JP2007283230A - 地下水の浄化方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】少ないコストで地盤沈下のおそれもなく地下水を浄化することができ、多数の有害な汚染物質により汚染された地下水に対しても有効な地下水の浄化方法。
【解決手段】有害物質Aにより汚染された地下水Wを浄化する地下水の浄化方法で、地下水Wの水路1が位置する土壌を掘削して地下水Wの水路1を横切る掘削穴3を形成し、有害物質Aを吸着する吸着材Bとして希土類化合物を有する透水性の浄化壁4を掘削穴3に構築して、その希土類化合物を有する浄化壁4を通過させることにより地下水Wを浄化し、または、地下水Wの水路1が位置する土壌を掘削して地下水Wの水路1を横切る掘削穴3と掘削穴3に連通する集水部6を形成し、地下水Wを遮水して集水部6に導く遮水壁7,8を掘削穴3に構築し、有害物質Aを吸着する吸着材Bとして希土類化合物を集水部6に配置して、その希土類化合物を通過させることにより地下水Wを浄化する。
【選択図】図1

Description

本発明は、有害物質により汚染された地下水を浄化する地下水の浄化方法に関する。
有害物質により汚染された地下水の浄化方法としては、従来、ポンプにより地下水を地上にまで揚水して吸着材と接触させ、地下水中の有害物質を吸着材に吸着させて浄化する方法が知られている。しかし、この方法では、ポンプにより地下水を揚水するのに多大な電力を必要とし、特に、地下水が汚染土壌中を流れているような場合には、汚染土壌中の有害物質が長期間にわたって徐々に地下水中に流入するため、長期間にわたる揚水作業を余儀なくされ、浄化処理に要するランニングコストが非常に高くなるという欠点があり、さらに、地下水の揚水による地盤沈下の可能性もある。
そこで、従来、地下水を遮水する一対の止水壁と地下水が透過する透過性浄化材を含む透過性地下水浄化壁からなる壁体を地中に配置し、透過性浄化材として鉄粉と珪砂を混合したものを使用して有機塩素化合物で汚染された地下水を浄化する方法が提案され、また、透過性浄化材として粒状のキレート樹脂を使用して特定の重金属で汚染された地下水を浄化する方法が提案された(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−263068号公報
しかしながら、上記特許文献に記載の方法のうち、透過性浄化材として鉄粉を使用するものでは、有害物質が有機塩素化合物に限られるばかりか、どうしても鉄粉が腐蝕してカルシウム塩が沈殿するため、長期間にわたって安定した浄化作用を期待することがむずかしいという問題があり、また、透過性浄化材として粒状のキレート樹脂を使用するものでは、有害物質が特定の重金属に限られるという問題がある。
本発明は、このような従来の問題点に着目したもので、その目的は、比較的少ないコストで地盤沈下のおそれもなく地下水を浄化することができ、しかも、多数の有害な汚染物質により汚染された地下水に対しても有効な汎用性の高い地下水の浄化方法を提供することにある。
本発明の第1の特徴構成は、有害物質により汚染された地下水を浄化する地下水の浄化方法であって、前記地下水の水路が位置する土壌を掘削して地下水の水路を横切る掘削穴を形成し、前記有害物質を吸着する吸着材として希土類化合物を有する透水性の浄化壁を前記掘削穴に構築して、その希土類化合物を有する浄化壁を通過させることにより前記地下水を浄化するところにある。
本発明の第1の特徴構成によれば、有害物質により汚染された地下水の水路が位置する土壌を掘削して地下水の水路を横切る掘削穴を形成し、有害物質を吸着する吸着材を有する透水性の浄化壁を掘削穴に構築して、その浄化壁を通過させることにより地下水を浄化するので、地下水中の有害物質は浄化壁を通過する際に吸着材に吸着され、それによって地下水は確実に浄化される。したがって、地下水を揚水する必要はなく、比較的少ないコストで地下水を浄化することができ、地下水の浄化に伴う地盤沈下のおそれもない。
そして、有害物質を吸着する吸着材として希土類化合物を使用し、その希土類化合物を有する浄化壁を通過させることにより地下水を浄化するので、砒素、フッ素、クロム、カドミウム、鉛などの多数の有害物質により汚染された地下水であっても、長期間にわたる安定した浄化が可能となり、また、希土類化合物だけでも浄化壁を形成することができるので、浄化壁の構築も容易であり、さらに、汚染物質を吸着した後においては、汚染物質が再溶出する可能性も殆どない。
本発明の第2の特徴構成は、有害物質により汚染された地下水を浄化する地下水の浄化方法であって、前記地下水の水路が位置する土壌を掘削して地下水の水路を横切る掘削穴とその掘削穴に連通する集水部を形成し、前記地下水を遮水して前記集水部に導く遮水壁を前記掘削穴に構築するとともに、前記有害物質を吸着する吸着材として希土類化合物を前記集水部に配置して、その希土類化合物を通過させることにより前記地下水を浄化するところにある。
本発明の第2の特徴構成によれば、有害物質により汚染された地下水の水路が位置する土壌を掘削して地下水の水路を横切る掘削穴とその掘削穴に連通する集水部を形成し、地下水を遮水して集水部に導く遮水壁を掘削穴に構築するとともに、有害物質を吸着する吸着材を集水部に配置して、その吸着材を通過させることにより地下水を浄化するので、地下水中の有害物質は吸着材を通過する際に吸着され、したがって、上記第1の特徴構成で言及したように、比較的少ないコストで地下水を浄化することができ、地下水の浄化に伴う地盤沈下のおそれもない。
さらに、有害物質を吸着する吸着材として希土類化合物を使用し、その希土類化合物を通過させることにより地下水を浄化するので、砒素、フッ素、クロム、カドミウム、鉛などの多数の有害物質により汚染された地下水であっても、長期間にわたる安定した浄化が可能で、汚染物質を吸着した後においては、汚染物質が再溶出する可能性も殆どない。
本発明の第3の特徴構成は、上記第2の特徴構成を備えた地下水の浄化方法において、前記遮水壁として2面の遮水壁を構築し、その2面の遮水壁を平面視において前記集水部に向かって互いに近接するように配置するところにある。
本発明の第3の特徴構成によれば、遮水壁として2面の遮水壁を構築し、その2面の遮水壁を平面視において集水部に向かって互いに近接するように配置するので、地下水は2面の遮水壁にガイドされて確実に集水部に案内される。
したがって、集水部に配置された希土類化合物による有害物質の吸着は一層確実となり、地下水の浄化をより一層確実に行うことができる。
本発明の第4の特徴構成は、上記第2または第3の特徴構成を備えた地下水の浄化方法において、前記希土類化合物を透水性の容器に収納して配置するところにある。
本発明の第4の特徴構成によれば、希土類化合物を透水性の容器に収納して配置するので、例えば、地下水の浄化が長期間にわたって希土類化合物を取り替える必要が生じた場合、古い希土類化合物を容器ごと取り出し、新しい希土類化合物に取り替えて、再び容器ごと土壌内に配置することができるので、希土類化合物の取り替え作業を短時間のうちに容易に行うことができる。
本発明の第5の特徴構成は、上記第2〜第4のいずれかの特徴構成を備えた地下水の浄化方法において、前記希土類化合物よりも地下水の上流部にろ過材を配置するところにある。
本発明の第5の特徴構成によれば、希土類化合物よりも地下水の上流部にろ過材を配置するので、たとえ地下水中に塵埃などが混入していても、ろ過材により確実に除去され、その後、塵埃が除去された後の地下水が希土類化合物を通過することになる。
したがって、希土類化合物間に塵埃が混入して、希土類化合物による有害物質の吸着能が低下するおそれもなく、希土類化合物による吸着能を長期間にわたって維持することができる。
本発明の第6の特徴構成は、上記第1〜第5のいずれかの特徴構成を備えた地下水の浄化方法において、前記浄化壁または集水部よりも地下水の下流側あるいは前記浄化壁または集水部のうちの少なくとも一箇所に地下水の浄化状態を観測する観測用井戸を配置するところにある。
本発明の第6の特徴構成によれば、前記浄化壁または集水部よりも地下水の下流側あるいは浄化壁または集水部のうちの少なくとも一箇所に地下水の浄化状態を観測する観測用井戸を配置するので、その観測用井戸を使用して地下水の浄化状態や、吸着材としての希土類化合物の性能劣化の有無などを簡単、容易に知ることができる。
したがって、例えば、定期的に観測用井戸を使用して地下水の浄化状態を観測することにより、希土類化合物を有する浄化壁や集水部に配置した希土類化合物の取り替え時期を確実に把握することができ、長期間にわたる確実な地下水の浄化が可能となる。
本発明の第7の特徴構成は、上記第1〜第6のいずれかの特徴構成を備えた地下水の浄化方法において、前記希土類化合物が、砒素、フッ素、クロム、カドミウム、鉛、セレン、ホウ素、アンチモン、モリブデン、水銀のうちの少なくとも一種を吸着するところにある。
本発明の第7の特徴構成によれば、希土類化合物が、砒素、フッ素、クロム、カドミウム、鉛、セレン、ホウ素、アンチモン、モリブデン、水銀のうちの少なくとも一種を吸着するので、これら有害物質のひとつによって汚染された地下水も、また、これら有害物質の複数によって汚染された地下水も、同じ希土類化合物を使用して浄化することができる。
本発明による地下水の浄化方法の実施形態を図面に基づいて説明する。
この地下水の浄化方法は、図1および図2に示すように、例えば、化学薬品などの有害物質Aにより汚染された工場の立地土壌内を通流し、それによって有害物質Aにより汚染された地下水Wを浄化するための方法で、第1の実施形態を図1に基づいて、また、第2の実施形態を図2に基づいて説明し、第1と第2の実施形態で使用する観測用井戸Cの詳細を図3に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態においては、まず、図1の上段に示すように、地下水Wが流れる水路1が位置する土壌のうち、有害物質Aにより汚染された土壌よりも下流側の土壌を掘削して、地下水Wの水路1を横切って、好ましくは、粘土や岩盤からなる下方の不透水層2にまで至る掘削穴3を形成する。
つぎに、図1の中段に示すように、有害物質Aを吸着する吸着材Bを有する透水性の浄化壁4を掘削穴3内に構築して、地下水Wが浄化壁4を通過して流れるように配置し、その後、必要に応じて、図1の下段に示すように、掘削穴3を埋め戻して浄化壁4を地中に埋設し、さらに、浄化壁4よりも地下水の下流側に観測用井戸Cを埋設して配置する。
なお、掘削穴3と浄化壁4は、図示のように平面視においてほぼ彎曲状に配置する以外にも、例えば、平面視において「く」の字状や「U」の字状、あるいは、直線状に配置するなど、地下水Wの水路1の状況などに応じて自由に選択することができる。
その掘削穴3内の浄化壁4は、透水性を有する多孔質のセラミック製ブロック5を壁材として、多数のセラミック製ブロック5が、水平方向に並べられ、かつ、垂直方向に積み重ねられて構築され、各セラミック製ブロック5には、有害物質Aを吸着する吸着材Bとして希土類化合物の粉粒体が混入されている。
希土類化合物としては、例えば、セリウム(Ce)、サマリウム(Sm)、ネオジム(Nd)、ガドリニウム(Gd)、ランタン(La)、イットリウム(Y)の化合物が使用され、これら希土類化合物は、有害物質Aとしての砒素(As)、フッ素(F)、クロム(Cr)、カドミウム(Cd)、鉛(Pb)、セレン(Se)、ホウ素(B)、アンチモン(Sb)、モリブデン(Mo)、水銀(Hg)などに対して高い吸着性能を有する。
これら希土類化合物は、希土類の酸化物の水和物または水酸化物の形態で、例えば、酸化セリウム水和物(CeO2・1.6H2O)、酸化サマリウム水和物(Sm23・4.1H2O)、酸化ネオジム水和物(Nd23・4.7H2O)、酸化ガドリニウム水和物(Gd23・5.0H2O)、酸化ランタン水和物(La23・3.0H2O)、酸化イットリウム水和物(Y23・2.1H2O)、水酸化セリウム(Ce(OH)3またはCe(OH)4)の形態で、かつ、0.1〜2.0μm程度の径を有する細かい粉粒体、または、これらの2次凝集体(1μm〜1000μm)、または、上記の希土類の酸化物または水酸化物をセラミックなどの無機材料あるいは有機材料に担持した0.1〜10mm程度の径を有する粒体の形態で使用される。
セラミック製ブロック5としては、例えば、珪藻土に中空のガラスビーズや樹脂ビーズ、あるいは、オガクズなどのビーズ材を混合し、吸着材Bである酸化セリウムを10重量%、さらに、アルカリ性のガラスカレットを10重量%程度混合し、それをブロック状に成形して約1300℃で焼成したものを使用することができる。
焼成によりビーズ材が酸化し、透水性を有する多孔質のセラミック製ブロックが形成され、さらに、そのブロックを塩酸で煮沸した後、水酸化ナトリウムで中和して水和させ、最終製品であるセラミック製ブロック5を形成する。
セラミック製ブロック5における多孔質の孔径は、10mmを越えると、透水する地下水Wの表面張力の影響が小さくなって、透水の流速が速くなりすぎ、吸着材Bによる有害物質Aの吸着効果が低下するため、10mm以下にするのが望ましい。
このようにして、孔径10mm以下の多孔質セラミック製ブロック5を作成して実験したところ、砒素汚染土壌から0.11mg/l(リットル)の砒素を含んで溶出する水が、セラミック製ブロック5を透水することにより、砒素濃度が0.001mg/l(リットル)以下に低減されることが確認された。
なお、アルカリ性のガラスカレットは、吸着材Bである希土類化合物の砒素吸着性能を向上させるためのもので、希土類化合物の砒素吸着性能はアルカリ雰囲気中において優れ、特に、三価砒素にあっては吸着性能が顕著に向上することが確認された。
この第1の実施形態によれば、有害物質Aにより汚染された地下水Wは、吸着材Bとして希土類化合物を有する浄化壁4を通過して流れるため、地下水W中の有害物質Aが浄化壁4を通過する際に希土類化合物に吸着される。したがって、地下水Wは浄化され、有害物質Aが水路1の下流側へ流出するのが阻止される。
なお、第1の実施形態を実施するに際し、先の実施形態では、地下水Wの水路1を横切る壁全体を浄化壁4で構成した例を示したが、例えば、壁の一部を浄化壁4で構成し、残りの一部を遮水性の壁で構成して実施することもできる。要するに、有害物質Aで汚染された地下水Wが、必ず吸着材Bとして希土類化合物を有する浄化壁4を通過して流れるような構成であれば、いかなる構成も採用可能である。
また、希土類化合物は、それ自体で浄化壁4を形成することもでき、例えば、掘削穴3内に比較的粗い粒状の希土類化合物を直接投入して浄化壁4とすることもできる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態においては、図2の上段に示すように、地下水Wが流れる水路1が位置する土壌のうち、有害物質Aにより汚染された土壌よりも下流側の土壌を平面視において「ハ」の字状に掘削して、地下水Wの水路1を横切る一対の掘削穴3を形成し、さらに、「ハ」の字状の中央部分も掘削して、一対の掘削穴3に連通する集水部6を形成する。
要するに、平面視において水路1の下流側ほど互いに近接するように一対の掘削穴3をほぼ直線状に掘削して「ハ」の字状にし、その「ハ」の字状の中央部分に集水部6を形成する。
なお、第2の実施形態においても、掘削穴3と集水部6は、不透水層2に至るまで掘削して形成するのが好ましい。
つぎに、図2の中段に示すように、コンクリートや金属板などのような遮水性を有する各種の材料からなる遮水壁7,8を一対の掘削穴3内に構築する。それによって、合計2面の遮水壁7,8が構築されて、平面視において地下水Wの下流側の集水部6に向かって互いに近接するように「ハ」の字状に配置され、地下水Wを遮水して集水部6に導くことになる。
そして、有害物質Aを吸着する吸着材Bを透水性の容器である吸着材用容器9に収納し、その吸着材用容器9を集水部6に配置するとともに、粗砂などからなるろ過材10を透水性のろ過材用容器11に収納し、そのろ過材用容器11を吸着材用容器9よりも地下水Wの上流部に配置して、地下水Wがろ過材10を通過し、その後、吸着材Bを通過して流れるように配置し、必要に応じて、図2の下段に示すように、掘削穴3を埋め戻して遮水壁7,8、吸着材用容器9、ろ過材用容器11などを地中に埋設し、さらに、集水部6よりも地下水の下流側に観測用井戸Cを埋設して配置する。
有害物質Aを吸着する吸着材Bは、第1の実施形態で説明した希土類化合物をそのまま使用することができ、さらに、希土類の酸化物の水和物または水酸化物の形態で使用することができる。ただし、第2の実施形態では、吸着材Bを吸着材用容器9に収納して使用するため、第1の実施形態のように細かい粉粒体にする必要はなく、比較的粗い粒状の形態で使用される。
吸着材用容器9とろ過材用容器11としては、例えば、ステンレスなどの金属、ガラス、合成樹脂などの各種の線材からなる網状の袋、あるいは、多数の小さな孔やスリットを有する容器などが使用可能である。また、吸着材用容器9に仕切りを設け、比較的劣化の早い上流側と劣化の遅い下流側との2室構造にし、上流側の室に収納された吸着材Bと下流側の室に収納された吸着材Bを別々に取り替え可能に構成することもできる。このように2室構造にして吸着材Bの取り替えを別々に行えば、吸着材Bの取り替えを適切に行うことができ、さらに、有害物質Aにより汚染された地下水Wが、吸着材Bの取り替え作業中に誤って下流側へ流出することもない。
なお、掘削穴3と遮水壁7,8は、平面視において図示のように「ハ」の字状に配置する以外にも、例えば、平面視において彎曲状や直線状に配置するなど、地下水Wの水路1の状況などに応じて自由に選択することができる。
この第2の実施形態によれば、有害物質Aにより汚染された地下水Wは、吸着材用容器9に収納された吸着材Bとして希土類化合物を通過して流れるため、有害物質Aが希土類化合物に吸着されて地下水Wが浄化され、有害物質Aが水路1の下流側へ流出するのが阻止される。
なお、第2の実施形態を実施するに際し、先の実施形態では、吸着材Bを吸着材用容器9に収納して配置した例を示したが、場合によっては、吸着材用容器9をなくして、吸着材Bを集水部6内に直接配置して実施することもでき、また、ろ過材10の一例として粗砂を示したが、フィルタなどをろ過材10として使用することもできる。
なお、吸着材Bによる地下水Wのろ過作用も期待できるので、場合によっては、ろ過材10をなくして実施することもできる。
第1と第2の実施形態で使用する観測用井戸Cは、地下水の浄化状態を観測するためのもので、図3に示すように、直径が10cm足らずの複数本の円筒体12で構成され、各円筒体12の表面には、その全長にわたって多数の丸孔12aが穿設されて、その複数本の円筒体12が、連結管13を介して長手方向に接続されている。
その接続された円筒体12の下端開口部には、下端キャップ14が固着されて閉鎖され、上端開口部には、上端キャップ15が取り外し可能に取り付けられ、さらに、円筒体12内への塵埃の侵入を防止するビニール製の網16が、円筒体12の全長にわたって巻き付けられている。
このような構成の観測用井戸Cが、第1の実施形態では、浄化壁4よりも地下水の下流側に埋設され、第2の実施形態では、集水部6よりも地下水の下流側に埋設されているので、観測用井戸Cの円筒体12内には、常に浄化壁4または集水部6を通過して吸着材Bとしての希土類化合物により浄化された直後の地下水が溜まることになる。
したがって、必要に応じて上端キャップ15を取り外し、円筒体12内の地下水を適量汲み出して観測することにより、地下水の浄化状態を簡単、容易に知ることができ、必要な場合には、浄化壁4や吸着材用容器9内の希土類化合物を取り替えることになり、浄化壁4が粒状の希土類化合物で構築されている場合には、例えば、サンドポンプなどで古い希土類化合物を吸引除去して、新しい粒状の希土類化合物を投入することになる。
また、第1の実施形態において、浄化壁4の下流側に配置した観測用井戸Cに代えて、または、浄化壁4の下流側に配置した観測用井戸Cに加えて、浄化壁4内に観測用井戸Cを配置して実施することができる。
同様に、第2の実施形態において、集水部6の下流側に配置した観測用井戸Cに代えて、または、集水部6の下流側に配置した観測用井戸Cに加えて、集水部6内に観測用井戸Cを配置して実施することができる。
このように浄化壁4内または集水部6内に観測用井戸Cを配置する場合には、吸着材Bの性能劣化をいち早く観測することができるので、有害物質Aにより汚染された地下水Wの流出をより一層確実に防ぐことができる。
さらに、浄化壁4または集水部6の上流側にも観測用井戸Cを配置して、地下水Wの汚染度を確認できるように構成することも可能である。
〔別実施形態〕
第1の実施形態では、吸着材Bとしての希土類化合物を有する透水性の浄化壁4や粒状の希土類化合物自体で形成された浄化壁4を使用し、第2の実施形態では、遮水壁7,8と吸着材Bとしての希土類化合物を使用して地下水Wを浄化する方法を示したが、第1と第2の実施形態を混在させて実施することもできる。
例えば、第2の実施形態において、遮水壁7,8に代えて第1の実施形態における浄化壁4、つまり、希土類化合物の粉粒体が混入されたセラミック製ブロック5を壁材とする浄化壁4を使用し、または、遮水壁7,8の一部をセラミック製ブロック5を壁材とする浄化壁4に置き換えて実施することもできる。
地下水の浄化方法の第1の実施形態による実施過程を示す説明図 地下水の浄化方法の第2の実施形態による実施過程を示す説明図 地下水の浄化方法で使用する観測用井戸の説明図
符号の説明
1 水路
3 掘削穴
4 浄化壁
6 集水部
7,8 遮水壁
9 透水性の容器
10 ろ過材
A 有害物質
B 吸着材としての希土類化合物
C 観測用井戸
W 地下水

Claims (7)

  1. 有害物質により汚染された地下水を浄化する地下水の浄化方法であって、
    前記地下水の水路が位置する土壌を掘削して地下水の水路を横切る掘削穴を形成し、前記有害物質を吸着する吸着材として希土類化合物を有する透水性の浄化壁を前記掘削穴に構築して、その希土類化合物を有する浄化壁を通過させることにより前記地下水を浄化する地下水の浄化方法。
  2. 有害物質により汚染された地下水を浄化する地下水の浄化方法であって、
    前記地下水の水路が位置する土壌を掘削して地下水の水路を横切る掘削穴とその掘削穴に連通する集水部を形成し、前記地下水を遮水して前記集水部に導く遮水壁を前記掘削穴に構築するとともに、前記有害物質を吸着する吸着材として希土類化合物を前記集水部に配置して、その希土類化合物を通過させることにより前記地下水を浄化する地下水の浄化方法。
  3. 前記遮水壁として2面の遮水壁を構築し、その2面の遮水壁を平面視において前記集水部に向かって互いに近接するように配置する請求項2に記載の地下水の浄化方法。
  4. 前記希土類化合物を透水性の容器に収納して配置する請求項2または3に記載の地下水の浄化方法。
  5. 前記希土類化合物よりも地下水の上流部にろ過材を配置する請求項2〜4のいずれか1項に記載の地下水の浄化方法。
  6. 前記浄化壁または集水部よりも地下水の下流側あるいは前記浄化壁または集水部のうちの少なくとも一箇所に地下水の浄化状態を観測する観測用井戸を配置する請求項1〜5のいずれか1項に記載の地下水の浄化方法。
  7. 前記希土類化合物が、砒素、フッ素、クロム、カドミウム、鉛、セレン、ホウ素、アンチモン、モリブデン、水銀のうちの少なくとも一種を吸着する請求項1〜6のいずれか1項に記載の地下水の浄化方法。
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