JP2004154696A - 汚水、用水の浄化方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】汚水の土壌浄化装置における目詰まりを有効に防止して、装置の連続使用を可能とする。
【解決手段】汚水の土壌浄化装置の浄化層最上部に上部散水管、その下方で浄化層の上部に上部散気管を配設するとともに、該散気管の下方に下部散水管、更にその下方に下部散気管を配設し、一方の散水管に目詰まりが生じて透水量が低下したら、他方に切り換えて連続運転を行う。停止中の散水管の目詰まりは、散気管からの曝気の助けを借りて、好気的分解を行って目詰まりを解消する。
【選択図】 図1
【解決手段】汚水の土壌浄化装置の浄化層最上部に上部散水管、その下方で浄化層の上部に上部散気管を配設するとともに、該散気管の下方に下部散水管、更にその下方に下部散気管を配設し、一方の散水管に目詰まりが生じて透水量が低下したら、他方に切り換えて連続運転を行う。停止中の散水管の目詰まりは、散気管からの曝気の助けを借りて、好気的分解を行って目詰まりを解消する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、土壌を利用して汚水や用水の浄化を行うものにおいて、土壌の目詰まりを回避して安定して汚水等の浄化を行うものに関する。
【0002】
【従来の技術】
土壌中に汚水を流し込んで浄化する土壌浄化方法が、古くから知られている。これは、透孔を設けたパイプなどを散水管としこの周りを礫層で囲んだもので、処理水は地下に浸透させたり、槽内に土壌を充填したものにあっては槽の下部から取り出したりするものである。
【0003】
しかし、従来一般に行われている土壌浄化方法には、2つの点で問題があった。1つは、過大な負荷がかけられず、せいぜい50〜100L/m2 /日と処理能力が低いことである。2つ目は、目詰まりが起こり易いことである。そのため、大量の汚水を処理するには広大な土地を要するなど、実用性に欠けるものであった。
【0004】
この内前者については、本発明者らが開発した多段濾床式土壌浄化方法によりほぼ完全な解決が見られた。この多段濾床式土壌浄化方法は、特公平7−41251号、特開昭62−171791号、特開昭63−36895号、特開平2−119992号、特開平6−269789号、特開平9−85282号、特開平11−330035号等に示すように、通気性や透水性は劣るが浄化能(有機物分解能)に優れた土壌ブロックをレンガ状に積層し、その周りを粒状物からなる通水層が取り囲み、汚水が通水層を通過する間に処理土壌層(土壌ブロック)に接触乃至浸透して浄化を進行させるものである。
【0005】
この多段式土壌浄化技術により、土壌浄化装置は、下水やし尿の一次、二次処理水、生活雑排水などの汚水、更には汚濁河川水などの用水を効率的かつ比較的高速に浄化できる装置としての実用性を帯びることとなった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この多段式土壌浄化においても、旧来の土壌浄化に比べれば影響は少ないが、やはり目詰まりの問題が発生する。目詰まりは、特に旧来の土壌浄化の場合汚水等の供給量が少ないと生じにくいので、なるべく目詰まりが生じないように供給量を設定するため、結果的に汚水の処理能力が低い装置となる。
【0007】
以下、土壌浄化における目詰まりのメカニズムについて説明する。土壌内で浄化が行われる場所は、大小さまざまな土粒子が形成する間隙内である。汚水がこの間隙を浸透・通過して行く際に、土壌粒子表面にさまざまな無機物、有機物が保持され、ろ過・吸着・凝固等の物理化学的反応が行われる。また、この間隙内は微生物群の生活圏となって生物分解が行われ、これが結果として汚水を浄化することになる。このことは間隙が確保されないと浄化機能がはたらかなくなる事を意味している。
【0008】
ところが、装置を連続稼動していくと、図5(a)に示すように、汚水中の懸濁成分(SS)や未分解微生物の死骸或いは微生物体およびその分泌物からなる生物膜などの有機物により土壌間隙の一部が閉塞される。この一部閉塞により土壌中の水分が増えて嫌気状態となり、生物分解能力の高い好気性微生物の活動が低下して未分解有機物は益々蓄積するという悪循環に陥り、目詰まりが進行する。この目詰まりは、汚水が土壌内へ浸透してゆく接触境界面のごく限定された箇所で発生するが、このわずかな厚さの土層の透水係数が低下しても、全体係数の低下を招く。
【0009】
この有機物による目詰まりは、汚水の流入を停止し好気的状態が1〜数ケ月続くと、有機性SSや生物膜が好気性菌に分解され、目詰まりは解消する。従って、汚水の流入を止められない場合、浄化装置を2系列作り、一方を休止している間に他方を稼働させるとか、1つの装置内に散水管を横に2列並べ交互に休止させることで対処している。しかし、これらの方法では、汚水処理に要する土地面積が倍になり、ただでさえ効率が悪い土地面積当たりの処理能力が更に低下する難点がある。
【0010】
この土壌間隙は、図5(b)に示すように無機鉱物粒子(無機性SSのほか、土壌から遊離した粘土やシルトなどの微粒子)によっても閉塞される。これらの粒子は、重力浸透や毛管現象によって下方や側方に移動・集積し図6(b)に示すような不可逆の不透水層(目詰まり)を形成する。この移動・集積は、浸透水が多いほど多くなる。従来型の土壌浄化装置での負荷が50〜100L/m2 /日と低いのは、この不可逆的目詰まりを避けるためである。尚、無機鉱物粒子による閉塞は単独ではなく有機物による閉塞にも助長されるので、汚水流入の停止で幾分目詰まりは解消するが、効果は長続きしない。
【0011】
上記の目詰まり機構に加え、粒子径の不均一さがもたらす物理的な現象として、汚水の流速の変化によるSSの集積促進効果がある。粒子径が変化するところでは汚水の流速が変化し、それが小さくなるときに移動水中のSSが集積し図5(a)、(b)の目詰まりを促進することとなる。自然土壌は径が不均一な粒子の集まりであり、過剰な水量負荷によりSSの集積が促進される。欧米の土壌トレンチ法では、土壌の飽和透水係数の7〜15%を汚水負荷量の目安としている。比較的透水性の良い黒ボク土やマサ土で飽和透水係数は10−3cm/sec程度であり、この値に基づくと7〜15%の負荷量は60〜129L/m2 /日となる。
【0012】
尚、上記の目詰まり以外に、図5(c)に示すように、施工時に機械や人間の踏み跡等による圧密や塗り固めによって土壌の粗孔隙が閉塞し、不透水層を形成することがある。この場合、不可逆的目詰まりを起こす要因となる。
【0013】
毛管湿潤トレンチ法など従来型の土壌式浄化装置では、流入部には砕石や礫などが用いられているものの、それ以外の装置全体が不均一な粒子の集まりである土壌により構成されている。このため先に述べたようにSSの集積等により孔隙が閉塞し、目詰まりが起こりやすいという欠点がある。
【0014】
図6は、毛管湿潤トレンチ式土壌式浄化装置の一例を示すもので、図6(a)は縦断面図、(b)は(a)におけるX−X線断面図である。この従来型土壌浄化装置40は、汚水導入管41の周りを礫層42で囲み、礫層42の下側に砂層43を設け、砂層43の下方を合成樹脂性膜(止水シート)44で囲んだものである。礫層42の上方は金網45を介して被覆土壌層(埋め戻し土)46で覆っている。
【0015】
家庭などから排出される汚水は、汚水管47から汚水溜め48に至りここで夾雑物49を除かれて、汚水導入管41から装置40内に導かれる。そして、汚水導入管41の小孔から浸出した汚水は、周りの土壌50中に毛管現象で浸透したり、毛管サイフォン現象で吸引されたりするが、最終的には重力浸透により浄化槽底部に到達して排水される。汚水は、このような移動の過程で浄化されていく。しかし、前述したようにこの装置40全体が不均一な粒子の集まりである土壌により構成されているため、汚水導入管41の周りには有機系SSなどの可逆的な目詰まりが生じる。また、無機系SS等による不可逆的な目詰まり層51も、止水シート44の上部のみならず、その両側の土壌50のどのような位置でも生成し得る。有機系の目詰まりは、装置を休止することにより解消するが、無機系の目詰まりは解消せず、装置の破壊を意味する。
【0016】
尚、被覆土壌層46は設けないものもあるが、悪臭対策上あった方が良いし、芝や草花などの植生を生やすと美観上からも好ましい。しかし、散水管の周りの目詰まりを洗浄等により回復させるためには被覆土壌層は無い方がよい場合もある。全体装置をコンクリートの蓋に入れて、散水管は地表面に露出している装置もある。
【0017】
次に、多段土壌式浄化装置について説明する。先ず浄化を担う土壌ブロック(処理土壌層、ブロック状処理土壌層)を構成する土壌は、黒ボク土、マサ土、赤土などの自然土壌、これらに浄化機能を強化する木炭、鉄粒、おが屑等を添加した改良土壌がある。そして、これらの飽和透水係数(水道水使用:測定1日目の初期値、カッコ内は透水18日目の値) は、黒ボク土(充填密度0.9g/cc) 1.4×10−2(4×10−3)cm/sec、赤土(充填密度1.1g/cc) で5×10−3(3×10−3)cm/secであり、いずれの土壌でも18日間の連続透水により飽和透水係数が減少することがわがる。これは、透水にともない土壌の構成粒子が移動・集積し一部孔隙が閉塞したためであると考えられる。SSのほとんど入っていない水道水によってもこの様に透水性は減少する事が示された。改良土壌の飽和透水係数は、黒ボク土が3.5×10−3cm/sec、マサ土が1×10−3cm/sec、赤土が1.5×10−3cm/sec( それぞれの土壌の充填密度は自然土壌の場合と同じ) と自然土壌の値よりさらに減少した。これは資材添加により、粒径の不均一さが増しSSの移動・集積が促進されたためであると考えられた。
【0018】
これらの飽和透水係数より、先の欧米の土壌トレンチ法の考えを適用し汚水負荷量を見積もると、やはり200(マサ土)、60( 黒ボク土) L/m2 /日となる。そこで、透水性強化のための方法の一つとして提案されたのが多段土壌層法である。多段土壌層法においては、透水性を維持するために通水層を配置し、それには直径3〜5mmの粒径の揃った資材( ゼオライトなど) を用いている。この資材の透水係数は、粒径3〜5mmのゼオライトで0.8cm/secである。
【0019】
この透水性の良い資材と自然土壌の浄化機能を強化した改良土壌を用いて、図7に示すような、多段層状に配置し構造をつくる。この多段土壌層の透水係数について、改良黒ボク土と粒径3〜5mmのゼオライトを用いて1立方メートルの装置を作り1年間断続的に実測した結果、2000トンの水量を負荷しほぼ透水係数が安定した時点で、0.1cm/secであった。この値に基づき、先の欧米の土壌トレンチ方の基準の下限値の飽和透水係数の7%で見積もって汚水負荷量を計算すると6000L/m2 /日、さらに安全側に見積もって5%としても4300L/m2 /日の負荷量となる。尚、測定に使用した水は、BOD15、SS20mg/L程度の河川水である。
【0020】
このように、多段土壌層法により自然土壌の透水係数に依存していた土壌トレンチ法等の従来の土壌浄化法の透水性を、60倍以上に高めることができる。これは、従来法に比べて負荷量を60倍増加させることができることを示しているとともに、目詰まりに対する安全性が飛躍的に高められることを示している。そして、このような高速負荷運転でも、多段土壌層法は、従来型の土壌浄化層と同程度或いはそれ以上の有機物分解等の浄化性能を示す。これは、多段土壌層法では汚濁成分が浄化容土壌層に効果的に接触分解され、短絡も防止されるからである。
【0021】
上記したように、多段土壌層法は透水性に優れる、換言すれば汚水や用水の処理能力に優れるが、やはり目詰まりは生じる。図7に、従来(本発明以前)の多段土壌浄化装置60の構造の一例を示す。この装置60は、処理土壌層(土壌ブロック)3をレンガ状に多段に積み上げ、その間を通水層4としたもので、上部の通水層4に散水管61、その1段下の通水層4に散気管62を設けたものである。また、装置の最上層部は、被覆土壌層6である。散気管62は、設けないものもあった。尚、処理土壌層3と通水層4で浄化層5を形成している。
【0022】
そして、多段構造による処理装置60の目詰まりは、散水管61の散水孔63およびその直近の散水層4A、処理土壌層(土壌ブロック)3の表層部分、及び通水層のネック部4Bの3箇所で発生する。従来の多段土壌浄化装置においては、処理土壌層の巾が500mm以上と比較的長かったため、通水層のネック部4Bの目詰まりが生じやすかった。
【0023】
散水孔63およびその直近散水層4Aの場合、その主な原因は、流入水中に含まれている有機性SS(小規模河川の浅層流では主としてミズワタ)の付着と堆積によるものである
【0024】
土壌ブロックの表層部分:処理土壌層の目詰まりは多段式土壌層でも土壌の表層部で発生する。この場所での目詰まりは、従来型の土壌式浄化装置の目詰まりと同じである。多段構造とは、レンガ状に積層された土壌ブロックの周りを粒径の均一な通水層構成材(軽石・ゼオライト等)が取り囲んでおり、流入水は土壌ブロック内への浸透と共に、土壌表面に接触することでも浄化されている。上段土壌ブロックに浸透しなかった汚水も、次の段では必ず土壊ブロックに接触・浸透される繰り返し構造になっている。従って、一部の土壌ブロックが目詰まりし機能不全に陥っても、装置全体の機能停止になることはない。しかし、次に挙げる通水層のネック部が閉塞すると、装置としての目詰まり状態となる(実際には透水性の低下であり完全な目詰まりとはなりにくい)。
【0025】
通水層のネック部:通水層は土壌ではなくて、粒径( 3〜6ミリφ) は小さいものの、礫間浄化や散水濾床法等( ジヤリッコ方式も含む) における担体とほぼ同じものと考えて良い。多段土壌層法がこれらの処理方式と異なる点は、処理土壌層の分解機能も同時に利用できるので、散水濾床のような有機性SS等による広範囲にまたがる厚い生物膜の生成までには至らない。図8は、多段土壌浄化装置における目詰まりのイメージ図であり、各段の処理土壌層(土壌ブロック)3の間を溝状の通水層がネック部4Bを形成しており、右側の図における符号16は、生物膜と未分解SSにより肥厚化した通水層資材である。この肥厚化した通水層資材16による目詰まりは、汚水供給の休止により消滅し、左側の図のように通水層ネック部4Bが開通する。この通水層ネック部4Bを通過すると、全面に通水層4が敷き詰められている。土壌ブロック3の真下部分に位置する通水層4には、上段の土壌ブロック3で処理された清浄な処理水が流れ込むようになっているので、生物膜の肥厚化や未分解SSの堆積はネック部4Bとその周辺で集中して起こり、通水層4全面を覆う状態にはならない。
【0026】
もうひとつ懸念されることは、砂粒等の生物分解の出来ない無機性SSが長期間にわたって流入した場合、通水層の間隙を塞ぐことにならないかという点である。流入水中の純然たる無機性SSの影響は、適切な前処理(1次処理)がなされれば、単独ではほとんど無視しうる量である。有機性SSの堆積があってはじめて意味をなすが、後述の回復メカニズムで触れているように、通気と休止期間の導入による有機性SSの分解とともに、その影響はなくなる。むしろ考慮すべきは、処理土壌層3から分離した微細粒子が通水層4に流出することである。しかしこれとて、土壌ブロック3の製品化過程で排除することが出来るので、案ずるには及ばない。いずれにせよ、汚水の土壌内浸透過程における目詰まりは、程度の差はあれ避けられない。したがって、十分に余裕をもった土壌容量の設計、休止期間の導入( 交互使用) 、目詰まりに対処しやすい構造にすることが必要である。
【0027】
【課題を解決するための手段】
以上説明したように、土壌を利用した汚水或いは用水の浄化は、装置の浄化能、単位面積当たりの処理量(L/m2 /日)、処理の連続性(目詰まり防止)が重要な要素となる。浄化能については、土壌の汚水分解能力は高いので浄化用土壌層が積算で30〜50cm程度存在して汚水がこの浄化用土壌層に接触浸透すれば、BODは充分高度に分解する。また、汚水中のリンや重金属は土に吸着・保持される。単位面積当たりの処理量は、従来のトレンチ型土壌浄化装置の場合、無機鉱物粒子の移動・集積による目詰まりの問題、及び目詰まりと裏腹の関係にある短絡の問題から、負荷を大きくすることはできない。
【0028】
一方、従来型土壌浄化装置では、生物膜やSSの蓄積による目詰まりは散水管の直下10〜20cmまでに集中して発生する。そのため、汚水の供給がされなくなり、装置は休止状態に追い込まれる。
【0029】
この問題を解決するために、本発明では、土壌浄化装置の最上部を構成する覆土層の直下に上部散水管、その下方で浄化層の上部に上部散気管を配設するとともに、該散気管の下方に下部散水管、更にその下方に下部散気管を配設した。一般に上部散水管は、周囲を砕石や礫、砂などに囲まれて地下数十cm(20〜50cm程度)の位置に埋設され、その表面を土で被覆している(覆土層)。上部散気管は、上部散水管と平行でその10〜30cm下方に配置する。
【0030】
処理土壌層や通水層に生物膜として蓄積した有機物を酸化分解するためには、酸素が必要である。そして、散気管の働きは、空気を送り込んで好気的雰囲気を保ち目詰まりを防止するとともに、流下する汚水の通路を確保することにある。BOD負荷が20gBOD/m3 /日以上では、自然通気では不十分で、散気管による強制通気が必要となる。
【0031】
下部散水管は、上部散気管と平行でその10〜30cm下方に配置し、更にその10〜30cm下方に、下部散気管を配置する。尚、汚水や用水を浄化するには、浄化用土壌層が各層の積算で少なくとも30〜50cm程度は必要である。水は重力により下方に流下するので、浄化用土壌層は、下部散水管の下方に少なくとも30〜50cm程度の深さとする。また、浄化装置の最下部には、処理水を集水して外部に送出するための礫層等を設ける。尚、上記は装置として説明したもので、その周囲や底部は不透水性のもので囲むことが多いが、必ずしも周囲や底部は必要でない。
【0032】
汚水等の供給を続けると、上部散水管は次第に目詰まりを起こし、2〜3ケ月もすると汚水の処理が殆ど不可能になる。そこで、使用不能になる前に、上部散水管の目詰まりの徴候を感知したら、下部散水管と散気管の使用に切り替えて運転を行う。目詰まりが生じると、上部散水管からの汚水の流入が悪くなるとか、汚水が被覆土壌層に逆浸透して被覆土壌層に濡れが見られるなどの兆候が表れるので、これらを観察して目詰まりを感知する。上部散水管の目詰まりは2ケ月程度の休止により分解して解消するので、再度上部散水管に切り換える。そして、上部散水管を主にするか或いは上部散水管と下部散水管を等しく使用するかは別にして、両者を交互に例えば1〜2,3ケ月毎に使用すればよい。
【0033】
但し、下部散水管が目詰まりを生じると、即ち下部散水管の下方や周囲が完全に目詰まりすると、上部散水管に切り換えても下部散水管の下方や周囲の目詰まりに妨げられて、汚水の浄化が不十分になる可能性がある。そのため、下部散水管の稼働は、必要最小限にすることが望ましい。また、各散気管はそれぞれの散水管と組で稼働させてもよいが、両者とも常時稼働させておいてもよい。
【0034】
以上は、散水管と散気管の組を上下2組使用する場合を説明したが、更に散水管と散気管の組をもう1組程度配設するようにし、交代期間を1ケ月程度にするようにしてもよい。この場合、最下部の散水管や散気管があまり深くにならないように、各散水管や散気管の間隔を10cm前後程度に短くすることが望ましい。
【0035】
次に、多段濾床式土壌浄化装置における目詰まり防止について説明する。この場合も、従来型土壌浄化装置と同様に散水管と散気管の組を深さ方向に2組以上設けると同様に目詰まり防止効果があるが、更に多段土壌の構造を工夫することにより目詰まりをより長期間防止することができる。
【0036】
まず、後者について説明する。多段土壌層浄化方法は、前述したように浄化能に優れた自然土壌や改良土壌製の土壌ブロック(処理土壌層)の周囲を、粒状ゼオライトなど透水性に優れた資材で通水層が囲んだものである。
【0037】
即ち、図9に示すように、通水層4においては、その粒子径の均一さにより汚水の流れが安定するため有機性、無機性のSS17の集積が起こりにくい。また、自然土壌のような粘土やシルトなど微粒子が含まれないため資材自体による目詰まりが起こらない。また、通水層4〜処理土壌層3の接触面( 上面・側面) において汚水の流れが変わり、流れてきたSSが効率的に補足される。そして、土壌が持つ高い微生物活性により有機性SSは分解される。これにより処理土壌層3に接触するたびに通水層4を流れるSSが減少することとなる。
【0038】
そして、処理土壌層3表面においてSSが集積し透水性が低下したとしても、通水層4の透水性は維持されるため装置自体は閉塞しない。また、処理土壌層3への過剰な負荷が通水層4の存在により回避されるため、無機性SSによる不透水層の形成(土壌層における不可逆的目詰まり)は起こらず、浄化能も維持される。更に、多段土壌層では処理土壌層3が通水層4によって分断されているため、従来の土壌トレンチ/カム法で生成するような連続した不透水層(厚さ数mm、図6(b)符号51)は形成されない。そして目詰まりが発生するためには、図8に示すように、通水層のネック部4Bでの生物膜の肥厚化とSSの堆積が起こらなければならないが、この状態になるまでにはかなりの時間を要する。この場合、生物膜の肥大速度が同じであれば、通水層4や通水層ネック部4Bの巾と深さが大きければ大きいほど、目詰まり発生までの時間は長くなる。但し、処理土壌層3のサイズが小さければ小さいほど有機物の分解は促進されるので、生物膜の肥大速度は遅くなり、目詰まりはおこりにくくなる。尚、難分解生の無機物の皮膜が中心である場合、通水層4や通水層ネック部4Bの巾と深さが大きければ大きいほど、目詰まり発生までの時間は長くなる。
【0039】
従って、元々従来型土壌浄化装置と比べて目詰まりは生じにくいが、目詰まりをより長期間防止するための方法が採りうる。まず、通水層における汚水の流速を安定化させSSの集積が起きにくいように、粒状のゼオライトや軽石(破砕品)などの資材の粒径をできるだけ揃えるようにする。処理速度の必要性によって異なるが、処理速度を速めたい場合は、順次、1〜3mm、2〜4mm、3〜5mm、4〜6mmのように、なるべく揃った状態で粒径を上げる。通常、3〜6mmφ程度でのものを使用する。また、資材中の粘土分やシルト分を水洗などによりできるだけ除いて、無機系SSの移動集積を防止するようにする。
【0040】
更に、図10(a)に示すように、処理土壌層3間の横方向の間隔即ち通水層4の巾cや処理土壌層3間の縦方向の間隔即ち通水層4の厚みdが広いものを、同図(b)に示すように狭くすると、処理土壌層3の表面積が相対的に拡大し、流入水(汚水等)の処理土壌層(土壌ブロック)3への接触効率が高まる。このことにより、SSが処理土壌層3で補足・分解され易くなり、通水層4でのSSの堆積と、それにともなって発生する目詰まりを防止あるいは遅延することが可能となる。但し、cやdを狭くすると、相対的に処理土壌層3の厚みaや巾bも小さくする必要がある。
【0041】
本発明多段濾床式土壌浄化装置においては、処理土壌層の厚みaが10〜150mm、巾bが20〜2000mm、処理土壌層の横方向の間隔cが20〜500mm、処理土壌層の上下の間隔即ち通水層の厚みdが10〜150mmの範囲で、汚水のBOD濃度や処理水量に応じて選択しうる。被処理水が河川水のようにBODが低く且つ大量の場合、aが10〜100mm、bが20〜300mm、cが10〜100mm、dが10〜100mmが好ましい。また、汚水あるいは用水の汚濁物質の除去速度と除去率を高くしたい場合、これらの数値は10〜30程度と低い方を選択する。
【0042】
本発明多段濾床式土壌浄化装置において、通水層4を構成する資材としては粒子径が1〜6mmのゼオライト、軽石、砂等の天然素材あるいは粒状木炭、パーライト、発砲ガラス等の人工素材が用いられる。また、処理土壌層3を構成する資材としてはマサ土、黒ボク土、褐色土、赤黄色土、あるいはこれらの土壌の混合物、あるいはこれらの各種自然土壌に、以下のような添加資材を混合して用いる。即ち、上記の各種土壌あるいは混合土壌に・難分解性有機物を含む有機物分解機能を強化するために、粉末木炭や活性炭を5〜50重量%混合、あるいはさらに、リン酸や窒素浄化機能を強化するためには、金属鉄粒子を5〜20重量%混合、あるいはさらに、脱窒機能を強化するためにはC/N比が30以上の稲藁・トウモロコシ屑、オガクズ、紙屑等を5〜30重量%混合する。
【0043】
次に、複層位における散水管の設置による装置の完全目詰まりの防止について説明する。従来型の場合と同様、多段濾床式土壌浄化装置の場合も、図11に示すように、散水管を複層位に配置することにより上部で目詰まりを起こした場合でも、散水を下部に切り替えることにより、装置としての目詰まりを回避することができる。また、上部で完全に目詰まりを起こす前の段階で散水経路を下部に切り替えてやることにより、装置を休止させることなく上部で堆積し始めた未分解有機物を分解除去する事ができ、透水性を回復することができる。
【0044】
有機性物質に由来する目詰まりは、適度な休止期間を導入し、通気を行う(酸素の供給)と好気性微生物の活動により分解され、機能は回復する。即ち、散水孔およびその直近散水層の場合、散水径路の切り替えや休止期間の導入により、装置内を一定期間乾かせば解消される。また、処理土壌層と通水層の場合、両層での目詰まりは前項で述べたように、未分解有機物の堆積が引き金となって起きるので、その堆積層への通気を回復するため、一定期間の休止と土壌層の乾燥により機能を再生できる。
【0045】
休止期間の設定は、流入水量・流入水質・連続運転期間により違ってくるが、概ね以下のとおりである。連続運転期間が9ヶ月程度の場合、かなり目詰まりが進行しているので、2〜3ケ月程度まとめて休止する必要がある。また連続運転期間が2〜3ケ月程度: 3〜4週間程度の休止期間で回復する。図12は、上部散水管を停止し下部散水管を稼働させた場合の処理土壌層と通水層での目詰まりの回復過程を示す模式図で、同図(a)は下部散水管稼働開始時、(c)は下部散水管近傍に目詰まりが出来はじめた状態、同図(b)はその中間の状態をそれぞれ示す。このような構造がもたらす機能のお陰で、従来の浸潤式土壌処理方式が土壌層の目詰まりを起こした時点で処理能力が落ちるのに比べ、多段構造の処理方式は目詰まりの進行が抑制され、かつ、回復も早くなっている。
【0046】
尚、上部散水管の使用中に目詰まりの徴候を感知したら、下部散水管と散気管の使用に切り替えて運転を継続するが、できうれば、下部散水管と散気管の連続使用期間は3ケ月以内( 通常は1ケ月) に止めることが好ましい。これは、下部下部散水管よりも上方にある処理浄化層が排水処理にあずからないことによる。また、下部散水管の周囲に目詰まりが生じると、上部散水管に切り換えても下部散水管の周囲の目詰まりにより、汚水がそれ以上流下せず、浄化が進まないことによる。そして、下部散水管の使用中に上部散水管周囲の目詰まりは解消して、装置全体として連続運転が可能である。定常運転状態では上部散水管の使用が2ケ月、下部が1ケ月程度の交互使用が望ましい。多段土壌層として図1や図2のような7段の浄化土壌層が設置されているものにおいて、下部散水管の使用時と上部散水管の使用時における処理水の水質には有為な差はなかった。浄化性能を上げて処理水の水質を良くするには、浄化土壌層の段数を増やせば良い。
【0047】
上部散水管の目詰まりの感知は、前述したトレンチ方式の場合と同様、上部散水管からの汚水の流入状況や被覆土壌層の濡れを観察するほか、目詰まり検知管による方法が考えられる。この目詰まり検知管は、多段濾床式土壌浄化装置の適宜な位置に、縦にパイプを埋め込み、このパイプの通水層の位置に小孔を穿設したものである。そして、上部散水管の目詰まり、即ち通水層ネック部4Bに目詰まりが生じると、当該通水層に汚水が溜まり、これが検知管の小孔からパイプ中に流れ込む。この流れ込み状況をチェックして上部散水管の目詰まりを感知するものである。パイプの小孔は、下部散水管の下方の通水層の位置にも設けておけば、下部散水管の目詰まりも検知できる。
【0048】
図13は、多段土壌層法により1990年より稼働している家庭排水処理装置について、目詰まり回復前後の透水性の変化を測定した結果を示す。これは、通常時、目詰まり時及び2ケ月間休止した回復直後のそれぞれについて、200Lの水道水を散水管を通じて数分間で負荷し、その直後から1分間毎に各処理水の流出量(CC)を測定したものである。この図から、通常時には毎分約300〜600CC処理されているのに対し、目詰まり時には数十〜200CCに激減し、通常時に比べて流出が制限され処理が長時間に渡ることが分かる。これに対し、休止直後は、直後に毎分2L、その後0.6Lも処理されており、目詰まりが完全に回復していることが分かる。
【0049】
尚、図13に示すゲータを得た装置は、槽容量が15m3 、流入汚水量が250L/m2 /日のものであるが、以下に実施の形態で示すものと異なり、処理土壌層や通水層の素材や構造等について十分な研究が進んでいない段階のもので、勿論、散水管や散気管の2段配置も行われていない。ただ、負荷量が小さかったのため、使用10年で4度だけ目詰まりして、いずれも各2ケ月程度の休止により目詰まりは解消した。この休止対策として、別途同規模の装置を並設し、前記休止期間中、稼働させた。稼働の期間は、10年間で9ケ月程度であった。
【0050】
【実施例】
次に、本発明を図面に示す実施例に基づいて更に詳細に説明する。
(実施例 1)
図1は、本発明多段濾床式土壌浄化装置の一例を示す正面視した模式図である。この多段濾床式土壌浄化装置1は、高さ144cm、巾80cm、奥行き56cmの透明なアクリル板製の容器2内に、処理土壌層3と通水層4を充填して浄化層5を形成し、その上部に被覆土壌層6を設けたものである。そして、最上部の通水層4に上部散水管7、1段下の通水層4に上部散気管8、更に1段毎に下部散水管9と下部散気管10を配設している。更に、第三の散気管11を最下部近傍の通水層4に設けてもよい。装置1の最下部には、礫を敷設して集水層12とし、処理水流出管13を経て外部に放流される。被覆土壌層6と浄化層5の間及び浄化層5と集水層12の間は、金網14、15で仕切ってある。
【0051】
各散水管7、9は、内径25mmの塩化ビニル製パイプに多数の散水用小孔71、91を穿設したもので、一端には、フラッシング排水のためのバルブ72、92を設けている。各散気管8、10は、内径15mmのパイプに散気用の小孔81、101をそれぞれ設けたものである。
【0052】
処理土壌層3は、通水層4の間にレンガ状に積層されているが、その奥行きは図2に示すように、容器2の奥行き一杯となっている。尚、図2は図1の装置を立体視したもので、説明のために散水管や散気管は簡略化している。処理土壌層3は、マサ土に木炭と腐葉土を80:10:10の割合(容積比)で混合したものを厚みa=10mm、巾b=20mmの寸法に成形したもので、これを、上下及び横方向にc=10mm、d=10mmの間隔を開けて並べ、その間に3〜6mmφのゼオライト破砕品を通水層4として充填したものである。但し、各散水管と散気管を収納する通水層4の厚みは、50mmとした。この装置は、高速高負荷用のものであるが、製造コストはユニット(処理土壌層3、通水層4)が小さいため高くつく。
【0053】
この装置1は、表1に示すように、BODが15ppmの集落排水処理水を10000L/m2 /日の割合で流入させたところ、10ケ月後に目詰まりが発生した。処理水のBOD濃度は1ppmであった。尚、同様の装置で、通水層4を3〜6mmφの軽石破砕品で構成したものは、処理水のBODは1.5ppmであったが、同様に10ケ月で目詰まりを発生した。この上部散水管7の目詰まりは、下部散水管9に切り換えて運転しておいたら、約2ケ月で目詰まりが解消した。尚、その間各散気管8、10、11は稼働させておいた。
【表1】
【0054】
(実施例 2)
処理土壌層3の寸法を、厚み50mm、巾200mm、通水層4の厚み、処理土壌層3の横方向間隔をともに50mmとした以外は、実施例1と同一の装置を使用した。処理能力は、通常はこの程度で十分である。その結果、表1に示すように、BODが20ppmの集落排水処理水を5000L/m2 /日の割合で流入させたところ、現在、1年以上も目詰まりを発生せずに稼働している。目詰まりが発生すれば、実施例と同様、下部散水管9に切り換える予定である。その結果、通水層4がゼオライト及び軽石とも、BOD濃度1ppmの処理水が得られている。
【0055】
(実施例 3)
処理土壌層3の寸法を、厚み100mm、巾300mm、通水層4の厚み及び処理土壌層3の横方向間隔をともに100mmとした以外は、実施例1、実施例2と同一の装置を使用した。その結果、表1に示すように、BODが30ppmの集落排水処理水を4000L/m2 /日の割合で流入させたところ、現在、1年以上も目詰まりを発生せずに稼働している。目詰まりが発生すれば、実施例と同様、下部散水管9に切り換える予定である。その結果、通水層4がゼオライトの場合1ppm、軽石の場合2ppmの処理水が得られている。この装置は、負荷量、浄化性能は上記各実施例のものよりも劣るが比較的低コストで製造しうる。
【0056】
(実施例 4)
処理土壌層3としてマサ土の替わりに黒ボク土を用いた以外は実施例1と同様にして多段濾床式土壌浄化装置1を構成した。そして、汚水のBOD濃度、負荷速度も実施例1と同一にして処理したところ、表1に示すように8ケ月で目詰まりを生じた。この上部散水管7の目詰まりは、下部散水管9に切り換えて運転しておいたら、約2ケ月で目詰まりが解消した。尚、その間各散気管8、10、11は稼働させておいた。処理水のBOD濃度は、ゼオライトで2ppm、軽石で3ppmであった。
【0057】
(実施例 5)
処理土壌層3としてマサ土の替わりに黒ボク土を用いた以外は実施例2と同様にして多段濾床式土壌浄化装置1を構成した。そして、汚水のBOD濃度、負荷速度も実施例2と同一にして処理したところ、表1に示すように1年以上目詰まりを生じずに稼働している。処理水のBOD濃度は、ゼオライト及び軽石とも2ppmであった。
【0058】
(実施例 6)
処理土壌層3としてマサ土の替わりに黒ボク土を用いた以外は実施例3と同様にして多段濾床式土壌浄化装置1を構成した。そして、汚水のBOD濃度、負荷速度も実施例3と同じにして処理したところ、表1に示すように10ケ月で目詰まりを生じた。処理水のBOD濃度は、通水層4がゼオライト、軽石とも2ppmであった。この上部散水管7の目詰まりは、下部散水管9に切り換えて運転しておいたら、約2ケ月で目詰まりが解消した。尚、その間各散気管8、10、11は稼働させておいた。
【0059】
以上の各実施例は、汚水のBOD濃度が河川水などと同様比較的低いものであるが、より高濃度のBOD等の汚濁物質を含む汚水の場合、汚水の供給量を減らせば、十分な処理能力を発揮する。
【0060】
(実施例 7)
図3は、図1に示す本発明多段濾床式土壌浄化装置1に、目詰まり検知管18を組み込んだ一例を示す正面視した模式図である。この目詰まり検知管18は、太さ40mmの塩化ビニル製パイプ18aにおける各通水層の中央部近傍位置に汚水流入用小孔18b(各位置に4個ずつ)を穿設したもので、被覆土壌層6から浄化層5を突き抜けて集水層12の上部の位置まで埋設してある。符号18cは、パイプ18aに巻き付けたネットである。尚、実際の装置(面積数m2 以上)の場合、目詰まり検知管18としては直径100mm程度の大きさのものを数カ所設置すま。また、散水管の内径も50〜100mm、散気管の内径も30〜50mm程度のものを使用する。
【0061】
そして、装置1を長期間稼働させると、肥厚化した通水層資材16により通水層ネック部4Bが目詰まりする。そのため、上部散水管7から装置に流入してきた汚水は、通水層ネック部4Bから下方への流下が妨害され、小孔18bから目詰まり検知管18の内部へ流入する。そこで、時々目詰まり検知管上端の点検蓋18dを開けて内部を観察し、汚水が流入していたら目詰まりが発生したと判断し、下部散水管9に切り換える。尚、上下の散気管は図示を省略した。
【0062】
或いは、図示は省略するが、目詰まり検知管18の底部を閉じて、そこに溜まった汚水を何等かの検知手段、例えばフロートスイッチなどで検出し、そこから電気的信号を得て警告等を発するようにしてもよい。
【0063】
尚、図13に示すデータを得た装置、或いはより大がかりな装置の場合には、目詰まり検知管は内径100mm程度のものを装置の大きさに合わせて数箇所に埋設する。また、その場合の汚水流入用の小孔も10mm程度のものを、一周に4ケ所程度穿設する。
【0064】
(実施例 8)
次に、図4に示すように、従来型土壌浄化装置(毛管浸潤トレンチ)に散水管・散気管の組を垂直方向に2組設けたものについて説明する。この装置20は、深い溝21を掘って、その底部に合成樹脂製膜22を敷設し、その上方に、礫層23で囲んだ上部散水管24、上部散気管25及び下部散水管26、下部散気管27をそれぞれ配設し、その間を砂層28で埋めたものである。符号29は、被覆土壌層、符号30は溝21周辺の土壌である。
【0065】
家庭などから排出される汚水は、上部散水管24の小孔から浸出して周りの土壌中に重力や毛管作用で浸透し、浄化されていく。しかし、前述したようにこの装置20全体が不均一な粒子の集まりである土壌により構成されているため、上部散水管24の周りには有機系SSなどの可逆的な目詰まりが生じる。この目詰まりは、汚水中のBODなどの濃度や汚水量にもよるが、2〜3ケ月で生じ、処理が困難になる。そこで、2ケ月程度、汚水の供給を下部散水管26に切り換え運転を行うと、その間に上部散水管周辺の目詰まりが解消する。その間も、量散気管25、27は運転しておく。そこで、汚水の供給を再度上部散水管26に切り換える。このようにして、長期にわたって、連続運転が可能になる。
【0066】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明は汚水や用水を土壌を利用して浄化する土壌浄化装置において、散水管と散気管の組を上下垂直方向に2組〜3組配設し、一方の散水管に目詰まりが生じたら他方に切り換えて運転を行うものである。
【0067】
従って、従来のトレンチ方式などの土壌浄化装置においては、目詰まりによる休止が避けられ、連続運転が可能になる。また、連続稼働させるために2組並設する必要もなくなり、土地の有効利用が図られる。
【0068】
一方、多段式土壌浄化装置においては、処理土壌層や通水層の各資材や寸法等に工夫を凝らすことにより、低濃度BODの汚水ながら数千から1万L/m2 /日もの大量の処理を可能とすることができ、しかも、1年程度の連続運転は可能であるが、やはり次第に透水能力が低下してくる。
【0069】
そこで、多段式土壌浄化装置においても、散水管と散気管の組を上下垂直方向に2組〜3組配設し、目詰まりが生じたら、上下の散水管を切り換えて使用することにより、10年或いはそれ以上の長々期にわたって連続運転を可能とするものである。
【0070】
多段土壌浄化装置の場合、目詰まり検知管を組み込んでおくと、目詰まり発生を用意に目視などで確認できる利点がある。
【0071】
土壌浄化装置は、初期投資は少なくてすむし、維持管理コストは殆どかからず、極めて省エネルギー的なものであるが、本発明により維持管理が簡便且つ効率化され、非常に有益なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明多段濾床式土壌浄化装置の一例を示す正面視した模式図である。
【図2】本発明多段濾床式土壌浄化装置の一例を示す立体視した模式図である。
【図3】図1に示す本発明多段濾床式土壌浄化装置に、目詰まり検知管を組み込んだ一例を示す正面視した模式図である。
【図4】本発明毛管浸潤トレンチ装置の一例を示す断面図である。
【図5】土壌浄化における目詰まりのメカニズムを説明する模式図で、(a)は有機物による目詰まり、(b)は無機物による目詰まり、(c)は押圧により生じる目詰まりの場合をそれぞれ示す。
【図6】従来の毛管湿潤トレンチ式土壌式浄化装置の一例を示すもので、(a)は縦断面図、(b)は(a)におけるX−X線断面図である。
【図7】従来の多段浄化装置の一例を示す縦断面図である。
【図8】多段浄化装置における目詰まり示す模式図である。
【図9】通水層と処理土壌層の境界面における効率的なSSの捕捉分解を示す説明図である。
【図10】処理土壌層の巾と間隔の違いによる接触効率の変化を示す説明図である。
【図11】散水経路の切替えを示す模式図である。
【図12】目詰まりの回復過程を示す模式図である。
【図13】目詰まりによる透水性の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 本発明多段濾床式土壌浄化装置
2 アクリル板製容器
3 処理土壌層
4 通水層
4A 散水孔直近の散水層
4B 通水層ネック部
5 浄化層
6 被覆土壌層
7 上部散水管
71 散水用小孔
72 バルブ
8 上部散気管
81 散気用小孔
9 下部散水管
91 散水用小孔
92 バルブ
10 下部散気管
101 散気用小孔
11 第三の散気管
12 集水層
13 処理水流出管
14 金網
15 金網
16 肥厚化した通水層資材
17 SS
a 処理土壌層の厚み
b 処理土壌層の巾
c 通水層の巾
d 通水層の厚み
18 目詰まり検知管
18a 塩化ビニルパイプ
18b 汚水流入用小孔
18c ネット
18d 点検蓋
20 本発明従来型土壌浄化装置
21 溝
22 合成樹脂製膜
23 礫層
24 上部散水管
25 上部散気管
26 下部散水管
27 下部散気管
28 砂層
29 被覆土壌層
30 溝周辺の土壌
【発明の属する技術分野】
本発明は、土壌を利用して汚水や用水の浄化を行うものにおいて、土壌の目詰まりを回避して安定して汚水等の浄化を行うものに関する。
【0002】
【従来の技術】
土壌中に汚水を流し込んで浄化する土壌浄化方法が、古くから知られている。これは、透孔を設けたパイプなどを散水管としこの周りを礫層で囲んだもので、処理水は地下に浸透させたり、槽内に土壌を充填したものにあっては槽の下部から取り出したりするものである。
【0003】
しかし、従来一般に行われている土壌浄化方法には、2つの点で問題があった。1つは、過大な負荷がかけられず、せいぜい50〜100L/m2 /日と処理能力が低いことである。2つ目は、目詰まりが起こり易いことである。そのため、大量の汚水を処理するには広大な土地を要するなど、実用性に欠けるものであった。
【0004】
この内前者については、本発明者らが開発した多段濾床式土壌浄化方法によりほぼ完全な解決が見られた。この多段濾床式土壌浄化方法は、特公平7−41251号、特開昭62−171791号、特開昭63−36895号、特開平2−119992号、特開平6−269789号、特開平9−85282号、特開平11−330035号等に示すように、通気性や透水性は劣るが浄化能(有機物分解能)に優れた土壌ブロックをレンガ状に積層し、その周りを粒状物からなる通水層が取り囲み、汚水が通水層を通過する間に処理土壌層(土壌ブロック)に接触乃至浸透して浄化を進行させるものである。
【0005】
この多段式土壌浄化技術により、土壌浄化装置は、下水やし尿の一次、二次処理水、生活雑排水などの汚水、更には汚濁河川水などの用水を効率的かつ比較的高速に浄化できる装置としての実用性を帯びることとなった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この多段式土壌浄化においても、旧来の土壌浄化に比べれば影響は少ないが、やはり目詰まりの問題が発生する。目詰まりは、特に旧来の土壌浄化の場合汚水等の供給量が少ないと生じにくいので、なるべく目詰まりが生じないように供給量を設定するため、結果的に汚水の処理能力が低い装置となる。
【0007】
以下、土壌浄化における目詰まりのメカニズムについて説明する。土壌内で浄化が行われる場所は、大小さまざまな土粒子が形成する間隙内である。汚水がこの間隙を浸透・通過して行く際に、土壌粒子表面にさまざまな無機物、有機物が保持され、ろ過・吸着・凝固等の物理化学的反応が行われる。また、この間隙内は微生物群の生活圏となって生物分解が行われ、これが結果として汚水を浄化することになる。このことは間隙が確保されないと浄化機能がはたらかなくなる事を意味している。
【0008】
ところが、装置を連続稼動していくと、図5(a)に示すように、汚水中の懸濁成分(SS)や未分解微生物の死骸或いは微生物体およびその分泌物からなる生物膜などの有機物により土壌間隙の一部が閉塞される。この一部閉塞により土壌中の水分が増えて嫌気状態となり、生物分解能力の高い好気性微生物の活動が低下して未分解有機物は益々蓄積するという悪循環に陥り、目詰まりが進行する。この目詰まりは、汚水が土壌内へ浸透してゆく接触境界面のごく限定された箇所で発生するが、このわずかな厚さの土層の透水係数が低下しても、全体係数の低下を招く。
【0009】
この有機物による目詰まりは、汚水の流入を停止し好気的状態が1〜数ケ月続くと、有機性SSや生物膜が好気性菌に分解され、目詰まりは解消する。従って、汚水の流入を止められない場合、浄化装置を2系列作り、一方を休止している間に他方を稼働させるとか、1つの装置内に散水管を横に2列並べ交互に休止させることで対処している。しかし、これらの方法では、汚水処理に要する土地面積が倍になり、ただでさえ効率が悪い土地面積当たりの処理能力が更に低下する難点がある。
【0010】
この土壌間隙は、図5(b)に示すように無機鉱物粒子(無機性SSのほか、土壌から遊離した粘土やシルトなどの微粒子)によっても閉塞される。これらの粒子は、重力浸透や毛管現象によって下方や側方に移動・集積し図6(b)に示すような不可逆の不透水層(目詰まり)を形成する。この移動・集積は、浸透水が多いほど多くなる。従来型の土壌浄化装置での負荷が50〜100L/m2 /日と低いのは、この不可逆的目詰まりを避けるためである。尚、無機鉱物粒子による閉塞は単独ではなく有機物による閉塞にも助長されるので、汚水流入の停止で幾分目詰まりは解消するが、効果は長続きしない。
【0011】
上記の目詰まり機構に加え、粒子径の不均一さがもたらす物理的な現象として、汚水の流速の変化によるSSの集積促進効果がある。粒子径が変化するところでは汚水の流速が変化し、それが小さくなるときに移動水中のSSが集積し図5(a)、(b)の目詰まりを促進することとなる。自然土壌は径が不均一な粒子の集まりであり、過剰な水量負荷によりSSの集積が促進される。欧米の土壌トレンチ法では、土壌の飽和透水係数の7〜15%を汚水負荷量の目安としている。比較的透水性の良い黒ボク土やマサ土で飽和透水係数は10−3cm/sec程度であり、この値に基づくと7〜15%の負荷量は60〜129L/m2 /日となる。
【0012】
尚、上記の目詰まり以外に、図5(c)に示すように、施工時に機械や人間の踏み跡等による圧密や塗り固めによって土壌の粗孔隙が閉塞し、不透水層を形成することがある。この場合、不可逆的目詰まりを起こす要因となる。
【0013】
毛管湿潤トレンチ法など従来型の土壌式浄化装置では、流入部には砕石や礫などが用いられているものの、それ以外の装置全体が不均一な粒子の集まりである土壌により構成されている。このため先に述べたようにSSの集積等により孔隙が閉塞し、目詰まりが起こりやすいという欠点がある。
【0014】
図6は、毛管湿潤トレンチ式土壌式浄化装置の一例を示すもので、図6(a)は縦断面図、(b)は(a)におけるX−X線断面図である。この従来型土壌浄化装置40は、汚水導入管41の周りを礫層42で囲み、礫層42の下側に砂層43を設け、砂層43の下方を合成樹脂性膜(止水シート)44で囲んだものである。礫層42の上方は金網45を介して被覆土壌層(埋め戻し土)46で覆っている。
【0015】
家庭などから排出される汚水は、汚水管47から汚水溜め48に至りここで夾雑物49を除かれて、汚水導入管41から装置40内に導かれる。そして、汚水導入管41の小孔から浸出した汚水は、周りの土壌50中に毛管現象で浸透したり、毛管サイフォン現象で吸引されたりするが、最終的には重力浸透により浄化槽底部に到達して排水される。汚水は、このような移動の過程で浄化されていく。しかし、前述したようにこの装置40全体が不均一な粒子の集まりである土壌により構成されているため、汚水導入管41の周りには有機系SSなどの可逆的な目詰まりが生じる。また、無機系SS等による不可逆的な目詰まり層51も、止水シート44の上部のみならず、その両側の土壌50のどのような位置でも生成し得る。有機系の目詰まりは、装置を休止することにより解消するが、無機系の目詰まりは解消せず、装置の破壊を意味する。
【0016】
尚、被覆土壌層46は設けないものもあるが、悪臭対策上あった方が良いし、芝や草花などの植生を生やすと美観上からも好ましい。しかし、散水管の周りの目詰まりを洗浄等により回復させるためには被覆土壌層は無い方がよい場合もある。全体装置をコンクリートの蓋に入れて、散水管は地表面に露出している装置もある。
【0017】
次に、多段土壌式浄化装置について説明する。先ず浄化を担う土壌ブロック(処理土壌層、ブロック状処理土壌層)を構成する土壌は、黒ボク土、マサ土、赤土などの自然土壌、これらに浄化機能を強化する木炭、鉄粒、おが屑等を添加した改良土壌がある。そして、これらの飽和透水係数(水道水使用:測定1日目の初期値、カッコ内は透水18日目の値) は、黒ボク土(充填密度0.9g/cc) 1.4×10−2(4×10−3)cm/sec、赤土(充填密度1.1g/cc) で5×10−3(3×10−3)cm/secであり、いずれの土壌でも18日間の連続透水により飽和透水係数が減少することがわがる。これは、透水にともない土壌の構成粒子が移動・集積し一部孔隙が閉塞したためであると考えられる。SSのほとんど入っていない水道水によってもこの様に透水性は減少する事が示された。改良土壌の飽和透水係数は、黒ボク土が3.5×10−3cm/sec、マサ土が1×10−3cm/sec、赤土が1.5×10−3cm/sec( それぞれの土壌の充填密度は自然土壌の場合と同じ) と自然土壌の値よりさらに減少した。これは資材添加により、粒径の不均一さが増しSSの移動・集積が促進されたためであると考えられた。
【0018】
これらの飽和透水係数より、先の欧米の土壌トレンチ法の考えを適用し汚水負荷量を見積もると、やはり200(マサ土)、60( 黒ボク土) L/m2 /日となる。そこで、透水性強化のための方法の一つとして提案されたのが多段土壌層法である。多段土壌層法においては、透水性を維持するために通水層を配置し、それには直径3〜5mmの粒径の揃った資材( ゼオライトなど) を用いている。この資材の透水係数は、粒径3〜5mmのゼオライトで0.8cm/secである。
【0019】
この透水性の良い資材と自然土壌の浄化機能を強化した改良土壌を用いて、図7に示すような、多段層状に配置し構造をつくる。この多段土壌層の透水係数について、改良黒ボク土と粒径3〜5mmのゼオライトを用いて1立方メートルの装置を作り1年間断続的に実測した結果、2000トンの水量を負荷しほぼ透水係数が安定した時点で、0.1cm/secであった。この値に基づき、先の欧米の土壌トレンチ方の基準の下限値の飽和透水係数の7%で見積もって汚水負荷量を計算すると6000L/m2 /日、さらに安全側に見積もって5%としても4300L/m2 /日の負荷量となる。尚、測定に使用した水は、BOD15、SS20mg/L程度の河川水である。
【0020】
このように、多段土壌層法により自然土壌の透水係数に依存していた土壌トレンチ法等の従来の土壌浄化法の透水性を、60倍以上に高めることができる。これは、従来法に比べて負荷量を60倍増加させることができることを示しているとともに、目詰まりに対する安全性が飛躍的に高められることを示している。そして、このような高速負荷運転でも、多段土壌層法は、従来型の土壌浄化層と同程度或いはそれ以上の有機物分解等の浄化性能を示す。これは、多段土壌層法では汚濁成分が浄化容土壌層に効果的に接触分解され、短絡も防止されるからである。
【0021】
上記したように、多段土壌層法は透水性に優れる、換言すれば汚水や用水の処理能力に優れるが、やはり目詰まりは生じる。図7に、従来(本発明以前)の多段土壌浄化装置60の構造の一例を示す。この装置60は、処理土壌層(土壌ブロック)3をレンガ状に多段に積み上げ、その間を通水層4としたもので、上部の通水層4に散水管61、その1段下の通水層4に散気管62を設けたものである。また、装置の最上層部は、被覆土壌層6である。散気管62は、設けないものもあった。尚、処理土壌層3と通水層4で浄化層5を形成している。
【0022】
そして、多段構造による処理装置60の目詰まりは、散水管61の散水孔63およびその直近の散水層4A、処理土壌層(土壌ブロック)3の表層部分、及び通水層のネック部4Bの3箇所で発生する。従来の多段土壌浄化装置においては、処理土壌層の巾が500mm以上と比較的長かったため、通水層のネック部4Bの目詰まりが生じやすかった。
【0023】
散水孔63およびその直近散水層4Aの場合、その主な原因は、流入水中に含まれている有機性SS(小規模河川の浅層流では主としてミズワタ)の付着と堆積によるものである
【0024】
土壌ブロックの表層部分:処理土壌層の目詰まりは多段式土壌層でも土壌の表層部で発生する。この場所での目詰まりは、従来型の土壌式浄化装置の目詰まりと同じである。多段構造とは、レンガ状に積層された土壌ブロックの周りを粒径の均一な通水層構成材(軽石・ゼオライト等)が取り囲んでおり、流入水は土壌ブロック内への浸透と共に、土壌表面に接触することでも浄化されている。上段土壌ブロックに浸透しなかった汚水も、次の段では必ず土壊ブロックに接触・浸透される繰り返し構造になっている。従って、一部の土壌ブロックが目詰まりし機能不全に陥っても、装置全体の機能停止になることはない。しかし、次に挙げる通水層のネック部が閉塞すると、装置としての目詰まり状態となる(実際には透水性の低下であり完全な目詰まりとはなりにくい)。
【0025】
通水層のネック部:通水層は土壌ではなくて、粒径( 3〜6ミリφ) は小さいものの、礫間浄化や散水濾床法等( ジヤリッコ方式も含む) における担体とほぼ同じものと考えて良い。多段土壌層法がこれらの処理方式と異なる点は、処理土壌層の分解機能も同時に利用できるので、散水濾床のような有機性SS等による広範囲にまたがる厚い生物膜の生成までには至らない。図8は、多段土壌浄化装置における目詰まりのイメージ図であり、各段の処理土壌層(土壌ブロック)3の間を溝状の通水層がネック部4Bを形成しており、右側の図における符号16は、生物膜と未分解SSにより肥厚化した通水層資材である。この肥厚化した通水層資材16による目詰まりは、汚水供給の休止により消滅し、左側の図のように通水層ネック部4Bが開通する。この通水層ネック部4Bを通過すると、全面に通水層4が敷き詰められている。土壌ブロック3の真下部分に位置する通水層4には、上段の土壌ブロック3で処理された清浄な処理水が流れ込むようになっているので、生物膜の肥厚化や未分解SSの堆積はネック部4Bとその周辺で集中して起こり、通水層4全面を覆う状態にはならない。
【0026】
もうひとつ懸念されることは、砂粒等の生物分解の出来ない無機性SSが長期間にわたって流入した場合、通水層の間隙を塞ぐことにならないかという点である。流入水中の純然たる無機性SSの影響は、適切な前処理(1次処理)がなされれば、単独ではほとんど無視しうる量である。有機性SSの堆積があってはじめて意味をなすが、後述の回復メカニズムで触れているように、通気と休止期間の導入による有機性SSの分解とともに、その影響はなくなる。むしろ考慮すべきは、処理土壌層3から分離した微細粒子が通水層4に流出することである。しかしこれとて、土壌ブロック3の製品化過程で排除することが出来るので、案ずるには及ばない。いずれにせよ、汚水の土壌内浸透過程における目詰まりは、程度の差はあれ避けられない。したがって、十分に余裕をもった土壌容量の設計、休止期間の導入( 交互使用) 、目詰まりに対処しやすい構造にすることが必要である。
【0027】
【課題を解決するための手段】
以上説明したように、土壌を利用した汚水或いは用水の浄化は、装置の浄化能、単位面積当たりの処理量(L/m2 /日)、処理の連続性(目詰まり防止)が重要な要素となる。浄化能については、土壌の汚水分解能力は高いので浄化用土壌層が積算で30〜50cm程度存在して汚水がこの浄化用土壌層に接触浸透すれば、BODは充分高度に分解する。また、汚水中のリンや重金属は土に吸着・保持される。単位面積当たりの処理量は、従来のトレンチ型土壌浄化装置の場合、無機鉱物粒子の移動・集積による目詰まりの問題、及び目詰まりと裏腹の関係にある短絡の問題から、負荷を大きくすることはできない。
【0028】
一方、従来型土壌浄化装置では、生物膜やSSの蓄積による目詰まりは散水管の直下10〜20cmまでに集中して発生する。そのため、汚水の供給がされなくなり、装置は休止状態に追い込まれる。
【0029】
この問題を解決するために、本発明では、土壌浄化装置の最上部を構成する覆土層の直下に上部散水管、その下方で浄化層の上部に上部散気管を配設するとともに、該散気管の下方に下部散水管、更にその下方に下部散気管を配設した。一般に上部散水管は、周囲を砕石や礫、砂などに囲まれて地下数十cm(20〜50cm程度)の位置に埋設され、その表面を土で被覆している(覆土層)。上部散気管は、上部散水管と平行でその10〜30cm下方に配置する。
【0030】
処理土壌層や通水層に生物膜として蓄積した有機物を酸化分解するためには、酸素が必要である。そして、散気管の働きは、空気を送り込んで好気的雰囲気を保ち目詰まりを防止するとともに、流下する汚水の通路を確保することにある。BOD負荷が20gBOD/m3 /日以上では、自然通気では不十分で、散気管による強制通気が必要となる。
【0031】
下部散水管は、上部散気管と平行でその10〜30cm下方に配置し、更にその10〜30cm下方に、下部散気管を配置する。尚、汚水や用水を浄化するには、浄化用土壌層が各層の積算で少なくとも30〜50cm程度は必要である。水は重力により下方に流下するので、浄化用土壌層は、下部散水管の下方に少なくとも30〜50cm程度の深さとする。また、浄化装置の最下部には、処理水を集水して外部に送出するための礫層等を設ける。尚、上記は装置として説明したもので、その周囲や底部は不透水性のもので囲むことが多いが、必ずしも周囲や底部は必要でない。
【0032】
汚水等の供給を続けると、上部散水管は次第に目詰まりを起こし、2〜3ケ月もすると汚水の処理が殆ど不可能になる。そこで、使用不能になる前に、上部散水管の目詰まりの徴候を感知したら、下部散水管と散気管の使用に切り替えて運転を行う。目詰まりが生じると、上部散水管からの汚水の流入が悪くなるとか、汚水が被覆土壌層に逆浸透して被覆土壌層に濡れが見られるなどの兆候が表れるので、これらを観察して目詰まりを感知する。上部散水管の目詰まりは2ケ月程度の休止により分解して解消するので、再度上部散水管に切り換える。そして、上部散水管を主にするか或いは上部散水管と下部散水管を等しく使用するかは別にして、両者を交互に例えば1〜2,3ケ月毎に使用すればよい。
【0033】
但し、下部散水管が目詰まりを生じると、即ち下部散水管の下方や周囲が完全に目詰まりすると、上部散水管に切り換えても下部散水管の下方や周囲の目詰まりに妨げられて、汚水の浄化が不十分になる可能性がある。そのため、下部散水管の稼働は、必要最小限にすることが望ましい。また、各散気管はそれぞれの散水管と組で稼働させてもよいが、両者とも常時稼働させておいてもよい。
【0034】
以上は、散水管と散気管の組を上下2組使用する場合を説明したが、更に散水管と散気管の組をもう1組程度配設するようにし、交代期間を1ケ月程度にするようにしてもよい。この場合、最下部の散水管や散気管があまり深くにならないように、各散水管や散気管の間隔を10cm前後程度に短くすることが望ましい。
【0035】
次に、多段濾床式土壌浄化装置における目詰まり防止について説明する。この場合も、従来型土壌浄化装置と同様に散水管と散気管の組を深さ方向に2組以上設けると同様に目詰まり防止効果があるが、更に多段土壌の構造を工夫することにより目詰まりをより長期間防止することができる。
【0036】
まず、後者について説明する。多段土壌層浄化方法は、前述したように浄化能に優れた自然土壌や改良土壌製の土壌ブロック(処理土壌層)の周囲を、粒状ゼオライトなど透水性に優れた資材で通水層が囲んだものである。
【0037】
即ち、図9に示すように、通水層4においては、その粒子径の均一さにより汚水の流れが安定するため有機性、無機性のSS17の集積が起こりにくい。また、自然土壌のような粘土やシルトなど微粒子が含まれないため資材自体による目詰まりが起こらない。また、通水層4〜処理土壌層3の接触面( 上面・側面) において汚水の流れが変わり、流れてきたSSが効率的に補足される。そして、土壌が持つ高い微生物活性により有機性SSは分解される。これにより処理土壌層3に接触するたびに通水層4を流れるSSが減少することとなる。
【0038】
そして、処理土壌層3表面においてSSが集積し透水性が低下したとしても、通水層4の透水性は維持されるため装置自体は閉塞しない。また、処理土壌層3への過剰な負荷が通水層4の存在により回避されるため、無機性SSによる不透水層の形成(土壌層における不可逆的目詰まり)は起こらず、浄化能も維持される。更に、多段土壌層では処理土壌層3が通水層4によって分断されているため、従来の土壌トレンチ/カム法で生成するような連続した不透水層(厚さ数mm、図6(b)符号51)は形成されない。そして目詰まりが発生するためには、図8に示すように、通水層のネック部4Bでの生物膜の肥厚化とSSの堆積が起こらなければならないが、この状態になるまでにはかなりの時間を要する。この場合、生物膜の肥大速度が同じであれば、通水層4や通水層ネック部4Bの巾と深さが大きければ大きいほど、目詰まり発生までの時間は長くなる。但し、処理土壌層3のサイズが小さければ小さいほど有機物の分解は促進されるので、生物膜の肥大速度は遅くなり、目詰まりはおこりにくくなる。尚、難分解生の無機物の皮膜が中心である場合、通水層4や通水層ネック部4Bの巾と深さが大きければ大きいほど、目詰まり発生までの時間は長くなる。
【0039】
従って、元々従来型土壌浄化装置と比べて目詰まりは生じにくいが、目詰まりをより長期間防止するための方法が採りうる。まず、通水層における汚水の流速を安定化させSSの集積が起きにくいように、粒状のゼオライトや軽石(破砕品)などの資材の粒径をできるだけ揃えるようにする。処理速度の必要性によって異なるが、処理速度を速めたい場合は、順次、1〜3mm、2〜4mm、3〜5mm、4〜6mmのように、なるべく揃った状態で粒径を上げる。通常、3〜6mmφ程度でのものを使用する。また、資材中の粘土分やシルト分を水洗などによりできるだけ除いて、無機系SSの移動集積を防止するようにする。
【0040】
更に、図10(a)に示すように、処理土壌層3間の横方向の間隔即ち通水層4の巾cや処理土壌層3間の縦方向の間隔即ち通水層4の厚みdが広いものを、同図(b)に示すように狭くすると、処理土壌層3の表面積が相対的に拡大し、流入水(汚水等)の処理土壌層(土壌ブロック)3への接触効率が高まる。このことにより、SSが処理土壌層3で補足・分解され易くなり、通水層4でのSSの堆積と、それにともなって発生する目詰まりを防止あるいは遅延することが可能となる。但し、cやdを狭くすると、相対的に処理土壌層3の厚みaや巾bも小さくする必要がある。
【0041】
本発明多段濾床式土壌浄化装置においては、処理土壌層の厚みaが10〜150mm、巾bが20〜2000mm、処理土壌層の横方向の間隔cが20〜500mm、処理土壌層の上下の間隔即ち通水層の厚みdが10〜150mmの範囲で、汚水のBOD濃度や処理水量に応じて選択しうる。被処理水が河川水のようにBODが低く且つ大量の場合、aが10〜100mm、bが20〜300mm、cが10〜100mm、dが10〜100mmが好ましい。また、汚水あるいは用水の汚濁物質の除去速度と除去率を高くしたい場合、これらの数値は10〜30程度と低い方を選択する。
【0042】
本発明多段濾床式土壌浄化装置において、通水層4を構成する資材としては粒子径が1〜6mmのゼオライト、軽石、砂等の天然素材あるいは粒状木炭、パーライト、発砲ガラス等の人工素材が用いられる。また、処理土壌層3を構成する資材としてはマサ土、黒ボク土、褐色土、赤黄色土、あるいはこれらの土壌の混合物、あるいはこれらの各種自然土壌に、以下のような添加資材を混合して用いる。即ち、上記の各種土壌あるいは混合土壌に・難分解性有機物を含む有機物分解機能を強化するために、粉末木炭や活性炭を5〜50重量%混合、あるいはさらに、リン酸や窒素浄化機能を強化するためには、金属鉄粒子を5〜20重量%混合、あるいはさらに、脱窒機能を強化するためにはC/N比が30以上の稲藁・トウモロコシ屑、オガクズ、紙屑等を5〜30重量%混合する。
【0043】
次に、複層位における散水管の設置による装置の完全目詰まりの防止について説明する。従来型の場合と同様、多段濾床式土壌浄化装置の場合も、図11に示すように、散水管を複層位に配置することにより上部で目詰まりを起こした場合でも、散水を下部に切り替えることにより、装置としての目詰まりを回避することができる。また、上部で完全に目詰まりを起こす前の段階で散水経路を下部に切り替えてやることにより、装置を休止させることなく上部で堆積し始めた未分解有機物を分解除去する事ができ、透水性を回復することができる。
【0044】
有機性物質に由来する目詰まりは、適度な休止期間を導入し、通気を行う(酸素の供給)と好気性微生物の活動により分解され、機能は回復する。即ち、散水孔およびその直近散水層の場合、散水径路の切り替えや休止期間の導入により、装置内を一定期間乾かせば解消される。また、処理土壌層と通水層の場合、両層での目詰まりは前項で述べたように、未分解有機物の堆積が引き金となって起きるので、その堆積層への通気を回復するため、一定期間の休止と土壌層の乾燥により機能を再生できる。
【0045】
休止期間の設定は、流入水量・流入水質・連続運転期間により違ってくるが、概ね以下のとおりである。連続運転期間が9ヶ月程度の場合、かなり目詰まりが進行しているので、2〜3ケ月程度まとめて休止する必要がある。また連続運転期間が2〜3ケ月程度: 3〜4週間程度の休止期間で回復する。図12は、上部散水管を停止し下部散水管を稼働させた場合の処理土壌層と通水層での目詰まりの回復過程を示す模式図で、同図(a)は下部散水管稼働開始時、(c)は下部散水管近傍に目詰まりが出来はじめた状態、同図(b)はその中間の状態をそれぞれ示す。このような構造がもたらす機能のお陰で、従来の浸潤式土壌処理方式が土壌層の目詰まりを起こした時点で処理能力が落ちるのに比べ、多段構造の処理方式は目詰まりの進行が抑制され、かつ、回復も早くなっている。
【0046】
尚、上部散水管の使用中に目詰まりの徴候を感知したら、下部散水管と散気管の使用に切り替えて運転を継続するが、できうれば、下部散水管と散気管の連続使用期間は3ケ月以内( 通常は1ケ月) に止めることが好ましい。これは、下部下部散水管よりも上方にある処理浄化層が排水処理にあずからないことによる。また、下部散水管の周囲に目詰まりが生じると、上部散水管に切り換えても下部散水管の周囲の目詰まりにより、汚水がそれ以上流下せず、浄化が進まないことによる。そして、下部散水管の使用中に上部散水管周囲の目詰まりは解消して、装置全体として連続運転が可能である。定常運転状態では上部散水管の使用が2ケ月、下部が1ケ月程度の交互使用が望ましい。多段土壌層として図1や図2のような7段の浄化土壌層が設置されているものにおいて、下部散水管の使用時と上部散水管の使用時における処理水の水質には有為な差はなかった。浄化性能を上げて処理水の水質を良くするには、浄化土壌層の段数を増やせば良い。
【0047】
上部散水管の目詰まりの感知は、前述したトレンチ方式の場合と同様、上部散水管からの汚水の流入状況や被覆土壌層の濡れを観察するほか、目詰まり検知管による方法が考えられる。この目詰まり検知管は、多段濾床式土壌浄化装置の適宜な位置に、縦にパイプを埋め込み、このパイプの通水層の位置に小孔を穿設したものである。そして、上部散水管の目詰まり、即ち通水層ネック部4Bに目詰まりが生じると、当該通水層に汚水が溜まり、これが検知管の小孔からパイプ中に流れ込む。この流れ込み状況をチェックして上部散水管の目詰まりを感知するものである。パイプの小孔は、下部散水管の下方の通水層の位置にも設けておけば、下部散水管の目詰まりも検知できる。
【0048】
図13は、多段土壌層法により1990年より稼働している家庭排水処理装置について、目詰まり回復前後の透水性の変化を測定した結果を示す。これは、通常時、目詰まり時及び2ケ月間休止した回復直後のそれぞれについて、200Lの水道水を散水管を通じて数分間で負荷し、その直後から1分間毎に各処理水の流出量(CC)を測定したものである。この図から、通常時には毎分約300〜600CC処理されているのに対し、目詰まり時には数十〜200CCに激減し、通常時に比べて流出が制限され処理が長時間に渡ることが分かる。これに対し、休止直後は、直後に毎分2L、その後0.6Lも処理されており、目詰まりが完全に回復していることが分かる。
【0049】
尚、図13に示すゲータを得た装置は、槽容量が15m3 、流入汚水量が250L/m2 /日のものであるが、以下に実施の形態で示すものと異なり、処理土壌層や通水層の素材や構造等について十分な研究が進んでいない段階のもので、勿論、散水管や散気管の2段配置も行われていない。ただ、負荷量が小さかったのため、使用10年で4度だけ目詰まりして、いずれも各2ケ月程度の休止により目詰まりは解消した。この休止対策として、別途同規模の装置を並設し、前記休止期間中、稼働させた。稼働の期間は、10年間で9ケ月程度であった。
【0050】
【実施例】
次に、本発明を図面に示す実施例に基づいて更に詳細に説明する。
(実施例 1)
図1は、本発明多段濾床式土壌浄化装置の一例を示す正面視した模式図である。この多段濾床式土壌浄化装置1は、高さ144cm、巾80cm、奥行き56cmの透明なアクリル板製の容器2内に、処理土壌層3と通水層4を充填して浄化層5を形成し、その上部に被覆土壌層6を設けたものである。そして、最上部の通水層4に上部散水管7、1段下の通水層4に上部散気管8、更に1段毎に下部散水管9と下部散気管10を配設している。更に、第三の散気管11を最下部近傍の通水層4に設けてもよい。装置1の最下部には、礫を敷設して集水層12とし、処理水流出管13を経て外部に放流される。被覆土壌層6と浄化層5の間及び浄化層5と集水層12の間は、金網14、15で仕切ってある。
【0051】
各散水管7、9は、内径25mmの塩化ビニル製パイプに多数の散水用小孔71、91を穿設したもので、一端には、フラッシング排水のためのバルブ72、92を設けている。各散気管8、10は、内径15mmのパイプに散気用の小孔81、101をそれぞれ設けたものである。
【0052】
処理土壌層3は、通水層4の間にレンガ状に積層されているが、その奥行きは図2に示すように、容器2の奥行き一杯となっている。尚、図2は図1の装置を立体視したもので、説明のために散水管や散気管は簡略化している。処理土壌層3は、マサ土に木炭と腐葉土を80:10:10の割合(容積比)で混合したものを厚みa=10mm、巾b=20mmの寸法に成形したもので、これを、上下及び横方向にc=10mm、d=10mmの間隔を開けて並べ、その間に3〜6mmφのゼオライト破砕品を通水層4として充填したものである。但し、各散水管と散気管を収納する通水層4の厚みは、50mmとした。この装置は、高速高負荷用のものであるが、製造コストはユニット(処理土壌層3、通水層4)が小さいため高くつく。
【0053】
この装置1は、表1に示すように、BODが15ppmの集落排水処理水を10000L/m2 /日の割合で流入させたところ、10ケ月後に目詰まりが発生した。処理水のBOD濃度は1ppmであった。尚、同様の装置で、通水層4を3〜6mmφの軽石破砕品で構成したものは、処理水のBODは1.5ppmであったが、同様に10ケ月で目詰まりを発生した。この上部散水管7の目詰まりは、下部散水管9に切り換えて運転しておいたら、約2ケ月で目詰まりが解消した。尚、その間各散気管8、10、11は稼働させておいた。
【表1】
【0054】
(実施例 2)
処理土壌層3の寸法を、厚み50mm、巾200mm、通水層4の厚み、処理土壌層3の横方向間隔をともに50mmとした以外は、実施例1と同一の装置を使用した。処理能力は、通常はこの程度で十分である。その結果、表1に示すように、BODが20ppmの集落排水処理水を5000L/m2 /日の割合で流入させたところ、現在、1年以上も目詰まりを発生せずに稼働している。目詰まりが発生すれば、実施例と同様、下部散水管9に切り換える予定である。その結果、通水層4がゼオライト及び軽石とも、BOD濃度1ppmの処理水が得られている。
【0055】
(実施例 3)
処理土壌層3の寸法を、厚み100mm、巾300mm、通水層4の厚み及び処理土壌層3の横方向間隔をともに100mmとした以外は、実施例1、実施例2と同一の装置を使用した。その結果、表1に示すように、BODが30ppmの集落排水処理水を4000L/m2 /日の割合で流入させたところ、現在、1年以上も目詰まりを発生せずに稼働している。目詰まりが発生すれば、実施例と同様、下部散水管9に切り換える予定である。その結果、通水層4がゼオライトの場合1ppm、軽石の場合2ppmの処理水が得られている。この装置は、負荷量、浄化性能は上記各実施例のものよりも劣るが比較的低コストで製造しうる。
【0056】
(実施例 4)
処理土壌層3としてマサ土の替わりに黒ボク土を用いた以外は実施例1と同様にして多段濾床式土壌浄化装置1を構成した。そして、汚水のBOD濃度、負荷速度も実施例1と同一にして処理したところ、表1に示すように8ケ月で目詰まりを生じた。この上部散水管7の目詰まりは、下部散水管9に切り換えて運転しておいたら、約2ケ月で目詰まりが解消した。尚、その間各散気管8、10、11は稼働させておいた。処理水のBOD濃度は、ゼオライトで2ppm、軽石で3ppmであった。
【0057】
(実施例 5)
処理土壌層3としてマサ土の替わりに黒ボク土を用いた以外は実施例2と同様にして多段濾床式土壌浄化装置1を構成した。そして、汚水のBOD濃度、負荷速度も実施例2と同一にして処理したところ、表1に示すように1年以上目詰まりを生じずに稼働している。処理水のBOD濃度は、ゼオライト及び軽石とも2ppmであった。
【0058】
(実施例 6)
処理土壌層3としてマサ土の替わりに黒ボク土を用いた以外は実施例3と同様にして多段濾床式土壌浄化装置1を構成した。そして、汚水のBOD濃度、負荷速度も実施例3と同じにして処理したところ、表1に示すように10ケ月で目詰まりを生じた。処理水のBOD濃度は、通水層4がゼオライト、軽石とも2ppmであった。この上部散水管7の目詰まりは、下部散水管9に切り換えて運転しておいたら、約2ケ月で目詰まりが解消した。尚、その間各散気管8、10、11は稼働させておいた。
【0059】
以上の各実施例は、汚水のBOD濃度が河川水などと同様比較的低いものであるが、より高濃度のBOD等の汚濁物質を含む汚水の場合、汚水の供給量を減らせば、十分な処理能力を発揮する。
【0060】
(実施例 7)
図3は、図1に示す本発明多段濾床式土壌浄化装置1に、目詰まり検知管18を組み込んだ一例を示す正面視した模式図である。この目詰まり検知管18は、太さ40mmの塩化ビニル製パイプ18aにおける各通水層の中央部近傍位置に汚水流入用小孔18b(各位置に4個ずつ)を穿設したもので、被覆土壌層6から浄化層5を突き抜けて集水層12の上部の位置まで埋設してある。符号18cは、パイプ18aに巻き付けたネットである。尚、実際の装置(面積数m2 以上)の場合、目詰まり検知管18としては直径100mm程度の大きさのものを数カ所設置すま。また、散水管の内径も50〜100mm、散気管の内径も30〜50mm程度のものを使用する。
【0061】
そして、装置1を長期間稼働させると、肥厚化した通水層資材16により通水層ネック部4Bが目詰まりする。そのため、上部散水管7から装置に流入してきた汚水は、通水層ネック部4Bから下方への流下が妨害され、小孔18bから目詰まり検知管18の内部へ流入する。そこで、時々目詰まり検知管上端の点検蓋18dを開けて内部を観察し、汚水が流入していたら目詰まりが発生したと判断し、下部散水管9に切り換える。尚、上下の散気管は図示を省略した。
【0062】
或いは、図示は省略するが、目詰まり検知管18の底部を閉じて、そこに溜まった汚水を何等かの検知手段、例えばフロートスイッチなどで検出し、そこから電気的信号を得て警告等を発するようにしてもよい。
【0063】
尚、図13に示すデータを得た装置、或いはより大がかりな装置の場合には、目詰まり検知管は内径100mm程度のものを装置の大きさに合わせて数箇所に埋設する。また、その場合の汚水流入用の小孔も10mm程度のものを、一周に4ケ所程度穿設する。
【0064】
(実施例 8)
次に、図4に示すように、従来型土壌浄化装置(毛管浸潤トレンチ)に散水管・散気管の組を垂直方向に2組設けたものについて説明する。この装置20は、深い溝21を掘って、その底部に合成樹脂製膜22を敷設し、その上方に、礫層23で囲んだ上部散水管24、上部散気管25及び下部散水管26、下部散気管27をそれぞれ配設し、その間を砂層28で埋めたものである。符号29は、被覆土壌層、符号30は溝21周辺の土壌である。
【0065】
家庭などから排出される汚水は、上部散水管24の小孔から浸出して周りの土壌中に重力や毛管作用で浸透し、浄化されていく。しかし、前述したようにこの装置20全体が不均一な粒子の集まりである土壌により構成されているため、上部散水管24の周りには有機系SSなどの可逆的な目詰まりが生じる。この目詰まりは、汚水中のBODなどの濃度や汚水量にもよるが、2〜3ケ月で生じ、処理が困難になる。そこで、2ケ月程度、汚水の供給を下部散水管26に切り換え運転を行うと、その間に上部散水管周辺の目詰まりが解消する。その間も、量散気管25、27は運転しておく。そこで、汚水の供給を再度上部散水管26に切り換える。このようにして、長期にわたって、連続運転が可能になる。
【0066】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明は汚水や用水を土壌を利用して浄化する土壌浄化装置において、散水管と散気管の組を上下垂直方向に2組〜3組配設し、一方の散水管に目詰まりが生じたら他方に切り換えて運転を行うものである。
【0067】
従って、従来のトレンチ方式などの土壌浄化装置においては、目詰まりによる休止が避けられ、連続運転が可能になる。また、連続稼働させるために2組並設する必要もなくなり、土地の有効利用が図られる。
【0068】
一方、多段式土壌浄化装置においては、処理土壌層や通水層の各資材や寸法等に工夫を凝らすことにより、低濃度BODの汚水ながら数千から1万L/m2 /日もの大量の処理を可能とすることができ、しかも、1年程度の連続運転は可能であるが、やはり次第に透水能力が低下してくる。
【0069】
そこで、多段式土壌浄化装置においても、散水管と散気管の組を上下垂直方向に2組〜3組配設し、目詰まりが生じたら、上下の散水管を切り換えて使用することにより、10年或いはそれ以上の長々期にわたって連続運転を可能とするものである。
【0070】
多段土壌浄化装置の場合、目詰まり検知管を組み込んでおくと、目詰まり発生を用意に目視などで確認できる利点がある。
【0071】
土壌浄化装置は、初期投資は少なくてすむし、維持管理コストは殆どかからず、極めて省エネルギー的なものであるが、本発明により維持管理が簡便且つ効率化され、非常に有益なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明多段濾床式土壌浄化装置の一例を示す正面視した模式図である。
【図2】本発明多段濾床式土壌浄化装置の一例を示す立体視した模式図である。
【図3】図1に示す本発明多段濾床式土壌浄化装置に、目詰まり検知管を組み込んだ一例を示す正面視した模式図である。
【図4】本発明毛管浸潤トレンチ装置の一例を示す断面図である。
【図5】土壌浄化における目詰まりのメカニズムを説明する模式図で、(a)は有機物による目詰まり、(b)は無機物による目詰まり、(c)は押圧により生じる目詰まりの場合をそれぞれ示す。
【図6】従来の毛管湿潤トレンチ式土壌式浄化装置の一例を示すもので、(a)は縦断面図、(b)は(a)におけるX−X線断面図である。
【図7】従来の多段浄化装置の一例を示す縦断面図である。
【図8】多段浄化装置における目詰まり示す模式図である。
【図9】通水層と処理土壌層の境界面における効率的なSSの捕捉分解を示す説明図である。
【図10】処理土壌層の巾と間隔の違いによる接触効率の変化を示す説明図である。
【図11】散水経路の切替えを示す模式図である。
【図12】目詰まりの回復過程を示す模式図である。
【図13】目詰まりによる透水性の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 本発明多段濾床式土壌浄化装置
2 アクリル板製容器
3 処理土壌層
4 通水層
4A 散水孔直近の散水層
4B 通水層ネック部
5 浄化層
6 被覆土壌層
7 上部散水管
71 散水用小孔
72 バルブ
8 上部散気管
81 散気用小孔
9 下部散水管
91 散水用小孔
92 バルブ
10 下部散気管
101 散気用小孔
11 第三の散気管
12 集水層
13 処理水流出管
14 金網
15 金網
16 肥厚化した通水層資材
17 SS
a 処理土壌層の厚み
b 処理土壌層の巾
c 通水層の巾
d 通水層の厚み
18 目詰まり検知管
18a 塩化ビニルパイプ
18b 汚水流入用小孔
18c ネット
18d 点検蓋
20 本発明従来型土壌浄化装置
21 溝
22 合成樹脂製膜
23 礫層
24 上部散水管
25 上部散気管
26 下部散水管
27 下部散気管
28 砂層
29 被覆土壌層
30 溝周辺の土壌
Claims (9)
- 汚水や用水を土壌を利用して浄化する土壌浄化装置において、土壌浄化装置の浄化層最上部に上部散水管、その下方で浄化層の上部に上部散気管を配設するとともに、該散気管の下方に下部散水管、更にその下方に下部散気管を配設したことを特徴とする汚水、用水の浄化装置。
- 下部散気管の下方に更に散気管或いは散水管と散気管の組を配設するものである、請求項1記載の汚水、用水の浄化装置。
- 浄化層が、浄化能に優れた処理土壌層がレンガ状に積層されその周りを粒状物からなる通水層が取り囲んだ構造をしている多段濾床式土壌浄化装置において、最上部通水層に上部散水管、1乃至数段目下の通水層に上部散気管、更に1乃至数段下の通水層にそれぞれ下部散水管と下部散気管を配設したものである、請求項1又は請求項2記載の汚水、用水の浄化装置。
- 通水層の位置に汚水流入用小孔を穿設したパイプからなる目詰まり検知管を、浄化層の適宜な位置に1乃至数本縦方向に埋設したものである、請求項3記載の汚水、用水の浄化装置。
- 処理土壌層の厚みが10〜150mm、巾が20〜2000mm、処理土壌層の上下の間隔即ち通水層の厚みが10〜150mm、処理土壌層の横方向の間隔が20〜500mmである請求項3記載の汚水、用水の浄化装置。
- 上部散水管と上部散気管の組の下方に更に下部散水管と下部散気の組を備えた土壌浄化装置において、上部散水管の使用中に目詰まりの徴候を感知したら、下部散水管と散気管の使用に切り替えて運転を1〜数ケ月継続し、次いで上部散水管と上部散気管の使用に切替えて運転することを特徴とする、汚水及び用水の浄化方法。
- 浄化層が、浄化能に優れた処理土壌層がレンガ状に積層されその周りを粒状物からなる通水層が取り囲んだ構造をしている多段濾床式土壌浄化装置であって、通水層の位置に汚水流入用小孔を穿設したパイプからなる目詰まり検知管を浄化層の適宜な位置に埋設したものにおいて、汚水流入用小孔からの汚水の流入を観察して散水管の目詰まりの徴候を感知するものである、請求項6記載の汚水及び用水の浄化方法。
- 上部散水管・散気管の組と下部散水管・散気管の組の切り替えを、1〜3ケ月毎に行うものである、請求項6記載の汚水及び用水の浄化方法。
- 上部散気管、下部散気管とも、常時稼働するものである、請求項6又は請求項8記載の汚水及び用水の浄化方法。
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