JP4140031B2 - 水質浄化性地下ダム及びその構築方法 - Google Patents

水質浄化性地下ダム及びその構築方法 Download PDF

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  • Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として硝酸態窒素で汚染された地下水を浄化する水質浄化性地下ダム及びその構築方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、地下水に含まれる有害汚染物質として硝酸態窒素が問題となっている。かかる問題は、湖沼、河川等の閉鎖性水域において窒素やリンによる水質の富栄養化が進行し、その結果、硝酸態窒素という形で地下水に流入することが原因であると考えられている。
【0003】
硝酸態窒素は、農薬、除草剤、肥料、糞尿などに含まれる窒素成分が微生物により分解を受けた結果生じてくる物質であるが、この硝酸性窒素が体内に入ると、還元されて亜硝酸性窒素に変化し、発ガン性物質であるニトロソアミンという物質を生成したり、血液中のヘモグロビンの機能を低下させて酸素欠乏を引き起こしてチアノーゼ症状に陥る、いわゆるメトヘモグロビン血症を引き起こしたりすることが指摘されている。
【0004】
そのため、地下水に含まれる硝酸態窒素をあらかじめ健康被害を生じない濃度以下となるように除去しなければならない。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−232876号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平10−113693号公報
【0007】
【特許文献3】
特開平10−286590号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
水に含まれる硝酸態窒素を除去する方法として、該硝酸態窒素をプラントで還元して窒素ガスに変える試みがなされており、既に実用化されているものもある。
【0009】
ここで、プラントで実用化されている手法としては、スリースラッジ法、デュアルスラッジ法、シングルスラッジ法などがあるが、いずれも、中間工程において硝酸態窒素を還元させるために水素供与体(通常、メタノール)が別途必要となる、あるいはpHを中和するアルカリ剤の添加が必要となるという問題や、その結果として反応過程が複雑になるという問題を生じており、大量の汚染水を効率よくかつ低コストに処理するには未だ改善の余地があった。
【0010】
加えて、地下水の硝酸態窒素を処理するとなると、該地下水をいったん揚水して地上プラントまで導水しなければならず、さらなるコスト増を招くという問題も生じていた。
【0011】
一方、雨量が少ない地域においては、地盤内に地下ダムを構築し、該地下ダムに貯留された水を揚水して作物を育てることがあるが、かかる地域では、作物を育てる関係上、肥料の散布量が多くなり、それに起因して地下ダムに貯留された水の硝酸態窒素の濃度は高くなりがちである。
【0012】
そのため、地下ダム内の水位が一時的に上昇し貯留水が地下ダムを越流すると、硝酸態窒素濃度が高い地下水が下流へと流れることとなり、地下水汚染が拡がるとともに、湖沼の水質汚染を招く原因ともなる。
【0013】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、越流する水に含まれる硝酸態窒素を低コストでかつ効率よく除去可能な水質浄化性地下ダム及びその構築方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る水質浄化性地下ダムは請求項1に記載したように、脱窒作用を有しかつ透水性及び通気性を有する水質浄化体を、地盤内に埋設された止水壁の頂部に設けてなる水質浄化性地下ダムであって、前記水質浄化体を、水硬性材料を含むアルカリ性排泥と、硫黄及び硫黄酸化細菌とを、前記アルカリ性排泥の固化前に混合して構成し、該水質浄化体は、前記水硬性材料の水和反応による水酸化カルシウムを含有するものである。
【0015】
また、本発明に係る水質浄化性地下ダムは請求項2に記載したように、脱窒作用を有しかつ透水性及び通気性を有する水質浄化体を、地盤内に埋設された止水壁の頂部に設けてなる水質浄化性地下ダムであって、前記水質浄化体を、水硬性材料を含むアルカリ性排泥が該水硬性材料の固化作用によって固化した排泥固化体と、硫黄及び硫黄酸化細菌とを混合して構成し、該水質浄化体は、前記水硬性材料の水和反応による水酸化カルシウムを含有するものである。
【0016】
また、本発明に係る水質浄化性地下ダムは、前記水質浄化体の内部通気空間を大気と連通させる窒素ガス排出手段を、該水質浄化体の上方に位置するように前記地盤内に埋設したものである。
【0018】
また、本発明に係る水質浄化性地下ダムは、前記水質浄化体が充填された水質浄化パネルを地表面から前記止水壁の頂部まで延びる孔内に吊上げ及び吊り降ろし自在に設置したものである。
【0020】
また、本発明に係る水質浄化性地下ダムの構築方法は請求項5に記載したように、地盤内に構築された止水壁の頂部から地表面まで延びる孔を掘削形成し、該孔内に水硬性材料を含むアルカリ性排泥と硫黄及び硫黄酸化細菌とを混合してなる流動性混合物を投入し、該流動性混合物を透水性及び通気性が確保されるように固化させて水質浄化体とし、該水質浄化体は、前記水硬性材料の水和反応による水酸化カルシウムを含有するものである。
【0021】
また、本発明に係る水質浄化性地下ダムの構築方法は請求項6に記載したように、地盤内に構築された止水壁の頂部から地表面まで延びる孔を掘削形成し、水硬性材料を含むアルカリ性排泥が該水硬性材料の固化作用によって透水性及び通気性が確保されるように固化した排泥固化体と硫黄及び硫黄酸化細菌とが混合されてなる固形混合物を前記孔内に投入して水質浄化体とし、該水質浄化体は、前記水硬性材料の水和反応による水酸化カルシウムを含有するものである。
【0022】
また、本発明に係る水質浄化性地下ダムの構築方法は、前記固形混合物を透水性及び通気性を有する袋体に詰め、該袋体を前記孔内に投入するものである。
【0023】
また、本発明に係る水質浄化性地下ダムの構築方法は、内部に安定液を満たすことで孔壁の崩落を防止しつつ地表面から掘削孔を形成し、次いで、該掘削孔の下方にコンクリート、モルタル等の流動性固化材を打設しつつ前記安定液と置換することで止水壁を構築し、次いで、前記掘削孔のうち、上方に残った空間を前記孔として該孔に前記流動性混合物又は前記固形混合物を投入するものである。
【0025】
本発明に係る水質浄化性地下ダム及びその構築方法においては、地下ダムとして地盤内に埋設された止水壁の頂部に脱窒作用を有しかつ透水性及び通気性を有する水質浄化体を設ける。
【0026】
このようにすると、地下ダムの貯留水の水位が上昇して止水壁を越流する際、該越流水が水質浄化体を透水することとなるが、その際、越流水に含まれる硝酸態窒素は、水質浄化体の脱窒作用によって窒素ガスに還元される。
【0027】
具体的には、水質浄化体に硫黄及び硫黄酸化細菌を含む場合、かかる水質浄化体と硝酸態窒素を含む越流水とが接触すると、水質浄化体中の硫黄が硫黄酸化細菌の酵素活性によって酸化されるとともに、その酸化反応に伴って、該硫黄が電子供与体となり、越流水中の硝酸態窒素を窒素ガスに還元する。
【0028】
すなわち、水質浄化体に硫黄及び硫黄酸化細菌を含む場合、硫黄は自ら酸化されることにより硫酸となるが、アルカリ性排泥中のアルカリ成分である水酸化カルシウムと中和することにより、硫酸は中性の石膏となる。そのため、硫酸によってpHが小さくなり、硫黄酸化細菌の酵素活性が低下するのを防止することができることはもちろん、アルカリ性排泥の場合は特に、従来、産業廃棄物として処分せざるを得なかったものが、本発明によれば、硝酸態窒素を無害化する原材料として有効利用することができるという顕著な作用効果を奏する。
【0029】
硝酸態窒素汚染の問題は、微生物分野では本願出願の時点で既に知られているところであるとともに、かかる硝酸態窒素を脱窒させる方法として硫黄と硫黄酸化細菌とを使用できる可能性や石灰石で硫酸を中和させることができることも知られている。
【0030】
一方、土木建築業界においては、地中連続壁工法などの泥水工法でアルカリ性排泥が大量に発生し、その廃棄処分が大きな社会的問題となっていた。
【0031】
本出願人は、かかる問題や、ガソリン精製等での脱硫工程で硫黄が余剰しつつある社会状況をも踏まえつつ、上述した微生物分野における公知技術を土木建築業界で活かすことはできないかという点に着眼し、さまざまな研究開発を行った結果、上述した新規な知見を得たものであり、その知見は産業上きわめて有意義な知見であることを念のため付言しておく。
【0032】
水質浄化体は、脱窒作用を有しかつ透水性及び通気性を有するものとして、上述したように硫黄及び硫黄酸化細菌を含む構成とする
【0033】
具体的には、水硬性材料を含むアルカリ性排泥が該水硬性材料の固化作用によって固化した排泥固化体と硫黄及び硫黄酸化細菌とを混合して構成する、又は水硬性材料を含むアルカリ性排泥と硫黄及び硫黄酸化細菌とを前記アルカリ性排泥の固化前に混合して構成する態様が考えられる。なお、硫黄の酸化反応を触媒する硫黄酸化細菌の酵素活性に必要な酵素活性物質、例えば炭素源あるいは有機物については、必要に応じて適宜添加すればよい。例えば、炭、木材、サトウキビの絞りかす、廃材などが考えられる。
【0034】
水質浄化体が透水性及び通気性を備えるようにするには、例えばひび割れを生じるように成分調整する方法や、発泡剤等を添加することで多孔質体とする方法が考えられる。
【0035】
水硬性材料にはセメントや石灰が含まれる。
【0036】
水硬性材料を含むアルカリ性排泥は、主として地中連続壁工法、泥水シールドなどの泥水工法で生じた排泥が対象となるが、運送の便宜のため、固化させる目的で水硬性材料が添加された排泥であってアルカリ性を呈しているものであれば、上述した泥水工法で生じた排泥に限定されるものではない。また、水硬性材料の固化作用は、セメントや石灰による水和反応を主として意味する。
【0037】
なお、水硬性材料を含むアルカリ性排泥と、硫黄及び硫黄酸化細菌とを、アルカリ性排泥の固化前に混合して水質浄化体を構成する場合、硫黄の酸化反応を硫黄酸化細菌が触媒するには、微生物活性が高くなるまで待たねばならず、それには日数を要するため、アルカリ性排泥に添加したとしても、硫黄の酸化反応が始まるまでには、アルカリ性排泥が固化する。したがって、水質浄化体としての機能を発揮する前に硫黄が酸化されてしまう懸念はほとんどない。
【0038】
止水壁は、地下ダムの機能、すなわち地盤内に地下水を貯留することができるものであればどのような構成でもよく、地中連続壁、鋼矢板、ソイルセメント柱列壁などが含まれる。
【0039】
ここで、前記水質浄化体の内部通気空間を大気と連通させる窒素ガス排出手段を、該水質浄化体の上方に位置するように前記地盤内に埋設した場合には、上述した脱窒反応で発生した窒素ガスをスムーズに大気中に排気することができる。
【0040】
また、水質浄化体を地盤内に埋設する態様でもかまわないが、前記水質浄化体が収容された水質浄化パネルを地表面から前記止水壁の頂部まで延びる孔内に吊上げ及び吊り降ろし自在に設置した場合には、水質浄化体を容易に交換あるいは検査することが可能となる。
【0041】
水質浄化性地下ダムを構築するにあたり、固形混合物を透水性及び通気性を有する袋体に詰め、該袋体を前記孔内に投入するようにすれば、水質浄化体を設ける作業性が格段に向上する。
【0042】
一方、孔を掘削するときに孔壁が崩落する可能性の有無により概ね2つに大別され、孔壁が崩落する可能性がない場合にはいわゆる素堀りで足りるが、崩落する可能性が高い場合には、孔内を安定液で満たしながら掘削することで孔壁の崩落を防止する。
【0043】
ここで、止水壁の構築と水質浄化体の構築あるいは水質浄化パネルの設置とを個別あるいは互いに関係なく独立に行ってもかまわないし、それゆえ、本発明は既設の地下ダムにも適用できるものであるが、比較的深い地盤内に地下ダムを建設する場合、内部に安定液を満たすことで孔壁の崩落を防止しつつ地表面から掘削孔を形成し、次いで、該掘削孔の下方にコンクリート、モルタル等の流動性固化材を打設しつつ前記安定液と置換することで止水壁を構築し、次いで、前記掘削孔のうち、上方に残った空間を前記孔として該孔に前記流動性混合物又は前記固形混合物を投入するようにすれば、あらたに建設される地下ダムを水質浄化性地下ダムとして効率よく建設することが可能となる。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る水質浄化性地下ダム及びその構築方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0045】
(第1実施形態)
【0046】
図1は、本実施形態に係る水質浄化性地下ダムを示したものである。同図でわかるように、本実施形態に係る水質浄化性地下ダム1は、脱窒作用を有しかつ透水性及び通気性を有する水質浄化体2を、地盤3内に埋設された止水壁4の頂部に設けてなる。止水壁4は、ソイルセメント柱列壁で構成してある。
【0047】
水質浄化体2は、水硬性材料を含むアルカリ性排泥と、硫黄及び硫黄酸化細菌とを、アルカリ性排泥の固化前に混合した流動性混合物を固化させて構成してあり、アルカリ性排泥と硫黄との混合比を、重量比で例えば50〜90:50〜10としてある。
【0048】
なお、硫黄の酸化反応を触媒する硫黄酸化細菌の酵素活性に必要な酵素活性物質、例えば炭素源あるいは有機物については、必要に応じて適宜添加すればよい。
【0049】
原材料であるアルカリ性排泥は、地中連続壁工事で発生した排泥を用いるのがよい。地中連続壁工事においては、地盤掘削を行う際、掘削された孔壁の崩落を防止すべく、掘削孔内に安定液として泥水を入れながら掘削を行うが、掘削終了後は、水中コンクリートを打設しながら安定液を置換回収する。
【0050】
この使用済安定液が排泥となるが、水中コンクリートと置換回収されたものであるため、排泥中にはセメントが混入しており、それゆえ、かかる排泥は、アルカリ性排泥となっている。
【0051】
水質浄化体2は、透水性及び通気性を備えるように構成する必要があるが、かかる点においては、ひび割れを生じさせる、多孔質状に形成するなど、公知の技術を用いて透水性及び通気性を確保すればよい。
【0052】
ここで、水質浄化体2の上方に窒素ガス排出手段としての保護材5を地盤3内に埋設してある。ここで、保護材5は礫で構成してあり、該礫の間隙を介して水質浄化体2の内部通気空間を大気と連通させることができるようになっている。
【0053】
本実施形態に係る水質浄化性地下ダム1を構築するには、まず、図2(a)に示すように、ソイルセメント柱列壁工法で地盤内に構築された止水壁4の頂部から地表面まで延びる孔21を掘削形成する。
【0054】
次に、孔21内にアルカリ性排泥と硫黄及び硫黄酸化細菌とを混合してなる流動性混合物を投入し、該流動性混合物を透水性及び通気性が確保されるように固化させて水質浄化体2とする。
【0055】
水質浄化体2は図1に示すように、止水壁4を越流する地下水が確実に透水するように十分な高さを確保する。
【0056】
水質浄化体2が固化したならば、最後に孔21に保護材5を充填し、水質浄化性地下ダム1とする。
【0057】
本実施形態に係る水質浄化構造及びその構築方法においては、地下ダムとして地盤3内に埋設された止水壁4の頂部に脱窒作用を有しかつ透水性及び通気性を有する水質浄化体2を設けてある。
【0058】
このようにすると、地下ダムの貯留水の水位が上昇して止水壁4を越流する際、該越流水が水質浄化体2を透水することとなるが、その際、越流水に含まれる硝酸態窒素は、水質浄化体2の脱窒作用によって窒素ガスに還元される。
【0059】
なお、還元された窒素ガスは、水質浄化体2の内部通気空間を通り、保護材5を介して大気へと放出される。
【0060】
以上説明したように、本実施形態に係る水質浄化構造及びその構築方法によれば、水質浄化体2と硝酸態窒素を含む越流水とが接触することにより、水質浄化体2中の硫黄が硫黄酸化細菌の酵素活性によって酸化されるとともに、その酸化反応に伴って、該硫黄が電子供与体となり、越流水中の硝酸態窒素を窒素ガスに還元する。
【0061】
そのため、越流する地下水を浄化することが可能となるとともに、その結果として地下水が流れ込んでいる湖沼をも浄化することも可能となる。
【0062】
ここで、硫黄は自ら酸化されることにより硫酸となるが、アルカリ性排泥中のアルカリ成分によって中和され、硫酸は中性の石膏となる。そのため、硫酸によってpHが小さくなり、硫黄酸化細菌の酵素活性が低下するのを防止することができる。
【0063】
また、本実施形態に係る水質浄化性地下ダム及びその構築方法によれば、従来、産業廃棄物として処分せざるを得なかったアルカリ性排泥を、硝酸態窒素を無害化する原材料として有効利用することができるという顕著な作用効果を奏する。
【0064】
また、本実施形態に係る水質浄化性地下ダム及びその構築方法によれば、ガソリン精製等での脱硫工程で余剰しがちな硫黄を有効活用することもできる。
【0065】
なお、アルカリ性排泥はリンの吸着能が高いため、本実施形態に係る水質浄化体2は硝酸態窒素の浄化作用のみならず、リンを吸着除去する作用効果も有する。
【0066】
本実施形態では、止水壁としてソイルセメント柱列壁を採用したが、これに代えて地中連続壁でもよいし鋼矢板でもかまわない。
【0067】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、流動性混合物を孔21に流し込む前に鉄筋籠等の補強鋼材を孔21内に建て込むようにしてもよい。
【0068】
かかる構成においては、補強鋼材が土圧に抵抗するため、土圧による水質浄化体2の作用に影響を及ぼすおそれはない。
【0069】
また、本実施形態では、礫からなる保護材5を窒素ガス排出手段とすることにより、窒素ガスの排出と水質浄化体2の保護の両方を兼ね備えるようにしたが、これに代えて、水質浄化体2の内部通気空間と大気とを連通する所定の窒素ガス排出管を立設し、その周囲に土を埋め戻すようにしてもよい。
【0070】
加えて、窒素ガス排出手段と特段設けずとも、周辺地盤の空隙を介して窒素ガスをスムーズに排出できるのであれば、かかる窒素ガス排出手段を省略してもかまわない。
【0071】
また、本実施形態では、置換された安定液について特に言及しなかったが、かかる安定液を本発明でいうところのアルカリ性排泥としてもよい。
【0072】
かかる構成によれば、硝酸態窒素で汚染された地下水を浄化するための水質浄化性地下ダムを構築するにあたり、建設残土をほとんど発生させずにすむこととなり、ゼロエミッションに寄与する。
【0073】
また、本実施形態では、孔21を掘削するときに孔壁の崩落がないものとしたが、例えば20m以上の深さに水質浄化体2を設ける場合には、孔壁の崩落を防止するため、安定液を用いる。
【0074】
すなわち、まず、ソイルセメント柱列壁工法で地盤内に構築された止水壁4の頂部から地表面まで延びる孔21を該孔内に安定液を満たしながら掘削形成する(ステップ101)。
【0075】
次に、孔21内にアルカリ性排泥と硫黄及び硫黄酸化細菌とを混合してなる流動性混合物を投入しながら、排泥管を介して安定液を揚泥することによって該安定液と置換する(ステップ102)。このとき、流動性混合物が安定液内で分離する懸念があるのであれば、必要に応じて流動性混合物内に増粘剤をあらかじめ添加しておけばよい。
【0076】
次に、流動性混合物を透水性及び通気性が確保されるように固化させて水質浄化体2とする(ステップ103)。
【0077】
水質浄化体2が固化したならば、最後に孔21に保護材5を充填し、水質浄化性地下ダム1とする(ステップ104)。なお、かかる工法を用いても上述したと同様の作用効果を生じるが、ここではその説明を省略する。
【0078】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、止水壁と本発明に係る水質浄化体を地中連続壁工法を用いて同時施工するようにしてもかまわない。
【0079】
すなわち、まず、内部に安定液を満たすことで孔壁の崩落を防止しつつ地表面から掘削孔を形成する(ステップ111)。次に、該掘削孔の下方にコンクリート、モルタル等の流動性固化材を打設しつつ安定液と置換することで本発明に係る止水壁を構築する(ステップ112)。
【0080】
以下、掘削孔のうち、上方に残った空間を孔21とし、上述したステップ102乃至104を実施することで、孔21に流動性混合物を投入すればよい。
【0081】
かかる構成によれば、あらたに建設される地下ダムを水質浄化性地下ダムとして効率よく建設することが可能となる。
【0082】
(第2実施形態)
【0083】
次に、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0084】
図3は、本実施形態に係る水質浄化性地下ダムを示したものである。同図でわかるように、本実施形態に係る水質浄化性地下ダム31は、脱窒作用を有しかつ透水性及び通気性を有する水質浄化体32を、地盤3内に埋設された止水壁4の頂部に設けてなる。止水壁4は、ソイルセメント柱列壁で構成してある。
【0085】
水質浄化体32は、水硬性材料であるセメントを含むアルカリ性排泥が該セメントの固化作用(水和反応による固化作用)によって固化した排泥固化体と、硫黄及び硫黄酸化細菌とを混合してなる固形混合物で構成してある。
【0086】
原材料であるアルカリ性排泥については第1実施形態と同様であるので、ここではその説明を省略するが、使用済安定液は、水中コンクリートと置換回収されたものであるため、排泥中にはセメントが混入しており、それゆえ、かかる排泥は、アルカリ性排泥となっている。
【0087】
アルカリ性排泥を固化させて排泥固化体とするには、地中連続壁工事で生じたアルカリ性排泥をそのまま放置してもよいし、セメントや石灰を投入して固化を早めるようにしてもよい。
【0088】
なお、硫黄の酸化反応を触媒する硫黄酸化細菌の酵素活性に必要な酵素活性物質、例えば炭素源あるいは有機物については、必要に応じて適宜添加すればよい。
【0089】
排泥固化体と硫黄との混合比は、重量比で例えば50〜90:50〜10とすればよい。
【0090】
製造された固形混合物は、大きさ(粒径)を適宜調整しておくことが望ましい。かかる粒度調整は、排泥固化体の段階で行うことも可能であり、クラッシャー等で排泥固化体を適当な大きさに破砕しながら硫黄及び硫黄酸化細菌を混合するようにすれば、粒度調整工程と混合工程を一工程で済ませることができる。
【0091】
なお、水質浄化体32は、上述したように排泥固化体と硫黄及び硫黄酸化細菌とからなる固形混合物であって互いに固結させる必要はないため、排泥固化体同士の間隙により、透水性及び通気性を確保することができる。
【0092】
ここで、水質浄化体32の上方に窒素ガス排出手段としての保護材5を地盤3内に埋設してある。ここで、保護材5は礫で構成してあり、該礫の間隙を介して水質浄化体32の内部通気空間を大気と連通させることができるようになっている。
【0093】
本実施形態に係る水質浄化性地下ダム31を構築するには、まず、第1実施形態と同様、ソイルセメント柱列壁工法で地盤内に構築された止水壁4の頂部から地表面まで延びる孔21を掘削形成する(図2参照)。
【0094】
次に、孔21内に排泥固化体と硫黄及び硫黄酸化細菌とからなる固形混合物を投入し、水質浄化体32とする。
【0095】
水質浄化体32は図3に示すように、止水壁4を越流する地下水が確実に透水するように十分な高さを確保する。
【0096】
次に、孔21に保護材5を充填し、水質浄化性地下ダム31とする。
【0097】
本実施形態に係る水質浄化構造及びその構築方法においては、地下ダムとして地盤3内に埋設された止水壁4の頂部に脱窒作用を有しかつ透水性及び通気性を有する水質浄化体32を設けてある。
【0098】
このようにすると、地下ダムの貯留水の水位が上昇して止水壁4を越流する際、該越流水が水質浄化体32を透水することとなるが、その際、越流水に含まれる硝酸態窒素は、水質浄化体32の脱窒作用によって窒素ガスに還元される。
【0099】
なお、還元された窒素ガスは、水質浄化体32の内部通気空間を通り、保護材5を介して大気へと放出される。
【0100】
以上説明したように、本実施形態に係る水質浄化構造及びその構築方法によれば、水質浄化体32と硝酸態窒素を含む越流水とが接触することにより、水質浄化体32中の硫黄が硫黄酸化細菌の酵素活性によって酸化されるとともに、その酸化反応に伴って、該硫黄が電子供与体となり、越流水中の硝酸態窒素を窒素ガスに還元する。
【0101】
そのため、越流する地下水を浄化することが可能となるとともに、その結果として地下水が流れ込んでいる湖沼をも浄化することも可能となる。
【0102】
ここで、硫黄は自ら酸化されることにより硫酸となるが、アルカリ性排泥中のアルカリ成分によって中和され、硫酸は中性の石膏となる。そのため、硫酸によってpHが小さくなり、硫黄酸化細菌の酵素活性が低下するのを防止することができる。
【0103】
また、本実施形態に係る水質浄化性地下ダム及びその構築方法によれば、従来、産業廃棄物として処分せざるを得なかったアルカリ性排泥を、硝酸態窒素を無害化する原材料として有効利用することができるという顕著な作用効果を奏する。
【0104】
また、本実施形態に係る水質浄化性地下ダム及びその構築方法によれば、ガソリン精製等での脱硫工程で余剰しがちな硫黄を有効活用することもできる。
【0105】
なお、アルカリ性排泥はリンの吸着能が高いため、本実施形態に係る水質浄化体32は硝酸態窒素の浄化作用のみならず、リンを吸着除去する作用効果も有する。
【0106】
本実施形態では、止水壁としてソイルセメント柱列壁を採用したが、これに代えて地中連続壁でもよいし鋼矢板でもかまわない。
【0107】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、固形混合物を孔21に投入する前にH型鋼、鉄筋籠等の補強鋼材を孔21内に建て込むようにしてもよい。
【0108】
かかる構成においては、補強鋼材が土圧に抵抗するため、土圧による水質浄化体32の作用に影響を及ぼすおそれはない。
【0109】
また、本実施形態では、礫からなる保護材5を窒素ガス排出手段とすることにより、窒素ガスの排出と水質浄化体2の保護の両方を兼ね備えるようにしたが、これに代えて、水質浄化体32の内部通気空間と大気とを連通する所定の窒素ガス排出管を立設し、その周囲に土を埋め戻すようにしてもよい。
【0110】
加えて、窒素ガス排出手段と特段設けずとも、周辺地盤の空隙を介して窒素ガスをスムーズに排出できるのであれば、かかる窒素ガス排出手段を省略してもかまわない。
【0111】
また、本実施形態では、置換された安定液について特に言及しなかったが、かかる安定液を本発明でいうところのアルカリ性排泥としてもよい。
【0112】
かかる構成によれば、硝酸態窒素で汚染された地下水を浄化するための水質浄化性地下ダムを構築するにあたり、建設残土をほとんど発生させずにすむこととなり、ゼロエミッションに寄与する。
【0113】
また、本実施形態では、排泥固化体と硫黄及び硫黄酸化細菌とからなる固形混合物をそのまま孔21に投入して水質浄化体32を構成するようにしたが、これに代えて固形混合物を透水性袋体に充填した状態で投入するようにしてもよい。かかる構成によれば、投入の作業性が格段に向上する。
【0114】
また、本実施形態では、水質浄化体32を、アルカリ性排泥が該その固化作用(水和反応による固化作用)によって固化した排泥固化体と、硫黄及び硫黄酸化細菌とを混合してなる固形混合物で構成したが、これに代えて、石灰、硫黄及び硫黄酸化細菌を混合してなる固形混合物で構成してもよい。
【0115】
かかる構成においては、上述の実施形態と同様に孔21にそのまま投入するようにしてもよいし、上述したように透水性袋体に充填した状態で投入するようにしてもよい。
【0116】
また、本実施形態では、孔21を掘削するときに孔壁の崩落がないものとしたが、例えば20m以上の深さに水質浄化体2を設ける場合には、孔壁の崩落を防止するため、安定液を用いる。
【0117】
すなわち、まず、ソイルセメント柱列壁工法で地盤内に構築された止水壁4の頂部から地表面まで延びる孔21を該孔内に安定液を満たしながら掘削形成する(ステップ121)。
【0118】
次に、孔21内に上述した固形混合物を投入しながら、排泥管を介して安定液を揚泥することによって該安定液と置換し、水質浄化体32とする(ステップ122)。
【0119】
水質浄化体32が固化したならば、最後に孔21に保護材5を充填し、水質浄化性地下ダム31とする(ステップ123)。なお、かかる工法を用いても上述したと同様の作用効果を生じるが、ここではその説明を省略する。
【0120】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、止水壁と本発明に係る水質浄化体を地中連続壁工法を用いて同時施工するようにしてもかまわない。
【0121】
すなわち、まず、内部に安定液を満たすことで孔壁の崩落を防止しつつ地表面から掘削孔を形成する(ステップ111)。次に、該掘削孔の下方にコンクリート、モルタル等の流動性固化材を打設しつつ安定液と置換することで本発明に係る止水壁を構築する(ステップ112)。
【0122】
以下、掘削孔のうち、上方に残った空間を孔21とし、上述したステップ122乃至123を実施することで、孔21に流動性混合物を投入すればよい。
【0123】
かかる構成によれば、あらたに建設される地下ダムを水質浄化性地下ダムとして効率よく建設することが可能となる。
【0124】
(第3実施形態)
【0125】
次に、第3実施形態について説明する。なお、第1,2実施形態と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0126】
図4は、本実施形態に係る水質浄化性地下ダムを示したものである。同図でわかるように、本実施形態に係る水質浄化性地下ダム41は、地盤3内に埋設されソイルセメント柱列壁で構成された止水壁4の頂部に格子状枠体43を立設して土圧を支持するとともに、該格子状枠体内に水質浄化パネル42を配置して構成してある。
【0127】
水質浄化パネル42は、図5に示すようにほぼ矩形状をなし、その両側方縁部にはガイド用突起52を突設してあり、格子状枠体43に鉛直に取り付けられた昇降ガイド45にガイド用突起52を嵌め込むことで吊上げ及び吊り降ろしができるようになっている。
【0128】
ここで、水質浄化パネル42は、透水性鋼板からなるボックス体として構成してあり、該ボックス体の内部には、脱窒作用を有しかつ透水性及び通気性を有する水質浄化体46を充填してある。
【0129】
水質浄化体46は、以下のもので構成することができる。
【0130】
(i)水硬性材料を含むアルカリ性排泥と、硫黄及び硫黄酸化細菌とを、アルカリ性排泥の固化前に混合した流動性混合物を固化させて構成したもの。
【0131】
(ii)水硬性材料であるセメントを含むアルカリ性排泥が該セメントの固化作用(水和反応による固化作用)によって固化した排泥固化体と、硫黄及び硫黄酸化細菌とを混合してなる固形混合物で構成したもの。
【0132】
(iii)石灰、硫黄及び硫黄酸化細菌を混合してなる固形混合物で構成したもの。
【0133】
ここで、(i)は第1実施形態の水質浄化体2、(ii)は第2実施形態の水質浄化体32、(iii)は第2実施形態の変形例で述べたものとそれぞれ同一であるので、製造方法その他の詳細な説明については、ここでは省略する。
【0134】
格子状枠体43は、腹起こし材及び切り梁を組み合わせてなる立体支保工であり、その背面に設けられた透水板44,44を介して作用する土圧を支持し、その内部に配置された水質浄化パネル42を保護するようになっている。
【0135】
本実施形態に係る水質浄化性地下ダム41を構築するには、まず、ソイルセメント柱列壁工法で地盤内に構築された止水壁4の頂部から地表面まで延びる孔47を掘削形成する。
【0136】
次に、孔47内に格子状枠体43を建て込むとともに該格子状枠体と孔壁の間に透水板44,44を挿入し、該透水板の背後を必要に応じて埋め戻す。
【0137】
次に、孔47を不織布、天然繊維マットなどからなる窒素ガス排出手段としての保護材48で塞ぎ、水質浄化性地下ダム41とする。
【0138】
本実施形態に係る水質浄化構造及びその構築方法においては、地下ダムとして地盤3内に埋設された止水壁4の上方に水質浄化パネル42を配置してある。
【0139】
このようにすると、地下ダムの貯留水の水位が上昇して止水壁4を越流する際、該越流水が水質浄化パネル42内に充填した水質浄化体46を透水することとなるが、その際、越流水に含まれる硝酸態窒素は、水質浄化体46の脱窒作用によって窒素ガスに還元される。
【0140】
なお、還元された窒素ガスは、水質浄化体46の内部通気空間を通り、保護材48を介して大気へと放出される。
【0141】
以上説明したように、本実施形態に係る水質浄化構造及びその構築方法によれば、水質浄化パネル42内に充填した水質浄化体46と硝酸態窒素を含む越流水とが接触することにより、水質浄化体46中の硫黄が硫黄酸化細菌の酵素活性によって酸化されるとともに、その酸化反応に伴って、該硫黄が電子供与体となり、越流水中の硝酸態窒素を窒素ガスに還元する。
【0142】
そのため、越流する地下水を浄化することが可能となるとともに、その結果として地下水が流れ込んでいる湖沼をも浄化することも可能となる。
【0143】
ここで、硫黄は自ら酸化されることにより硫酸となるが、アルカリ性排泥中のアルカリ成分によって中和され、硫酸は中性の石膏となる。そのため、硫酸によってpHが小さくなり、硫黄酸化細菌の酵素活性が低下するのを防止することができる。
【0144】
また、本実施形態に係る水質浄化性地下ダム及びその構築方法によれば、従来、産業廃棄物として処分せざるを得なかったアルカリ性排泥を、硝酸態窒素を無害化する原材料として有効利用することができるという顕著な作用効果を奏する。
【0145】
また、本実施形態に係る水質浄化構造及びその構築方法によれば、水質浄化パネル42を随時吊上げ、吊り下ろすことができるため、点検保守を容易に行うことが可能となる。
【0146】
また、本実施形態に係る水質浄化性地下ダム及びその構築方法によれば、ガソリン精製等での脱硫工程で余剰しがちな硫黄を有効活用することもできる。
【0147】
なお、アルカリ性排泥はリンの吸着能が高いため、本実施形態に係る水質浄化体46は硝酸態窒素の浄化作用のみならず、リンを吸着除去する作用効果も有する。
【0148】
本実施形態では、止水壁としてソイルセメント柱列壁を採用したが、これに代えて地中連続壁でもよいし鋼矢板でもかまわない。
【0149】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係る水質浄化性地下ダム及びその構築方法によれば、水質浄化体と硝酸態窒素を含む地下水とが接触すると、水質浄化体中の硫黄が硫黄酸化細菌の酵素活性によって酸化されるとともに、その酸化反応に伴って、該硫黄が電子供与体となり、地下水中の硝酸態窒素を窒素ガスに還元し、該地下水を浄化することができる。
【0150】
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る水質浄化性地下ダムの鉛直断面図。
【図2】第1実施形態に係る水質浄化性地下ダムの構築方法を示した施工図。
【図3】第2実施形態に係る水質浄化性地下ダムの鉛直断面図。
【図4】第3実施形態に係る水質浄化性地下ダムの図であり、(a)は鉛直断面図、(b)はA−A線方向に沿う水平断面図。
【図5】水質浄化パネル42の全体斜視図。
【符号の説明】
1,31,41 水質浄化性地下ダム
2,32,46 水質浄化体
3 地盤
4 止水壁
5 保護層(窒素ガス排出手段)
6 窒素ガス排出管
21,47 孔
42 水質浄化パネル

Claims (8)

  1. 脱窒作用を有しかつ透水性及び通気性を有する水質浄化体を、地盤内に埋設された止水壁の頂部に設けてなる水質浄化性地下ダムであって、前記水質浄化体を、水硬性材料を含むアルカリ性排泥と、硫黄及び硫黄酸化細菌とを、前記アルカリ性排泥の固化前に混合して構成し、該水質浄化体は、前記水硬性材料の水和反応による水酸化カルシウムを含有することを特徴とする水質浄化性地下ダム。
  2. 脱窒作用を有しかつ透水性及び通気性を有する水質浄化体を、地盤内に埋設された止水壁の頂部に設けてなる水質浄化性地下ダムであって、前記水質浄化体を、水硬性材料を含むアルカリ性排泥が該水硬性材料の固化作用によって固化した排泥固化体と、硫黄及び硫黄酸化細菌とを混合して構成し、該水質浄化体は、前記水硬性材料の水和反応による水酸化カルシウムを含有することを特徴とする水質浄化性地下ダム。
  3. 前記水質浄化体の内部通気空間を大気と連通させる窒素ガス排出手段を、該水質浄化体の上方に位置するように前記地盤内に埋設した請求項1又は請求項2記載の水質浄化性地下ダム。
  4. 前記水質浄化体が充填された水質浄化パネルを地表面から前記止水壁の頂部まで延びる孔内に吊上げ及び吊り降ろし自在に設置した請求項1又は請求項2記載の水質浄化性地下ダム。
  5. 地盤内に構築された止水壁の頂部から地表面まで延びる孔を掘削形成し、該孔内に水硬性材料を含むアルカリ性排泥と硫黄及び硫黄酸化細菌とを混合してなる流動性混合物を投入し、該流動性混合物を透水性及び通気性が確保されるように固化させて水質浄化体とし、該水質浄化体は、前記水硬性材料の水和反応による水酸化カルシウムを含有することを特徴とする水質浄化性地下ダムの構築方法。
  6. 地盤内に構築された止水壁の頂部から地表面まで延びる孔を掘削形成し、水硬性材料を含むアルカリ性排泥が該水硬性材料の固化作用によって透水性及び通気性が確保されるように固化した排泥固化体と硫黄及び硫黄酸化細菌とが混合されてなる固形混合物を前記孔内に投入して水質浄化体とし、該水質浄化体は、前記水硬性材料の水和反応による水酸化カルシウムを含有することを特徴とする水質浄化性地下ダムの構築方法。
  7. 前記固形混合物を透水性及び通気性を有する袋体に詰め、該袋体を前記孔内に投入する請求項6記載の水質浄化性地下ダムの構築方法。
  8. 内部に安定液を満たすことで孔壁の崩落を防止しつつ地表面から掘削孔を形成し、次いで、該掘削孔の下方にコンクリート、モルタル等の流動性固化材を打設しつつ前記安定液と置換することで止水壁を構築し、次いで、前記掘削孔のうち、上方に残った空間を前記孔として該孔に前記流動性混合物又は前記固形混合物を投入する請求項5又は請求項6記載の水質浄化性地下ダムの構築方法。
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