JP3558347B2 - 自己免疫疾患、とくに多発性硬化症の診断および治療における使用のためのアルファbクリスタリン - Google Patents

自己免疫疾患、とくに多発性硬化症の診断および治療における使用のためのアルファbクリスタリン Download PDF

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Description

本発明は免疫学の技術分野に関し、詳しくは自己免疫疾患の技術分野に関する。さらに詳しくは、本発明は、自己免疫疾患、とくに多発性硬化症の診断および治療に関する。自己免疫疾患は、たとえば細菌類、ウイルス類などの有害物質に対する身体の防衛機構が有害物質と自己物質を区別する性能を失って自分自身の物質の一部を攻撃し、非常に重要な組織と機能を破壊するにいたる疾患である。本発明を一層よく理解できるように、この防衛機構がどのように作動するかについて以下に簡単な説明を行なう。
免疫系とその制御
ヒトと動物の免疫系は、病原体と外来性物質を監視して生体から排除するよう設計された精密に均衡がとれた系である。各個体は毎日、身体組織内に常在するかまたはそれどころか増殖すると正常な身体の機能を危険に陥れるかもしれない多数の異なる細菌類、ウイルス類またはほかの物質に遭遇する。免疫学者達は、身体自体に対するあらゆる外来性のタンパク質性物質を「抗原」と称している。免疫系は考えうるあらゆる起源由来の抗原に応答できる各種の異なる細胞からなる。
免疫系の特異的な応答は、ヘルパーT細胞と呼ばれて監視細胞および調節細胞として作用する特別なタイプの細胞によって制御される。このようなヘルパーT細胞は細胞障害性T細胞(冒された(affected)細胞または組織を破壊する)、B細胞(抗体を産生し分泌する)またはマクロファージ(物質を摂取し、タンパク質分解酵素を分泌しついで酸化的ラジカルを損傷する)を活性化する。したがって、ヘルパーT細胞は、免疫系がいつ作動し始めそして免疫系をどの標的構造体に対して正確に向けるのかを決定する際に重要な役割を演じている。
その後者の要素、すなわちヘルパーT細胞が認識するような免疫応答の標的特異性は、抗原の構造試料(structural sample)、すなわち抗原に由来するタンパク質断片によって定義される。一般に、いわゆるアクセサリー細胞(マクロファージのばあいが多い)がヘルパーT細胞に提示する複数組のタンパク質断片を検査することによって、ヘルパーT細胞は抗原の存在について選別する。このようなアクセサリー細胞は、抗原を摂取し、その抗原の性質または起源に無関係にその物質をタンパク質分解酵素によって消化する。ついで、えられた抗原由来タンパク質断片は、このタンパク質断片を捕獲し提示するよう設計された特別のタンパク質によって(やはりアクセサリー細胞内に)捕捉される。これらタンパク質は、ゲノム中の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスII領域中にコードされており、クラスII MHCタンパク質と称されている。MHCタンパク質は、アクセサリー細胞内での分解プロセスによって出現するタンパク質断片と1:1の比率で複合体を形成し、アクセサリー細胞の表面に露出され、該細胞表面に数日間滞留する。こうして、アクセサリー細胞は、通過するヘルパーT細胞に、捕獲されたタンパク質断片の形態の抗原の構造試料を提示する[1]。
免疫系はヘルパーT細胞の集団からなり、その各集団は、その個体自身の標的特異性を有する表面レセプター構造を有している[2]。しかし、異なる細胞上の何百万もの多数の異なるヘルパーT細胞レセプターはともに、あらゆるタンパク質断片を事実上認識することができる。このことは、構造が異なる物質の無限の多様性を認識しうる免疫系にとって必要条件である。しかし同時に、免疫系には、身体それ自体に属する構造体にも反応を起こす、という重大な危険性がある。病原性の可能性がある抗原に反応することと身体自身の組織に対して寛容であることとのあいだに的確なバランスが健康な免疫系に対して重要である[3]。
あいにく、侵襲と寛容のあいだのバランスは必ずしも維持されない。とくに身体内の組織特異的構造体は自己反応性免疫応答の標的になって疾患を起こすことがありうる[4]。膵臓内のインスリンを産生するランゲルハンス島に対して異常な反応があるばあい、インスリン依存性糖尿病が起こる。軟骨構造体が攻撃されると、リウマチ様糖尿病が続いて起こり、もし脳の白質内の何かが免疫系の引き金をひけば多発性硬化症が起こりうる。これらの疾患は、その疾患にかかった個体ごとにまったく異なる症状をもたらすが、免疫学者らは、これら疾患は起源が同じであると考えている。すなわち、身体自身の組織内の1またはそれより多くの抗原に対する制御されていない永続的な免疫応答、すなわち自己免疫の起源であると考えている。
西洋世界では、全住民の約3%が自己免疫応答に苦しんでいる。1000名につき約1名が多発性硬化症(MS)にかかっている。MSは、中枢神経系、脳および脊髄の白質内に炎症領域(病巣)が散乱していることが特徴である[5]。この白質は主として、中枢神経系(CNS)組織に特異的な物質、すなわちミエリンで構成され、その中枢神経系組織は軸索のまわりを絶縁膜の層で取り囲まれている。考えられるあらゆる身体機能を制御する神経信号は、一つの神経細胞から軸索を通ってほかの神経細胞へ伝わる。しかし電線を通る電流とは異なり、CNS中の信号伝導は、いわゆる跳躍伝導によって達成される。電気化学的ポテンシャルは、軸索の全長に沿って連続的に移送されるわけではなく、ミエリン斑のあいだに存在する露出した軸索の小スポット(ランヴィエ絞輪)のあいだをジャンプする。
スポットからスポットへジャンプすることによって、中枢神経系における神経信号の導入は速くかつ効率的になる。MSでは、CNSでの局所性炎症反応によって、ミエリン層の分解そしてそれらの軸索からの完全な除去が生じる。脱ミエリン化軸索は、信号導入の跳躍モードを行なうことはもはや不可能なので、神経信号の伝導の効率は著しく低下する。したがって、神経信号は必要な距離を伝わるのに一層長い時間がかかり、その経路に沿って信号のポテンシャルの一部が失われる。たとえ炎症性反応がなくなっても、露出した軸索の再ミエリン形成(remyelination)はごく限られた程度までしか起こらないので損傷が存続する。代わりに瘢痕組織が成長する。この理由のため、MSの結果としてCNSの損傷が除々に蓄積される。
MSの自己免疫応答の標的抗原はCNSミエリン中に見出されうると一般に考えられている[5、6]。ミエリンは、分化した稀突起グリア細胞の細胞膜からなり、約75%の脂質と約25%のタンパク質を含有している[7]。ヘルパーT細胞はタンパク質断片にのみ応答するので、自己免疫応答の引き金をひく際のミエリンのほかの脂質成分に対する大きな役割はまったく考えられない。しかし、ミエリンの25%のタンパク質部分は組成が非常に複雑である。いくつものレベルの複雑度が見出されている。
第一に、CNSミエリンは多数の異なるタンパク質を含有している。主なタンパク質成分、すなわちミエリン塩基性タンパク質(MBP)およびプロテオリピドタンパク質(PLP)が存在し、それぞれ全タンパク質部分の約15%と35%を占めている。しかしその上に、多数のほかのタンパク質成分がCNSミエリンと特異的に結合していることが見出されている。これらのタンパク質のいくつかは、モノクローナル抗体が入手し易いので研究されている。これらタンパク質としては、たとえばミエリン結合糖タンパク質(MAG)とミエリン/稀突起グリア細胞糖タンパク質(MOG)があり、1%未満のオーダーのごく少量のタンパク質部分である。各種の異なる酵素を含む多数のほかのタンパク質が同様にミエリン中に見出されている[8に総説されている]。
第二に、ミエリンタンパク質の分子生物学の研究によって、異なるアイソフォームが存在していることが一貫して明らかになっている[9に総説されている]。さらに、例外というよりは規則として、ミエリンタンパク質の1次転写物は異なるアイソフォームに異なってスプライスされる。かような分子種はそれらが示すエキソンの数が互いに異なっている。たとえばMBPは、マウス中に少なくとも6種の異なるアイソフォームで存在していることが現在知られている。
第三に、現在までに調査されたあらゆるミエリンタンパク質は少なくとも一種の翻訳後修飾を含んでいる。これらの修飾としては、アセチル化、アシル化、グリコシル化、メチル化、リン酸化などがある。最後に、アイソフォームの発現と翻訳後修飾の程度およびパターンとの両者は、成長の段階または健康状態によって適時変動しうる。マウスの成長中、常に異なる比率の異なるMBPアイソフォームが脳中に見られる。動物が、CNSの感染症に冒されると、前記パターンが変化して異なる修飾が出現しうる。追加の情報がなければ、単一のミエリンタンパク質を、ほかのあらゆるミエリンタンパク質より一層関連がある抗原標的であるとみなすことはできないであろう。たとえばMBPまたはPLPの量が単に多いことだけが、これらのタンパク質がほかのミエリン成分より免疫原性が高いことを直ちに意味するわけではない。タンパク質混合物に対するヘルパーT細胞の応答が非常に少量の成分に向けられることを示す多数の例がある[8]。この考察がなされているにもかかわらず、MSに関する免疫学的研究における多くの努力がMBPに集中している。疑いもなく、MBPが水溶性でかつ実験研究用に容易に入手できるタンパク質であるという単純な事実が、候補的自己抗原としてそれが選択される大きな役割を演じている。
しかし今までのところ、前記タンパク質類のいずれかが自己免疫疾患、とくにMSの主たる自己抗原であるという証拠はない。このような自己抗原を同定することが必要であるということは、MSを非常に早い時期に診断でき、ついで論理的な介入法を設計できるということからだけでも明らかである。さらに自己抗原の知識を用いて、現在まで使われている特異的免疫修飾法(aspecific immunemodulation)の代わりにMSに対する特別の治療法を開発することができる。自己抗原に基づいて、ワクチン類または寛容を誘導する方式を開発することが可能であろう[10〜12]。本発明は、MS発生時の主たる自己抗原および診断および治療介入のための標的の重要な候補を提供するものである。
高度に免疫優性のCNSミエリンタンパク質:アルファBクリスタリン
ミエリン反応性ヒトヘルパーT細胞の研究に新たなアプローチを適用することによって、MSの炎症反応において決定的な自己抗原として働くと考えられる新しい抗原がまさに同定された。
長年にわたって報告された従来の研究では、常に個々のタンパク質をCNSミエリンから精製し、ついでヒトのヘルパーT細胞応答を引き起こすその性能または実験動物の脱ミエリンT細胞応答を調査するというアプローチであった。したがって、自己免疫応答の原理に関連する情報をえることができるが、このアプローチでは、選択された抗原が全ミエリンタンパク質と共存しているばあい、ヘルパーT細胞に対して実際に免疫優性なのかどうかという重大な問題がまったく検討されていなかった。しかし、免疫系が全ミエリンタンパク質に対し同時に行なう攻撃は、少なくとも進行中の疾患のMSに起こることに非常に近いようである。
ミエリンタンパク質類の各免疫原性すべてを広範囲に比較するという考えは、長年にわたって是認されているが、その方法を実施するばあい、常に重大な問題がある。主な問題は、大部分のミエリンタンパク質は膜タンパク質であるが、非常に疎水性であり、水溶液に対する溶解性が劣る、ということである。しかも水性環境での溶解性は、これらのタンパク質に対して免疫学的分析を実施するための厳密な前提条件である。本発明者らは最近、全CNSミエリンタンパク質を、その溶解性を失わせることなく、有機溶媒から水溶液に移行させる定量的な2ステップを、徹底的なタンパク質の脱脂と組合わせることによって、劣った溶解性に付随する問題を克服した[13]。その結果、本発明者らはすべてのタンパク質を免疫学的研究に利用することを可能にした。また、脱脂されたミエリンタンパク質を、これまでに報告されたものを超える分離能で、逆相HPLCによって分離することができた(図1参照)。このようにして、単一の調製物中の全CNSミエリンタンパク質をT細胞に感作したのち、分離されたミエリンタンパク質に対する応答におけるヘルパーT細胞の応答を分析して、比較研究を行なうことができた。
さらに、1セットの試験にMSに冒された脳由来のヒトミエリンタンパク質を用い、もう1セットの試験で対照の脳由来のミエリン調製物を用いて、平行実験で試験を実施した。分画されたミエリンタンパク質に対する増殖反応(proliferative response)について、これらのセットの感作/試験抗原を用いて、27名の異なる個体からの末梢血T細胞が試験された。この新規な方法によって、予想外の非常に有用なデータがえられた。そのデータを図2に示す(別々のシートで示す)。
第一に、全ドナーからのヘルパーT細胞は、微量のミエリンタンパク質に対し主として応答するが、2種の支配的な成分であるMBPまたはPLPのいずれに対してもごく弱い応答しか検出されないことが見出される。このように、主なタンパク質成分に対して応答が弱いことは、健康なドナーとMSに冒されたドナーの両者からえられたT細胞に見出された。第二に、最も重要なことであるが、MSに冒された脳から単離されたミエリンタンパク質に対する応答に驚くべき差異が観察された。試験されたすべてのばあいにおいて、このセットのタンパク質を試験抗原として使用したばあいのみ、優勢な増殖性T細胞応答が、単一のHPLCタンパク質画分に対し誘導されることが判明した。健康なドナーおよびMSに冒されたドナー由来のT細胞の試料は一貫してこの特定のタンパク質画分に対して最大の応答を示した。
このタンパク質画分を綿密に調査することによって、そのタンパク質画分がほとんど独占的に23kDaのタンパク質を含有し、そのタンパク質の配列決定を行なったところヒトアルファBクリスタリンと同定されたことがわかった。その精製タンパク質について直接配列決定を行なうことは、N末端の修飾のため不可能であったが、その精製タンパク質由来の6種のトリプシンペプチドは一貫してアルファBクリスタリンと同一の配列を提供した(表1)。そのタンパク質は175個のアミノ酸を含有し、このタンパク質についてはヒト型とウシ型のあいだで、4個のアミノ酸しか異なっていない。ヒトアルファBクリスタリンのアミノ酸配列を図3に示す。
MSにおける自己抗原としてのアルファBクリスタリン
1989年までは、アルファBクリスタリンを含むクリスタリン類は眼の水晶体中に独占的に存在しているタンパク質であると考えられていた。しかし、アルファBクリスタリンに対する抗血清を用いて異なる組織を選別したところ、横紋筋(骨格筋)、腎臓組織およびCNS組織にもアルファBクリスタリンが存在することが確認された[14]。正常なCNS内で、アルファBクリスタリンは主として、白質内に存在する稀突起グリア細胞中に見出される。興味深いことであるが、アルファBクリスタリンに関する従来の研究によって、その配列が、小さな熱ショックタンパク質(またはストレスタンパク質)のファミリーの配列に対し高い相同性を有していることが明らかになった[15]。熱ショックタンパク質としてのその役割と一致して、アルファBクリスタリンはシャペロンの特性を示すことが見出された[16]。
その上に、免疫組織化学の研究によって、アルファBクリスタリンの細胞内レベルがストレスのため増大することが確認された。アルツハイマー病とアレクサンダー病などを含むいくつかの病理学的症状のばあい、CNS中のアルファBクリスタリンのレベルが増大することが見出されている[17と18]。アレクサンダー病のばあい、かなりの量のアルファBクリスタリンが、線維の形態、いわゆるローゼンタール線維の形態で星状神経膠細胞内に蓄積されることが見出されている。CNS組織をポリクローナル抗アルファBクリスタリン抗体で免疫組織化学的に染色することによってえた本発明者らの予備データは、白質内の冒されていない領域に比べてMS病変部の中またはその近傍での発現が増大することを示している。したがって、アルファBクリスタリンの配列相同性のみならず実際の組織での発現がこのタンパク質の熱ショックタンパク質としての役割を指摘している。
すべての異なるミエリンタンパク質のなかの免疫優性標的抗原およびグリア細胞内での熱ショックタンパク質としてのその役割との組合わせによって、アルファBクリスタリンが非常に魅力的な候補的自己抗原になる。MSに冒されたミエリン調製物を使用する時のみ、タンパク質に対する明確なT細細胞応答が見られるという本発明者らの観察結果は、前記調製物中ののタンパク質のレベルが対照の調製物に比べて増大しているということによって充分に説明することができる。しかし、特定の疾患に関連する前記タンパク質の修飾も同様に関連があると考えられる。アルファBクリスタリンは、たとえばリン酸化を含む各種修飾の標的となりうることは公知である。アルファBクリスタリンがMSにおける自己抗原であるならば、熱ショックタンパク質としてのその役割は、MSと関連があると一貫して考えられている1種のウイルスが同定されていないという事実にもかかわらず、MSに関する疫学的研究によりMSの発生時のウイルス感染の役割が指摘されている理由の説明となるであろう[19]。
異なるタイプのウイルスを含んでいるにもかかわらず、CNS内のウイルス感染によって、共通の副作用、すなわちストレスが多い炎症媒介物質のためにアルファBクリスタリンの局所発現が高められる副作用が容易にもたらされる。同時に、局所感染によって、たとえば浸潤マクロファージまたは常在星状神経膠細胞のクラスII MHC分子の局所増大が起こるであろう[20]。抗原を提示するクラスII MHC分子の増大した発現と同時でかつ同じ場所での免疫優性アルファBクリスタリンの増大した濃度とを組合わせることによって、アルファBクリスタリンに対するヘルパーT細胞応答を引き起こす閾値を超えることになるかもしれない、ということを観察するのは困難なことではない。また、このような応答が永続することは、同じ趣旨で容易に説明することができる。アルファBクリスタリンの免疫優性は、今までに試験されたすべてのヒトHLA−DRのバックグランド(西欧のMSに関連するDR2タイプを含む)で観察されている。
自己抗原としてのアルファBクリスタリンに基づくMSの診断および治療
実際に、単一の免疫優性ミエリンタンパク質がすべてのヒトクラスII MHCバックグランドに対して存在し、そしてこのタンパク質が熱ショックタンパク質の構造および機能の両者の特徴を有しているという新しい驚くべき発見によって、自己免疫に関連する疾患、とくにMSの診断および治療における新しいアプローチに対して一連の可能性が開かれる。
MSの診断は常に問題であった。CNSにおける局所的な苦痛によって起こりうる各種臨床症状の固有の変化のみならず、MSに特徴的であると考えられる臨床徴候の時間経過によって、結局、迅速な診断が不可能になる。小康状態の現象を反復することが診断を決定するのに非常に重要であるばあいは、長期間にわたって疾患を単に監視しなければならないであろう。CNSの局所炎症を監視する際の診断手段として磁気共鳴画像法が最近出現して、MSの診断に大きく貢献しているが、時間の問題がまだ完全には解決されていない。MSを診断で確認するのに長時間かかる方法は、MSの患者自身のみならず治療法が有する可能な効力に対して望ましくない。アルファBクリスタリンに対する特異的な免疫応答は、MSを診断する際に役に立つであろう。
第一に、アルファBクリスタリンに対する特異的な免疫グロブリンの形成が、組織および/または血液または脳脊髄液のような体液中で評価でき、そしてこの免疫グロブリンは、MSのばあい、特異的に増大する。このような高められた抗体反応は、抗体反応を監視するための抗原を基本とするキットを設計するばあい、MSに対する診断マーカーとして利用することができる。
抗原を基本とするキットは、ELISA法、RIA法、SPIA法およびDIA法のキット(第一に、アルファBクリスタリンの抗体に対する特異的結合試薬に結合された標識の種類が異なっている)に限らず、これらはサンドイッチ分析、競合分析または凝集分析などの適切な形式のものであればいずれのものも含むキットである。
適切な形式はサンドイッチ分析であり、この分析では、アルファBクリスタリンを固相に提供し、アルファBクリスタリンに対する抗体を含有していると推測される試料を前記固相と接触させることにより、抗体が抗原と結合することができ、ついで、その固相を標識化抗原と接触させるかまたはアルファBクリスタリンの抗体に対する標識化抗体と接触させる。全(whole)抗原および/または全抗体の代わりに、それらの特異的に結合する部分を用いることも勿論充分に可能である。
多数の標識が知られており、本発明の分析法に利用できる。このような標識としては、酵素(このばあいは通常シグナルを与える基質が必要である)、金属(金)のゾルのような粒子ゾル、着色ラテックス粒子、染料、蛍光物質および放射能物質である。分析法自体としては、研究室用の形式、医院用または家庭用の分析法でありうる。当該技術分野の当業者は本発明に基づいた適切な分析法を構築することができる。
あるいは、アルファBクリスタリンに対するT細胞の応答、とくにヘルパーT細胞の応答は、MSのばあい、診断マーカーとして役立つ。脳脊髄液を含有する体液中のアルファBクリスタリン特異的T細胞の活性化マーカーを選別する、特異的T細胞の頻度またはアルファBクリスタリンに応答して高まったサイトカイン類の産生を検査するような、増大したT細胞応答を検出する各種の方法が考えられる。したがって、MSと特異的に関連がある、体液もしくは細胞のアルファBクリスタリンに対する増大した免疫応答を利用して診断を補助することができる。
MSの抗原特異的治療法を開発するため、多種の方法がすでに利用可能であり、そしてほかの方法も開発されている[21に総説されている]。抗原特異的法は自己免疫の動物モデルで試験されており、これらの方法のいくつかは疾患を予防または改善するのに有効であることが見出されている。このような特異的治療法は、含有されているT細胞が活性化される、抗原、T細胞レセプターおよびHLA分子間の三分子相互反応の産生過程への介入を目的としている。あるいは、免疫応答というよりはむしろ特異的な寛容が引き起こされるような方法で抗原(またはその断片)を投与してもよい。したがって、特異的な介入を異なるレベルで達成することができる。寛容誘導経路を介して抗原を投与して、特異的な自己免疫誘導抗原に対する寛容を付与することができる。たとえば標的抗原を経口投与すると、自己免疫がもはや誘導されない寛容状態になる。このことは、非常に低い投与量または非常に高い投与量の抗原を長期間にわたって再々投与することによって達成することができる。いずれかの投与法によって免疫が誘導されなくなるが、最終的にはかわりに、使用される抗原に対して応答しないかまたな寛容な状態になる。また、抗原を胸腺に移植すると特異的寛容になる。なぜならば、胸腺の環境自体が、標的構造対に対して局所的に応答するT細胞に寛容を誘導するように形成されると考えられるからである。寛容を誘導するためのこれら投与経路または将来これに代わるものを、遊離物としてかまたは一層複雑な構造対(たとえば微生物によって被包されているかまたは発現される構造体)の一部分として、全抗原または全抗原由来の選択された断片に用いてもよい。また抗原は、T細胞の活性化に必須の共刺激(co−stimulatory)シグナルを妨害する試薬とともに投与することも可能である。
T細胞レセプターだけで抗原/HLA複合体を認識することはT細胞の生産的活性化(productive activation)を行なうには不充分であるということが最近明らかになった。このため、抗原提示細胞の表面上のいくつかのアクセサリー分子とT細胞の表面上の相補的分子との追加の相互作用が要求される。これらの補助的な相互作用なしで抗原/HLAの認識を行なうと、T細胞を活性化できないだけでなく、T細胞の抗原特異的アネルギー(不応答性)の状態になる[22]。この現象は、ヒトまたは動物に特異的な寛容を誘導するのに利用することができる[23]。たとえば、抗原/HLA複合体を(遊離型調製物または膜結合型調製物として)投与すると、抗原特異的T細胞を活性化せずに抗原特異的T細胞が特異的にアネルギー状態になる。また未変性の(まだ活性化されていない)T細胞を活性化するのに不可欠のアクセサリー分子を欠いているB細胞に抗原を投与すると、同じ作用がある。最後に、アクセサリー分子を標的とする特異的抗体製剤(またはほかの治療剤)を抗原とともに与えると、ともに投与された抗原に対して特異的なT細胞がアネルギー状態になる。抗原特異的アネルギーを誘導するほかの方法は、将来開発されるであろうが、これらの方法はその抗原の知識に決定的に依存したままである。
不応答性(または非疾患誘導応答性(non disease−inducing responsiveness)は、抗原投与の特別な経路のみならずその抗原の選択された断片の投与によって達成することができる。自己免疫の動物モデルにおいて、自己免疫誘導抗原は、その無傷の抗原から分離した部分として投与すると自己免疫疾患の発生を予防または改善することができる配列を含有していることが実証された。したがって、抗原の選択された断片による治療は抗原全体による治療と逆の作用を有している。この概念の興味深い変形はわずかに修飾した抗原の配列の投与である。自己反応性T細胞の活性化に通常関与している抗原断片は、配列をいくぶん修飾して、逆の作用すなわち抗原特異的T細胞の特異的不応答性を達成させることができる。このようなわずかに修飾した抗原断片(APLまたは「修飾ペプチドリガンド」)はアンタゴニストまたはモジュレーターペプチドとして作用する。これらは、T細胞を活性化するのに必要な生産的補助相互作用を妨害する方式によって、その自己抗原に対する基準の(authentic)特異性でTCRと特異的に結合することができる。その作用は、ほかの方法によって補助シグナルを妨害するばあいの作用、すなわち含まれているT細胞の特異的不応答性に類似している。抗原配列のどのような修飾がかような「アタゴニスト/モジュレーター」の作用を起こすかまたは起こさないかは予め予測できないが、これらの作用は、基準の抗原配列に非常に近い配列のばあいに最も強いようである。
T細胞が仲介する自己免疫における抗原特異的介入に対する別の標的はT細胞自体である。抗原の構造がその独自性(identity)にとって特有のものであるようにT細胞レセプター(TCR)の構造は、その抗原標的の認識に対して独特のものである。したがって与えられた抗原の認識に特異的なTCR構造体は同定できるかもしれない。これらの構造体は、α鎖またはβ鎖に対するTCR遺伝子の可変−、結合−または多様性−コーディング領域に見られる。与えられた抗原の認識に特異的な構造体は、クローンタイプのまたはイディオタイプの構造体と称する。やはり、自己免疫についての動物モデルの実験によって、これらのクローンタイプ/イディオタイプのTCR構造体への介入を特異的に目指すことによる疾患への介入の可能性が実証された。第一に、このことは、抗原特異的T細胞自体を予防接種することによって達成することができる。任意の抗原に対するT細胞を生体外で培養することによって選択し、そしてかような当然のことと考えられる自己反応性T細胞の不活化された集団を用いて予防接種を行なうことができる。
予防接種は、抗原特異性T細胞を身体から除くため、抗原特異的T細胞自体に特異的な免疫応答(細胞または体液)を、疾患にかかった個体中に起こさせるのを目的としている。第二に、この目的は、治療剤として、完全なT細胞ではなく、TCR単独のような単に関連がある構造体またはTCRのクローンタイプもしくはイディオタイプの決定因子に相当するごく小さい配列を用いる予防接種法で達成することができる。このような方法のばあい、TCRまたはTCR由来の配列も、より大きな構造体の部分として使用できる。まだ実証されていないが、T細胞の抗原特異的な(イディオタイプの)特性は、TCR単独の構造要素に反映されているだけでなく、原則として、細胞の表層内または表層の上の別の特異的構造体にも反映されている。
自己免疫の抗原特異的治療法の開発は長年にわたって達成が困難な目標であった。トリガー自己抗原が予め選別すること(preselection)によって知られている実験動物モデルが進歩して、進行中の自己免疫さえも首尾よく阻害する方法の数が増大していることが知られている[21]。抗原の構造自体または抗原で活性化される特異的T細胞の特性を利用して治療法を合理的に設計することができる。ヒトの自己免疫のばあい、自己反応性T細胞のイディオタイプの特性および自己免疫に関与するほかの関連特性すべての同定は、関連抗原の同定に完全に依存している。換言すれば、抗原の同定は、応答するT細胞の選択と特性解析の鍵である。
またMSにかかる遺伝素質の評価は、ヒトゲノム中のアルファBクリスタリン遺伝子の配列を分析することによって補助することができる。ヒト染色体11上のアルファBクリスタリン遺伝子または隣接配列内に多型性が起こりうるので、変形した(増大した)発現または修飾されたタンパク質の構造に対する手がかりが提供され、これら両者は自己免疫応答の引き金をひく遺伝子産物の容量にしたがってMSを発生する可能性に関連がある。
アルファBクリスタリンは、CNS中の白質に限定されるMSの自己免疫に対する構造上のトリガー/標的を提供するのみならず、CNミエリンに対する組織特異的自己免疫がいかに多因子的に発症するかを説明しうる[19]。アルファBクリスタリンは、熱ショックタンパク質またはストレスタンパク質として挙動し、持続性神経性感染症、虚血性発作または身体の損傷などの各種の攻撃に応答して高レベルで局所で発現されうる。ヒトT細胞に対しアルファBクリスタリンが免疫優性であるとともに、アルファBクリスタリンのレベルは、とくにたとえば同じ部位での感染が小グリア細胞と星状神経膠細胞の局所クラスII MHC発現を起こすばあい、T細胞活性化の閾値を超えて増大することが予想されるときがありうる。この見解は、さらに別の治療法、すなわちCNS中のアルファBクリスタリンのレベルを減らすことを目的とする治療法の基礎を提供する。たとえばアンチセンスDNAまたはアンチセンスRNAを使用する分子生物学的方法を開発して標的組織中でのアルファBクリスタリンの発現を特異的にブロックまたは減らすことができる。このような目的は、たとえば遺伝子療法によって、またはアルファBクリスタリンメッセンジャーを破壊するかまたはそのレベルを減らすことに向けられるアンチセンス核酸類またはいわゆる「ハンマーヘッド」リゾチーム類を産生する修飾ウイルス類(altered viruses)の感染によって達成することができる。アルファBクリスタリンを標的自己抗原として同定することに基づいた前記構想にそって、将来ほかの方法も開発できると予想されうる。
したがって本発明は、自己免疫が関連する疾患、とくに多発性硬化症の診断または治療における使用のための重要な主たる自己抗原(アルファBクリスタリン)を提供するものである。アルファBクリスタリンが、本発明による多数の方法に使用できることは前記のことから明らかである。しかし完全なアルファBクリスタリンを使う必要はないことも事実である。
多くのばあい、全タンパク質の部分のみまたはそのタンパク質の誘導体などのアルファBクリスタリンと類似の活性を有するものも利用することができる。したがってこれらの部分および/または誘導体も本発明に含まれる。
診断については、分析をどのように実施できるかそして試験キットをアルファBクリスタリンに基づいていかに組立てることができるかを先に説明した。
治療を目的として、たとえば、寛容を誘導するため、抗原を組成物で投与するばあい、投与経路(非経口、経腸)および患者によって投与量を変えることができることは明らかである。一般に投与量は1ng/kg体重/日〜1mg/kg体重/日またはほかの有効投与量である。
前記組成物は勿論、適切な添加剤を含有していてもよい。アルファBクリスタリンをうる方法は重要ではない。アルファBクリスタリンはミエリン物質もしくはほかの組織から単離するか、または適切な宿主細胞により組換え法で製造することができる。断片(ペプチド)は合成で製造することができる。
組換え法で製造するばあいは、アルファBクリスタリンをコードする遺伝子を提供することが必要であるが、この方法は、そのアミノ酸配列が分かっているので容易に実施することができる。このばあい、たとえばPCRなどの方法が非常に有用である。その遺伝子を入手すれば、本発明によってまたほかの有用な診断手段と治療手段が提供される。
PCRとNASPAなどは、アルファBクリスタリンの高まった発現を診断するのに使用することができることは明らかである。アンチセンス法の有用性についてはすでに述べたが、これらの方法のばあい、完全な遺伝子または未修飾の遺伝子を使用することは必ずしも必要ではないことも明らかである。断片および/または誘導体も使用できる。
遺伝子を発現させるために、多数の細胞、ベクターならびにプロモーターおよびエンハンサーなどの発現レギュレーターも公知である。翻訳後の修飾が必要であるかまたはシグナル配列を除く必要があるばあいは、CHO細胞などの真核細胞を用いることが最良である。
アンタゴニストとして働き、したがってアルファBクリスタリンに対するT細胞の応答をブロックするアルファBクリスタリンの誘導体もうることができることは、当業者にとって明らかである。かようなアンタゴニストに到達するほかの方法は抗イディオタイプ抗体を提供することによる方法であり、この抗体は、T細胞レセプターが認識するアルファBクリスタリンのエピトープのほぼ内部イメージといえる相補性決定領域をもっている。応答可能なT細胞レセプターを同定し、そのレセプターに対する抗体を調製することもできる。
これらの抗体およびほかの抗体は公知の技術のいずれかによって調製することができる。好ましくはモノクローナル抗体を調製することである。げっ歯類を使って抗体をつくることが通常の方法であるが、その抗体は、ヒトに用いなければならないばあい、通常、免疫応答を起こす。
これらの抗体を処理してヒト化抗体にする方法(CDR−グラフティング(grafting))のみならず、断片もしくはハイブリッドヒト/げっ歯類抗体を提供することによってこれら抗体の免疫原性を減らす方法はすべて当該技術に含まれている。
本明細書で先に述べたように、応答可能な自己反応性T細胞に基づいてワクチンを製造することもできる。そのためにはそのT細胞を不活化しなければならない。
完全なT細胞の代わりに、そのレセプター(TCR)または誘導体の部分を使用できる。これらは、抗原および抗体と同様に、単離、合成、遺伝子工学などを含む各種の方法でうることができる。
いずれのワクチンもすべて、通常の添加剤を含有していてもよい。以下の実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
実施例
1.材料および方法
1.1免疫分析のためのミエリンタンパク質の調製
迅速な剖検によりえられたヒト脳由来の白質試料を使用まで−80℃で凍結して保存した。白質病巣を含む試料は13人のMS確定患者からえ、そのほかのセットの試料は21人の対照の被験者からえた。CNSミエリンをノートン(Norton)およびポダスロ(Poduslo)[24]に記載されたように白質試料から精製した。MS患者または対照の被験者のいずれかに由来する精製されたミエリン調製物を別々にプールし、使用まで−20℃で凍結乾燥して保存した。
刺激抗原としての全ミエリンタンパク質の調製のために、精製したミエリンをフォン ノーツ(van Noort)ら[13]にしたがって脱脂した。簡潔にいえば、タンパク質を(糖)脂質類から分離するために、ミエリンを80%(v/v)テトラヒドロフラン、20%(v/v)水、0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸に溶解し、セファデックス(Sephadex)LH−60に通した。タンパク質含有溶離液をプールし、ジエチルエーテルを添加することによって前記タンパク質を前記溶液から析出させた。析出したタンパク質を遠心分離により回転して沈降させ、凍結乾燥した。続いて、脱脂したミエリンタンパク質を約4mg/mlの濃度で0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸を含有する2−クロロエタノールに溶解し、再生酢酸セルロース透析膜中で4回水をかえて透析した。充分な水性溶液中の最終タンパク質濃度をアミノ酸分析によって測定した。前記調製物のいかなる凍結もさらなる疎水性タンパク質分子からなる不可逆な析出を導くので、全ミエリンタンパク質の水性溶液は+4℃で保存した。
分析において試験抗原として用いる全てのミエリンタンパク質の分画は、C3マトリックスをともなった逆相カラム(ベックマン インスツルメンツ(Beckman instruments)、サン ラモン(San Ramon)、カリフォルニア州、アメリカ合衆国)を用いて、フォン ノーツら[13;図1参照]によってすでに記載されたようにして行なった。続いて、HPLCによってえた40のタンパク質画分を集め凍結乾燥したのち、各画分の内容物を2−クロロエタノール、0.1%トリフルオロ酢酸に溶解し、前記のように水に対して透析した。全ての水性タンパク質画分を使用まで+4℃で保存した。HPLC分画と増殖分析における試験のために、タンパク質試料のアミノ酸組成分析にもとづき、全タンパク質重量(mass)から等量をMSに冒されている試料と対照のミエリン試料の両方からとった。
1.2ミエリンタンパク質に対するバルク(bulk)T細胞応答の試験
末梢血単核細胞(PBMC)を27人のHLA型ドナー(うち、5人の患者はポーサー基準(Poser criteria)によるMS確定患者である)からリンパ泳動(lymphophoresis)によりえた。PBMCを慣用の手順にしたがって単離し使用まで−196℃で保存した。
各ドナー由来のPBMCを96ウェル丸底マイクロタイタープレートで、5%CO2雰囲気下加湿した温室(stove)中37℃で増殖した。PBMCを、10mM HEPES、2mMグルタミン、1mMピルビン酸ナトリウム、0.1mg/mlストレプトマイシン、100U/mlペニシリンおよび最終濃度25μg/mlの全ミエリンタンパク質の存在下でプールした10%(v/v)ヒト血清を添加したRPMI1640培養培地(ドイチェ モディフィケーション(Dutch modification)200μlあたり2×105細胞でまいた。7日後、培地上清100μlを除き、1×105の放射線を照射した(30Gy)自己PBMCおよび50μg/mlの濃度の新鮮な全ミエリンタンパク質を含有する新鮮なRPMI1640 100μlを加えることにより、増殖するT細胞を再度刺激した。11日後、ヒト組換えIL−2を最終濃度が50U/mlとなるまで加えた。14日後、細胞を集め、HPLCで分画したタンパク質に対する増殖についての試験を標準増殖分析で3重に(in triplicate)行なった。
200μlの培養培地中に5×104の培養したT細胞と5×104の放射線を照射した自己PBMCを含むウェルに、各HPLC画分の内容物を固定した試料を添加した。3日後、0.6μCiの[3H]−チミジンを各ウェルに加え、さらに18時間後、細胞を採取しチミジンの取込みをベータプレート・カウンターを用いて測定した。前記アプローチを用いることによって、増殖分析中の各ウェルにおけるタンパク質の濃度は対応するHPLC画分のタンパク質含量にしたがって変化した。ミエリンの優勢なタンパク質であるMBPまたはPLPのいずれかを含有するこれらの画分について、ウェルにおける最終的なタンパク質濃度を測定すると、オリジナルのHPLC画分由来の試料のアミノ酸分析によれば約50μg/mlであった。微量なタンパク質を含有するHPLC画分の総タンパク質濃度は約1/5〜1/10であった。結果の定量的態様に対するタンパク質濃度の効果を、HPLCで分画したタンパク質の希釈物に対する増殖反応を試験することによって調べた。えられた結果は希釈物と一致しており例外がないことがわかった(データは示さず)。
1.3アルファBクリスタリンの精製および同定
増殖分析でえられた結果から、1つの特定のタンパク質画分に対する一貫した強い増殖反応をMSに冒されたミエリンに由来することが明らかになった(以下の「結果」を参照)。連番でHPLC画分8と名付けられた、この画分の試料を追加の逆相HPLCに加えてSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分析した。HPLCによる再クロマトグラフィーを別の型の逆相HPLCカラム、すなわちC3マトリックス(ベックマン インスツルメンツ、サン ラモン、カリフォルニア州、アメリカ合衆国)の代わりに混合C1/C8マトリックス(ファルマシア エルケービー(Pharmacia LKB)、ブロンマ(Bromma)、スウェーデン王国)と別の溶離液、すなわちテトラヒドロフラン/アセトニトリル混合物の代わりにアセトニトリルを用いて行なった。
「結果」に記載するように、高い免疫原性の画分8の内容物のSDS−PAGEおよび逆相HPLCの両方によって、みかけの大きさが約23kDaのタンパク質のほとんど独占的な存在が明らかになった。ソースとしてMSに冒されたミエリンの新たな調製物を使って、この23kDaのタンパク質を、第1ステップにおいてC3マトリックスと溶離液としてのテトラヒドロフラン/アセトニトリルを用い、第2および第3ステップにおいて混合C1/C8マトリックスと溶離液としてのアセトニトリルを用いる連続的な逆相HPLCにより見かけ上均一に精製した。ステップ3はステップ2とは適用するグラジエントにおいて異なり、0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸を最初から最後まで溶媒として用いた。
精製した23kDaのタンパク質のSDS−PAGEによって調べ、アミノ酸組成分析により分析した。また前記タンパク質を、アプライド・バイオシステムズ Model 120A PTH アミノ酸分析装置(Applied Biosystems Model 120A PTH amino acid analyzer)をオンライン式に備えたアプライド・バイオシステムズ 470A Modelを用いるアミノ酸配列決定に供した。配列決定用の23kDaのタンパク質の断片を生成するために、100μgの精製した23kDaのタンパク質を100μlの50mM Tris−HCl pH7.8に溶解し、1μgのウシ脾臓トリプシンを加えた。37℃で24時間後、トリプシン消化物を0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸中アセトニトリルのグラジエントを用いるC18マトリックス上の逆相HPLCにより分画した。溶媒として50mM酢酸アンモニウムpH5.8を、溶離液としてアセトニトリルを用いる追加の逆相HLPCにより個々の断片を精製した。
免疫原性の23kDaのタンパク質に対するポリクローナルな抗血清を生成するために、完全フロイントアジュバント(CFA)に乳化した20μgの精製した23kDaのタンパク質でウサギを2回免疫し、6週間間隔で、CFA中の100μgのタンパク質で3回目の免疫をした。標準的な手順にしたがうウエスタンブロット法を用いることにより、生じた抗体をオリジナルのHPLC画分8のSDS−PAGEにより分離された内容物の認識、対照のミエリンに由来する対応画分の認識について、免疫化に用いた精製した23kDaのタンパク質について、精製したMBPについて、そして最終的に、ウシの眼の水晶体由来の精製したアルファBクリスタリンおよびアルファAクリスタリンについて試験を行なった。ウシの水晶体由来のアルファクリスタリンのA鎖およびB鎖の両方をアルファクリスタリンの市販の調製物(シグマケミカル社(Sigma Chemiacl Co)、セント ルイス、ミズーリ州、アメリカ合衆国)から逆相HPLCにより調製した。逆相カラムに適用する前にアルファクリスタリンを8M尿素、10%酢酸に溶解し、A鎖とB鎖を完全に分離するために37℃で1時間保持した。混合C1/C8逆相マトリックスを用いて、0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸中のアセトニトリルのグラジエントを適用することにより、結果としてA鎖とB鎖のベースラインを分離した。
2.結果
2.1ミエリンタンパク質に対する末梢血T細胞の増殖反応
抗原に反応して末梢血T細胞が増えるたった2週間という短期間を選んで、実験のプロトコルまたは用いる培養培地の型の結果としてインビトロで増殖するT細胞に対する選択的な圧力を最小限にした。本発明者らは、多数の集団(the bulk population)の抗原に対する有意な増殖反応のために充分な細胞数まで増えるのに要する最小限の時間が2週間であることを見出した。このようにして、計測される反応の特異性は、ミエリンタンパク質に反応するT細胞の全レパートリーについて可能な限り象徴的に保たれている。
前記の結果から、応答細胞としての末梢血由来のバルクT細胞を要いることにより、個々のドナー間に有意な多様性が生じうることが明らかになった。試験した27個の試料のうちの10個からは有用なデータはえられなかった。全く増殖が計測されないかバックグラウンドの増殖が過剰であるかのいずれかであった。しかしながら、異なるHLA型ドナー由来の27個の試料のうちの17個から有用な結果がえられ、刺激抗原として用いた完全なセットのミエリンタンパク質に対するのと同様にいくらかのHPLC画分に対する有機な増殖が明らかになった。MS試料の患者由来の5個のPBMC試料のうちの3個がミエリンタンパク質に対して有意な増殖を示した。5個の試料を用いてえられた反応を説明する代表的なセットのデータを図2に示す。左側のパネルに対照にミエリンから単離したHPLCで分画したタンパク質に対する反応を示す。右側のパネルには、MSに冒されたミエリンに由来するタンパク質に対する反応を示す。
対照のミエリンタンパク質に対してえられた反応プロフィールの定量的態様は、HLAの型またはMS確定ドナーであるか否かにかかわらず、異なるドナー間でも著しく類似していた。全てのばあいにおいて、高い親水性のMBP(画分5および6)と非常に疎水性のPLP′s(画分22〜28)の中間の位置でのグラジエントによって溶出するタンパク質に対して反応は優勢であった。有意であったとしても、主たるタンパク質であるMBPおよびPLPに対する反応は適度であった。これらの知見は、本発明者らの先の観察[13]と一致している。「中間」の画分10〜15に対する明らかに優勢な反応は単一の免疫原性成分の存在を示しているのかどうか、またはそれらはこれらの画分に存在する多数の異なる微量なタンパク質に対して蓄積した反応を反映しているかどうかをなお決定すべきである。
MSに冒されたミエリンから単離したタンパク質のセットに対する増殖反応は、多くの異なる微量なミエリンタンパク質を含む「中間の」画分10〜15に対して有意な反応を示すという点において、対照の材料に対する反応と類似している。しかしながら、調べた全ての試料の中の最も高い増殖反応は矛盾なく単一のHPLC画分、すなわち画分8に向けられていた。また、5〜10倍希釈で添加したとき、画分8の内容物は最も高い増殖反応の引き金となった(データは示さず)。感作していないPBMCまたは不適切な抗原(インフルエンザ・ウイルス)で感作したPBMCは反応を示さなかったので、画分8に対する反応はミエリンで感作されることに依存した。しかしながら、画分8に対する反応は、対照のミエリンで感作したPBMCが相当な反応を示したので、MSに冒された材料で感作することには依存しなかった。
健常な対照かMS患者のいずれかに由来する末梢血T細胞の全体の特異性においては今までは明らかな違いは認められなかったことに注意すべきである。しかしながら本明細書で行なったような抗原特異性の分析は前駆体の頻度、前活性化状態、末梢血におけるT細胞のすぐれた特異性(fine−specificity)またはレセプター特性に関するデータも、体のどこかべつの場所でのT細胞についてのデータも提供しない。したがって、MS患者におけるミエリンに対するT細胞反応は、本研究で取り組まれなかった多数の態様において対照の被験者とはさらに異なるかもしれない。
明らかに、MSに冒されたミエリンは、MSに冒された個体ばかりではなく健常者をも含む異なるHLA型のドナー由来の末梢血T細胞にとっての1つまたは複数の高い抗原性をもつ微量で、HPLCの画分8に含まれるミエリン抗原を含む。対照のミエリンからえられた材料に関連するこの画分中にかかる免疫原性タンパク質の濃度上昇が起こることは、図1に示された2つのシリーズの分析の間に認められた著しい違いの最もよい説明となるであろう。以下にこの免疫原性タンパク質の同定について記載する。
2.2MSに冒されたミエリンにおける免疫原性タンパク質はアルファBクリスタリンである
MSに冒されたミエリンのタンパク質を含有するHPLCの画分8の内容物の追加の逆相HPLC分析のみならずSDS−PAGEによって、みかけの大きさが23kDaのタンパク質のほとんど独占的な存在が明らかになった。ソースとしてMSに冒されたミエリンのタンパク質の新規な調製物を使って、この23kDaのタンパク質を、HPLCグラジエントにおけるほぼ同じ位置で一緒に溶出するほかのタンパク質とともに、追加の逆相HPLCステップにより再分画(subfractionate)した。再び全ミエリンタンパク質で感作した末梢血T細胞の増殖反応を23kDanoタンパク質を含むこれらのHPLC画分に指向させた。
23kDaのタンパク質を逆相HPLCにより均一に精製し、直接アミノ酸配列決定に供した。しかしながら、配列決定を妨害するタンパク質のN末端の修飾の存在を示唆する配列決定の際の明確なシグナルは記録されなかった。内部の(internal)タンパク質部分の配列決定ができるように、23kDaのタンパク質からトリプシン断片を生成した。6つのペプチドを均一に精製し配列決定に供した。これは結果として3つの別々の配列を同定し、2対のペプチドがそれらのN末端配列を共有していることが判明した。3つの配列全てがヒトのアルファBクリスタリンの内部配列と同一であった(表1)。
ヒトのMSに冒された脳から精製した23kDaのタンパク質に対して生じたポリクローナルウサギ抗体を用いるイムノブロット法により前記タンパク質がアルファBクリスタリンと同一であることが確認されら。MSに冒されたミエリン由来のHPLC画分8のSDS−PAGEにより分離された内容物のウエスタンブロット法により、この画分における優勢な23kDaのタンパク質バンドのみが明らかに染色された。このタンパク質バンドはまた、対照のミエリン由来のタンパク質を含有する対応するHPLC画分においても検出できる。また、ウシの眼の水晶体由来のアルファクリスタリンの市販の調製物から単離したようなアルファクリスタリンB鎖は抗23kDa抗体によるウエスタンブロット法において認められたが、アルファクリスタリンのA鎖の認識もヒトのMSに冒されたミエリン由来の精製したMBPの認識も検出できなかった。SDS−PAGEにおいて、共移動(co−migration)がウシの眼の水晶体由来のアルファBクリスタリンとMSに冒されたミエリン由来の精製した23kDaのヒトのミエリンタンパク質との間で観察された。また逆相HPLCの際、精製した23kDaのタンパク質とアルファBクリスタリンは等しい挙動を示した。
Figure 0003558347
Figure 0003558347
Figure 0003558347
Figure 0003558347
配列表
(1)一般情報
(i)出願人:
(A):ネーデルランセ オルハニサチエ フォール トゥーヘパストーナツールウェーテンシャッペルック オンデルズク
テーエヌオー
(B)街路:ユリアーナ ファン ストルベルフラーン 148
(C)都市:ザ ヘイグ
(D)州:ザイト−ホラント
(E)国:オランダ王国
(F)郵便番号:2595 セーエル
(A)氏名:ファン ノールト、ヨハネス マーリア
(B)街路:ケア・オブ ランゲ クレイヴェフ 139
(C)都市:レイスヴェイク
(D)州:ザイト−ホラント
(E)国:オランダ王国
(F)郵便番号:2288 ヘーイェー
(A)氏名:ファン セシェル、アリアンネ クリスティーネ
(B)街路:ケア・オブ ランゲ クレイヴェフ 139
(C)都市:レイスヴェイク
(D)州:ザイト−ホラント
(E)国:オランダ王国
(F)郵便番号:2288 ヘーイェー
(A)氏名:オウアフミリ、ムスタファ エル
(B)街路:ケア・オブ ランゲ クレイヴェフ 139
(C)都市:レイスヴェイク
(D)州:ザイト−ホラント
(E)国:オランダ王国
(F)郵便番号:2288 ヘーイェー
(ii)発明の名称:自己免疫疾患、とくに多発性硬化症の診断および治療における使用のためのアルファBクリスタリン
(iii)配列の数:4
(iv)コンピュータ読取フォーム:
(A)媒体:フロッピーディスク
(B)コンピューター:IBM製パーソナルコンピューターコンパチブル
(C)オペレーティングシステム:PC−DOS/MS−DOS
(D)ソフトウェア:PatentIn Release 1.0、バージョン1.30(ヨーロッパ特許局)
(v)出願データ:
出願番号:PCT/NL95/00203
(2)配列番号:1
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:175
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:不明
(D)トポロジー:不明
(ii)配列の種類:タンパク質
(iii)ハイポセティカル配列:No
(xi)配列:配列番号:1
Figure 0003558347
(2)配列番号:2
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:8
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:不明
(D)トポロジー:不明
(ii)配列の種類:タンパク質
(iii)ハイポセティカル配列:No
(xi)配列:配列番号:2
Figure 0003558347
(2)配列番号:3
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:4
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:不明
(D)トポロジー:不明
(ii)配列の種類:タンパク質
(iii)ハイポセティカル配列:No
(xi)配列:配列番号:3
Figure 0003558347
(2)配列番号:4
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:13
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:不明
(D)トポロジー:不明
(ii)配列の種類:タンパク質
(iii)ハイポセティカル配列:No
(xi)配列:配列番号:4
Figure 0003558347

Claims (6)

  1. アルファBクリスタリン、少なくともその特異的な免疫原部分またはその誘導体を含有する多発性硬化症の治療剤。
  2. ヒトアルファBクリスタリン、少なくともその特異的な免疫原部分またはその誘導体を有効成分として含有するヒト多発性硬化症治療剤。
  3. アルファBクリスタリン、少なくともその特異的な免疫原部分またはその誘導体を含有する多発性硬化症の治療剤であって、アルファBクリスタリンに対する寛容を誘導し得る治療剤。
  4. 有効成分としてのアルファBクリスタリンを、薬学的に許容し得る担体または賦形剤と混合することにより医薬組成物を得ることからなる、多発性硬化症治療剤の製造方法。
  5. 有効成分としてのヒトアルファBクリスタリンを、薬学的に許容し得る担体または賦形剤とを混合することにより医薬組成物を得ることからなる、多発性硬化症治療剤の製造方法。
  6. 有効成分としてのアルファBクリスタリンを、薬学的に許容し得る担体または賦形剤とを混合することにより医薬組成物を得ることからなる、多発性硬化症治療剤の製造方法であって、該治療剤がアルファBクリスタリンに対する寛容を誘導し得るものである方法。
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