JP3554009B2 - 微細パターン形成用マスク板およびその製造方法 - Google Patents

微細パターン形成用マスク板およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は微細パターン形成用マスク板およびその製造方法、特に、製造工程途中の半導体装置を構成する材料層について、その一部を除去することによって所定の微細パターンを形成するパターニング工程に用いるマスク板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的な半導体装置は、半導体基板上に複数の層をそれぞれ様々なパターンで積層させた構造をもつ。このため、半導体装置の製造工程では、半導体基板上への層の形成と、形成した層に対するパターニングとが繰り返し行われる。従来用いられている最も一般的なパターニング方法は、フォトリソグラフィ法である。この方法では、パターニング対象となる層の上にレジスト層を形成し、このレジスト層上に所定のパターンが描かれたマスクを載せた状態で露光し、レジスト層を現像して露光部分または非露光部分を除去し、残ったレジスト層を保護膜として用い、パターニング対象層のエッチングが行われる。
【0003】
上述したフォトリソグラフィ法では、対象となる1つの層をパターニングするために、▲1▼レジスト層の形成、▲2▼マスクを用いた露光、▲3▼レジスト層の現像、▲4▼エッチング、▲5▼レジスト層の除去、という5つの段階が必要になる。一般に、1つの半導体装置を製造するためには、多数の層に対するパターニングが必要になるため、全製造プロセスを完了するまでには、非常に多数の段階からなる複雑な処理を行わねばならない。このため、製造に時間がかかりコストも高くなるという問題があった。
【0004】
このような問題を解決することができる新規なパターニング方法が、本願発明者によって提案され、特開平6−168919号公報および特開平7−45595号公報に開示されている。この新規なパターニング方法では、物理的な開口窓をもったマスク板によって、パターニング対象となる材料層の一部が物理的に覆われる。この状態で、所定の反応性ガスの雰囲気中におくか、あるいは所定の反応性イオンを照射すると、マスク板の開口窓から露出した材料層に対して化学反応が生じ、この露出部分についてのみ別な化合物が形成される。結局、マスク板で覆われていた部分はもとの材料層のままであるが、開口窓によって露出していた部分には別な化合物が形成されたことになる。そこで、もとの材料層と別な化合物との間でエッチングレートが異なる方法でエッチングを行えば、露出部分と非露出部分とのいずれか一方を選択的に除去することができ、所望のパターニングが可能になる。この方法によれば、(1)反応性ガスあるいはイオンによる化合物形成、(2)エッチング、という2段階の処理により、1つの層に対するパターニングが完了する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した新規なパターニング方法では、通常のフォトリソグラフィ法で用いるマスク板とは全く異なるマスク板を用いる必要がある。すなわち、通常のフォトリソグラフィ法で用いるマスク板は、所定のパターン領域について、選択的に光を透過させる機能があればよい。これに対して、上述した新規なパターニング法に用いるマスク板は、反応性ガス分子やイオンを物理的に通過させる機能が必要になる。このため、マスク板上には物理的な開口窓を形成する必要がある。
【0006】
このような物理的な開口窓が、いわゆる島状のパターンであれば、マスク板の構造は非常に単純である。すなわち、金属板などの一部分を島状に打ち抜き、点在する開口窓を形成すればよい。しかしながら、このような物理的な開口窓が、いわゆる枠状のパターンである場合には、通常のマスク板の構造では実現できない。すなわち、枠の部分が開口窓になるため、金属板からこの枠の部分を打ち抜いてしまうと、本来は残っていなければならない枠の内部の部分まで一緒に打ち抜かれてしまうことになる。
【0007】
そこで本発明は、いわゆる枠状パターンの開口窓を有するマスク板およびこのマスク板の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(1) 本願第1の発明は、製造工程途中の半導体装置を構成する材料層について、その一部を除去することによって所定の微細パターンを形成するパターニング工程に用いるマスク板において、
材料層のパターニング対象領域に応じた広さを有する主面をもったハニカム構造板と、
このハニカム構造板の主面上の、微細パターンに応じた所定の領域に設けられたマスク層と、
を設け、
ハニカム構造板には、少なくともマスク層によって覆われていない開口窓領域に、パターニング工程において材料層に対して化学反応を生じさせる反応性粒子を厚み方向に通過させることが可能な多数の貫通孔を形成し、
マスク層には、反応性粒子を遮蔽する機能をもたせ、
多数の貫通孔は、ハニカム構造板を通過した反応性粒子による反応を、1つの開口窓領域内において均一に生じさせることができるように、直径200〜1000オングストロームの円柱状をなし、2.0×10 〜2.0×10 /mm 程度の密度で配されているようにしたものである。
【0010】
(2) 本願第2の発明は、上述の第1の発明に係るマスク板において、
ハニカム構造体を、アルミニウム板を陽極酸化することにより得られる、多数の貫通孔をもった酸化アルミニウム板により構成したものである。
【0011】
(3) 本願第3の発明は、上述のマスク板を製造する方法において、
第1の金属からなる第1の層の上面に、陽極酸化により多数の孔部が形成される性質をもった第2の金属からなる第2の層を形成する段階と、
第2の層に所定の酸化電圧を印加しながら、この第2の層の上面を陽極酸化法により所定の深さまで酸化することにより、第2の層の上層部側に酸化層を、下層部側に非酸化残存層を、それぞれ形成するとともに、酸化層に所定の深さをもった多数の微細な孔部を形成する段階と、
第1の層に所定の研磨電圧を印加しながら、孔部の底を電界研磨し、孔部が少なくとも酸化層を貫通する貫通孔になるようにする段階と、
第1の層および非酸化残存層を除去して、多数の微細な貫通孔が形成された酸化層を残す段階と、
によりハニカム構造体を形成するようにしたものである。
【0012】
(4) 本願第4の発明は、上述のマスク板を製造する方法において、
支持基板上に第1の金属からなる第1の層を形成する第1の段階と、
第1の層の上面に、陽極酸化により多数の孔部が形成される性質をもった第2の金属からなる第2の層を形成する第2の段階と、
第2の層に所定の酸化電圧を印加しながら、この第2の層の上面を陽極酸化法により所定の深さまで酸化し、第2の層の上層部側に酸化層を、下層部側に非酸化残存層を、それぞれ形成するとともに、酸化層に所定の深さをもった多数の微細な孔部を形成する第3の段階と、
酸化層の上面に、マスク層となるべき第3の層を形成する第4の段階と、
第3の層に対するパターニングを行い、所定の微細パターンに応じた領域のみをマスク層として残す第5の段階と、
第1の層に所定の研磨電圧を印加しながら、孔部の底を電界研磨し、孔部が少なくとも酸化層を貫通する貫通孔になるようにする第6の段階と、
支持基板、第1の層、および非酸化残存層の、少なくともマスク層によって覆われていない開口窓領域を除去して、多数の微細な貫通孔が形成された酸化層からなるハニカム構造体およびその上面に形成されたマスク層を残す第7の段階と、
を行うようにしたものである。
【0013】
(5) 本願第5の発明は、上述の第4の発明に係る製造方法において、
第1の金属としてクロムを、第2の金属としてアルミニウムを、第3の層となるべき材料としてクロムを、それぞれ用いたものである。
【0014】
(6) 本願第6の発明は、上述のマスク板を製造する方法において、
支持基板上に第1の金属からなる第1の層を形成する第1の段階と、
第1の層の上面に、陽極酸化により多数の孔部が形成される性質をもった第2の金属からなる第2の層を形成する第2の段階と、
酸化層の上面に、マスク層となるべき第3の層を形成する第3の段階と、
第3の層に対するパターニングを行い、所定の微細パターンに応じた領域のみをマスク層として残す第4の段階と、
第2の層に所定の酸化電圧を印加しながら、この第2の層の上面のうち、マスク層で覆われていない開口窓領域を陽極酸化法により所定の深さまで酸化し、第2の層の上層部側の開口窓領域に酸化層を、その他の部分に非酸化残存層を、それぞれ形成するとともに、酸化層に所定の深さをもった多数の微細な孔部を形成する第5の段階と、
第1の層に所定の研磨電圧を印加しながら、孔部の底を電界研磨し、孔部が少なくとも酸化層を貫通する貫通孔になるようにする第6の段階と、
支持基板、第1の層、および非酸化残存層の、少なくともマスク層によって覆われていない開口窓領域を除去して、多数の微細な貫通孔が形成された酸化層からなるハニカム構造体およびその上面に形成されたマスク層を残す第7の段階と、
を行うようにしたものである。
【0015】
(7) 本願第7の発明は、上述の第6の発明に係る製造方法において、
第1の金属としてクロムを、第2の金属としてアルミニウムを、第3の層となるべき材料としてタンタルを、それぞれ用いたものである。
【0016】
(8) 本願第8の発明は、上述の第4〜7の発明に係る製造方法において、
第7の段階で、支持基板、第1の層、および非酸化残存層のそれぞれ周囲部分を除去せずに残すようにし、この残った部分をマスク板の外枠として用いるようにしたものである。
【0017】
【作 用】
本発明に係るマスク板は、ハニカム構造板とその上に形成されたマスク層とによって構成される。ここで、ハニカム構造板には、その厚み方向に多数の微細な貫通孔が形成されており、反応性粒子を厚み方向に通過させることができる。このため、マスク層が形成された領域では、反応性粒子の通過は阻止され、マスク層が形成されていない領域では、反応性粒子が通過することになる。マスク層はハニカム構造板によって支持されるので、どのようなパターンのマスク層でも形成することが可能である。
【0018】
本発明に係るマスク板の製造方法では、上述したハニカム構造板が陽極酸化法によって作成される。すなわち、アルミニウムなどの金属板に対して陽極酸化を行うと、酸化を受けた面に多数の微細な孔部が形成される。この孔部の底を電界研磨すると、各孔部は貫通孔を形成することになる。こうして、上述したハニカム構造板を効率良く作成することが可能になる。
【0019】
【実施例】
以下、本発明を図示する実施例に基づいて説明する。
【0020】
<新規なパターニング方法>
本発明は、特開平6−168919号公報および特開平7−45595号公報に開示されている新規なパターニング方法に用いるのに適した微細パターン形成用マスク板に関するものである。そこで、まず、この新規なパターニング方法を簡単に説明しておく。
【0021】
ここでは、ガラス基板上にCrからなる金属配線層をパターニングするプロセスについて説明する。このプロセスは、特開平7−45595号公報に開示されている。まず、図1の断面図に示すように、ガラス基板10上にクロム(Cr)を堆積させ、Cr材料層20を形成する。Crを堆積させる方法としては、従来から用いられている一般的な成膜方法を用いればよい。たとえば、真空蒸着法、スパッタ法、CVD法、鍍金法などを用いることができる。
【0022】
続いて、このCr材料層の上方に、本発明に係るマスク板30を配置する。このマスク板30には、金属配線層に形成すべき所定のパターンに対応する形状の開口窓31が設けられている。開口窓31は貫通孔を形成しており、図の上下に反応性粒子が通り抜けられるようになっている。このマスク板30は、Cr材料層20の層面に対してほぼ平行に配置される。
【0023】
マスク板30の更に上方には、反応性粒子発生源40が置かれている。この反応性粒子発生源40は、反応性粒子を発生するとともに、これを平行な流束としてCr材料層20に向けて照射する機能を有する。この実施例では、反応性粒子として弗化物イオン(例えば、CF やSF )を用いており、反応性粒子発生源40としては、カウフマン型イオン銃を用いている。
【0024】
このような構成において、反応性粒子発生源40からCr材料層20に向かって、弗化物イオンを照射した場合を考える。弗化物イオンは、互いに平行なイオン流として照射されるようにする。すなわち、Cr材料層20の表面が二次元的に弗化物イオンの照射を受けることになる。また、イオン流の照射角度は、Cr材料層20の層面に対してほぼ垂直になるようにする。このようなイオン流照射を行うと、マスク板30の開口窓31に照射されたイオン流は、そのまま通過してCr材料層20の表面にまで到達するが、開口窓以外の部分に照射されたイオン流は、マスク板30に阻まれてCr材料層20まで到達することはできない。しかも、各イオン流はCr材料層20の表面に対してほぼ垂直な方向に入射するような直進性をもっているため、Cr材料層20の表面には、マスク板30のパターンが投影された状態になる。別言すれば、Cr材料層20のうち、マスク板30のパターンに対応する領域には弗化物イオンが衝突し、マスク板30の影になった領域には衝突は起こらないことになる。
【0025】
ところで、Cr材料層20の表面に弗化物イオンが衝突すると、クロムと弗素との化学反応により、弗素化合物膜21が形成される。なお、条件によっては、弗素によるコーティング膜が形成される場合もあるが、本明細書では、このような弗素コーティング膜も含めて弗素化合物膜21と呼ぶことにする。図2は、イオン流の照射を完了したときの状態を示す断面図であり、Cr材料層20の表面に弗素化合物膜21が形成された状態が明瞭に示されている。ここで、弗素化合物膜21は、マスク板30の開口部31に対応する領域にだけ形成されており、マスク板30のパターンと同じパターンがCr材料層20上に形成されたことになる。
【0026】
さて、図2に示すように、弗素化合物膜21が所定のパターンで形成されたら、これに対して選択的なエッチングを行う。すなわち、Cr材料層20と弗素化合物膜21との間で、エッチングレートの異なるエッチング方法を行うのである。たとえば、硝酸第2セリウムアンモン液を用いたエッチングを行えば、Cr材料層20に対するエッチング速度は、弗素化合物膜21に対するエッチング速度の10倍程度となり、エッチング速度の遅い弗素化合物膜21をマスクとして用い、Cr材料層20のうち弗素化合物膜21が形成されていない部分のみをエッチング除去することが可能である。こうして、図3に示すように、Cr材料層20のうち、Crパターニング層22だけがエッチング除去されずに残ることになり、このCrパターニング層22が目的の金属配線層となる。なお、別なエッチング方法として、CClを用いたドライエッチングを行っても、同程度のエッチング選択比が得られる。
【0027】
<本発明に係るマスク板>
本発明は、上述した新規なパターニング方法に用いるマスク板に関するものである。このマスク板には、所定のパターンをもった物理的な開口窓が形成されているが、この開口窓の性質によって、マスク板を2とおりのタイプに分けることができる。図4は、第1のタイプのマスク板50の平面図であり、このタイプのマスク板50は、枠状部51と開口窓52によって構成されている。ここで、開口窓52は、いわゆる「島状の開口窓」であり、マスク板50上において島状に点在する。このような第1のタイプのマスク板50は、1枚の金属板に開口窓52を形成することによって容易に作成することができ、開口窓52を形成しても何ら支障は生じない。
【0028】
一方、図5は、第2のタイプのマスク板60の平面図であり、このタイプのマスク板60は、枠状部61と開口窓62と島状部63とによって構成されている。ここで、開口窓62は、いわゆる「枠状の開口窓」であり、この枠状の開口窓62の内部には、島状部63が存在する。このような第2のタイプのマスク板60は、上述の第1のタイプのマスク板50と同様の構造によって実現することはできない。1枚の金属板に開口窓62を形成すると、この開口窓62は物理的な開口窓であるため、島状部63は枠状部61から分離されてしまうことになる。すなわち、1枚の金属板によって、この第2のタイプのマスク板60を実現することはできない。
【0029】
この点が、この新規なパターニング方法に用いるマスク板が、従来のフォトリソグラフィ法に用いるフォトマスクと根本的に異なる点である。フォトマスクであれば、1枚のフィルム上において、枠状部61および島状部63が遮光性をもち、開口部62が透光性をもつようなモノクロ画像を形成させておくだけでよいが、この新規なパターニング方法で用いるマスク板は、反応性粒子が通過する物理的な開口窓を形成する必要があるのである。
【0030】
本発明では、図6に示すような構造により、図5に示すような枠状の開口窓をもったマスク板を実現させている。この図6に示すマスク板70は、外枠71と、ハニカム構造板72と、マスク層73,74と、開口窓75と、によって構成されている。図7は、このマスク板70の縦断面図である。ハニカム構造板72は、パターニング対象領域に応じた広さを有する主面をもった矩形の板状部材であり、外枠71は、ハニカム構造板72の下面に、その外周部分を取り巻くように接合されている。また、ハニカム構造板72の上面には、所定のパターン領域にマスク層73,74が形成されている。ここで、マスク層73は、図5に示すパターンの島状部63に対応し、マスク層74は、図5に示すパターンの枠状部61に対応する。また、いずれのマスク層も形成されていない領域が開口窓75となり、この開口窓75は、図5に示すパターンの開口窓62に対応する。
【0031】
ここで重要な点は、ハニカム構造板72の少なくとも開口窓75の領域には、前述した新規なパターニング工程において、材料層20に対して化学反応を生じさせる反応性粒子(前述の例では弗化物イオン)を厚み方向に通過させることが可能な多数の貫通孔が形成されている点である。これに対し、マスク層73,74は、この反応性粒子を遮蔽する機能を有する。結局、このマスク板70の上方から、反応性粒子を照射すると、図7の断面図に一点鎖線で示すように、マスク層73,74が形成された領域については、反応性粒子は通過を阻止されるが、開口窓75の領域については、ハニカム構造板72に形成された多数の微細な貫通孔を通って反応性粒子が図の下方へと通過することになる。こうして、このマスク板70は、図5に示すような平面パターンをもったマスク板60と同等の機能をもつことになる。しかも、島状のマスク層73と枠状のマスク層74とは、いずれもハニカム構造板72上に固着されているため、互いに分離することなく1枚のマスク板としての一体構造を有する。
【0032】
図8は、ハニカム構造板72の詳細な構造説明図である。ここに示す例では、厚み数μmのハニカム構造板72に、直径200〜1000オングストロームの円柱状の貫通孔72hが、2.0×10〜2.0×10/mm程度の密度で多数配置されている。本発明のマスク板に用いられるハニカム構造板72には、このように、径が200〜1000オングストローム程度の微細な構造をもった貫通孔72hが、2.0×10〜2.0×10/mm程度の高密度で多数配置されている必要がある。これは、このハニカム構造板72を通過した反応性粒子による反応を、1つの開口窓領域内において均一に生じさせるためである。たとえば、図5に示すような平面パターンをもったマスク板の場合、開口窓62の領域について、反応性粒子がハニカム構造板72を通過して、パターニング対象となる材料層に衝突することになるが、この反応性粒子の衝突を、開口窓62の領域内において、均一にさせるのに十分微細な構造をもった貫通孔72hが、均一にさせるのに十分な密度で配置されている必要がある。
【0033】
このように、多数の微細な貫通孔72hをもったハニカム構造板72は、アルミニウム板に対して陽極酸化を行うことにより、容易に得ることができる。たとえば、図9に示すような断面をもったアルミニウム板80を用意し、この上面に対して陽極酸化を行うと、図10に示すように、アルミニウム板80の上層部分は酸化を受け、酸化アルミニウムとなり、下層部分はもとのアルミニウムのままの状態となる。たとえば、アルミニウム板80の下面を別な保護層で覆っておき、露出した上面だけが酸化を受ける状態にしておき、このアルミニウム板80を、図11に示すように、白金板などから構成される対極83とともに陽極酸化液の中に浸す。そして、対極83となる白金板に対して、アルミニウム板80に正の酸化電圧を印加すると、アルミニウム板80の露出面から深部へ向かって徐々に酸化が行われることになる。これが陽極酸化である。酸化が進行する深さは、印加する電圧値と時間によって制御することができる。
【0034】
ここで、このアルミニウムに対して陽極酸化を行うと、上層の酸化アルミニウムからなる酸化層が、ハニカム構造層82になることが知られている。すなわち、この酸化層には、直径200〜1000オングストローム程度の円柱状の孔部82hが、2.0×10〜2.0×10/mm程度の密度で多数形成されることが知られている(たとえば、Corrosion Science Vol.18,p481,1978,G.E.Thompson etalに報告がある)。まだ、この状態では、孔部82hは貫通孔にはなっていない。そこで、この孔部82hの底を電界研磨して更に掘り下げ、下層部分の非酸化残存層81を除去すれば、貫通孔を有するハニカム構造層82を得ることができ、これを本発明に係るマスク板におけるハニカム構造板72として利用することができる。このような原理を利用して、本発明に係るマスク板を製造する方法を以下に詳述する。
【0035】
<本発明に係るマスク板の製造方法:実施例1>
ここでは、図6に示すような構造をもったマスク板70を製造する方法の一実施例を、断面図を示しながら各段階に分けて説明する。
【0036】
第1の段階
まず、図12に示すように、支持基板100の上面に、第1の金属層110を形成する。ここで、支持基板100は、その外周部分が最終的に外枠71を形成することになる基板であり、この実施例では、シリコン(Si)により支持基板100を構成している。また、第1の金属層110は、後述する第6の段階における電界研磨を行う際の電界研磨用電極膜として機能する金属層であり、この実施例では、クロム(Cr)により第1の金属層110を構成している。この実施例では、Siからなる支持基板100の上面に、スパッタ法などにより、Crからなる第1の金属層110を、0.2μm程度の厚みで成膜している。もちろん、支持基板100をSi以外の材料で構成してもよく、第1の金属層110をCr以外の材料で構成してもよい。また、第1の金属層110はどのような方法で成膜してもよい。
【0037】
第2の段階
次に、図13に示すように、第1の金属層110の上面に、第2の金属層120を形成する。ここで、第2の金属層120は、次の第3の段階における陽極酸化により、多数の孔部をもったハニカム構造層が形成される性質をもった金属である必要がある。この実施例では、このような性質をもった典型的な金属として、アルミニウムを用いているが、アルミニウムの合金を用いてもかまわない。この実施例では、やはりスパッタ法により、第2の金属層120を厚み3.2μm程度に成膜しているが、他の成膜法を用いてもかまわない。
【0038】
第3の段階
続いて、第2の金属層120の上面に対する陽極酸化を行う。すなわち、図13に示す基板全体を、図11に示すアルミニウム板80と同様に、白金板などの対極83とともに陽極酸化液84に浸し、第2の金属層120側が正、対極83側が負となるように所定の酸化電圧を印加しながら陽極酸化を行う。この実施例では、陽極酸化液84として、0.2Mリン酸(HPO)を用い、液温:25℃、電流密度:50A/mという条件で、30分間陽極酸化を行った。第2の金属層120の下面は第1の金属層110によって覆われているので、陽極酸化は、第2の金属層120の上面から深部へと徐々に進行することになる。酸化の進行する速度は、上述の条件によって自由に設定可能である。なお、陽極酸化液84としては、この他、硫酸、しゅう酸、クロム酸、ほう酸などを用いることもできる。
【0039】
前述したように、アルミニウム層に対して陽極酸化を行うと、形成される酸化アルミニウム層は、多数の微細な孔部を有するハニカム構造層となる。したがって、この陽極酸化の結果、アルミニウムからなる第2の金属層120は、図14に示すように、酸化アルミニウム(Al)からなるハニカム構造層121と、酸化を受けなかった非酸化残存層122と、に変わることになる。別言すれば、アルミニウムからなる第2の金属層120の上層部分だけが酸化されてハニカム構造層121になり、下層部分は酸化を受けずに非酸化残存層122として残ることになる。上述の陽極酸化条件では、厚み3.2μmの第2の金属層120に対する陽極酸化により、厚み4.5μmのハニカム構造層121と、厚み0.1μmの非酸化残存層122と、が得られた。なお、図において、このハニカム構造層121と非酸化残存層122との境界は、破線によって示すことにする。
【0040】
図14に示す断面図の部分拡大図を図15に示す。この部分拡大図では、ハニカム構造層121に形成された多数の微細な孔部121hが明瞭に示されている。なお、非酸化残存層122とハニカム構造層121との界面は、通常は平面にはならず、図に示すように、孔部121hに応じた波状面となる。また、孔部121hの底には、酸化アルミニウムの層が存在し、この段階では、孔部121hは貫通孔にはなっていない。
【0041】
第4の段階
次に、図16に示すように、ハニカム構造層121の上面に、第3の金属層130を形成する。ここで、第3の金属層130としては、「ハニカム構造層121(すなわち、第2の金属層120の酸化物)を溶解せずに、第3の金属層130を溶解することができるようなエッチング液が存在する」という条件を満たせば、どのような材料で構成してもかまわない。すなわち、第3の金属層130として、第1の金属層110と同じ金属を用いてもかまわない。この実施例では、第1の金属層110と同じCrによって、第3の金属層130を形成している。この場合、Crに対するエッチング液として、たとえば硝酸第2セリウムアンモンを用いれば、酸化アルミニウムからなるハニカム構造層121を溶解せずにCrからなる第3の金属層130のみをエッチング除去することができ、上述の条件が満たされている。この実施例では、Crからなる第3の金属層130を、スパッタ法により形成している。なお、この実施例では、第3の層130としてCrを用いているため、「第3の金属層130」と記述しているが、この層は金属に限定されるものではない。上述の条件を満たせば、金属だけでなく、窒化物や酸化物といった絶縁化合物を用いてもよい。
【0042】
図16に示す断面図の部分拡大図を図17に示す。この部分拡大図では、ハニカム構造層121に形成された多数の微細な孔部121hを埋めるようにして、第3の金属層130が形成されている状態が示されている。なお、この第3の金属層130は、最終的にマスク層として機能する層であるので、反応性粒子の通過を阻止することができるだけの十分な厚みをもたせておく必要がある。
【0043】
第5の段階
続いて、第3の金属層130に対するパターニングを行い、所定の微細パターンに応じた領域のみをマスク層として残し、それ以外の領域を開口窓とする。この実施例では、図18に示すように、開口窓131が形成され、島状のマスク層132と枠状のマスク層133とが残されている。ここで、開口窓131,島状のマスク層132,枠状のマスク層133は、それぞれ、図6に示すマスク板70における開口窓75,島状マスク層73,枠状マスク層74に対応するものである。
【0044】
第3の金属層130に対するこのようなパターニングは、一般的なフォトリソグラフィの手法を用いればよい。すなわち、第3の金属層130の上面に有機レジストを塗布し、図5に示すような平面パターンをもったフォトマスクを用いて露光を行い、有機レジストの層を現像し、第3の金属層130の露出面をエッチングにより除去すればよい。前述のように、エッチング液として、硝酸第2セリウムアンモンを用いれば、第3の金属層130の露出部分のみをエッチング除去することができ、その下のハニカム構造層121はエッチングの影響を受けない。
【0045】
図18に示す断面図の部分拡大図を図19に示す。この部分拡大図では、ハニカム構造層121に形成された多数の微細な孔部121hに埋まっていた第3の金属Crが、エッチング液に溶出し、開口窓131の領域では、孔部121hが空になっている状態が示されている。
【0046】
第6の段階
次に、ハニカム構造層121に形成された孔部121hの底の部分に対する電界研磨を行う。すなわち、図18に示す基板全体を、図11に示すアルミニウム板80と同様に、白金板などの対極83とともに電界研磨液に浸し、第1の金属層110側が正、対極83側が負となるように所定の研磨電圧を印加しながら電界研磨を行う。この電界研磨は、上述した第3の段階で行った陽極酸化の手法に似ているが、陽極酸化液の代わりに電界研磨液を用いる点が異なる。この実施例では、電界研磨液として、20%過塩素酸(HClO)/80%エタノール溶液を用い、液温:0℃(アイスバスによる冷却を行った)、電流密度:0.1A/cm(または、陽極酸化電圧以上の定電圧を印加)という条件で、1〜2秒間電界研磨を行った。このときの研磨速度は、10μm/分程度であり、第1の金属層110を電界研磨用電極膜として用いることにより、孔部121hの底の部分が研磨除去された。図19に示す研磨前の状態に対して、研磨後は、図20に示す状態が得られた。開口窓131の領域に存在する孔部121hの底の部分が溶出し、ハニカム構造層121に関しての貫通孔121thが形成された。なお、この貫通孔121thは、ハニカム構造層121を貫通しているという意味での「貫通孔」であり、図20に示すように、この時点では、まだ非酸化残存層122,第1の金属層110,支持基板100といった各層が下に存在するため、本来の「貫通孔」にはなっていない。
【0047】
第7の段階
続いて、支持基板100、第1の金属層110、非酸化残存層122の、中央部分を除去し、残った周囲部分を外枠71とする。まず、図21に示すように、支持基板100の中央部分をエッチングにより除去し、残った枠状部101によって囲まれた空洞部102が形成されるようにする。これは、基板上面の全面および基板下面の周囲部分を何らかの材料で覆って保護し、弗酸などのシリコンに対するエッチング溶液を図の下方から作用させればよい。なお、Crからなる第1の金属層110は、弗酸による腐食は受けないので、図21に示すように、形成される空洞部102は、第1の金属層110の下面までとなる。このように、第1の金属層110は、前述した第6の段階において、電界研磨用電極膜として機能するだけでなく、この第7の段階ではエッチングストッパとして機能することになる。
【0048】
次に、図22に示すように、第1の金属層110の中央部分をエッチングにより除去し、残った枠状部111によって囲まれた空洞部112が形成されるようにする。これは、硝酸第2セリウムアンモン溶液などのCrに対するエッチング液を図の下方から作用させればよい。図22に示す断面図の部分拡大図を図23に示す。
【0049】
更に、図24に示すように、非酸化残存層122の中央部分をエッチングにより除去し、残った枠状部123によって囲まれた空洞部124が形成されるようにする。これは、リン酸系のエッチング溶液などのAlに対するエッチング液を図の下方から作用させればよい。図24に示す断面図の部分拡大図を図25に示す。この図には、開口窓131の領域において、貫通孔121thが完全な貫通孔になっていることが明瞭に示されている。なお、非酸化残存層122に対するエッチングは、貫通孔121thを通して図の上方から行うことも可能である。したがって、非酸化残存層122に対するエッチングを、第1の金属層110に対するエッチングよりも先に行ってもよい。
【0050】
この図24あるいは図25に示す構造により、図6に示すマスク板70が実現されている。すなわち、ハニカム構造層121がハニカム構造板72に対応し、枠状部101,111,123が外枠71に対応し、マスク層132,133がマスク層73,74に対応し、開口窓131が開口窓75に対応している。
【0051】
<本発明に係るマスク板の製造方法:実施例2>
続いて、本発明に係るマスク板の製造方法の別な実施例を述べる。この方法は、上述した実施例1における第3の段階〜第5の段階の順序を若干入れ替えたものである。すなわち、実施例1では、
第3の段階 : 第2の金属層120の陽極酸化
第4の段階 : 第3の金属層130の形成
第5の段階 : 第3の金属層130のパターニング
という順序で処理を行っていたのに対し、この実施例2では、
第3の段階 : 第3の金属層130の形成
第4の段階 : 第3の金属層130のパターニング
第5の段階 : 第2の金属層120の陽極酸化
という順序で処理を行うことになる。以下、この方法を断面図を示しながら各段階に分けて説明する。
【0052】
第1の段階
前述した実施例1と全く同様である。すなわち、図12に示すように、支持基板100の上面に、第1の金属層110を形成する。
【0053】
第2の段階
前述した実施例1と全く同様である。すなわち、図13に示すように、第1の金属層110の上面に、第2の金属層120を形成する。
【0054】
第3の段階
実施例1では、ここで第2の金属層120に対する陽極酸化を行っていたが、この実施例2では、まだ陽極酸化は行わない。代わりに、図26に示すように、第2の金属層120の上面に、第3の金属層130を形成する。
【0055】
第4の段階
続いて、第3の金属層130に対するパターニングを行い、所定の微細パターンに応じた領域のみをマスク層として残し、それ以外の領域を開口窓とする。すなわち、図27に示すように、開口窓131が形成され、島状のマスク層132と枠状のマスク層133とが残されている。
【0056】
第5の段階
この状態になってから、第2の金属層120の上面に対する陽極酸化を行う。ただし、第2の金属層120の一部分はマスク層132,133によって覆われているので、酸化は開口窓131から露出した部分についてのみ行われる。この結果、図28に示すように、酸化アルミニウム(Al)からなるハニカム構造層121と、酸化を受けなかった非酸化残存層122と、が形成される。ハニカム構造層121は、開口窓131によって露出した部分にのみ形成されることになる。図28に示す断面図の部分拡大図を図29に示す。
【0057】
第6の段階
以下の各段階は、実施例1と同様である。すなわち、ハニカム構造層121に形成された孔部121hの底の部分に対する電界研磨を行えば、図29に示す研磨前の状態に対して、研磨後は、図30に示す状態が得られる。
【0058】
第7の段階
最後に、支持基板100、第1の金属層110、非酸化残存層122、の中央部分を除去し、残った周囲部分を外枠71とすれば、図31に示す状態が得られる。図31に示す断面図の部分拡大図を図32に示す。前述した実施例1によって作成されたマスク板とは、若干細かな部分での構造は異なるが、機能は全く同等である。なお、図30の状態から図32の状態へもってゆくためにエッチングを行う場合、非酸化残存層122がすべて除去されてしまうことがないような工夫が必要になる(すなわち、図32に示すように、マスク層132によって覆われている部分については、非酸化残存層122を残しておく必要がある)。ここでは、次のような3とおりのエッチング法を示しておく。
【0059】
▲1▼図30の状態において、まず、上方から非酸化残存層122に対するエッチングを行い、マスク層132で覆われていない領域を除去する。続いて、下方から支持基板100、第1の金属層110の順にエッチング除去すれば、図32の構造を得る。
【0060】
▲2▼図30の状態において、▲1▼と同様に、上方から、非酸化残存層122に対するエッチングを行った後、同じく上方から第1の金属層110に対するエッチングを行い、いずれも、マスク層132で覆われていない領域を除去する。続いて、下方から支持基板100をエッチング除去する。この方法では、図32に示す構造とは若干異なる構造が得られる(図32の非酸化残存層122の下方に第1の金属層110の一部が残った構造になる)。
【0061】
▲3▼図30の状態において、下方から支持基板100に対するエッチングを行い、更に第1の金属層110に対するエッチングを行う。続いて、下方から非酸化残存層122に対するエッチングを行うが、図32に示す構造が得られた時点でエッチングを中止する。すなわち、アルミニウムに対して用いる腐蝕液のエッチングレートを考慮して、時間管理を行いながらエッチングする。
【0062】
上述の▲1▼〜▲3▼の方法の中では、方法▲3▼が最も好ましい(方法▲1▼では目づまりの弊害を避けられない)。この実施例では、図30の構造において、貫通孔121thの下方に位置する非酸化残存層122の厚みは0.1μm程度であるのに対し、マスク層132の下方に位置する非酸化残存層122の厚みは3.2μm程度であるので、方法▲3▼の時間管理によるエッチング方法は比較的容易に実施することが可能である。
【0063】
この実施例2では、特有のメリットが得られる。それは、前述した実施例1では、第3の金属層130のパターニングを行う際(第5の段階)、孔部121hに詰まった第3の金属が、エッチングにより除去されずに残る可能性がある。すなわち、拡大断面図で示せば、図17に示す状態から、第3の金属層130の一部をエッチング除去して、図19に示す状態を得る際に、開口窓131の領域に形成されている孔部121hの底の部分に第3の金属(Cr)が残り、完全に除去されずに目詰まりを起こす可能性がある。この実施例2では、そのような弊害を避けることができる。すなわち、第3の金属層130に対するパターニングを完了してから、陽極酸化を行い孔部121hを形成するため、孔部121hが目詰まりを起こすおそれはないのである。
【0064】
ただし、この実施例2には、次のようなデメリットもある。すなわち、図27に示す状態から陽極酸化を行い、図28に示す状態を得るため、第2の金属層120の露出面とともに、マスク層132,133の表面も一緒に陽極酸化を受けてしまうのである。このため、マスク層132,133として用いる材料(第3の層130として用いる材料)に加重条件が課されることになる。すなわち、全く酸化されない材料(たとえば、金、白金、窒化物、酸化物など:前述したように、第3の層は金属である必要はない)を用いるか、あるいは、酸に対する溶解度が高くなく安定に酸化される材料(たとえば、Ti,V,Zr,Nb,Mo,Sb,Te,Hf,Ta,W,Biなど)を用いる必要がある。したがって、前述した実施例1において用いたCrを、第3の金属層130として用いることは好ましくない。そこで、この実施例2では、第3の金属層130としてTaを用いている。
【0065】
以上、本発明を図示する実施例に基づいて説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、この他にも種々の態様で実施可能である。特に上述の実施例で述べた各材料は一例として掲げたものであり、同様の機能を果たす材料に適宜置き換えて用いることができるものである。
【0066】
【発明の効果】
以上のとおり本発明によれば、多数の微細な貫通孔が形成されたハニカム構造板とその上に形成されたマスク層とによってマスク板を形成するようにしたため、いわゆる枠状パターンの開口窓を有するマスク板を実現することができる。また、アルミニウムなどの金属板に対する陽極酸化により、ハニカム構造板を形成させるようにしたため、このようなマスク板を効率良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るマスク板を用いた新規なパターニング方法を説明する図である。
【図2】図1に示す方法によって、材料層上に化合物膜が形成された状態を示す断面図である。
【図3】図2に示す材料層に対してエッチングを行った状態を示す断面図である。
【図4】いわゆる島状の開口窓を有するマスク板の平面図である。
【図5】いわゆる枠状の開口窓を有するマスク板の平面図である。
【図6】本発明の一実施例に係るマスク板の斜視図である。
【図7】図6に示すマスク板の縦断面図である。
【図8】図6に示すマスク板のハニカム構造板72の構造を示す拡大図である。
【図9】ハニカム構造板72を作成するもとになるアルミニウム板の断面図である。
【図10】図9に示すアルミニウム板に対して陽極酸化を行った状態を示す断面図である。
【図11】陽極酸化の方法を示す概念図である。
【図12】本発明に係るマスク板の製造方法の第1の実施例における第1の段階の工程を示す断面図である。
【図13】本発明に係るマスク板の製造方法の第1の実施例における第2の段階の工程を示す断面図である。
【図14】本発明に係るマスク板の製造方法の第1の実施例における第3の段階の工程を示す断面図である。
【図15】図14に示す断面図の部分拡大図である。
【図16】本発明に係るマスク板の製造方法の第1の実施例における第4の段階の工程を示す断面図である。
【図17】図16に示す断面図の部分拡大図である。
【図18】本発明に係るマスク板の製造方法の第1の実施例における第5の段階の工程を示す断図である。
【図19】図18に示す断面図の部分拡大図である。
【図20】本発明に係るマスク板の製造方法の第1の実施例における第6の段階の工程を示す部分拡大断面図である。
【図21】本発明に係るマスク板の製造方法の第1の実施例における第7の段階の第1の工程を示す断面図である。
【図22】本発明に係るマスク板の製造方法の第1の実施例における第7の段階の第2の工程を示す断面図である。
【図23】図22に示す断面図の部分拡大図である。
【図24】本発明に係るマスク板の製造方法の第1の実施例における第7の段階の第3の工程を示す断面図である。
【図25】図24に示す断面図の部分拡大図である。
【図26】本発明に係るマスク板の製造方法の第2の実施例における第3の段階の工程を示す断面図である。
【図27】本発明に係るマスク板の製造方法の第2の実施例における第4の段階の工程を示す断面図である。
【図28】本発明に係るマスク板の製造方法の第2の実施例における第5の段階の工程を示す断図である。
【図29】図28に示す断面図の部分拡大図である。
【図30】本発明に係るマスク板の製造方法の第2の実施例における第6の段階の工程を示す部分拡大断面図である。
【図31】本発明に係るマスク板の製造方法の第2の実施例における第7の段階の工程を示す断面図である。
【図32】図31に示す断面図の部分拡大図である。
【符号の説明】
10…ガラス基板
20…Cr材料層
21…弗素化合物膜
22…Crパターニング層
30…マスク板
40…反応性粒子発生源(カウフマン型イオン銃)
50…島状の開口部を有するマスク板
51…枠状部
52…開口窓
60…枠状の開口部を有するマスク板
61…枠状部
62…開口窓
63…島状部
70…本発明に係るマスク板
71…外枠
72…ハニカム構造板
72h…貫通孔
73…島状のマスク層
74…枠状のマスク層
75…開口窓
80…アルミニウム板
81…非酸化残存層(アルミニウム)
82…ハニカム構造層(酸化アルミニウム)
82h…孔部
83…対極(白金板)
84…陽極酸化液(0.2Mリン酸:HPO
100…支持基板(Si)
102…空洞部
101…枠状部
110…第1の金属層(Cr)
111…枠状部
112…空洞部
120…第2の金属層(Al)
121…ハニカム構造層(Al
121h…孔部
121th…貫通孔
122…非酸化残存層(Al)
123…枠状部
124…空洞部
130…第3の金属層(CrまたはTa)
131…開口窓
132…島状のマスク層
133…枠状のマスク層

Claims (8)

  1. 製造工程途中の半導体装置を構成する材料層について、その一部を除去することによって所定の微細パターンを形成するパターニング工程に用いるマスク板であって、
    前記材料層のパターニング対象領域に応じた広さを有する主面をもったハニカム構造板と、
    このハニカム構造板の前記主面上の、前記微細パターンに応じた所定の領域に設けられたマスク層と、
    を備え、
    前記ハニカム構造板には、少なくとも前記マスク層によって覆われていない開口窓領域に、パターニング工程において前記材料層に対して化学反応を生じさせる反応性粒子を厚み方向に通過させることが可能な多数の貫通孔が形成されており、
    前記マスク層は、前記反応性粒子を遮蔽する機能を有し、
    前記多数の貫通孔は、前記ハニカム構造板を通過した反応性粒子による反応を、1つの開口窓領域内において均一に生じさせることができるように、直径200〜1000オングストロームの円柱状をなし、2.0×10 〜2.0×10 /mm 程度の密度で配されていることを特徴とする微細パターン形成用マスク板。
  2. 請求項に記載のマスク板において、
    ハニカム構造体を、アルミニウム板を陽極酸化することにより得られる、多数の貫通孔をもった酸化アルミニウム板により構成したことを特徴とする微細パターン形成用マスク板。
  3. 請求項1または2に記載のマスク板を製造する方法であって、
    第1の金属からなる第1の層の上面に、陽極酸化により多数の孔部が形成される性質をもった第2の金属からなる第2の層を形成する段階と、
    前記第2の層に所定の酸化電圧を印加しながら、この第2の層の上面を陽極酸化法により所定の深さまで酸化することにより、前記第2の層の上層部側に酸化層を、下層部側に非酸化残存層を、それぞれ形成するとともに、前記酸化層に所定の深さをもった多数の微細な孔部を形成する段階と、
    前記第1の層に所定の研磨電圧を印加しながら、前記孔部の底を電界研磨し、前記孔部が少なくとも前記酸化層を貫通する貫通孔になるようにする段階と、
    前記第1の層および前記非酸化残存層を除去して、多数の微細な貫通孔が形成された酸化層を残す段階と、
    によりハニカム構造体を形成することを特徴とする微細パターン形成用マスク板の製造方法。
  4. 請求項1または2に記載のマスク板を製造する方法であって、
    支持基板上に第1の金属からなる第1の層を形成する第1の段階と、
    前記第1の層の上面に、陽極酸化により多数の孔部が形成される性質をもった第2の金属からなる第2の層を形成する第2の段階と、
    前記第2の層に所定の酸化電圧を印加しながら、この第2の層の上面を陽極酸化法により所定の深さまで酸化し、前記第2の層の上層部側に酸化層を、下層部側に非酸化残存層を、それぞれ形成するとともに、前記酸化層に所定の深さをもった多数の微細な孔部を形成する第3の段階と、
    前記酸化層の上面に、マスク層となるべき第3の層を形成する第4の段階と、
    前記第3の層に対するパターニングを行い、所定の微細パターンに応じた領域のみをマスク層として残す第5の段階と、
    前記第1の層に所定の研磨電圧を印加しながら、前記孔部の底を電界研磨し、前記孔部が少なくとも前記酸化層を貫通する貫通孔になるようにする第6の段階と、
    前記支持基板、前記第1の層、および前記非酸化残存層の、少なくとも前記マスク層によって覆われていない開口窓領域を除去して、多数の微細な貫通孔が形成された酸化層からなるハニカム構造体およびその上面に形成されたマスク層を残す第7の段階と、
    を有することを特徴とする微細パターン形成用マスク板の製造方法。
  5. 請求項に記載の製造方法において、
    第1の金属としてクロムを、第2の金属としてアルミニウムを、第3の層となるべき材料としてクロムを、それぞれ用いたことを特徴とする微細パターン形成用マスク板の製造方法。
  6. 請求項1または2に記載のマスク板を製造する方法であって、
    支持基板上に第1の金属からなる第1の層を形成する第1の段階と、
    前記第1の層の上面に、陽極酸化により多数の孔部が形成される性質をもった第2の金属からなる第2の層を形成する第2の段階と、
    前記酸化層の上面に、マスク層となるべき第3の層を形成する第3の段階と、
    前記第3の層に対するパターニングを行い、所定の微細パターンに応じた領域のみをマスク層として残す第4の段階と、
    前記第2の層に所定の酸化電圧を印加しながら、この第2の層の上面のうち、前記マスク層で覆われていない開口窓領域を陽極酸化法により所定の深さまで酸化し、前記第2の層の上層部側の開口窓領域に酸化層を、その他の部分に非酸化残存層を、それぞれ形成するとともに、前記酸化層に所定の深さをもった多数の微細な孔部を形成する第5の段階と、
    前記第1の層に所定の研磨電圧を印加しながら、前記孔部の底を電界研磨し、前記孔部が少なくとも前記酸化層を貫通する貫通孔になるようにする第6の段階と、
    前記支持基板、前記第1の層、および前記非酸化残存層の、少なくとも前記マスク層によって覆われていない開口窓領域を除去して、多数の微細な貫通孔が形成された酸化層からなるハニカム構造体、ならびに前記非酸化残存層の前記マスク層によって覆われている領域およびその上面に形成されたマスク層を残す第7の段階と、
    を有することを特徴とする微細パターン形成用マスク板の製造方法。
  7. 請求項に記載の製造方法において、
    第1の金属としてクロムを、第2の金属としてアルミニウムを、第3の層となるべき材料としてタンタルを、それぞれ用いたことを特徴とする微細パターン形成用マスク板の製造方法。
  8. 請求項4〜7のいずれかに記載の製造方法において、
    第7の段階で、支持基板、第1の層、および非酸化残存層のそれぞれ周囲部分を除去せずに残すようにし、この残った部分をマスク板の外枠として用いるようにしたことを特徴とする微細パターン形成用マスク板の製造方法。
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