JP3557952B2 - 列車制御システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は列車制御システムに係り、特に自動列車制御システム、あるいは自動列車運転システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄道は、移動の自由度が限られた線路上を、複数の列車同士が安全な間隔を保ちながら走行する交通形態である。しかし、近年は、輸送力の増強や、交通流の多様化という社会的ニーズに応えるため、複数の列車の運行が高頻度に様々な停車パターンに従って設定されるという運行体系の複雑化が求められている。これを効率的に実現するため、様々な終着・始発駅の複数列車が集まる幹線区間では異なる列車同士を併合して、一列車と見なして運転することで限られた路線容量に対応し、途中の分岐駅では行き先に応じて別々の列車に分割して多様な運行体系を満たすといった、いわゆる分割・併合の手法が従来から検討され、実用化が進行している。
【0003】
他方、鉄道では列車の運転操作を安全かつ効率的に行うための自動制御システム(列車制御システム)が導入されている。即ち、衝突事故を防止するために、先行列車の現在位置や進路の開通に応じて後続列車の速度を制限する自動列車制御システム(ATC)や、列車の出発から到着駅での停止までの一連の運転操作を担う自動列車運転システム(ATO)が用いられている。
【0004】
まず、既存の列車制御システムにおける、分割・併合運転について説明する。既存の列車制御システムでは、列車上に装備されている列車の走行制御のための制御指令を出力する車上制御装置を、分割・併合の構成単位となる車両編成毎に備えている。各車両編成は、その走行のための駆動力を出力する駆動装置を備えており、車上制御装置が出す制御指令に従った動作を行う。
【0005】
このような列車制御システムでは、分割運転時には、各車両編成はそれぞれ別々の列車として運転される。このため、各列車の車上制御装置は各車両編成において独立に動作し、それぞれの単一車両編成から構成された各列車の走行制御を行う。
【0006】
一方、併合運転時には、複数の車両編成の併合状態が単一の列車と見なされて運行されている。即ち、列車の運転は、複数の車両編成から成る列車に対して、列車全体の走行を一括に制御することで行われる。この場合、各車両編成に装備された車上制御装置は、列車全体としては複数存在することになるが、実際に列車の走行制御を行うのは列車内のいずれか1つの車両編成に装備された1つの車上制御装置であり、その他の車両編成の車上制御装置は使用されていない。
【0007】
このように、複数の車両編成の併合状態から成る列車について、ある1つの車上制御装置が、併合された他の車両編成についても併せて走行制御することは、既存の併合運転で広く用いられている。尚、このような方法は、一般に総括制御と呼ばれている。
【0008】
このような従来の総括制御は、複数の車両編成から成る列車については、その構成要素の各車両編成が同じ車種か、あるいは予め想定された特定の車種の組み合わせについて取り扱うことを前提としている。また、列車の走行制御を担う車上制御装置の出力する制御指令(ノッチによる指定)については、列車内の全ての車両編成に対して、一律に同じ値(ノッチ)が指示されることになっている。また、このような従来技術による総括制御では、予め想定された特定の車種の車両編成の組み合わせについて、車両編成毎に異なる本来の駆動性能を併合運転時には同一水準に平準化することにより、各車両編成は分割運転時の駆動力特性(本来の特性)に加えて、予め設定された併合運転時の駆動力特性を別に持ち、分割・併合に応じて各車両編成の駆動力特性を切り替えて走行制御を行う方法も考えられている。このような方法は、総括制御の中でも、更に協調制御と呼ばれている。
【0009】
以上に述べた分割・併合,総括制御あるいは協調制御に関する従来技術としては、例えば(社)日本鉄道サイバネティクス協議会刊「第34回鉄道におけるサイバネティクス利用国内シンポジウム論文集:512 EC・DC総括制御運転システムの開発」,特開平7−115711 号公報などに開示されている列車制御システムがある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように従来技術による列車制御システムの総括制御では、次のような問題を抱えている。
【0011】
先ず、総括制御の対象が、列車を構成する各車両編成が同じ車種か、あるいは予め想定された特定の車種の組み合わせに限られていたため、分割・併合運転の採用が、運行体系に供用できる車両編成の車種の都合によって制約されるという問題があった。
【0012】
また、列車内の車両編成の車種が多様な場合、即ち、異なる走行性能の車両編成から一列車編成として構成される場合について、列車の全体としての走行性能を認識に配慮したものではなかった。しかし、この点は、様々な車両編成の分割・併合を想定した列車の運転において、次世代ATCの代表例であり、列車の全体としてのブレーキ性能等の的確な認識に基づく一段式保安減速制御を実現する上で問題となる。また、列車の全駅間での時々刻々の走行制御を担うATOを高性能に実現する上でも、列車内の車両編成の様々な構成状態に対応した列車全体としての走行性能の認識は必須である。
【0013】
更に、従来技術による総括制御は、列車の走行制御を担う車上制御装置の出力する制御指令(ノッチによる指定)については、列車内の全ての車両編成に対して一律に同じ値(ノッチ)が指示されている。しかし、走行性能の異なる複数の車両編成から成る列車では、同じ力行・ブレーキ指令(ノッチ)に対する加速・減速度は、一般に各車両編成毎に異なる。このため、従来技術による総括制御では、各車両編成間に不自然な応力を生じさせることになり、特に車両編成同士を併合する編成間連結装置の疲労,消耗による強度劣化を招く可能性も考えられる。
【0014】
従って、列車の全体としての走行を適切に制御するためには、列車内の車両編成の様々な構成状態、即ち、列車が分割運転中か、あるいは、いかなる車種と数量の車両編成の組み合わせで併合運転中かに対応して、列車の全体としての走行性能を臨機応変に認識するという従来にない機能が必要であると考えられる。
【0015】
また、列車の全体としての走行に対して、列車内の各車両編成での個別の駆動状態を最適にするためには、列車内の車両編成の様々な構成状態に応じて、各車両編成単位に個別の走行制御のための制御指令を指示するという、従来にない機能が求められる。
【0016】
本発明の目的は、分割・併合を想定した列車の運転において、列車がいかなる車種の車両編成の組み合わせから構成されていても、列車の全体としての走行性能や、列車内の各車両編成の個別の駆動状態を認識して対応することで、列車内の車両編成の様々な構成状態に適切に対応する走行制御を実現し、その結果として列車の運転の最適化を図れる列車制御システムを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明の列車制御システムは、次の機能を持つ。即ち、列車内の各車両編成の個別の走行性能を表す情報を用いて、列車の全体としての走行性能を表す情報を生成する。
【0018】
また、列車の全体としての走行を一括に制御するための制御指令から、列車内の各車両編成を個別に走行制御するための制御指令を生成する。
【0019】
そのために、本発明の列車制御システムは、以下の構成を具備する。
【0020】
第1の列車制御システムは、
列車の全体としての走行を一括に制御するための列車制御指令を決定する列車制御装置と、
列車の車両編成の構成状態に応じて列車内の各々の車両編成を個別に走行制御する編成総括制御部を有する。
【0021】
また、
この編成総括制御部は、
列車内の各々の車両編成に装備され、車両編成を個別に走行制御する個別編成制御部と、
列車制御装置と個別編成制御部との間に介在し、列車制御装置と個別編成制御部の相互の情報交換を仲介する列車編成総括制御部により構成されている。
【0022】
また、第2の列車制御システムは、
列車の走行制御において、列車の車両編成の構成状態に応じて列車内の各々の車両編成を個別に走行制御するための個別編成制御指令を決定し、個別編成制御指令を前記車両編成に対し出力する列車総括制御部と、
列車内の各々の車両編成に装備され、車両編成を個別に走行制御する個別編成制御部とを有する。
【0023】
また、
列車総括制御部は、
列車の全体としての走行を一括に制御するための列車制御指令を決定する列車制御装置と、
列車制御装置と個別編成制御部との間に介在し、列車制御装置と個別編成制御部の相互の情報交換を仲介する列車編成総括制御部とにより構成されている。
【0024】
また、第3の列車制御システムは、
列車の全体としての走行を一括に制御するための列車制御指令を決定する列車制御装置と、
列車内の各々の車両編成に装備され、車両編成を個別に走行制御する個別編成制御部と、
列車制御装置と個別編成制御部との間に介在し、列車制御装置と個別編成制御部の相互の情報交換を仲介する列車編成総括制御部とを有する。
【0025】
また、
列車編成総括制御部は、
列車制御装置と列車の一括走行制御に関する情報を授受し、
個別編成制御部と車両編成の個別走行制御に関する情報を授受する、
列車編成総括接続装置と、
列車内の異なる車両編成間の情報伝送を担う
編成間連結装置とを有する。
【0026】
また、
列車編成総括制御部は、
個別編成制御部から車両編成の個別の走行性能を表す個別編成性能情報を受け取り、
列車制御装置に対し列車の全体としての走行性能を表す列車編成総括性能情報を出力する
列車編成総括接続装置とを有している。
【0027】
また、
列車編成総括制御部に具備された列車編成総括接続装置は、
列車内の各々の車両編成の個別の走行性能を表す各々の個別編成性能情報から
列車の全体としての走行性能を表す列車編成総括性能情報を
列車の車両編成の構成状態に応じて生成する
列車編成総括性能生成手段を有している。
【0028】
また、
列車編成総括制御部は、
列車制御装置から列車の全体としての走行を一括に制御するための列車制御指令を受け取り、
個別編成制御部に対し車両編成を個別に走行制御するための個別編成制御指令を出力する
列車編成総括接続装置とを有している。
【0029】
また、
列車編成総括制御部に具備された列車編成総括接続装置は、
列車の全体としての走行を一括に制御するための列車制御指令から、
列車内の各々の車両編成を個別に走行制御するための各々の個別編成制御指令を
列車の車両編成の構成状態に応じて生成する、
個別編成制御指令生成部を有している。
【0030】
また、
個別編成制御指令生成部は、
各々の個別編成制御指令によってもたらされる各々の車両編成の駆動状態が、各々の車両編成同士で相互に作用し合う応力負担の低減に配慮したものとなるように、
列車制御指令から各々の個別編成制御指令を生成するものである。
【0031】
【発明の実施の形態】
実施例1.
以下に、本発明について図面に基づいて説明する。
【0032】
図1は、本発明の一実施例に係る列車制御システムの構成を表す。
【0033】
本実施例の全体構成は、列車を構成する単数または複数の車両編成から構成される。車両編成は、単数または複数の車両から構成される。
【0034】
先ず、列車(1−100)は、単一の車両編成(1−01)から構成された列車を表す。
【0035】
列車(1−100)に係る列車制御システム(1−101)は、車両編成毎に装備され列車(1−100)の全体としての走行を制御するための列車制御指令を決定する列車制御装置(1−02)と、車両編成毎に装備され各車両編成を個別に走行制御する個別編成制御システム(1−03)と、列車制御装置(1−02)と個別編成制御システム(1−03)との間に介在して列車制御装置(1−02)と個別編成制御システム(1−03)の相互の情報交換を仲介する列車編成総括制御システム(1−102)と、から構成される。
【0036】
列車制御装置(1−02)は、列車編成総括制御システム(1−102)に接続し、列車編成総括制御システム(1−102)との間で、列車(1−100)の一括走行制御に関する情報を授受する。列車制御装置(1−02)と列車編成総括制御システム(1−102)との接続は、列車編成総括制御システム(1−102)に含まれる列車編成総括接続装置(1−04)が担う。
【0037】
列車編成総括制御システム(1−102)は、列車編成総括接続装置(1−
04)と、編成間連結装置(1−05)と、から構成される。列車編成総括接続装置(1−04)と編成間連結装置(1−05)は相互に接続し、相互に情報を交換する。
【0038】
列車編成総括接続装置(1−04)は、個別編成制御システム(1−03)内の個別編成機器接続回線(1−09)と、列車制御装置(1−02)と、編成間連結装置(1−05)と、に接続する。
【0039】
また、列車編成総括接続装置(1−04)は、列車制御装置(1−02)と、列車(1−100)の一括走行制御に関する情報を授受する。列車(1−100)の一括走行制御に関する情報には、列車制御装置(1−02)から受け取る列車(1−100)向けの走行制御指令を表す列車制御指令や、列車制御装置(1−02)に対して出力する列車(1−100)の走行性能を表す列車編成総括性能情報がある。
【0040】
また、列車編成総括接続装置(1−04)は、個別編成制御システム(1−
03)内の各装置と、車両編成(1−01)の個別走行制御に関する情報を授受する。車両編成(1−01)の個別走行制御に関する情報には、個別編成制御システム(1−03)から受け取る車両編成(1−01)の走行性能を表す個別編成性能情報や、車両編成(1−01)の走行速度を表す個別編成走行情報や、個別編成制御システム(1−03)に対して出力する車両編成(1−01)向けの走行制御指令を表す個別編成制御指令がある。
【0041】
また、列車編成総括接続装置(1−04)は、列車が幾つかの異なる車両編成から構成される場合、編成間連結装置(1−05)を介して、他の車両編成内の列車編成総括接続装置と、列車内の各車両編成の個別走行制御に関する情報を授受する。
【0042】
また、列車編成総括接続装置(1−04)は、列車制御装置(1−02)と個別編成制御システム(1−03)が相互に行う情報交換を仲介し、列車制御装置(1−02)と個別編成制御システム(1−03)が交換する情報に対して、列車(1−100)内の車両編成の構成状態を反映した情報変換操作を実施する。編成間連結装置(1−05)は、列車編成総括接続装置(1−04)に接続する。編成間連結装置(1−05)は、列車が幾つかの異なる車両編成から構成される場合、隣接の異なる車両編成の編成間連結装置と力学的に結合し、同時に車両編成間の情報伝送を担う。
【0043】
個別編成制御システム(1−03)は、個別編成性能保持装置(1−06)と、個別編成走行検出装置(1−07)と、個別編成駆動装置(1−08)と、個別編成機器接続回線(1−09)と、から構成される。個別編成制御システム (1−03)内の各装置は、個別編成機器接続回線(1−09)によって相互に接続され、個別編成機器接続回線(1−09)を介して相互に情報を交換する。個別編成機器接続回線(1−09)は、列車編成総括制御システム(1−102)内の列車編成総括接続装置(1−04)と、個別編成制御システム(1−03)内の個別編成性能保持装置(1−06)と、個別編成走行検出装置(1−07)と、個別編成駆動装置(1−08)と、に接続し、各装置の相互間の情報伝送を担う。
【0044】
個別編成性能保持装置(1−06)は、当該個別編成制御システム(1−03)が装備された車両編成(1−01)の走行性能を表す情報(個別編成性能情報)を保持する。個別編成性能情報は、対応する車両編成の長さ,重量,力行性能,ブレーキ性能,環境抵抗(車両に作用する走行抵抗・勾配抵抗・曲線抵抗)を表す情報から成る。個別編成性能保持装置(1−06)は、個別編成機器接続回線
(1−09)を介して個別編成性能情報を出力する。
【0045】
個別編成走行検出装置(1−07)は、当該個別編成制御システム(1−03)が装備された車両編成(1−01)の走行速度を検出する。個別編成走行検出装置(1−07)は、個別編成機器接続回線(1−09)を介して前記走行速度を表す情報(個別編成走行情報)を出力する。
【0046】
個別編成駆動装置(1−08)は、当該個別編成制御システム(1−03)が装備された車両編成(1−01)の走行を、引張力あるいはブレーキ力の出力による加速あるいは減速によって制御する。個別編成駆動装置(1−08)は、個別編成機器接続回線(1−09)を介して車両編成(1−01)向けの走行制御指令を表す情報(個別編成制御指令)を受け取り、個別編成制御指令に応じた引張力あるいはブレーキ力を出力する。
【0047】
次に、列車(1−300)は、車両編成A(1−01A),車両編成B(1−01B)の二つの車両編成の併合によって構成された列車を表す。
【0048】
列車(1−300)に係る列車制御システム(1−301)は、車両編成毎に装備され列車(1−300)の全体としての走行を制御するための列車制御指令を決定する列車制御装置A(1−02A)、列車制御装置B(1−02B)と、車両編成毎に装備され各車両編成を個別に走行制御する個別編成制御システムA(1−03A)、個別編成制御システムB(1−03B)と、前記各列車制御装置と前記各個別編成制御システムとの間に介在して、前記各列車制御装置と前記各個別編成制御システムの相互の情報交換を仲介する列車編成総括制御システム(1−302)と、から構成される。
【0049】
各列車制御装置について、列車制御装置A(1−02A)は、列車編成総括制御システム(1−302)に含まれる列車編成総括接続装置A(1−04A)に接続し、列車編成総括接続装置A(1−04A)との間で、列車(1−300)の一括走行制御に関する情報を授受する。また、列車制御装置B(1−02B)は、列車編成総括制御システム(1−302)に含まれる列車編成総括接続装置B(1−04B)に接続し、列車編成総括接続装置B(1−04B)との間で、列車(1−300)の一括走行制御に関する情報を授受する。
【0050】
各個別編成制御システムについて、個別編成制御システムA(1−03A)は、個別編成性能保持装置A(1−06A)と、個別編成走行検出装置A(1−
07A)と、個別編成駆動装置A(1−08A)と、個別編成機器接続回線A (1−09A)と、から構成される。個別編成制御システムA(1−03A)内の各装置は、個別編成機器接続回線A(1−09A)によって相互に接続され、個別編成機器接続回線A(1−09A)を介して相互に情報を交換する。
【0051】
また、個別編成制御システムB(1−03B)は、個別編成性能保持装置B (1−06B)と、個別編成走行検出装置B(1−07B)と、個別編成駆動装置B(1−08B)と、個別編成機器接続回線B(1−09B)と、から構成される。個別編成制御システムB(1−03B)内の各装置は、個別編成機器接続回線B(1−09B)によって相互に接続され、個別編成機器接続回線B(1−09B)を介して相互に情報を交換する。なお、各個別編成制御システム内の各装置の機能は、前記の列車(1−100)(単一車両編成で構成)の場合で記した内容と同様である。
【0052】
列車編成総括制御システム(1−302)は、車両編成A(1−01A)内の列車編成総括接続装置A(1−04A)、編成間連結装置A(1−05A)と、車両編成B(1−01B)内の列車編成総括接続装置B(1−04B)、編成間連結装置B(1−05B)と、から構成される。編成間連結装置A(1−05A)と編成間連結装置B(1−05B)は相互に力学的に結合することで、車両編成A(1−01A)と車両編成B(1−01B)を併合し、また前記車両編成間の情報伝送を担う。このことにより、列車編成総括接続装置A(1−04A)と列車編成総括接続装置B(1−04B)は、編成間連結装置A(1−05A)と編成間連結装置B(1−05B)を介して相互に情報を交換する。
【0053】
各列車編成総括接続装置について、列車編成総括接続装置A(1−04A)は、列車制御装置A(1−02A)と列車(1−300)の一括走行制御に関する情報を授受し、個別編成機器接続回線A(1−09A)を介した個別編成制御システムA(1−03A)内の各装置と車両編成A(1−01A)の個別走行制御に関する情報を授受し、編成間連結装置A(1−05A)を介した車両編成B (1−01B)内の列車編成総括接続装置B(1−04B)と車両編成A(1−01A)、車両編成B(1−01B)の個別走行制御に関する情報を授受する。また、列車編成総括接続装置A(1−04A)は、列車制御装置A(1−02A)と個別編成制御システムA(1−03A)が相互に行う情報交換を仲介し、列車制御装置A(1−02A)と個別編成制御システムA(1−03A)が交換する情報に対して、列車(1−300)内の車両編成の構成状態に応じた情報変換操作を実施する。
【0054】
同様に、列車編成総括接続装置B(1−04B)は、列車制御装置B(1−
02B)と列車(1−300)の一括走行制御に関する情報を授受し、個別編成機器接続回線B(1−09B)を介した個別編成制御システムB(1−03B)内の各装置と車両編成B(1−01B)の個別走行制御に関する情報を授受し、編成間連結装置B(1−05B)を介した車両編成B(1−01B)内の列車編成総括接続装置B(1−04B)と車両編成A(1−01A)、車両編成B(1−01B)の個別走行制御に関する情報を授受する。また、列車編成総括接続装置B(1−04B)は、列車制御装置B(1−02B)と個別編成制御システムB(1−03B)が相互に行う情報交換を仲介し、列車制御装置B(1−02B)と個別編成制御システムB(1−03B)が交換する情報に対して、列車(1−300)内の車両編成の構成状態に応じた情報変換操作を実施する。
【0055】
図2は、異なる車両編成をそれぞれ別々の列車として分割運転する場合について、列車編成総括制御システムに関する情報の流れの様子を表す。
【0056】
車両編成A(2−01A)と車両編成B(2−01B)は、分割運転時にはそれぞれ列車1(2−100)と列車2(2−200)として独立に運転される。この場合、各列車にはそれぞれ列車編成総括制御システム1(2−101)と列車編成総括制御システム2(2−201)が個別に独立して存在する。即ち、各車両編成内の列車編成総括接続装置A(2−04A)と列車編成総括接続装置B(2−04B)では、それぞれに関係する情報の流れは互いに独立している。従って、以下では列車1(2−100)あるいは車両編成A(2−01A)に説明を限定する。
【0057】
先ず、列車編成総括制御システム1(2−101)は、列車編成総括接続装置A(2−04A)において、列車制御装置A(2−02A)と、列車1(2−
100)の一括走行制御に関する情報(2−21A)を授受する。列車1(2−100)の一括走行制御に関する情報(2−21A)には、列車制御装置A(2−02A)から受け取る列車1(2−100)向けの走行制御指令を表す列車制御指令1や、列車制御装置A(2−02A)に対して出力する列車1(2−100)の走行性能を表す列車編成総括性能情報1がある。
【0058】
また、列車編成総括制御システム1(2−100)は、列車編成総括接続装置A(2−04A)において、個別編成制御システムA(2−03A)と、車両編成A(2−01A)の個別走行制御に関する情報(2−22A)を授受する。車両編成A(2−01A)の個別走行制御に関する情報(2−22A)には、個別編成制御システムA(2−01A)内の個別編成性能保持装置A(2−06A)から受け取る車両編成A(2−01A)の走行性能を表す個別編成性能情報Aや、個別編成走行検出装置A(2−07A)から受け取る車両編成A(2−01A)の走行速度を表す個別編成走行情報Aや、個別編成駆動装置A(2−08A)に対して出力する車両編成A(2−01A)向けの走行制御指令を表す個別編成制御指令Aがある。
【0059】
なお、列車編成総括制御システム1(2−101)の内部では、列車1(2−100)が単一の車両編成のみから成るため、列車編成総括接続装置A(2−
04A)は編成間連結装置Aを介した車両編成間の情報授受を行わない。
【0060】
図2では、列車編成総括制御システム1(2−101)は、列車編成総括接続装置A(2−04A)において、列車制御装置A(2−02A)対個別編成制御システムA(2−03A)の相互情報交換に介在し、列車1(2−100)内の車両編成の構成状態を反映した情報変換操作を実施する。この場合、列車制御装置A(2−04A)が出力する列車1(2−100)の一括走行制御に関する情報(2−21A)(列車制御指令1)は、列車編成総括接続装置A(2−04A)を経由する際に、車両編成A(2−01A)の個別走行制御に関する情報(2−22A)(個別編成制御指令A)に変換され、個別編成制御システムA(2−
03A)に入力される。また、この逆向きの流れとして、個別編成制御システムA(2−02A)が出力する車両編成A(2−01A)の個別走行制御に関する情報(2−22A)(個別編成性能情報A)は、列車編成総括接続装置A(2−04A)を経由する際に列車1(2−100)の一括走行制御に関する情報(2−21A)(列車編成総括性能情報1)に変換され、列車制御装置A(2−02A)に入力される。
【0061】
図3は、異なる車両編成を併せて単一の列車として併合運転する場合について、列車編成総括制御システムに関する情報の流れの様子を表す。
【0062】
なお、本実施例では、一般に列車が幾つかの異なる車両編成から構成される場合、前記列車の走行を一括に制御するための制御指令を指示する役割を、前記列車内の各車両編成に装備された列車制御装置の何れか1つにのみ与えるものとする。ここで、一括走行制御の役割を与えられた列車制御装置が存在する車両編成を主系編成と見なし、それ以外の前記列車内の車両編成を全て従系編成と見なす。列車の主系編成は、前記列車内に唯一存在する。なお、主系編成の決定方法には、一例として前記列車の先頭の車両編成を主系編成とする方法があるが、本発明に係る列車制御システムはこの方法に限定されるものではない。
【0063】
車両編成A(3−01A)と車両編成B(3−01B)は、併合運転時には併せて列車3(3−300)として一括に運転される。この場合、列車3(3−
300)には単一の列車編成総括制御システム3(3−301)が車両編成A (3−01A)と車両編成B(3−01B)を一括する形態で構成され、各車両編成内の列車編成総括接続装置A(3−04A)と列車編成総括接続装置B(3−04B)では、それぞれに関係する情報の流れは互いに依存している。
【0064】
また、列車3(3−300)では、列車3(3−300)の走行を一括に制御するための制御指令を発令する役割を、車両編成A(3−01A)に装備された列車制御装置A(3−02A)にのみ与えるものとする。従って、列車制御装置A(3−02A)が存在する車両編成A(3−01A)は主系編成であり、それ以外の列車3(3−300)内の車両編成B(3−02A)は従系編成である。先ず、車両編成A(3−01A)について、列車編成総括制御システム(3−301)は、列車編成総括接続装置A(3−04A)において、列車制御装置A(3−02A)と列車3(3−300)の一括走行制御に関する情報(3−21A)を授受する。列車3(3−300)の一括走行制御に関する情報は、前記の列車1(2−100)(単一車両編成で構成)の場合で説明した内容と同じ種類のものである。
【0065】
また、列車編成総括制御システム3(3−301)は、列車編成総括接続装置A(3−04A)において、個別編成制御システムA(3−03A)と車両編成A(3−01A)の個別走行制御に関する情報(3−22A)を授受する。車両編成A(3−01A)の個別走行制御に関する情報(3−22A)は、前記の単一車両編成から成る列車1(2−100)の場合で説明した内容と同じ種類のものである。
【0066】
なお、列車編成総括制御システム3(3−301)の内部では、列車編成総括接続装置A(3−04A)は、編成間連結装置A(3−05A)を介した車両編成B(3−01B)内の列車編成総括接続装置B(3−04B)と、車両編成B(3−01B)の個別走行制御に関する情報(3−22B)を授受する。この場合、車両編成B(3−01B)の個別走行制御に関する情報(3−22B)には、列車編成総括接続装置A(3−04A)に対する入力として、車両編成B(3−01B)の属性として車両編成B(3−01B)の走行性能を表す個別編成性能情報Bがあり、列車編成総括接続装置A(3−04A)からの出力として、車両編成B(3−01B)への指示として車両編成B(3−01B)向けの走行制御指令を表す個別編成制御指令Bがある。
【0067】
また、列車編成総括接続装置A(3−04A)は、編成間連結装置A(3−
05A)を介した車両編成B(3−01B)内の列車編成総括接続装置B(3−04B)に対して、車両編成A(3−01A)の個別走行制御に関する情報(3−22A)を出力する。この場合、車両編成A(3−01A)の個別走行制御に関する情報(3−22A)には、車両編成A(3−01A)の属性として車両編成A(3−01A)の走行性能を表す個別編成性能情報Aがある。
【0068】
一方、車両編成B(3−01B)について、列車編成総括制御システム3(3−301)は、列車編成総括接続装置B(3−04B)において、列車制御装置B(3−02B)と列車3(3−300)の一括走行制御に関する情報(3−
21B)を授受する。列車3(3−300)の一括走行制御に関する情報(3−21B)は、前記の列車1(2−100)(単一車両編成で構成)の場合で説明した内容と同じ種類のものである。
【0069】
また、列車編成総括制御システム3(3−301)は、列車編成総括接続装置B(3−04B)において、個別編成制御システムB(3−03B)と車両編成B(3−01B)の個別走行制御に関する情報(3−22B)を授受する。車両編成B(3−01B)の個別走行制御に関する情報(3−22B)は、前記の単一車両編成から成る列車1(2−100)の場合で説明した内容と同じ種類のものである。
【0070】
なお、列車編成総括制御システム3(3−301)の内部については、列車編成総括接続装置B(3−04B)は、編成間連結装置B(3−05B)を介した車両編成A(3−01A)内の列車編成総括接続装置A(3−04A)から、車両編成A(3−01A)の個別走行制御に関する情報(3−22A)を受け取る。この場合、車両編成A(3−01A)の個別走行制御に関する情報(3−22A)には、車両編成A(3−01A)の属性として車両編成A(3−01A)の走行性能を表す個別編成性能情報Aがある。また、列車編成総括接続装置B(3−
04B)は、編成間連結装置B(3−05B)を介した車両編成A(3−01A)内の列車編成総括接続装置A(3−04A)と、車両編成B(3−01B)の個別走行制御に関する情報(3−22B)を授受する。この場合、車両編成B(3−01B)の個別走行制御に関する情報(3−22B)には、列車編成総括接続装置B(3−04B)に対する入力として、車両編成B(3−01B)への指示として車両編成B(3−01B)向けの走行制御指令を表す個別編成制御指令Bがあり、列車編成総括接続装置B(3−04B)からの出力として、車両編成B(3−01B)の属性として車両編成B(3−01B)の走行性能を表す個別編成性能情報Bがある。
【0071】
図3では、列車編成総括制御システム3(3−301)は、列車編成総括接続装置A(3−04A)において、列車制御装置A(3−02A)対個別編成制御システムA(3−03A)、列車制御装置A(3−02A)対個別編成制御システムB(3−03B)の相互情報交換に介在し、列車3(3−300)内の車両編成の構成状態を反映した情報変換操作を実施する。この場合、列車制御装置A(3−02A)が出力する列車3(3−300)の一括走行制御に関する情報 (3−21A)(列車制御指令3)は、車両編成A(3−01A)が列車3の主系編成であることにより、列車編成総括接続装置A(3−04A)を経由する際に、車両編成A(3−01A)の個別走行制御に関する情報(3−22A)(個別編成制御指令A)と、車両編成B(3−03B)の個別走行制御に関する情報(3−22B)(個別編成制御指令B)とに変換され、それぞれ個別編成制御システムA(3−03A),個別編成制御システムB(3−03B)に入力される。また、この逆向きの流れとして、個別編成制御システムA(3−03A),個別編成制御システムB(3−03B)がそれぞれ出力する車両編成A(3−01A)の個別走行制御に関する情報(3−22A)(個別編成性能情報A)と、車両編成B(3−01B)の個別走行制御に関する情報(3−22B)(個別編成性能情報B)は、列車編成総括接続装置A(3−04A)を経由する際に、列車3 (3−300)の一括走行制御に関する情報(3−21A)(列車編成総括性能情報3)に変換され、列車制御装置A(3−02A)に入力される。
【0072】
また、列車編成総括制御システム3(3−301)は、列車編成総括接続装置B(3−04B)において、列車制御装置B(3−02B)対個別編成制御システムA(3−03A)、列車制御装置B(3−02B)対個別編成制御システムB(3−03B)の相互情報交換に介在し、列車3(3−300)内の車両編成の構成状態に反映した情報変換操作を実施する。この場合、列車制御装置B(3−02B)が出力する列車3(3−300)の一括走行制御に関する情報(3−21B)(列車制御指令3)は、車両編成B(3−01B)が列車3の従系編成であることにより、列車編成総括接続装置B(3−04B)においてブロックされ、従って列車3(3−300)内の各車両編成に対して列車制御装置B(3−02B)の作用は何ら及ばない。これに対して、個別編成制御システムA(3−03A)、個別編成制御システムB(3−03B)がそれぞれ出力する車両編成A(3−01A)の個別走行制御に関する情報(3−22A)(個別編成性能情報A)と、車両編成B(3−01B)の個別走行制御に関する情報(3−22B)(個別編成性能情報B)は、列車編成総括接続装置B(3−04B)を経由する際に列車3(3−300)の一括走行制御に関する情報(3−21B)(列車編成総括性能情報3)に変換され、列車制御装置B(3−02B)に入力される。以上に説明した本実施例の列車編成総括制御システムを備えた列車制御システムは、次の特徴を持つ。
【0073】
即ち、列車において、それが単一車両編成から成る分割運転の場合、あるいは複数の異なる車両編成から成る併合運転の場合の如何に関わらず、列車編成総括制御システムがその外部と交換する情報の種類は常に不変となる。これは、列車制御システムにおいて、車両編成の構成状態の列車走行制御に対する影響を、列車編成総括制御システムに集中的に対策させていることを示す。
【0074】
また、列車編成総括制御システムは、その外部との入出力情報を車両一般の走行制御について普遍的な内容のものとし、分割・併合運転のそれぞれに固有な特殊情報の入出力を極力排除した構成としている。これは、列車走行制御に対する列車内の車両編成の構成状態の影響を、列車編成総括制御システムに関する入出力情報の内容変換操作のみによって対策させていることを示す。
【0075】
以上の説明より、本実施例では、列車の走行制御を行う列車制御システムは、列車の全体としての走行を一括に制御するための制御指令を決定する列車制御装置と、前記列車を構成する各車両編成に装備され前記各車両編成の個別の走行を制御する各々の個別編成制御システムと、前記列車制御装置と前記各個別編成制御システムとの間に介在し、前記列車制御装置と前記各個別編成制御システムが相互に行う情報交換を仲介する列車編成総括制御システムと、から構成される。また、本実施例では、前記列車編成総括制御システムは、前記各車両編成について隣接の異なる車両編成同士を力学的に結合し、前記車両編成間の情報伝送を担う編成間連結装置と、前記列車制御装置との間で前記列車の一括走行制御に関する情報を授受し、また前記各個別編成制御システムと直に、あるいは前記編成間連結装置を介して、前記各車両編成の個別走行制御に関する情報を授受する列車編成総括接続装置と、から構成される。
【0076】
また、本実施例では、前記列車編成総括接続装置は、前記列車制御装置と授受する情報と、前記各個別編成制御システムと授受する情報との間に、情報変換操作を実施する。変換操作では、前記列車制御装置と授受する情報と、前記各個別編成制御システムと授受する情報とを、前記列車の車両編成の構成状態に配慮しながら変換する。即ち、前記列車編成総括接続装置は、前記列車制御装置からの入力情報を前記各個別編成制御システム向けの各々の出力情報に変換する場合、前記列車の全体を一括した立場で意味のある前記入力情報を、前記列車内の車両編成の構成状態を考慮しつつ、前記各車両編成に個別に適応した前記各出力情報に分割する。また、前記各個別編成制御システムからの各入力情報を前記列車制御装置向けの出力情報に変換する場合、前記各車両編成に個別に関係する前記各入力情報を、前記列車の車両編成の構成状態を考慮しつつ、前記列車の全体を一括した立場で意味のある出力情報に一元化する。
【0077】
以上に説明した本実施例では、上記の列車制御システムにより、列車の走行制御に対して次のような効果をもたらす。
【0078】
本実施例では、以上の説明のように、列車制御システムを、列車制御装置と、個別編成制御システムと、列車編成総括管理システムと、に分別した。これにより、列車が単一の車両編成のみから成る場合、あるいは複数の異なる車両編成から成る場合というように変化しても、列車制御装置が直に扱う情報を、常に前記列車について全体を一括したものとして一元化することができる。従って、列車制御装置は、列車の車両編成の構成状態の変化に直に対応する必要がなくなり、前記列車の可能な車両編成の構成状態のそれぞれの場合毎に特化した固有処理を実装せずに済む。即ち、列車制御装置の走行制御処理は列車一般に関する普遍的な処理のみで済む。これは、分割・併合運転に対応すべき列車制御システムにおいて、列車制御装置の処理負荷を著しく軽減する。また前記列車制御システムにおいて、列車制御装置としてそれ自体では特別に分割・併合運転を考慮しない汎用的な機器を採用することを可能とし、分割・併合運転の実現をより容易にする。
【0079】
また、以上の説明のような列車制御システムとすることにより、列車内の各個別編成制御システムについては、前記列車の車両編成の構成状態が変化しても、前記各個別編成制御システムが直に扱う情報を、常に前記列車の各車両編成に個別に関係するもののみに限定することができる。従って、各個別編成制御システムは、列車の車両編成の構成状態の変化に直に対応する必要がなくなり、前記列車の可能な車両編成の構成状態のそれぞれの場合毎に特化した固有処理を実装せずに済む。即ち、各個別編成制御システムの走行制御処理はそれぞれが対応する車両編成に関する普遍的な処理のみで済む。これは、分割・併合運転に対応すべき列車制御システムにおいて、各個別編成制御システムの処理負荷を著しく軽減する。また前記列車制御システムにおいて、各個別編成制御システムとしてそれ自体では特別に分割・併合運転を考慮しない汎用的な機器を採用することを可能とし、分割・併合運転の実現をより容易にする。
【0080】
また、以上の説明のような列車制御システムとすることにより、列車装置から各個別編成制御システム向け、あるいは前記各個別編成制御システムから前記列車装置向けの情報に、それぞれ列車の車両編成の構成状態を考慮した適切な変換操作を施すことが可能となる。列車編成総括管理システムは、前記各個別編成制御システムから前記列車制御装置向けの情報については、前記各個別編成制御システムから受け取る前記列車内の車両編成に個別に関係した情報を、前記列車の全体を一括した立場での情報に変換する。その際、前記各車両編成のそれぞれの属性(走行性能)を考慮して、前記列車の全体を一括した立場で認識すべき最適な情報のあり方を定義しておく。これにより、前記列車を一括した場合に適切な内容とされる情報を生成し、前記列車制御装置に向けて提供することが可能となる。また、前記列車制御装置から前記各個別編成制御システム向けの情報については、前記列車制御装置が出力する列車の全体を一括した立場での情報を、前記列車内の各車両編成に個別に向けられた情報に変換する。その際、前記各車両編成のそれぞれの属性(走行性能)を考慮して、前記各車両編成の個別に着目した立場で認識すべき最適な情報のあり方を定義しておく。これにより、前記各車両編成にそれぞれ適切な内容とされる情報を生成し、前記各個別編成制御システムに向けて提供することが可能となる。これらのことから、列車の走行制御について、前記列車内の車両編成の構成状態に応じて、前記列車の全体を一括した立場、あるいは前記列車内の各車両編成の個々に着目した立場として、最適化の実現を可能とする。
【0081】
実施例2.
上記の実施例1.では、列車制御システムにおいて、列車の走行を一括に制御する列車制御装置と、前記列車を構成する各車両編成を個別に走行制御する各個別編成制御システムと、前記列車制御装置と前記各個別編成制御システムとの間に介在して相互の情報交換を仲介する列車編成総括制御システムと、を設けることとした。これにより、分割・併合によって列車内の車両編成の構成状態が変化しても、列車の走行制御に対する影響を列車編成総括制御システムが吸収することで、列車制御装置あるいは各個別編成制御システムは前記構成状態の変化を特別に考慮せずに済む。また、列車編成総括制御システムが列車制御装置と各個別編成制御システムの間の相互情報交換を適宜操作することで、列車の全体を一括した立場、あるいは列車を構成する各車両編成のそれぞれに着目した立場で、走行制御の最適化を図れることを述べた。
【0082】
本実施例では、上記の列車制御システムにおいて、列車編成総括制御システムが列車制御装置と各個別編成制御システムとの間に介在して実施する情報交換操作の内容を具体化し、列車内の車両編成の構成状態の変化によって列車の全体としての走行性能が変化することに着目した情報変換手段を列車編成総括制御システムに実装する。即ち、列車編成総括制御システムは、各個別編成制御システムからそれぞれに対応する車両編成の走行性能を表す個別編成性能情報を受け取り、列車制御装置に対して列車内の車両編成の構成状態に応じた前記列車の全体としての走行性能を表す列車編成総括性能情報を出力する。
【0083】
本実施例に係る列車編成総括制御システムは、列車編成総括接続装置と、編成間連結装置と、から構成される。編成間連結装置は、列車内の各車両編成について、隣接の異なる車両編成同士を力学的に結合し、また前記車両編成間の情報伝送を担う。列車編成総括接続装置は、前記列車編成総括制御システムに接続する列車制御装置と列車の一括走行制御に関する情報を授受し、また前記各車両編成の個別編成制御システムと直接あるいは前記編成間連結装置を介して前記各車両編成の個別走行制御に関する情報を授受する。
【0084】
本実施例に係る列車編成総括接続装置は、列車内の車両編成の構成状態に応じて、列車の全体としての走行性能を表す情報(列車編成総括性能情報)を管理し、前記列車編成総括接続装置に接続する列車制御装置に対して列車編成総括性能情報を提供する。
【0085】
図4は、本実施例に係る列車編成総括接続装置の構成を表す。
【0086】
図4の列車編成総括接続装置(4−01)は、次の処理手段を持つ。
【0087】
先ず、個別編成情報入出力手段(4−11)を持つ。これは、個別編成制御システム(4−02)内の個別編成性能保持装置(4−03)、編成間連結装置 (4−04)と、列車を構成する各車両編成の走行性能を表す個別編成性能情報(自車両編成に関して個別編成性能情報(自)(4−21A)、他車両編成に関して個別編成性能情報(他)(4−21B))を授受する。また、前記個別編成性能情報を列車内の全車両編成について集積して全編成性能情報(4−22)を生成し、次の全編成性能登録手段(4−12)に対して出力する。
【0088】
次に、全編成性能登録手段(4−12)を持つ。これは、個別編成情報入出力手段(4−11)から全編成性能情報(4−22)を受け取り、列車編成総括接続装置(4−01)での情報処理に資するために全編成性能情報(4−22)を保持する。また、全編成性能情報(4−22)を次の列車編成総括性能生成手段(4−13)に対して出力する。
【0089】
次に、列車編成総括性能生成手段(4−13)を持つ。これは、全編成性能登録手段(4−12)から全編成性能情報(4−22)を受け取り、列車の全体としての走行性能を表す列車編成総括性能情報(4−23)を生成する。また、列車編成総括性能情報(4−23)を次の列車編成総括性能登録手段(4−14)に対して出力する。
【0090】
次に、列車編成総括性能登録手段(4−14)を持つ。これは、列車編成総括性能生成手段(4−13)から列車編成総括性能情報(4−23)を受け取り、列車制御装置(4−05)での情報処理に資するために列車編成総括性能情報
(4−23)を保持する。また、列車制御装置(4−05)に対して列車編成総括性能情報(4−23)を提供する。
【0091】
図5は、列車編成総括接続装置の処理の全体の流れを表す。
【0092】
(5−01)では、列車内の各車両編成から、各車両編成の走行性能を表す個別編成性能情報を受け取る。(5−01)の処理は、個別編成情報入出力手段が行う。
【0093】
(5−02)では、当該列車編成総括接続装置が装備された車両編成(自車両編成)について、列車内に自車両編成以外の異なる車両編成(他車両編成)が存在するか否かを判断する。この判断は、当該列車編成総括接続装置が、編成間連結装置を介した情報伝送によって、他車両編成の列車編成総括接続装置を検知することで行う。ここで、他車両編成が存在する場合には(5−03)に、そうでない場合には(5−04)に進む。(5−02)の処理は、個別編成情報入出力手段が行う。
【0094】
(5−03)では、自車両編成の走行性能を表す個別編成性能情報(自)を、他車両編成の列車編成制御装置に出力する。(5−03)の処理は、個別編成情報入出力手段が行う。
【0095】
(5−04)では、前記各車両編成から受け取った個別編成性能情報から、列車の全体としての走行性能を表す列車編成総括性能情報を生成する。(5−04)の処理は、列車編成総括性能生成手段が行う。
【0096】
(5−05)では、前記列車編成総括性能情報を列車制御装置に対して出力する。(5−05)の処理は、列車編成総括性能登録手段が行う。
【0097】
列車編成総括接続装置は、図4と図5で表される情報処理を実行することで、列車内の車両編成の構成状態を反映した情報変換処理を行う。
【0098】
図6は、異なる車両編成をそれぞれ別々の列車として分割運転する場合について、列車編成総括制御システムに関する情報の流れの様子を表す。
【0099】
車両編成A(6−00A)と車両編成B(6−00B)は、分割運転時にはそれぞれ列車1(6−100)と列車2(6−200)として独立に運転される。この場合、各列車にはそれぞれ列車編成総括制御システム1(6−101)と列車編成総括制御システム2(6−201)が個別に独立して存在する。即ち、各車両編成の列車編成総括接続装置A(6−01A)と列車編成総括接続装置B (6−01B)では、それぞれに関係する情報の流れは互いに独立している。従って、以下では列車1(6−101)あるいは車両編成A(6−00A)のみについて説明する。
【0100】
先ず、列車編成総括制御システム1(6−101)内の列車編成総括接続装置A(6−01A)は、個別編成情報入出力手段(6−11A)において、個別編成制御システムA(6−02A)内の個別編成性能保持装置A(6−03A)から、車両編成A(6−00A)の走行性能を表す個別編成性能情報A(6−21A)を受け取る。個別編成情報入出力手段(6−11A)は、個別編成性能情報A (6−21A)に基づき、全編成性能情報(6−22A)を生成する。この場合、列車1(6−100)内の車両編成は車両編成A(6−00A)のみであるため、全編成性能情報(6−22A)には個別編成性能情報A(6−21A)の内容がそのまま充当される。
【0101】
次に、全編成情報登録手段(6−22A)は、個別編成情報入出力手段(6−11A)から受け取る全編成性能情報(6−22A)を保持する。
【0102】
次に、列車編成総括性能生成手段(6−13A)は、全編成情報登録手段(6−12A)から受け取る全編成性能情報(6−22A)に基づき、列車1(6−100)の全体としての走行性能を表す列車編成総括性能情報1(6−23A)を生成する。この場合、列車1(6−100)を構成する車両編成は車両編成A(6−00A)のみであるため、列車編成総括性能情報1(6−23A)には全編成性能情報(6−22A)の内容、即ち個別編成性能情報A(6−21A)の内容がそのまま充当される。
【0103】
次に、列車編成総括性能登録手段(6−14A)は、列車編成総括性能生成手段(6−13A)から受け取る列車編成総括性能情報1(6−23A)を保持し、列車制御装置A(6−05A)に対する列車編成総括接続装置A(6−01A)の出力として列車編成総括性能情報1(6−23A)を提供する。
【0104】
図7は、異なる車両編成を併せて単一の列車として併合運転する場合について、列車編成総括制御システムに関する情報の流れの様子を表す。
【0105】
車両編成A(7−00A)と車両編成B(7−00B)は、併合運転時には併せて列車3(7−300)として一括に運転される。この場合、列車3(7−
300)には単一の列車編成総括制御システム3(7−301)が車両編成A (7−00A)と車両編成B(7−00B)を一括する形で構成され、各車両編成の列車編成総括接続装置A(7−01A)と列車編成総括接続装置B(7−
01B)では、それぞれに関係する情報の流れは互いに依存している。
【0106】
先ず、車両編成A(7−00A)について、列車編成総括制御システム3(7−301)内の列車編成総括接続装置A(7−01A)は、個別編成情報入出力手段(7−11A)において、個別編成制御システムA(7−02A)内の個別編成性能保持装置A(7−03A)から、車両編成A(7−00A)の走行性能を表す個別編成性能情報A(7−21A)を受け取る。また、編成間連結装置A(7−04A)から、車両編成B(7−00B)の走行性能を表す個別編成性能情報B(7−31B)を受け取る。また、編成間連結装置A(7−04A)に対して、車両編成A(7−00A)の走行性能を表す個別編成性能情報A(7−
21A)を出力し、車両編成B(7−00B)の列車編成総括接続装置B(7−01B)に伝える。また、個別編成性能情報A(7−21A)と個別編成性能情報B(7−21B)を集積した全編成性能情報(7−22A)を生成する。
【0107】
次に、全編成情報登録手段(7−12A)において、個別編成情報入出力手段(7−11A)から受け取る全編成性能情報(7−22A)を登録する。
【0108】
次に、列車編成総括性能生成手段(7−13A)において、全編成情報登録手段(7−12A)から受け取る全編成性能情報(7−22A)より、列車3(7−300)の全体としての走行性能を表す列車編成総括性能情報3(7−23A)を生成する。
【0109】
次に、列車編成総括性能登録手段(7−14A)において、列車編成総括性能生成手段(7−13A)から受け取る列車編成総括性能情報3(7−23A)を保持し、列車制御装置A(7−05A)に対する列車編成総括接続装置A(7−01A)の出力情報として列車編成総括性能情報3(7−23A)を提供する。一方、車両編成B(7−00B)について、列車編成総括制御システム3(7−301)内の列車編成総括接続装置B(7−01B)は、個別編成情報入出力手段(7−11B)において、個別編成制御システムB(7−02B)内の個別編成性能保持装置B(7−03B)から、車両編成B(7−00B)の走行性能を表す個別編成性能情報B(7−21B)を受け取る。また、編成間連結装置B(7−04B)から、車両編成A(7−00A)の走行性能を表す個別編成性能情報A(7−21A)を受け取る。また、編成間連結装置B(7−04B)に対して、車両編成B(7−00B)の走行性能を表す個別編成性能情報B(7−
21B)を出力し、車両編成A(7−00A)の列車編成総括接続装置A(7−01A)に伝える。また、個別編成性能情報A(7−21A)と個別編成性能情報B(7−21B)を集積した全編成性能情報(7−22B)を生成する。
【0110】
次に、全編成情報登録手段(7−12B)において、個別編成情報入出力手段(7−11B)から受け取る全編成性能情報(7−22B)を登録する。
【0111】
次に、列車編成総括性能生成手段(7−13B)において、全編成情報登録手段(7−12B)から受け取る全編成性能情報(7−22B)より、列車3(7−300)の全体としての走行性能を表す列車編成総括性能情報3(7−23B)を生成する。
【0112】
次に、列車編成総括性能登録手段(7−14B)において、列車編成総括性能生成手段(7−13B)から受け取る列車編成総括性能情報3(7−23B)を保持し、列車制御装置B(7−05B)に対する列車編成総括接続装置B(7−01B)の出力として列車編成総括性能情報3(7−23B)を提供する。
【0113】
図8は、本実施例に係る列車編成総括性能生成手段の内部の構成と情報の流れの様子を表す。
【0114】
先ず、本実施例において、列車編成総括性能生成手段(8−01)は、全編成性能登録手段から、列車内の各車両編成の走行性能を表す情報を全て集積した全編成性能情報(8−11)を受け取る。全編成性能情報(8−11)は、列車内の各車両編成について、それぞれの長さを表す個別編成長,重量を表す個別編成重量,ブレーキ性能を重量当たりのブレーキ力で表す個別編成ブレーキ性能,力行性能を重量当たりの引張力で表す個別編成力行性能,環境抵抗(車両に作用する走行抵抗・勾配抵抗・曲線抵抗)を重量当たりの抵抗力で表す個別編成環境抵抗、を内容とする。
【0115】
次に、本実施例において、列車編成総括性能生成手段(8−01)は、列車総括性能登録手段に向け、列車の全体としての走行性能を表す列車編成総括性能情報(8−21)を出力する。列車編成総括性能情報(8−21)は、列車全体について、その長さを表す列車長,重量を表す列車重量,ブレーキ性能を重量当たりのブレーキ力で表す列車ブレーキ性能,力行性能を重量当たりの引張力で表す列車力行性能,環境抵抗を重量当たりの抵抗力で表す列車環境抵抗、を内容とする。
【0116】
列車編成総括性能生成手段(8−01)は、列車長生成手段(8−02)と、列車重量生成手段(8−03)と、列車ブレーキ性能生成手段(8−04)と、列車力行性能生成手段(8−05)と、列車環境抵抗生成手段(8−06)と、を持つ。
【0117】
列車長生成手段(8−02)は、全編成性能情報(8−21)に基づいて、列車長(8−22)を生成する。
【0118】
列車重量生成手段(8−03)は、全編成性能情報(8−21)に基づいて、列車重量(8−23)を生成する。
【0119】
列車ブレーキ性能生成手段(8−04)は、全編成性能情報(8−21)に基づいて、列車ブレーキ性能(8−24)を生成する。
【0120】
列車力行性能生成手段(8−05)は、全編成性能情報(8−21)に基づいて、列車力行性能(8−25)を生成する。
【0121】
列車環境抵抗生成手段(8−06)は、全編成性能情報(8−21)に基づいて、列車環境抵抗(8−26)を生成する。
【0122】
列車編成総括性能情報(8−07)は、列車長(8−22),列車重量(8−23),列車ブレーキ性能(8−24),列車力行性能(8−25),列車環境抵抗(8−26)の集積として出力される。
【0123】
図9は、列車編成総括性能生成手段の処理の流れを表す。
【0124】
(9−01)では、全編成性能登録手段から、列車内の各車両編成の個別編成長,個別編成重量,個別編成ブレーキ性能,個別編成力行性能,個別編成環境抵抗を含んだ全編成性能情報を受け取る。
【0125】
(9−02)では、生成すべき列車編成総括性能情報の各内容について、それぞれの生成処理(以下の(9−03)〜(9−07))を実行する。
【0126】
(9−03)では、列車長を、全編成性能情報に含まれる各車両編成の個別編成長から生成する。これは、列車長生成手段が行う。
【0127】
(9−04)では、列車重量を、全編成性能情報に含まれる各車両編成の個別編成重量から生成する。これは、列車重量生成手段が行う。
【0128】
(9−05)では、列車ブレーキ性能を、全編成性能情報に含まれる各車両編成の個別編成ブレーキ性能,個別編成重量から生成する。これは、列車ブレーキ性能生成手段が行う。
【0129】
(9−06)では、列車力行性能を、全編成性能情報に含まれる各車両編成の個別編成力行性能,個別編成重量から生成する。これは、列車力行性能生成手段が行う。
【0130】
(9−07)では、列車環境抵抗を、全編成性能情報に含まれる各車両編成の個別編成環境抵抗,個別編成重量から生成する。これは、列車環境抵抗生成手段が行う。
【0131】
(9−08)では、(9−03)〜(9−07)の結果を受け、列車長,列車重量,列車ブレーキ性能,列車力行性能,列車環境抵抗の集積を列車編成総括性能情報として列車編成総括性能登録手段に対して出力する。
【0132】
次に、列車編成総括性能生成手段の備える各処理手段の処理について説明する。
【0133】
先ず、列車長生成手段の処理について説明する。
【0134】
列車長生成手段は、列車長Ltrain を、車両編成i(i=A,B,…(列車内の全車両編成を網羅))の個別編成長Liに基づいて、次の数式によって生成する。
【0135】
Ltrain =Σ(Li)
上記の右辺のΣ( )は、括弧内の数値あるいは数式をiの可能な場合について総和することを示す。従って、Σ(Li)は、Liのiに関する総和を示す。
【0136】
なお、列車が単一の車両編成から成る場合、列車長生成手段は、上記の処理をそのまま踏襲することで、列車長に前記単一車両編成の個別編成長をそのまま設定する。
【0137】
以上のように、本実施例の列車長生成手段は、その処理を列車内の各車両編成から得る個別編成性能を普遍的に参照する処理とすることで、列車がいかなる種類あるいは数量の車両編成から構成されたものであっても、当該列車内の車両編成の構成状態を適切に反映した列車長を生成することができる。
【0138】
次に、列車重量生成手段の処理について説明する。
【0139】
列車重量生成手段は、列車重量Mtrain を、車両編成i(i=A,B,…(列車内の全車両編成を網羅))の個別編成重量Miに基づいて、次の数式によって生成する。
【0140】
Mtrain =Σ(Mi)
上記の右辺のΣ( )は、括弧内の数値あるいは数式をiの可能な場合について総和することを示す。従って、Σ(Mi)は、Miのiに関する総和を示す。
【0141】
なお、列車が単一の車両編成から成る場合、列車重量生成手段は、上記の処理をそのまま踏襲することで、列車重量に前記単一車両編成の個別編成重量をそのまま設定する。
【0142】
以上のように、本実施例の列車重量生成手段は、その処理を列車内の各車両編成から得る個別編成性能を普遍的に参照する処理とすることで、列車がいかなる種類あるいは数量の車両編成から構成されたものであっても、当該列車内の車両編成の構成状態を適切に反映した列車重量を生成することができる。
【0143】
次に、列車ブレーキ性能生成手段の処理について説明する。
【0144】
本実施例においては、列車について、列車ブレーキ性能を、列車全体に作用するブレーキ力の重量平均(重量当たりブレーキ力)として表す。
【0145】
図10は、走行性能の異なる車両編成同士が併合運転する場合、列車の全体としての走行に及ぼす影響の様子を概念的に表す。
【0146】
(10−01)は、車両編成Aを単独の列車1として運転する場合に、列車1で最大ブレーキを操作した時の走行軌跡を、列車先頭位置・走行速度平面に表したものである。ここで、列車1の列車ブレーキ性能を、重量当たりブレーキ力、即ち列車1に作用する全ブレーキ力を列車1の列車重量M1で除算した値として、β1で示す。β1は、列車1の運動において減速度として現れるもので、 (10−01)の走行軌跡の傾きに関係する。なお、β1は、列車1が車両編成Aのみで構成されることから、単独の車両編成Aにおける最大ブレーキ出力時での重量当たりブレーキ力、即ち車両編成Aの個別編成ブレーキ性能を示すβAと同値となる。
【0147】
同様に、(10−02)は、車両編成Bを単独の列車2として運転する場合に、列車2で最大ブレーキを操作した時の走行軌跡を列車先頭位置・走行速度平面に表したものである。ここで、列車2の列車ブレーキ性能を、列車2に作用する全ブレーキ力を列車2の列車重量M2で除算した値として、β2で示す。β2は、列車2の運動において減速度として現れるもので、(10−02)の走行軌跡の傾きに関係する。なお、β2は、列車2が車両編成Bのみで構成されることから、単独の車両編成Bにおける最大ブレーキ出力時での重量当たりブレーキ力、即ち車両編成Bの個別編成ブレーキ性能を示すβBと同値となる。
【0148】
一方、(10−03)は、車両編成Aと車両編成Bの併合状態を一つの列車3として運転する場合に、列車3で最大ブレーキを操作した時の走行軌跡を列車先頭位置・走行速度平面に表したものである。ここで、列車3の列車ブレーキ性能を、列車3に作用する全ブレーキ力を列車3の列車重量で除算した値として、
β3で示す。β3は、列車3の運動において減速度として現れるもので、(10−03)の走行軌跡の傾きに関係する。このβ3は、上記の(10−01), (10−02)の場合と異なり、βA,βBの双方とも等しくはならない。列車3全体に作用するブレーキ力が、列車3内の車両編成Aと車両編成Bのそれぞれが出力するブレーキ力の総和であることを考慮すると、β3は次の数式よって表される。
【0149】
Figure 0003557952
【0150】
上記のことから、列車ブレーキ性能は、一般に列車内の全ての車両編成の個別編成ブレーキ性能に依存することが言える。即ち、前記列車内の車両編成の構成状態が変わる度、列車ブレーキ性能は前記列車全体を改めて一括する情報として作り直されるべきことがわかる。
【0151】
上記を鑑み、本実施例では、列車ブレーキ性能生成手段が行う処理を、以下のように規定する。
【0152】
先ず、列車ブレーキ性能生成手段の処理の概念を数式で表す。
【0153】
列車の想定走行速度をVとおく。本実施例においては、列車について、列車ブレーキ性能を、Vの関数としての重量当たりブレーキ力として、βtrain(V)で示す。また、列車内の車両編成i(i=A,B,…(列車内の全車両編成を網羅))について、その個別編成ブレーキ性能を、Vの関数としの重量当たりブレーキ力として、βi(V)で示す。また、車両編成iの個別編成重量をMiで示す。
【0154】
列車ブレーキ性能βtrain(V)と、車両編成iの個別編成ブレーキ性能βi(V)との関係は、次の数式によって表される。
【0155】
Figure 0003557952
【0156】
上記の右辺のΣ( )は、括弧内の数式あるいは数値をiの可能な場合について総和することを示す。
【0157】
列車ブレーキ性能生成手段は、上記の数式に表された演算操作を実施することによって、列車ブレーキ性能を列車内の各車両編成の個別編成ブレーキ性能から生成する。
【0158】
図11は、列車ブレーキ性能生成手段において、ある想定走行速度Vでの列車ブレーキ性能βtrain(V)の生成処理の流れを表す。
【0159】
(11−01)では、想定走行速度Vにおける各車両編成iの個別編成ブレーキ性能βi(V)と個別編成重量Miを受け取る。
【0160】
(11−02)では、中間処理用のバッファ1とバッファ2を0で初期化する。
【0161】
(11−03)では、各車両編成iについて、以下の(11−04)〜(11−05)を繰り返す。
【0162】
(11−04)では、バッファ1にβi(V)×Miを加算する。
【0163】
(11−05)では、バッファ2にMiを加算する。
【0164】
(11−06)では、バッファ1/バッファ2の値を列車ブレーキ性能 βtrain(V)として出力する。
【0165】
図12は、列車が、走行性能の異なる車両編成Aと車両編成Bから構成される場合について、図11の処理における入力情報と出力情報をテーブルに表す。
【0166】
(12−01)は、入力情報として、車両編成Aの個別編成ブレーキ性能 βA(V)の対走行速度V特性を表したものである。例えば、βA(V0)は、走行速度がV0の時での個別編成ブレーキ性能の値を示す。
【0167】
(12−02)は、入力情報として、車両編成Bの個別編成ブレーキ性能 βB(V)の対走行速度V特性を表したものである。例えば、βB(V0)は、走行速度がV0の時での個別編成ブレーキ性能の値を示す。
【0168】
(12−03)は、出力情報として、車両編成Aと車両編成Bの併合状態を単一の列車として一括した場合、前記列車の列車ブレーキ性能βtrain(V)の対走行速度V特性を示したものである。例えば、βtrain(V0)は、走行速度がV0の時での列車ブレーキ性能の値を示す。またβtrain(V0)の右方の括弧内の数式は、走行速度がV0の時での車両編成Aの個別編成ブレーキ性能βA(V0)と車両編成Bの個別編成ブレーキ性能βB(V0)に基づいて列車ブレーキ性能
βtrain(V0)が作られることを表す。
【0169】
図13は、列車が、走行性能の異なる車両編成Aと車両編成Bから構成される場合について、図12の処理が生成する列車ブレーキ性能の対走行速度特性を概念的に表す。
【0170】
(13−01)は、車両編成Aの個別編成ブレーキ性能βA(V)の対走行速度特性を、重量当たりブレーキ力・走行速度平面に表したものである。
【0171】
(13−02)は、車両編成Bの個別編成ブレーキ性能βB(V)の対走行速度特性を、重量当たりブレーキ力・走行速度平面に表したものである。
【0172】
(13−03)は、車両編成Aと車両編成Bの併合状態を単一の列車として一括した場合、前記列車の列車ブレーキ性能βtrain(V)の対走行速度特性を、重量当たりブレーキ力・走行速度平面に表したものである。
【0173】
以上に説明した本実施例の列車ブレーキ性能生成手段は、複数の車両編成から成る列車の列車ブレーキ性能(重量当たりブレーキ力)を、前記列車内の各車両編成の個別編成ブレーキ性能(重量当たりブレーキ力)から、その前記各車両編成の個別編成重量による重み付き平均値を計算することで生成する。
【0174】
なお、列車が単一の車両編成から成る場合、本実施例の列車ブレーキ性能生成手段は、以上に説明した処理をそのまま踏襲することで、列車ブレーキ性能に前記単一車両編成の個別編成ブレーキ性能をそのまま設定する。
【0175】
以上のように、本実施例の列車ブレーキ性能生成手段は、その処理を列車内の各車両編成から得る個別編成性能を普遍的に参照する処理とすることで、列車がいかなる種類あるいは数量の車両編成から構成されたものであっても、当該列車内の車両編成の構成状態を適切に反映した列車ブレーキ性能を生成することができる。
【0176】
次に、列車力行性能生成手段の処理について説明する。
【0177】
本実施例においては、列車について、列車力行性能を、列車全体に作用する引張力の重量平均(重量当たり引張力)として表す。そのため、列車力行性能は、図10に基づいて説明した列車ブレーキ性能の場合と同様に、一般に前記列車内の全ての車両編成の個別編成力行性能に依存することが言える。即ち、列車内の車両編成の構成状態が変わる度、列車力行性能は前記列車全体を改めて一括する情報として作り直されるべきことがわかる。
【0178】
上記を鑑み、本実施例では、列車力行性能生成手段が行う処理を、以下のように規定する。
【0179】
先ず、列車力行性能生成手段の処理の概念を数式で表す。
【0180】
列車の想定走行速度をVとおく。本実施例においては、列車について、列車力行性能を、Vの関数としての重量当たり引張力として、αtrain(V)で示す。また、列車内の車両編成i(i=A,B,…(列車内の全車両編成を網羅))について、その個別編成力行性能を、Vの関数としての重量当たり引張力として、
αi(V)で示す。また、車両編成iの個別編成重量をMiで示す。
【0181】
列車力行性能αtrain(V)と、車両編成iの個別編成力行性能αi(V)との関係は、次の数式によって表される。
【0182】
Figure 0003557952
【0183】
上記の右辺のΣ( )は、括弧内の数式あるいは数値をiの可能な場合について総和することを示す。
【0184】
列車力行性能生成手段は、上記の数式に表された演算操作を実施することによって、列車力行性能を列車内の各車両編成の個別編成力行性能から生成する。
【0185】
図14は、列車力行性能生成手段において、ある想定走行速度Vでの列車力行性能αtrain(V)の生成処理の流れを表す。
【0186】
(14−01)では、想定走行速度Vにおける各車両編成iの個別編成力行性能αi(V)と個別編成重量Miを受け取る。
【0187】
(14−02)では、中間処理用のバッファ1とバッファ2を0で初期化する。
【0188】
(14−03)では、各車両編成iについて、以下の(14−04)〜(14−06)を繰り返す。
【0189】
(14−04)では、バッファ1にαi(V)×Miを加算する。
【0190】
(14−05)では、バッファ2にMiを加算する。
【0191】
(14−06)では、バッファ1/バッファ2の値を列車力行性能αtrain(V)として出力する。
【0192】
図15は、列車が、走行性能の異なる車両編成Aと車両編成Bから構成される場合について、図14の処理の入力情報と出力情報をテーブルに表す。
【0193】
(15−01)は、入力情報として、車両編成Aの個別編成力行性能αA(V)の対走行速度V特性を表したものである。例えば、αA(V0)は、走行速度が
V0の時での個別編成力行性能の値を示す。
【0194】
(15−02)は、入力情報として、車両編成Bの個別編成力行性能αB(V)の対走行速度V特性を表したものである。例えば、αB(V0)は、走行速度が
V0の時での個別編成力行性能の値を示す。
【0195】
(15−03)は、出力情報として、車両編成Aと車両編成Bの併合状態を単一の列車として一括した場合、前記列車の列車力行性能αtrain(V)の対走行速度V特性を示したものである。例えば、αtrain(V0)は、走行速度がV0の時での列車力行性能の値を示す。またαtrain(V0)の右方の括弧内の数式は、走行速度がV0の時での車両編成Aの個別編成力行性能αA(V0)と車両編成Bの個別編成力行性能αB(V0)に基づいて列車力行性能αtrain(V0)が作られることを表す。
【0196】
図16は、列車が、走行性能の異なる車両編成Aと車両編成Bから構成される場合について、図14の処理が生成する列車力行性能の対走行速度特性を概念的に表す。
【0197】
(16−01)は、車両編成Aの個別編成力行性能αA(V)の対走行速度特性を、重量当たり引張力・走行速度平面に表したものである。
【0198】
(16−02)は、車両編成Bの個別編成力行性能αB(V)の対走行速度特性を、重量当たり引張力・走行速度平面に表したものである。
【0199】
(16−03)は、車両編成Aと車両編成Bの併合状態を単一の列車として一括した場合、前記列車の列車力行性能の対走行速度特性αtrain(V)を、重量当たり引張力・走行速度平面に表したものである。
【0200】
以上に説明した本実施例の列車力行性能生成手段は、複数の車両編成から成る列車の列車力行性能(重量当たり引張力)を、前記列車内の各車両編成の個別編成力行性能(重量当たり引張力)から、その前記各車両編成の個別編成重量による重み付き平均値を計算することで生成する。
【0201】
なお、列車が単一の車両編成から成る場合、本実施例の列車力行性能生成手段は、以上に説明した処理をそのまま踏襲することで、列車力行性能に前記単一車両編成の個別編成力行性能をそのまま設定する。
【0202】
以上のように、本実施例の列車力行性能生成手段は、その処理を列車内の各車両編成から得る個別編成性能を普遍的に参照する処理とすることで、列車がいかなる種類あるいは数量の車両編成から構成されたものであっても、当該列車内の車両編成の構成状態を適切に反映した列車力行性能を生成することができる。
【0203】
次に、列車環境抵抗生成手段の処理について説明する。
【0204】
本実施例においては、列車について、列車環境抵抗を、列車全体に作用する環境抵抗の重量平均(重量当たり抵抗力)として表す。そのため、列車環境抵抗は、図10に基づいて説明した列車ブレーキ性能の場合と同様に、一般に前記列車内の全ての車両編成の個別編成環境抵抗に依存することが言える。即ち、列車内の車両編成の構成状態が変わる度、列車環境抵抗は前記列車全体を改めて一括する情報として作り直されるべきことがわかる。
【0205】
上記を鑑み、本実施例では、列車環境抵抗生成手段が行う処理を、以下のように規定する。
【0206】
列車の想定走行速度をVとおく。本実施例においては、列車について、列車環境抵抗を、Vの関数としての重量当たり抵抗力として、Rtrain(V)で示す。また、列車内の車両編成i(i=A,B,…(全車両編成を網羅))について、その個別編成環境抵抗を、Vの関数としての重量当たり抵抗力として、Ri(V)で示す。また、車両編成iの個別編成重量をMiで示す。
【0207】
列車環境抵抗Rtrain(V)と、車両編成iの個別編成環境抵抗Ri(V)との関係は、次の数式によって表される。
【0208】
Figure 0003557952
【0209】
上記の右辺のΣ( )は、括弧内の数式あるいは数値をiの可能な場合について総和することを示す。
【0210】
列車環境抵抗生成手段は、上記の数式に表された演算を実施することによって、列車環境抵抗を列車内の各車両編成の個別編成環境抵抗から生成する。
【0211】
なお、上記の数式の形から、列車環境抵抗生成手段の処理は、既に述べた列車ブレーキ性能生成手段や列車力行性能生成手段の処理と同型となることがわかる。従って、列車ブレーキ性能生成手段や列車力行性能生成手段の場合と同様の説明となる。
【0212】
以上に説明した本実施例の列車環境抵抗生成手段は、複数の車両編成から成る列車の列車環境抵抗(重量当たり抵抗力)を、前記列車内の各車両編成の個別編成環境抵抗(重量当たり抵抗力)から、その前記各車両編成の個別編成重量による重み付き平均値を計算することで生成する。
【0213】
なお、列車が単一の車両編成から成る場合、本実施例の列車環境抵抗生成手段は、上記の処理をそのまま踏襲することで、列車環境抵抗に前記単一車両編成の個別編成環境抵抗をそのまま設定する。
【0214】
以上のように、本実施例の列車環境抵抗生成手段は、その処理を列車内の各車両編成から得る個別編成性能を普遍的に参照する処理とすることで、列車がいかなる種類あるいは数量の車両編成から構成されたものであっても、当該列車内の車両編成の構成状態を適切に反映した列車環境抵抗を生成することができる。
【0215】
以上、本実施例においては、ブレーキ性能,力行性能,環境抵抗について、それぞれ重量当たりブレーキ力,重量当たり引張力,重量当たり抵抗力を、列車編成総括性能生成手段の処理で取り扱う値としている。しかし、別の実装として、ブレーキ性能,力行性能,環境抵抗について、それぞれブレーキ力,引張力,抵抗力の値をそのまま扱う(重量当たりにしない)場合が考えられる。この場合、列車編成総括性能生成手段における列車ブレーキ性能生成手段の処理((2.1)式に示される)、列車力行性能生成手段の処理((2.2)式に示される)、列車環境抵抗生成手段の処理((2.3)式に示される)は、それぞれ列車内の各車両編成の個別編成ブレーキ性能(ブレーキ力),個別編成力行性能(引張力),個別編成環境抵抗(抵抗力)を、それぞれについて車両編成に亘る単純和を計算する処理とすることで、それぞれブレーキ力,引張力,抵抗力による取り扱いに対応することができる。
【0216】
以上の説明をまとめる。
【0217】
本実施例では、列車の走行制御を行う列車制御システムは、列車の全体としての走行を制御するための制御指令を決定する列車制御装置と、前記列車を構成する各車両編成に装備され前記各車両編成の個別の走行を制御する各々の個別編成制御システムと、前記列車制御装置と前記各個別編成制御システムとの間に介在し、前記列車制御装置と前記各個別編成制御システムが相互に行う情報交換を仲介する列車編成総括制御システムと、から構成される。
【0218】
また、本実施例では、前記列車編成総括制御システムは、前記各車両編成について隣接の異なる車両編成同士を力学的に結合し、前記車両編成間の情報伝送を担う編成間連結装置と、前記列車制御装置との間で前記列車の一括走行制御に関する情報を授受し、また前記各個別編成制御システムと直接あるいは前記編成間連結装置を介して前記各車両編成の個別走行制御に関する情報を授受する列車編成総括接続装置と、から構成される。
【0219】
また、本実施例では、前記列車編成総括接続装置は、前記列車制御装置と前記各個別編成制御システムが相互に行う情報交換を仲介し、交換される情報に対して相互変換操作を実施する。
【0220】
また、本実施例では、前記列車編成総括接続装置は、前記各車両編成の個別の走行性能を表す個別編成性能情報を受け取り、前記列車内の車両編成の構成状態に適宜応じて前記列車の全体としての走行性能を表す列車編成総括性能情報を生成する列車編成総括性能生成手段と、を備える。
【0221】
また、本実施例では、前記列車編成総括性能生成手段は、前記個別編成性能情報の内容として、前記各車両編成のそれぞれの長さを表す個別編成長,重量を表す個別編成重量,ブレーキ性能を表す個別編成ブレーキ性能,力行性能を表す個別編成力行性能,環境抵抗を表す個別編成環境抵抗を参照し、前記列車編成総括性能情報の内容として、前記列車の全体としての長さを表す列車長,重量を表す列車重量,ブレーキ性能を表す列車ブレーキ性能,力行性能を表す列車力行性能,環境抵抗を表す列車環境抵抗を、前記列車内の車両編成の構成状態に配慮して生成する。
【0222】
また、本実施例では、前記列車編成総括性能生成手段は、前記個別編成性能情報に基づいて、前記列車長を生成する列車長生成手段と、前記列車重量を生成する列車重量生成手段と、前記列車ブレーキ性能を生成する列車ブレーキ性能生成手段と、前記列車力行性能を生成する列車力行性能生成手段と、前記列車環境抵抗を生成する列車環境抵抗生成手段と、を備える。
【0223】
以上に説明した本実施例では、列車編成総括制御システムを含む列車制御システムの実施例1.に記した効果に加えて、次のような効果をもたらす。
【0224】
本実施例のように、列車編成総括制御システムにおいて、列車編成総括性能生成手段を備えた列車編成総括接続装置を持つことによって、列車がいかなる種類あるいは数量の車両編成から構成されたものであっても、当該列車内の車両編成の構成状態に適切に対応し、常に当該列車の全体としての走行性能を考慮した走行制御を行うことができる。即ち、列車の全体としての走行を制御するための制御指令を決定する列車制御装置は、前記列車編成総括接続装置から当該列車の全体を一括した立場で前記列車の適切な走行性能を表す列車編成総括性能情報を提供されることで、当該列車の走行制御を最適化することが可能になる。走行制御の最適化の例としては、列車重量や列車ブレーキ性能の適切な認識によって、一段式保安減速制御(公知例:特開平3−295760号公報等)や、定位置停止制御(公知例:特開平7−99708号公報等)などのリアルタイム制御の性能向上を図る、あるいは更に列車力行性能や列車環境抵抗の情報も含めた上で、出発駅から到着駅までの運転手順を表す目標運転パターンを定時かつ省エネ走行に最大限配慮して作成する処理(公知例:(社)電気学会刊「平成8年度電気学会電子・情報・システム部門大会論文集:走行抵抗とブレーキ距離の最適化による省エネルギー運転曲線作成方法」等)などの駅間運転計画の最適設定が挙げられる。一般に、前記列車編成総括性能情報は、列車制御装置が列車走行の未来予測に基づく処理を実装している場合、列車の走行制御の妥当性を担保するために特に重要な要素となる。このようにして、前記列車編成総括接続装置は、列車制御装置が行う列車に対する制御処理を、列車の構成状態に適切に対応したものにすることができる。
【0225】
実施例3.
上記の実施例2.では、本発明に係る列車制御システムに含まれる列車編成総括制御システムにおいて、実施例2.で説明したような列車編成総括性能生成手段を備えた列車編成総括接続装置を持つことによって、列車を構成する車両編成の構成状態がいかなるものであっても、前記列車内の各車両編成の個別の走行性能を表す個別編成性能情報から、前記各車両編成の走行性能の違いを考慮しながら、前記列車の全体としての走行性能を表す列車編成総括性能情報を生成することを可能とした。これにより、分割・併合によって列車内の車両編成の構成状態が変化しても、前記列車の走行制御について、前記車両編成の構成状態に的確に適応した、走行制御の最適化を図れることを述べた。
【0226】
本実施例では、実施例2.の場合と類似の列車編成総括制御システムであるが、個別編成性能情報と列車編成総括性能情報について、ノッチによって力行性能およびブレーキ性能のそれぞれに複数の対走行速度特性が存在する場合を説明する。
【0227】
本実施例では、本発明に係る列車制御システムに含まれる列車編成総括制御システムについて、その装置や処理手段の構成は、実施例2.で説明したものと同じである。
【0228】
本実施例では、列車編成総括制御システム内の列車編成総括接続装置が備える列車編成総括性能生成手段において、その内部の処理手段である列車力行性能生成手段と列車ブレーキ性能生成手段の処理について、改めて説明する。
【0229】
先ず、本実施例の列車力行性能生成手段の処理について説明する。
【0230】
本実施例においては、列車について、列車力行性能を、列車全体に作用する引張力の重量平均(重量当たり引張力)として表す。そのため、列車力行性能は、実施例2.で説明したように、一般に前記列車内の全ての車両編成の個別編成力行性能に依存する。このことに鑑み、本実施例では、列車力行性能生成手段が行う処理を、以下のように規定する。
【0231】
列車の想定走行速度をVとおく。
【0232】
本実施例においては、列車について、その力行ノッチntrain における列車力行性能を、重量当たり引張力としてαtrain,ntrain(V)で示す。列車の列車力行性能に関する力行ノッチntrain については、最高力行ノッチをNtrain で示す。
【0233】
また、本実施例においては、列車内の車両編成i(i=A,B,…(列車内の全車両編成を網羅))について、その力行ノッチniにおける個別編成力行性能を、重量当たり引張力としてαi,ni(V)で示す。車両編成iの個別編成力行性能に関する力行ノッチniについては、最高力行ノッチをNiで示す。
【0234】
また、車両編成iの個別編成重量をMiで示す。
【0235】
列車力行性能αtrain ,ntrain (V)と、車両編成iの個別編成力行性能αi,ni(V)との関係は、次の数式によって表される。
【0236】
Figure 0003557952
【0237】
上記の右辺のΣ( )は、括弧内の数式あるいは数値をiの可能な場合について総和することを示す。また、上記におけるntrain とniとの関係は、次の数式によって表される。
【0238】
Figure 0003557952
上記で、max(Ni)は、Niのiに関する最大値を表す。
【0239】
列車力行性能生成手段は、上記の数式に表された演算操作を実施することによって、列車力行性能を列車内の各車両編成の個別編成力行性能から生成する。
【0240】
上記の数式が表す内容は、実施例2.の列車力行性能生成手段の場合と類似であるが、ntrain とniとの関係が追加されている。上記の数式の演算操作では、列車のntrain と各車両編成iのniについて、可能な限りntrain と各niは全て同じノッチとなるように設定して、αtrain ,ntrain(V)を各αi,
ni(V)に基づいて生成する。しかし、ある特定の車両編成jの最高力行ノッチNjが他の車両編成の最高力行ノッチより低いとすると、ntrain とnjが同じノッチとなれない場合が出現する。その場合、njはNjまでにとどめ、その他のniとntrain が同じノッチと設定し得る限り、αtrain ,ntrain(V)を上記の数式に基づいて生成し続ける。最終的に全てのniがNiに達してしまったら、その時点でαtrain,ntrain(V)の生成処理は終了とする。その場合、αtrain,ntrain(V)については、列車の最高力行ノッチNtrainとして各Niの中での最大値が充てられる結果となる。
【0241】
上記の数式においてntrain と各niの組み合わせが設定されたならば、その後にαtrain,ntrain(V)を各αi,ni(V)に基づいて生成する処理は、実施例2.に説明した列車力行性能生成手段の処理と同じである。即ち、実施例2.の処理の図14に基づく説明は、αtrain(V)をαtrain,ntrain(V),αi(V)をαi,ni(V)にそれぞれ置き換えれば、そのまま本実施例の列車力行性能生成手段の処理の説明となる。
【0242】
図17は、列車が、走行性能の異なる車両編成Aと車両編成Bから構成される場合について、図14の処理が生成する列車力行性能の対走行速度特性を概念的に表す。
【0243】
(17−01)は、車両編成Aの個別編成力行性能αA,nA(V)の対走行速度特性を、重量当たり引張力・走行速度平面に表したものである。対走行速度特性の場合の数(力行ノッチの総段数)はNAである。
【0244】
(17−02)は、車両編成Bの個別編成力行性能αB,nB(V)の対走行速度特性を、重量当たり引張力・走行速度平面に表したものである。対走行速度特性の場合の数(力行ノッチの総段数)はNBである。
【0245】
(17−03)は、車両編成Aと車両編成Bの併合状態を単一の列車として一括した場合、前記列車の列車力行性能の対走行速度特性αtrain ,ntrain(V)を、重量当たり引張力・走行速度平面に表したものである。
【0246】
なお、図17では、車両編成A,車両編成Bはそれぞれの最高力行ノッチNA,NBがNに等しい。この場合、生成された列車力行性能に関する最高力行ノッチNtrain も同様にNに等しい。また、列車力行性能と各車両編成の個別編成力行性能との関係は、次の数式によって表される。
【0247】
Figure 0003557952
【0248】
即ち、列車力行性能αtrain ,n(V)は、この場合は常に同じノッチnの個別編成力行性能αA,n(V)とαB,n(V)に基づいて生成される。
【0249】
以上に説明した本実施例の列車力行性能生成手段は、複数の車両編成から成る列車の列車力行性能(重量当たり引張力)を、前記列車内の各車両編成の個別編成力行性能(重量当たり引張力)から、その前記各車両編成の個別編成重量による重み付き平均値を計算することで生成する。
【0250】
また、本実施例では、生成される列車力行性能について、列車としての力行ノッチとそれに対応する対走行速度特性が複数個(力行ノッチの総数分)設定されている。この点が、本実施例の実施例2.に対する拡張となっている。
【0251】
なお、列車が単一の車両編成から成る場合、本実施例の列車力行性能生成手段は、以上に説明した処理をそのまま踏襲することで、列車力行性能に前記単一車両編成の個別編成力行性能をそのまま設定する。
【0252】
以上のように、本実施例の列車力行性能生成手段は、その処理を列車内の各車両編成から得る個別編成性能を普遍的に参照する処理とすることで、列車がいかなる種類あるいは数量の車両編成から構成されたものであっても、当該列車内の車両編成の構成状態を適切に反映した列車力行性能を生成することができる。
【0253】
次に、本実施例の列車ブレーキ性能生成手段の処理について説明する。
【0254】
本実施例の列車ブレーキ性能生成手段の処理は、既に説明した本実施例の列車力行性能生成手段の処理と全く同型である。従って、前記列車力行性能生成手段の場合の力行性能に関する内容を全てブレーキ性能に置き換えれば、そのまま本実施例の列車力行性能生成手段の処理の説明となる。
【0255】
以上、本実施例においては、力行性能,ブレーキ性能について、それぞれ重量当たり引張力,重量当たりブレーキ力を、列車編成総括性能生成手段の処理で取り扱う値としている。しかし、別の実装として、力行性能,ブレーキ性能について、それぞれ引張力,ブレーキ力の値をそのまま扱う(重量当たりにしない)場合が考えられる。この場合、列車編成総括性能生成手段における列車力行性能生成手段の処理((3.1)式に示される)、列車ブレーキ性能生成手段の処理は、それぞれ列車内の各車両編成の個別編成力行性能(引張力),個別編成ブレーキ性能(ブレーキ力)を、それぞれについて車両編成に亘る単純和を計算する処理とすることで、それぞれブレーキ力,引張力,抵抗力による取り扱いに対応することができる。なお、和をとるべき各車両編成の個別編成力行性能,個別編成ブレーキ性能については、それぞれ力行ノッチ,ブレーキノッチの対応づけの仕方について、本実施例の(3.2)式に述べたものと同様の方法を適用することができる。
【0256】
以上に説明した本実施例では、列車編成総括制御システムを含む列車制御システムの実施例2.に記した効果に加えて、次のような効果をもたらす。
【0257】
即ち、実施例2.の効果を、ノッチを実装する車両編成から構成される列車の走行制御についても、同様にもたらすことができる。
【0258】
実施例4.
上記の実施例1.では、列車制御システムにおいて、列車の走行を一括に制御する列車制御装置と、前記列車を構成する各車両編成を個別に走行制御する各個別編成制御システムと、前記列車制御装置と前記各個別編成制御システムとの間に介在して相互の情報交換を仲介する列車編成総括制御システムと、を設けることとした。これにより、分割・併合によって列車内の車両編成の構成状態が変化しても、列車の走行制御に対する影響を列車編成総括制御システムが吸収することで、列車制御装置あるいは各個別編成制御システムは前記構成状態の変化を特別に考慮せずに済む。また、列車編成総括制御システムが列車制御装置と各個別編成制御システムの間の相互情報交換を適宜操作することで、列車の全体を一括した立場、あるいは列車を構成する各車両編成のそれぞれに着目した立場で、走行制御の最適化を図れることを述べた。
【0259】
本実施例では、上記の列車制御システムにおいて、列車編成総括制御システムが列車制御装置と各個別編成制御システムとの間に介在して行う情報交換操作の内容を具体化し、列車を構成する各車両編成の走行性能がそれぞれ異なることに配慮した情報変換手段を列車編成総括制御システムに実装する。即ち、列車編成総括制御システムは、列車制御装置から列車の走行を一括に制御するための列車制御指令を受け取り、これを各個別編成制御システムがそれぞれ扱う車両編成の個別の走行制御のための各個別編成制御指令に変換した後、前記各個別編成制御指令をそれぞれ向けられた各個別編成制御システムに対して出力する。列車制御指令に対する各個別編成制御指令は、列車制御指令が指示する列車全体の走行状態において、各車両編成がそれぞれ前記列車内の車両編成の構成状態に応じた最適な駆動状態を実現するよう、前記各車両編成同士の走行性能の差を考慮しながら決定される。
【0260】
本実施例に係る列車編成総括制御システムは、列車編成総括接続装置と、編成間連結装置と、から構成される。編成間連結装置は、列車内の各車両編成について、隣接の異なる車両編成同士を力学的に結合し、また前記車両編成間の情報伝送を担う。列車編成総括接続装置は、前記列車編成総括制御システムに接続する列車制御装置と列車の一括走行制御に関する情報を授受し、また前記各車両編成の個別編成制御システムと直接あるいは前記編成間連結装置を介して前記各車両編成の個別走行制御に関する情報を授受する。
【0261】
本実施例に係る列車編成総括接続装置は、前記列車編成総括接続装置に接続する列車制御装置から列車制御指令を受け取り、前記列車編成総括接続装置に直接あるいは編成間連結装置を経由して接続する各個別編成制御システムに対して、それぞれに向けられた個別編成制御指令を出力する。
【0262】
図18は、本実施例に係る列車編成総括接続装置の構成を表す。
【0263】
図18の列車編成総括接続装置(18−01)は、次の処理手段を持つ。
【0264】
先ず、列車制御指令登録手段(18−11)を持つ。これは、列車制御装置 (18−02)から当該列車の一括走行制御のための列車制御指令(18−21)を受け取り、列車編成総括接続装置(18−01)での情報処理に資するために列車制御指令(18−21)を保持する。また、列車制御指令(18−21)を、後述する列車編成総括接続装置(18−01)内の個別編成制御指令生成手段(18−15)に対して出力する。
【0265】
次に、個別編成情報入出力手段(18−12)を持つ。これは、個別編成制御システム(18−03)内の個別編成走行検出装置(18−04)から、個別編成制御システム(18−03)が装備された車両編成(自車両編成)の走行速度を表す個別編成走行情報(18−22)を受け取る。
【0266】
また、個別編成情報入出力手段(18−12)は、個別編成制御システム(18−03)内の個別編成駆動装置(18−05)に対して、個別編成制御システム(18−03)に向けられた個別編成制御指令(自)(18−26A)を出力する。また、当該列車が複数の車両編成から成る場合には、当該列車内の自車両編成以外の車両編成(他車両編成)に向かうべき個別編成制御指令(他)(18−26B)を編成間連結装置(18−06)を介した他車両編成に対して出力する。また、同様に列車が複数の車両編成から成る場合で、更に自車両編成が列車の従系編成である場合には、編成間連結装置(18−06)を介した他車両編成から出力される自車両編成向けの個別編成制御指令(自)(18−26A)を受け取る。
【0267】
また、個別編成情報入出力手段(18−12)は、後述する列車編成総括接続装置(18−01)内の編成制御指令登録手段(18−16)から、当該列車内の各車両編成での個別走行制御を指示する各々の個別編成制御指令を集積した全編成制御指令(18−25)を受け取る。また、列車編成総括接続装置(18−01)内の走行状態登録手段(18−13)に対して、自車両編成の走行速度を表す個別編成走行情報(18−22)を出力する。
【0268】
次に、走行状態登録手段(18−13)を持つ。これは、個別編成情報入出力手段(18−12)から個別編成走行情報(18−22)を受け取る。走行状態登録手段(18−13)は、個別編成走行情報(18−22)が表す自車両編成の走行速度を当該列車の走行速度と見なし、当該列車の走行速度を表す走行速度情報(18−23)を生成する。また、列車編成総括接続装置(18−01)での情報処理に資するために走行速度情報(18−23)を保持する。また、走行速度情報(18−23)を、後述する列車編成総括接続装置(18−01)内の個別編成制御指令生成手段(18−15)に対して出力する。
【0269】
次に、主系編成登録手段(18−14)を持つ。これは、当該列車の主系編成を表す主系編成情報(18−24)を保持する。また、主系編成情報(18−
24)を後述する個別編成制御指令生成手段(18−15)に対して出力する。主系編成情報は、列車内の車両編成の構成状態に応じた内容を表し、また当該列車の運転の開始に先立って予め設定済みとする。主系編成情報の内容は、前記列車が、単一の車両編成から成る場合には主系編成は常に自車両編成であるが、複数の車両編成から成る場合には、主系編成は列車内の何れか1つの車両編成がなる。なお、主系編成の決定方法には既に実施例1.で説明した例があるが、本発明に係る列車制御システムは主系編成の決定方法あるいはその実装手段を規定するものではない。
【0270】
次に、個別編成制御指令生成手段(18−15)を持つ。これは、列車制御指令登録手段(18−11)から列車制御指令(18−21)を、走行状態登録手段(18−13)から走行速度情報(18−23)を、主系編成登録手段(18−14)から主系編成情報(18−24)を受け取る。前記の入力情報に基づいて、列車を構成する各車両編成の個別走行制御のための各々の個別編成制御指令を生成する。また、前記各々の個別編成制御指令を列車内の全車両編成について集積した全編成制御指令(18−25)を生成し、次の編成制御指令登録手段 (18−16)に対して出力する。
【0271】
次に、編成制御指令登録手段(18−16)を持つ。これは、個別編成制御指令生成手段(18−15)から全編成制御指令(18−25)を受け取り、列車編成総括接続装置(18−01)での情報処理に資するために全個別編成制御指令(18−25)を保持する。また、個別編成情報入出力手段(18−12)に対して全個別編成制御指令(18−25)を出力する。
【0272】
図19は、列車編成総括接続装置の一制御サイクルにおける処理の全体の流れを表す。
【0273】
(19−01)では、当該列車編成総括接続装置が受け取るべき各入力情報について、それぞれの入力処理(以下の(19−02)〜(19−04))を選択する。
【0274】
(19−02)では、列車制御指令を、列車制御装置から受け取る。(19−02)の処理は、列車制御指令登録手段が行う。
【0275】
(19−03)では、他車両編成が出力する個別編成制御指令を、編成間連結装置を介した他車両編成の列車編成総括接続装置から受け取る。(19−03)の処理は、個別編成情報入出力手段が行う。
【0276】
(19−04)では、自車両編成の個別編成走行情報を、自車両編成の個別編成走行検出装置から受け取る。(19−04)の処理は、個別編成情報入出力手段が行う。
【0277】
(19−05)では、(19−05)で得た個別編成走行情報から、列車の走行速度を表す走行速度情報を生成する。なお、本実施例では、走行速度情報の内容には、個別編成走行情報が表す自車両編成の走行速度がそのまま充てられる。(19−05)の処理は、走行状態登録手段が行う。
【0278】
(19−06)では、列車編成総括接続装置が管理する主系編成情報について、その内容が自列車編成を表すか否かを判断する。ここで、主系編成情報が自列車編成を表す場合には(19−07)に、そうでない場合には(19−08)に進む。(19−06)の処理は、個別編成制御指令生成手段が行う。
【0279】
(19−07)では、列車制御指令と走行速度情報に基づいて、列車内の各車両編成の個別走行制御のための各個別編成制御指令を生成する。(19−07)の処理は、個別編成制御指令生成手段が行う。終了後、(19−09)に進む。(19−08)では、他車両編成が出力し、編成間連結装置から自車両編成向けの個別編成制御指令を受け取っているか否かを判断する。ここで、受け取っている場合には(19−09)に、そうでない場合には(19−10)に進む。 (19−08)の処理は、個別編成情報入出力手段が行う。
【0280】
(19−09)では、自車両編成向けの個別編成制御指令を、自車両編成の個別編成駆動装置に対して出力する。(19−09)の処理は、個別編成情報入出力手段が行う。
【0281】
(19−10)では、他車両編成が存在するか否かを判断する。この判断は、当該列車編成総括接続装置が、編成間連結装置を介した情報伝送によって、他車両編成の列車編成総括接続装置を検知することで行う。ここで、他車両編成が存在する場合には(19−11)に進み、そうでない場合には処理の流れの終了とする。(19−10)の処理は、個別編成情報入出力手段が行う。
【0282】
(19−11)では、他車両編成向けの個別編成制御指令を、編成間連結装置を介した他車両編成の列車編成総括接続装置に対して出力する。(19−11)の処理は、個別編成情報入出力手段が行う。
【0283】
列車編成総括接続装置は、図18と図19で表される情報処理を実行することで、列車内の車両編成の構成状態を反映した情報変換処理を行う。
【0284】
図20は、異なる車両編成をそれぞれ別々の列車として分割運転する場合について、列車編成総括制御システムに関する情報の流れの様子を、一制御サイクルにおける処理ステップの順を追いながら表す。
【0285】
車両編成A(20−00A)と車両編成B(20−00B)は、分割運用時にはそれぞれ列車1(20−100)と列車2(20−200)として独立に運転される。この場合、各列車にはそれぞれ列車編成総括制御システム1(20−
101)と列車編成総括制御システム2(20−201)が個別に独立して存在する。即ち、各車両編成の列車編成総括接続装置A(20−01A)と列車編成総括接続装置B(20−02A)では、それぞれに関係する情報の流れは互いに独立している。従って、以下では列車1(20−100)あるいは車両編成A (20−00A)のみについて説明する。
【0286】
先ず、列車編成総括制御システム1(20−101)内の列車編成総括接続装置A(20−01A)は、個別編成情報入出力手段(20−12A)において、車両編成A(20−00A)の個別編成制御システムA(20−03A)内の個別編成走行検出装置A(20−04A)から、車両編成A(20−00A)の走行速度を表す個別編成走行情報A(20−22A)を受け取る。個別編成情報入出力手段(20−12A)は、これを走行状態登録手段(20−13A)に対して出力する。
【0287】
次に、走行状態登録手段(20−13A)は、個別編成情報入出力手段(20−12A)から個別編成走行情報A(20−22A)を受け取り、個別編成走行情報(20−22A)が表す自車両編成の走行速度をそのまま当該列車の走行速度として走行速度情報(20−23A)の内容に設定する。また、走行速度情報(20−23A)を走行状態登録手段(20−13A)が管理する走行速度情報テーブルに保持する。
【0288】
次に、主系編成登録手段(20−14A)は、列車1(20−100)の運転の開始に先立って、列車1(20−100)の主系編成を表す主系編成情報(20−24A)を、主系編成登録手段(20−14A)が管理する主系編成情報テーブルに保持している。
【0289】
次に、列車制御指令登録手段(20−11A)は、列車制御装置(20−02A)から列車制御指令(20−21A)を受け取り、これを列車制御指令登録手段 (20−11A)が管理する列車制御指令情報テーブルに保持する。
【0290】
次に、個別編成制御指令生成手段(20−15A)は、列車制御指令登録手段(20−11A)から列車制御指令(20−21A)を、走行状態登録手段(20−13A)から走行速度情報(20−23A)を、主系編成登録手段(20−
14A)から主系編成情報(20−24A)を受け取る。
【0291】
個別編成制御指令生成手段(20−15A)は、列車制御指令(20−21A)と走行速度情報(20−23A)と主系編成情報(20−24A)に基づいて、列車1(20−100)内の各車両編成の個別走行制御のための各々の個別編成制御指令を生成し、これらを集積した全編成制御指令(20−25A)を編成制御指令登録手段(20−16A)に対して出力する。この場合、列車内の車両編成は車両編成A(20−00A)のみであるため、列車制御指令(20−21A)の内容がそのまま車両編成A(20−00A)に向けた個別編成制御指令A(20−26A)の内容に充てられ、また全編成制御指令(20−23A)の内容は個別編成制御指令A(20−26A)のみとなる。
【0292】
次に、編成制御指令登録手段(20−16A)は、個別編成制御指令生成手段(20−15A)から全編成制御指令(20−25A)を受け取り、これを編成制御指令登録手段(20−16A)が管理する全編成制御指令情報テーブルに保持する。
【0293】
次に、個別編成情報入出力手段(20−11A)は、編成制御指令登録手段 (20−16A)から全編成制御指令(20−25A)を受け取る。個別編成情報入出力手段(20−11A)は、全編成制御指令(20−25A)が表す各車両編成向けの個別編成制御指令を、それぞれが向けられた各々の個別編成制御システムに対して出力する。即ち、車両編成A向けの個別編成制御指令A(20−26A)を個別編成制御システムA(20−03A)内の個別編成駆動装置A (20−05A)に対して出力する。
【0294】
図21は、異なる車両編成を併せて単一の列車として併合運転する場合について、列車編成総括制御システムに関する情報の流れの様子を、一制御サイクルにおける処理ステップの順を追いながら示す。
【0295】
車両編成A(21−00A)と車両編成B(21−00B)は、併合運転時には併せて列車3(21−300)として一括に運転される。また、図4では、車両編成A(21−00A)を列車3(21−300)の主系編成とし、残る車両編成B(21−00B)を従系編成とする。この場合、列車3(21−300)には単一の列車編成総括制御システム3(21−301)が車両編成A(21−00A)と車両編成B(21−00B)を一括する形で構成され、各車両編成の列車編成総括接続装置A(21−01A)と列車編成総括接続装置B(21−
01B)では、それぞれに関係する情報の流れは互いに依存している。
【0296】
先ず、車両編成A(21−00A)について、列車編成総括制御システム3 (21−301)内の列車編成総括接続装置A(21−01A)は、列車制御指令登録手段(21−11A)において、列車制御装置A(21−02A)から列車制御指令3(21−21A)を受け取り、これを列車制御指令登録手段(21−11A)が管理する列車制御指令情報テーブルに保持する。
【0297】
次に、個別編成情報入出力手段(21−12A)において、個別編成制御システムA(21−03A)内の個別編成走行検出装置A(21−04A)から、車両編成A(21−00A)の走行速度を表す個別編成走行情報A(21−22A)を受け取る。個別編成情報入出力手段(21−12A)は、これを走行状態登録手段(21−13A)に対して出力する。
【0298】
次に、走行状態登録手段(21−13A)において、個別編成情報入出力手段(21−12A)から個別編成走行情報A(21−22A)を受け取り、個別編成走行情報A(21−22A)が表す車両編成A(21−00A)の走行速度をそのまま列車3(21−300)の走行速度として走行速度情報(21−23A)の内容に設定する。また、走行速度情報(21−23A)を走行状態登録手段 (21−13A)が管理する走行速度情報テーブルに保持する。
【0299】
次に、主系編成登録手段(21−14A)において、列車3(21−300)の運転の開始に先だって、列車3(21−300)の主系編成を表す主系編成情報(21−24A)を、主系編成登録手段(21−14A)が管理する主系編成情報テーブルに保持している。
【0300】
次に、個別編成制御指令生成手段(21−15A)において、列車制御指令登録手段(21−11A)から列車制御指令3(21−21A)を、走行状態登録手段(21−13A)から走行速度情報(21−23A)を、主系編成登録手段(21−14A)から主系編成情報(21−24A)を受け取る。
【0301】
図4の例では、列車3(21−300)の主系編成は車両編成A(21−00A)であり、従って、主系編成情報(21−24A)は車両編成Aを表す。このことから、車両編成A(21−00A)で機能する個別編成制御指令生成手段(21−15A)は、列車制御指令3(21−21A)と走行速度情報(21−23A)と主系編成情報(21−24A)に基づいて、列車3(21−300)内の各車両編成の個別走行制御のための各々の個別編成制御指令を生成し、前記各々の個別編成制御指令を集積した全編成制御指令(21−25A)を編成制御指令登録手段(21−16A)に対して出力する。この場合、列車3(21−300)内の車両編成は車両編成A(21−00A)と車両編成B(21−00B)の二つであるため、全編成制御指令(21−25A)の内容は車両編成A向けの個別編成制御指令A(21−26A)と車両編成B向けの個別編成制御指令B(21−26B)となる。
【0302】
次に、編成制御指令登録手段(21−16A)において、個別編成制御指令生成手段(21−15A)から全編成制御指令(21−25A)を受け取り、これを編成制御指令登録手段(21−16A)が管理する全編成制御指令情報テーブルに保持する。
【0303】
次に、個別編成情報入出力手段(21−17A)において、編成制御指令登録手段(21−16A)から全編成制御指令(21−25A)を受け取る。個別編成情報入出力手段(21−17A)は、全編成制御指令(21−25A)が表す各車両編成向けの個別編成制御指令を、それぞれが向けられた各々の個別編成制御システムに対して出力する。即ち、車両編成A向けの個別編成制御指令A(21−26A)を個別編成制御システムA(21−03A)内の個別編成駆動装置A(21−04A)に対して出力し、従系編成である車両編成B向けの個別編成制御指令B(21−26B)を、編成間連結装置A(21−06A)と車両編成B(21−00B)の編成間連結装置B(21−06B)を介して、車両編成B (21−00B)の列車編成総括接続装置B(21−01B)に対して出力する。
【0304】
一方、車両編成B(21−00B)について、列車編成総括制御システム3 (21−301)内の列車編成総括接続装置B(21−01B)は、列車制御指令登録手段(21−11B)において、列車制御装置B(21−02B)から列車制御指令3(21−21B)を受け取り、これを列車制御指令登録手段(21−11B)が管理する列車制御指令情報テーブルに保持する。
【0305】
次に、個別編成情報入出力手段(21−12B)において、個別編成制御システムB(21−03B)内の個別編成走行検出装置B(21−04B)から、車両編成B(21−00B)の走行速度を表す個別編成走行情報B(21−22B)を受け取る。個別編成情報入出力手段(21−12B)は、これを走行状態登録手段(21−13B)に対して出力する。
【0306】
次に、走行状態登録手段(21−13B)において、個別編成情報入出力手段(21−12B)から個別編成走行情報B(21−21B)を受け取り、個別編成走行情報B(21−22B)が表す車両編成B(21−00B)の走行速度をそのまま列車3(21−300)の走行速度として走行速度情報(21−23B)の内容に設定する。また、走行速度情報(21−23B)を走行状態登録手段 (21−13B)が管理する走行速度情報テーブルに保持する。
【0307】
次に、主系編成登録手段(21−11B)において、列車3(21−300)の運転の開始に先だって、列車3(21−300)の主系編成を表す主系編成情報(21−24B)を、主系編成登録手段(21−14B)が管理する主系編成情報テーブルに保持している。
【0308】
次に、個別編成制御指令生成手段(21−15B)において、列車制御指令登録手段(21−15B)から列車制御指令3(21−21B)を、走行状態登録手段(21−13B)から走行速度情報(21−23B)を、主系編成登録手段(21−14B)から主系編成情報(21−24B)を受け取る。
【0309】
図4の例では、列車3(21−300)の主系編成は車両編成A(21−00A)であり、従って、主系編成情報(21−24B)は車両編成Aを表す。このことから、車両編成B(21−00B)で機能する個別編成制御指令生成手段(21−15B)は、列車制御指令3(21−21B)に対応して列車3(21−300)内の各車両編成の個別走行制御のための各々の個別編成制御指令を生成することはない。即ち、編成制御指令登録手段(21−15B)に対しては何も情報を出力しない。
【0310】
次に、編成制御指令登録手段(21−16B)は、個別編成制御指令生成手段(21−15B)からは何も情報を受け取らない。この場合、編成制御指令登録手段(21−16B)が管理する全編成制御指令情報テーブルには何も情報は保持されない。
【0311】
次に、個別編成情報入出力手段(21−12B)は、編成制御指令登録手段 (21−16B)からは何も情報を受け取らない。
【0312】
一方、個別編成情報入出力手段(21−12B)は、編成間連結装置B(21−06B)と車両編成A(21−00A)の編成間連結装置A(21−06A)を介して、車両編成A(21−00A)の列車編成総括接続装置A(21−01A)から、従系編成である車両編成B向けの個別編成制御指令B(21−26B)を受け取る。個別編成情報入出力手段(21−12B)は、それが受け取る各車両編成向けの個別編成制御指令を、それぞれが向けられた各々の個別編成制御システムに対して出力する。即ち、車両編成B向けの個別編成制御指令B(21−
26B)を個別編成制御システムB(21−03B)内の個別編成駆動装置B (21−05B)に対して出力する。
【0313】
図22は、本実施例に係る個別編成制御指令生成手段の内部の構成と情報の流れの様子を表す。
【0314】
個別編成制御指令生成手段(22−01)は、主系編成判定手段(22−02)と、列車・個別編成制御指令対応情報登録手段(22−03)と、列車・個別編成制御指令変換手段(22−04)と、を持つ。
【0315】
主系編成判定手段(22−02)は、個別編成制御指令生成手段(22−01)の外部から、当該列車の一括走行制御のための制御指令を表す列車制御指令(22−11)と、当該列車の主系編成である車両編成を表す主系編成情報(22−
12)を受け取る。ここで、個別編成制御指令生成手段(22−01)を持つ列車編成総括接続装置が装備された車両編成(自車両編成)が、主系編成情報(22−12)の表す車両編成と同じである、即ち主系編成であるか否かを判断する。自車両編成が主系編成である場合にのみ、列車制御指令(22−11)を列車・個別編成制御指令変換手段(22−04)に対して出力する。そうでない場合には、何も情報を出力しない。
【0316】
列車・個別編成制御指令対応情報登録手段(22−03)は、当該列車に対する様々な列車制御指令と、その1つ1つに対応する単数あるいは複数の個別編成制御指令との関係を表す列車・個別編成制御指令対応情報テーブル(22−14)を保持し、列車・個別編成制御指令変換手段(22−04)からの列車・個別編成制御指令対応情報テーブル(22−14)の情報参照に対応する。
【0317】
列車・個別編成制御指令変換手段(22−04)は、主系編成判定手段(22−02)が出力する列車制御指令(22−11)を、個別編成制御指令生成手段(22−01)の外部から走行速度情報(22−13)を、列車・個別編成制御指令対応情報登録手段(22−03)から列車・個別編成制御指令対応情報テーブル(22−14)を受け取る。ここで、主系編成判定手段(22−02)が出力する列車制御指令(22−11)を受け取ったか否かを判断し、受け取った場合にのみ、列車制御指令(22−11)に対応する列車内の各車両編成向けの個別編成制御指令を列車・個別編成制御指令対応情報テーブル(22−14)から抽出し、得られた各個別編成制御指令を全て納めた全編成制御指令(22−21)を外部の編成制御指令登録手段に対して出力する。列車制御指令(22−11)を受け取らなかった場合には、外部に対し何も情報を出力しない。
【0318】
次に、個別編成制御指令生成手段の備える各処理手段の処理について説明する。
【0319】
先ず、主系編成判定手段が行う処理は、図19が表す列車編成総括接続装置の処理の全体の流れにおいて、(19−06)の条件判断に相当する。
【0320】
次に、列車・個別編成制御指令変換手段が行う処理について説明する。
【0321】
図23,図24,図25は、異なる車両編成同士の併合運転において、列車を構成する各車両編成にそれぞれ作用する力の様子を表す。なお、図23,図24,図25では、各図中の列車は力行中とし、また各図を通して列車の全体としての走行に現れる加速度は同じ値とする。
【0322】
図23では、列車を構成する車両編成A(23−01)と車両編成B(23−02)は、それぞれ編成重量(単位:t)がMA,MBであり、またそれぞれの個別編成駆動装置によって、車両編成A(23−01)に引張力(単位:kN)TA(23−11),車両編成B(23−01)に引張力TB(23−21)が作用している。車両編成A(23−01)と車両編成B(23−02)は編成間連結装置(23−03)によって連結されており、これにより車両編成A(23−01)と車両編成B(23−02)の間に編成間応力(単位:kN)が作用する。編成間応力は、車両編成A(23−01)にTAB(23−12),車両編成B(23−02)にTBA(23−22)が作用しており、それぞれ大きさは等しく、向きは反対である。この場合、列車の全体としての走行に現れる加速度(単位:m/s)は、(TA+TB)/(MA+MB)となる。
【0323】
図24でも、図23と同様に、列車を構成する車両編成A(24−01)と車両編成B(24−02)について、それぞれ編成重量はMA,MB、それぞれの個別編成駆動装置による引張力はTA(24−11),TB(24−21),編成間連結装置(24−03)が担う編成間応力はTAB(24−12),TBA(24−22)である。図24のMA,MBは図8の対応する値とそれぞれ等しい。一方、TA(24−11),TB(24−21),TAB(24−12),TBA(24−22)は図23の対応する値とそれぞれ異なる。即ち、図24のTA(24−11)は図23のTA(23−11)より小さく、図24のTB (24−21)は図23のTB(23−21)より大きい。また、図24のTAB(24−12),TBA(24−22)は、図8のTAB(23−12),TBA(23−22)とそれぞれ逆向きである。但し、列車の全体としての加速度(TA+TB)/(MA+MB)は、図23と同じ値である。
【0324】
図25でも、図23,図24と同様に、列車を構成する車両編成A(25−
01)と車両編成B(25−02)について、それぞれ編成重量はMA,MB、それぞれの個別編成駆動装置による引張力はTA(25−11),TB(25−21)、編成間連結装置(25−03)が担う編成間応力はTAB(25−12),TBA(25−22)である。図25のMA,MBは図23,図24の対応する値とそれぞれ等しい。一方、TA(25−11),TB(25−21),TAB(25−12),TBA(25−22)は図23あるいは図24の対応する値とそれぞれ異なる。即ち、図25のTA(25−11)は図23のTA(23−11)と図24のTA(24−11)の中間、図25のTB(25−21)は図23のTB(28−21)と図24のTB(24−21)の中間であり、図25のTAB(25−12),TBA(25−22)はそれぞれ0である。また、列車の全体としての加速度(TA+TB)/(MA+MB)は、図23,図24と同じ値である。
【0325】
また、図23では、車両編成A(23−01)に作用する引張力TAを車両編成A(23−01)の編成重量MAで除算した重量当たり引張力TA/MAが、同じく車両編成B(23−02)に作用する引張力TBを車両編成B(23−02)の編成重量MBで除算した重量当たり引張力TB/MBよりも大きいとしている。TA/MA,TB/MBは、車両編成A(23−01),車両編成B(23−02)が単独に走行していれば、それぞれ車両編成A(23−01),車両編成B(23−02)の加速度となる値である。このことは、図23のような併合運転では、列車が全体として同じ加速度の走行となるよう編成間応力が作用することで、車両編成A(23−01)は車両編成B(23−02)に引きずられ、一方の車両編成B(23−02)は車両編成A(23−01)に引っ張られながら走行することを示す。また、前記編成間応力はそのまま編成間連結装置(23−03)への応力負担となり、編成間連結装置(23−03)の疲労,消耗による強度劣化を招く。
【0326】
また、図24では、車両編成A(24−01)に関する重量当たり引張力TA/MAが、同じく車両編成B(24−02)に関する重量当たり引張力TB/
MBよりも小さいとしている。このことは、図24のような併合運転では、車両編成A(24−01)は車両編成B(24−02)に押され、一方の車両編成B(24−02)は車両編成A(24−01)から抵抗力を受けながら走行することを示す。また、編成間連結装置(24−03)に対しては、図23の場合と同様の悪影響を及ぼす。
【0327】
一方、図25では、車両編成A(25−01)に関する重量当たり引張力TA/MAが、同じく車両編成B(25−02)に関する重量当たり引張力TB/
MBと等しいとしている。このことは、図25のような併合運転では、先の図8,図24の場合とは異なり、列車全体として同じ加速度となる走行を、車両編成A(25−01)と車両編成B(25−02)との間に編成間応力を作用し合うことなく実現することを示す。即ち、編成間連結装置(25−03)に対する悪影響を除去することができる。
【0328】
なお、以上の図23,図24,図25とその説明では、各車両編成の個別編成駆動装置が出力する駆動力として、力行制御時の引張力の場合を扱ったが、ブレーキ制御時のブレーキ力についても全く同様の傾向となる。即ち、列車全体として同じ減速度となる走行であっても、列車内の各車両編成が出力するブレーキ力の配分を調整することで、各車両編成同士で相互に作用し合う応力負担と、その影響を変えることができる。
【0329】
以上のことから、列車内の各車両編成の個別編成駆動装置が発生させる各駆動力の配分を調整することで、列車全体としては同じ加速度(力行制御時),減速度(ブレーキ制御時)の走行を実現しながらも、各車両編成間の編成間連結装置に対する応力負担を低減するという、駆動状態の最適化を図れることが言える。上記を鑑み、本実施例では、列車・個別編成制御指令変換手段が行う処理を、以下のように規定する。
【0330】
先ず、列車・個別編成制御指令変換手段の処理の概念を数式で表す。
【0331】
本実施例においては、列車制御指令を、力行制御については、列車全体に関する重量当たり引張力で表すとし、Cαtrain で示す。また、ブレーキ制御については、列車全体に関する重量当たりブレーキ力で表すとし、Cβtrain で示す。また、列車を構成する車両編成i(i=A,B,…(列車内の全車両編成を網羅))について、車両編成i向けの個別編成制御指令を、力行制御については、車両編成iに関する重量当たり引張力で表すとし、Cαiで示す。また、ブレーキ制御については、車両編成iに関する重量当たりブレーキ力で表すとし、Cβiで示す。
【0332】
また、車両編成iの重量(個別編成重量)をMiで示す。
【0333】
列車制御指令Cαtrain,Cβtrainと、車両編成i向けの個別編成制御指令
Cαi,Cβiとの関係は、次の数式によって表される。
【0334】
Figure 0003557952
【0335】
Figure 0003557952
【0336】
上記の右辺のΣ( )は、括弧内の数式あるいは数値をiの可能な場合について総和することを示す。
【0337】
上記の式は、求めるべき個別編成制御指令Cαi,Cβiについて、それぞれ列車制御指令Cαtrain,Cβtrainとの間に個別編成重量Miに関する重み付き平均の関係を規定する1つの制約条件に過ぎない。そこで、車両編成iについて、その個別の力行性能(個別編成力行性能),ブレーキ性能(個別編成ブレーキ性能)を導入する。本実施例においては、個別編成力行性能,個別編成ブレーキ性能は、それぞれ走行速度vの関数としての重量当たり引張力の最大値,重量当たりブレーキ力の最大値で表すとし、それぞれαi,max(V),βi,max(V)で示す。列車・個別編成制御指令変換手段の受け取る走行速度情報が表す列車の現在走行速度をVとおくと、Cαi,Cβiに関する別の制約条件が次の数式によって表される。
【0338】
Cαi≦αi,max(V) (力行制御について)
Cβi≦βi,max(V) (ブレーキ制御について)
以上の制約条件に則り、列車・個別編成制御指令変換手段の処理を、次の命題に表す。
【0339】
次を最小化せよ:max(Cαi)−min(Cαi) (力行制御について)
次を最小化せよ:max(Cβi)−min(Cβi) (ブレーキ制御について)
上記のmin( ),max( )は、括弧内の数式あるいは数値について、そのiの可能な場合に関する最小値,最大値を示す。即ち、上記は、力行制御については、列車内の各車両編成i向けのCαiについて、その全てのiの中での最大値と最小値との差が最小となるように、各Cαiの組み合わせを設定すべきことを表す。同様にブレーキ制御については、列車内の各車両編成i向けのCβiについて、その全てのiの中での最大値と最小値との差が最小となるように、各Cβiの組み合わせを設定すべきことを表す。
【0340】
図26は、列車・個別編成制御指令変換手段の力行制御に関する処理の流れを表す。
【0341】
(26−01)では、列車制御指令Cαtrain を受け取る。
【0342】
(26−02)では、現在走行速度Vを受け取る。
【0343】
(26−03)では、列車・個別編成制御指令対応情報テーブルを受け取る。
(26−04)では、列車・個別編成制御指令対応情報テーブルに対して、
Cαtrain とVを照会し、対応する個別編成制御指令Cαi(i=A,B,…
(列車内の全車両編成を網羅))を抽出する。
【0344】
(26−05)では、全ての車両編成iに関する個別編成制御指令Cαiを集積した全編成制御指令を出力する。
【0345】
なお、図26は力行制御のみについて扱っているが、ブレーキ制御については同図のCαtrain をCβtrain 、CαiをCβiに置き換えるのみで、全く同じ説明が成り立つ。
【0346】
図27は、図26の処理で用いる列車・個別編成制御指令対応情報テーブルの一例を表す。図27の列車・個別編成制御指令対応情報テーブルは力行制御に関するもので、列車制御指令Cαtrain と現在走行速度Vを引数とし、引数の各組み合わせに対応した個別編成制御指令Cαiの各値を収納している。なお、ブレーキ制御に関する列車・個別編成制御指令対応情報テーブルも、図27と同様の構造である。
【0347】
図26の処理は、列車の走行の最中にリアルタイムに行うものとする。同図によると、列車・個別編成制御指令変換手段の機能実現の根幹を担うのは、列車・個別編成制御指令対応情報テーブルに表された情報である。本実施例ではこの情報を運転の開始に先立って生成済みとし、走行中での処理は単純な情報参照のみとすることで、リアルタイム制御での処理負荷の低減を図っている。
【0348】
図28は、図26の処理で用いる列車・個別編成制御指令対応情報テーブルの内容情報生成処理の流れを表す。前述した列車・個別編成制御指令変換手段の処理の概念は、本実施例の場合、この生成処理に活用される。なお、本実施例では、この処理を実施する処理手段の所在については、特に言及しない。
【0349】
(28−01)では、列車制御指令Cαtrain を設定する。
【0350】
(28−02)では、現在走行速度Vを設定する。
【0351】
(28−03)では、列車内の全ての車両編成iに関して、そのVに対する重量当たり引張力の最大値を表す個別編成力行性能αi,max(V)と、個別編成重量Miを取得する。
【0352】
(28−04)では、全てのiに関して、変数Cαiにαi,max(V)の値を設定する。
【0353】
(28−05)では、中間処理用のバッファ1に、全てのiに関するαi, max(V)×Mi の総和を、別の中間処理用バッファ2に、全てのiに関するMiの総和を格納する。
【0354】
(28−06)では、バッファ1/バッファ2>Cαtrain が成立する間、以下の(28−07)〜(28−09)を繰り返す。
【0355】
(28−07)では、各iに関するCαiを比較し、Cαiの最大値とその時のiを選択する。
【0356】
(28−08)では、バッファ1からΔα×Miを減算する。ΔαはCαiに関する微小変化量(規定値)である。
【0357】
(28−09)では、CαiからΔαを減算する。
【0358】
(28−10)では、以上の処理のまとめとして、列車制御指令Cαtrain ,現在走行速度Vに対応する各車両編成i向けの個別編成制御指令として、Cαiを設定する。
【0359】
なお、図28は力行制御のみについて扱っているが、ブレーキ制御については同図のCαtrainをCβtrain,CαiをCβi,αi,max(V)をβi,max(V),ΔαをΔβに置き換えるのみで、全く同じ説明が成り立つ。
【0360】
図29は、以上に記した本実施例の個別編成制御指令生成手段の処理から得られる個別編成制御指令と、元の列車制御指令との関係を概念的に表す。なお、同図では、列車は車両編成Aと車両編成Bの併合によって成り立つ。
【0361】
(29−01)は、列車制御指令Cαtrain として、重量当たり引張力の値
α1が与えられたことを表す。
【0362】
(29−02)は、上記のCαtrain に対応する車両編成A向けの個別編成制御指令として、CαAが生成されたことを表す。CαAは重量当たり引張力の値α1を持ち、これはCαtrain と同じである。
【0363】
(29−03)は、上記のCαtrain に対応する車両編成B向けの個別編成制御指令として、CαBが生成されたことを表す。CαBは重量当たり引張力の値α1を持ち、これはCαtrain と同じである。
【0364】
(29−01)から(29−03)のように、Cαtrainの入力に対してCαA,CαBがそれぞれCαtrain と同じ値に設定されたことは、単独の車両編成A,車両編成BにそれぞれCαA,CαBを指令した時に現れる加速度が、そのまま車両編成Aと車両編成Bの併合運転時の加減速度となることを示す。これは、併合運転時に車両編成Aと車両編成Bの間に何ら応力が存在せず、最適な駆動状態の実現を示す。
【0365】
一方、(29−04)は、列車制御指令Cαtrain として重量当たり引張力の値α2が与えられたことを表す。
【0366】
(29−05)は、上記(29−04)のCαtrainに対応する車両編成A向けの個別編成制御指令として、CαAが生成されたことを表す。この場合、CαAはα2に及ばず、車両編成Aの現在走行速度Vにおける重量当たり引張力の最大値である個別力行性能αA,max(V)の値が充てられている。これは、車両編成Aの力行性能が列車内で相対的に低く、Cαtrain の値α2がαA,max(V)を超えていたためである。つまり、図28の列車・個別編成制御指令対応情報テーブル生成処理で、CαAは(28−04)の処理で設定されたαA,max(V)の値から一度も減算されずに出力されたことになる。
【0367】
(29−04)は、上記(29−04)のCαtrainに対応する車両編成B向けの個別編成制御指令として、CαBが生成されたことを表す。この場合、CαBはα2を超過した値となっている。これは、上記(29−05)でのCαAがα2に及び得ないので、列車全体としてのCαtrain =α2の作用を担保するため、必要最小限だけ高めなCαBが設定されたためである。つまり、図28の列車・個別編成制御指令対応情報テーブル生成処理で、CαBは(29−07)〜(29−09)の処理によって減算された結果、CαAの低さを最適に補う値として出力されたことになる。なお、CαBとCαAの差は、(4.1)式を成立させるように列車内の各車両編成の個別編成重量Miを考慮した次の数式によって表される。
【0368】
Figure 0003557952
【0369】
(29−04),(29−05),(29−06)のように、Cαtrain の入力に対してCαA,CαBがそれぞれCαtrain と違う値に設定されたことは、併合運転時に車両編成Aと車両編成Bの間には応力が存在することを示す。しかし、その値は最小限であり、与えられた条件で最適な運転の実現を図っていることを示す。
【0370】
なお、図29は力行制御のみについて扱っているが、ブレーキ制御については同図のCαtrainをCβtrain,CαAをCβB,αA,max(V)をβA,max(V)に置き換えるのみで、全く同じ説明が成り立つ。
【0371】
以上に記したように、本実施例の個別編成制御指令生成手段によって、列車制御指令Cαtrain、あるいはCβtrainに対する個別編成制御指令CαA,CαB、あるいはCβA,CβBが、車両編成Aと車両編成Bの個別の走行性能の差を考慮しながら最適に設定されることがわかる。即ち、列車の全体としての走行の制御は同じであっても、本実施例の個別編成制御指令生成手段は、列車内の各車両編成の個性に配慮した個別走行制御によって、前記各車両編成の力学的負担に最適化を図ることを可能とする。
【0372】
なお、列車が単一の車両編成から成る場合、本実施例の個別編成制御指令生成手段は、以上に説明した処理をそのまま踏襲することで、個別編成制御指令に列車制御指令の内容をそのまま設定する。
【0373】
以上のように、本実施例の個別編成制御指令生成手段は、列車内の車両編成の構成状態に適応した個別編成制御指令を生成することができる。
【0374】
以上、本実施例においては、力行制御,ブレーキ制御に関する制御指令や、力行性能,ブレーキ性能について、それぞれ重量当たり引張力,重量当たりブレーキ力を、個別編成制御指令生成手段の処理で取り扱う値としている。しかし、別の実装として、力行制御,ブレーキ制御に関する制御指令、あるいは、力行性能,ブレーキ性能について、それぞれ引張力,ブレーキ力の値をそのまま扱う(重量当たりにしない)場合が考えられる。この場合、個別編成制御指令生成手段の処理は、本実施例において、力行制御,ブレーキ制御に関する制御指令や、力行性能,ブレーキ性能について、それぞれ重量当たり引張力,重量当たりブレーキ力を用いていた箇所を、それぞれ引張力,ブレーキ力で成り立つように表現の仕方を変えたものとなる。即ち、列車・個別編成制御指令対応情報テーブル生成処理について例示すれば、図28の(28−01)の列車制御指令(重量当たり引張力)Cαtrain に代えて列車制御指令(引張力)Ttrain 、(28−03)の個別編成力行性能(重量当たり引張力)αi,max(V)に代えて個別編成力行性能(引張力)Ti,max(V)、(28−04)のαi,max(V)に代えてTi,max(V)/Mi、(28−05)のαi,max(V)×Miに代えてTi,max(V)、(28−06)のCαtrainに代えてTtrain/バッファ2、(28−10)のCαiに代えてCαi×Mi、とすることで、引張力による取り扱いに対応した処理とすることができる。
【0375】
以上の説明をまとめる。
【0376】
本実施例では、列車の走行制御を行う列車制御システムは、列車の全体としての走行を制御するための制御指令を決定する列車制御装置と、前記列車を構成する各車両編成に装備され前記各車両編成の個別の走行を制御する各々の個別編成制御システムと、前記列車制御装置と前記各個別編成制御システムとの間に介在し、前記列車制御装置と前記各個別編成制御システムが相互に行う情報交換を仲介する列車編成総括制御システムと、から構成される。
【0377】
また、本実施例では、前記列車編成総括制御システムは、前記各車両編成について隣接の異なる車両編成同士を力学的に結合し、前記車両編成間の情報伝送を担う編成間連結装置と、前記列車制御装置との間で前記列車の一括走行制御に関する情報を授受し、また前記各個別編成制御システムと直接あるいは前記編成間連結装置を介して前記各車両編成の個別走行制御に関する情報を授受する列車編成総括接続装置と、から構成される。
【0378】
また、本実施例では、前記列車編成総括接続装置は、前記列車制御装置と前記各個別編成制御システムが相互に行う情報交換を仲介し、交換される情報に対して相互変換操作を実施する。
【0379】
また、本実施例では、前記列車編成総括接続装置は、前記列車の走行を一括に制御するための列車制御指令を受け取り、前記列車制御指令に対応して前記各車両編成の走行を個別に制御するための各々の個別編成制御指令を出力する個別編成制御指令生成手段と、を持つ。
【0380】
また、本実施例では、前記個別編成制御指令生成手段は、前記列車制御指令に対応する前記各個別編成制御指令について、前記各個別編成制御指令のもたらす前記各車両編成の駆動状態が、前記各車両編成同士で相互に作用し合う応力負担の少ない走行を実現するよう、前記各車両編成の走行性能の違いを考慮して決定された制御指令を出力する。
【0381】
以上に説明した本実施例では、実施例1.に記した効果に加えて、次のような効果をもたらす。
【0382】
本実施例のように、列車編成総括制御システムにおいて、個別編成制御指令生成手段を備えた列車編成総括接続装置を持つことによって、列車の全体としての走行に着目した列車制御指令による一括走行制御を、前記列車内の各車両編成の走行性能の違いに適応し、前記各車両編成のそれぞれについて細分化されたきめ細やかな個別走行制御の集積として実施することができる。これにより、列車制御指令が指示する列車全体の走行状態について、各車両編成に対してそれぞれ前記列車内の車両編成の構成状態を反映した最適な駆動状態を実現させることができる。
【0383】
また、最適化の内容として、列車制御指令に対する列車内の各車両編成向けの個別編成制御指令を、前記各車両編成同士で相互に作用し合う応力負担が最小となるように設定することができる。これは、列車内の隣接車両編成を力学的に結合する編成間連結装置への応力負担を軽減し、前記編成間連結装置の長寿命化,保守作業の省力化に貢献することができる。
【0384】
実施例5.
上記の実施例4.では、本発明に係る列車制御システムに含まれる列車編成総括制御システムにおいて、実施例4.で述べたような個別編成制御指令生成手段を備えた列車編成総括接続装置を持つことによって、列車の走行を一括して制御するための列車制御指令に対して、前記列車内の各車両編成間の応力負担が最小となるように、前記各車両編成の走行を個別に制御するための各々の個別編成制御指令を前記各車両編成の走行性能の違いを考慮しながら設定することを可能とした。これにより、分割・併合によって列車内の車両編成の構成状態が変化しても、前記列車の走行制御について、前記車両編成の構成状態を反映した走行制御の最適化を図れることを述べた。
【0385】
本実施例では、実施例4.の場合と類似の列車編成総括制御システムであるが、列車制御指令と個別編成制御指令について、ノッチによる指定方法を使用する場合を説明する。
【0386】
本実施例では、本発明に係る列車制御システムに含まれる列車編成総括制御システムについて、その装置や処理手段の構成は、実施例4.で説明したものと同じである。
【0387】
本実施例では、列車編成総括制御システム内の列車編成総括接続装置が備える個別編成制御指令生成手段について、その内部の処理手段である列車・個別編成制御指令変換手段の処理を改めて説明する。
【0388】
先ず、本実施例の列車・個別編成制御指令変換手段の処理について説明する。実施例4.での説明と同様に、列車の全体としての走行を制御する列車制御指令に対して、列車全体としては同じ加速度(力行制御時),減速度(ブレーキ制御時)の走行を実現しながらも、列車内の各車両編成の個別編成駆動装置が発生させる各駆動力の関係を調整することで、各車両編成間の編成間連結装置に対する応力負担を低減するという、駆動状態の最適化を図れることが言える。
【0389】
上記を鑑み、本実施例では、列車・個別編成制御指令変換手段が行う処理を、以下のように規定する。
【0390】
先ず、列車・個別編成制御指令変換手段の力行制御に関する処理の概念を数式で示す。なお、ブレーキ制御に関する処理は、力行制御に関する変数をそのままブレーキ制御に関する変数に置き換えるのみで、全く同じ説明が成り立つ。従って、以下ではブレーキ制御の場合に関する個別の記述を割愛する。
【0391】
列車制御指令を、力行制御について列車としての力行ノッチを表すntrain で示す。また、列車を構成する車両編成i(i=A,B,…(列車内の全車両編成を網羅))について、車両編成i向けの個別編成制御指令を、力行制御について車両編成iでの力行ノッチを表すniで示す。
【0392】
また、本実施例においては、力行制御に関する列車の走行性能(列車力行性能)を、想定走行速度V、列車制御指令ntrain に対する列車全体に関する重量当たり引張力で表すとし、αtrain,ntrain(V)で示す。また、列車内の車両編成i(i=A,B,…(列車内の全車両編成を網羅))について、力行制御に関するそれぞれ個別の車両編成の走行性能(個別編成力行性能)を、想定走行速度V,個別編成制御指令niに対する車両編成iに関する重量当たり引張力で表すとし、αi,ni(V)で示す。更に、車両編成iの重量(個別編成重量)をMiで示す。
【0393】
列車制御指令ntrain と、車両編成i向けの個別編成制御指令niとの関係は、次の数式によって表される。
【0394】
Figure 0003557952
【0395】
上記の右辺のΣ()は、括弧内の数式あるいは数値をiの可能な場合について総和することを示す。
【0396】
上記の式は、求めるべき個別編成制御指令niのそれぞれについて、その個別編成力行性能αi,ni(V)と列車制御指令ntrain との間に個別編成重量Miに関する重み付き平均の関係を規定する1つの制約条件に過ぎない。そこで、個別編成制御指令niとその最大値(最高ノッチに相当)Niとの関係を、別の制約条件として次の数式に表す。
【0397】
ni≦Ni (力行制御について)
以上の制約条件に則り、列車・個別編成制御指令変換手段の処理を、次の命題に表す。
【0398】
Figure 0003557952
上記のmin( ),max( )は、括弧内の数式あるいは数値について、そのiの可能な場合に関する最小値,最大値を示す。即ち、上記は、力行制御について、列車内の各車両編成i向けのniについて、その全てのiの中でαi,ni(V)の最大値と最小値との差が最小となるように、各niの組み合わせを設定すべきことを表す。
【0399】
図30は、列車・個別編成制御指令変換手段の力行制御に関する処理の流れを表す。
【0400】
(30−01)では、列車制御指令ntrain を受け取る。
【0401】
(30−02)では、現在走行速度Vを受け取る。
【0402】
(30−03)では、列車・個別編成制御指令対応情報テーブルを受け取る。
(30−04)では、列車・個別編成制御指令対応情報テーブルに対して、
ntrain とVを照会し、対応する個別編成制御指令ni(i=A,B,…(列車内の全車両編成を網羅))を抽出する。
【0403】
(30−05)では、全ての車両編成iに関する個別編成制御指令niを集積した全編成制御指令を出力する。
【0404】
図31は、図30の処理で用いる列車・個別編成制御指令対応情報テーブルの一例を表す。図31の列車・個別編成制御指令対応情報テーブルは力行制御に関するもので、列車制御指令ntrain と現在走行速度Vを引数とし、引数の各組み合わせに対応した個別編成制御指令niの各値を収納している。なお、ブレーキ制御に関する列車・個別編成制御指令対応情報テーブルも、図31と同様の構造である。
【0405】
図30の処理は、列車の走行の最中にリアルタイムに行うものとする。同図によると、列車・個別編成制御指令変換手段の機能実現の根幹を担うのは、列車・個別編成制御指令対応情報テーブルに表された情報である。本実施例ではこの情報を運転の開始に先立って生成済みとし、走行中での処理は単純な情報参照のみとすることで、リアルタイム制御での処理負荷の低減を図っている。
【0406】
図32は、図30の処理で用いる列車・個別編成制御指令対応情報テーブルの内容情報生成処理の流れを表す。前述した列車・個別編成制御指令変換手段の処理の概念は、本実施例の場合、この生成処理に活用される。なお、本実施例では、この処理を実施する処理手段の所在については、特に言及しない。
【0407】
(32−01)では、列車制御指令ntrain を設定する。
【0408】
(32−02)では、現在走行速度Vを設定する。
【0409】
(32−03)では、列車について、ntrain とVに対する列車力行性能(重量当たり引張力)αtrain,ntrain(V)を取得する。
【0410】
(32−04)では、全てのiに関して、個別編成制御指令の全ての可能な場合niとVに対する個別編成力行性能(重量当たり引張力)αi,ni(V)と、個別編成重量Miを取得する。
【0411】
(32−05)では、列車内の全ての車両編成iに関して、その個別編成制御指令最大値Niを取得する。
【0412】
(32−06)では、全てのiに関して、変数niにNiの値を設定する。
【0413】
(32−07)では、中間処理用のバッファ1に、全てのiに関するαi,
Ni(V)×Miの総和を、別の中間処理用バッファ2に、全てのiに関するMiの総和を格納する。
【0414】
(32−08)では、バッファ1/バッファ2>αtrain,ntrain(V)が成立する間、以下の(32−09)〜(32−11)を繰り返す。
【0415】
(32−09)では、各iに関するαi,ni(V)を比較し、αi,ni(V)の最大値とその時のiを選択する。
【0416】
(32−10)では、バッファ1からαi,ni(V)×Miを減算し、αi,ni−1(V)×Miを加算する。
【0417】
(32−11)では、niから1を減算する。
【0418】
(32−12)では、以上の処理のまとめとして、列車制御指令ntrain ,現在走行速度Vに対応する各車両編成i向けの個別編成制御指令として、niを設定する。
【0419】
図33は、以上に記した本実施例の個別編成制御指令生成手段の処理から得られる個別編成制御指令と、元の列車制御指令との関係を概念的に表す。なお、同図では、列車は車両編成Aと車両編成Bの併合状態から成る。
【0420】
図33では、列車制御指令ntrain として、9を設定している。また、現在走行速度をVで表す。
【0421】
(33−11)は、車両編成A向けの個別編成制御指令nAが8の場合の個別編成力行性能、(33−12)は、nAが9の場合の個別編成力行性能、(33−13)は、nAが10の場合の個別編成力行性能を、それぞれ重量当たり引張力対走行速度平面に表す。
【0422】
(33−21)は、車両編成B向けの個別編成制御指令nBが8の場合の個別編成力行性能、(33−22)は、nBが9の場合の個別編成力行性能、(33−23)は、nBが10の場合の個別編成力行性能を、それぞれ重量当たり引張力対走行速度平面に表す。
【0423】
(33−11)〜(33−13)と、(33−21)〜(33−23)では、ntrain=9の値がそのままnAとnBに設定された場合に、車両編成A,車両編成Bで出力される重量当たり引張力の特性を、それぞれ(33−12),(33−22)の実線に表す。走行速度がVの場合で、(33−12)に関する値αA,9(V)と、(33−22)に関する値αB,9(V)を比較すると、両者には数割にも及ぶ差(33−31)が存在する。この差は、車両編成Aと車両編成Bの間に編成間応力が生じることを示し、編成間連結装置を痛める結果を招く。
【0424】
一方、(33−14)は、車両編成A向けの個別編成制御指令nAが8の場合の個別編成力行性能、(33−15)は、nAが9の場合の個別編成力行性能、(33−16)は、nAが10の場合の個別編成力行性能を、それぞれ重量当たり引張力対走行速度平面に表す。
【0425】
同様に、(33−24)は、車両編成B向けの個別編成制御指令nBが8の場合の個別編成力行性能、(33−25)は、nBが9の場合の個別編成力行性能、(33−26)は、nBが10の場合の個別編成力行性能を、それぞれ重量当たり引張力対走行速度平面に表す。
【0426】
(33−14)〜(33−16)と、(33−24)〜(33−26)では、ntrain=9の値に対して、本実施例の個別編成制御指令生成手段の処理を適用した結果、nA=10とnB=9が設定されている。この場合に車両編成A,車両編成Bで出力される重量当たり引張力の特性を、それぞれ(33−16),(33−24)の実線に表す。走行速度がVの場合で、(33−16)に関する値αA,10(V)と、(33−24)に関する値αB,8(V)を比較すると、両者の差(33−32)はゼロである。即ち、この場合では、車両編成Aと車両編成Bの間の編成間応力、つまり編成間連結装置に対する応力負担は存在しない。
【0427】
上記で、列車制御指令ntrain =9をそのまま個別編成制御指令nA,nBに設定した場合は、従来技術による併合運転で行う総括制御の一般的な事例である。一方、本実施例の個別編成制御指令生成手段によって、ntrain =9をnA=10,nB=8に情報変換した場合では、列車の全体としての走行に着目すると、列車制御指令としては従来技術の場合と同じ情報を与えており、また列車の走行に現れる加速度も同じとなる。
【0428】
しかし、列車内の個々の車両編成に着目すると、走行性能が異なる車両編成について常に同じノッチの個別編成制御指令を与える場合と、前記走行性能の差を考慮して別々のノッチの個別編成制御指令を与える場合では、各車両編成に作用する力の分布が異なる。即ち、列車の全体としての走行の制御は同じであっても、列車内の各車両編成の個性に配慮した個別走行制御をするか否かで、前記各車両編成に対する力学的負担は大きく変化する。
【0429】
本実施例の個別編成制御指令生成手段は、列車制御指令として与えられる単一の値のノッチから、列車内の各車両編成について個別編成制御指令として改めて個別にノッチを設定できるようにし、また車両編成個別のノッチの決定方法を図32に表したような処理とすることによって、前記各車両編成の力学的負担に対して当該列車内の車両編成の構成状態に応じた最適化を図ることを可能とする。なお、列車が単一の車両編成から成る場合、本実施例の個別編成制御指令生成手段は、以上に説明した処理をそのまま踏襲することで、個別編成制御指令に列車制御指令の内容をそのまま設定する。
【0430】
以上のように、本実施例の個別編成制御指令生成手段は、列車内の車両編成の構成状態に適切に対応した個別編成制御指令を生成することができる。
【0431】
以上、本実施例においては、力行性能,ブレーキ性能について、それぞれ重量当たり引張力,重量当たりブレーキ力を、個別編成制御指令生成手段の処理で取り扱う値としている。しかし、別の実装として、力行性能,ブレーキ性能に、それぞれ引張力,ブレーキ力の値をそのまま扱う(重量当たりにしない)場合が考えられる。この場合、個別編成制御指令生成手段の処理は、本実施例において、力行性能,ブレーキ性能にそれぞれ重量当たり引張力,重量当たりブレーキ力を用いていた箇所を、それぞれ引張力,ブレーキ力で成り立つように表現の仕方を変えたものとなる。即ち、列車・個別編成制御指令対応情報テーブル生成処理について例示すれば、図32の(32−03)の列車力行性能(重量当たり引張力)αtrain,ntrain(V)に代えて列車力行性能(引張力)Ttrain,ntrain(V)、(32−04)の個別編成力行性能(重量当たり引張力)αi,ni(V)に代えて個別編成力行性能Ti,ni(V)、(32−07)のαi,Ni(V)×Miに代えてTi,Ni(V)、(32−08)のαtrain,ntrain(V)に代えてTtrain,ntrain(V)/バッファ2、(32−09)のαi,ni(V)に代えてTi,ni(V)/Mi、(32−10)のαi,ni(V)×Miとαi,ni−1(V)×Miに代えてそれぞれTi,ni(V)とTi,ni−1(V)、とすることで、引張力による取り扱いに対応した処理とすることができる。
【0432】
以上に説明した本実施例では、列車編成総括制御システムを備えた列車制御システムの実施例4.に記した効果に加えて、次のような効果をもたらす。
【0433】
即ち、実施例4.の効果を、ノッチを実装する車両編成から構成される列車の走行制御についても、同様にもたらすことができる。
【0434】
実施例6.
前述の実施例4.あるいは実施例5.では、本発明に係る列車制御システムの備える列車編成総括制御システムにおいて、実施例4.あるいは実施例5.で述べたような個別編成制御指令生成手段を備えた列車編成総括接続装置を持つことによって、列車の走行を一括して制御するための列車制御指令に対して、前記列車内の各車両編成間の応力負担が最小となるように、前記各車両編成の走行を個別に制御するための各々の個別編成制御指令を前記各車両編成の走行性能の違いを考慮しながら設定することを可能とした。これにより、分割・併合によって列車内の車両編成の構成状態が変化しても、前記列車の走行制御について、前記車両編成の構成状態を反映した走行制御の最適化を図れることを述べた。
【0435】
本実施例では、実施例4.あるいは実施例5.の場合と類似の列車編成総括制御システムであるが、実施例4.あるいは実施例5.に説明した個別編成制御指令生成手段に関係し、個別編成制御指令生成手段の内部に列車制御指令に対応する個別編成制御指令を納めた列車・個別編成制御指令対応情報テーブルの生成手段を備えた場合を説明する。
【0436】
本実施例では、本発明に係る列車制御システムの備える列車編成総括制御システムについて、その装置や処理手段の構成は、実施例4.あるいは実施例5.で説明したものに、次のものが追加される。
【0437】
即ち、列車編成総括制御システムの備える列車編成総括接続装置に、次の処理手段が追加される。
【0438】
即ち、全編成性能登録手段を持つ。これは、列車編成総括接続装置での情報処理に資するために、列車を構成する各車両編成の走行性能を表す個別編成性能情報を列車内の全車両編成について集積した全編成性能情報を保持する。また、個別編成制御指令生成手段に対して前記全編成性能情報を提供する。
【0439】
また、列車編成総括性能登録手段を持つ。これは、列車制御装置での情報処理に資するために、列車の全体としての走行性能を表す列車編成総括性能情報を保持する。また、個別編成制御指令生成手段に対して前記列車編成総括性能情報を提供する。
【0440】
また、以上の処理手段の追加に伴い、本実施例の列車編成総括接続装置が備える個別編成制御指令生成手段は、列車制御指令登録手段から列車制御指令を、走行状態登録手段から走行速度情報を、主系編成登録手段から主系編成情報を、列車編成総括性能登録手段から列車編成総括性能情報を、全編成性能登録手段から全編成性能情報を受け取る。前記の入力情報に基づいて、列車を構成する各車両編成の個別走行制御のための各個別編成制御指令を生成する。また、前記個別編成制御指令を列車内の全車両編成について集積して全編成制御指令を生成し、編成制御指令登録手段に対して出力する。
【0441】
本実施例では、列車編成総括制御システム内の列車編成総括接続装置が備える個別編成制御指令生成手段について、その内部の処理手段の構成と処理を改めて説明する。
【0442】
図34は、本実施例に係る個別編成制御指令生成手段の内部の構成と情報の流れの様子を表す。
【0443】
個別編成制御指令生成手段(34−01)は、主系編成判定手段(34−02)と、列車・個別編成制御指令対応情報生成手段(34−03)と、列車・個別編成制御指令対応情報登録手段(34−04)と、列車・個別編成制御指令変換手段(34−05)と、を持つ。
【0444】
主系編成判定手段(34−02)の機能と処理は、実施例4.あるいは実施例5.で説明した内容と同じである。
【0445】
列車・個別編成制御指令対応情報生成手段(34−03)は、個別編成制御指令生成手段(34−01)の外部から、当該列車の全体としての走行性能を表す列車編成総括性能情報(34−14)と、当該列車内の各車両編成の走行性能を表す各々の個別編成性能情報を集積した全編成性能情報(34−15)を受け取る。列車・個別編成制御指令対応情報生成手段(34−03)は、列車編成総括性能情報(34−14)と全編成性能情報(34−15)に基づき、当該列車に対する様々な列車制御指令と、その1つ1つに対応する単数あるいは複数の個別編成制御指令との関係を表す列車・個別編成制御指令対応情報(34−16)を生成し、これを列車・個別編成制御指令対応情報登録手段(34−05)に対して出力する。
【0446】
列車・個別編成制御指令対応情報登録手段(34−04)は、列車・個別編成制御指令対応情報生成手段(34−03)から列車・個別編成制御指令対応情報(34−16)を受け取り、これを列車・個別編成制御指令対応情報登録手段 (34−04)が管理する列車・個別編成制御指令対応情報テーブル(34−
17)に保持する。列車・個別編成制御指令対応情報登録手段(34−04)は、列車・個別編成制御指令変換手段(34−05)からの列車・個別編成制御指令対応情報テーブル(34−17)の情報参照に対応する。
【0447】
列車・個別編成制御指令変換手段(34−05)の機能と処理は、実施例4.あるいは実施例5.で説明した内容と同じである。
【0448】
次に、本実施例の個別編成制御指令生成手段に備えられた列車・個別編成制御指令対応情報生成手段が行う処理について説明する。
【0449】
本実施例の列車・個別編成制御指令対応情報生成手段の処理は、実施例4.あるいは実施例5.で説明した列車・個別編成制御指令対応情報テーブルの内容情報生成処理と同じである。即ち、実施例4.の図28とその説明、あるいは実施例5.の図32とその説明が、本実施例の列車・個別編成制御指令対応情報生成手段の説明にあてはまる。なお、実施例4.の図28の(28−03)、あるいは実施例5.の図32の(32−04)、(32−05)の各処理で取得する個別編成制御指令最大値Ni、個別編成力行性能αi,ni(V)、個別編成重量
Miは、全編成性能登録手段から受け取る全編成性能情報を参照し、実施例5.の図32の(32−03)の処理で参照する列車力行性能αtrain,ntrain(V)は、列車編成総括性能登録手段から受け取る列車編成総括性能情報を参照する。また、ブレーキ制御に関する処理は、力行制御に関する変数をそのままブレーキ制御に関する変数に置き換えるのみで、全く同じ説明が成り立つ。
【0450】
なお、列車が単一の車両編成から成る場合、本実施例の個別編成制御指令生成手段は、以上に説明した処理をそのまま踏襲することで、個別編成制御指令に列車制御指令の内容をそのまま設定する。
【0451】
以上のように、本実施例の個別編成制御指令生成手段は、列車に与えられる列車制御指令から、列車内の車両編成の構成状態に適切に対応した個別編成制御指令を生成することができる。
【0452】
また、本実施例の個別編成制御指令生成手段は、その情報処理を、列車内の各車両編成の個別の走行性能を表す個別編成性能情報や、列車の全体としての走行性能を表す列車編成総括性能情報を普遍的に参照する処理としている。これにより、本実施例の個別編成制御指令生成手段は、列車がその列車編成総括性能情報や車両編成の個別編成性能情報を取得できるものであれば、当該列車がいかなる種類あるいは数量の車両編成から構成されたものであっても、当該列車内の車両編成の構成状態に適切に対応した個別編成制御指令を生成することができる。なお、この特徴は、本実施例の列車制御システムを、実施例1.あるいは実施例2.で説明した列車制御システムと併せて実装することで、より効果的に実現することができる。
【0453】
以上に説明した本実施例では、列車編成総括制御システムを備えた列車制御システムについて、実施例4.あるいは実施例5.に記した効果に加えて、次のような効果をもたらす。
【0454】
本実施例では、実施例4.あるいは実施例5.の効果を、広範な種類の車両編成から成る列車の走行制御についても、同様にもたらすことができる。即ち、併合運転について、従来技術では予め想定され限られた種類の車両編成同士について可能だった協調制御を、本実施例では、列車がいかなる種類あるいは数量の車両編成から構成されたものであっても実現可能とする。これは、本実施例において、列車内の各車両編成の個別の走行性能を表す個別編成性能情報や、列車の全体としての走行性能を表す列車編成総括性能情報を普遍的に参照する情報処理によって、列車・個別編成制御指令対応情報を本列車制御システム内で臨機応変に生成可能としたことによる。これにより、例えば、運転計画上は想定外の車両編成同士が併合運転することになった時でも、併合作業の時点で直ぐに新しい列車制御指令と個別編成制御指令との対応関係を認識し、併合状態を適切に反映した走行制御に速やかに移行する、といった特徴を実現することができる。
【0455】
実施例7.
本実施例では、実施例4.,実施例5.あるいは実施例6.の場合と類似の列車編成総括制御システムであるが、実施例4.あるいは実施例5.で説明した個別編成制御指令生成手段に関係し、実施例6.で説明したものと同様の列車・個別編成制御指令対応情報テーブルの生成手段を、個別編成制御指令生成手段の外部に備えた場合を説明する。
【0456】
本実施例では、本発明に係る列車制御システムの備える列車編成総括制御システムについて、その装置や処理手段の構成は、実施例4.あるいは実施例5.で説明したものに、次のものが追加される。
【0457】
即ち、列車編成総括制御システムの備える列車編成総括接続装置に、次の処理手段が追加される。
【0458】
即ち、全編成性能登録手段を持つ。これは、列車編成総括接続装置での情報処理に資するために、列車を構成する各車両編成の走行性能を表す個別編成性能情報を列車内の全車両編成について集積した全編成性能情報を保持する。また、個別編成制御指令生成手段に対して前記全編成性能情報を提供する。
【0459】
また、列車編成総括性能登録手段を持つ。これは、列車制御装置での情報処理に資するために、列車の全体としての走行性能を表す列車編成総括性能情報を保持する。また、個別編成制御指令生成手段に対して前記列車編成総括性能情報を提供する。
【0460】
また、列車・個別編成制御指令対応情報生成手段を持つ。これは、列車編成総括性能登録手段から当該列車の全体としての走行性能を表す列車編成総括性能情報と、全編成性能登録手段から当該列車内の各車両編成の走行性能を表す個別編成性能情報を集積した全編成性能情報を受け取り、列車編成総括性能情報と全編成性能情報に基づき、当該列車に対する様々な列車制御指令とその1つ1つに対応する個別編成制御指令との関係を表す列車・個別編成制御指令対応情報を生成する。また、個別編成制御指令生成手段に対して前記列車・個別編成制御指令対応情報を出力する。
【0461】
また、以上の処理手段の追加に伴い、本実施例の列車編成総括接続装置が備える個別編成制御指令生成手段は、列車制御指令登録手段から列車制御指令を、走行状態登録手段から走行速度情報を、主系編成登録手段から主系編成情報を、列車・個別編成制御指令対応情報生成手段から列車・個別編成制御指令対応情報を受け取る。前記の入力情報に基づいて、列車を構成する各車両編成の個別走行制御のための各個別編成制御指令を生成する。また、前記個別編成制御指令を列車内の全車両編成について集積して全編成制御指令を生成し、編成制御指令登録手段に対して出力する。
【0462】
本実施例では、先ず列車編成総括制御システム内の列車編成総括接続装置が備える個別編成制御指令生成手段について、その関連の処理手段の構成と処理を改めて説明する。
【0463】
図35は、本実施例に係る個別編成制御指令生成手段の内部の構成と情報の流れの様子を表す。
【0464】
個別編成制御指令生成手段(35−01)は、主系編成判定手段(35−02)と、列車・個別編成制御指令対応情報登録手段(35−04)と、列車・個別編成制御指令変換手段(35−05)と、を持つ。
【0465】
主系編成判定手段(35−02)の機能と処理は、実施例4.あるいは実施例5.で説明した内容と同じである。
【0466】
列車・個別編成制御指令対応情報登録手段(35−04)は、個別編成制御指令生成手段(35−01)の外部の列車・個別編成制御指令対応情報生成手段 (35−03)から列車・個別編成制御指令対応情報(35−16)を受け取り、これを列車・個別編成制御指令対応情報登録手段(35−04)が管理する列車・個別編成制御指令対応情報テーブル(35−17)に保持する。列車・個別編成制御指令対応情報登録手段(35−04)は、列車・個別編成制御指令変換手段(35−05)からの列車・個別編成制御指令対応情報テーブル(35−17)の情報参照に対応する。
【0467】
列車・個別編成制御指令変換手段(35−05)の機能と処理は、実施例4.あるいは実施例5.で説明した内容と同じである。
【0468】
次に、本実施例の列車・個別編成制御指令対応情報生成手段が行う処理について説明する。
【0469】
本実施例の列車・個別編成制御指令対応情報生成手段の処理は、実施例6.で説明した列車・個別編成制御指令対応情報生成手段の処理と同じである。
【0470】
また、ブレーキ制御に関する処理は、力行制御に関する変数をそのままブレーキ制御に関する変数に置き換えるのみで、全く同じ説明が成り立つ。
【0471】
なお、列車が単一の車両編成から成る場合、本実施例の列車・個別編成制御指令対応情報生成手段、及びその出力する列車・個別編成制御指令対応情報を参照する個別編成制御指令生成手段は、以上に説明した処理をそのまま踏襲することで、個別編成制御指令に列車制御指令の内容をそのまま設定する。
【0472】
以上のように、本実施例の個別編成制御指令生成手段は、列車に与えられる列車制御指令から、列車内の車両編成の構成状態に適切に対応した個別編成制御指令を生成することができる。
【0473】
また、本実施例の個別編成制御指令生成手段は、その情報処理を、列車内の各車両編成の個別の走行性能を表す個別編成性能情報や、列車の全体としての走行性能を表す列車編成総括性能情報を普遍的に参照する処理としている。これにより、本実施例の個別編成制御指令生成手段は、列車がその列車編成総括性能情報や車両編成の個別編成性能情報を取得できるものであれば、当該列車がいかなる種類あるいは数量の車両編成から構成されたものであっても、当該列車内の車両編成の構成状態に適切に対応した個別編成制御指令を生成することができる。なお、この特徴は、本実施例の列車制御システムを、実施例1.あるいは実施例2.で説明した列車制御システムと併せて実装することで、より効果的に実現することができる。
【0474】
以上に説明した本実施例では、列車編成総括制御システムを備えた列車制御システムについて、実施例4.あるいは実施例5.に記した効果に加えて、実施例6.に記した効果と同等の効果を、別の処理手段の構成によってもたらすことができる。
【0475】
実施例8.
本実施例では、実施例4.,実施例5.,実施例6.あるいは実施例7.の場合と類似の列車編成総括制御システムであるが、実施例4.あるいは実施例5.に説明した個別編成制御指令生成手段について、その内部の列車・個別編成制御指令変換手段が、列車・個別編成制御指令対応情報テーブルに頼らず、列車制御指令に対応する個別編成制御指令を制御サイクル毎に直に生成する場合を説明する。
【0476】
本実施例では、本発明に係る列車制御システムの備える列車編成総括制御システムについて、その装置や処理手段の構成は、実施例4.あるいは実施例5.で説明したものに、次のものが追加される。
【0477】
即ち、列車編成総括制御システムの備える列車編成総括接続装置に、次の処理手段が追加される。
【0478】
即ち、全編成性能登録手段を持つ。これは、列車編成総括接続装置での情報処理に資するために、列車を構成する各車両編成の走行性能を表す個別編成性能情報を列車内の全車両編成について集積した全編成性能情報を保持する。また、個別編成制御指令生成手段に対して前記全編成性能情報を提供する。
【0479】
また、列車編成総括性能登録手段を持つ。これは、列車制御装置での情報処理に資するために、列車の全体としての走行性能を表す列車編成総括性能情報を保持する。また、個別編成制御指令生成手段に対して前記列車編成総括性能情報を提供する。
【0480】
また、以上の処理手段の追加に伴い、本実施例の列車編成総括接続装置が備える個別編成制御指令生成手段は、列車制御指令登録手段から列車制御指令を、走行状態登録手段から走行速度情報を、主系編成登録手段から主系編成情報を、列車編成総括性能登録手段から列車編成総括性能情報を、全編成性能登録手段から全編成性能情報を受け取る。前記の入力情報に基づいて、列車を構成する各車両編成の個別走行制御のための各個別編成制御指令を生成する。また、前記個別編成制御指令を列車内の全車両編成について集積して全編成制御指令を生成し、編成制御指令登録手段に対して出力する。
【0481】
本実施例では、先ず列車編成総括制御システム内の列車編成総括接続装置が備える個別編成制御指令生成手段について、その内部の処理手段の構成と処理を改めて説明する。
【0482】
図36は、本実施例に係る個別編成制御指令生成手段の内部の構成と情報の流れの様子を表す。
【0483】
個別編成制御指令生成手段(36−01)は、主系編成判定手段(36−02)と、列車・個別編成制御指令変換手段(36−05)と、を持つ。
【0484】
主系編成判定手段(36−02)の機能と処理は、実施例4.あるいは実施例5.で説明した内容と同じである。
【0485】
列車・個別編成制御指令変換手段(36−04)は、主系編成判定手段(36−02)が出力する列車制御指令(36−11)を、個別編成制御指令生成手段(36−01)の外部から走行速度情報(36−13)と列車編成総括性能情報(36−14)と全編成性能情報(36−15)を受け取る。ここで、主系編成判定手段(36−02)が出力する列車制御指令(36−11)を受け取ったか否かを判断し、受け取った場合にのみ、列車制御指令(36−11)に対応する列車内の各車両編成向けの各々の個別編成制御指令を生成し、得られた各個別編成制御指令を全て納めた全編成制御指令(36−21)を外部の編成制御指令登録手段に対して出力する。列車制御指令(36−11)を受け取らなかった場合には、外部に対し何も情報を出力しない。
【0486】
次に、本実施例の個別編成制御指令生成手段に備えられた列車・個別編成制御指令変換手段が行う処理について説明する。
【0487】
本実施例の列車・個別編成制御指令変換手段の処理は、実施例4.あるいは実施例5.で説明した列車・個別編成制御指令対応情報テーブルの内容情報生成処理そのものとなる。即ち、実施例4.の図28とその説明、あるいは実施例5.の図32とその説明が、本実施例の列車・個別編成制御指令変換手段の説明にあてはまる。なお、実施例4.の図28の(28−03)、あるいは実施例5.の図32の(32−04),(32−05)の各処理で取得する個別編成制御指令最大値Ni、個別編成力行性能αi,ni(V)、個別編成重量Miは、全編成性能登録手段から受け取る全編成性能情報を参照し、実施例5.の図32の(32−03)の処理で参照する列車力行性能αtrain,ntrain(V)は、列車編成総括性能登録手段から受け取る列車編成総括性能情報を参照する。
【0488】
また、ブレーキ制御に関する処理は、力行制御に関する変数をそのままブレーキ制御に関する変数に置き換えるのみで、全く同じ説明が成り立つ。
【0489】
なお、列車が単一の車両編成から成る場合、本実施例の個別編成制御指令生成手段は、以上に説明した処理をそのまま踏襲することで、個別編成制御指令に列車制御指令の内容をそのまま設定する。
【0490】
以上のように、本実施例の個別編成制御指令生成手段は、列車に与えられる列車制御指令から、列車内の車両編成の構成状態に適切に対応した個別編成制御指令を生成することができる。
【0491】
また、本実施例の個別編成制御指令生成手段は、その情報処理を、列車内の各車両編成の個別の走行性能を表す個別編成性能情報や、列車の全体としての走行性能を表す列車編成総括性能情報を普遍的に参照する処理としている。これにより、本実施例の個別編成制御指令生成手段は、列車がその列車編成総括性能情報や車両編成の個別編成性能情報を取得できるものであれば、当該列車がいかなる種類あるいは数量の車両編成から構成されたものであっても、当該列車内の車両編成の構成状態に適切に対応した個別編成制御指令を生成することができる。なお、この特徴は、本実施例の列車制御システムを、実施例1.あるいは実施例2.で説明した列車制御システムと併せて実装することで、より効果的に実現することができる。
【0492】
以上に説明した本実施例では、列車編成総括制御システムを備えた列車制御システムについて、実施例4.あるいは実施例5.に記した効果に加えて、実施例6.に記した効果と同等の効果を、別の処理手段の構成によってもたらすことができる。
【0493】
また、上記に加え、次の効果をもたらすことができる。
【0494】
即ち、列車制御指令に対応する個別編成制御指令の生成処理について、列車制御指令が無段階・連続的に指定される場合にも対応した、きめの細かい個別編成制御指令の設定を行うことができる。従来の列車制御方式では、走行制御指令についてはノッチ等による階段的な指定方法が一般的であった。そのため、列車制御指令と個別編成制御指令との対応関係は、実施例4.あるいは実施例5.の場合のように、列車制御指令の離散値を項目とした列車・個別編成制御指令対応情報テーブルに記述しておく方法で有効であった。一方、今後採用される列車制御方式では、走行制御の精度向上を目指すべく、トルク値や加減速度値による指定に加え、走行制御指令の細密化・連続値化が進むと予想される。このような展望に対応すべく、本実施例では列車制御指令から個別編成制御指令を直に生成する処理を走行中の制御サイクルに組み入れることで、分割・併合に自在に対応し、かつ列車制御指令の連続化にも対応した列車制御システムを可能としている。
【0495】
実施例9.
本実施例では、列車制御システムは、列車の全体としての走行を一括に制御するための列車制御指令を決定する列車制御装置と、前記列車制御指令を受領し、当該列車の車両編成の構成状態に応じて前記列車内の各車両編成を個別に走行制御する編成総括制御システムと、から構成される。
【0496】
本実施例では、編成総括制御システムは、列車制御装置から列車制御指令を受け取り、これに基づいた当該列車内の各車両編成の個別走行制御までを担当する。前記各車両編成の個別走行制御では、実施例4.から8.までのいずれかの列車編成総括制御システムに実装される個別編成制御指令の生成方法を用いることで、当該列車の車両編成の構成状態に応じた走行制御を担う。
【0497】
また、本実施例では、編成総括制御システムは、列車内の各車両編成の個別の走行性能を表す個別編成性能情報から当該列車の全体としての走行性能を表す列車編成総括性能情報を生成し、これを列車制御装置に対して出力する。前記列車編成総括性能情報の生成では、実施例2.あるいは3.のいずれかの列車編成総括制御システムに実装される列車編成総括性能情報の生成方法を用いることで、当該列車の車両編成の構成状態に応じた走行制御を担う。
【0498】
以上の編成総括制御システムは、実施例1.から8.までのいずれかに記した列車編成総括制御システムと、列車内の各々の車両編成に装備され、前記車両編成を個別に走行制御する個別編成制御システムと、を統合した形として実装することができる。即ち、編成総括制御システムは、実施例1.から8.までのいずれかに記した列車編成総括接続装置と、編成間連結装置と、前記個別編成制御システムに含まれる機器と、から構成される。編成総括制御システムが担う列車の車両編成の構成状態に応じた走行制御は、前記列車編成総括接続装置に実装される、実施例4.から8.までのいずれかに記した個別編成制御指令の生成処理、あるいは実施例2.あるいは3.のいずれかに記した列車編成総括性能情報の生成処理、によって実現される。
【0499】
図37は、本実施例に係る列車制御システムの一構成を表す。列車制御装置 (37−01)は、編成総括制御システム(37−02)の内部の列車編成総括接続装置(37−03)に直に接続する。列車編成総括接続装置(37−03)は、また、編成間連結装置(37−04)に直に接続し、更に個別編成機器接続回線(37−05)を介して車両編成内のその他の機器に接続する。図37では、編成総括制御システム(37−02)の内部において、列車編成総括接続装置(37−03)と編成間連結装置(37−04)との組み合わせが、実施例1.から8.までのいずれかに記した列車編成総括制御システムと同等のシステムを構成している。
【0500】
図38は、本実施例に係る列車制御システムの別の一構成を表す。列車制御装置(38−01)は、編成総括制御システム(38−02)の内部の列車編成総括接続装置(38−03)に直に接続する。列車編成総括接続装置(37−03)は、また、編成間連結装置(38−04)に個別編成機器接続回線(38−05)を介して接続し、更に個別編成機器接続回線(38−05)を介して車両編成内のその他の機器に接続する。図38では、編成総括制御システム(38−02)の内部において、列車編成総括接続装置(38−03)と編成間連結装置(38−04)との個別編成機器接続回線(38−05)を介した組み合わせが、実施例1.から8.までのいずれかに記した列車編成総括制御システムと同等のシステムを構成している。
【0501】
図39は、本実施例に係る列車制御システムの更に別の一構成を表す。列車制御装置(39−01)は、編成総括制御システム(39−02)の内部の列車編成総括接続装置(39−03)に、個別編成機器接続回線(39−05)を介して接続する。列車編成総括接続装置(39−03)は、また、編成間連結装置 (39−04)に直に接続し、更に個別編成機器接続回線(39−05)を介して車両編成内のその他の機器に接続する。図39では、編成総括制御システム (39−02)の内部において、列車編成総括接続装置(39−03)と編成間連結装置(39−04)との組み合わせが、実施例1.から8.までのいずれかに記した列車編成総括制御システムと同等のシステムを構成している。
【0502】
図40は、本実施例に係る列車制御システムの更にまた別の一構成を表す。列車制御装置(40−01)は、編成総括制御システム(40−02)の内部の列車編成総括接続装置(40−03)に、個別編成機器接続回線(40−05)を介して接続する。列車編成総括接続装置(40−03)は、また、編成間連結装置(40−04)に個別編成機器接続回線(40−05)を介して接続し、更に個別編成機器接続回線(40−05)を介して車両編成内のその他の機器に接続する。図40では、編成総括制御システム(40−02)の内部において、列車編成総括接続装置(40−03)と編成間連結装置(40−04)との個別編成機器接続回線(40−05)を介した組み合わせが、実施例1.から8.までのいずれかに記した列車編成総括制御システムと同等のシステムを構成している。以上に説明した本実施例の列車制御システムは、実施例1.から実施例8.までのいずれかに記した効果と同等の効果を、別の構成によってもたらすことができる。
【0503】
実施例10.
本実施例では、列車制御システムは、列車の全体としての走行の制御を行い、当該列車の車両編成の構成状態に応じて当該列車内の各車両編成を個別に走行制御するための個別編成制御指令を決定し、前記個別編成制御指令を前記車両編成に対して出力する列車総括制御システムと、当該列車内の各々の車両編成に装備され、前記車両編成を個別に走行制御する個別編成制御システムと、から構成される。
【0504】
本実施例では、列車総括制御システムは、個別走行制御指令の決定において、実施例4.から8.までのいずれかの列車編成総括制御システムに実装される個別編成制御指令の生成方法を用いることで、当該列車の車両編成の構成状態に応じた走行制御を担う。
【0505】
また、本実施例では、列車総括制御システムは、列車内の各車両編成の個別の走行性能を表す個別編成性能情報を当該列車内の各個別編成制御システムから受け取り、これに基づいて当該列車の全体としての走行性能を表す列車編成総括性能情報を生成し、当該列車の全体としての走行の制御に用いる。前記列車編成総括性能情報の生成では、実施例2.あるいは3.のいずれかの列車編成総括制御システムに実装される列車編成総括性能情報の生成方法を用いることで、当該列車の車両編成の構成状態に応じた走行制御を担う。
【0506】
以上の列車総括制御システムは、実施例1.から8.までのいずれかに記した列車編成総括制御システムと、列車の全体としての走行を一括に制御するための列車制御指令を決定する列車制御装置と、を統合した形として実装することができる。即ち、列車総括制御システムは、実施例1.から8.までのいずれかに記した列車編成総括接続装置と、編成間連結装置と、前記列車制御装置と、の組み合わせとして構成される。列車総括制御システムが担う列車の車両編成の構成状態に応じた走行制御は、前記列車編成総括接続装置に実装される、実施例4.から8.までのいずれかに記した個別編成制御指令の生成処理、あるいは実施例2.あるいは3.のいずれかに記した列車編成総括性能情報の生成処理、によって実現される。
【0507】
図41は、本実施例に係る列車制御システムの一構成を表す。列車総括制御装置(41−01)は、その内部に、列車の全体としての走行を一括に制御するための制御指令を決定する列車制御装置の機能と、列車編成総括接続装置(41−03)とを包含する。列車編成総括接続装置(41−03)は、また、列車総括制御装置(41−01)が内部に包含する編成間連結装置(41−04)に直に接続し、更に個別編成制御システム(41−02)の内部の個別編成機器接続回線(41−05)を介して車両編成内のその他の機器に接続する。図41では、列車総括制御装置(41−01)が列車総括制御システムを構成し、またその内部において、列車編成総括接続装置(41−03)と編成間連結装置(41−04)との組み合わせが、実施例1.から8.までのいずれかに記した列車編成総括制御システムと同等のシステムを構成している。
【0508】
以上に説明した本実施例の列車制御システムは、実施例1.から実施例8.までのいずれかに記した効果と同等の効果を、別の構成によってもたらすことができる。
【0509】
実施例11.
本実施例では、列車制御システムは、列車の全体としての走行の制御を行い、当該列車の車両編成の構成状態に応じて当該列車内の各車両編成を個別に走行制御するための個別編成制御指令を決定する列車総括制御装置と、当該列車内の各々の車両編成に装備され、前記車両編成を個別に走行制御する個別編成制御システムと、隣接の異なる車両編成と力学的に結合し、前記車両編成間の情報伝送を担う編成間連結装置と、から構成される。
【0510】
本実施例の列車総括制御装置は、実施例10.に記した列車総括制御装置から編成間連結装置が独立した点のみが異なり、その他は実施例10.と同様である。即ち、列車制御システムとしては、実施例10.に記した列車制御システムと同様の機能を持つ。
【0511】
図42は、本実施例に係る列車制御システムの一構成を表す。列車総括制御装置(42−01)は、その内部に、列車の全体としての走行を一括に制御するための制御指令を決定する列車制御装置の機能と、列車編成総括接続装置(42−03)を包含する。列車編成総括接続装置(42−03)は、また、編成間連結装置(42−04)に直に接続し、更に個別編成制御システム(42−02)の内部の個別編成機器接続回線(42−05)を介して車両編成内のその他の機器に接続する。図42では、列車総括制御装置(42−01)と編成間連結装置 (42−04)との組み合わせが、実施例10.に記した列車総括制御システムと同等のシステムを構成している。また列車編成総括接続装置(42−03)と編成間連結装置(42−04)との組み合わせが、実施例1.から8.までのいずれかに記した列車編成総括制御システムと同等のシステムを構成している。
【0512】
図43は、本実施例に係る列車制御システムの別の一構成を表す。列車総括制御装置(43−01)は、その内部に、列車の全体としての走行を一括に制御するための制御指令を決定する列車制御装置の機能と、列車編成総括接続装置 (43−03)を包含する。列車編成総括接続装置(43−03)は、また、編成間連結装置(43−04)に、個別編成制御システム(43−02)の内部の個別編成機器接続回線(43−05)を介して接続し、更に個別編成機器接続回線(43−05)を介して車両編成内のその他の機器に接続する。図43では、列車総括制御装置(43−01)と編成間連結装置(43−04)との組み合わせが、実施例10.に記した列車総括制御システムと同等のシステムを構成している。また列車編成総括接続装置(43−03)と編成間連結装置(43−04)との組み合わせが、実施例1.から8.までのいずれかに記した列車編成総括制御システムと同等のシステムを構成している。
【0513】
以上に説明した本実施例の列車制御システムは、実施例1.から実施例8.までのいずれかに記した効果と同等の効果を、別の構成によってもたらすことができる。
【0514】
実施例12.
本実施例では、列車制御システムは、列車の全体としての走行を一括に制御するための列車制御指令を決定する列車制御装置と、当該列車内の各々の車両編成に装備され、前記車両編成を個別に走行制御する個別編成制御システムと、前記列車制御指令を受領し、当該列車の車両編成の構成状態に応じて前記列車内の各車両編成を個別に走行制御するための個別編成制御指令を決定し、更に隣接の異なる車両編成と力学的に結合しつつ前記車両編成間の情報伝送を担う総括制御連結装置と、から構成される。
【0515】
本実施例では、総括制御連結装置は、列車制御装置から列車制御指令を受け取り、これに基づいた個別走行制御指令の決定において、実施例4.から8.までのいずれかの列車編成総括制御システムに実装される個別編成制御指令の生成方法を用いることで、当該列車の車両編成の構成状態に応じた走行制御を担う。
【0516】
また、本実施例では、総括制御連結装置は、列車内の各車両編成の個別の走行性能を表す個別編成性能情報から当該列車の全体としての走行性能を表す列車編成総括性能情報を生成し、これを列車制御装置に対して出力する。前記列車編成総括性能情報の生成では、実施例2.あるいは3.のいずれかの列車編成総括制御システムに実装される列車編成総括性能情報の生成方法を用いることで、当該列車の車両編成の構成状態に応じた走行制御を担う。
【0517】
以上の総括制御連結装置は、実施例1.から8.までのいずれかに記した列車編成総括制御システムを、1つの装置の中に統合した形として実装することができる。即ち、総括制御連結装置は、実施例1.から8.までのいずれかに記した列車編成総括接続装置と、編成間連結装置と、の組み合わせとして構成される。総括制御連結装置が担う列車の車両編成の構成状態に応じた走行制御は、前記列車編成総括接続装置に実装される、実施例4.から8.までのいずれかに記した個別編成制御指令の生成処理、あるいは実施例2.あるいは3.のいずれかに記した列車編成総括性能情報の生成処理、によって実現される。
【0518】
図44は、本実施例に係る列車制御システムの一構成を表す。列車制御装置 (44−01)は、総括制御連結装置(44−04)の内部の列車編成総括接続装置(44−03)に直に接続する。列車編成総括接続装置(44−03)は、また、個別編成制御システム(44−02)の内部の個別編成機器接続回線(44−05)を介して車両編成内のその他の機器に接続する。図44では、総括制御連結装置(44−04)において、列車編成総括接続装置(44−03)と、隣接の異なる車両編成と力学的に結合しつつ前記車両編成間の情報伝送を担う編成間連結装置の機能との組み合わせが、実施例1.から8.までのいずれかに記した列車編成総括制御システムと同等のシステムを構成している。
【0519】
図45は、本実施例に係る列車制御システムの別の一構成を表す。列車制御装置(45−01)は、総括制御連結装置(45−04)の内部の列車編成総括接続装置(45−03)に、個別編成制御システム(45−02)の内部の個別編成機器接続回線(45−05)を介して接続する。列車編成総括接続装置(45−03)は、また、個別編成機器接続回線(45−05)を介して車両編成内のその他の機器に接続する。図45では、総括制御連結装置(45−04)において、列車編成総括接続装置(45−03)と、隣接の異なる車両編成と力学的に結合しつつ前記車両編成間の情報伝送を担う編成間連結装置の機能との組み合わせが、実施例1.から8.までのいずれかに記した列車編成総括制御システムと同等のシステムを構成している。
【0520】
以上に説明した本実施例の列車制御システムは、実施例1.から実施例8.までのいずれかに記した効果と同等の効果を、別の構成によってもたらすことができる。
【0521】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、列車の走行を制御する列車制御システムにおいて、当該列車が、分割・併合運転によって様々な車両編成の構成状態に変化するものであっても、当該列車の車両編成の構成状態に的確に適応した走行制御を実施することができる。
【0522】
即ち、列車制御システムを、列車の全体を一括した立場で走行制御処理を行う列車制御装置と、当該列車内の各車両編成に個別に着目した立場で走行制御処理を行う個別編成制御システムと、前記列車制御装置と前記個別編成制御システムに介在してそれらの相互情報交換を仲介する列車編成総括制御システムと、に分別することで、当該列車内の様々な車両編成の構成状態に対応した走行制御の実現を容易にし、また前記構成状態に対する走行制御の最適化を図ることを可能とする。
【0523】
また、列車内の各車両編成の個別の走行性能情報から、列車の全体としての的確な走行性能を表す情報を生成することで、列車内の車両編成のいかなる構成状態に対しても、列車の全体としての走行性能を的確に考慮した走行制御が可能となる。即ち、列車の全体としての走行の制御について、その最適化に寄与する。また、列車の全体を一括に走行制御する列車制御指令から、列車内の各車両編成を個別に走行制御する個別編成制御指令を、列車内の各車両編成の走行性能の違いを考慮しながら適切に生成することで、列車制御指令が指示する列車全体の走行状態について、各車両編成に対してそれぞれ前記列車内の車両編成の構成状態に応じた最適な駆動状態を実現させることができる。
【0524】
このように、本発明の列車制御システムによると、列車の全体としての走行を一括に捉える走行制御と、列車を構成する車両編成に個別に着目した走行制御の双方について、従来技術以上に高い性能を実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1.に係る列車制御システムの構成を表す。
【図2】本発明の実施例1.に係る列車編成総括制御システムに関する分割運転時の情報の流れの様子を表す。
【図3】本発明の実施例1.に係る列車編成総括制御システムに関する併合運転時の情報の流れの様子を表す。
【図4】本発明の実施例2.に係る列車編成総括接続装置の構成を表す。
【図5】本発明の実施例2.に係る列車編成総括接続装置の処理の全体の流れを表す。
【図6】本発明の実施例2.に係る列車編成総括制御システムに関する分割運転時の情報の流れの様子を表す。
【図7】本発明の実施例2.に係る列車編成総括制御システムに関する併合運転時の情報の流れの様子を表す。
【図8】本発明の実施例2.に係る列車編成総括性能生成手段の内部の構成と情報の流れの様子を表す。
【図9】本発明の実施例2.に係る列車編成総括性能生成手段の処理の流れを表す。
【図10】走行性能の異なる車両編成同士が併合運転する場合、列車の全体としての走行に及ぼす影響の様子を概念的に表す。
【図11】本発明の実施例2.に係る列車ブレーキ性能生成手段について、ある想定走行速度Vでの列車ブレーキ性能βtrain(V)の生成処理の流れを表す。
【図12】列車が走行性能の異なる車両編成Aと車両編成Bから構成される場合について、図11の処理における入力情報と出力情報をテーブルに表す。
【図13】列車が走行性能の異なる車両編成Aと車両編成Bから構成される場合について、図12の処理が生成する列車ブレーキ性能の対走行速度特性を概念的に表す。
【図14】本発明の実施例2.に係る列車力行性能生成手段について、ある想定走行速度Vでの列車力行性能αtrain(V)の生成処理の流れを表す。
【図15】列車が、走行性能の異なる車両編成Aと車両編成Bから構成される場合について、図14の処理の入力情報と出力情報をテーブルに表す。
【図16】列車が走行性能の異なる車両編成Aと車両編成Bから構成される場合について、図14の処理が生成する列車力行性能の対走行速度特性を概念的に表す。
【図17】本発明の実施例3.において、列車が走行性能の異なる車両編成Aと車両編成Bから構成される場合について、図14の処理が生成する列車力行性能の対走行速度特性を概念的に表す。
【図18】本発明の実施例4.に係る列車編成総括接続装置の構成を表す。
【図19】本発明の実施例4.に係る列車編成総括接続装置の処理の全体の流れを表す。
【図20】本発明の実施例4.に係る列車編成総括制御システムに関する分割運転時の情報の流れの様子を表す。
【図21】本発明の実施例4.に係る列車編成総括制御システムに関する併合運転時の情報の流れの様子を表す。
【図22】本発明の実施例4.に係る個別編成制御指令生成手段の内部の構成と情報の流れの様子を表す。
【図23】異なる車両編成が併合運転する場合、列車を構成する各車両編成に作用する力の様子の一例を表す。
【図24】異なる車両編成が併合運転する場合、列車を構成する各車両編成に作用する力の様子の一例を表す。
【図25】異なる車両編成が併合運転する場合、列車を構成する各車両編成に作用する力の様子の一例を表す。
【図26】本発明の実施例4.に係る列車・個別編成制御指令変換手段の力行制御に関する処理の流れを表す。
【図27】図26の処理で用いる列車・個別編成制御指令対応情報テーブルの一例を表す。
【図28】図26の処理で用いる列車・個別編成制御指令対応情報テーブルの内容情報生成処理の流れを表す。
【図29】本発明の実施例4.に係る個別編成制御指令生成手段の処理から得られる個別編成制御指令と、元の列車制御指令との関係を概念的に表す。
【図30】本発明の実施例5.に係る列車・個別編成制御指令変換手段の力行制御に関する処理の流れを表す。
【図31】図30の処理で用いる列車・個別編成制御指令対応情報テーブルの一例を表す。
【図32】図30の処理で用いる列車・個別編成制御指令対応情報テーブルの内容情報生成処理の流れを表す。
【図33】本発明の実施例5.に係る個別編成制御指令生成手段の処理から得られる個別編成制御指令と、元の列車制御指令との関係を概念的に表す。
【図34】本発明の実施例6.に係る個別編成制御指令生成手段の内部の構成と情報の流れの様子を表す。
【図35】本発明の実施例7.に係る個別編成制御指令生成手段の内部の構成と情報の流れの様子を表す。
【図36】本発明の実施例8.に係る個別編成制御指令生成手段の内部の構成と情報の流れの様子を表す。
【図37】本発明の実施例9.に係る列車制御システムの構成の一例を表す。
【図38】本発明の実施例9.に係る列車制御システムの構成の別の一例を表す。
【図39】本発明の実施例9.に係る列車制御システムの構成の更に別の一例を表す。
【図40】本発明の実施例9.に係る列車制御システムの構成の更にまた別の一例を表す。
【図41】本発明の実施例10.に係る列車制御システムの構成の一例を表す。
【図42】本発明の実施例11.に係る列車制御システムの構成の一例を表す。
【図43】本発明の実施例11.に係る列車制御システムの構成の別の一例を表す。
【図44】本発明の実施例12.に係る列車制御システムの構成の一例を表す。
【図45】本発明の実施例12.に係る列車制御システムの構成の別の一例を表す。

Claims (2)

  1. 列車全体の走行を一括に制御するための列車制御指令を決定する列車制御装置と、各車両編成を個別に走行制御する個別編成制御システムと、前記列車制御装置と前記個別編成制御システムの相互の情報交換を仲介する列車編成総括接続装置と、前記列車編成総括接続装置に接続された編成間連結装置とを有し、
    前記編成間連結装置は、他の車両編成の編成間連結装置と結合することで当該他の車両編成と相互に情報交換を行い、
    前記列車編成総括接続装置は、自車両編成の個別編成制御システムから自車両編成の走行性能を表す第一の個別編成性能情報を受け取るとともに、前記編成間連結装置から自車両編成に結合された前記他の車両編成の走行性能を表す第二の個別編成性能情報を受け取る個別編成情報入出力手段と、第一および第二の前記個別編成性能情報から列車の全体としての走行性能を表す列車編成総括性能情報を生成する列車編成総括性能生成手段と、当該列車編成総括性能情報を保持する列車編成総括性能登録手段を有し、
    前記列車制御装置は、前記列車編成総括性能登録手段の保持されている列車編成総括性能情報に基づいて列車制御指令を決定し、列車を制御する列車制御システム。
  2. 請求項1記載の列車制御システムであって、
    前記列車編成総括接続装置は、その個別編成制御指令生成手段に保持されている列車・個別編成制御指令対応情報テーブルを参照することにより、前記列車制御指令から前記自車両編成のための第一の個別編成制御指令を生成し、また前記他の車両編成のための第二の個別編成制御指令を生成し、前記個別編成情報入出力手段を介して前記第一の個別編成制御指令を自車両編成の前記個別編成システムに出力し、前記第二の個別編成制御指令を前記編成間連結装置を介して前記他の車両編成に出力する列車制御システム。
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