JP3557348B2 - ウォッシュオフ・オイルゲル化粧料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マッサージ化粧料などに好適な、オイルゲル化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
オイルゲル化粧料は、オイル成分を固体脂のつくる構造で系を安定させた系を用いた化粧料であり、主としてリップカラー、アイライナー、ファンデーション等のメークアップ化粧料に使用されている。これは、オイルゲル化粧料がかかる構造を有するために、水性成分に対して優れた化粧持ちを有するからである。しかしながら、この様な構造をつくるのに使用されている固体脂の使用感は、のびが重く、油っぽいと言う印象があるため、他の化粧料、例えば、マッサージ化粧料、クレンジング化粧料等への応用は、特開平9−59140号に記載のヒドロキシ脂肪酸で構造をつくり、親水性界面活性剤でウォッシュオフ機能を持たせた剤形程度しか知られていなかった。このものは、オイルゲルの乳化状態の反転によって、のびが変化しないと言う性質を良く利用したマッサージ料であって、心地よいマッサージが提供しうる上、ウォッシュオフしうると言う、従来にない画期的なものであった。しかしながら、のびやウォッシュオフの性能は更なる向上が望まれていた。
【0003】
一方、蔗糖脂肪酸エステルがオイルとともにこの様なオイルゲルに好適な構造をつくりうること及び蔗糖脂肪酸エステルと親水性界面活性剤とを含有するオイルゲルの存在及びこの様なオイルゲル組成物が、ヒドロキシ脂肪酸と親水性界面活性剤とを含有するオイルゲルに比して、のびが更に向上している上、ウオッシュオフ性に優れることは全く知られていなかった。
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この技術に基づき、このものを発展させ、更にのびとウォッシュオフ性を向上したオイルゲル化粧料を提供することを課題とする。
【0004】
【課題の解決手段】
本発明者らは、この様な状況に鑑み、更にのびとウォッシュオフ性を向上させたオイルゲル化粧料を求めて、鋭意オイルゲル組成物の製剤化研究を重ねた結果、蔗糖脂肪酸エステルと親水性界面活性剤とを含有するオイルゲル組成物にその様な性質を見いだし、発明を完成させるに至った。以下、本発明について、実施の形態を中心に詳細に説明を加える。
【0005】
【発明の実施の形態】
(1)本発明のオイルゲル化粧料の必須成分
本発明のオイルゲル化粧料は蔗糖脂肪酸エステルと親水性非イオン界面活性剤とを必須成分とする。ここで蔗糖脂肪酸エステルとは、蔗糖の水酸基に脂肪酸のカルボキシル基がエステル結合したものであって、医薬組成物や化粧料で広く使用されている。かかるエステル結合した脂肪酸としては、通常化粧料や医薬組成物で使用される脂肪酸であれば、既にその様な蔗糖脂肪酸エステルが既に知られており、市販されている。この様な脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等の飽和脂肪酸やオレイン酸やリノール酸のような不飽和脂肪酸が好ましく例示できる。これらの内更に好ましいものは飽和脂肪酸であり、中でもステアリン酸とパルミチン酸が特に好ましく、中でもステアリン酸:パルミチン酸=5:5〜9:1の比で含むものが特に好ましい。この様な蔗糖脂肪酸エステルとしては、第一工業製薬製のシュガーワックスS−10Eが市販品として好ましく例示できる。これら蔗糖脂肪酸エステルは、オイル成分とともにのびが良く、且つ、経時的な安定性に優れ、水性成分による洗浄により、きれいに洗い流せるオイルゲル構造を形成する作用を有する。更に加えて、この様な構造形成作用により、ウォッシュオフ性の阻害要因である固体脂の含有量を減量することも可能となる。本発明のオイルゲル化粧料に於ける好ましい含有量は0.1〜10重量%であり、更に好ましくは1〜5重量%である。これは、蔗糖脂肪酸エステルが少なすぎると、形成するゲル構造が弱くなり、安定性などに支障をきたす場合があり、多すぎると本発明の特徴である、ウォッシュオフ性を損なうことがあるからである。
【0006】
一方の必須成分である、本発明で言う親水性非イオン界面活性剤とは、HLB10以上の非イオン界面活性剤を意味する。これらの親水性非イオン界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル(アルケニル)エーテル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシブチレンポリグリセリンアルキル(アルケニル)エーテル等が好ましく例示できる。これらの内、特に好ましいものは、ポリオキシエチレンアルキル(アルケニル)エーテル及びポリオキシブチレンポリグリセリンアルキル(アルケニル)エーテルであり、ポリオキシエチレンアルキル(アルケニル)エーテルの場合、アルキル(アルケニル)基としては、イソステアリル基が好ましく、ポリオキシエチレンの平均付加モル数としては、10〜30モルがこのましい。ポリオキシブチレンポリグリセリンアルキル(アルケニル)エーテルのアルキル(アルケニル)基としては、ステアリル基が好ましく、ポリオキシブチレン及びポリグリセリンの付加モル数は、それぞれ10〜20が好ましい。これは、この様な親水性非イオン界面活性剤が、オイルゲル構造の阻害が少なく、のびが良く且つウォッシュオフ性に優れるからである。これら親水性非イオン界面活性剤の含有量は、1〜15重量%が好ましく、5〜10重量%が更に好ましい。更に好ましい形態は、これら好ましい3種の非イオン界面活性剤をそれぞれ1〜4重量%づつ含有することである。
【0007】
(2)本発明のオイルゲル化粧料に好ましい含有成分
本発明のオイルゲルには必須では無いが含有することが好ましい任意成分があり、具体的にそれらを例示すれば、不飽和高級アルコールとポリオキシエチレン付加グリセリントリ脂肪酸エステルが例示できる。かかる不飽和高級アルコールとしては、オレイルアルコール、ホホバアルコール、セラキルアルコール、ラノリンアルコール等が例示でき、これらの内ではホホバアルコールが特に好ましい。これらはマッサージに適したのび特性と固形脂等のウォッシュオフ促進作用を有するからである。本発明のオイルゲル化粧料に於いて好ましい不飽和アルコールの含有量は0.1〜10重量%であり、更に好ましくは1〜5重量%である。これは多すぎるとオイルゲルの構造を壊してしまう場合があり、少なすぎると上記の作用を発揮しない場合があるからである。一方のポリオキシエチレン付加グリセリントリ脂肪酸エステルの脂肪酸としてはイソステアリン酸が好ましく、ポリオキシエチレンの平均付加モル数としては、10〜30モルがこのましい。本発明のオイルゲル化粧料に於いて好ましいポリオキシエチレン付加グリセリントリ脂肪酸エステルの含有量は0.1〜10重量%であり、更に好ましくは1〜5重量%である。これは多すぎるとオイルゲルの構造を壊してしまう場合があり、少なすぎると上記の作用を発揮しない場合があるからである。
【0008】
更に、構造の一部をヒドロキシ脂肪酸のゲル構造に受け持たせることも好ましいことであり、従って、ヒドロキシ脂肪酸も本発明のオイルゲル化粧料には好ましい成分である。但し、上述如くヒドロキシ脂肪酸のみのゲル構造には好ましくない点もあるので、ヒドロキシ脂肪酸を含有させる場合には、この含有量は0.1〜3重量%程度に制限することが好ましい。このものを含有させることにより、ゲル構造の硬度を向上させることが出来るが、多すぎると本発明のオイルゲル化粧料の特徴の一つである、マッサージなどに適したのびの良さを損なうことがある。ヒドロキシ脂肪酸として好ましいものは、ヒドロキシステアリン酸である。
【0009】
又、本発明のオイルゲル化粧料をマッサージ料として用いる場合には、シリカゲル等の珪酸粉体を含有させることも好ましい。かかる珪酸粉体は、マッサージ時に適度な刺激を提供し、心地よさを向上させる作用がある。ここで、本発明で言う珪酸粉体とは、構造中にO−Si−Oの構造を含有する粉体であって、具体的には、シリカゲル、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、メチルシロキサン網状重合体等が好ましく例示できる。これらの内特に好ましいものは、シリカゲルである。かかる珪酸粉体の本発明のマッサージ用のオイルゲル化粧料における好ましい含有量は、1〜10重量%であり、更に好ましくは2〜5重量%である。
【0010】
(3)本発明のオイルゲル化粧料
本発明のオイルゲル化粧料は、上記必須成分を含有することを特徴とし、上記任意成分を好ましく含有する。これら以外に本発明のオイルゲル化粧料では、通常化粧料で使用される任意成分を含有させることが出来る。かかる任意成分としては、ワセリンやマイクロクリスタリンワックス等のような炭化水素類、ホホバ油やゲイロウ等のエステル類、牛脂、オリーブ油等のトリグリセライド類、セタノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール類、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸、グリセリンや1,3−ブタンジオール等の多価アルコール類、防腐剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、色素、粉体類等が好ましく例示できる。但し、本発明のオイルゲル化粧料の効果の点から、20℃でワックス状又は固体の油脂成分の含有量は、総量で20重量%以下、更に好ましくは18重量%以下であることが好ましい。これは本発明のオイルゲル化粧料が固体脂を減量し、のびをマッサージに好適なものにすることを特徴とするからである。本発明のオイルゲル化粧料は、この様な特性を生かして従来にない、快感を提供するマッサージ料に好適であるばかりでなく、オイルによる洗浄性を生かしたクレンジング化粧料、オイルによる耐水性を生かしたリップクリーム等化粧料であれば特段の限定無く適用することが可能である。勿論、最も好ましい適用はマッサージ料である。
【0011】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がこれら実施例にのみ限定を受けないことは言うまでもない。
【0012】
<実施例1>以下に示す処方に従って、本発明のオイルゲル化粧料1を作成した。即ち、処方成分を80℃で加熱・溶解し、攪拌しながら冷却してオイルゲル化粧料1を得た。このオイルゲル化粧料について、専門パネラーを用いて、のびの良さ、マッサージの快適さ、ウォッシュオフのしやすさを次の基準で判定した。即ち、基準は++:非常によい、+:良い、±:やや良い、−:悪いであった。比較品1として、特開平9−59140号に記載の技術に基づいたマッサージ料である、本発明のオイルゲル化粧料1のシュガーワックスS−10Eをヒドロキシステアリン酸に置換したものを、比較例2として、ポリグリセリル(13)ポリオキシブチレン(14)ステアリルエーテル(H.L.B.18、以下、ハイグリオールと言う。)とポリオキシエチレン(20)イソステアリルエーテル(H.L.B.12)をソルビタンセスキステアレート(H.L.B.3.7)に置換したものを、比較例3として、オイルゲル化粧料1のシュガーワックスS−10Eをヒドロキシステアリン酸に、ポリグリセリル(13)ポリオキシブチレン(14)ステアリルエーテル(H.L.B.18、以下、ハイグリオールと言う。)とポリオキシエチレン(20)イソステアリルエーテル(H.L.B.12)をソルビタンセスキステアレート(H.L.B.3.7)に置換したものを用いた。結果を表1に示す。これより、本発明のオイルゲル化粧料は、のび、使用時の快感、ウォッシュオフ性ともに優れていることがわかる。
(処方)
セタノール 0.1重量部
ホホバアルコール 2 重量部
シュガーワックスS−10E 3 重量部
マイクロクリスタリンワックス 6 重量部
固形パラフィン 6 重量部
低分子ポリエチレン 5 重量部
煙霧状シリカゲル 4 重量部
ハイグリオール 1 重量部
ポリオキシエチレン(20)イソステアリルエーテル 4 重量部
ポリオキシエチレン(20)グリセリルトリイソステアレート 3 重量部
ヒドロキシステアリン酸 2 重量部
流動パラフィン 63.9重量部
【0013】
【表1】
【0014】
<実施例2>
以下に示す処方に従って、本発明のオイルゲル化粧料2を作成した。即ち、処方成分を80℃で加熱・溶解し、攪拌しながら冷却してオイルゲル化粧料2を得た。このオイルゲル化粧料について、専門パネラーを用いて、実施例1と同様にのびの良さ、マッサージの快適さ、ウォッシュオフのしやすさを判定した。この結果、オイルゲル化粧料1には及ばないものの、これは優れたマッサージ化粧料であった。(のびの良さ+〜++、快感+〜++、ウォッシュオフ性++)これより、ヒドロキシステアリン酸のようなヒドロキシ脂肪酸が好ましい任意成分であること、しかしながらその含有量は0.1〜3重量%が好ましいこともわかる。
(処方)
セタノール 0.1重量部
ホホバアルコール 2 重量部
シュガーワックスS−10E 5 重量部
マイクロクリスタリンワックス 6 重量部
固形パラフィン 6 重量部
低分子ポリエチレン 5 重量部
煙霧状シリカゲル 4 重量部
ハイグリオール 1 重量部
ポリオキシエチレン(20)イソステアリルエーテル 4 重量部
ポリオキシエチレン(20)グリセリルトリイソステアレート 3 重量部
流動パラフィン 63.9重量部
【0015】
<実施例3>
以下に示す処方に従って、本発明のオイルゲル化粧料3を作成した。即ち、処方成分を80℃で加熱・溶解し、攪拌しながら冷却してオイルゲル化粧料3を得た。このオイルゲル化粧料について、専門パネラーを用いて、実施例1と同様にのびの良さ、マッサージの快適さ、ウォッシュオフのしやすさを判定した。この結果、オイルゲル化粧料1には及ばないものの、これは優れたマッサージ化粧料であった。(のびの良さ+〜++、快感+〜++、ウォッシュオフ性+〜++)これより、親水性非イオン界面活性剤はハイグリオール及びポリオキシエチレンイソステアリルエーテルの組み合わせが好ましいこともわかる。
(処方)
セタノール 0.1重量部
ホホバアルコール 2 重量部
シュガーワックスS−10E 3 重量部
マイクロクリスタリンワックス 6 重量部
固形パラフィン 6 重量部
低分子ポリエチレン 5 重量部
ポリオキシエチレン(20)イソステアリルエーテル 8 重量部
煙霧状シリカゲル 4 重量部
ヒドロキシステアリン酸 2 重量部
流動パラフィン 63.9重量部
【0016】
<実施例4〜6>
以下に示す処方に従って、本発明のオイルゲル化粧料4〜6を作成した。即ち、処方成分を80℃で加熱・溶解し、攪拌しながら冷却してオイルゲル化粧料4〜6を得た。このオイルゲル化粧料について、専門パネラーを用いて、実施例1と同様にのびの良さ、マッサージの快適さ、ウォッシュオフのしやすさを判定した。結果を表2に示す。これより本発明のオイルゲル化粧料に於いては、液体の高級アルコールを含有することが好ましいこと及び固体脂は20重量%以下が好ましいことがわかる。
(処方)
セタノール 0.1重量部
アルコール* 2 重量部
シュガーワックスS−10E 3 重量部
マイクロクリスタリンワックス 6 重量部
固形パラフィン 6 重量部
低分子ポリエチレン 5 重量部
煙霧状シリカゲル 4 重量部
ハイグリオール 1 重量部
ポリオキシエチレン(20)イソステアリルエーテル 4 重量部
ポリオキシエチレン(20)グリセリルトリイソステアレート 3 重量部
ヒドロキシステアリン酸 2 重量部
流動パラフィン 63.9重量部
*詳細は表2に記す。
【0017】
【表2】
【0018】
<実施例7〜11>
以下に示す処方に従って、本発明のオイルゲル化粧料4を作成した。即ち、処方成分を80℃で加熱・溶解し、攪拌しながら冷却してオイルゲル化粧料7を得た。このオイルゲル化粧料について、専門パネラーを用いて、実施例1と同様にのびの良さ、マッサージの快適さ、ウォッシュオフのしやすさを判定した。結果を表3に示す。これより、本発明のオイルゲル化粧料に於いては、珪酸粉体を含有することが好ましいことがわかる。
(処方)
セタノール 0.1重量部
ホホバアルコール 2 重量部
シュガーワックスS−10E 3 重量部
マイクロクリスタリンワックス 6 重量部
固形パラフィン 6 重量部
低分子ポリエチレン 5 重量部
表3に記載の化合物 4 重量部
ハイグリオール 1 重量部
ポリオキシエチレン(20)イソステアリルエーテル 4 重量部
ポリオキシエチレン(20)グリセリルトリイソステアレート 3 重量部
ヒドロキシステアリン酸 2 重量部
流動パラフィン 63.9重量部
【0019】
【表3】
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、のびとウォッシュオフ性を向上したオイルゲル化粧料を提供することができる。
Claims (4)
- 蔗糖脂肪酸エステルと親水性非イオン界面活性剤とを含有することを特徴とする、オイルゲル化粧料。
- 更に、不飽和高級アルコールを含有することを特徴とする、請求項1に記載のオイルゲル化粧料。
- 蔗糖脂肪酸エステルの含有量が0.1〜10重量%であり、親水性非イオン界面活性剤の含有量が1〜15重量%であり、不飽和高級アルコールの含有量が0.1〜10重量%であることを特徴とする、請求項2に記載のオイルゲル化粧料。
- マッサージ用の化粧料であることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載のオイルゲル化粧料。
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