JP3556760B2 - 湿式画像形成装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の湿式画像形成装置に係り、詳しくは、潜像担持体の表面に近接して設けられた回転ローラを用いて該表面に形成された潜像を現像することで画像形成を行う湿式画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
湿式画像形成装置として、周知の電子写真プロセスで潜像担持体としての感光体ドラムの表面に潜像を形成し、該潜像を液体キャリアにトナー粒子が分散されてなる現像液を用いて現像することでトナー像を形成し、このトナー像を記録紙等に転写して画像形成を行うものが知られている。この湿式画像形成装置においては、上記感光体ドラムの表面に近接した位置に回転ローラとしての現像ローラが設けられている。そして、この現像ローラが、その表面に現像液を担持しつつ感光体ドラムの表面における線速と一定の速度差を持つように回転し、感光体ドラムに現像液を供給することで潜像の現像を実現している。
【0003】
また、この湿式画像形成装置は、前記現像ローラにより感光体ドラムに供給された現像液の過剰な部分を除去する回転ローラとしてのスクイズローラを備えている。そして、このスクイズローラにより感光体ドラム表面の過剰な現像液が除去されることで、現像液が過剰であることに起因する画像不良が防止され、良好な画像形成が実現される。すなわち、感光体ドラム表面に必要以上の現像液が存在することに起因して、該表面で画像形成に用いられるトナー粒子が移動することにより生じるトナー像のつぶれや、文字太りの発生が防止され、良好な画像形成が実現されるようになる。
【0004】
また、この湿式画像形成装置は、感光体ドラムの表面に形成されたトナー像におけるトナー粒子を該表面へ静電的に押圧するための電界を形成する回転ローラとしての電界ローラを備えている。この電界ローラは、トナー像を形成する帯電トナー粒子に、該粒子と同極性の電界を付与することで各トナー粒子間における凝集力を増加させる機能も有する。そして、この電界ローラで各トナー粒子間の凝集力を増加させれば、トナー粒子が感光体ドラムの表面で移動することが防止され、該移動に起因する文字太り、トナー像つぶれ等が防止され良好な画像形成が実現されるようになる。
【0005】
さらに、この湿式画像形成装置は、上記各回転ローラ、すなわち、現像ローラ、スクイズローラ、及び電界ローラの各々の表面に圧接した状態で、各回転ローラの表面に付着した現像液を除去する現像液除去部材としてのスクレーパを備えている。このスクレーパは、各回転ローラの表面に残留する現像液を除去し該表面に残留する現像液の量を均一にすることで、これらの回転ローラを用いてその後になされる画像形成が良好に実現されるようにするものである。すなわち、回転ローラの表面に残留・付着する現像液の量が不均一となると、該回転ローラに近接する感光体ドラムの表面における現像液の量も不均一になる。そして、この感光体ドラム表面における不均一な状態の現像液が記録紙等に転写され画像形成がなされると、最終的に形成される画像にムラが生じてしまう。そこで、かかるムラの発生を防止するために、各回転ローラの表面に残留する現像液の量を均一にする現像液除去部材としてのスクレーパを設けているのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の湿式画像形成装置においては、各スクレーパが良好に機能しなくなり各回転ローラの表面における現像液の量が不均一になることに起因して、最終的に形成される画像にムラが生じることがある。以下、この原因について説明する。
【0007】
各スクレーパは、画像形成動作時に回転する回転ローラに圧接されるものである。よって、画像形成が繰り返しなされることで各回転ローラに圧接した状態にある各スクレーパの先端部等が磨耗してしまう。そして、この磨耗により該スクレーパが各回転ローラに均一に圧接しないようになり、該回転ローラ表面の現像液の量を均一にするという作用を良好に奏しえなくなってしまう。この場合、回転ローラ表面の現像液の量が不均一であることを原因として、最終的に形成される画像にスジが入ったり、その濃度が不均一になったりして良好な画像形成ができなくなるという弊害が生じてしまうのである。
【0008】
かかる弊害は、傷がついた現像液除去部材を交換することで解消することができる。しかしながら、この交換作業は繁雑であり、費用もかかるため必ずしも好ましい対策とは評価し難い。
【0009】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、回転ローラの表面に圧接される現像液除去部材が磨耗し、該回転ローラ表面に付着する現像液の量が不均一になることに起因して生じる画像不良を防止し、良好な画像形成を実現する湿式画像形成装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を解決するために、本発明は、表面に潜像が形成される潜像担持体と、前記潜像担持体の表面に近接して設けられた、その表面における線速が該潜像担持体の表面における線速と速度差を持つように回転する回転ローラと、前記回転ローラの表面に圧接され、該回転ローラの表面に付着した液体キャリアにトナー粒子が分散されてなる現像液を、その圧接力により除去する現像液除去部材と、を備えた湿式画像形成装置において、前記現像液除去部材が、ボロンまたはフッ素を含有する表面層を有し、かつ、前記回転ローラに接する端部が該回転ローラの円弧と略同一の円弧を描く形状となっていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の湿式画像形成装置においては、現像剤除去部材が、材料そのものが滑りやすい性質(以下、自己潤滑性という)を有する材料であるボロン(ホウ素)またはフッ素を含有する表面層を有しているため、回転ローラに圧接されても、その自己潤滑性により現像液除去部材が磨耗しにくくなる。
さらに、該現像剤除去部材における回転ローラに接する端部が該回転ローラの円弧と略同一の円弧を描く形状となっているため、現像液除去部材が磨耗しても、該部材の回転ローラに圧接する部分の面積が経時的に変化することがない。よって、該部分の面積の変化に起因して、現像液除去部材の回転ローラから現像液を除去する能力が変化して、回転ローラに保持される現像液の量が経時的に変化することが防止される。
【0012】
また、本発明の湿式画像形成装置は、回転ローラもボロンまたはフッ素を含有する表面層を有することを特徴とするものである。回転ローラが、材料そのものが滑りやすい性質を有する材料であるボロンまたはホウ素を含有する材料からなる表面層を有しているため、回転ローラに現像液除去部材が圧接されても、その自己潤滑性により該回転ローラが磨耗しにくくなる。
【0013】
また、本発明の湿式画像形成装置は、前記回転ローラの表面層におけるボロンまたはフッ素の含有率が、前記現像液除去部材の表面層におけるボロンまたはフッ素の含有率よりも高いことを特徴とするものである。これにより、回転ローラ表面が、現像液除去部材表面における自己潤滑性よりも高い自己潤滑性を有するようになり、回転した状態にある回転ローラに現像液除去部材が圧接された際に、現像液除去部材よりも回転ローラが磨耗しにくくなる。
【0014】
回転ローラは、その表面に前記現像液を担持し、該現像液で前記潜像を現像する現像ローラ、潜像担持体の表面に付着した前記現像液を除去するスクイズローラ、あるいは、潜像担持体の表面に付着する前記トナー粒子を、該表面に静電的に押圧するための電界を形成する電界ローラのいずれでもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を湿式画像形成装置である電子写真複写機(以下、複写機という)に適用した一実施形態について説明する。図2は本実施形態に係る複写機の概略構成を示す正面図である。この装置は、転写ベルト2、従動ローラ3、駆動ローラ4等からなる搬送ユニット5、転写ベルト2が搬送する記録紙1に順次トナー像を形成する、イエロートナー像形成ユニットY、マゼンダトナー像形成ユニットM、シアントナー像形成ユニットC、ブラックトナー像形成ユニットB、記録紙に形成されたトナー像を定着する定着装置14等を備えている。
【0016】
また、装置本体下部には給紙装置16が設けられていて、この給紙装置16から給紙された記録紙1は、給紙装置16の近傍に設けられた給紙機構17により転写ベルト2へと搬送される。転写ベルト2は、図示しない駆動機構により駆動される駆動ローラ4と従動ローラ3とにより支持され、駆動ローラ4から伝達される回転駆動力により各トナー像形成ユニットY、M、C、Bに設けられた潜像担持体としての感光体ドラム6と同速度で回転する。そして、この転写ベルト2により下方から搬送されてきた記録紙1に、イエロートナー像形成ユニットYがイエロートナー像を、マゼンダトナー像形成ユニットMがマゼンダトナー像を、シアントナー像形成ユニットCがマゼンダトナー像を、ブラックトナー像形成ユニットBがブラックトナー像をそれぞれ形成し、これらの各トナー像は記録紙1表面で重合わされる。また、色重ねの完了した記録紙1は、従動ローラ3の近傍に設けられた分離チャージャ13により転写ベルト2から分離され、装置本体上部に設けられた定着装置14でトナー像が定着された後、排紙トレイ15に排紙される。
【0017】
上記定着装置14は、記録紙1と該記録紙表面に分散する現像液とを加熱して、現像液中のトナーを溶融することにより該トナーを記録紙1に定着させるものである。
【0018】
上記トナー像形成ユニットについて説明する。なお、各トナー像形成ユニットY、M、C、Bの構成は同一であるので、イエロートナー像形成ユニットYについてのみ説明し、他のトナー像形成ユニットM、C、Bについては、イエロートナー像形成ユニットYと同一の符号を付すに止めその説明は省略する。
【0019】
図3は、イエロートナー像形成ユニットYの概略構成を示す正面図である。イエロートナー像形成ユニットYにおいて、感光体ドラム6の周辺には、帯電装置7、露光装置8、現像装置9、転写装置10、クリーニング装置11(図2参照)、除電装置12が配置されている。そして、この複写機では、液体キャリアにトナーが分散してなる現像液を用いる湿式現像装置を現像装置9として採用している。そこで、現像液が現像装置9から漏れ出すことにより感光体ドラム6表面に形成されたトナー像が乱されることを防止するため、図示のように現像装置9は感光体ドラム6の下方に設けられている。また、転写装置10は感光体ドラム6の側方に、クリーニング装置11は感光体ドラム6の上方に配置され、複写機全体として各トナー像形成ユニットY、M、C、Bを縦に配列し、転写ベルト2で記録紙1を下から上へ縦方向に搬送するレイアウトを採用している。
【0020】
上記現像装置9について説明を加える。現像装置9においては、現像容器151内に、感光体ドラム6の回転方向上流から順に、回転ローラとしての現像ローラ152、同じく回転ローラとしてのスクイズローラ157、及び、同じく回転ローラとしての電界ローラ160が感光体ドラム1と近接対向して配置されている。
【0021】
上記現像ローラ152は、図示されないモータ等の駆動手段によって矢印a方向に回転する感光体ドラム6と逆回転方向である矢印b方向へ回転駆動されるものであり、その上方には、現像ローラ152へ現像液を供給する現像液供給部154が配設されている。また、現像ローラ152の図中右側には現像液除去部材としての現像ローラスクレーパ155がその端部を現像ローラ152の外周表面上に接触させた状態で配設されている。そして、現像液供給部154から供給された液体キャリアにトナーが分散されてなる現像液は現像ローラ152と現像ローラ現像ローラスクレーパ155とによって形成される楔状部156に溜り、現像ローラ152の回転によって感光体ドラム6と現像ローラ152とが対向する現像部に供給される。また、現像ローラスクレーパ155は、楔状部156を形成するのみならず、その圧接力により現像ローラ152の表面から現像液を除去する機能をも果たす。
【0022】
上記スクイズローラ157は図示されないモータ等の駆動手段によって、感光体ドラム6と同方向である矢印c方向へ回転駆動されることにより、現像後の感光体ドラム6上の余剰キャリア液をスクイズ(除去)する。また、スクイズローラ157の感光体ドラム6との対向領域よりも回転方向下流側には、現像液除去部材としてのスクイズローラスクレーパ158がスクイズローラ157外周表面上にその端部が圧接するように設けられている。そして、このスクイズローラスクレーパ158は、スクイズローラ157の表面に付着した現像液をその圧接力により除去する。
【0023】
上記電界ローラ160は感光体ドラム6と50μmの間隔で設けられている。そして、この電界ローラ160には、図示を省略する電圧印加手段からトナーと同極性の電圧が印加され、感光体ドラム6と電界ローラ160との間にトナー粒子を感光体ドラム6に押し付ける方向の電界を発生させるものである。印加する電圧としては、直流電圧で構わないが、直流電圧に交流電圧を重畳させてもよい。交流電圧を重畳すると、周波数の条件や直流分の電圧設定によって、トナー粒子を押圧する条件を広範囲に設定することが可能となる。また、電界ローラ160は任意の方向に回転するとともに、表面にその端部が圧接される状態で現像液除去部材としての電界ローラスクレーパ161が設けられている。この電界ローラスクレーパ161は、電界ローラ160の表面に付着した現像液をその圧接力により除去するものである。
【0024】
以上で説明したように、現像ローラ152には現像ローラスクレーパ155が、スクイズローラ157にはスクイズローラスクレーパ158が、また、電界ローラスクレーパ160には電界ローラスクレーパ161が、それぞれ圧接されている。そして、これらの各スクレーパが各ローラの表面から現像液を除去することで、各ローラ表面に付着する現像液の量を均一にする。よって、各ローラ表面に付着する現像液の量が不均一になることに起因して最終的に形成される画像にムラが生じることが防止され、良好な画像形成が実現されることになる
【0025】
しかしながら、画像形成動作が繰り返されることにより各スクレーパの各回転ローラに圧接される部分が磨耗してしまう。この場合、各スクレーパと各ローラとの圧接状態が不均一になり、各ローラ表面における現像液の量が不均一になることに起因して、最終的に形成される画像にムラが発生してしまうことがある。
【0026】
そこで、この複写機においては、各スクレーパ(現像ローラスクレーパ155、スクイズローラスクレーパ158、電界ローラスクレーパ161)として、ボロンまたはフッ素を含有する表面層を有するスクレーパを用いて、該スクレーパが磨耗することに起因する画像不良を防止せんとしている。以下、かかるスクレーパについて説明を加える。なお、現像ローラスクレーパ155、スクイズローラスクレーパ158、電界ローラスクレーパ161の構成は同一であるので、現像ローラスクレーパ155の構成についてのみ説明し、他のスクレーパの構成についての説明は省略する。
【0027】
図1は、この複写機の要部を示す説明図であり、図3に示す現像ローラ152の周辺を拡大して示す説明図である。図1に示すように、現像ローラスクレーパ155は、母材155aと該母材に付着したボロン(ホウ素)またはフッ素を含有する表面層155bとからなる。ここで、表面層155bは、材料そのものが滑りやすい性質を有する材料であるボロンまたはホウ素を含むので、回転した状態にある現像ローラ152に押しつけられても磨耗しにくくなるのである。よって、スクレーパ155が磨耗し現像ローラ152の表面に保持される現像液の量が不均一になることに起因して、形成される画像にムラが生じることが防止され、良好な画像形成が実現されるようになる。上記表面層155bを形成するには、母材155aに対してNiPBによるメッキ、またはNiPBにフッ素を加えた材料によるメッキを施せばよい。これにより、簡単に表面層155bの形成を行うことができるようになる。
【0028】
しかしながら、メッキにより表面層155bを形成した場合、スクレーパ155の端部においてメッキが不均一に異常成長して、この異常成長した部分が突起となることがある。図4(a)は、その端部155cに突起が形成された状態にあるスクレーパ155が、現像ローラ152に圧接された状態を示す説明図である。同図に示すように、突起部が形成された状態にある端部155cを現像ローラ152に圧接させた場合、スクレーパ155と該ローラとをに均一に圧接させることは困難である。よって、該スクレーパを用いて現像ローラ152表面に残留する現像液を除去しても、該ローラ表面における現像液の分布を均一な状態とすることはできなくなってしまう。そして、この場合、最終的に記録紙1に形成される画像におけるトナーの分布状態も不均一となり、該画像がムラのあるものなってしまうのである。特に、突起が発生したことで現像ローラ152にスクレーパ155が接触しない部分が生じた場合、該部分からは現像液が全く除去されなくなり、画像に与える悪影響は顕著なものとなってしまう。
【0029】
そこで、この複写機においては、スクレーパ155にメッキにより表面層155bを形成する場合、該スクレーパの現像ローラ152に接する部分に生じた突起部を除去することで画像不良の発生を防止せんとしている。図4(b)は、現像ローラ152に接する部分に生じた突起部を除去した状態にあるスクレーパ155が、現像ローラ152に圧接される様子を示す説明図である。同図に示すように突起を除去されたスクレーパを用いれば、たとえメッキにより表面層155bが形成されたスクレーパであっても、現像ローラ152に該スクレーパを均一に圧接させることができるようになる。
【0030】
以上で説明したようにスクレーパ155には材料そのものが滑りやすい性質を有する材料からなる表面層155bが設けられている。よって、従来のスクレーパと比較して該スクレーパは磨耗しにくい。しかしながら、長時間にわたって画像形成動作を繰り返すことにより、たとえ表面層155bを設けたとしてもスクレーパ155には磨耗が生じることになり、該磨耗により形成される画像に悪影響が生じる。以下、具体的に説明する。
【0031】
図5は、この複写機に取り付けられた現像ローラスクレーパ155が磨耗する様子を示す説明図である。そして、図5(a)は磨耗していない状態のスクレーパ155が組み付けられた様子を示し、図5(b)は画像形成動作を繰り返すことによりスクレーパ155が磨耗した後の様子を示している。同図に示すように、画像形成動作が繰り返されてスクレーパ155が磨耗すると、該スクレーパの現像ローラ152に圧接する部分の面積が増加する。そして、これにより、該スクレーパの現像ローラ152から現像液を除去する能力が変化し、この変化が最終的に記録紙1に形成される画像品質の経時的変化を引き起こすのである。
【0032】
そこで、この複写機においては、たとえ磨耗が生じても現像ローラ152に圧接する部分の面積が略一定となるようなスクレーパを用いて、先述の弊害を解消することが望ましい。以下、具体的に説明する。
【0033】
図6は、変形例にかかる現像ローラスクレーパ155を示す説明図であり、たとえ磨耗が生じても現像ローラ152に圧接される部分の面積が略一定となるスクレーパを示す説明図である。ここで、図6(a)は該スクレーパが磨耗していない様子を示し、図6(b)は該スクレーパが磨耗した後の様子を示している。このスクレーパ155は、現像ローラ152に接する部分である端部155cが該ローラの円弧と略同一の円弧を描く形状に加工されている。そして、先に説明したスクレーパと同様に、その表面には、ボロンまたはフッ素を含有する表面層155bを備えている。また、該表面層の厚さは、20マイクロメータ以上とすることが望ましい。
【0034】
この現像ローラスクレーパ155を用いれば、該スクレーパ155の現像ローラ152に圧接する部分である端部155cが磨耗しても、この端部155cにおける表面層155bの厚さが変化するだけで、現像ローラ152に圧接する部分の面積は略一定に保たれる。よって、該部分の面積が変化することに起因して最終的に形成される画像の品質が経時的に変化することが防止され、継続して高画質な画像形成がなされることになる。
【0035】
また、この複写機において、各スクレーパ(現像ローラスクレーパ155、スクイズローラスクレーパ158、電界ローラスクレーパ161)にボロンまたはフッ素を含有する表面層を設けることと併せて、各回転ローラ(現像ローラ152、スクイズローラ157、電界ローラ160)にもボロンまたはフッ素を含有する表面層を設けることが望ましい。各回転ローラに該表面層を設ければ、該ローラが画像形成動作が繰り返されることにより磨耗することが防止され、該磨耗による画質の低下が生じることがなくなり、より良好な画像形成が実現されるようになる。
【0036】
また、各回転ローラにボロン等を含む表面層を形成するに際しては、各回転ローラの表面層におけるボロンまたはフッ素の含有率を、各スクレーパの表面層におけるボロンまたはフッ素の含有率よりも高くすることが望ましい。かかる構成を採用すれば、各回転ローラの表面層が有する自己潤滑性が各スクレーパの表面層が有する自己潤滑性よりも高くなる。よって、各回転ローラがより磨耗しにくくなる。そして、これにより高価な部品である回転ローラの回転頻度を少なくし、メンテナンスに要する費用を低くすることができるようになる。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、現像液除去部材に自己潤滑性を有する材料であるボロンまたはフッ素を含有する表面層が設けられている。よって、回転した状態にある回転ローラに現像液除去部材が圧接されても、該現像液除去部材は磨耗しにくくなる。よって、磨耗した状態の現像液除去部材が回転ローラ表面の現像液の除去に用いられることを原因として、該表面における現像液の分布が不均一になることが防止る。そして、これにより回転ローラ表面の現像液の量が不均一となることで、該回転ローラに近接する感光体ドラムの表面における現像液の量が不均一になることもまた防止される。以上より、この不均一な状態の現像液が記録紙等に転写されて画像形成がなされることにより生じる画像ムラの発生が抑えられ、良好な画像形成が実現されるようになる。
【0038】
さらに、本発明では、現像液除去部材の回転ローラに接する端部が該回転ローラの円弧と略同一を描く形状となっており、潜像液除去部材の回転ローラに圧接する部分の面積が変化することに起因して、該回転ローラに担持される現像液の量が経時的に変化することが防止される。よって、該現像液の量が経時的に変化することで、最終的に形成される画像の品質が経時的に変化することも防止され、良好な画像形成がなされるようになる。
【0039】
また、本発明によれば、回転ローラに自己潤滑性を有する材料であるボロンまたはフッ素を含有する表面層が設けられている。よって、回転した状態にある回転ローラに現像液除去部材が圧接されても、該回転ローラは磨耗しにくくなる。これにより、回転ローラが磨耗・劣化することに起因する画像不良の発生が防止され、より良好な画像形成が実現されるようになる。
【0040】
また、本発明によれば、回転ローラの表面層におけるボロンまたはフッ素の含有率が、現像液除去部材の表面層におけるボロンまたはフッ素の含有率よりも高くなっており、回転した状態にある回転ローラに現像液除去部材が圧接された際に、現像液除去部材よりも回転ローラが磨耗しにくくなる。よって、現像液除去部材よりも高価な部材である回転ローラを交換する頻度を少なくすることができ、メンテナンスに要する費用を低くすることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態にかかる複写機の現像ローラの周辺を拡大して示す正面図。
【図2】同複写機の概略構成を示す正面図。
【図3】同複写機が備えたイエロートナー像形成ユニットの概略構成を示す正面図。
【図4】同複写機に取り付けられた突起が生じた状態にあるスクレーパを示す正面図。
【図5】同複写機に取り付けられたスクレーパが磨耗する様子を示す説明図。
【図6】同複写機に取り付けられた変形例にかかるスクレーパを示す説明図。
【符号の説明】
1 記録紙
2 転写ベルト
3 従動ローラ
4 駆動ローラ
5 搬送ユニット
6 感光体ドラム(潜像担持体)
7 帯電装置
8 露光装置
9 現像装置
10 転写装置
11 クリーニング装置
12 除電装置
13 分離チャージャ
14 定着装置
15 排紙トレー
16 給紙装置
17 給紙機構
151 現像容器
152 現像ローラ(回転ローラ)
154 現像液供給部
155 現像ローラスクレーパ(現像液除去部材)
155a 母材
155b 表面層
156 楔状部
157 スクイズローラ(回転ローラ)
158 スクイズローラスクレーパ(現像液除去部材)
160 電界ローラ(回転ローラ)
161 電界ローラスクレーパ(現像液除去部材)
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の湿式画像形成装置に係り、詳しくは、潜像担持体の表面に近接して設けられた回転ローラを用いて該表面に形成された潜像を現像することで画像形成を行う湿式画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
湿式画像形成装置として、周知の電子写真プロセスで潜像担持体としての感光体ドラムの表面に潜像を形成し、該潜像を液体キャリアにトナー粒子が分散されてなる現像液を用いて現像することでトナー像を形成し、このトナー像を記録紙等に転写して画像形成を行うものが知られている。この湿式画像形成装置においては、上記感光体ドラムの表面に近接した位置に回転ローラとしての現像ローラが設けられている。そして、この現像ローラが、その表面に現像液を担持しつつ感光体ドラムの表面における線速と一定の速度差を持つように回転し、感光体ドラムに現像液を供給することで潜像の現像を実現している。
【0003】
また、この湿式画像形成装置は、前記現像ローラにより感光体ドラムに供給された現像液の過剰な部分を除去する回転ローラとしてのスクイズローラを備えている。そして、このスクイズローラにより感光体ドラム表面の過剰な現像液が除去されることで、現像液が過剰であることに起因する画像不良が防止され、良好な画像形成が実現される。すなわち、感光体ドラム表面に必要以上の現像液が存在することに起因して、該表面で画像形成に用いられるトナー粒子が移動することにより生じるトナー像のつぶれや、文字太りの発生が防止され、良好な画像形成が実現されるようになる。
【0004】
また、この湿式画像形成装置は、感光体ドラムの表面に形成されたトナー像におけるトナー粒子を該表面へ静電的に押圧するための電界を形成する回転ローラとしての電界ローラを備えている。この電界ローラは、トナー像を形成する帯電トナー粒子に、該粒子と同極性の電界を付与することで各トナー粒子間における凝集力を増加させる機能も有する。そして、この電界ローラで各トナー粒子間の凝集力を増加させれば、トナー粒子が感光体ドラムの表面で移動することが防止され、該移動に起因する文字太り、トナー像つぶれ等が防止され良好な画像形成が実現されるようになる。
【0005】
さらに、この湿式画像形成装置は、上記各回転ローラ、すなわち、現像ローラ、スクイズローラ、及び電界ローラの各々の表面に圧接した状態で、各回転ローラの表面に付着した現像液を除去する現像液除去部材としてのスクレーパを備えている。このスクレーパは、各回転ローラの表面に残留する現像液を除去し該表面に残留する現像液の量を均一にすることで、これらの回転ローラを用いてその後になされる画像形成が良好に実現されるようにするものである。すなわち、回転ローラの表面に残留・付着する現像液の量が不均一となると、該回転ローラに近接する感光体ドラムの表面における現像液の量も不均一になる。そして、この感光体ドラム表面における不均一な状態の現像液が記録紙等に転写され画像形成がなされると、最終的に形成される画像にムラが生じてしまう。そこで、かかるムラの発生を防止するために、各回転ローラの表面に残留する現像液の量を均一にする現像液除去部材としてのスクレーパを設けているのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の湿式画像形成装置においては、各スクレーパが良好に機能しなくなり各回転ローラの表面における現像液の量が不均一になることに起因して、最終的に形成される画像にムラが生じることがある。以下、この原因について説明する。
【0007】
各スクレーパは、画像形成動作時に回転する回転ローラに圧接されるものである。よって、画像形成が繰り返しなされることで各回転ローラに圧接した状態にある各スクレーパの先端部等が磨耗してしまう。そして、この磨耗により該スクレーパが各回転ローラに均一に圧接しないようになり、該回転ローラ表面の現像液の量を均一にするという作用を良好に奏しえなくなってしまう。この場合、回転ローラ表面の現像液の量が不均一であることを原因として、最終的に形成される画像にスジが入ったり、その濃度が不均一になったりして良好な画像形成ができなくなるという弊害が生じてしまうのである。
【0008】
かかる弊害は、傷がついた現像液除去部材を交換することで解消することができる。しかしながら、この交換作業は繁雑であり、費用もかかるため必ずしも好ましい対策とは評価し難い。
【0009】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、回転ローラの表面に圧接される現像液除去部材が磨耗し、該回転ローラ表面に付着する現像液の量が不均一になることに起因して生じる画像不良を防止し、良好な画像形成を実現する湿式画像形成装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を解決するために、本発明は、表面に潜像が形成される潜像担持体と、前記潜像担持体の表面に近接して設けられた、その表面における線速が該潜像担持体の表面における線速と速度差を持つように回転する回転ローラと、前記回転ローラの表面に圧接され、該回転ローラの表面に付着した液体キャリアにトナー粒子が分散されてなる現像液を、その圧接力により除去する現像液除去部材と、を備えた湿式画像形成装置において、前記現像液除去部材が、ボロンまたはフッ素を含有する表面層を有し、かつ、前記回転ローラに接する端部が該回転ローラの円弧と略同一の円弧を描く形状となっていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の湿式画像形成装置においては、現像剤除去部材が、材料そのものが滑りやすい性質(以下、自己潤滑性という)を有する材料であるボロン(ホウ素)またはフッ素を含有する表面層を有しているため、回転ローラに圧接されても、その自己潤滑性により現像液除去部材が磨耗しにくくなる。
さらに、該現像剤除去部材における回転ローラに接する端部が該回転ローラの円弧と略同一の円弧を描く形状となっているため、現像液除去部材が磨耗しても、該部材の回転ローラに圧接する部分の面積が経時的に変化することがない。よって、該部分の面積の変化に起因して、現像液除去部材の回転ローラから現像液を除去する能力が変化して、回転ローラに保持される現像液の量が経時的に変化することが防止される。
【0012】
また、本発明の湿式画像形成装置は、回転ローラもボロンまたはフッ素を含有する表面層を有することを特徴とするものである。回転ローラが、材料そのものが滑りやすい性質を有する材料であるボロンまたはホウ素を含有する材料からなる表面層を有しているため、回転ローラに現像液除去部材が圧接されても、その自己潤滑性により該回転ローラが磨耗しにくくなる。
【0013】
また、本発明の湿式画像形成装置は、前記回転ローラの表面層におけるボロンまたはフッ素の含有率が、前記現像液除去部材の表面層におけるボロンまたはフッ素の含有率よりも高いことを特徴とするものである。これにより、回転ローラ表面が、現像液除去部材表面における自己潤滑性よりも高い自己潤滑性を有するようになり、回転した状態にある回転ローラに現像液除去部材が圧接された際に、現像液除去部材よりも回転ローラが磨耗しにくくなる。
【0014】
回転ローラは、その表面に前記現像液を担持し、該現像液で前記潜像を現像する現像ローラ、潜像担持体の表面に付着した前記現像液を除去するスクイズローラ、あるいは、潜像担持体の表面に付着する前記トナー粒子を、該表面に静電的に押圧するための電界を形成する電界ローラのいずれでもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を湿式画像形成装置である電子写真複写機(以下、複写機という)に適用した一実施形態について説明する。図2は本実施形態に係る複写機の概略構成を示す正面図である。この装置は、転写ベルト2、従動ローラ3、駆動ローラ4等からなる搬送ユニット5、転写ベルト2が搬送する記録紙1に順次トナー像を形成する、イエロートナー像形成ユニットY、マゼンダトナー像形成ユニットM、シアントナー像形成ユニットC、ブラックトナー像形成ユニットB、記録紙に形成されたトナー像を定着する定着装置14等を備えている。
【0016】
また、装置本体下部には給紙装置16が設けられていて、この給紙装置16から給紙された記録紙1は、給紙装置16の近傍に設けられた給紙機構17により転写ベルト2へと搬送される。転写ベルト2は、図示しない駆動機構により駆動される駆動ローラ4と従動ローラ3とにより支持され、駆動ローラ4から伝達される回転駆動力により各トナー像形成ユニットY、M、C、Bに設けられた潜像担持体としての感光体ドラム6と同速度で回転する。そして、この転写ベルト2により下方から搬送されてきた記録紙1に、イエロートナー像形成ユニットYがイエロートナー像を、マゼンダトナー像形成ユニットMがマゼンダトナー像を、シアントナー像形成ユニットCがマゼンダトナー像を、ブラックトナー像形成ユニットBがブラックトナー像をそれぞれ形成し、これらの各トナー像は記録紙1表面で重合わされる。また、色重ねの完了した記録紙1は、従動ローラ3の近傍に設けられた分離チャージャ13により転写ベルト2から分離され、装置本体上部に設けられた定着装置14でトナー像が定着された後、排紙トレイ15に排紙される。
【0017】
上記定着装置14は、記録紙1と該記録紙表面に分散する現像液とを加熱して、現像液中のトナーを溶融することにより該トナーを記録紙1に定着させるものである。
【0018】
上記トナー像形成ユニットについて説明する。なお、各トナー像形成ユニットY、M、C、Bの構成は同一であるので、イエロートナー像形成ユニットYについてのみ説明し、他のトナー像形成ユニットM、C、Bについては、イエロートナー像形成ユニットYと同一の符号を付すに止めその説明は省略する。
【0019】
図3は、イエロートナー像形成ユニットYの概略構成を示す正面図である。イエロートナー像形成ユニットYにおいて、感光体ドラム6の周辺には、帯電装置7、露光装置8、現像装置9、転写装置10、クリーニング装置11(図2参照)、除電装置12が配置されている。そして、この複写機では、液体キャリアにトナーが分散してなる現像液を用いる湿式現像装置を現像装置9として採用している。そこで、現像液が現像装置9から漏れ出すことにより感光体ドラム6表面に形成されたトナー像が乱されることを防止するため、図示のように現像装置9は感光体ドラム6の下方に設けられている。また、転写装置10は感光体ドラム6の側方に、クリーニング装置11は感光体ドラム6の上方に配置され、複写機全体として各トナー像形成ユニットY、M、C、Bを縦に配列し、転写ベルト2で記録紙1を下から上へ縦方向に搬送するレイアウトを採用している。
【0020】
上記現像装置9について説明を加える。現像装置9においては、現像容器151内に、感光体ドラム6の回転方向上流から順に、回転ローラとしての現像ローラ152、同じく回転ローラとしてのスクイズローラ157、及び、同じく回転ローラとしての電界ローラ160が感光体ドラム1と近接対向して配置されている。
【0021】
上記現像ローラ152は、図示されないモータ等の駆動手段によって矢印a方向に回転する感光体ドラム6と逆回転方向である矢印b方向へ回転駆動されるものであり、その上方には、現像ローラ152へ現像液を供給する現像液供給部154が配設されている。また、現像ローラ152の図中右側には現像液除去部材としての現像ローラスクレーパ155がその端部を現像ローラ152の外周表面上に接触させた状態で配設されている。そして、現像液供給部154から供給された液体キャリアにトナーが分散されてなる現像液は現像ローラ152と現像ローラ現像ローラスクレーパ155とによって形成される楔状部156に溜り、現像ローラ152の回転によって感光体ドラム6と現像ローラ152とが対向する現像部に供給される。また、現像ローラスクレーパ155は、楔状部156を形成するのみならず、その圧接力により現像ローラ152の表面から現像液を除去する機能をも果たす。
【0022】
上記スクイズローラ157は図示されないモータ等の駆動手段によって、感光体ドラム6と同方向である矢印c方向へ回転駆動されることにより、現像後の感光体ドラム6上の余剰キャリア液をスクイズ(除去)する。また、スクイズローラ157の感光体ドラム6との対向領域よりも回転方向下流側には、現像液除去部材としてのスクイズローラスクレーパ158がスクイズローラ157外周表面上にその端部が圧接するように設けられている。そして、このスクイズローラスクレーパ158は、スクイズローラ157の表面に付着した現像液をその圧接力により除去する。
【0023】
上記電界ローラ160は感光体ドラム6と50μmの間隔で設けられている。そして、この電界ローラ160には、図示を省略する電圧印加手段からトナーと同極性の電圧が印加され、感光体ドラム6と電界ローラ160との間にトナー粒子を感光体ドラム6に押し付ける方向の電界を発生させるものである。印加する電圧としては、直流電圧で構わないが、直流電圧に交流電圧を重畳させてもよい。交流電圧を重畳すると、周波数の条件や直流分の電圧設定によって、トナー粒子を押圧する条件を広範囲に設定することが可能となる。また、電界ローラ160は任意の方向に回転するとともに、表面にその端部が圧接される状態で現像液除去部材としての電界ローラスクレーパ161が設けられている。この電界ローラスクレーパ161は、電界ローラ160の表面に付着した現像液をその圧接力により除去するものである。
【0024】
以上で説明したように、現像ローラ152には現像ローラスクレーパ155が、スクイズローラ157にはスクイズローラスクレーパ158が、また、電界ローラスクレーパ160には電界ローラスクレーパ161が、それぞれ圧接されている。そして、これらの各スクレーパが各ローラの表面から現像液を除去することで、各ローラ表面に付着する現像液の量を均一にする。よって、各ローラ表面に付着する現像液の量が不均一になることに起因して最終的に形成される画像にムラが生じることが防止され、良好な画像形成が実現されることになる
【0025】
しかしながら、画像形成動作が繰り返されることにより各スクレーパの各回転ローラに圧接される部分が磨耗してしまう。この場合、各スクレーパと各ローラとの圧接状態が不均一になり、各ローラ表面における現像液の量が不均一になることに起因して、最終的に形成される画像にムラが発生してしまうことがある。
【0026】
そこで、この複写機においては、各スクレーパ(現像ローラスクレーパ155、スクイズローラスクレーパ158、電界ローラスクレーパ161)として、ボロンまたはフッ素を含有する表面層を有するスクレーパを用いて、該スクレーパが磨耗することに起因する画像不良を防止せんとしている。以下、かかるスクレーパについて説明を加える。なお、現像ローラスクレーパ155、スクイズローラスクレーパ158、電界ローラスクレーパ161の構成は同一であるので、現像ローラスクレーパ155の構成についてのみ説明し、他のスクレーパの構成についての説明は省略する。
【0027】
図1は、この複写機の要部を示す説明図であり、図3に示す現像ローラ152の周辺を拡大して示す説明図である。図1に示すように、現像ローラスクレーパ155は、母材155aと該母材に付着したボロン(ホウ素)またはフッ素を含有する表面層155bとからなる。ここで、表面層155bは、材料そのものが滑りやすい性質を有する材料であるボロンまたはホウ素を含むので、回転した状態にある現像ローラ152に押しつけられても磨耗しにくくなるのである。よって、スクレーパ155が磨耗し現像ローラ152の表面に保持される現像液の量が不均一になることに起因して、形成される画像にムラが生じることが防止され、良好な画像形成が実現されるようになる。上記表面層155bを形成するには、母材155aに対してNiPBによるメッキ、またはNiPBにフッ素を加えた材料によるメッキを施せばよい。これにより、簡単に表面層155bの形成を行うことができるようになる。
【0028】
しかしながら、メッキにより表面層155bを形成した場合、スクレーパ155の端部においてメッキが不均一に異常成長して、この異常成長した部分が突起となることがある。図4(a)は、その端部155cに突起が形成された状態にあるスクレーパ155が、現像ローラ152に圧接された状態を示す説明図である。同図に示すように、突起部が形成された状態にある端部155cを現像ローラ152に圧接させた場合、スクレーパ155と該ローラとをに均一に圧接させることは困難である。よって、該スクレーパを用いて現像ローラ152表面に残留する現像液を除去しても、該ローラ表面における現像液の分布を均一な状態とすることはできなくなってしまう。そして、この場合、最終的に記録紙1に形成される画像におけるトナーの分布状態も不均一となり、該画像がムラのあるものなってしまうのである。特に、突起が発生したことで現像ローラ152にスクレーパ155が接触しない部分が生じた場合、該部分からは現像液が全く除去されなくなり、画像に与える悪影響は顕著なものとなってしまう。
【0029】
そこで、この複写機においては、スクレーパ155にメッキにより表面層155bを形成する場合、該スクレーパの現像ローラ152に接する部分に生じた突起部を除去することで画像不良の発生を防止せんとしている。図4(b)は、現像ローラ152に接する部分に生じた突起部を除去した状態にあるスクレーパ155が、現像ローラ152に圧接される様子を示す説明図である。同図に示すように突起を除去されたスクレーパを用いれば、たとえメッキにより表面層155bが形成されたスクレーパであっても、現像ローラ152に該スクレーパを均一に圧接させることができるようになる。
【0030】
以上で説明したようにスクレーパ155には材料そのものが滑りやすい性質を有する材料からなる表面層155bが設けられている。よって、従来のスクレーパと比較して該スクレーパは磨耗しにくい。しかしながら、長時間にわたって画像形成動作を繰り返すことにより、たとえ表面層155bを設けたとしてもスクレーパ155には磨耗が生じることになり、該磨耗により形成される画像に悪影響が生じる。以下、具体的に説明する。
【0031】
図5は、この複写機に取り付けられた現像ローラスクレーパ155が磨耗する様子を示す説明図である。そして、図5(a)は磨耗していない状態のスクレーパ155が組み付けられた様子を示し、図5(b)は画像形成動作を繰り返すことによりスクレーパ155が磨耗した後の様子を示している。同図に示すように、画像形成動作が繰り返されてスクレーパ155が磨耗すると、該スクレーパの現像ローラ152に圧接する部分の面積が増加する。そして、これにより、該スクレーパの現像ローラ152から現像液を除去する能力が変化し、この変化が最終的に記録紙1に形成される画像品質の経時的変化を引き起こすのである。
【0032】
そこで、この複写機においては、たとえ磨耗が生じても現像ローラ152に圧接する部分の面積が略一定となるようなスクレーパを用いて、先述の弊害を解消することが望ましい。以下、具体的に説明する。
【0033】
図6は、変形例にかかる現像ローラスクレーパ155を示す説明図であり、たとえ磨耗が生じても現像ローラ152に圧接される部分の面積が略一定となるスクレーパを示す説明図である。ここで、図6(a)は該スクレーパが磨耗していない様子を示し、図6(b)は該スクレーパが磨耗した後の様子を示している。このスクレーパ155は、現像ローラ152に接する部分である端部155cが該ローラの円弧と略同一の円弧を描く形状に加工されている。そして、先に説明したスクレーパと同様に、その表面には、ボロンまたはフッ素を含有する表面層155bを備えている。また、該表面層の厚さは、20マイクロメータ以上とすることが望ましい。
【0034】
この現像ローラスクレーパ155を用いれば、該スクレーパ155の現像ローラ152に圧接する部分である端部155cが磨耗しても、この端部155cにおける表面層155bの厚さが変化するだけで、現像ローラ152に圧接する部分の面積は略一定に保たれる。よって、該部分の面積が変化することに起因して最終的に形成される画像の品質が経時的に変化することが防止され、継続して高画質な画像形成がなされることになる。
【0035】
また、この複写機において、各スクレーパ(現像ローラスクレーパ155、スクイズローラスクレーパ158、電界ローラスクレーパ161)にボロンまたはフッ素を含有する表面層を設けることと併せて、各回転ローラ(現像ローラ152、スクイズローラ157、電界ローラ160)にもボロンまたはフッ素を含有する表面層を設けることが望ましい。各回転ローラに該表面層を設ければ、該ローラが画像形成動作が繰り返されることにより磨耗することが防止され、該磨耗による画質の低下が生じることがなくなり、より良好な画像形成が実現されるようになる。
【0036】
また、各回転ローラにボロン等を含む表面層を形成するに際しては、各回転ローラの表面層におけるボロンまたはフッ素の含有率を、各スクレーパの表面層におけるボロンまたはフッ素の含有率よりも高くすることが望ましい。かかる構成を採用すれば、各回転ローラの表面層が有する自己潤滑性が各スクレーパの表面層が有する自己潤滑性よりも高くなる。よって、各回転ローラがより磨耗しにくくなる。そして、これにより高価な部品である回転ローラの回転頻度を少なくし、メンテナンスに要する費用を低くすることができるようになる。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、現像液除去部材に自己潤滑性を有する材料であるボロンまたはフッ素を含有する表面層が設けられている。よって、回転した状態にある回転ローラに現像液除去部材が圧接されても、該現像液除去部材は磨耗しにくくなる。よって、磨耗した状態の現像液除去部材が回転ローラ表面の現像液の除去に用いられることを原因として、該表面における現像液の分布が不均一になることが防止る。そして、これにより回転ローラ表面の現像液の量が不均一となることで、該回転ローラに近接する感光体ドラムの表面における現像液の量が不均一になることもまた防止される。以上より、この不均一な状態の現像液が記録紙等に転写されて画像形成がなされることにより生じる画像ムラの発生が抑えられ、良好な画像形成が実現されるようになる。
【0038】
さらに、本発明では、現像液除去部材の回転ローラに接する端部が該回転ローラの円弧と略同一を描く形状となっており、潜像液除去部材の回転ローラに圧接する部分の面積が変化することに起因して、該回転ローラに担持される現像液の量が経時的に変化することが防止される。よって、該現像液の量が経時的に変化することで、最終的に形成される画像の品質が経時的に変化することも防止され、良好な画像形成がなされるようになる。
【0039】
また、本発明によれば、回転ローラに自己潤滑性を有する材料であるボロンまたはフッ素を含有する表面層が設けられている。よって、回転した状態にある回転ローラに現像液除去部材が圧接されても、該回転ローラは磨耗しにくくなる。これにより、回転ローラが磨耗・劣化することに起因する画像不良の発生が防止され、より良好な画像形成が実現されるようになる。
【0040】
また、本発明によれば、回転ローラの表面層におけるボロンまたはフッ素の含有率が、現像液除去部材の表面層におけるボロンまたはフッ素の含有率よりも高くなっており、回転した状態にある回転ローラに現像液除去部材が圧接された際に、現像液除去部材よりも回転ローラが磨耗しにくくなる。よって、現像液除去部材よりも高価な部材である回転ローラを交換する頻度を少なくすることができ、メンテナンスに要する費用を低くすることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態にかかる複写機の現像ローラの周辺を拡大して示す正面図。
【図2】同複写機の概略構成を示す正面図。
【図3】同複写機が備えたイエロートナー像形成ユニットの概略構成を示す正面図。
【図4】同複写機に取り付けられた突起が生じた状態にあるスクレーパを示す正面図。
【図5】同複写機に取り付けられたスクレーパが磨耗する様子を示す説明図。
【図6】同複写機に取り付けられた変形例にかかるスクレーパを示す説明図。
【符号の説明】
1 記録紙
2 転写ベルト
3 従動ローラ
4 駆動ローラ
5 搬送ユニット
6 感光体ドラム(潜像担持体)
7 帯電装置
8 露光装置
9 現像装置
10 転写装置
11 クリーニング装置
12 除電装置
13 分離チャージャ
14 定着装置
15 排紙トレー
16 給紙装置
17 給紙機構
151 現像容器
152 現像ローラ(回転ローラ)
154 現像液供給部
155 現像ローラスクレーパ(現像液除去部材)
155a 母材
155b 表面層
156 楔状部
157 スクイズローラ(回転ローラ)
158 スクイズローラスクレーパ(現像液除去部材)
160 電界ローラ(回転ローラ)
161 電界ローラスクレーパ(現像液除去部材)
Claims (6)
- 表面に潜像が形成される潜像担持体と、
前記潜像担持体の表面に近接して設けられた、その表面における線速が該潜像担持体の表面における線速と速度差を持つように回転する回転ローラと、
前記回転ローラの表面に圧接され、該回転ローラの表面に付着した液体キャリアにトナー粒子が分散されてなる現像液を、その圧接力により除去する現像液除去部材と、を備えた湿式画像形成装置であって、
前記現像液除去部材が、ボロンまたはフッ素を含有する表面層を有し、かつ、前記回転ローラに接する端部が該回転ローラの円弧と略同一の円弧を描く形状となっていることを特徴とする湿式画像形成装置。 - 請求項1の湿式画像形成装置であって、前記回転ローラがボロンまたはフッ素を含有する表面層を有することを特徴とする湿式画像形成装置。
- 請求項2の湿式画像形成装置であって、前記回転ローラの表面層におけるボロンまたはフッ素の含有率が、前記現像液除去部材の表面層におけるボロンまたはフッ素の含有率よりも高いことを特徴とする湿式画像形成装置。
- 請求項1の湿式画像形成装置であって、
前記回転ローラが、その表面に前記現像液を担持し、該現像液で前記潜像を現像する現像ローラであることを特徴とする湿式画像形成装置。 - 請求項1の湿式画像形成装置であって、
前記回転ローラが、前記潜像担持体の表面に付着した前記現像液を除去するスクイズローラであることを特徴とする湿式画像形成装置。 - 請求項1の湿式画像形成装置であって、
前記回転ローラが、前記潜像担持体の表面に付着する前記トナー粒子を、該表面に静電的に押圧するための電界を形成する電界ローラであることを特徴とする湿式画像形成装置。
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