JP3558042B2 - 電気炊飯器 - Google Patents
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Description
【0002】
【発明の属する技術分野】
【0003】
本願発明は、炊飯開始から炊飯完了までの残時間を表示できるようにした電気炊飯器に関するものである。
【従来の技術】
【0004】
最近では、炊飯開始スイッチをONにし、炊飯を開始してから最終的に炊飯が完了するまでに、どの程度の時間がかかるかを表示するようにした残時間表示機能を備えた電気炊飯器が提供されるようになっている。
【0005】
そのような電気炊飯器の例として、例えば特開平8−66307号公報に示されるものがある。
【0006】
該公報のものでは、内鍋内に米と水を入れて炊飯開始スイッチをONにすると、予じめ用意されている最大の残時間が液晶表示部に表示され、その後、炊飯の進行に応じて1分毎に減算計時して行って、所定分数経過した時に、それまで表示されていた残時間を新たな残時間に変更して表示する。この動作を炊飯完了まで複数回繰り返し、所定の時間間隔で順次表示されている残時間を減少させて行く。
【0007】
したがって、該構成では、次に表示時間が変更されるまでの所定時間の間は、同一の残時間が継続して表示されることになる。
【0008】
そして、該構成の場合、予じめ用意されている上記最大の残時間は、最大炊飯量の炊飯時間に、低電圧や低水温、低室温などの環境条件を考慮した余裕時間を加算して設定されるようになっており、同時間を基準にして、炊飯開始時に炊飯終了までの残時間を表示し、沸騰継続後のむらし時間等を調節することにより最初に表示した残時間通りの時間で炊飯を終了し、保温に移行する構成となっている。
【0009】
しかし、このような構成では、最初に表示される炊飯所要時間が、実際の炊飯所要時間よりも余裕をもって長めに設定されることになるため、むらし時間が通常よりも長くなり、むらし過ぎとなる問題点がある。
【0010】
そこで、この問題を解決するために、例えば特開平10−165300号公報に示されるように、上記最大の炊飯所要時間を基準にして上記炊飯制御手段による炊飯開始以降から炊飯終了までの残時間を計時する残時間計時手段と、前記残時間計時手段により計時される残時間を表示する残時間表示手段と、炊飯の進行状況に伴い上記残時間計時手段で計時される残時間を短縮方向に修正する残時間修正手段とを備えたものも提案されている。
【0011】
このような構成によれば、炊飯の進行に伴う状況を考慮して、炊飯終了までの残時間を残時間修正手段で修正しながら残時間表示手段で表示するため、炊飯を行っている状況に応じて炊飯性能に悪影響が出ないように、つまり、ひたし時間が必要以上に長くならないように残時間を修正して表示することができる。また、残時間修正手段による残時間の修正は、炊き上がりまでの時間を短かくする方向に行なわれるので、炊飯開始時に表示した残時間よりも前に、炊飯を終了させることができるようになる。
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、後者の構成による場合にも、次のような問題が残されている。
【0013】
(1) 予じめ設定される最大残時間が概算的なものであるため、以後の修正時間幅が大きくなりすぎ、正確な残時間表示とは言い難い。
【0014】
(2) 季節等その時の外気温の相違によって表示される残時間が相当に異なってくる筈であるが、それに対応することができない。
【0015】
(3) 所定時間内同一の残時間を表示したまま補正を行ない、所定時間が経過した時点で補正された新たな残時間に変わるようになっており、補正によって、急に残時間が変化することから、ユーザーに違和感を抱かせる。
【0016】
本願発明は、以上のような問題を解決するためになされたもので、可能な限り正確な残時間を最初から最後まで必要に応じて所望の表示形態で可能な限り違和感なく表示できるようにした電気炊飯器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願各発明は、以上のような問題を解決することを目的としてなされたものであって、該目的を達成するために、それぞれ次のような有効な課題解決手段を備えて構成されている。
【0018】
(1) 請求項1の発明
すなわち、本願請求項1の発明の電気炊飯器は、米と水とを収納する内鍋と、該内鍋を加熱する加熱手段と、該加熱手段の加熱状態を制御して炊飯を行う炊飯制御手段と、該炊飯制御手段による炊飯動作の進行に応じた炊飯完了までの残時間を演算して表示する残時間表示手段と、内鍋内の水温を検出する水温検出手段とを備えてなる電気炊飯器であって、上記水温検出手段によって炊飯開始後に内鍋内の初期水温を複数回検出し、前回の検出温度と今回の検出温度との差が水温の安定状態を示す所定の温度差以下となった時の初期水温に基いて上記残時間を設定表示するようになっている。
【0019】
このように、該構成では、炊飯スイッチがONされて炊飯が開始された後の内鍋内の安定した初期水温を検知して、それに基いて最初に表示される最大の残時間を設定して表示するようになっている。
【0020】
炊飯開始時の初期水温は、季節や地域、その日の外気温などによって大きく変動し、炊飯に要する時間に大きな影響を与える。そのために、可能な限り、その時の安定した水温を正確に検知し、最初に演算設定される最大の残時間に反映させる必要がある。
【0021】
そこで、以上のように、例えば炊飯スイッチがONされて炊飯が開始された後の内鍋内の水温を複数回検出し、前回と今回の検出温度の差が所定の温度差以下となった安定した水温を初期水温に決定して、それに基いて最初に表示される最大の残時間を演算設定するようにすると、その要求に適切に対応できるようになる。
【0022】
(2) 請求項2の発明
次に、本願請求項2の発明の電気炊飯器は、米と水とを収納する内鍋と、該内鍋を加熱する加熱手段と、該加熱手段の加熱状態を制御して炊飯を行う炊飯制御手段と、該炊飯制御手段による炊飯動作の進行に応じた炊飯完了までの残時間を演算して表示する残時間表示手段と、内鍋内の水温を検出する水温検出手段とを備えてなる電気炊飯器であって、上記水温検出手段によって炊飯開始後に内鍋内の初期水温を複数回検出し、さらに上記加熱手段を作動させて炊飯量を判定し、上記複数回検出した初期水温の前回の検出温度と今回の検出温度との差が水温の安定状態を示す所定の温度差以下となった時の初期水温と上記判定された炊飯量とに基いて上記残時間を設定表示するようになっている。
【0023】
上記の如く炊飯開始時の初期水温は、季節や地域、その日の外気温などによって大きく変動し、炊飯に要する時間に大きな影響を与える。そのために、可能な限り、その時の安定した水温を正確に検知し、最初に演算設定される最大の残時間に反映させる必要がある。一方、それと同時に実際の炊飯量が、最終的な時間を決定する。
【0024】
そこで、以上のように、炊飯スイッチがONされて炊飯が開始された後の内鍋内の水温を複数回検出し、前回と今回の検出温度との差が所定の温度差以下となった時の安定した水温を初期水温と決定する一方、さらに加熱手段を作動させて炊飯量を判定し、それらの両方に基いて最初に表示される最大の残時間を演算設定するようにすると、上記2つの要求に適切に対応できるようになる。
【0025】
(3) 請求項3の発明
この発明の電気炊飯器は、米と水とを収納する内鍋と、該内鍋を加熱する加熱手段と、該加熱手段の加熱状態を制御して炊飯を行う炊飯制御手段と、炊飯開始後に上記内鍋内の初期水温を検出し、該検出された初期水温に基いて、上記炊飯制御手段による炊飯動作の進行に応じて適宜正確に補正しながら、炊飯完了までの残時間を演算して表示する残時間表示手段とを備えてなる電気炊飯器であって、上記残時間の補正時には、上記残時間の表示に変えて現在時刻の表示を行うようになっている。
【0026】
該構成では、上記のように初期水温を考慮して最初に可及的に正確な残時間が表示されることから、以後の炊飯工程における補正自体も容易かつ正確なものになり、補正後の表示時間の変化量も小さくなる。
【0027】
したがって、そのまま従来のような表示方法を採用したとしても、違和感が小さい。
【0028】
しかも、この発明では、その場合において、さらに上記残時間の補正時には、上記残時間の表示に変えて現在時刻の表示を行うようになっている。
【0029】
したがって、該構成では、補正時には残時間の表示が消えるとともに、それに代って現在時刻が表示され、補正が完了した時に改めて新たな残時間が表示される。
【0030】
したがって、所定の残時間が表示されている状態から、急に表示時間が増えたり、減ったりする違和感が解消される。
【0031】
(4) 請求項4の発明
この発明の電気炊飯器は、米と水とを収納する内鍋と、該内鍋を加熱する加熱手段と、該加熱手段の加熱状態を制御して炊飯を行う炊飯制御手段と、炊飯開始後に上記内鍋内の初期水温を検出し、さらに上記加熱手段を作動させて炊飯量を判定し、上記検出された初期水温と判定された炊飯量とに基いて、上記炊飯制御手段による炊飯動作の進行に応じて適宜正確に補正しながら炊飯完了までの残時間を演算して表示する残時間表示手段とを備えてなる電気炊飯器であって、上記残時間の補正時には、上記残時間の表示に変えて現在時刻の表示を行うようにしている。
【0032】
該構成では、上記のように初期水温を考慮して最初に可及的に正確な残時間が表示されることから、以後の炊飯工程における補正自体も容易かつ正確なものになり、補正後の表示時間の変化量も小さくなる。
【0033】
したがって、そのまま従来のような表示方法を採用したとしても、違和感が小さい。
【0034】
しかも、この発明では、その場合において、さらに上記残時間の補正時には、上記残時間の表示に変えて現在時刻の表示を行うようになっている。
【0035】
したがって、該構成では、補正時には残時間の表示が消えるとともに、それに代って現在時刻が表示され、補正が完了した時に改めて新たな残時間が表示される。
【0036】
したがって、所定の残時間が表示されている状態から、急に表示時間が増えたり、減ったりする違和感が解消される。
【発明の効果】
【0037】
以上の結果、本願発明の電気炊飯器によると、可能な限り正確な残時間を、最初から最後まで必要に応じて所望の表示形態で可能な限り違和感なく表示することができる電気炊飯器を提供することができる。
【発明の実施の形態】
【0038】
(実施の形態1)
図1〜図6は、本願発明の実施の形態1に係る残時間表示機能を有した電気炊飯器の炊飯器本体および同炊飯器本体各部の構成と作用をそれぞれ示している。
【0039】
(全体の特徴)
先ず本実施の形態の電気炊飯器は、その炊飯器本体A側において例えば内鍋3として電磁誘導の可能な磁性金属板よりなるものが採用されている一方、当該内鍋3に対する炊飯時の加熱手段として、合成樹脂製の内ケース4を介して当該内鍋3の底壁部3aから側壁部3bの略全体を包み込むように当該内鍋3の底壁部3aの中央部側と側方部側、および側壁部3b側の3ケ所の全周に対応する3組のワークコイルC1,C2,C3が設けられ、また当該内鍋3に対する保温時の加熱手段として、当該内鍋3の側壁部3bの全周に対応する保温ヒータH1が設けられている。そして、それらによって適切な炊飯機能と保温機能とを実現できるようになっている。
【0040】
一方、それらの各機能に対するタイマー予約や炊飯および保温メニューの選択、それら各メニューに対応した加熱パターンの操作設定は、当該電気炊飯器本体Aの前面側操作パネル部20に設けられた各種入力スイッチ群22a〜22hを介してユーザーにより行われ、その設定内容に応じて最終的に上記ワークコイルC1〜C3および保温ヒータH1が制御されるようになっている。
【0041】
また、上記操作パネル部20の中央部には、炊飯、保温の各メニュー、並びに現在時刻および炊飯完了までの残時間その他の必要事項を表示する液晶表示部21が設けられており、後述するように1つの例として先ず炊飯開始後の内鍋3内の初期水温Toを基に可及的正確に最初の残時間を演算設定し、その後の工程で炊飯量やむらし移行までの所要時間に対応して適切に補正しながら可及的に正確に表示するようになっている。
【0042】
(炊飯器本体部分の構成)
すなわち、先ず該電気炊飯器の炊飯器本体Aは、例えば図1に示すように、内部に誘起されるうず電流によって自己発熱が可能な例えばステンレス鋼板等の磁性金属板よりなる内鍋(飯器)3と、該内鍋3を任意にセットし得るように形成された合成樹脂製の有底筒状の内ケース(保護枠)4と、該内ケース4を保持する外部筺体である有底筒状の外ケース1と、該外ケース1と上記内ケース4とを一体化して形成された炊飯器器体Aの上部に開閉可能に設けられた蓋ユニット2とから構成されている。
【0043】
上記内ケース4の底壁部(底部)4aの下方側にはコイル台7が設けられ、その上部には、フェライトコアを介し、上記内鍋3の底壁部(底部)3aの中央部と側方部および内鍋3の側壁部3bの各位置に対応して各々リッツ線が同心状に巻成された3組のワークコイルC1,C2,C3が、それぞれ内鍋3の底壁部3aから側壁部3bに到る略全体を包み込むように設けられており、それらにより通電時には内鍋3の略全体にうず電流を誘起して、その全体を略均一に加熱するようになっている。そして、該ワークコイルC1,C2,C3は、それぞれ相互に直列に接続され、その一端は、例えば図3の制御回路図に示すように整流回路35および平滑回路36を介した電源ラインに、また他端はIGBT(パワートランジスタ)37のコレクタにそれぞれ接続されている。
【0044】
また、上記側壁部側ワークコイルC3の上方部には、保温時において加熱手段として機能する保温ヒータH1が設けられており、保温時において上記内鍋3の全体を有効かつ均一に加熱するようになっている。
【0045】
また、上記内ケース4およびコイル台7の下方部側には、例えば図2に示されるような、ワークコイルC1,C2,C3、保温ヒータH1、肩ヒータH2等を駆動制御する上記IGBT37やヒータ駆動回路33,34、マイコン制御ユニット32、電源電圧整流用のダイオードブリッジよりなる整流回路35、平滑回路36などを備えた制御回路基板9が設けられている。
【0046】
また上記外ケース1は、例えば合成樹脂材で形成された上下方向に筒状のカバー部材1aと、該カバー部材1aの上端部に結合された合成樹脂製の肩部材11と、上記カバー部材1aの下端部に一体化された合成樹脂製の底部材1bとからなり、かつ上記内ケース4の底壁部4aとの間に所定の広さの断熱および通風空間部を形成した全体として有底の筒状体に構成されている。そして、該外ケース1の前面部上方には、例えば図3に示すような略半月形状の操作パネル部20が設けられている。該操作パネル部20面には、十分に広く大きな表示面積をもつ液晶表示部21と炊飯スイッチ22a、タイマー予約スイッチ22b、取消スイッチ22c、保温スイッチ22d、再加熱スイッチ22e、メニュー選択スイッチ22f、時スイッチ22g、分スイッチ22h等の各種入力スイッチ群のみが設けられている。また、上記肩部材11の肩部内周側には、肩ヒータH2が設けられている。
【0047】
さらに、図示はしないが、上記内ケース4下方側のコイル台7の中央部には、上下方向に同心状に貫通したセンタセンサ収納空間部が形成されており、該センタセンサ収納空間部中に上下方向に昇降自在な状態で、かつ常時コイルスプリングにより上方に上昇付勢された状態で図2に示す内鍋温度検知センサSおよび内鍋検知スイッチLSを備えたセンタセンサが設けられている。
【0048】
一方、符号2は蓋ユニットであり、該蓋ユニット2は、その外周面を構成する合成樹脂製の外カバー12と、該外カバー12と内枠14との間に設けられた金属製の断熱構造体13と、該断熱構造体13の内側にパッキン17を介して設けられた金属製の内カバー15と、該内カバー15の下方に設けられた金属製の放熱板16とによって内側が中空の断熱構造体に形成されている。また、上記断熱構造体13は上下2枚の金属板13a,13bを閉断面構造に対向させて一体化することにより形成されている。
【0049】
この蓋ユニット2は、上記外ケース1上部の肩部材11に対してヒンジ機構を介して回動自在に取付けられており、その開放端側には、該蓋ユニット2の所定位置に係合して該蓋ユニット2の上下方向への開閉を行うロック機構18が設けられている。
【0050】
したがって、該構成では、先ず炊飯時には、上記内鍋3は、上記3組のワークコイルC1,C2,C3の駆動によりその底壁部3aから側壁部3b側にかけて略全体が均一に発熱し、例えば内鍋3内の水に浸された飯米が断熱部として作用する吸水工程などにおいても内鍋3の上部側をもムラなく加熱して略全体に均一な吸水性能を可能にするとともに、炊飯量が多い時などにも内鍋3の全体を略均一に加熱して加熱ムラなく効率良く炊き上げることができる。また、沸騰工程以降の水分がなくなった状態における内鍋3の底壁部3aの局部的な熱の集中を防止して焦げ付きの発生を防止することができる。次に、保温時には、上記内鍋3の側壁部3bに対応して設けられた上記保温ヒータH1および肩ヒータH2の駆動により、内鍋3の底壁部3aから側壁部3bおよび上方部の全体が適切な加熱量で均一に加熱されて加熱ムラのない保温が実現される。
【0051】
一方、上記制御回路基板9のマイコン制御ユニット32には、上記各入力スイッチ22a〜22hを介して入力されたユーザーの指示内容を判断する所望の認識手段が設けられており、該認識手段で認識されたユーザーの指示内容に応じて所望の炊飯又は保温機能、所望の炊飯又は保温メニュー、それら炊飯又は保温メニューに対応した所定の加熱パターンを設定して、その炊飯加熱制御手段又は保温加熱制御手段を適切に作動させて所望の炊飯又は保温を行うようになっている。
【0052】
したがって、ユーザーは、上記各入力スイッチ22a〜22hを使って炊飯又は保温、タイマー予約、予約時刻設定、白米又は玄米、早炊、おかゆ、かため又はやわらかめ、すしめし、炊き込み等の炊き分け、通常保温又は低温保温その他の各種の炊飯又は保温機能の選択設定内容を入力すれば、それに対応した機能内容が当該マイコン制御ユニット32内の認識手段を介して炊飯および保温加熱パターン等設定部に自動的に設定入力され、対応する炊飯又は保温加熱制御が所望の制御パターンで適切になされるようになる。
【0053】
(炊飯器本体側制御回路部分の構成)
次に、図2は上述のように構成された炊飯器本体A側の炊飯および保温制御並びに残時間表示制御用のマイコン制御ユニット32を中心とする制御回路部分の構成を示す。
【0054】
図中、符号32が上述のような炊飯加熱制御手段および保温加熱制御手段、残時間設定表示手段に加え、内鍋温度判定手段、内鍋検知手段、ブザー報知手段等を備えた炊飯・保温制御用のマイコン制御ユニット(CPU)であり、該マイコン制御ユニット32はマイクロコンピュータを中心として構成され、例えば内鍋3の温度検知回路部、ワークコイル駆動制御回路部、内鍋3の検知回路部、発振回路部、リセット回路部、保温ヒータおよび肩ヒータ等駆動制御回路部、残時間設定表示制御回路部、ブザー報知部、電源回路部等を各々有して構成されている。
【0055】
そして、先ず上記内鍋3の底壁部3a側センタセンサ部の内鍋温度検知センサS、内鍋検知スイッチLSに対応して設けられた温度検知回路43および鍋検知回路44には、例えば上記内鍋温度検知センサSによる内鍋3の底壁部3aの温度検知信号、内鍋検知スイッチLSによる鍋検知信号がそれぞれ入力されるようになっている。
【0056】
また、上記ワークコイル駆動制御回路部は、例えばパルス幅変調回路41、同期トリガー回路40、IGBT駆動回路42、IGBT37、共振コンデンサ38によって形成されている。そして、上記マイコン制御ユニット32のワークコイル駆動制御回路部により、上記パルス幅変調回路41を制御することにより、例えば炊飯工程に応じて上記ワークコイルC1,C2,C3の出力値および同出力値でのONデューティー比(例えばn秒/16秒)をそれぞれ適切に変えることによって、炊飯工程の各工程における内鍋3の加熱温度と加熱パターンを炊飯量を考慮して適切に可変コントロールし、均一な吸水作用と加熱ムラのない御飯の炊き上げを実現するための適切な出力制御が行われるようになっている。
【0057】
また同マイコン制御ユニット32の保温ヒータ駆動制御回路部および肩ヒータ駆動制御回路部により、それぞれ保温ヒータ駆動回路33および肩ヒータ駆動回路34を制御することにより、例えば保温又は炊飯工程に応じて上記保温ヒータH1、肩ヒータH2の出力値および同出力値でのONデューティー比(例えばn秒/16秒)をそれぞれ適切に変えることによって、保温又は炊飯工程の各工程における内鍋3の加熱温度と加熱パターンとを実際の炊飯量を考慮して適切に可変コントロールするための適切な出力制御が行われるようになっている。
【0058】
また、符号22a〜22hは上述した各種入力スイッチ部であり、同スイッチの必要なものが適切に操作されると、上記マイコン制御ユニット32側の認識手段によってユーザーの指示内容が認識され、その認識内容に応じて所望の炊飯又は保温加熱パターンを設定して上記炊飯加熱制御手段又は保温加熱制御手段を適切に作動させて所望の炊飯又は保温を行うようになっている。
【0059】
したがって、ユーザーは、同入力スイッチ22a〜22hを使用して炊飯又は保温、タイマー予約、予約時刻設定、白米又は玄米、早炊、おかゆ、かため又はやわらかめ、すしめし、炊き込み等の炊き分け、通常保温又は低温保温等の各種の炊飯又は保温機能の選択設定内容を入力すれば、それに対応した機能内容が当該マイコン制御ユニット32の上述した認識手段を介して炊飯又は保温加熱パターン設定部に自動的に設定入力され、対応する炊飯又は保温加熱制御が適切になされる。
【0060】
なお、図3中の符号39は、上記IGBT37のフライホイールダイオードである。また符号35は、家庭用AC電源30との間に挿入された上記ワークコイル駆動用のダイオードブリッジを内蔵した電源側整流回路、36はその平滑回路である。
【0061】
さらに、符号17は炊飯完了を知らせるブザー報知部、16はリセット回路、21は液晶表示部である。この実施の形態の場合、上記液晶表示部21には、上記入力スイッチ22a〜22hのON操作に対応して所望のメニューや時刻等の必要事項が表示され、以後設定内容に応じた必要な表示がなされて行くようになっている。また、この実施の形態の場合、特に炊飯開始後において、安定した初期水温Toを検知決定し、それに基いて先ず基本となる最初の炊飯残時間をできるだけ正確に演算設定する。そして、その上で同残時間を、上記液晶表示部21の時刻表示に対応する部分に、図5のように時刻表示に変えて表示する。そして、以後、それを順次補正して表示して行くことにより、可及的に正確な残時間を表示するようになっている。
【0062】
なお、図2の制御回路では、繁雑さを避けるために、上記マイコン制御ユニット32側への定電圧電源回路は省略して示している。
【0063】
(通常炊飯時の残時間の設定表示制御方法、表示形態、補正方法等)
図4は、通常炊飯時の残時間設定表示制御方法を、図5は、同残時間の表示形態を、図6は、同残時間の補正方法を、それぞれ示している。
【0064】
先ず図4の残時間の設定表示制御方法について、図6のタイムチャートを参照して説明する。
【0065】
先ず上記炊飯スイッチ22aがONされ、炊飯動作が開始されると、ステップS1で一旦上記各ワークコイルC1〜C3をOFFにする。そして、内鍋3内の水温Tを安定させる。
【0066】
その後、ステップS2で上記センタセンサの内鍋温度検知センサSにより内鍋3内の水温(初期水温)Tを複数回(n回)検出し、前回の検出温度Tn-1と今回の検出温度Tnとの差の絶対値|Tn−Tn-1|が、予じめ設定された水温の安定状態を示す温度差ΔT以下となったことをステップS3で判定する。
【0067】
そして、その結果、YESの時に初めてステップS4に進んで、初期水温Toを決定し、続くステップS5で、該初期水温Toに基いて最初の炊飯残時間を設定して液晶表示部21に表示可能とする。これは、図7のタイムチャート中の説明「1」から明らかなように、具体的には上記初期水温Toをパラメータとして予じめ作成してある残時間初期値テーブル(データマップ)を参照し、対応する時間をルックアップする方法によってなされる。
【0068】
なお、このように、炊飯開始時の内鍋3内の初期水温Toを基に可及的正確に演算設定された最初の残時間は、図6のタイムチャート中の「2」,「3」の説明に示されるように、その後の工程で判定される炊飯量やむらし移行までの所要時間に対応して、所定のタイミングで適切に補正されながら可及的に正確に表示されて行くようになっている。
【0069】
次に、図5の具体的な残時間の表示形態について説明する。
【0070】
この実施の形態の場合、上記のようにして演算設定され、順次補正されて行く残時間は、先ず上記初期水温Toの検知決定後から上記液晶表示部21の時刻表示に対応する部分に、図5のようにして表示される。
【0071】
このように該構成では、炊飯スイッチ22gがONされて炊飯が開始された後の内鍋3内の安定した初期水温Toを検知して、それに基いて最初に表示される最大の残時間を設定して表示するようにしている。
【0072】
炊飯開始時の初期水温は、季節や地域、その日の外気温などによって大きく変動し、炊飯に要する時間に大きな影響を与える。そのために、可能な限り、その時の安定した水温を正確に検知し、最初に演算設定される最大の残時間に反映させる必要がある。
【0073】
そこで、以上のように、炊飯スイッチ22gがONされて炊飯が開始された後の内鍋3内の安定した初期水温Toを検知して、それに基いて最初に表示される最大の残時間を演算設定するようにすると、その要求に適切に対応できるようになる。
【0074】
また、そのようにして決定表示される残時間は、炊飯動作の進行に応じて適宜正確に補正されるようになっている。
【0075】
そして、同構成では、最初に可及的に正確な残時間が表示されることから、その補正自体も容易かつ正確なものになり、補正後の表示時間の変化量も小さくなる。
【0076】
したがって、図5のような、連続的な表示方法を採用したとしても、補正時の違和感が小さい。
【0077】
一方、同補正に関し、上記初期水温と同時に実際の炊飯量も最終的な時間を決定する大きな要因である。
【0078】
そこで、以上のように、炊飯スイッチがONされて炊飯が開始された後の内鍋内の安定した初期水温を検知する一方、さらに加熱手段を作動させて炊飯量を判定し、それらに基いて最初に表示される最大の残時間を補正設定するようにすると、それらの要求にも適切に対応できるようになる。
【0079】
(実施の形態2)
次に図7および図8は、本願発明の実施の形態2に係る電気炊飯器の残時間の表示方法と表示形態をそれぞれ示している。
【0080】
この実施の形態の場合、上述のようにして演算設定された残時間は、そのままでは表示されることなく、通常は液晶表示部21の対応する部分には、図8のように時刻『10:08』のみが表示されるようになっている。
【0081】
そこで、残時間を見たいと思うと、先ずステップS1で、上述の時スイッチ22gをONにする。
【0082】
すると、ステップS2で、炊飯中か否かの判定を行った上で、炊飯中である場合には、ステップS3で残時間の表示が行われ、液晶表示部21は、例えば図8に示すように、現在時刻『10:08』の表示から残時間『あと40分』の表示に切り替えられる。この状態は、上記時スイッチ22gがON操作されてから所定時間経つと、自動的にリセットされる。
【0083】
もちろん、上記のように時スイッチ22gがONされない時は、通常通りステップS4で、現在時刻『10:08』を表示する。
【0084】
(実施の形態3)
次に図9は、本願発明の実施の形態2に係る電気炊飯器の残時間表示制御方法を示し、さらに詳しくは上述のようにして演算設定された残時間の以後の炊飯工程の進行に応じた残時間の補正と同補正時の表示制御方法を示している。
【0085】
先ず図9のフローチャートのステップS1において、現在炊飯中であるか否かを、また続くステップS2において残時間データがあるか否かを順次判定し、次にステップS3に進んで現在表示中の残時間データと最新の演算データとの比較を行う。
【0086】
その結果に基き、両者の間に差があり、表示時間の補正を行う必要があるか否かを、さらにステップS4で判定する。その結果、YESの時は、ステップS5に進み、補正動作中の表示をキャンセルするための表示切替タイマをスタートさせる。
【0087】
そして、その上でステップS6に進んで、上述の図5における、それまでの残時間『あと40分』を消して現在時刻の表示に切替える。
【0088】
次に、ステップS7で、上記表示切替タイマの切替設定時間の経過を判定し、同時間が経過したYESの時には、ステップS8で当該補正後の新たな残時間の表示を行う。
【0089】
つまり、該構成では、補正時には残時間の表示が一旦消え、補正が完了した時に改めて新たな残時間が表示されるようになる。
【0090】
したがって、所定の残時間が表示されている状態から、補正によって急に表示時間が増えたり、減ったりする従来の違和感が解消される。
【0091】
(実施の形態4)
次に、図10は、本願発明の実施の形態4に係る電気炊飯器の残時間の表示方法を示している。
【0092】
この実施の形態の電気炊飯器では、上記実施の形態1の電気炊飯器と同様の構成のものにおいて、図10のように現在時刻表示と残時間表示とが、自動的に交互に行われるようにしている。
【0093】
したがって、該構成では、時計表示手段を残時間表示手段に兼用することができるようになることは勿論、実施の形態2のもののように、残時間を知りたい時に時スイッチ22g等の操作キーを押す必要がなくなる。
【0094】
また、交互に表示が変わることから、注視しやすくなる。
【0095】
(他の実施の形態)
以上の各実施の形態では、それぞれ内鍋3の加熱手段としてワークコイルを採用したが、これは一般的な電熱ヒータに変更しても良いことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本願発明の各実施の形態に共通な電気炊飯器の構成を示す断面図である。
【図2】同電気炊飯器本体の制御回路部分のシステムブロック図である。
【図3】同電気炊飯器本体の要部である操作パネル部分の上面図である。
【図4】本願発明の実施の形態1に係る電気炊飯器の残時間設定表示方法(残時間演算表示制御方法)のフローチャートである。
【図5】同電気炊飯器の残時間表示形態の変化図である。
【図6】同電気炊飯器の炊飯工程に対応した残時間表示と補正方法のタイムチャートである。
【図7】本願発明の実施の形態2に係る電気炊飯器の残時間表示制御方法のフローチャートである。
【図8】同電気炊飯器の残時間表示形態の変化図である。
【図9】本願発明の実施の形態3に係る電気炊飯器の残時間補正時の表示制御方法を示すフローチャートである。
【図10】本願発明の実施の形態4に係る電気炊飯器の残時間表示制御の表示形態を示す図である。
【符号の説明】
【0097】
1は外ケース、2は蓋ユニット、3は内鍋、4は内ケース、20は操作パネル、21は液晶表示部、22aは炊飯スイッチ、22gは時スイッチである。
【発明の属する技術分野】
【0003】
本願発明は、炊飯開始から炊飯完了までの残時間を表示できるようにした電気炊飯器に関するものである。
【従来の技術】
【0004】
最近では、炊飯開始スイッチをONにし、炊飯を開始してから最終的に炊飯が完了するまでに、どの程度の時間がかかるかを表示するようにした残時間表示機能を備えた電気炊飯器が提供されるようになっている。
【0005】
そのような電気炊飯器の例として、例えば特開平8−66307号公報に示されるものがある。
【0006】
該公報のものでは、内鍋内に米と水を入れて炊飯開始スイッチをONにすると、予じめ用意されている最大の残時間が液晶表示部に表示され、その後、炊飯の進行に応じて1分毎に減算計時して行って、所定分数経過した時に、それまで表示されていた残時間を新たな残時間に変更して表示する。この動作を炊飯完了まで複数回繰り返し、所定の時間間隔で順次表示されている残時間を減少させて行く。
【0007】
したがって、該構成では、次に表示時間が変更されるまでの所定時間の間は、同一の残時間が継続して表示されることになる。
【0008】
そして、該構成の場合、予じめ用意されている上記最大の残時間は、最大炊飯量の炊飯時間に、低電圧や低水温、低室温などの環境条件を考慮した余裕時間を加算して設定されるようになっており、同時間を基準にして、炊飯開始時に炊飯終了までの残時間を表示し、沸騰継続後のむらし時間等を調節することにより最初に表示した残時間通りの時間で炊飯を終了し、保温に移行する構成となっている。
【0009】
しかし、このような構成では、最初に表示される炊飯所要時間が、実際の炊飯所要時間よりも余裕をもって長めに設定されることになるため、むらし時間が通常よりも長くなり、むらし過ぎとなる問題点がある。
【0010】
そこで、この問題を解決するために、例えば特開平10−165300号公報に示されるように、上記最大の炊飯所要時間を基準にして上記炊飯制御手段による炊飯開始以降から炊飯終了までの残時間を計時する残時間計時手段と、前記残時間計時手段により計時される残時間を表示する残時間表示手段と、炊飯の進行状況に伴い上記残時間計時手段で計時される残時間を短縮方向に修正する残時間修正手段とを備えたものも提案されている。
【0011】
このような構成によれば、炊飯の進行に伴う状況を考慮して、炊飯終了までの残時間を残時間修正手段で修正しながら残時間表示手段で表示するため、炊飯を行っている状況に応じて炊飯性能に悪影響が出ないように、つまり、ひたし時間が必要以上に長くならないように残時間を修正して表示することができる。また、残時間修正手段による残時間の修正は、炊き上がりまでの時間を短かくする方向に行なわれるので、炊飯開始時に表示した残時間よりも前に、炊飯を終了させることができるようになる。
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、後者の構成による場合にも、次のような問題が残されている。
【0013】
(1) 予じめ設定される最大残時間が概算的なものであるため、以後の修正時間幅が大きくなりすぎ、正確な残時間表示とは言い難い。
【0014】
(2) 季節等その時の外気温の相違によって表示される残時間が相当に異なってくる筈であるが、それに対応することができない。
【0015】
(3) 所定時間内同一の残時間を表示したまま補正を行ない、所定時間が経過した時点で補正された新たな残時間に変わるようになっており、補正によって、急に残時間が変化することから、ユーザーに違和感を抱かせる。
【0016】
本願発明は、以上のような問題を解決するためになされたもので、可能な限り正確な残時間を最初から最後まで必要に応じて所望の表示形態で可能な限り違和感なく表示できるようにした電気炊飯器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願各発明は、以上のような問題を解決することを目的としてなされたものであって、該目的を達成するために、それぞれ次のような有効な課題解決手段を備えて構成されている。
【0018】
(1) 請求項1の発明
すなわち、本願請求項1の発明の電気炊飯器は、米と水とを収納する内鍋と、該内鍋を加熱する加熱手段と、該加熱手段の加熱状態を制御して炊飯を行う炊飯制御手段と、該炊飯制御手段による炊飯動作の進行に応じた炊飯完了までの残時間を演算して表示する残時間表示手段と、内鍋内の水温を検出する水温検出手段とを備えてなる電気炊飯器であって、上記水温検出手段によって炊飯開始後に内鍋内の初期水温を複数回検出し、前回の検出温度と今回の検出温度との差が水温の安定状態を示す所定の温度差以下となった時の初期水温に基いて上記残時間を設定表示するようになっている。
【0019】
このように、該構成では、炊飯スイッチがONされて炊飯が開始された後の内鍋内の安定した初期水温を検知して、それに基いて最初に表示される最大の残時間を設定して表示するようになっている。
【0020】
炊飯開始時の初期水温は、季節や地域、その日の外気温などによって大きく変動し、炊飯に要する時間に大きな影響を与える。そのために、可能な限り、その時の安定した水温を正確に検知し、最初に演算設定される最大の残時間に反映させる必要がある。
【0021】
そこで、以上のように、例えば炊飯スイッチがONされて炊飯が開始された後の内鍋内の水温を複数回検出し、前回と今回の検出温度の差が所定の温度差以下となった安定した水温を初期水温に決定して、それに基いて最初に表示される最大の残時間を演算設定するようにすると、その要求に適切に対応できるようになる。
【0022】
(2) 請求項2の発明
次に、本願請求項2の発明の電気炊飯器は、米と水とを収納する内鍋と、該内鍋を加熱する加熱手段と、該加熱手段の加熱状態を制御して炊飯を行う炊飯制御手段と、該炊飯制御手段による炊飯動作の進行に応じた炊飯完了までの残時間を演算して表示する残時間表示手段と、内鍋内の水温を検出する水温検出手段とを備えてなる電気炊飯器であって、上記水温検出手段によって炊飯開始後に内鍋内の初期水温を複数回検出し、さらに上記加熱手段を作動させて炊飯量を判定し、上記複数回検出した初期水温の前回の検出温度と今回の検出温度との差が水温の安定状態を示す所定の温度差以下となった時の初期水温と上記判定された炊飯量とに基いて上記残時間を設定表示するようになっている。
【0023】
上記の如く炊飯開始時の初期水温は、季節や地域、その日の外気温などによって大きく変動し、炊飯に要する時間に大きな影響を与える。そのために、可能な限り、その時の安定した水温を正確に検知し、最初に演算設定される最大の残時間に反映させる必要がある。一方、それと同時に実際の炊飯量が、最終的な時間を決定する。
【0024】
そこで、以上のように、炊飯スイッチがONされて炊飯が開始された後の内鍋内の水温を複数回検出し、前回と今回の検出温度との差が所定の温度差以下となった時の安定した水温を初期水温と決定する一方、さらに加熱手段を作動させて炊飯量を判定し、それらの両方に基いて最初に表示される最大の残時間を演算設定するようにすると、上記2つの要求に適切に対応できるようになる。
【0025】
(3) 請求項3の発明
この発明の電気炊飯器は、米と水とを収納する内鍋と、該内鍋を加熱する加熱手段と、該加熱手段の加熱状態を制御して炊飯を行う炊飯制御手段と、炊飯開始後に上記内鍋内の初期水温を検出し、該検出された初期水温に基いて、上記炊飯制御手段による炊飯動作の進行に応じて適宜正確に補正しながら、炊飯完了までの残時間を演算して表示する残時間表示手段とを備えてなる電気炊飯器であって、上記残時間の補正時には、上記残時間の表示に変えて現在時刻の表示を行うようになっている。
【0026】
該構成では、上記のように初期水温を考慮して最初に可及的に正確な残時間が表示されることから、以後の炊飯工程における補正自体も容易かつ正確なものになり、補正後の表示時間の変化量も小さくなる。
【0027】
したがって、そのまま従来のような表示方法を採用したとしても、違和感が小さい。
【0028】
しかも、この発明では、その場合において、さらに上記残時間の補正時には、上記残時間の表示に変えて現在時刻の表示を行うようになっている。
【0029】
したがって、該構成では、補正時には残時間の表示が消えるとともに、それに代って現在時刻が表示され、補正が完了した時に改めて新たな残時間が表示される。
【0030】
したがって、所定の残時間が表示されている状態から、急に表示時間が増えたり、減ったりする違和感が解消される。
【0031】
(4) 請求項4の発明
この発明の電気炊飯器は、米と水とを収納する内鍋と、該内鍋を加熱する加熱手段と、該加熱手段の加熱状態を制御して炊飯を行う炊飯制御手段と、炊飯開始後に上記内鍋内の初期水温を検出し、さらに上記加熱手段を作動させて炊飯量を判定し、上記検出された初期水温と判定された炊飯量とに基いて、上記炊飯制御手段による炊飯動作の進行に応じて適宜正確に補正しながら炊飯完了までの残時間を演算して表示する残時間表示手段とを備えてなる電気炊飯器であって、上記残時間の補正時には、上記残時間の表示に変えて現在時刻の表示を行うようにしている。
【0032】
該構成では、上記のように初期水温を考慮して最初に可及的に正確な残時間が表示されることから、以後の炊飯工程における補正自体も容易かつ正確なものになり、補正後の表示時間の変化量も小さくなる。
【0033】
したがって、そのまま従来のような表示方法を採用したとしても、違和感が小さい。
【0034】
しかも、この発明では、その場合において、さらに上記残時間の補正時には、上記残時間の表示に変えて現在時刻の表示を行うようになっている。
【0035】
したがって、該構成では、補正時には残時間の表示が消えるとともに、それに代って現在時刻が表示され、補正が完了した時に改めて新たな残時間が表示される。
【0036】
したがって、所定の残時間が表示されている状態から、急に表示時間が増えたり、減ったりする違和感が解消される。
【発明の効果】
【0037】
以上の結果、本願発明の電気炊飯器によると、可能な限り正確な残時間を、最初から最後まで必要に応じて所望の表示形態で可能な限り違和感なく表示することができる電気炊飯器を提供することができる。
【発明の実施の形態】
【0038】
(実施の形態1)
図1〜図6は、本願発明の実施の形態1に係る残時間表示機能を有した電気炊飯器の炊飯器本体および同炊飯器本体各部の構成と作用をそれぞれ示している。
【0039】
(全体の特徴)
先ず本実施の形態の電気炊飯器は、その炊飯器本体A側において例えば内鍋3として電磁誘導の可能な磁性金属板よりなるものが採用されている一方、当該内鍋3に対する炊飯時の加熱手段として、合成樹脂製の内ケース4を介して当該内鍋3の底壁部3aから側壁部3bの略全体を包み込むように当該内鍋3の底壁部3aの中央部側と側方部側、および側壁部3b側の3ケ所の全周に対応する3組のワークコイルC1,C2,C3が設けられ、また当該内鍋3に対する保温時の加熱手段として、当該内鍋3の側壁部3bの全周に対応する保温ヒータH1が設けられている。そして、それらによって適切な炊飯機能と保温機能とを実現できるようになっている。
【0040】
一方、それらの各機能に対するタイマー予約や炊飯および保温メニューの選択、それら各メニューに対応した加熱パターンの操作設定は、当該電気炊飯器本体Aの前面側操作パネル部20に設けられた各種入力スイッチ群22a〜22hを介してユーザーにより行われ、その設定内容に応じて最終的に上記ワークコイルC1〜C3および保温ヒータH1が制御されるようになっている。
【0041】
また、上記操作パネル部20の中央部には、炊飯、保温の各メニュー、並びに現在時刻および炊飯完了までの残時間その他の必要事項を表示する液晶表示部21が設けられており、後述するように1つの例として先ず炊飯開始後の内鍋3内の初期水温Toを基に可及的正確に最初の残時間を演算設定し、その後の工程で炊飯量やむらし移行までの所要時間に対応して適切に補正しながら可及的に正確に表示するようになっている。
【0042】
(炊飯器本体部分の構成)
すなわち、先ず該電気炊飯器の炊飯器本体Aは、例えば図1に示すように、内部に誘起されるうず電流によって自己発熱が可能な例えばステンレス鋼板等の磁性金属板よりなる内鍋(飯器)3と、該内鍋3を任意にセットし得るように形成された合成樹脂製の有底筒状の内ケース(保護枠)4と、該内ケース4を保持する外部筺体である有底筒状の外ケース1と、該外ケース1と上記内ケース4とを一体化して形成された炊飯器器体Aの上部に開閉可能に設けられた蓋ユニット2とから構成されている。
【0043】
上記内ケース4の底壁部(底部)4aの下方側にはコイル台7が設けられ、その上部には、フェライトコアを介し、上記内鍋3の底壁部(底部)3aの中央部と側方部および内鍋3の側壁部3bの各位置に対応して各々リッツ線が同心状に巻成された3組のワークコイルC1,C2,C3が、それぞれ内鍋3の底壁部3aから側壁部3bに到る略全体を包み込むように設けられており、それらにより通電時には内鍋3の略全体にうず電流を誘起して、その全体を略均一に加熱するようになっている。そして、該ワークコイルC1,C2,C3は、それぞれ相互に直列に接続され、その一端は、例えば図3の制御回路図に示すように整流回路35および平滑回路36を介した電源ラインに、また他端はIGBT(パワートランジスタ)37のコレクタにそれぞれ接続されている。
【0044】
また、上記側壁部側ワークコイルC3の上方部には、保温時において加熱手段として機能する保温ヒータH1が設けられており、保温時において上記内鍋3の全体を有効かつ均一に加熱するようになっている。
【0045】
また、上記内ケース4およびコイル台7の下方部側には、例えば図2に示されるような、ワークコイルC1,C2,C3、保温ヒータH1、肩ヒータH2等を駆動制御する上記IGBT37やヒータ駆動回路33,34、マイコン制御ユニット32、電源電圧整流用のダイオードブリッジよりなる整流回路35、平滑回路36などを備えた制御回路基板9が設けられている。
【0046】
また上記外ケース1は、例えば合成樹脂材で形成された上下方向に筒状のカバー部材1aと、該カバー部材1aの上端部に結合された合成樹脂製の肩部材11と、上記カバー部材1aの下端部に一体化された合成樹脂製の底部材1bとからなり、かつ上記内ケース4の底壁部4aとの間に所定の広さの断熱および通風空間部を形成した全体として有底の筒状体に構成されている。そして、該外ケース1の前面部上方には、例えば図3に示すような略半月形状の操作パネル部20が設けられている。該操作パネル部20面には、十分に広く大きな表示面積をもつ液晶表示部21と炊飯スイッチ22a、タイマー予約スイッチ22b、取消スイッチ22c、保温スイッチ22d、再加熱スイッチ22e、メニュー選択スイッチ22f、時スイッチ22g、分スイッチ22h等の各種入力スイッチ群のみが設けられている。また、上記肩部材11の肩部内周側には、肩ヒータH2が設けられている。
【0047】
さらに、図示はしないが、上記内ケース4下方側のコイル台7の中央部には、上下方向に同心状に貫通したセンタセンサ収納空間部が形成されており、該センタセンサ収納空間部中に上下方向に昇降自在な状態で、かつ常時コイルスプリングにより上方に上昇付勢された状態で図2に示す内鍋温度検知センサSおよび内鍋検知スイッチLSを備えたセンタセンサが設けられている。
【0048】
一方、符号2は蓋ユニットであり、該蓋ユニット2は、その外周面を構成する合成樹脂製の外カバー12と、該外カバー12と内枠14との間に設けられた金属製の断熱構造体13と、該断熱構造体13の内側にパッキン17を介して設けられた金属製の内カバー15と、該内カバー15の下方に設けられた金属製の放熱板16とによって内側が中空の断熱構造体に形成されている。また、上記断熱構造体13は上下2枚の金属板13a,13bを閉断面構造に対向させて一体化することにより形成されている。
【0049】
この蓋ユニット2は、上記外ケース1上部の肩部材11に対してヒンジ機構を介して回動自在に取付けられており、その開放端側には、該蓋ユニット2の所定位置に係合して該蓋ユニット2の上下方向への開閉を行うロック機構18が設けられている。
【0050】
したがって、該構成では、先ず炊飯時には、上記内鍋3は、上記3組のワークコイルC1,C2,C3の駆動によりその底壁部3aから側壁部3b側にかけて略全体が均一に発熱し、例えば内鍋3内の水に浸された飯米が断熱部として作用する吸水工程などにおいても内鍋3の上部側をもムラなく加熱して略全体に均一な吸水性能を可能にするとともに、炊飯量が多い時などにも内鍋3の全体を略均一に加熱して加熱ムラなく効率良く炊き上げることができる。また、沸騰工程以降の水分がなくなった状態における内鍋3の底壁部3aの局部的な熱の集中を防止して焦げ付きの発生を防止することができる。次に、保温時には、上記内鍋3の側壁部3bに対応して設けられた上記保温ヒータH1および肩ヒータH2の駆動により、内鍋3の底壁部3aから側壁部3bおよび上方部の全体が適切な加熱量で均一に加熱されて加熱ムラのない保温が実現される。
【0051】
一方、上記制御回路基板9のマイコン制御ユニット32には、上記各入力スイッチ22a〜22hを介して入力されたユーザーの指示内容を判断する所望の認識手段が設けられており、該認識手段で認識されたユーザーの指示内容に応じて所望の炊飯又は保温機能、所望の炊飯又は保温メニュー、それら炊飯又は保温メニューに対応した所定の加熱パターンを設定して、その炊飯加熱制御手段又は保温加熱制御手段を適切に作動させて所望の炊飯又は保温を行うようになっている。
【0052】
したがって、ユーザーは、上記各入力スイッチ22a〜22hを使って炊飯又は保温、タイマー予約、予約時刻設定、白米又は玄米、早炊、おかゆ、かため又はやわらかめ、すしめし、炊き込み等の炊き分け、通常保温又は低温保温その他の各種の炊飯又は保温機能の選択設定内容を入力すれば、それに対応した機能内容が当該マイコン制御ユニット32内の認識手段を介して炊飯および保温加熱パターン等設定部に自動的に設定入力され、対応する炊飯又は保温加熱制御が所望の制御パターンで適切になされるようになる。
【0053】
(炊飯器本体側制御回路部分の構成)
次に、図2は上述のように構成された炊飯器本体A側の炊飯および保温制御並びに残時間表示制御用のマイコン制御ユニット32を中心とする制御回路部分の構成を示す。
【0054】
図中、符号32が上述のような炊飯加熱制御手段および保温加熱制御手段、残時間設定表示手段に加え、内鍋温度判定手段、内鍋検知手段、ブザー報知手段等を備えた炊飯・保温制御用のマイコン制御ユニット(CPU)であり、該マイコン制御ユニット32はマイクロコンピュータを中心として構成され、例えば内鍋3の温度検知回路部、ワークコイル駆動制御回路部、内鍋3の検知回路部、発振回路部、リセット回路部、保温ヒータおよび肩ヒータ等駆動制御回路部、残時間設定表示制御回路部、ブザー報知部、電源回路部等を各々有して構成されている。
【0055】
そして、先ず上記内鍋3の底壁部3a側センタセンサ部の内鍋温度検知センサS、内鍋検知スイッチLSに対応して設けられた温度検知回路43および鍋検知回路44には、例えば上記内鍋温度検知センサSによる内鍋3の底壁部3aの温度検知信号、内鍋検知スイッチLSによる鍋検知信号がそれぞれ入力されるようになっている。
【0056】
また、上記ワークコイル駆動制御回路部は、例えばパルス幅変調回路41、同期トリガー回路40、IGBT駆動回路42、IGBT37、共振コンデンサ38によって形成されている。そして、上記マイコン制御ユニット32のワークコイル駆動制御回路部により、上記パルス幅変調回路41を制御することにより、例えば炊飯工程に応じて上記ワークコイルC1,C2,C3の出力値および同出力値でのONデューティー比(例えばn秒/16秒)をそれぞれ適切に変えることによって、炊飯工程の各工程における内鍋3の加熱温度と加熱パターンを炊飯量を考慮して適切に可変コントロールし、均一な吸水作用と加熱ムラのない御飯の炊き上げを実現するための適切な出力制御が行われるようになっている。
【0057】
また同マイコン制御ユニット32の保温ヒータ駆動制御回路部および肩ヒータ駆動制御回路部により、それぞれ保温ヒータ駆動回路33および肩ヒータ駆動回路34を制御することにより、例えば保温又は炊飯工程に応じて上記保温ヒータH1、肩ヒータH2の出力値および同出力値でのONデューティー比(例えばn秒/16秒)をそれぞれ適切に変えることによって、保温又は炊飯工程の各工程における内鍋3の加熱温度と加熱パターンとを実際の炊飯量を考慮して適切に可変コントロールするための適切な出力制御が行われるようになっている。
【0058】
また、符号22a〜22hは上述した各種入力スイッチ部であり、同スイッチの必要なものが適切に操作されると、上記マイコン制御ユニット32側の認識手段によってユーザーの指示内容が認識され、その認識内容に応じて所望の炊飯又は保温加熱パターンを設定して上記炊飯加熱制御手段又は保温加熱制御手段を適切に作動させて所望の炊飯又は保温を行うようになっている。
【0059】
したがって、ユーザーは、同入力スイッチ22a〜22hを使用して炊飯又は保温、タイマー予約、予約時刻設定、白米又は玄米、早炊、おかゆ、かため又はやわらかめ、すしめし、炊き込み等の炊き分け、通常保温又は低温保温等の各種の炊飯又は保温機能の選択設定内容を入力すれば、それに対応した機能内容が当該マイコン制御ユニット32の上述した認識手段を介して炊飯又は保温加熱パターン設定部に自動的に設定入力され、対応する炊飯又は保温加熱制御が適切になされる。
【0060】
なお、図3中の符号39は、上記IGBT37のフライホイールダイオードである。また符号35は、家庭用AC電源30との間に挿入された上記ワークコイル駆動用のダイオードブリッジを内蔵した電源側整流回路、36はその平滑回路である。
【0061】
さらに、符号17は炊飯完了を知らせるブザー報知部、16はリセット回路、21は液晶表示部である。この実施の形態の場合、上記液晶表示部21には、上記入力スイッチ22a〜22hのON操作に対応して所望のメニューや時刻等の必要事項が表示され、以後設定内容に応じた必要な表示がなされて行くようになっている。また、この実施の形態の場合、特に炊飯開始後において、安定した初期水温Toを検知決定し、それに基いて先ず基本となる最初の炊飯残時間をできるだけ正確に演算設定する。そして、その上で同残時間を、上記液晶表示部21の時刻表示に対応する部分に、図5のように時刻表示に変えて表示する。そして、以後、それを順次補正して表示して行くことにより、可及的に正確な残時間を表示するようになっている。
【0062】
なお、図2の制御回路では、繁雑さを避けるために、上記マイコン制御ユニット32側への定電圧電源回路は省略して示している。
【0063】
(通常炊飯時の残時間の設定表示制御方法、表示形態、補正方法等)
図4は、通常炊飯時の残時間設定表示制御方法を、図5は、同残時間の表示形態を、図6は、同残時間の補正方法を、それぞれ示している。
【0064】
先ず図4の残時間の設定表示制御方法について、図6のタイムチャートを参照して説明する。
【0065】
先ず上記炊飯スイッチ22aがONされ、炊飯動作が開始されると、ステップS1で一旦上記各ワークコイルC1〜C3をOFFにする。そして、内鍋3内の水温Tを安定させる。
【0066】
その後、ステップS2で上記センタセンサの内鍋温度検知センサSにより内鍋3内の水温(初期水温)Tを複数回(n回)検出し、前回の検出温度Tn-1と今回の検出温度Tnとの差の絶対値|Tn−Tn-1|が、予じめ設定された水温の安定状態を示す温度差ΔT以下となったことをステップS3で判定する。
【0067】
そして、その結果、YESの時に初めてステップS4に進んで、初期水温Toを決定し、続くステップS5で、該初期水温Toに基いて最初の炊飯残時間を設定して液晶表示部21に表示可能とする。これは、図7のタイムチャート中の説明「1」から明らかなように、具体的には上記初期水温Toをパラメータとして予じめ作成してある残時間初期値テーブル(データマップ)を参照し、対応する時間をルックアップする方法によってなされる。
【0068】
なお、このように、炊飯開始時の内鍋3内の初期水温Toを基に可及的正確に演算設定された最初の残時間は、図6のタイムチャート中の「2」,「3」の説明に示されるように、その後の工程で判定される炊飯量やむらし移行までの所要時間に対応して、所定のタイミングで適切に補正されながら可及的に正確に表示されて行くようになっている。
【0069】
次に、図5の具体的な残時間の表示形態について説明する。
【0070】
この実施の形態の場合、上記のようにして演算設定され、順次補正されて行く残時間は、先ず上記初期水温Toの検知決定後から上記液晶表示部21の時刻表示に対応する部分に、図5のようにして表示される。
【0071】
このように該構成では、炊飯スイッチ22gがONされて炊飯が開始された後の内鍋3内の安定した初期水温Toを検知して、それに基いて最初に表示される最大の残時間を設定して表示するようにしている。
【0072】
炊飯開始時の初期水温は、季節や地域、その日の外気温などによって大きく変動し、炊飯に要する時間に大きな影響を与える。そのために、可能な限り、その時の安定した水温を正確に検知し、最初に演算設定される最大の残時間に反映させる必要がある。
【0073】
そこで、以上のように、炊飯スイッチ22gがONされて炊飯が開始された後の内鍋3内の安定した初期水温Toを検知して、それに基いて最初に表示される最大の残時間を演算設定するようにすると、その要求に適切に対応できるようになる。
【0074】
また、そのようにして決定表示される残時間は、炊飯動作の進行に応じて適宜正確に補正されるようになっている。
【0075】
そして、同構成では、最初に可及的に正確な残時間が表示されることから、その補正自体も容易かつ正確なものになり、補正後の表示時間の変化量も小さくなる。
【0076】
したがって、図5のような、連続的な表示方法を採用したとしても、補正時の違和感が小さい。
【0077】
一方、同補正に関し、上記初期水温と同時に実際の炊飯量も最終的な時間を決定する大きな要因である。
【0078】
そこで、以上のように、炊飯スイッチがONされて炊飯が開始された後の内鍋内の安定した初期水温を検知する一方、さらに加熱手段を作動させて炊飯量を判定し、それらに基いて最初に表示される最大の残時間を補正設定するようにすると、それらの要求にも適切に対応できるようになる。
【0079】
(実施の形態2)
次に図7および図8は、本願発明の実施の形態2に係る電気炊飯器の残時間の表示方法と表示形態をそれぞれ示している。
【0080】
この実施の形態の場合、上述のようにして演算設定された残時間は、そのままでは表示されることなく、通常は液晶表示部21の対応する部分には、図8のように時刻『10:08』のみが表示されるようになっている。
【0081】
そこで、残時間を見たいと思うと、先ずステップS1で、上述の時スイッチ22gをONにする。
【0082】
すると、ステップS2で、炊飯中か否かの判定を行った上で、炊飯中である場合には、ステップS3で残時間の表示が行われ、液晶表示部21は、例えば図8に示すように、現在時刻『10:08』の表示から残時間『あと40分』の表示に切り替えられる。この状態は、上記時スイッチ22gがON操作されてから所定時間経つと、自動的にリセットされる。
【0083】
もちろん、上記のように時スイッチ22gがONされない時は、通常通りステップS4で、現在時刻『10:08』を表示する。
【0084】
(実施の形態3)
次に図9は、本願発明の実施の形態2に係る電気炊飯器の残時間表示制御方法を示し、さらに詳しくは上述のようにして演算設定された残時間の以後の炊飯工程の進行に応じた残時間の補正と同補正時の表示制御方法を示している。
【0085】
先ず図9のフローチャートのステップS1において、現在炊飯中であるか否かを、また続くステップS2において残時間データがあるか否かを順次判定し、次にステップS3に進んで現在表示中の残時間データと最新の演算データとの比較を行う。
【0086】
その結果に基き、両者の間に差があり、表示時間の補正を行う必要があるか否かを、さらにステップS4で判定する。その結果、YESの時は、ステップS5に進み、補正動作中の表示をキャンセルするための表示切替タイマをスタートさせる。
【0087】
そして、その上でステップS6に進んで、上述の図5における、それまでの残時間『あと40分』を消して現在時刻の表示に切替える。
【0088】
次に、ステップS7で、上記表示切替タイマの切替設定時間の経過を判定し、同時間が経過したYESの時には、ステップS8で当該補正後の新たな残時間の表示を行う。
【0089】
つまり、該構成では、補正時には残時間の表示が一旦消え、補正が完了した時に改めて新たな残時間が表示されるようになる。
【0090】
したがって、所定の残時間が表示されている状態から、補正によって急に表示時間が増えたり、減ったりする従来の違和感が解消される。
【0091】
(実施の形態4)
次に、図10は、本願発明の実施の形態4に係る電気炊飯器の残時間の表示方法を示している。
【0092】
この実施の形態の電気炊飯器では、上記実施の形態1の電気炊飯器と同様の構成のものにおいて、図10のように現在時刻表示と残時間表示とが、自動的に交互に行われるようにしている。
【0093】
したがって、該構成では、時計表示手段を残時間表示手段に兼用することができるようになることは勿論、実施の形態2のもののように、残時間を知りたい時に時スイッチ22g等の操作キーを押す必要がなくなる。
【0094】
また、交互に表示が変わることから、注視しやすくなる。
【0095】
(他の実施の形態)
以上の各実施の形態では、それぞれ内鍋3の加熱手段としてワークコイルを採用したが、これは一般的な電熱ヒータに変更しても良いことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本願発明の各実施の形態に共通な電気炊飯器の構成を示す断面図である。
【図2】同電気炊飯器本体の制御回路部分のシステムブロック図である。
【図3】同電気炊飯器本体の要部である操作パネル部分の上面図である。
【図4】本願発明の実施の形態1に係る電気炊飯器の残時間設定表示方法(残時間演算表示制御方法)のフローチャートである。
【図5】同電気炊飯器の残時間表示形態の変化図である。
【図6】同電気炊飯器の炊飯工程に対応した残時間表示と補正方法のタイムチャートである。
【図7】本願発明の実施の形態2に係る電気炊飯器の残時間表示制御方法のフローチャートである。
【図8】同電気炊飯器の残時間表示形態の変化図である。
【図9】本願発明の実施の形態3に係る電気炊飯器の残時間補正時の表示制御方法を示すフローチャートである。
【図10】本願発明の実施の形態4に係る電気炊飯器の残時間表示制御の表示形態を示す図である。
【符号の説明】
【0097】
1は外ケース、2は蓋ユニット、3は内鍋、4は内ケース、20は操作パネル、21は液晶表示部、22aは炊飯スイッチ、22gは時スイッチである。
Claims (4)
- 米と水とを収納する内鍋と、該内鍋を加熱する加熱手段と、該加熱手段の加熱状態を制御して炊飯を行う炊飯制御手段と、該炊飯制御手段による炊飯動作の進行に応じた炊飯完了までの残時間を演算して表示する残時間表示手段と、内鍋内の水温を検出する水温検出手段とを備えてなる電気炊飯器であって、上記水温検出手段によって炊飯開始後に内鍋内の初期水温を複数回検出し、前回の検出温度と今回の検出温度との差が水温の安定状態を示す所定の温度差以下となった時の初期水温に基いて上記残時間を設定表示するようにしたことを特徴とする電気炊飯器。
- 米と水とを収納する内鍋と、該内鍋を加熱する加熱手段と、該加熱手段の加熱状態を制御して炊飯を行う炊飯制御手段と、該炊飯制御手段による炊飯動作の進行に応じた炊飯完了までの残時間を演算して表示する残時間表示手段と、内鍋内の水温を検出する水温検出手段とを備えてなる電気炊飯器であって、上記水温検出手段によって炊飯開始後に内鍋内の初期水温を複数回検出し、さらに上記加熱手段を作動させて炊飯量を判定し、上記複数回検出した初期水温の前回の検出温度と今回の検出温度との差が水温の安定状態を示す所定の温度差以下となった時の初期水温と上記判定された炊飯量とに基いて上記残時間を設定表示するようにしたことを特徴とする電気炊飯器。
- 米と水とを収納する内鍋と、該内鍋を加熱する加熱手段と、該加熱手段の加熱状態を制御して炊飯を行う炊飯制御手段と、炊飯開始後に上記内鍋内の初期水温を検出し、該検出された初期水温に基いて、上記炊飯制御手段による炊飯動作の進行に応じて適宜正確に補正しながら、炊飯完了までの残時間を演算して表示する残時間表示手段とを備えてなる電気炊飯器であって、上記残時間の補正時には、上記残時間の表示に変えて現在時刻の表示を行うようにしたことを特徴とする電気炊飯器。
- 米と水とを収納する内鍋と、該内鍋を加熱する加熱手段と、該加熱手段の加熱状態を制御して炊飯を行う炊飯制御手段と、炊飯開始後に上記内鍋内の初期水温を検出し、さらに上記加熱手段を作動させて炊飯量を判定し、上記検出された初期水温と判定された炊飯量とに基いて、上記炊飯制御手段による炊飯動作の進行に応じて適宜正確に補正しながら炊飯完了までの残時間を演算して表示する残時間表示手段とを備えてなる電気炊飯器であって、上記残時間の補正時には、上記残時間の表示に変えて現在時刻の表示を行うようにしたことを特徴とする電気炊飯器。
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