JP3555347B2 - インクジェット方式の画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、小型プリンタ等の画像形成装置に係り、詳しくは、用紙等の記録媒体にインクを飛翔させることで画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記インクジェット方式の画像形成装置は、例えば、用紙等を一定の方向に搬送する記録媒体搬送部材と、当該記録媒体の搬送経路に対向して且つ当該記録媒体の搬送方向と垂直な方向に移動可能に配設され、当該記録媒体の搬送経路に向かってノズル部からインクを飛翔させる記録ヘッドキャリッジとを有するものが広く普及している。
なお、上記記録ヘッドキャリッジとしては、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク及びブラックインクを飛翔させることができるフルカラー用のものが一般的であり、また当該フルカラー用のものにおいては、各色毎に設けられた複数のノズル部と、当該ノズル部にインクを供給する複数のインクタンクとで構成されたものが一般的である。また、上記各ノズル部には多数のノズルが形成される一方で、上記各インクタンクは上記記録ヘッドキャリッジと着脱可能に配設されている。
【0003】
そして、当該インクジェット方式の画像形成装置は、記録媒体搬送部材で記録媒体を搬送し、且つ、上記記録ヘッドキャリッジを往復動作させた状態で、画像情報に応じてインクを飛翔させることで、当該記録媒体上に所定の画像を形成する。
【0004】
ところで、上記インクジェット方式の画像形成装置は、インクを使用しているが故に、更に当該インクを上記ノズル部から飛翔させることで画像を形成するようにしているが故に、画像品質を維持する上で種々の問題を有する。
【0005】
具体的には、上記インクジェット方式の画像形成装置では、第一に、非画像形成時に上記ノズル部に収容されているインクが乾燥し易く、当該状態が発生するとインクの粘性等が変化して(例えば、増粘して)その飛翔の仕方が変化してしまい、所望の画像を形成することができなくなってしまうという問題がある。
【0006】
第二に、上記インクジェット方式の画像形成装置では、上記インクの乾燥が更に進行してノズル部内に増粘したインクが詰まってしまったり、ノズル部内に異物や空気が混入してしまったりすると、インクが飛翔しなくなってしまうという問題がある。
【0007】
第三に、上記インクジェット方式の画像形成装置では、画像形成開始直後においては、インクの表面が乾燥したりしているため、インクの飛翔が安定せず、適当に画像を形成することができない場合がある。
【0008】
そこで、従来、上記インクジェット方式の画像形成装置では、非画像形成時に上記各ノズル部を被覆してインクの乾燥を防止する複数のキャップ部材と、当該複数のキャップ部材からインクを吸引するポンプ部材と、上記キャップ部材が受容した排インクを貯蔵する排インクタンクとを設けていた(特開平6−226995号公報、特開平4−45953号公報、特開昭60−145854号公報を参照)。
【0009】
そして、当該画像形成装置では、上記各キャップ部材で上記各ノズル部を被覆することでインクの乾燥を防止することができ、当該キャップ部材で上記ノズル部を被覆した状態でインクを吸引することで増粘したインク等を当該ノズル部から除去することができ、更に、画像形成開始直前に各ノズル部からインクを飛翔させることで画像形成開始時に生じるインクの飛翔ムラを予防することができる。また、当該画像形成装置は、これら各動作においてキャップ部材が受容した排インクをポンプで吸引し、当該排インクを上記排インクタンクに貯蔵する。なお、前者をキャッピング動作と呼び、中者を回復動作と呼び、後者をダミージェット動作と呼ぶ。
【0010】
しかしながら、これらのインクジェット方式の画像形成装置では、上記キャップ部材から排インクタンクまでの間を排インクが適当に流れるように、当該排インクタンクの排インク流入口をその上部に形成すると共に、上記キャップ部材から排インクタンクまでのインク排出経路を垂直方向にあるいは少なくとも垂直に近い斜め方向に設定する必要があった。
【0011】
その為、上記インクジェット方式の画像形成装置では、上記キャップ部材の上端から排インクタンクの下端までの高さ、ひいては上記キャップ部材は記録ヘッドに対向して配置されるのが一般的なので、記録ヘッドの上端から排インクタンクの下端までの高さを確保しなければならず、装置を薄く小型化することができなかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、インクの排出経路を略水平方向に設定してもインクをスムースに流すことができ、薄く小型化することができるインクジェット方式の画像形成装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、画像情報に応じてインクを飛翔するノズル部と、当該ノズル部に対向して配置されたキャップ部材と、当該キャップ部材が受容したインクを貯蔵する排インク貯蔵部材と、上記キャップ部材から排インク貯蔵部材までのインクの排出経路を形成するインク排出経路形成部材とを有し、前記インク排出経路形成部材は、その内部をインクが流れる導インク管状部材と、当該導インク管状部材内に配設され、インクを保持することができるインク搬送用吸収体とからなり、排インクをキャップ部材から排インク貯蔵部材まで移動させる際にポンプを使用するインクジェット方式の画像形成装置であって、 導インク管状部材のインク流路の大きさをその途中から広げると共に、当該インク流路の大きい部分にインク搬送用吸収体を配設したインクジェット方式の画像形成装置である。
【0014】
本発明において、上記ノズル部は、画像情報に応じてインクを飛翔するものであればよい。
【0015】
上記キャップ部材は、上記ノズル部に対向して配置されたものであればよく、例えば、当該ノズル部に対して進退可能に配設され、非画像形成時には当該ノズル部を被覆するものがある。
【0016】
上記排インク貯蔵部材は、上記キャップ部材が受容したインクを貯蔵できるものであればよく、例えば、内部に空間が形成された排インクタンクや、発泡体などからなり、インクを吸収して保持することができる排インク吸収体がある。
【0017】
上記インク排出経路形成部材は、その内部をインクが流れる導インク管状部材と、当該導インク管状部材内に配設され、インクを保持することができるインク搬送用吸収体とからなり、上記キャップ部材から排インク貯蔵部材までのインクの排出経路を形成するものであればよい。
【0018】
上記導インク管状部材は、インクがその内部を流れることができるものであればよく、例えば、円筒形状の管がある。
【0019】
上記インク搬送用吸収体は、当該導インク管状部材内に配設され、インクを保持することができるものであればよく、例えば、フェルト材料や多孔質材料で構成することができる。
【0020】
そして、本発明のインクジェット方式の画像形成装置では、インク排出経路形成部材を、その内部をインクが流れる導インク管状部材と、当該導インク管状部材内に配設され、インクを保持することができるインク搬送用吸収体とで構成したので、当該インク搬送用吸収体によりインクを吸収拡散させることにより排インクを排インク貯蔵部材にスムースに流すことができる。
【0021】
ところで、本発明において、上記排インク貯蔵部材として、上記インク排出用吸収体と接触して配設され、インクを保持することができる排インク吸収体を用いる場合には、当該排インク吸収体のインク保持力がインク搬送用吸収体のそれよりも大きくなるように形成するとよい。これにより、インク搬送用吸収体が保持しているインクを排インク吸収体に容易且つ確実に移行させることができ、インクが排インク吸収体に直接且つスムースに移行されるようになる。
【0022】
なお、上記インク保持力は、インクを吸着して保持する能力の高さを意味し、例えば、密度を高くしたり、濡れ性を低く(濡れ易く)したりすればよい。またインクを吸収する材料としては、フェルト材料や多孔質材料がある。
【0023】
また、本発明において、上記排インク吸収体を交換可能にする場合には、インク搬送用吸収体と分離させて交換できるように構成すると良い。これにより、当該排インク吸収体を交換する際に、インク排出経路形成部材内に残留しているインクが垂れることがなくなる。
【0024】
そして、当該分離可能な構成においては、排インクをキャップ部材から排インク貯蔵部材まで移動させる際にポンプを使用する場合には、導インク管状部材のインク流路の大きさをその途中から広げると共に、当該インク流路の大きい部分にインク搬送用吸収体を配設するとよい。これにより、ポンプにより押されて膨らんだインクの風船が広げた部分において破裂して、上記分離部分において破裂することがないので、当該分離部分を簡便な構成としてもインクが飛散して周囲の装置を汚してしまうことはない。
【0025】
更に、当該導インク管状部材のインク流路の大きさをその途中から広げ、当該広げた部分にインク搬送用吸収体を配設する場合には、導インク管状部材の流路の大きさが変化している流路径境界部から離間させて配設するとよい。これにより、当該境界面の位置の上流側にインクが溜まってしまって、インクが固着してしまうこともなく、インク詰まりを防止することができる。
【0026】
また、当該導インク管状部材のインク流路の大きさをその途中から広げ、当該広げた部分にインク搬送用吸収体を配設する場合には、当該インク搬送用吸収体がインク流路を塞がないように配設するとよい。これにより、当該インク搬送用吸収体が目詰まりを起こしても、インク搬送経路の残部(インク搬送用吸収体の配設されていない部分)からインクを排インク吸収体に流すことができ、インク詰まりを防止することができる。
【0027】
【実施の形態】
以下、添付図面に基づいて本発明の画像形成装置の実施形態を詳細に説明する。
【0028】
実施形態1
図1に本実施の形態に係るインクジェット方式の画像形成装置を示す。
当該画像形成装置は、記録媒体Pを一定の方向に搬送する記録媒体搬送部材1と、当該記録媒体Pの搬送経路に対向して且つ当該記録媒体Pの搬送方向と垂直な方向に延在された1組のガイド部材2と、当該ガイド部材2により支持されてた記録ヘッドキャリッジ3と、上記ガイド部材2の下で且つ記録媒体搬送経路に隣接した位置に配設されたメンテナンスステーション4と、これらを一体に保持するハウジングとを有する。また、上記記録ヘッドキャリッジ3にはフレキシブル基板に形成された信号線を通じて画像情報が送られるようになっており、また、上記メンテナンスステーション4に対向する位置に記録ヘッドキャリッジ3のホームポジションが設定されており当該位置をホームポジションセンサ7で検出するようになっている。
【0029】
上記記録ヘッドキャリッジ3は、図2に示すように、上記1組のガイド部材2上を移動可能に配設されたヘッドキャリッジフレーム3aと、当該フレーム3aの下面(上記記録媒体搬送経路に対向する面)よりも下に突出するように配設された2つのノズル部3b,3cと、当該フレーム3aと着脱可能に配設され、当該各ノズル部3b,3cにインクを供給する2つのインクタンク3d,3eとからなる。
【0030】
また、上記各ノズル部3b,3cにはそれぞれ多数のノズルが形成さている。そして、上記ノズル部の一方3b(図において右側)では、当該ノズル部3bに接続されたインクタンク3dが黒色インクを供給するので、画像情報に応じて1種類のインクを飛翔させ、他方、上記ノズル部の他方3c(図において左側)では、当該ノズル部3cに接続されたインクタンク3eがイエローインク、マゼンタインク、シアンインクを供給するので、画像情報に応じて3種類のインクを飛翔させることができる。なお、本実施形態にかかる図面においては、上記各色用の複数のノズルを便宜上1つのノズルとして表示している(黒色用の複数のノズル(ノズル群)は3f、イエロー用の複数のノズルは3g、マゼンタ用の複数のノズルは3h、シアン用の複数のノズルは3iである)。
【0031】
そして、上記画像形成装置は、図3に示すように、記録媒体搬送部材1で記録媒体Pを搬送し、且つ、上記記録ヘッドキャリッジ3を往復動作させた状態で、画像情報に応じてインクを飛翔させることで、当該記録媒体P上に所定の画像を形成する。
【0032】
上記メンテナンスステーション4は、図4に示すように、ステーション本体4aと、当該ステーション本体4aから排出されるインクを吸収保持する排インク吸収体4bとからなる。
【0033】
上記ステーション本体4aは、図5に示すようにユニットハウジング8と、それに取り付けられた各種の部材とにより構成されている。
【0034】
図5において、符号9aは、スポンジで形成されたインク保持体、9bは、当該インク保持体9aが収容される凹部が形成され且つ当該凹部から側面に貫通する連通孔9fが形成されたゴム製のキャップ、9cは、当該キャップ9bを収容するキャップケースであり、これらでキャップ部材9が形成されている。また、上記ステーション本体4aは2つのキャップ部材9c,9dを有し、それらはキャップキャリッジ10上に保持されている。
【0035】
上記キャップキャリッジ10は、上記2つのキャップ部材9c,9dを支持する支持底板10aと、その一辺両端に配設された一対のアーム部10bと、上記支持底板10aの下に配設されたガイド部10cと、上記支持底板10aの下に且つ当該ガイド部10cに隣接して配設された支点部10dとを有し、図6に示すように、上記アーム部10b及びガイド部10cが上記ユニットハウジング8に係合されると共に上記支点部10dにL字アーム11が接続され、当該L字アーム11をカム12aにより揺動させることにより姿勢を一定に保ったまま上下に移動させることができる。以下において、上記カム12aが形成された部材をカム駆動伝達部材12と呼ぶ。
【0036】
また、上記キャップキャリッジ10は、図7に示すように、記録ヘッドキャリッジ3の移動方向と同じ方向に(以下、左右方向とも呼ぶ)移動可能に配設されると共に、バネ13により右側方向に力が付勢されている。
【0037】
更に、上記記録ヘッドキャリッジ3には上記2つのノズル部3b,3cに隣接した位置に2つの凸部14a,14bが形成される一方で、キャップキャリッジ10には当該2つの凸部14a,14bの移動経路に対応する位置に係合ピン14cが配設され、且つ、ステーション本体8には上記係合ピン14cの近傍に且つ上下方向に移動可能に固定ピン15が配設されている。なお、当該固定ピン15は、図8に示すように、ユニットハウジング8との間に挿入されたバネ16により上方へ力が付勢されると共に上記カム駆動伝達部材12のギアの溝部と係合してその高さが設定されるようになっている。
【0038】
そして、上記ステーション本体は、図7に示すように、まず、上記係合ピン14cと凸部14aとが係合できる高さまで上記キャップキャリッジ10を上昇させ(同図(b)を参照)、次に、記録ヘッドキャリッジ3左側に移動させて当該係合ピン14cと右側の凸部14aとを係合させ更にキャップキャリッジ10を左側に少し移動させ(同図(c)を参照)、更に、キャップキャリッジ10を上昇させてキャップ部材9c,9dがノズル部3b,3cに圧接される(同図(d)を参照)ことにより、確実にキャッピングすることができる。また、上記ステーション本体4aでは、キャップ部材9c,9dをノズル部3b,3cに圧接する際に、上記固定ピン15を上昇させて左側の凸部14bとを係合させることにより、上記2つの凸部14a,14bの間に係合ピン14c及び固定ピン15を挿入して記録ヘッドキャリッジ3を固定することができる。
【0039】
また、図5及び図9において、符号17aはポンプ、17bは当該ポンプ17aと各キャップ部材9c,9dとを接続する2つのホースであり、これらでポンプ部材17が形成され、当該1つのポンプ17aにより各キャップ部材9c,9d内のインクを吸引するようになっている。また、当該ポンプ17aの排出口23には排インク導体18が接続され、当該排インク導体18から上記排インク吸収体4bに対してインクが排出されるように構成されている。従って、本実施形態のインクジェット方式の画像形成装置は、ポンプ17aから排インク吸収体4bまでのインク流路は水平に設定されて、装置全体が薄型化されている。
【0040】
上記排インク導体は、図10に示すように、異なる太さの2つの管を接続したような形状に形成されると共に、その太い方の管状部内にはリブが形成された導インク管状部材18aと、当該太い方の管状部の下部に配設され、発泡体からなるインク搬送用吸収体18bとからなる。なお、当該導インク管状部材18aは、その細い方の管状部から太い方の管状部に向かってインクが流れるように接続され、以下において当該細い方の管状部を上流側管状部と、太い方の管状部を下流側管状部と、更に、それらの接続部位を流路径境界部と呼ぶ。
【0041】
上記リブは、当該流路径境界部に上記インク搬送用吸収体18bが当接しないように、且つ、当該インク搬送用吸収体18bがインク流路を塞がないように略L字形状に形成されている。ちなみに、上記流路径境界部と上記インク搬送用吸収体18bとは約1mm程度離間している。
【0042】
上記インク搬送用吸収体18bは、排インク吸収体4bと同様にインクを保持できる材料で形成されている。具体的には、ポリエステルやポリエステルとレーヨンとを混紡したフェルトからなり、インク搬送用吸収体18bの密度は1.2kg/cm3 、排インク吸収体4bの密度は1.8kg/cm3 に形成されている。従って、排インク吸収体4bのインク保持力は、インク搬送用吸収体18bのそれよりも大きい。
【0043】
上記ポンプは、図11に示すように、シリンダ20の上部に2つのインク吸引口21,22が形成されると共に、インクを排出し易いようにその中央下部にインク排出口23が形成されている。以下において、上記右側のキャップ部材9cに接続されたインク吸引口21を右側のインク吸引口と呼び、他方左側のキャップ部材9dに接続されたインク吸引口22を左側のインク吸引口と呼ぶ。また、上記シリンダ20内には、図12に示すように、当該シリンダ20の内周面に当接する大きさに形成され、且つ、その中心部分に貫通孔26が形成されたピストンヘッド23と、当該貫通孔26よりも小径d2 (<d1 ≒d1’)に形成されたピストンロッド24とからなるピストンが配設されている。
【0044】
上記ピストンヘッド23は、詳しくは、その周面の両端部分に一対のゴム製のピストンリング25が配設されると共に、それらの間の側面に上記貫通孔26に連通するインク流出口27が形成されている。
【0045】
上記ピストンロッド24は、詳しくは、上記ピストンヘッドの貫通孔26を塞ぐ大きさに形成された一対の貫通孔閉塞板28を有し、且つ、当該2つの貫通孔閉塞板28は上記ピストンヘッドの貫通孔26の長さl1 よりも若干長い間隔l2 (>l1 )でもって配設されている。また、当該ピストンロッド24は駆動伝達アーム19を介して上記カム駆動伝達部材12のカムに連結されている。
【0046】
そして、当該ポンプ17aは、図13に示すように、ピストンロッド24が引っ張られることで、右側のインク吸引口21からインクを吸引し、且つ、ピストンの左側29に収容されていた排インクを上記貫通孔26及びインク流出口27を介してインク排出口23から排出する。また、当該ポンプは、図14に示すように、ピストンロッド24が押し戻されることで、左側のインク吸引口22からインクを吸引し、且つ、ピストンの右側30に収容されていた排インクを上記貫通孔26及びインク流出口27を介してインク排出口23から排出する。
【0047】
また、本実施例では、上記右側のインク吸引口21は、シリンダ20の中央寄りに形成されてピストンヘッド23がある程度移動した時に初めて上記シリンダ20内と連通するように構成されているので、図15内の線(a)に示すように非常に高い圧力が瞬時に作用する。他方、上記左側のインク吸引口22は、シリンダ20の端部寄りに配設されて常にシリンダ20内と連通するように構成されているので、図15内の線(b)に示すように低い圧力が比較的長い時間作用する。その為、上記右側のインク吸引口21は、ノズル部内に詰まった増粘インク等を吸引するのに適し、且つ、上記左側のインク吸引口22は、キャップ部材9内に溜まったインクを吸引するのに適している。
【0048】
次に、図5において、符号31は右側のキャップ部材9cの連通孔9fを封止するキャップ連通孔封止部材であり、上記キャップキャリッジ10上に配設されている。そして、当該キャップ連通孔封止部材31は、図16に示すように、キャップキャリッジ10が記録ヘッドキャリッジ3に押されて左側に移動することによっで上記連通孔9fを封止するように構成されている。
【0049】
そして、上記ステーション本体4aは、図17に示すように、上記右側の凸部14aと係合ピン14cとを係合させて黒用のノズル部3bを右側のキャップ部材9cで被覆する(同図(a)〜(d)を参照)と共に、記録ヘッドキャリッジ3を左側に移動させて当該右側のキャップ部材9cの貫通孔9fをキャップ連通孔封止部材31で封止し(同図(e)を参照)、その状態で上記ポンプ17aを動作させることで、上記黒用のノズル3f内の増粘したインク等の異物を吸引することができる。
【0050】
また、上記ステーション本体4aは、図18に示すように、上記左側の凸部14bと係合ピン14cとを係合させてカラー用のノズル部3cを右側のキャップ部材9cで被覆する(同図(a)〜(c)を参照)と共に、記録ヘッドキャリッジ3を左側に移動させて当該右側のキャップ部材9cの貫通孔9fをキャップ連通孔封止部材31で封止し(同図(e)を参照)、その状態で上記ポンプ17aを動作させることで、上記カラー用の各ノズル部3b,3c内の増粘したインク等の異物を吸引することができる。
【0051】
更に、上記ステーション本体4aは、各キャップ部材9c,9dに上記各ノズル部3b,3cを対向させるように記録ヘッドキャリッジ3を位置決めし(図17(a)を参照)、その状態で上記ポンプ17aを動作させることで、各ノズル部3b,3cから飛翔させたインクを各キャップ部材9c,9dで受けて、且つ、当該インクを上記ポンプ17aにて吸引することができる。
【0052】
更に、図5において、符号32はゴムブレードを有するワイパー部材であり、ステーション本体4aとの間に設けられたバネ33により上方への力の付勢されると共に、上記カム駆動伝達部材12により下方に押し下げられてその高さが設定されるようになっている。また、図19(b)において、符号3j,3kはスポンジからなるインク吸収体である。
【0053】
そして、図19に示すように、上記ステーション本体4aが、上記ワイパー部材32をそのブレード先端が上記ノズル部3b,3cの移動経路上に位置するように移動させると共に、上記記録ヘッドキャリッジ3をホームポジションから右側に移動させることで、各ノズル部3b,3cの先端に上記ブレードを当接させることができる。また、上記ブレードは、各ノズル部先端に接触した後、上記インク吸収体3j,3kに当接することでクリーニングされるので、黒インクが各カラーインクに混色したりすることはない。
【0054】
最後に、図5において、符号34はパルスモータ、12はカム駆動伝達部材、35は当該パルスモータ34の回転をカム駆動伝達部材12に伝達するギア列、36はカム駆動伝達部材12の回転位相を検出するセンサであり、これらにより駆動手段が構成されている。
【0055】
上記カム駆動伝達部材12には、上述したように、上記キャップ部材9c,9d等を上下移動させるためのキャッピング用カム12aと、上記固定ピン15を上下移動させるためのギアの溝部と、上記ポンプ17aを駆動するためのポンピング用カムと、上記ワイパー部材32を上下移動させるためのワイピング用カムと、上記センサ36用のカム部材とからなる。
【0056】
そして、これら各カム及び溝は、図20に示すように、カム駆動伝達部材12の所定の回転位相に対して各部材を移動(駆動)させるように形成されている。具体的に上図を説明すると、カムの回転位相350〜10°には全ての部材9c,9d,14c,15,32が退避ポジションにある画像形成モードが割り付けられ、30〜50°にはキャップキャリッジ10をハーフポジションまで上昇させるキャップ位置決めモードが割り付けられ、70〜120°にはキャップ部材等9c,9d,14c及び固定ピン15を上昇させるキャリッジ停止モードが割り付けられ、120〜200°にはキャップ部材等9c,9d,14c及び固定ピン15を上昇させた状態でポンプ17aを駆動させるバキュームモードが割り付けられ、280〜350°にはキャップ部材等9c,9d,14c及び固定ピン15を退避させた状態でポンプ17aを駆動させるキャップ内空バキュームモードが割り当てられ、更に、320〜330°にはワイパー部材32を上昇させるワイピングモードが割り当てられている。なお、上記キャップ内空バキュームモードは、ダミージェットにより吐出されたインクを吸引するために使用される。
【0057】
そして、本実施形態では、非画像形成時には記録ヘッドキャリッジ3をホームポジションに設定すると共にキャリッジ停止モードに設定し、画像形成を開始する際には、上記ダミージェットモード及びワイピングモードを実行してから画像形成モードに入るように設定し、画像形成終了後はキャップ位置決めモードを実行してからキャリッジ停止モードとなるように設定し、更に、ユーザの司令に基づいて上記バキュームモードを実行するように設定して実験を行なった。
【0058】
その結果、上記インクジェット方式の画像形成装置では、長期に渡ってノズル部3b,3cの詰まりや画像形成不良が発生することはなく、また、当該期間の後にノズル部3b,3cの詰まりが発生しても直ちに回復させることができた。
【0059】
また、本実施形態のインクジェット方式の画像形成装置では、1つのパルスモータでもって、上記キャップ部材9c,9d、ワイパー部材32、キャリッジ位置固定部材15及びキャップ連通孔封止部材31を上記記録ヘッドキャリッジの移動経路に対して進退させて位置決めすると共に、上記ポンプ17aを作動させるようにしたので、各部材毎に個別に駆動手段を設ける必要が無く、装置を非常に小型化することができた。
【0060】
次に、本実施形態のインクジェット方式の画像形成装置では、キャップ部材から排インク吸収体4bまでのインク流路の一部が水平方向に設定されていたが、長期に渡って使用してもインク流路に排インクが詰まってインクが排出できなくなってしまうことはなく、また、長期に渡って排インク吸収体4bを交換する必要がなく、更に、周囲の部材にインクが飛散することもなく、当該排インク吸収体4bにインクを効率良く且つ多量に吸収させることができた。
【0061】
更に、本実施形態のインクジェット方式の画像形成装置では、画像形成直後に排インク吸収体4bを交換しても、インク排出経路形成部材18からインクが垂れることはなかった。
【0062】
【発明の効果】
以上の通り、本発明のインクジェット方式の画像形成装置では、インク排出経路形成部材を、その内部をインクが流れる導インク管状部材と、当該導インク管状部材内に配設され、インクを保持することができるインク搬送用吸収体とで構成し、排インクが排インク貯蔵部材にスムースに流れるようにしたので、インク排出経路を水平方向に設定したとしても、排インクを排インク貯蔵部にスムースに流すことができる。また、インク搬送用吸収体と分離させて交換できるように構成して上記排インク吸収体を交換可能にする構成において、排インクをキャップ部材から排インク貯蔵部材まで移動させる際にポンプを使用する場合でも、導インク管状部材のインク流路の大きさをその途中から広げると共に、当該インク流路の大きい部分にインク搬送用吸収体を配設しているので、ポンプにより押されて膨らんだインクの風船が広げた部分において破裂して上記分離部分において破裂することがなく、このため当該分離部分を簡便な構成としてもインクが飛散して周囲の装置を汚してしまうことはない。
【0063】
従って、本発明のインクジェット方式の画像形成装置では、装置を薄型化することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るインクジェット方式の画像形成装置の要部斜視図。
【図2】図1の記録ヘッドキャリッジのイメージ断面図。
【図3】図1の画像形成装置の画像形成動作イメージの説明図。
【図4】図1のメンテナンスステーションの斜視図。
【図5】図4のメンテナンスステーションの部品展開斜視図。
【図6】キャッピング動作説明図(その1)。
【図7】キャッピング動作説明図(その2)。
【図8】ロック動作説明図。
【図9】インクの排出経路概略説明図。
【図10】排インク導体の構成図((a)は一部切欠斜視図、(b)は断面図)。
【図11】ポンプの正面図。
【図12】ポンプの分解図。
【図13】ポンプの動作説明図(その1)。
【図14】ポンプの動作説明図(その2)。
【図15】ポンプの吸引圧力。
【図16】キャップ部材の連通孔の封止動作説明図。
【図17】右側のノズル部のバキューム動作の説明図。
【図18】左側のノズル部のバキューム動作の説明図。
【図19】ワイピング動作説明図。
【図20】カム駆動伝達手段の回転位相に対する各動作の割り付けの説明図。
【符号の説明】
1:記録媒体搬送部材、3:記録ヘッドキャリッジ、3f,3g,3h,3i:ノズル、9c,9d:キャップ部材、9f:連通孔、17:ポンプ部材、31:キャップ連通孔封止部材、32:ワイパー部材、15:キャリッジ位置固定部材、10:キャップキャリッジ、14:係合部材、34:パルスモータ(正逆回転可能な駆動モータ)、12:カム駆動伝達部材。
Claims (3)
- 画像情報に応じてインクを飛翔するノズル部と、当該ノズル部に対向して配置されたキャップ部材と、当該キャップ部材が受容したインクを貯蔵する排インク貯蔵部材と、上記キャップ部材から排インク貯蔵部材までのインクの排出経路を形成するインク排出経路形成部材とを有し、
前記インク排出経路形成部材は、その内部をインクが流れる導インク管状部材と、当該導インク管状部材内に配設され、インクを保持することができるインク搬送用吸収体とからなり、
排インクをキャップ部材から排インク貯蔵部材まで移動させる際にポンプを使用するインクジェット方式の画像形成装置であって、
導インク管状部材のインク流路の大きさをその途中から広げると共に、当該インク流路の大きい部分にインク搬送用吸収体を配設したことを特徴とするインクジェット方式の画像形成装置。 - インク搬送用吸収体が、導インク管状部材の流路の大きさが変化している流路径境界部から離間させて配設されていることを特徴とする請求項1記載のインクジェット方式の画像形成装置。
- インク搬送用吸収体が、導インク管状部材のインク流路を塞がないように配設されていることを特徴とする請求項1記載のインクジェット方式の画像形成装置。
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