移動体34の両側の2箇所で分担してその垂れ下がり量を半減するようになっている。
【0035】
そして、入出庫時、昇降路6を形成すべく昇降横行パレットP2つまり横行装置14が隣り合う格納スペースSに横移動すると、上記移動体34が引っ張られて線状材32を転動し、移動体34が横行装置14と同じ方向に横移動するようになっている。この際、各給電線30は、移動体34によって上方に持ち上げられてあまり垂れ下がらないようになっているので、横行装置14が横移動しても横行モータ16及び昇降モータ21に絡まらず、接触事故を防止することができる。
【0036】
上記4段の格納スペースS,S,…のうち最下段の格納スペースSを除く3段の格納スペースS,S,Sの奥部(図2右端)には、複数本の上下方向に延びるガイドレールが取り付けられている。図3〜5にも示すように、これらのガイドレールは、断面「コ」の字形のチャネル鋼材からなり、枠組体1の梁4に取り付けられた固定ガイドレール35と、横行装置14に取り付けられた可動ガイドレール36との2種類のレールからなる。一方、各パレットP2,P3,P4の後端には、2個のスライダー37,37がフレーム38を介して水平に突設され、入出庫時、該両スライダー37,37を上記固定ガイドレール35及び可動ガイドレール36に係合せしめて上記各パレットP2,P3,P4を昇降案内するようになっている。
【0037】
具体的には、上記固定ガイドレール35は、枠組体1奥部の左右両端では3本ずつ最下段の格納スペースSを除く3段の格納スペースS,S,Sに上下方向に一直線上に並ぶようにフレーム39によって支柱3及び梁4に取り付けられるとともに、最上段の左右に隣り合う格納スペースS,Sの境目では梁4にフレームによって2本横に並ぶように取り付けられている。一方、上記可動ガイドレール36は、下から2段目及び3段目の2台の横行装置14,14の後端両側に1本ずつフレーム40によって取り付けられている。
【0038】
そして、図1に示すように、上記2台の横行装置14,14が共に左側の格納スペースS,Sに横移動した状態で該2台の横行装置14,14の右側の可動ガイドレール36,36を最上段の中央右側の固定ガイドレール35の延長線上に並べ、右端の3本の固定ガイドレール35,35,35とで最上段の右側の昇降パレットP4を昇降案内するようになっている。逆に、上記2台の横行装置14,14が共に右側の格納スペースS,Sに横移動した状態で該2台の横行装置14,14の左側の可動ガイドレール36,36を最上段の中央左側の固定ガイドレール35の延長線上に並べ、左端の3本の固定ガイドレール35,35,35とで最上段の左側の昇降パレットP4を昇降案内するようになっている。また、図1で下から3段目の左側の格納スペースSから昇降横行パレットP3を昇降させる際には、その下の横行装置14を右側の格納スペースSに横移動させ、該横行装置14の左側の可動ガイドレール36と右端の固定ガイドレール35とを用いることになる。
【0039】
本発明の特徴として、上記最下段の各格納スペースSの上端寄りには、上下方向に短い4個の誘導部材41,41,…が上記各パレットP2,P3,P4の各吊り金具29に対応する間隔でスポット的に配置され、そのうち外側の2個の誘導部材41,41は前後方向に延びる梁4にブラケット45によって取り付けられているとともに、内側の2個の誘導部材41,41は左右方向に延びる梁4に同じくブラケット45によって取り付けられている。
【0040】
図6(a)〜(c)に示すように、該各誘導部材41は、金属プレートを断面「コ」の字形に折り曲げて形成され、3つの折曲片42,42,42の上端及び下端にはガイド部42a,42aが外方に広がるように斜めに折曲げ形成され、該各ガイド部42aで上記各吊り金具29を上下方向に案内するようになっている。
【0041】
一方、上記各吊り金具29は、図7(a)〜(c)に示すように、金属プレートを折り曲げて3つの折曲片43,43,43からなり、真ん中の折曲片43の上端側は水平に折り曲げられてチェーン28を取り付ける取付部43aが形成されている。さらに、その両側の対向する2つの折曲片43,43の上端側は、互いに接近するように斜めに折り曲げられて上端に略三角形状に尖った係合部43bが形成され、パレットP2,P3,P4が最下段の格納スペースSから上昇する際、上記誘導部材41に係合し易くしている。そして,この各吊り金具29は、ボルト44,44によってパレットP2,P3,P4の側端部に取り付けられている。
【0042】
そして、図8〜10に示すように、パレット上昇時、上記各チェーン28及び各吊り金具29を上記各誘導部材41に上方案内させて各パレットP2,P3,P4の前後方向及び左右方向の位置を正規の位置に修正し、該各パレットP2,P3,P4を上記各固定ガイドレール35及び可動ガイドレール36に案内するようになっている。
【0043】
次に、上述の如き多段(4段2列の昇降横行)式立体駐車装置の入庫例を説明する。なお、出庫例は入庫の場合と逆動作で行われるのでここでは説明を省略する。
【0044】
<最下段の格納スペースSへの入庫>
入庫車両Cを車両乗入れ・乗出し部5から横行パレットP1上にそのまま乗り入れればよい。
【0045】
<下から2段目の格納スペースSへの入庫>
入庫しようとする下から2段目の格納スペースSの下方に横行パレットP1がなく昇降路6が形成されていれば、その状態から昇降横行パレットP2を昇降モータ21の駆動により下降させて接地させ、入庫車両Cを車両乗入れ・乗出し部5から昇降横行パレットP2上に乗り入れた後、該昇降横行パレットP2を元の格納スペースSに上昇させればよい。この際、昇降横行パレットP2を吊り下げている各チェーン28及び各吊り金具29が各誘導部材41に上方案内され、該昇降横行パレットP2が固定ガイドレール35及び可動ガイドレール36に案内される。
【0046】
一方、入庫しようとする下から2段目の格納スペースSの下方に横行パレットP1があれば、該横行パレットP1を横行モータ9の駆動により隣の格納スペースSに横移動させて昇降路6を形成し、その後、昇降横行パレットP2を昇降モータ21の駆動により下降させて接地させ、入庫車両Cを車両乗入れ・乗出し部5から昇降横行パレットP2上に乗り入れた後、該昇降横行パレットP2を元の格納スペースSに上昇させればよい。あるいは、横行パレットP1をそのままの状態にしておき、昇降横行パレットP2を横行モータ16の駆動により隣の格納スペースSに横移動させた後、昇降モータ21の駆動により下降させて接地させ、入庫車両Cを車両乗入れ・乗出し部5から昇降横行パレットP2上に乗り入れるようにしてもよい。この際も、各チェーン28及び各吊り金具29が各誘導部材41に案内され、該昇降横行パレットP2が固定ガイドレール35及び可動ガイドレール36に案内される。
【0047】
<下から3段目の格納スペースSへの入庫>
入庫しようとする下から3段目の格納スペースSの下方に昇降横行パレットP2及び横行パレットP1が共になく昇降路6が形成されていれば、その状態から昇降横行パレットP3を昇降モータ21の駆動により下降させて接地させ、入庫車両Cを車両乗入れ・乗出し部5から昇降横行パレットP3上に乗り入れた後、該昇降横行パレットP3を元の格納スペースSに上昇させればよい。この際、各チェーン28及び各吊り金具29が各誘導部材41に案内され、該昇降横行パレットP3が固定ガイドレール35及び可動ガイドレール36に案内される。
【0048】
一方、入庫しようとする下から3段目の格納スペースSの下方に横行パレットP1がなく昇降横行パレットP2のみがあれば、該昇降横行パレットP2を横行モータ16の駆動により隣の格納スペースSに横移動させ、その後、昇降横行パレットP3を昇降モータ21の駆動により下降させて接地させ、入庫車両Cを車両乗入れ・乗出し部5から昇降横行パレットP3上に乗り入れればよい。逆に、入庫しようとする下から3段目の格納スペースSの下方に昇降横行パレットP2がなく横行パレットP1のみがあれば、該横行パレットP1を横行モータ9の駆動により隣の格納スペースSに横移動させて昇降路6を形成し、その後、昇降横行パレットP3を昇降モータ21の駆動により下降させて接地させ、入庫車両Cを車両乗入れ・乗出し部5から昇降横行パレットP3上に乗り入れた後、該昇降横行パレットP3を元の格納スペースSに上昇させればよい。この際も、各チェーン28及び各吊り金具29が各誘導部材41に案内され、該昇降横行パレットP3が固定ガイドレール35及び可動ガイドレール36に案内される。なお、入庫しようとする下から3段目の格納スペースSの下方に昇降横行パレットP2及び横行パレットP1の両者があれば、この両者を横移動させて昇降路6を形成することになる。
【0049】
<最上段の格納スペースSへの入庫>
入庫しようとする最上段の格納スペースSの下方に昇降横行パレットP3,P2及び横行パレットP1が共になく昇降路6が形成されていれば、その状態から昇降パレットP4を昇降モータ21の駆動により下降させて接地させ、入庫車両Cを車両乗入れ・乗出し部5から昇降パレットP4上に乗り入れた後、該昇降パレットP4を元の格納スペースSに上昇させればよい。この際、各チェーン28及び各吊り金具29が各誘導部材41に案内され、該昇降パレットP4が固定ガイドレール35及び可動ガイドレール36に案内される。
【0050】
一方、入庫しようとする最上段の格納スペースSの下方に横行パレットP1のみがなく2台の昇降横行パレットP3,P2があれば、該両昇降横行パレットP3,P2を横行モータ16,16の駆動により隣の格納スペースS,Sにそれぞれ横移動させて昇降路6を形成し、その後、昇降パレットP4を昇降モータ21の駆動により下降させて接地させ、入庫車両Cを車両乗入れ・乗出し部5から昇降パレットP4上に乗り入れた後、該昇降パレットP4を元の格納スペースSに上昇させればよい。逆に、入庫しようとする最上段の格納スペースSの下方に昇降横行パレットP3,P2の双方がなく横行パレットP1のみがあれば、該横行パレットP1を横行モータ9の駆動により隣の格納スペースSに横移動させて昇降路6を形成し、その後、昇降パレットP4を昇降モータ21の駆動により下降させて接地させ、入庫車両Cを車両乗入れ・乗出し部5から昇降パレットP4上に乗り入れた後、該昇降パレットP4を元の格納スペースSに上昇させればよい。なお、入庫しようとする最上段の格納スペースSの下方に昇降横行パレットP3,P2の一方と横行パレットP1とがある場合や、昇降横行パレットP3,P2の一方だけがある場合、さらには昇降横行パレットP3,P2及び横行パレットP1の3枚のパレットがある場合も、上記と同様にしてそれらを横移動させ、昇降路6を形成すればよい。この際も、各チェーン28及び各吊り金具29が各誘導部材41に案内され、該昇降パレットP4が固定ガイドレール35及び可動ガイドレール36に案内される。
【0051】
このように、本例では、パレットP2,P3,P4を最下段の格納スペースSから上昇させる際、各々のパレットP2,P3,P4を吊り下げている各チェーン28及び各吊り金具29を各誘導部材41に上昇案内させるようにしていることから、図11実線及び図12実線に示すように、パレットP2,P3,P4が上昇中に風等の影響によって前後方向及び左右方向に横揺れしても、各吊り金具29が各誘導部材41を通過することにより、図11仮想線及び図12仮想線に示すように、横揺れによって位置ずれしているパレットP2,P3,P4を正規の位置に誘導して位置修正でき、これにより、パレットP2,P3,P4のスライダー37を固定ガイドレール35及び可動ガイドレール36に対応する位置に位置付けることができ、その後のパレットP2,P3,P4の上昇によって上記スライダー37を固定ガイドレール35及び可動ガイドレール36に確実に係合させてパレットP2,P3,P4を上昇案内できるため、パレットP2,P3,P4の上昇動作を安定させることができる。
【0052】
なお、パレットP2,P3,P4が下から2段目の格納スペースSを経て最下段の格納スペースSに下降する際には、スライダー37が固定ガイドレール35及び可動ガイドレール36を離れるため、下降動作が不安定となるおそれがあるが、この不安定状態は最下段の格納スペースSが低所であり、しかも下降動作中であるので、実際には安全上さしたる問題となることはない。
【0053】
また、最下段の格納スペースSには4個の誘導部材41,41,…があるが、その位置は格納スペースSの上端寄りであり、かつパレットP2,P3,P4の各吊り金具29に対応する間隔でスポット的に配置され、しかも寸法が上下方向に短いことから、格納スペースSの上下全域に亘って延びる固定ガイドレール35及び可動ガイドレール36に比べて占有領域が小さく、しかも格納スペースSの上端寄りで運転者の視界に入り難く、入庫時、運転者は閉塞感や衝突危機感を覚えない。さらに、ガイドレールを昇降させる必要もなく、したがって、そのための昇降駆動装置がいらず、装置の複雑化及び設備費用の高騰を回避することができる。
【0054】
なお、上記の実施の形態では、4段2列の昇降横行式立体駐車装置に適用したが、図13に示すように、上下方向に並設された4つの格納スペースS,S,…からなる格納スペース列が左右方向及び前後方向に複数列並設された4段2列の昇降横行重列式立体駐車装置にも適用することができ、また、その格納段数及び並列数は問わず、他の多段式立体駐車装置にも当然に適用することができるものである。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数の格納スペースのうち最下段の格納スペースを除く格納スペースに上下方向に延びるガイドレールを設けるとともに、上記最下段の格納スペースの上端寄りに上下方向に短い4個の誘導部材をパレットの4個の吊り金具に対応する間隔でスポット的に配置し、パレット上昇時、パレットを吊下げ支持する4個の吊下げ部材及び吊り金具を上記各誘導部材に上方案内させて各パレットの前後方向及び左右方向の位置を正規の位置に修正し、該各パレットのスライダーを上記各ガイドレールに係合させるようにした。したがって、パレットが上昇中に横揺れしても、各吊り金具が各誘導部材を通過することによってパレットをガイドレールに確実に案内して上昇動作の安定化を図ることができる。また、上下方向に短い4個の誘導部材を格納スペースの上端寄りにスポット的に設けて運転者の視界に入り難くしたので、入庫時における運転者の閉塞感や衝突危機感を回避することができる。さらに、ガイドレールを昇降させる必要がないので、昇降駆動装置を設置することによる装置の複雑化及び設備費用の高騰を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る多段式(4段2列の昇降横行)立体駐車装置であって図2のI−I線における断面図である。
【図2】図1のII−II線における断面図である。
【図3】ガイドレールの配置図である。
【図4】パレットのスライダーとガイドレールとの係合関係を示す平面図である。
【図5】図4のA部拡大図である。
【図6】誘導部材を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のVI−VI線における断面図、(c)は平面図である。
【図7】吊り金具を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のVII −VII 線における断面図、(c)は平面図である。
【図8】誘導部材と吊り金具との位置関係を示す側面図である。
【図9】誘導部材と吊り金具との位置関係を示す平面図である。
【図10】誘導部材と吊り金具との位置関係を示す正面図である。
【図11】パレットの位置修正を説明する図8相当図である。
【図12】パレットの位置修正を説明する図10相当図である。
【図13】4段2列の昇降横行重列タイプの多段式立体駐車装置の側面図である。
【符号の説明】
5 車両乗入れ・乗出し部
6 昇降路
16 横行モータ(駆動手段)
21 昇降モータ(駆動手段)
29 吊り金具
28 チェーン(吊下げ部材)
35 固定ガイドレール
36 可動ガイドレール
37 スライダー
41 誘導部材
C 車両
P1 横行パレット
P2,P3 昇降横行パレット
P4 昇降パレット
S 格納スペース
【発明の属する技術分野】
本発明は、多段式立体駐車装置の改良に関し、特にパレットの横揺れ対策に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、多段式立体駐車装置として、上下方向に延びるガイドレールを上下方向に並設された複数の格納スペースに設け、一方、スライダーを上記各格納スペースに配置されたパレットに突設し、入出庫時、上記スライダーをガイドレールに係合させて各パレットを安定して昇降案内するようにしたタイプの多段式立体駐車装置がある。
【0003】
▲1▼ 例えば実開平5−77461号公報に開示されている多段式立体駐車装置では、上下方向に延びるガイドレールを上下2段の格納スペースの奥部で上下全域に亘って設けている。
【0004】
▲2▼ また、例えば特開平7−158307号公報に開示されている多段式立体駐車装置では、複数の格納スペースが上下方向に並設された格納スペース列を前後方向及び左右方向に並設しており、車両乗入れ・乗出し部側から見て前列の最下段の格納スペースを除く格納スペースの奥部にガイドレールを設け、前列の最下段の格納スペースの奥部にガイドレールをなくすことで、後列の格納スペースと車両乗入れ・乗出し部との間に入出庫通路を確保するようにしている。
【0005】
▲3▼ さらに、例えば特開平7−158308号公報に開示されている多段式立体駐車装置では、基本的には、上記の▲2▼の多段式立体駐車装置と構造は同じであるが、車両乗入れ・乗出し部側から見て前列の最下段の格納スペースの奥部とその上隣の格納スペースの奥部との間でガイドレールを昇降可能に設け、該ガイドレールを前列の格納スペースに対する入出庫に際しては、最下段の格納スペースに下降待機させてパレットを昇降案内する一方、後列の格納スペースに対する入出庫に際しては、上隣の格納スペースに上昇退避させて後列の格納スペースと車両乗入れ・乗出し部との間に入出庫通路を確保するようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の▲1▼の多段式立体駐車装置では、ガイドレールが地上側である下段の格納スペースの下端にまで延びていることから、車両を車両乗入れ・乗出し部から下段の格納スペースのパレットに乗り入れようとする際、ガイドレールが運転者の視界に入って運転者に閉塞感や衝突危機感を与えて好ましくない。
【0007】
一方、上記の▲2▼の多段式立体駐車装置では、前列の最下段の格納スペースにはガイドレールがないことから、前列の格納スペースに車両を格納する場合、上記の▲1▼の多段式立体駐車装置のようには運転者に閉塞感や衝突危機感を与えることはないが、反面、ガイドレールがないため、パレットを安定して昇降案内することが難しくなり危険である。特に、車載パレットが最下段の格納スペースから上昇している最中に風等の影響で前後方向及び左右方向に横揺れすると、パレットに突設したスライダーを上方の格納スペースのガイドレールに係合し得ない事態が生じ、車載パレットを高所の格納スペースに安定して上昇させることができず、非常に危険である。
【0008】
また、上記の▲3▼の多段式立体駐車装置では、前列の格納スペースに車両を格納する場合、この最下段の格納スペースにガイドレールが下降待機していることから、上記の▲1▼の多段式立体駐車装置と同様に運転者に閉塞感や衝突危機感を与える。さらに、この▲3▼の多段式立体駐車装置では、ガイドレールを昇降させるための昇降駆動装置が必要で装置が複雑になるとともに、設備費用が嵩むことになる。
【0009】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、入庫時に運転者に閉塞感や衝突危機感を与えず、しかもパレットの安定した昇降、特に上昇時の安定化を構造の複雑化や設備費用の高騰を招くことなく図ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、最下段の格納スペースを除く上段の格納スペースにだけガイドレールを設け、最下段の格納スペースにはそれに代わるガイド部材を設けたことを特徴とする。
【0011】
具体的には、本発明は、車両をパレットごと格納する格納スペースが地上に上下方向に複数並設され、複数枚のパレットの各々の四隅に設けられた吊り金具に4個の吊下げ部材をそれぞれ連結し上記各パレットを4個の吊下げ部材で吊下げ支持して上記各格納スペースに昇降可能に配置し、入出庫時、上記各吊下げ部材の上下動作により、上記各パレットを昇降させるようにした多段式立体駐車装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0012】
すなわち、本発明の第1の解決手段は、上記複数の格納スペースのうち最下段の格納スペースを除く格納スペースの奥部に上下方向に延びるガイドレールを設け、入出庫時、各パレットに突設したスライダーを上記ガイドレールに係合せしめて該各パレットを昇降案内する。さらに、上記最下段の格納スペースの上端寄りに上下方向に短い4個の誘導部材を上記各パレットの各吊り金具に対応する間隔でスポット的に配置する。そして、パレット上昇時、上記各吊下げ部材及び各吊り金具を上記各誘導部材に上方案内させて各パレットの前後方向及び左右方向の位置を正規の位置に修正し、該各パレットのスライダーを上記ガイドレールに係合させるようにしていることを特徴とする。
【0013】
本発明の第2の解決手段は、第1の解決手段において、上下方向に並設された複数の格納スペースからなる格納スペース列を左右方向に複数列並設し、入出庫時、目的の格納スペースと地上の車両乗入れ・乗出し部との間の格納スペースからパレットをその隣の格納スペースに駆動手段により横移動させて昇降路を形成し、入出庫車両をパレットごと上記昇降路で昇降させるようにしたことを特徴とする。つまり、この第2の解決手段では、昇降横行式の多段式立体駐車装置を対象としている。
【0014】
本発明の第3の解決手段は、第1の解決手段において、上下方向に並設された複数の格納スペースからなる格納スペース列を左右方向及び前後方向に複数列並設し、入出庫時、目的の格納スペースと地上の車両乗入れ・乗出し部との間の格納スペースからパレットをその隣の格納スペースに駆動手段により横移動させて昇降路を形成し、入出庫車両をパレットごと上記昇降路で昇降させるようにしたことを特徴とする。つまり、この第3の解決手段では、昇降横行重列式の多段式立体駐車装置を対象としている。
【0015】
上記の構成により、本発明の第1〜3の解決手段では、入出庫時、最下段の格納スペース上方の格納スペースでは、パレットはスライダーをガイドレールに係合せしめて昇降案内されるため、昇降動作が安定する。
【0016】
一方、パレットが最下段の格納スペースから上昇する際には、4個の吊下げ部材が4個の誘導部材にそれぞれ上方案内され、これに引き続いて、4個の吊り金具が上記各誘導部材に上方案内される。
【0017】
したがって、パレットが上昇中に風等の影響によって前後方向及び左右方向に横揺れしても、各吊り金具が各誘導部材を通過することにより、横揺れによって位置ずれしているパレットが正規の位置に誘導させて位置修正され、これにより、パレットのスライダーがガイドレールに対応する位置に位置付けられ、その後のパレットの上昇によって上記スライダーがガイドレールに確実に係合しパレットが上昇案内されるため、パレットの上昇動作が安定する。
【0018】
なお、パレットが下から2段目の格納スペースを経て最下段の格納スペースに下降する際には、スライダーがガイドレールを離れるため、下降動作が不安定となるおそれがあるが、この不安定状態は最下段の格納スペースが低所であり、しかも下降動作中であるので、実際には安全上さしたる問題となることはない。
【0019】
また、最下段の格納スペースには4個の誘導部材があるが、その位置は格納スペースの上端寄りであり、かつパレットの各吊り金具に対応する間隔でスポット的に配置され、しかも寸法が上下方向に短いことから、格納スペースの上下全域に亘って延びるガイドレールに比べて占有領域が小さく、しかも格納スペースの上端寄りで運転者の視界に入り難く、入庫時、運転者は閉塞感や衝突危機感を覚えない。さらに、ガイドレールを昇降させる必要もなく、したがって、そのための昇降駆動装置がいらず、装置の複雑化及び設備費用の高騰が回避される。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0021】
図1及び図2は多段(4段2列の昇降横行)式立体駐車装置を示す。図1及び図2において、1は多段式立体駐車装置の骨格をなす枠組体であり、該枠組体1は、地面2に立設された4本の支柱3,3,…と、前後左右で隣り合う支柱3,3の上端及び中程をそれぞれ連結する複数の梁4,4,…とで枠組まれて構築されている。上記枠組体1は、上下方向に4分割されかつ左右方向に2分割され、各々の分割スペースを車両Cをパレットごと格納する格納スペースSとして該格納スペースSが地上に上下方向及び左右方向に8つ並設され、最下段の格納スペースS,S前方(図1手前側、図2左側)を車両乗入れ・乗出し部5としている。なお、上記8つの格納スペースS,S,…のうち最下段の格納スペースS,Sは、入出庫時の利用者の乗降を考慮してその上方の格納スペースS,S,…よりも上下方向に広く形成されている。
【0022】
この8つの格納スペースS,S,…は、全てが常に格納スペースとして利用されるのではなく、そのうちの3つが空スペースになっている。つまり、8つの格納スペースS,S,…の全てにパレットが配置されているのではなく、そのうちの3つの格納スペースS,S,Sにはパレットがなく、最上段の格納スペースSに車両Cを入庫する際や最上段の格納スペースSから車両Cを出庫する際には、その下方の車両乗入れ・乗出し部5との間の3つの格納スペースS,S,SからパレットP1,P2,P3をその隣の格納スペースS,S,Sに横移動させて昇降路6を形成するようになっている。図1では、昇降路6が右側の最上段の格納スペースSを除いてその下方の3つの格納スペースS,S,Sで形成されている場合を示す。
【0023】
下から3段目の格納スペースSに車両Cを入庫する際や下から3段目の格納スペースSから車両Cを出庫する際には、その下方の車両乗入れ・乗出し部5との間の2つの格納スペースS,SからパレットP1,P2をその隣の格納スペースS,Sに横移動させて昇降路6を形成するようになっている。
【0024】
下から2段目の格納スペースSに車両Cを入庫する際や下から2段目の格納スペースSから車両Cを出庫する際には、その下方の車両乗入れ・乗出し部5との間の最下段の格納スペースSからパレットP1をその隣の格納スペースSに横移動させて昇降路6を形成するようになっている。
【0025】
最下段の格納スペースSに車両Cを入庫する際には、車両乗入れ・乗出し部5から最下段の格納スペースSのパレットP1上にそのまま乗り入れればよく、逆に最下段の格納スペースSから車両Cを出庫する際には、最下段の格納スペースSのパレットP1から車両乗入れ・乗出し部5に乗り出せばよく、この場合には昇降路6を形成する必要はない。なお、上記最下段の2つの格納スペースS,Sは2つが同時に格納スペースSとなるのではなく、いずれか一方の格納スペースSは入出庫時の昇降路6となる。
【0026】
上記最下段の格納スペースS,Sの地面2には、2条のレール7,7が両格納スペースS,Sを連絡するように全幅に亘って敷設され、該レール7,7には、1台の自走式パレット(以下、横行パレットという)P1が四隅に転動自在に設けられた車輪8,8,…を係合させて配置され、後側(図2右側)の2個の車輪8,8の一方は横行モータ9の出力軸に駆動連結されている。そして、上記横行パレットP1は、入出庫時、昇降路6を形成すべく上記横行モータ9の駆動によりレール7,7を走行して左右に隣り合う最下段の格納スペースS,Sを横移動するようになっている。
【0027】
上記横行パレットP1の後端にはスタンド10が立設され、該スタンド10には給電線11の一端側が支持され、その先は図示しないが上記横行モータ9に接続されている。また、上記給電線11の他端側は、上記左右に隣り合う最下段の格納スペースS,S間でかつその上方の構築材である後部の梁4側で支持部材12によって支持され、その先は図示しないが電力供給源に接続されている。
【0028】
上記最下段の格納スペースS,Sと上下に隣り合う下から2段目の格納スペースS,Sとを仕切る前後の梁4,4には、2条のレール13,13が両格納スペースS,Sを連絡するように全幅に亘って敷設され、該レール13,13には、矩形フレームからなる1台の横行装置14が四隅に転動自在に設けられた車輪15,15,…を係合させて配置されている。上記横行装置14の後部一端には駆動手段としての横行モータ16が据え付けられ、該横行モータ16の出力軸は駆動スプロケット17、従動スプロケット18、アイドラー19及びチェーン20を介して後側(図2右側)の2個の車輪15,15に駆動連結されている。そして、上記横行装置14は、入出庫時、昇降路6を形成すべく上記横行モータ16の駆動によりレール13,13を走行して左右に隣り合う下から2段目の格納スペースS,Sを移動するようになっている。
【0029】
上記横行装置14の後部で上記横行モータ16の反対側には、別の駆動手段としての昇降モータ21が据え付けられているとともに、その下方には横行装置14の左右両側に延びるシャフト22が設けられ、上記昇降モータ21の出力軸は該シャフト22の一端側に駆動スプロケット23、従動スプロケット24及びチェーン25を介して駆動連結されている。また、上記シャフト22の両端にはスプロケット26,26が取り付けられているとともに、上記横行装置14の左右のフレームにもスプロケット27,27,…がそれぞれ取り付けられ、4個の吊下げ部材としての4条のチェーン28,28,…が横行装置14の左右両側で2条ずつ各々のスプロケット26,27に掛け渡されて各々の両端がパレットP2の四隅に連結され、該パレットP2を昇降可能に吊下げ支持して昇降装置を構成している。実際には、パレットP2の四隅には吊り金具29,29,…が取り付けられ、上記4条のチェーン28,28,…がこれらの吊り金具29,29,…にそれぞれ連結され、パレットP2を4条のチェーン28,28,…で吊下げ支持して格納スペースSに昇降可能に配置している。そして、上記パレットP2は、入出庫時、上記昇降モータ21の駆動による4条のチェーン28,28,…の上下動作により、昇降路6を昇降するようになっている。つまり、このパレットP2は、上記昇降モータ21及び横行モータ16の駆動により昇降及び横移動の2つの動作を行うようになっている。以下、このパレットP2を昇降横行パレットP2という。
【0030】
下から3段目の格納スペースS,Sにも横行装置及び昇降横行パレットが配置され、各々の動作は下から2段目の格納スペースS,Sに配置した横行装置14及び昇降装置と同じ機構にて行われるので、同一の構成部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。以下、この段の昇降横行パレットを昇降横行パレットP3という。
【0031】
最上段の格納スペースS,Sには横行装置14はなく昇降装置のみである。この昇降装置は、下から2段目及び3段目の格納スペースSの昇降装置と、左右のフレーム4a,4aに対するスプロケット27,27,…の配置関係が異なるほかは同じであるので、同一の構成部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。以下、この段のパレットを昇降パレットP4という。
【0032】
上記最下段の格納スペースS上方の3段の格納スペースS,S,Sにおいても、昇降横行パレットP2,P3を横移動及び昇降させる横行モータ16及び昇降モータ21への電力供給や、昇降パレットP4を昇降させる昇降モータ21への電力供給は、最下段の横行パレットP1の横行モータ9と同様に電力供給源(図示せず)から行われ、最上段では昇降モータ21に電力を供給する給電線は図示していないが、その下段側である下から2段目及び3段目の格納段では給電線30をそれぞれ表している。
【0033】
下から2段目及び3段目の格納段の各給電線30の支持構造は同一に構成されているので、ここでは下から2段目の格納段の支持構造を説明することとし、下から3段目の支持構造については同一の構成部分に同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0034】
すなわち、上記各給電線30の一端側は、横行装置14の後端フレームに立設されたスタンド31上端に支持され、その先は図示しないが上記横行モータ16又は昇降モータ21にそれぞれ接続されている。一方、上記各給電線30の他端側は、下から2段目の格納段上方の後部の梁4中央に設けられたクランプ部材32に支持され、その先は図示しないが電力供給源にそれぞれ接続されている。また、上記各給電線30の中途部は、左右に隣り合う格納スペースS,S間に跨がるように上記梁4側に水平に設けられた線状材33に移動体34を介して持上げ支持され、これにより、各給電線30の垂れ下がり部を移動体34の両側の2箇所で分担してその垂れ下がり量を半減するようになっている。
【0035】
そして、入出庫時、昇降路6を形成すべく昇降横行パレットP2つまり横行装置14が隣り合う格納スペースSに横移動すると、上記移動体34が引っ張られて線状材32を転動し、移動体34が横行装置14と同じ方向に横移動するようになっている。この際、各給電線30は、移動体34によって上方に持ち上げられてあまり垂れ下がらないようになっているので、横行装置14が横移動しても横行モータ16及び昇降モータ21に絡まらず、接触事故を防止することができる。
【0036】
上記4段の格納スペースS,S,…のうち最下段の格納スペースSを除く3段の格納スペースS,S,Sの奥部(図2右端)には、複数本の上下方向に延びるガイドレールが取り付けられている。図3〜5にも示すように、これらのガイドレールは、断面「コ」の字形のチャネル鋼材からなり、枠組体1の梁4に取り付けられた固定ガイドレール35と、横行装置14に取り付けられた可動ガイドレール36との2種類のレールからなる。一方、各パレットP2,P3,P4の後端には、2個のスライダー37,37がフレーム38を介して水平に突設され、入出庫時、該両スライダー37,37を上記固定ガイドレール35及び可動ガイドレール36に係合せしめて上記各パレットP2,P3,P4を昇降案内するようになっている。
【0037】
具体的には、上記固定ガイドレール35は、枠組体1奥部の左右両端では3本ずつ最下段の格納スペースSを除く3段の格納スペースS,S,Sに上下方向に一直線上に並ぶようにフレーム39によって支柱3及び梁4に取り付けられるとともに、最上段の左右に隣り合う格納スペースS,Sの境目では梁4にフレームによって2本横に並ぶように取り付けられている。一方、上記可動ガイドレール36は、下から2段目及び3段目の2台の横行装置14,14の後端両側に1本ずつフレーム40によって取り付けられている。
【0038】
そして、図1に示すように、上記2台の横行装置14,14が共に左側の格納スペースS,Sに横移動した状態で該2台の横行装置14,14の右側の可動ガイドレール36,36を最上段の中央右側の固定ガイドレール35の延長線上に並べ、右端の3本の固定ガイドレール35,35,35とで最上段の右側の昇降パレットP4を昇降案内するようになっている。逆に、上記2台の横行装置14,14が共に右側の格納スペースS,Sに横移動した状態で該2台の横行装置14,14の左側の可動ガイドレール36,36を最上段の中央左側の固定ガイドレール35の延長線上に並べ、左端の3本の固定ガイドレール35,35,35とで最上段の左側の昇降パレットP4を昇降案内するようになっている。また、図1で下から3段目の左側の格納スペースSから昇降横行パレットP3を昇降させる際には、その下の横行装置14を右側の格納スペースSに横移動させ、該横行装置14の左側の可動ガイドレール36と右端の固定ガイドレール35とを用いることになる。
【0039】
本発明の特徴として、上記最下段の各格納スペースSの上端寄りには、上下方向に短い4個の誘導部材41,41,…が上記各パレットP2,P3,P4の各吊り金具29に対応する間隔でスポット的に配置され、そのうち外側の2個の誘導部材41,41は前後方向に延びる梁4にブラケット45によって取り付けられているとともに、内側の2個の誘導部材41,41は左右方向に延びる梁4に同じくブラケット45によって取り付けられている。
【0040】
図6(a)〜(c)に示すように、該各誘導部材41は、金属プレートを断面「コ」の字形に折り曲げて形成され、3つの折曲片42,42,42の上端及び下端にはガイド部42a,42aが外方に広がるように斜めに折曲げ形成され、該各ガイド部42aで上記各吊り金具29を上下方向に案内するようになっている。
【0041】
一方、上記各吊り金具29は、図7(a)〜(c)に示すように、金属プレートを折り曲げて3つの折曲片43,43,43からなり、真ん中の折曲片43の上端側は水平に折り曲げられてチェーン28を取り付ける取付部43aが形成されている。さらに、その両側の対向する2つの折曲片43,43の上端側は、互いに接近するように斜めに折り曲げられて上端に略三角形状に尖った係合部43bが形成され、パレットP2,P3,P4が最下段の格納スペースSから上昇する際、上記誘導部材41に係合し易くしている。そして,この各吊り金具29は、ボルト44,44によってパレットP2,P3,P4の側端部に取り付けられている。
【0042】
そして、図8〜10に示すように、パレット上昇時、上記各チェーン28及び各吊り金具29を上記各誘導部材41に上方案内させて各パレットP2,P3,P4の前後方向及び左右方向の位置を正規の位置に修正し、該各パレットP2,P3,P4を上記各固定ガイドレール35及び可動ガイドレール36に案内するようになっている。
【0043】
次に、上述の如き多段(4段2列の昇降横行)式立体駐車装置の入庫例を説明する。なお、出庫例は入庫の場合と逆動作で行われるのでここでは説明を省略する。
【0044】
<最下段の格納スペースSへの入庫>
入庫車両Cを車両乗入れ・乗出し部5から横行パレットP1上にそのまま乗り入れればよい。
【0045】
<下から2段目の格納スペースSへの入庫>
入庫しようとする下から2段目の格納スペースSの下方に横行パレットP1がなく昇降路6が形成されていれば、その状態から昇降横行パレットP2を昇降モータ21の駆動により下降させて接地させ、入庫車両Cを車両乗入れ・乗出し部5から昇降横行パレットP2上に乗り入れた後、該昇降横行パレットP2を元の格納スペースSに上昇させればよい。この際、昇降横行パレットP2を吊り下げている各チェーン28及び各吊り金具29が各誘導部材41に上方案内され、該昇降横行パレットP2が固定ガイドレール35及び可動ガイドレール36に案内される。
【0046】
一方、入庫しようとする下から2段目の格納スペースSの下方に横行パレットP1があれば、該横行パレットP1を横行モータ9の駆動により隣の格納スペースSに横移動させて昇降路6を形成し、その後、昇降横行パレットP2を昇降モータ21の駆動により下降させて接地させ、入庫車両Cを車両乗入れ・乗出し部5から昇降横行パレットP2上に乗り入れた後、該昇降横行パレットP2を元の格納スペースSに上昇させればよい。あるいは、横行パレットP1をそのままの状態にしておき、昇降横行パレットP2を横行モータ16の駆動により隣の格納スペースSに横移動させた後、昇降モータ21の駆動により下降させて接地させ、入庫車両Cを車両乗入れ・乗出し部5から昇降横行パレットP2上に乗り入れるようにしてもよい。この際も、各チェーン28及び各吊り金具29が各誘導部材41に案内され、該昇降横行パレットP2が固定ガイドレール35及び可動ガイドレール36に案内される。
【0047】
<下から3段目の格納スペースSへの入庫>
入庫しようとする下から3段目の格納スペースSの下方に昇降横行パレットP2及び横行パレットP1が共になく昇降路6が形成されていれば、その状態から昇降横行パレットP3を昇降モータ21の駆動により下降させて接地させ、入庫車両Cを車両乗入れ・乗出し部5から昇降横行パレットP3上に乗り入れた後、該昇降横行パレットP3を元の格納スペースSに上昇させればよい。この際、各チェーン28及び各吊り金具29が各誘導部材41に案内され、該昇降横行パレットP3が固定ガイドレール35及び可動ガイドレール36に案内される。
【0048】
一方、入庫しようとする下から3段目の格納スペースSの下方に横行パレットP1がなく昇降横行パレットP2のみがあれば、該昇降横行パレットP2を横行モータ16の駆動により隣の格納スペースSに横移動させ、その後、昇降横行パレットP3を昇降モータ21の駆動により下降させて接地させ、入庫車両Cを車両乗入れ・乗出し部5から昇降横行パレットP3上に乗り入れればよい。逆に、入庫しようとする下から3段目の格納スペースSの下方に昇降横行パレットP2がなく横行パレットP1のみがあれば、該横行パレットP1を横行モータ9の駆動により隣の格納スペースSに横移動させて昇降路6を形成し、その後、昇降横行パレットP3を昇降モータ21の駆動により下降させて接地させ、入庫車両Cを車両乗入れ・乗出し部5から昇降横行パレットP3上に乗り入れた後、該昇降横行パレットP3を元の格納スペースSに上昇させればよい。この際も、各チェーン28及び各吊り金具29が各誘導部材41に案内され、該昇降横行パレットP3が固定ガイドレール35及び可動ガイドレール36に案内される。なお、入庫しようとする下から3段目の格納スペースSの下方に昇降横行パレットP2及び横行パレットP1の両者があれば、この両者を横移動させて昇降路6を形成することになる。
【0049】
<最上段の格納スペースSへの入庫>
入庫しようとする最上段の格納スペースSの下方に昇降横行パレットP3,P2及び横行パレットP1が共になく昇降路6が形成されていれば、その状態から昇降パレットP4を昇降モータ21の駆動により下降させて接地させ、入庫車両Cを車両乗入れ・乗出し部5から昇降パレットP4上に乗り入れた後、該昇降パレットP4を元の格納スペースSに上昇させればよい。この際、各チェーン28及び各吊り金具29が各誘導部材41に案内され、該昇降パレットP4が固定ガイドレール35及び可動ガイドレール36に案内される。
【0050】
一方、入庫しようとする最上段の格納スペースSの下方に横行パレットP1のみがなく2台の昇降横行パレットP3,P2があれば、該両昇降横行パレットP3,P2を横行モータ16,16の駆動により隣の格納スペースS,Sにそれぞれ横移動させて昇降路6を形成し、その後、昇降パレットP4を昇降モータ21の駆動により下降させて接地させ、入庫車両Cを車両乗入れ・乗出し部5から昇降パレットP4上に乗り入れた後、該昇降パレットP4を元の格納スペースSに上昇させればよい。逆に、入庫しようとする最上段の格納スペースSの下方に昇降横行パレットP3,P2の双方がなく横行パレットP1のみがあれば、該横行パレットP1を横行モータ9の駆動により隣の格納スペースSに横移動させて昇降路6を形成し、その後、昇降パレットP4を昇降モータ21の駆動により下降させて接地させ、入庫車両Cを車両乗入れ・乗出し部5から昇降パレットP4上に乗り入れた後、該昇降パレットP4を元の格納スペースSに上昇させればよい。なお、入庫しようとする最上段の格納スペースSの下方に昇降横行パレットP3,P2の一方と横行パレットP1とがある場合や、昇降横行パレットP3,P2の一方だけがある場合、さらには昇降横行パレットP3,P2及び横行パレットP1の3枚のパレットがある場合も、上記と同様にしてそれらを横移動させ、昇降路6を形成すればよい。この際も、各チェーン28及び各吊り金具29が各誘導部材41に案内され、該昇降パレットP4が固定ガイドレール35及び可動ガイドレール36に案内される。
【0051】
このように、本例では、パレットP2,P3,P4を最下段の格納スペースSから上昇させる際、各々のパレットP2,P3,P4を吊り下げている各チェーン28及び各吊り金具29を各誘導部材41に上昇案内させるようにしていることから、図11実線及び図12実線に示すように、パレットP2,P3,P4が上昇中に風等の影響によって前後方向及び左右方向に横揺れしても、各吊り金具29が各誘導部材41を通過することにより、図11仮想線及び図12仮想線に示すように、横揺れによって位置ずれしているパレットP2,P3,P4を正規の位置に誘導して位置修正でき、これにより、パレットP2,P3,P4のスライダー37を固定ガイドレール35及び可動ガイドレール36に対応する位置に位置付けることができ、その後のパレットP2,P3,P4の上昇によって上記スライダー37を固定ガイドレール35及び可動ガイドレール36に確実に係合させてパレットP2,P3,P4を上昇案内できるため、パレットP2,P3,P4の上昇動作を安定させることができる。
【0052】
なお、パレットP2,P3,P4が下から2段目の格納スペースSを経て最下段の格納スペースSに下降する際には、スライダー37が固定ガイドレール35及び可動ガイドレール36を離れるため、下降動作が不安定となるおそれがあるが、この不安定状態は最下段の格納スペースSが低所であり、しかも下降動作中であるので、実際には安全上さしたる問題となることはない。
【0053】
また、最下段の格納スペースSには4個の誘導部材41,41,…があるが、その位置は格納スペースSの上端寄りであり、かつパレットP2,P3,P4の各吊り金具29に対応する間隔でスポット的に配置され、しかも寸法が上下方向に短いことから、格納スペースSの上下全域に亘って延びる固定ガイドレール35及び可動ガイドレール36に比べて占有領域が小さく、しかも格納スペースSの上端寄りで運転者の視界に入り難く、入庫時、運転者は閉塞感や衝突危機感を覚えない。さらに、ガイドレールを昇降させる必要もなく、したがって、そのための昇降駆動装置がいらず、装置の複雑化及び設備費用の高騰を回避することができる。
【0054】
なお、上記の実施の形態では、4段2列の昇降横行式立体駐車装置に適用したが、図13に示すように、上下方向に並設された4つの格納スペースS,S,…からなる格納スペース列が左右方向及び前後方向に複数列並設された4段2列の昇降横行重列式立体駐車装置にも適用することができ、また、その格納段数及び並列数は問わず、他の多段式立体駐車装置にも当然に適用することができるものである。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数の格納スペースのうち最下段の格納スペースを除く格納スペースに上下方向に延びるガイドレールを設けるとともに、上記最下段の格納スペースの上端寄りに上下方向に短い4個の誘導部材をパレットの4個の吊り金具に対応する間隔でスポット的に配置し、パレット上昇時、パレットを吊下げ支持する4個の吊下げ部材及び吊り金具を上記各誘導部材に上方案内させて各パレットの前後方向及び左右方向の位置を正規の位置に修正し、該各パレットのスライダーを上記各ガイドレールに係合させるようにした。したがって、パレットが上昇中に横揺れしても、各吊り金具が各誘導部材を通過することによってパレットをガイドレールに確実に案内して上昇動作の安定化を図ることができる。また、上下方向に短い4個の誘導部材を格納スペースの上端寄りにスポット的に設けて運転者の視界に入り難くしたので、入庫時における運転者の閉塞感や衝突危機感を回避することができる。さらに、ガイドレールを昇降させる必要がないので、昇降駆動装置を設置することによる装置の複雑化及び設備費用の高騰を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る多段式(4段2列の昇降横行)立体駐車装置であって図2のI−I線における断面図である。
【図2】図1のII−II線における断面図である。
【図3】ガイドレールの配置図である。
【図4】パレットのスライダーとガイドレールとの係合関係を示す平面図である。
【図5】図4のA部拡大図である。
【図6】誘導部材を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のVI−VI線における断面図、(c)は平面図である。
【図7】吊り金具を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のVII −VII 線における断面図、(c)は平面図である。
【図8】誘導部材と吊り金具との位置関係を示す側面図である。
【図9】誘導部材と吊り金具との位置関係を示す平面図である。
【図10】誘導部材と吊り金具との位置関係を示す正面図である。
【図11】パレットの位置修正を説明する図8相当図である。
【図12】パレットの位置修正を説明する図10相当図である。
【図13】4段2列の昇降横行重列タイプの多段式立体駐車装置の側面図である。
【符号の説明】
5 車両乗入れ・乗出し部
6 昇降路
16 横行モータ(駆動手段)
21 昇降モータ(駆動手段)
29 吊り金具
28 チェーン(吊下げ部材)
35 固定ガイドレール
36 可動ガイドレール
37 スライダー
41 誘導部材
C 車両
P1 横行パレット
P2,P3 昇降横行パレット
P4 昇降パレット
S 格納スペース
Claims (3)
- 車両をパレットごと格納する格納スペースが地上に上下方向に複数並設され、複数枚のパレットの各々の四隅に設けられた吊り金具に4個の吊下げ部材をそれぞれ連結し上記各パレットを4個の吊下げ部材で吊下げ支持して上記各格納スペースに昇降可能に配置し、入出庫時、上記各吊下げ部材の上下動作により、上記各パレットを昇降させるようにした多段式立体駐車装置であって、
上記複数の格納スペースのうち最下段の格納スペースを除く格納スペースの奥部には、入出庫時、各パレットに突設したスライダーを係合せしめて該各パレットを昇降案内する上下方向に延びるガイドレールが設けられ、
上記最下段の格納スペースの上端寄りには、上下方向に短い4個の誘導部材が上記各パレットの各吊り金具に対応する間隔でスポット的に配置され、
パレット上昇時、上記各吊下げ部材及び各吊り金具は、上記各誘導部材に上方案内されて各パレットの前後方向及び左右方向の位置を正規の位置に修正し、該各パレットのスライダーを上記ガイドレールに係合させるようになっていることを特徴とする多段式立体駐車装置。 - 上下方向に並設された複数の格納スペースからなる格納スペース列が左右方向に複数列並設され、入出庫時、目的の格納スペースと地上の車両乗入れ・乗出し部との間の格納スペースからパレットをその隣の格納スペースに駆動手段により横移動させて昇降路を形成し、入出庫車両をパレットごと上記昇降路で昇降させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の多段式立体駐車装置。
- 上下方向に並設された複数の格納スペースからなる格納スペース列が左右方向及び前後方向に複数列並設され、入出庫時、目的の格納スペースと地上の車両乗入れ・乗出し部との間の格納スペースからパレットをその隣の格納スペースに駆動手段により横移動させて昇降路を形成し、入出庫車両をパレットごと上記昇降路で昇降させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の多段式立体駐車装置。
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