JP3557653B2 - ジグリセリド低減方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ジグリセリド含有油脂のジグリセリド含量の低減方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にトリグリセリド油脂(以下、単に「油脂」という)には数%から10数%のジグリセリド成分が含まれている。油脂に含まれるジグリセリドは、製品の品質(安定性、物性)に影響を及ぼすことが知られているが、特にチョコレート用油脂原料に含まれるジグリセリドは、製品であるチョコレートの融点、風味に悪影響を及ぼすため、これを低減することは重要である。従来の油脂の精製工程、すなわち脱ガム、脱酸、脱色および脱臭処理や、アセトン等の極性溶媒を用いた溶剤分別法はジグリセリドの分離に主眼を置いた技術ではなく、ジグリセリドを低減することは困難であった。
【0003】
ジグリセリドを積極的にトリグリセリドから分離・低減する方法としては、以前に吸着法が提案されている。これはシリカゲル、アルミナ等の吸着剤を充填したカラムに油脂を通液してジグリセリドを吸着させ、n−ヘキサン等の非極性溶媒で洗浄した後、アセトン等の極性溶媒でジグリセリドを脱着させる方法である。しかし、この方法には、▲1▼ランニングコストが高い、▲2▼吸着剤の充填、吸着及び脱着処理(洗浄、乾燥及び冷却等を含む)といった操作が繁雑である、というような欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決し、簡単に効率良く油脂のジグリセリド含量を低減するための方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく、鋭意研究を重ねた結果、ジグリセリド含有油脂を85〜98重量%のエタノール水溶液で処理したところ、意外にも、簡単に効率良くジグリセリドを低減できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1)ジグリセリド含有トリグリセリド油脂を85〜98重量%のエタノール水溶液で処理することを特徴とするジグリセリド低減方法、および
(2)エタノール水溶液のエタノール濃度が90〜95重量%である(1)のジグリセリド低減方法
を提供するものである。
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の対象となる油脂としては、ジグリセリドを含有する天然の油脂、合成油脂およびそれらを分別、硬化、加水分解、もしくはエステル交換等して得られた加工油脂、とりわけリパーゼの影響で部分加水分解物の生じた油脂が挙げられる。これらの油脂と85〜98重量%のエタノール水溶液を接触させてジグリセリド成分を低減する。油脂とエタノール溶液との接触は、混合、撹拌等の一般的方法で行うことができる。使用するエタノール水溶液のエタノール濃度は85〜98重量%程度が適当である。これより濃度が低いと重液(低ジグリセリド濃度にすべき油脂の画分)のジグリセリド濃度が充分に低下せず、反対に濃度が高いとトリグリセリドの軽液(高ジグリセリド濃度にすべきエタノール水溶液の画分)への移動が過剰になり重液の回収率が低下すると同時に、軽液のジグリセリド濃度が低くなる。好ましくは、エタノール濃度は90〜95重量%である。
【0008】
本発明における油脂とエタノール水溶液の混合比率は、抽出手段にもよるが概ね(油脂):(エタノール水溶液)=1:1〜10(重量比)の範囲にあり、1:3〜9(同)の範囲が一般に好ましい。エタノール水溶液の量を増やすほど、より効果的にジグリセリドを低減することが可能となるが、油脂の処理量が低下し、かつ下流の蒸留工程に負荷が掛かるなど経済的に非常に不利となる。また処理温度は、原料となる油脂が処理時液体である温度であればよい。
【0009】
重液を軽液(ジグリセリドに富む画分)と分別するには遠心分離等の公知の方法が使用できる。油脂と90〜95重量%エタノール水溶液の比重差(約0.1mg/ml)であれば静置状態でも分離は容易である。分離して得られた重液は、ジグリセリドの低減された油脂として用いることができるが、軽液はそのままリサイクルして抽剤として再使用してもよく、あるいは、蒸留等によって軽液からジグリセリドに富む油脂を回収し、乳化剤として使用することもできる。
【0010】
以上の処理は、油脂とエタノール水溶液を、公知の液液抽出装置へ供給することによって工業的実施が容易にできる。液液抽出装置としては、遠心力型、撹拌型、脈動型ないし振動型等の動力型のものであっても、流路混合型、重力沈降型の非動力型のものであってもよい。このように、本発明によるジグリセリドの低減は操作が簡単であるため、エタノール水溶液での油脂の処理、およびジグリセリドの分離操作を連続的に行うことも容易であり、工業的、経済的に有利である。
【0011】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
ジグリセリド濃度2.8重量%および3.7重量%の溶剤分別油脂(約20g)と84.9〜99.5重量%エタノール水溶液(約180g)を分液ロートに仕込み、常温で3分間振とうした後、油層とアルコール層が分離するまで静置した後、それぞれを分取しガスクロマトグラフィーでジグリセリドを分析した。軽液(高ジグリセリド画分)のジグリセリド濃度を原料油のジグリセリド濃度で除した数値を独自に濃縮率と定義し、低減効率は濃縮率に伴い上昇するという前提のもとに評価を行った(表1参照)。表中、歩留りは、重液中の油分と軽液中の油分の合計に対する重液中の油分の割合で表した。
【0012】
【表1】
【0013】
その結果、エタノール濃度90〜95重量%において、それぞれ濃縮率5.0および6.6〜7.1(このとき重液ジグリセリド濃度はそれぞれ0.9重量%および1.5〜2.2重量%)を示し、特に95重量%のときに濃縮率は極大になった。
【0014】
実施例2
十字流遠心抽出機(ローター外径430mm、回転数4,000rpm)にジグリセリド濃度2.9重量%の溶剤分別油脂(リパーゼを用いてエステル交換した油脂を溶剤分別して得た液体側画分)と93重量%エタノール水溶液をそれぞれ22.0kg/h、181.0kg/hで供給(重量比1:8.2)し、常温でジグリセリドの低減を行った。その結果、重液ジグリセリド濃度は1.5重量%まで低下し、歩留りは92.5%を維持していた。
【0015】
実施例3
円盤式多段液液抽出装置(塔高1,000mm、塔径108.3mm、回転数1,100rpm)にジグリセリド濃度約2.8重量%の溶剤分別油脂(リパーゼを用いてエステル交換した油脂を溶剤分別して得た中融点画分、融点35℃)と93重量%エタノール水溶液を供給(重量比1:2.4〜7.3)し、50℃でジグリセリドの低減を行った(表2参照)。その結果、重液ジグリセリド濃度は0.7重量%まで低下し、歩留りは90〜93%を維持していた。
【0016】
【発明の効果】
本発明によれば、油脂をエタノール水溶液で処理するという非常に簡単で経済的な方法により、油脂のジグリセリド含量を効率的に低減することができる。
Claims (2)
- ジグリセリド含有トリグリセリド油脂を85〜98重量%のエタノール水溶液と接触させ、油脂画分とエタノール水溶液画分とを両者の比重差により分離することにより油脂画分のジグリセリド量を低減させることを特徴とするジグリセリド低減方法。
- エタノール水溶液のエタノール濃度が90〜95重量%である請求項1記載のジグリセリド低減方法。
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