JP3554904B2 - エア吸引形のワークの除塵方法および除塵装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、ワーク表面上の糸屑や塗料の研ぎ粉等の塵埃を、除塵ブラシによりワークの表面から浮かび上がらせ、吸引エアにより吸い取って除去するエア吸引形のワークの除塵方法および除塵装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4は、本願出願人が特開昭63−270294号公報で開示したエア吸引形の除塵装置の従来例である。ハウジング7´に両端を支持された図示しない軸体の周囲にダチョウの羽根53´を放射状に多数取り付けてなる回転自在な除塵ブラシ52´が、排気ダクト29を接続したハウジング7´内に回転自在に設けられている。また、ハウジング7´内には、除塵ブラシ52´を回転させるためのサーボモータ等の駆動体(図示せず)が設けられている。そして、羽根53´の一部がワークである車体9´の表面に接触するように除塵ブラシ52´を配置して、除塵ブラシ52´を図中矢印B´の方向に回転させて車体9´の表面から塗装粉や糸屑等の塵埃を浮かび上がらせ、排気ダクト29を通した吸引エアにより前記塵埃を吸い取るようにしている。
そして、この除塵装置2´は、コンベア装置によって搬送される車体9´(ワーク)の形状に沿って除塵装置2´を昇降させながら、常に車体9´と除塵装置2´との間隔を好適な状態に保つことのできるワーク清掃装置に設けられている。
【0003】
しかしながら、上記した従来の除塵装置2′は、除塵ブラシ52′を回転させながら車体9′の表面上の塵埃を除去するものであるため、除塵ブラシ52′を構成する羽根53′の先端が車体9′から離れる際に、塵埃が除塵ブラシ52′の回転接線方向に勢いよく飛ばされ、周囲に飛散しやすいという問題がある。また、除塵ブラシ52′の回転により除塵ブラシ52′の周囲に空気の流れが発生して、車体9′から浮かび上がった塵埃がこの空気の流れに乗って浮遊し、車体9′の周囲に拡散しやすいという問題がある。そのため、排気ダクト29を通して除塵ブラシ52′の周囲のエアを吸引しているにもかかわらず、高い除塵効果を発揮できないという問題があった。また、空気中に浮遊する塵埃が、再度車体9′に付着して除塵効果を低下させる要因になっているという問題もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、除塵ブラシにより車体の表面から浮かび上がらせた塵埃を確実に吸引エアにより吸い取らせることができ、塵埃が周囲に飛散または拡散しないように防止するとともに、空気中を浮遊する塵埃の量を減少させて塵埃がワークに再付着しないように防止することができる除塵効果の高いワークの除塵方法および除塵装置を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の除塵方法は、本体の下面側から上面側に貫通形成されたエアの吸気口またはこの吸気口の近傍に非帯電性の植毛体を植設してなる除塵ブラシによりワークの表面から浮かび上がらせた塵埃を、吸引エアにより吸い込んで排出するエア吸引形のワークの除塵方法において、前記植毛体の先端部を常時ワークの表面に接触させたままの状態で、前記本体の両側に設けられた支軸まわりに前記除塵ブラシを前後に揺動させ、前記除塵ブラシの植毛体に沿って先端部側から根元部側に吸引エアを流し、前記除塵ブラシの前後方向の揺動によってワークの表面から浮かび上がった塵埃を前記吸引エアによって吸い込むようにしたことを特徴とする。
また、上記方法を実現するための本発明の除塵装置は、除塵ブラシによりワークの表面から浮かび上がらせた塵埃を、吸引エアにより吸い込んで排出するエア吸引形のワークの除塵装置において、吸引エアが流れる排気ダクト(29)が連結されたハウジング(7)と、このハウジングの開口部に揺動自在に軸支して設けられ、ハウジング内に連通する吸気口(52b)が多数貫通形成された本体(52a)と、前記吸気口またはこの吸気口の近傍に植設された非帯電性の植毛体(53)とからなる除塵ブラシ(52)と、
前記ハウジングに設けられ、前記植毛体の先端部を常時ワーク(9)に接触させたままの状態で、前記本体の両側に突出して設けられた支軸まわりに前記除塵ブラシを揺動させるための揺動駆動手段(50,54,55)とからなることを特徴とする。
【0006】
【作用】
本発明の除塵方法によれば、常にワークに接触させたままの状態で除塵ブラシを揺動させるようにしたので、除塵ブラシの揺動動作によって塵埃が周囲に飛散することがなく、また、除塵ブラシの揺動動作により除塵ブラシの周囲に発生する空気の流れも僅かなものであるので、当該空気の流れに乗って塵埃が浮遊したり拡散したりすることを防止できる。また、除塵ブラシの植毛体に沿って先端側から根元側に向けて吸引エアが常時流れているので、除塵ブラシの揺動動作によりワークの表面から浮かび上がった塵埃は確実にこの吸引エアにより吸い取られる。さらに、除塵ブラシの植毛体は非帯電性であるので、ワークとの摩擦によって植毛体に静電気が発生することがなく、除塵ブラシに付着した塵埃がワークに再付着するということを防止できる。
【0007】
本発明の除塵装置によれば以下のように作用する。揺動駆動手段の作用により除塵ブラシは支軸を中心としてハウンジング内で前後に揺動しながらワークの表面を掃き取り、ワークの表面に付着した塵埃を浮かび上がらせる。ハウジング内のエアは排気ダクトを通じてブロワ等により排気されるとともに、除塵ブラシの本体に形成された吸気口からはエアが吸気されている。除塵ブラシの植毛体は吸気口の近傍または吸気口内に植設されているので、吸引エアは植毛体の先端側から根元側に向かって流れ、除塵ブラシによって車体の表面から浮かび上がらせられた塵埃は、この吸引エアとともにハウジング内に吸い込まれ、排気ダクトを通って除塵装置外に排出される。
【0008】
【実施例】
本発明の一実施例を図面に従って説明する。
図1は、本発明の除塵装置を有するエア吸引形のワーク清掃装置の全体構成を示すものである。このワーク清掃装置は、コンベア装置8により搬送されるワークである車体9の外形状の変化をセンサにより読み取って、除塵装置の高さ位置の自動制御を行うもので、本願出願人が特開昭63−270294号公報で開示したものと同一構成のものである。以下に、このワーク清掃装置の全体構成を、図1に従って簡単に説明する。
【0009】
車体9を搬送するコンベア装置8を跨いで、門形の枠体22が設けられ、この枠体22の間に断面コの字状の溝形材からなる支持柱24,24がコンベア装置8を挟んで両側に対向して立設されている。各支持柱24,24の両側面にはガイドレール25,25が設けられ、このガイドレール25,25に沿って昇降自在なスライド部材30,30の間にベース板26が架設されている。このベース板26の両端部には、コンベア装置8の進行方向下流側に一対の支持アーム27,27が車体9の幅よりも広い間隔を有するように突出形成されていて、この支持アーム27,27の間に除塵装置2が設けられている。
【0010】
ワーク清掃装置1のコンベア装置8の進行方向下流側には、コンベア装置8を挟んで支持柱20,20が立設され、この支持柱20,20の上下方向に多光軸センサ21,21が対向して設けられている。一方、ワーク清掃装置1の下方には、サーボモータ37が設けられていて、このサーボモータ37の駆動によりチェーン・スプロケット機構39を介してスライド部材30,30が昇降するようになっている。多光軸センサ21,21から発信された車体9のシルエットデータは、図示しない制御部で処理され、この制御部からサーボモータ37の駆動指令信号が出力される。これにより、除塵装置2が昇降して除塵ブラシ52と車体9の表面との距離が常に除塵作業に最適になるような位置に保たれる。
【0011】
次に、本発明の除塵装置2の構成について説明する。
ハウジング7は側面視して略扇状に形成され、両側を支持アーム27,27により支持されている。また、ハウジング7は、車体9の最大幅よりも若干広幅になるように形成されているとともに、その上面には図示しないブロワ等の吸気装置に接続された排気ダクト29が接続されている。ハウジング7の一方の側面には、駆動体としてのエアモータ50が取り付けられ、このエアモータ50の回転軸50aにはクランク状の連結部材55が取り付けられている。そして、この連結部材55の先端に揺動アーム54が取り付けられている。すなわち、揺動アーム54の一端部側に形成された長穴54aに、連結部材55の先端のピン55aが係合されていて、ピン55aが長穴54a内で自由に摺動できるようになっている。
【0012】
除塵ブラシ52は、ハウジング7の下方に形成された開口部に設けられている。除塵ブラシ52は、前記開口部の幅とほぼ等しい幅になるように形成された本体52aと、この本体52aの下面に多数本植設された植毛体53とからなっている。植毛体53は馬の毛やカーボンファイバ等からなる非帯電性の繊維を複数本束ねてなるもので、本体52aの下面側から上面側に貫通形成されたエアの吸気口52b内に植設されている。勿論、植毛体53に沿って先端部から根元部に吸引エアを流すことができるものであれば、植毛体53の近傍に吸気口52bを形成するものとしても構わない。
【0013】
前記したブロワが作動すると、ハウジング7内のエアが排気ダクト29を通ってハウジング7外へ排出されるとともに、植毛体53の先端側から本体52aの吸気口52bに向けて吸引エアが流れる。この吸引エアにより、植毛体53によって車体9の表面から浮かび上がらせられた塵埃が吸気口52bからハウジング7内に吸い込まれる。なお、吸引エアは車体9の表面から浮かび上がらせられた塵埃を確実にハウジング7内に吸い込むことができるだけの吸引力を有するものでなければならない。例えば、車体9の表面上の塗料の研ぎ粉や糸屑を吸引するためには、植毛体53と車体9との接触部における吸引エアの流速を0.3m/s〜0.5m/s程度に維持することが必要である。吸引エアを効率よく植毛体53の間に流すには、除塵ブラシ52の本体52aとハウジング7の開口部周縁との間の隙間は除塵ブラシ52とハウジング7とが干渉しない範囲内でできるだけ小さくし、可撓性を有するシート材等で前記隙間を被覆することが好ましい。
【0014】
除塵ブラシ52の本体52aの両側からは支軸である軸28が突出していて、一方の軸28(図に表れず)は図示しない軸受を介してハウジング7に回転自在に支持され、他方の軸28はハウジング7を貫通してハウジング7の外側で揺動アーム54の他端部に固着されている。エアモータ50が駆動すると連結部材55のピン55aが円弧を描いて回転するが、この回転運動はピン55aと長穴54aとの係合により軸28を支点とする揺動アーム54の前後方向(図2において矢印Bの方向)の揺動動作に変換される。この揺動アーム54aの揺動により、除塵ブラシ52は軸28を中心に揺動する。なお、除塵ブラシ52の揺動範囲は、植毛体53の先端が常に車体9の表面に接触しているものでなければならない。
【0015】
上記したエアモータ50,連結部材55,揺動アーム54で軸28を中心に除塵ブラシ52を揺動させる揺動駆動手段が構成されるが、揺動駆動手段としては上記のものに限られない。例えば、正逆回転する駆動体としてのサーボモータと、このサーボモータの回転軸に取り付けられたピニオンと、揺動アーム54に取り付けられ前記ピニオンと常時噛合する部分円弧状のラックとから揺動駆動手段を構成し、前記サーボモータの正逆回転の繰り返しによりラックとともに揺動アームおよび除塵ブラシ52を揺動させるようにしてもよいし、エアシリンダ等のピストンの伸縮動作により除塵ブラシ52を揺動させるように構成してもよい。
【0016】
次に上記構成の本発明の作用を説明する。
コンベア装置8上を車体9が搬送されてくると、多光軸センサ21,21が車体の形状を読み取り、ワーク清掃装置1の図示しない制御装置がサーボモータ37を駆動させる。これにより、除塵装置2は車体9の表面に対して常に除塵作業に最適な高さ位置に保持される。
エアモータ50が駆動すると、揺動アーム54が揺動するので、除塵ブラシ52は軸28を中心に車体9の進行方向に沿った前後方向に揺動する。また、このとき、植毛体53と車体9との表面とは常に接触している状態が保たれる。除塵ブラシ52は車体9の幅よりも僅かに広幅になるように形成されているので、除塵ブラシ52の一回の揺動動作により、車体9の全幅にわたって除塵作業を行うことができる。
【0017】
そして、除塵ブラシ52の植毛体53が車体9の表面上の塵埃を前後に掃き取りながらコンベア装置8による車体9の搬送によって車体9の前方側から後方側へ移動する。植毛体53に沿って常時吸引エアがハウジング7内に吸気されているので、除塵ブラシ52の揺動動作により車体9の表面から浮かび上がった塵埃はこのエアとともに吸気口52bからハウジング7内に吸い込まれ、排気ダクト29を流れてワーク清掃装置1外に搬出される。
さらに、植毛体53は馬の毛やカーボンファイバ等の非帯電性の材質のもので構成されているので、車体9との摩擦によって静電気が発生することもなく、従って静電気によって塵埃が植毛体53に付着するということを防止でき、車体9への塵埃の再付着を防止することができる。
本発明の好適な実施例を、車体9の表面を清掃する作業を一例に挙げて説明してきたが、本願発明は車体9に限らず他のワークにも適用することができるものである。
【0018】
【発明の効果】
本発明は上記のように構成されているので、以下のような効果を奏する。
除塵ブラシが常時ワークの表面に接触した状態で前後に揺動しながらワーク上の塵埃を浮かび上がらせ、除塵ブラシの植毛に沿って流れる吸引エアが浮かび上がった塵埃を確実にハウジング内に吸い取り除塵装置外に排出するので、ワークの周辺に塵埃が拡散したり、塵埃が空気中に浮遊したりすることが有効に防止でき、エア吸引形の除塵装置の除塵効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかり、除塵装置を備えたワーク清掃装置の正面図である。
【図2】本発明の除塵装置の側面図である。
【図3】図2の除塵装置を矢印Aの方向から見た要部の拡大図で、除塵ブラシを揺動させるための揺動駆動機構の説明図である。
【図4】従来の除塵装置の構成を説明する側面図である。
【符号の説明】
1 ワーク清掃装置
2 除塵装置
7 ハウジング
8 コンベア装置
9 車体(ワーク)
27 アーム
28 軸
29 排気ダクト
50 エアモータ(駆動体)
52 除塵ブラシ
52a 本体
52b 吸気口
53 植毛体
54 揺動アーム
55 連結部材
Claims (2)
- 本体の下面側から上面側に貫通形成されたエアの吸気口またはこの吸気口の近傍に非帯電性の植毛体を植設してなる除塵ブラシによりワークの表面から浮かび上がらせた塵埃を、吸引エアにより吸い込んで排出するエア吸引形のワークの除塵方法において、
前記植毛体の先端部を常時ワークの表面に接触させたままの状態で、前記本体の両側に設けられた支軸まわりに前記除塵ブラシを前後に揺動させ、
前記除塵ブラシの植毛体に沿って先端部側から根元部側に吸引エアを流し、
前記除塵ブラシの前後方向の揺動によってワークの表面から浮かび上がった塵埃を前記吸引エアによって吸い込むようにしたこと、
を特徴とするエア吸引形のワークの除塵方法。 - 除塵ブラシによりワークの表面から浮かび上がらせた塵埃を、吸引エアにより吸い込んで排出するエア吸引形のワークの除塵装置において、
吸引エアが流れる排気ダクト(29)が連結されたハウジング(7)と、
このハウジングの開口部に揺動自在に軸支して設けられ、ハウジング内に連通する吸気口(52b)が下面側から上面側に多数貫通形成された本体(52a)と、前記吸気口またはこの吸気口の近傍に植設された非帯電性の植毛体(53)とからなる除塵ブラシ(52)と、
前記ハウジングに設けられ、前記植毛体の先端部を常時ワーク(9)に接触させたままの状態で、前記本体の両側に突出して設けられた支軸まわりに前記除塵ブラシを揺動させるための揺動駆動手段(50,54,55)とからなることを特徴とするエア吸引形のワークの除塵装置。
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