JP3555028B2 - 難透水性の区画層を配設した地下水浄化体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば間隙水圧の異なる複数の帯水層を流れる各汚染地下水を1つの浄化体で個別に浄化することができる地下水浄化体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、半導体製造工場などの洗浄工程において多量に使用されるトリクロロエチレン等の揮発性有機化合物は、漏れなどにより土壌又は地下水を汚染する可能性があり、この場合、工場跡地の再利用の障害となったり、地下水の利用が制限されたりする問題がある。
【0003】
これを解決するものとして、揮発性有機化合物で汚染された地下水の流れを遮断する方向で金属性還元剤を含んだ浄化連続壁を地中に形成し、該浄化連続壁を地下水が通過する際に還元反応により、汚染物質を分解させ無公害化させる方法がある(国際公開番号WO91/08176号公報)。また、地中に連続配置される浄化壁を円柱の連続杭又は間欠杭とし、該円柱に金属性還元剤を収納した円筒袋を積み重ねることで金属性還元剤の分離を防止すると共に、透水性の改善を図ったものも開示されている(特開平11−156351号公報)。
【0004】
一方、地盤の構造は、一般的には間隙水圧の異なる複数の帯水層が存在するのがほとんどである。すなわち、図6に示すように、通常の地盤50は、地中深度方向に地表層51、帯水層52、難透水層53、帯水層54及び基盤55を有するか、あるいは帯水層と難透水層が深部方向に更に繰り返して存在する構造を有する。このような地盤50において、工場56等から漏れ出た汚染物質は、透水性の良い部分を選択的に通過し拡散していくものの、汚染履歴が古い場合、難透水層53の内部まで浸入し、更には難透水層53を貫通して下の帯水層54に達する場合もある。しかも、難透水層53を挟む上下の帯水層52、54で地下水の流れが異なる場合も多く、汚染物質が地下水に溶解している場合、汚染は地下水の流れに伴って移動、拡散し、地中の汚染源57は水平方向に広がり、深度方向に深く及んでいる場合も稀ではなく、更に各帯水層における汚染濃度も当然異なっているのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平11−156351号公報等に開示されるような従来の地下水浄化壁は、前述したような地盤構造に対応した構造を採っていない。このため、このような地下水浄化壁を地中に配置した場合、間隙水圧の低い帯水層を流れる汚染地下水は浄化壁を通過し難く、浄化されにくいという問題が生じる。その理由を図7を参照して説明する。すなわち、汚染源57の下流の地盤に配設された地下水浄化壁58は通常汚染地下水を該浄化壁に円滑に通過させるため、通常帯水層と同じか又はそれより大きな透水性を有するように設計されている。しかし、この場合地下水浄化壁58は同時に、両帯水層52、54を連通することになり、例えば間隙水圧の高い上方の帯水層52の汚染地下水Xはその一部は浄化壁58を通過して浄化地下水X1となるものの、残部の地下水X2は間隙水圧の低い下方の帯水層54に流れ込み、帯水層54部分に位置する浄化壁周り581に滞留することになる。このため、帯水層54の汚染地下水Yは浄化壁58を円滑には通過できず、浄化壁58を回り込むような流れが発生するため結局浄化されにくくなる。この現象は、下方の帯水層54が上方の帯水層52より間隙水圧が高い場合についても同様であり、間隙水圧が低い帯水層52の汚染地下水は浄化されない。
【0006】
更に、汚染濃度の異なる両帯水層52、54が連通すると、例えば比重の高い有機ハロゲン化合物を多く含む汚染濃度の高い地下水が汚染濃度の低い帯水層に流入し、汚染範囲を広げるという問題もある。また、地下水浄化壁が地表面より高い水圧をもつ被圧帯水層に造成すると、被圧帯水層と大気が連通して被圧帯水層から地表面に地下水が流出し、地表面が水浸しになるという問題がある。また、地下水浄化壁が地表面より低い水圧をもつ被圧帯水層に造成すると、被圧帯水層と大気が連通して地表面からの雨水が帯水層に流れ込み、地中の汚染範囲を拡大するという問題がある。また、複数の帯水層の地下水の流れ方向は、概ね上流から下流への方向性を有するものの、一の帯水層の流れと他の帯水層の流れとは相違する場合が多く、このような場合、金属還元剤を含む円柱浄化体を、単に地中に間欠的に列状配置しただけでは、その隙間を通り抜けてしまい浄化されない地下水が存在する場合がある。
【0007】
従って、本発明の目的は、一の帯水層を流れる地下水が浄化体を通って他の帯水層に流入することがなく、各々の帯水層の汚染地下水を1つの浄化体で個別に浄化することができる地下水浄化体を提供することにある。また、本発明の他の目的は、浄化体が造成される帯水層が地表面より高い又は低い水圧をもついずれの帯水層であっても地下水の地表面への流出や雨水の地中への流入が生じない地下水浄化体を提供するものである。また、本発明の他の目的は、一の帯水層の流れと他の帯水層の流れとが相違する場合でも、いずれの汚染地下水も確実に浄化する地下水浄化体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、上記目的を達成する本発明(1)は、帯水層と帯水層の間に難透水層を有し、かつ該帯水層が2以上存在する汚染地盤に造成される地下水浄化体であって、前記帯水層に位置する浄化体区画は透過性の浄化材料で形成され、前記難透水層に位置する浄化体区画は当該難透水層を挟む上下両側の帯水層を流れる地下水の互いの流通を遮断する難透水性の区画層を配設したものである地下水浄化体、本発明(2)は、前記汚染地盤が、地中深度方向に帯水層、難透水層及び帯水層の繰り返し構造を有し、第3番目以降の帯水層が非汚染層である場合、前記地下水浄化体の下端部が、最深汚染層の帯水層と非汚染層の帯水層で挟まれる難透水層に着底させている前記地下水浄化体、本発明(3)は、前記透過性の浄化材料は、金属系還元剤、吸着剤及び生分解性ポリマーから選ばれる1種以上である前記地下水浄化体、本発明(4)は、前記難透水性の区画層は、吸水膨潤性ベントナイト、吸水膨潤性樹脂及び吸水膨潤性樹脂成形品から選ばれる1種以上で形成される前記地下水浄化体、本発明(5)は、前記難透水性の区画層は、該区画層に連なる難透水層と同じ難透水性か又はそれより大きな難透水性を有する前記地下水浄化体、本発明(6)は、最浅の帯水層に位置する浄化体区画より上方の浄化体部分に、難透水性の雨水浸入防止層を設けた前記地下水浄化体、本発明(7)は、地下水浄化杭又は地下水浄化壁である前記地下水浄化体、本発明(8)は、前記(7)記載の地下水浄化杭を、地中に間欠的且つ複数列状で、更に千鳥状となるように配置してなる地下水浄化体、本発明(9)は、前記(7)記載の地下水浄化杭を、地中に間欠的且つ複数列状で、更に千鳥状とし、流向が異なる複数の地下水の透過率が共に100%となるように配置する地下水浄化体をそれぞれ提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において、地下水浄化体が造成される汚染地盤としては、帯水層と帯水層の間に難透水層を有し、かつ該帯水層が2以上存在する地盤である。すなわち、地中深度方向に帯水層、難透水層及び帯水層の3層構造を有する汚染地盤、又は該3層構造に続いて更に地中深度方向に難透水層及び帯水層の繰り返し構造を有する地盤である。この積層構造の上方は、地表層であり、下方は硬質層の基盤である。従って、例えば難透水層が2層の場合、該地盤は地表から深部方向へ、地表層、第1帯水層、第1難透水層、第2帯水層、第2難透水層、第3帯水層及び基盤からなる。また、複数の帯水層の間隙水圧は同じでも、互いに異なるものでもよいが、通常異なる場合がほとんどであり、本発明においては、この間隙水圧が異なる場合に顕著な効果を奏することができる。また、複数の帯水層の地下水の流れ方向は同じでも、互いに異なるものでもよい。
【0010】
本発明の地下水浄化体が造成される汚染地盤において、汚染物質が存在する汚染層は少なくとも2つの帯水層に亘って存在するものが対象となる。1つの最浅の帯水層のみが汚染層であれば、浄化体を該浄化体の下端部を第1の難透水層に着底するように造成すれば、一の帯水層を流れる地下水が他の帯水層に流れる恐れはない。また、複数の帯水層の汚染濃度は同じでも、互いに異なっていてもよいが、本発明においては、複数の帯水層の汚染濃度が異なる場合において、特に顕著な効果を奏する。また、汚染地盤には汚染層の他、非汚染層の帯水層が存在していてもよい。汚染物質としては、特に制限されないが、トリクロロエチレン等の揮発性有機化合物及び重金属等が挙げられる。
【0011】
本発明においては、汚染地盤に地下水浄化体を打設する前に、予め地中の地盤構造及び汚染状況を把握するための事前調査が行われる。調査方法は公知の方法で行われ、調査項目としては、例えば帯水層及び難透水層の存在及びその深さ、各々の帯水層及び難透水層の透水係数、各々の地下水の流れ方向、及び汚染層、非汚染層の存在等が挙げられる。帯水層の透水係数は通常10−1〜10−4cm/秒であり、難透水層の透水係数は通常10−6〜10−8cm/秒である。国内のある地点における地盤調査によれば、当該地盤は地中深度方向に順に第1帯水層10m、第1難透水層3m、第2帯水層10m、第2難透水層5m、第3帯水層5mであり、これら全層のうち、第1帯水層から第2帯水層までが汚染層であった。
【0012】
次に、本発明の地下水浄化体の一例である地下水浄化杭を図1を参照して説明する。図1は本実施の形態における地下水浄化杭の概略断面図である。本例の地下水浄化杭10は、地中深部方向に地表層21、第1帯水層22、第1難透水層23、第2帯水層24、第2難透水層25、第3帯水層26、第3難透水層27、第4帯水層28及び基盤29からなる地盤の汚染源19の下流側に造成される浄化杭であって、第1帯水層22に位置する杭区画11、第2帯水層24に位置する杭区画13及び第3帯水層26に位置する杭区画15は透過性の浄化材料で形成され、第1難透水層23に位置する杭区画は第1難透水層23を挟む上下両側に位置する第1帯水層22及び第2帯水層24を流れる汚染地下水の互いの流通を遮断する難透水性の区画層12を配設し、第2難透水層25に位置する杭区画は第2難透水層25を挟む上下両側に位置する第2帯水層24及び第3帯水層26を流れる汚染地下水の互いの流通を遮断する難透水性の区画層14を配設したものである。
【0013】
また、本例の地下水浄化杭10は、最浅の第1帯水層22に位置する杭区画より上方の浄化杭部分、本例では地下水浄化杭10の頭部に難透水性の雨水浸入防止層17が設けられている。雨水浸入防止層17の設置位置が、最浅の第1帯水層22に位置する杭区画又はそれより下方部分の地下水浄化杭部分であれば第1帯水層22の地下水が地表面に流出したり、雨水が浸入する恐れがでてくる。また、地下水浄化杭10の下端部16を、最深汚染層の第3帯水層26と非汚染層の第4帯水層28で挟まれる第3難透水層27に着底させている。地下水浄化杭10の下端部16を、第3難透水層27を貫通して着底させると、第3帯水層26の汚染地下水が非汚染層の第4帯水層28に流入する恐れがある。この場合、他の難透水層に位置する杭区画と同様、第3難透水層27に位置する杭部分に難透水性の区画層を配置すれば、地下水浄化杭10の下端部16を第3難透水層27を貫通して着底させてもよいが、無駄な施工部分が生じるため好ましくない。
【0014】
透過性の浄化材料としては、金属系還元剤、吸着剤及び生分解性ポリマーが挙げられ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。金属系還元剤としては、鉄又は亜鉛の金属粉体、若しくはそれらの合金又は化合物の粉体が挙げられる。このうち、鉄粉が安価であり且つ廃棄物として排出されるものも使用できる点で好適である。吸着剤としては、活性炭が使用できる。また、生分解性ポリマーとしては、活性炭を含有したものが、微生物等のもつ生理活性により生分解性ポリマーが分解された場合でも、活性炭で透過性の浄化区画を形成できる点で好適である。また、これらの浄化材料は、必要に応じて砂又は礫分に混合して使用することが、浄化材料の分離を防止してかつ透過性を維持できる点で好適である。砂又は礫分としては、特に制限されないが、中砂、粗砂、細礫及び中礫分等の天然の土及び人工の砕石や一般土木用砕石が挙げられ、これらの1種又は2種以上の混合物が使用できる。地下水浄化体中、当該浄化材料で形成される杭区画11、13、15の透水性としては、特に制限されないが、当該杭区画に連なる帯水層と同程度の透水係数を有するか、あるいはそれ以上の透水係数を有するものであれば、浄化を行いつつ、汚染地下水の流れをそのまま維持することができる。
【0015】
地下水浄化体の難透水性の区画層12、14は遮水性材料で形成されたものであれば特に制限されない。遮水性材料としては、例えば吸水膨潤性ベントナイト、吸水膨潤性樹脂及び吸水膨潤性樹脂成形品が挙げられ、これらは1種単独又は2種以上を組合わせて使用することができる。吸水膨潤性ベントナイトは粉末状又は粒状であり、水と接触すると吸水膨潤し、遮水性に富む柔軟な半固形物となるものである。吸水膨潤性樹脂は水と接触すると吸水して体積が数十倍ないし数百倍に膨張し、遮水性に富むゲル状に変化するもので、様々な形態があるが、顆粒状又は粒状のものが望ましい。吸水膨潤性樹脂成形品は前記吸水膨潤性樹脂単独又は前記吸水膨潤性樹脂と他の樹脂あるいはゴムと混合したものを一定の形状に成形したもので、水と接触すると吸水して数倍ないし数十倍に膨張して遮水体を形成するものである。これらはいずれも市販のものが使用できる。難透水性の区画層12、14は、第1難透水層23及び第2難透水層25にそれぞれ位置する浄化杭区画の少なくとも一部に形成されていればよい。すなわち、難透水性の区画層12を例にとり更に説明すれば、図2に示すように、第1難透水層23が厚さHである場合、第1難透水層23に位置する杭区画111(厚さH)の一部に、厚さがHより小さいhの層で形成されたものであればよい。この区画層12の厚さhは、難透水層の厚さ及びその難透水性等により適宜決定される。区画層12の厚さhが厚すぎると、過剰な難透水性となるばかりか材料の無駄遣いとなり、一方、薄すぎると安定した難透水性が得られない恐れがでてくる。また、難透水性の区画層12、14は、該区画層12、14に連なる第1難透水層23や第2難透水層25と同じ難透水性か又はそれより大きな難透水性を有するものであればよく、このうち、連なる第1難透水層23や第2難透水層25と同じ難透水性とすることが、材料の無駄を省きかつ地下水の上下方向の流通を確実に遮断できる点で好適である。
【0016】
本発明の地下水浄化体を地中に設置する方法としては、特に制限されず、いずれも公知の砂杭造成工法、人力又はバックフォー等を用いる掘削トレンチ工法及びオールケーシング工法等が挙げられる。以下に、本例の地下水浄化杭10を地中に打設する方法について説明する。すなわち、地下水浄化杭10の打設方法は、用いられる浄化材料が一部異なる以外は従来からよく知られている砂杭造成工法を適用することができる。例えば中空管を地盤中の設計深度まで貫入した後、設計量の透過性の浄化材料を投入し、中空管を引き抜く過程で前記浄化材料の投入量を公知の方法で測定しつつ排出して、透過性の杭区画15が帯水層26の位置となるように打設する。次いで、水との接触により膨潤する粒状ベントナイトの設計量を投入し、中空管を引き抜く過程で前記粒状ベントナイトの投入量を公知の方法で測定しつつ排出して、難透水性の区画層14が難透水層25の位置となるように打設する。この操作を更に順次繰り返して、難透水性の区画層14の上方へ順に、透過性浄化砂杭13、難透水性の区画層12、透過性浄化砂杭11、難透水性の雨水浸入防止層17を形成する。なお、雨水進入防止層17は、難透水性の区画層と同様の材料が使用され、透水係数も同様の値でよい。また、地下水位WLから難透水性の雨水浸入防止層17までの浄化杭区間112は、浄化材料を使用せず、単に砂や礫分からなる透過性材料で打設されるいわゆる空打ち部であってもよい。
【0017】
本例の地下水浄化杭は、例えば間隙水圧の異なる複数の帯水層を有する汚染地盤中に所定の深度で打設されるにも拘わらず、地盤の帯水層の位置には透過性の浄化区画が形成され、難透水層に位置する杭区画には難透水性の区画層が形成され地盤構造に対応した構造を採るため、各帯水層の汚染地下水の流れはあたかも当該地下水浄化杭が打設されていないかのように、その流れを維持し当該透過性の杭区画を通過する。このため、間隙水圧の高い帯水層の汚染地下水が間隙水圧の低い帯水層に流入し、当該部分の汚染地下水が浄化されないという問題は起こらない。
【0018】
本発明の地下水浄化体としては、例えば前記実施の形態例の地下水浄化杭、あるいは掘削トレンチ状の連続壁である地下水浄化壁が挙げられる。前記地下水浄化杭は通常これを地中に多数打設して造成されるもので、例えば前記地下水浄化杭を地中に間欠的且つ複数列状で、更に千鳥状となるように配置してなるものが、流向が異なる複数の地下水を効果的に浄化できる点で好適であり、更に流向が異なる複数の地下水の透過率が共に100%となるように配置することが浄化を確実に行える点で特に好適である。千鳥状の平面形態としては、例えば1つの地下水浄化杭が互い違いに配置された形態のもの、W字が連続して配置された形態のもの(図3)及び菱形が連続して配置された形態のもの(図4)が挙げられる。1つの地下水浄化杭の断面形状としては、特に制限されず、円形状、矩形状、三角形状、楕円形状及び不定形状が挙げられ、このうち、円形状が中空管の貫入、引抜きで容易に行える点で好適である。また、地中に多数打設して造成される地下水浄化杭の平面視の概略形状としては、特に制限されず、長尺矩形状、弓状、ドーナツ状及び不定形状等が挙げられる。ドーナツ状は、その中心に汚染層が存在するものであり、いわゆる汚染層を封じ込めにより浄化するものである。また、連続壁状の地下水浄化壁の平面視の概略形状としては、長尺矩形状、弓状及び不定形状等が挙げられる。
【0019】
図5は本実施の形態の地下水浄化体の一例を示す概略平面図である。なお、図5中、符号41は地中浄化体40の流向Aに対する平均投影幅W1、符号42は地中浄化体40の流向Bに対する平均投影幅W2を参考のためにそれぞれ示したもので、地下水浄化体ではない。本例の地下水浄化体40は、円形断面の地下水浄化杭10を地中に間欠的且つ2列状で、更に千鳥状に多数打設し全体の概略形状が長尺矩形状となるように配置したもので、汚染層44を通過する流向Aの地下水Iに対して直交するように、かつ異なる帯水層に位置する汚染層43を通過する流向Bの地下水IIに対して傾斜角度αとなるように配置され、更に両地下水の透過率が共に100%となるように配置したものである。透過率とは、地下水の流向に沿って見た場合、浄化体造成領域断面中、浄化杭が占める断面積の割合をいい、透過率100%とは、流入する汚染地下水の全てが浄化体を通過することを意味する。
【0020】
図5のように配置された地下水浄化体40を用いて2つの帯水層を有する地盤30Aの汚染地下水の浄化方法の一例について説明する。地下水浄化体40を通過する地下水は、例えばpHが中性域、且つ酸化還元電位が低い状況にあり、浄化体の浄化材料は還元性金属粉体である。間隙水圧が異なる2つの帯水層を流向A及び流向Bで流れる各地下水は地下水浄化体40に達すると、地下水浄化体40のその帯水層に位置する杭区画にそれぞれ流入する。この場合、2つの杭区画間には難透水性の区画層が形成されているため、間隙水圧の高い帯水層の汚染地下水が間隙水圧の低い帯水層に流入することはない。このため、各帯水層の汚染地下水の流れはあたかも当該浄化杭10が打設されていないかのように、自然の流れを維持して当該浄化杭の杭区画を通過する。この際、2つの汚染地下水中の例えば難分解性ハロゲン化炭化水素は、各杭区画において還元性金属粉体の存在下、脱ハロゲン化され、無害な炭化水素に変換されるため、汚染地下水が浄化される。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、間隙水圧の異なる複数の帯水層を有する汚染地盤において、一の帯水層を流れる地下水が地下水浄化体を通過する際、該浄化体を介して他の帯水層に流入することがなく、各々の帯水層の汚染地下水を1つの浄化体で個別に浄化することができる。また、本発明によれば、浄化体が造成される帯水層が地表面より高い又は低い水圧をもついずれの帯水層であっても地下水の地表面への流出や雨水の地中への流入が生じない。また、本発明によれば、一の帯水層の流れと他の帯水層の流れとが相違する場合でも、いずれの汚染地下水も確実に浄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における地下水浄化体の概略断面図である。
【図2】図1の丸印Xの概略拡大図である。
【図3】平面視の千鳥状配置の形態を示す図である。
【図4】平面視の千鳥状配置の他の形態を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態における地下水浄化体の概略平面図である。
【図6】一般的な汚染地盤の構造を示す概略断面図である。
【図7】従来の地下水浄化体の概略断面図である。
【符号の説明】
10 地下水浄化杭
11 第1帯水層に位置する杭区画
12 第1難透水層に連なる難透水性の区画層
13 第2帯水層に位置する杭区画
14 第2難透水層に連なる難透水性の区画層
15 第3帯水層に位置する杭区画
16 地下水浄化杭の下端部
17 雨水浸入防止層
21、51 地表層
22 第1帯水層
23 第1難透水層
24 第2帯水層
25 第2難透水層
26 第3帯水層
27 第3難透水層
28 第4帯水層
29、55 基盤
40 地下水浄化体
52、54 帯水層
53 難透水層
19、57 汚染源
43、44 汚染層
WL 地下水水位

Claims (9)

  1. 帯水層と帯水層の間に難透水層を有し、かつ該帯水層が2以上存在する汚染地盤に造成される地下水浄化体であって、前記帯水層に位置する浄化体区画は透過性の浄化材料で形成され、前記難透水層に位置する浄化体区画は当該難透水層を挟む上下両側の帯水層を流れる地下水の互いの流通を遮断する難透水性の区画層を配設したものであることを特徴とする地下水浄化体。
  2. 前記汚染地盤が、地中深度方向に帯水層、難透水層及び帯水層の繰り返し構造を有し、第3番目以降の帯水層が非汚染層である場合、前記地下水浄化体の下端部が、最深汚染層の帯水層と非汚染層の帯水層で挟まれる難透水層に着底させていることを特徴とする請求項1記載の地下水浄化体。
  3. 前記透過性の浄化材料は、金属系還元剤、吸着剤及び生分解性ポリマーから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の地下水浄化体。
  4. 前記難透水性の区画層は、吸水膨潤性ベントナイト、吸水膨潤性樹脂及び吸水膨潤性樹脂成形品から選ばれる1種以上で形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の地下水浄化体。
  5. 前記難透水性の区画層は、該区画層に連なる難透水層と同じ難透水性か又はそれより大きな難透水性を有することを特徴とする請求項1〜4のいすれか1項記載の地下水浄化体。
  6. 最浅の帯水層に位置する浄化体区画より上方の浄化体部分に、難透水性の雨水浸入防止層を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の地下水浄化体。
  7. 地下水浄化杭又は地下水浄化壁であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の地下水浄化体。
  8. 請求項7記載の地下水浄化杭を、地中に間欠的且つ複数列状で、更に千鳥状となるように配置してなることを特徴とする地下水浄化体。
  9. 請求項7記載の地下水浄化杭を、地中に間欠的且つ複数列状で、更に千鳥状とし、流向が異なる複数の地下水の透過率が共に100%となるように配置することを特徴とする地下水浄化体。
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