JP3554071B2 - 半導体装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、半導体装置に関し、例えばスイッチング電源における出力電圧をホトカラプを用いてフィードバックさせる誤差増幅回路に利用して有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本願に先立って図4に示すようなスイッチング電源を検討した。このスイッチング電源において、2次側電圧を受ける誤差増幅回路は、可変形シャントレギュレータが用いられ、トランスの2次側から1次側への誤差増幅出力信号のフィードバックにはホトカラプを用いている。このようなホトカプラを用いることにより、トランスの1次側(一般的に商用電源側)と2次側とを電気的に分離し、安全性を高くすることができる。
【0003】
図4において、ホトカラプを構成するホトダイオードには、電流バイパスのための抵抗RPSが並列に設けられ、バイアス電流設定並びに電流制限のための抵抗RBが直列に設けられる。上記抵抗RPSにて電流を分流する理由は、シャントレギュレータ(エラーアンプIC)の入力電圧V1と、ホトダイオードの順方向電流IFの関係を線形特性にし、系の安定化を図るためである。
【0004】
図5には、上記誤差増幅回路部の入力電圧V1対動作電流IK並びに入力電圧V1対順方向電流IFの関係を示す特性図が示されている。同図において、IK≦IMNでV1対IK特性が非線形になるのはシャントレギュレータが自己消費電流(動作電流)IMNを必要とするからである。電流バイパス用の抵抗RPSに、上記電流IMN以下の電流しか流れないときにはホトダイオードには順方向電圧VFが与えられないから、上記抵抗RPSによってホトダイオードを線形領域に動作補償させることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のスイッチング電源では、シャントレギャレータが1つの半導体集積回路により形成されるのに対して、上記電流パイパス用の抵抗RPSが外付部品で構成されている。このため、比較的大きな素子定数のバラツキを持つことより上記自己消費電流IMNが比較的大きく変動することをみこして、抵抗RPSの抵抗値を比較的小さく設定してかなりのマージンを設定しなければならない。すなわち、ホトダイオードを線形領域で動作させるために、ムダ電流を多く流すことによりその線形領域での動作補償を行うというものである。この結果、単に消費電流が増大することにとどまらず、出力電圧VOに対する動作IK範囲が狭くなり、結果として動作IF範囲、言い換えるならば、ホトカプラのダイナミックレンジを狭くしてしまうという問題が生じる。特に、スイッチ電源等により動作させられる電子回路は、その動作電圧が5V系から3V系のように低電圧化される傾向にあるので、上記ホトカプラのダイナミックレンジが狭いということは今後大きな問題になるものである。
【0006】
この発明の目的は、低消費電流とホトダイオードのダイナミックレンジの拡大を可能にした半導体装置を提供することにある。この発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。すなわち、入力電圧に対応した電流信号を形成してホトダイオードに供給される駆動電流を形成する増幅回路と、かかる増幅回路自身の動作電流を決定する第1の抵抗素子及び上記ホトダイオードに並列に設けられて、そのバイアス電圧を形成する第2の抵抗素子とを同一の半導体基板上に形成する。
【0008】
【作用】
上記した手段によれば、半導体集積回路内では抵抗比が精度よくできることから、自己消費電流IMNと上記バイアス電圧を形成する抵抗とが相関関係をもって変化し、少ない電流によりホトダイオードを線形領域での動作補償を行うことができ、これによりホトダイオードのダイナミックレンジも拡大させることができる。
【0009】
【実施例】
図1には、この発明が適用されたスイッチング電源の2次側回路の一実施例の回路図が示されている。スイッチング電源における2次側コイルから出力された出力電圧は、整流回路により整流され、さらにインダクタンスL及びコンデンサC01とにより平滑されて直流出力電圧VOが形成される。この出力電圧VOは、端子DC OUTを介して図示しない電子回路等の負荷に供給される。
【0010】
上記出力電圧VOを所望の電圧に安定化させるために、抵抗R01とR02により分圧され、エラーアンプIC(誤差増幅回路)に入力電圧V1として供給される。このエラーアンプICは、同図に点線で示すようにエラーアンプの他に、ホトカプラを構成するホトダイオードPDに並列に接続される電流バイパス用抵抗RPSも内蔵される。つまり、エラーアンプICは、ホトダイオードPDの両端が接続される端子K及びPSが設けられ、かかる端子KとPSに対してホトダイオードのアノードとカソードとがそれぞれ接続される。上記端子Kには、上記ホトダイオードPDのバイアス電流設定並びに電流制限のための抵抗RBが直列に設けられる。そして、端子Aは回路の接地電位が与えられる。特に制限されないが、上記抵抗RBには、コンデンサC02が並列に設けられる。
【0011】
図2には、この発明に係るエラーアンプICの一実施例の回路図が示されている。同図の各回路素子は、公知の半導体集積回路の製造技術により、単結晶シリコンのような1個の半導体基板上において形成される。
【0012】
この実施例では、特に制限されないが、バンドギャップ基準電圧源が利用される。つまり、ダイオード形態のトランジスタQ2と、そのベースにベースが接続されたトランジスタQ3とは、所定の比(この実施例では2:4)を持って形成される。上記トランジスタQ3のエミッタにはエミッタ抵抗R4が設けられる。上記トランジスタQ3とQ4のコレクタには、抵抗R2とR3がそれぞれ設けられ、抵抗のR2とR3の他端は共通に接続されて抵抗R1を介して入力端子Rから供給される入力電圧V1を受けるトランジスタQ1のエミッタ電圧が供給される。
【0013】
上記トランジスタQ4のコレクタ出力電圧は、トランジスタQ6のベース、エミッタ間に供給される。このトランジスタQ6のコレクタには抵抗R5が設けられる。上記抵抗R5の他端には、上記トランジスタQ1のエミッタ出力を受けるトランジスタQ8のエミッタが接続される。上記トランジスタQ8のコレクタには、PNP型の電流ミラー回路を構成する入力側トランジスタQ4が設けられる。かかる電流ミラー回路を構成する出力側トランジスタQ5のコレクタには、上記トランジスタQ2のベースにベースが接続されたトランジスタQ7が設けられる。
【0014】
上記トランジスタQ7のコレクタ出力は、ダーリントン形態のトランジスタQ9と10のベースに供給される。そして、上記入力トランジスタQ1のコレクタ、電流ミラートランジスタQ4,Q5のエミッタ及び出力トランジスタQ9,Q10のコレクタは共通化されて端子Kに接続される。そして、かかる端子Kと新たに設けられた端子PSとの間には、上記抵抗RPSが設けられる。なお、トランジスタQ6とQ7のベースとコレクタ間には、それぞれ発振防止用(位相補償用)のコンデンサC1,C2が接続されている。
【0015】
この実施例のエラーアンプ(シャントレギュレータ)の安定動作時には、トランジスタQ6とQ7のベース,エミッタ間電圧が等しいとき、VBE6 =VBE7 である。よって、次式(1)、(2)が成立する。
R2・IC2=R3・IC3 ・・・・・・(1)
BE2 =VBE3 +IC3・R4 ・・・・・・(2)
ここで、IC2,IC3はトランジスタQ2,Q3のコレクタ電流である。
【0016】
上記式(1)を(2)に代入すると、式(3)、(4)が得られる。
Figure 0003554071
【0017】
自己消費電流IMNの合計は、
Figure 0003554071
ここで、トランジスタQ6とQ7は、トランジスタQ2のエミッタ面積比が1/2であるから、上記安定動作時にはIC6=IC7=IC2/2となる。
【0018】
同一チップ内での同種類の抵抗比精度は非常に高い。また、上記熱電圧V(=q/kT)はプロセスバラツキの影響を受けないために、上記式(5)は、次式(6)のように表すことができる。
IMN=A/R4 ・・・・・・・・・(6)
ここで、A=(R3/R2)(2+R2/R3)Vln(2R3/R2)である。
【0019】
この実施例のように、上記自己消費電流IMNを決定する抵抗R4と、上記バイパス抵抗RPSとを上記同種類抵抗として構成すると、極めて抵抗比精度の高いペアを採ることができる。したがって、この実施例のシャントレギュレータは、IMNとVF/RPSとは比例関係にすることができる。言い換えるならば、IMNとRPSのバラツキには相関がある。したがって、図5の特性図において、VF/RPSをIMNに対して必要最小のマージンをもって小さく設定することができる。言いかかるならば、抵抗RPSの抵抗値を比較的大きく設定できるために、前記のようなムダ電流が必要最小にできる。この結果、動作IK範囲と動作IF範囲を出力電圧VOとほぼ同じく大きく設定できる、これに伴ってホトダイオードのダイナミックレンジも大きくできる。
【0020】
図3には、この発明が適用されたスイッチング電源の一実施例の全体回路図が示されている。交流入力は、整流されされてトランスの一次側コイルの電源として供給される。この整流電圧は、約100Vを整流したものであるので、それをそのままスイッチングコントロールICの電源として使用できない。それ故、トランスの2次側から降圧された電圧を整流して動作電圧を得るようにしている。ただし、起動用として比較的大きな抵抗を介して上記整流電圧が供給される。
【0021】
スイッチングコントロールICは、ホトカプラを介してフィードバックされた信号によりPWM波形を形成し、スイッチング素子FETを駆動して上記トランスの1次側コイルを駆動する。2次側コイルから得られる出力電圧は、整流回路により整流され、インダクタンスLとコンデンサC01とにより平滑されて出力直流電圧VOが形成される。
【0022】
この出力直流電圧VOは、抵抗R01とR02により分圧され、この発明に係るエラーアンプICの入力電圧が形成される。この実施例のエラーアップは、前記図2の実施例回路の他に、ホトダイオードに直列接続されるべき抵抗RBも合わせて内蔵されている。それ故、出力電圧VOが供給される端子Vが新たに設けられる。なお、動作の安定化のために端子PSと端子Rとの間には、コンデンサC03が設けられている。
【0023】
この実施例では、ホトダイオードのバイアス電流設定並びに電流制限のための抵抗RBとRPSとも高い比精度で形成できるから、電圧分配比精度を向上させることができるものとなる。特に制限されないが、エラーアンプICには、かかるバイアス電流設定並びに電流制限のための抵抗RBだけを内蔵させるようにしてもよい。だだし、この抵抗RBは、ホトダイオードと直列に接続されるため、外部端子を介して上記バイパス抵抗RPSと接続されることとなり、前記図1又は図3の実施例が現実的である。
【0024】
上記の実施例により得られる作用効果は、下記の通りである。
(1) 入力電圧に対応した電流信号を形成してホトダイオードに供給される駆動電流を形成する増幅回路と、かかる増幅回路自身の動作電流を決定する第1の抵抗素子及び上記ホトダイオードに並列に設けられて、そのバイアス電圧を形成する第2の抵抗素子とを同一の半導体基板上に形成することにより、自己消費電流IMNと上記バイアス電圧を形成する抵抗とが相関関係をもって変化し、少ない電流によりホトダイオードを線形領域での動作補償を行うことができ、これによりホトダイオードのダイナミックレンジも拡大させることができるという効果が得られる。
【0025】
(2) ホトダイオードのバイアス電流設定並びに電流制限のための抵抗RBも合わせて上記半導体集積回路に形成することにより、かかる抵抗RBと上記抵抗RPSとも高い比精度で形成できるから、電圧分配比精度を向上させることができるという効果が得られる。
【0026】
(3) 上記(1)(2)により、スイッチング電源に適用した場合には、それを構成する部品点数を減らすことができ、その低消費電力が可能になるとともに小型化や組み立ても容易にできるという効果が得られる。
【0027】
以上本発明者よりなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本願発明は前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、エラーアンプの具体的構成は、上記実施例のように、内蔵された抵抗により自己消費電流が設定され、かつ、入力電圧に対応した出力電流を形成する機能を持つものであれば何であってもよい。トランスの1側を駆動するスイッチングコントロールICは、ホトカプラを介してフィードバック信号によりPWM出力を形成して、スイッチ素子を駆動するものであれば何であってもよい。
【0028】
この発明は、入力電圧に対応してホトダイオードを駆動する増幅回路を備えた半導体装置に広く利用でき、かかる半導体装置は前記のようなスイッチング電源の他、ホトダイオードを入力電圧に対応して駆動するものに広く利用できる。
【0029】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。すなわち、入力電圧に対応した電流信号を形成してホトダイオードに供給される駆動電流を形成する増幅回路と、かかる増幅回路自身の動作電流を決定する第1の抵抗素子及び上記ホトダイオードに並列に設けられて、そのバイアス電圧を形成する第2の抵抗素子とを同一の半導体基板上に形成することにより、自己消費電流IMNと上記バイアス電圧を形成する抵抗とが相関関係をもって変化し、少ない電流によりホトダイオードを線形領域での動作補償を行うことができ、これによりホトダイオードのダイナミックレンジも拡大させることができる。
【0030】
ホトダイオードのバイアス電流設定並びに電流制限のための抵抗RBも合わせて上記半導体集積回路に形成することにより、かかる抵抗RBと上記抵抗RPSとも高い比精度で形成できるから、電圧分配比精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明が適用されたスイッチング電源の2次側回路の一実施例を示す回路図である。
【図2】この発明に係るエラーアンプICの一実施例を示す回路図である。
【図3】この発明が適用されたスイッチング電源の一実施例を示す全体回路図である。
【図4】この発明に先立って検討されたスイッチング電源の一例を示す回路図である。
【図5】上記スイッチング電源におけるエラーアンプの動作を説明するための特性図である。
【符号の説明】
FET…スイッチング素子、R01、R02…抵抗、C01〜C03…コンデンサ、L…インダクタンス、Q1〜Q10…トランジスタ、R1〜R5…抵抗、C1,C2…コンデンサ、RPS…バイパス抵抗、RB…バイアス電流抵抗、PD…ホトダイオード。

Claims (4)

  1. 入力電圧に対応した電流信号を形成してホトダイオードに供給される駆動電流を形成する増幅回路と、
    かかる増幅回路自身の動作電流を決定する第1の抵抗素子及び上記ホトダイオードに並列に設けられて、そのバイアス電圧を形成する第2の抵抗素子とが同一の半導体基板上に形成されてなることを特徴とする半導体装置。
  2. 上記ホトダイオードには直列に電流制限用の第3の抵抗素子が設けられるものであり、
    かかる第3の抵抗素子も上記半導体装置を構成する半導体基板上に形成されるものであることを特徴とする請求項1の半導体装置。
  3. 上記第1ないし第3の抵抗素子は、
    同じ抵抗材料で形成されるものであることを特徴とする請求項1又は請求項2の半導体装置。
  4. 上記半導体装置は、
    ホトカプラを介して2次側の出力電圧に対応した帰還信号によりPWM信号を形成してスイッチング素子を介してトランスの1次側コイルを駆動するスイッチングコントロールICと、
    上記2次側コイルの出力を整流して形成された出力電圧と基準電圧との差分に対応した電流信号を形成する誤差増幅回路と、
    かかる誤差増幅回路の出力電流により駆動され、上記ホトカプラを構成するホトダイオードとを備えたスイッチング電源における上記誤差増幅回路として用いられるものであることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3の半導体装置。
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