JP3553666B2 - 電源手段 - Google Patents
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Description
【0001】
【技 術 分 野】
本発明は、直流電圧供給手段(例:直流電源とオン、オフ可能なスイッチング手段の直列回路。)が直流電圧を出力したり、しなかったりの動作を交互にする等するだけで、負荷にプラス電圧とマイナス電圧を交互に供給することができる電源手段に関する。これを用いて容量性負荷の駆動回路や可制御スイッチング手段の駆動回路などを容易に構成することもできる。可制御スイッチング手段の駆動回路の場合、直流電圧供給手段または直流電源手段を1つしか使わずに可制御なスイッチング手段に順バイアス電圧あるいは順バイアス電流を供給したり、逆バイアス電圧あるいは逆バイアス電流を供給したり、することができる。
【0002】
さらにこの可制御スイッチング手段の駆動回路を利用すると、条件付きながら絶縁することができる各種の絶縁型スイッチング回路と点火配電回路および各種の非絶縁型スイッチング回路を構成することもできる。従って、本発明をスイッチング回路、電力変換回路、チャージ・ポンプ、圧電素子や液晶やエレクトロ・ルミネッサンス等の各種駆動回路、アナログ回路、ディジタル回路、論理回路、リレー、電子交換機、点火回路など広い分野に利用することができる。
尚、点火配電回路とは、例えば、内燃機関用点火装置などにおいて複数の点火コイル(点火用昇圧変圧器)それぞれの2次側に接続された点火用放電ギャップのうち、所定の点火用放電ギャップだけに高電圧を供給する回路のことである。
【0003】
【背 景 技 術】
直流電圧出力手段(例:直流電源とオン、オフ可能なスイッチング手段の直列回路、入射光の有無に応じて直流電圧を出力する太陽電池あるいは光起電力ダイオード・アレイ等。)が直流電圧を出力したり、しなかったりするのに応じて負荷にプラス電圧、マイナス電圧を供給する従来の電源手段を図2〜図5に示す。
参照:
a)米国特許4125814号 b)特開昭62−147953号
c)特開昭63−302217号の図18と図19の各Tr22
d)特願昭62−504785号(PCT/JP87/00612号、
WO 88/01805号)の図18〜図25
e)特開平1−117416号 f)特開平2−146265号の図20
g)実開平3−69936号 h)実開平3−80691号
i)特開平4−170813号 j)特開平5−226998号
k)特開平5−268037号 l)特開平5−304453号
【0004】
図2の回路ではスイッチ26がオンのとき、直流電源1がコンデンサ8(逆電圧供給用キャパシタンス手段)を介して負荷41に電圧を供給し、同時にコンデンサ8を充電する。その後、スイッチ26をターン・オフさせると、コンデンサ8が抵抗14(電流制限手段)を介して負荷41に先程と逆極性の電圧を供給する。図3の回路ではノーマリィ・オンのトランジスタ53、ツェナー・ダイオード54及び抵抗18(抵抗18の代わりに抵抗55でも良いし、抵抗55が有る場合ツェナー・ダイオード54は無くても良い。)が形成する可変電流制限手段が図2の回路の抵抗14の代わりに電流制限手段として使われており、その電流制限作用は、スイッチ26のオン、オフに応じて変化し、スイッチ26がオンの時よりオフの時の方が小さくなる。すなわち、スイッチ26がオンのとき負荷41の電流がツェナー・ダイオード54に電圧降下を生じ、トランジスタ53をゲート逆バイアスしてオフに保つ。一方、スイッチ26がオフのときコンデンサ8の放電電流が抵抗18を介してトランジスタ53をゲート順バイアスしてオンに保つ。図4、図5の各回路についても同様であるが、図5の回路ではスイッチ26がオンのとき負荷41の電流がツェナー・ダイオード54、59それぞれに電圧降下を生じ、各トランジスタをゲート逆バイアスしてオフに保つ。
【0005】
尚、負荷41が容量性負荷で、スイッチ26の電流制限作用(例:オン抵抗、接触抵抗、バイポーラ・トランジスタ又はIGBT等のコレクタ電流の飽和による電流制限作用。)が足りない場合スイッチ26の代わりに抵抗、抵抗手段、定電流手段または電流制限手段などとスイッチ26の直列回路を使えば良い。
また、スイッチ26の代わりにオン、オフ可能なスイッチング手段なら、半導体スイッチでも機械的なスイッチでもリレーでもオン・オフ機能可制御スイッチング手段でも何でも使うことができる。さらに、コンデンサ8等と負荷41の接続位置は図中で互いに入れ換わっても構わない。
それから、各回路では、直流電源1とスイッチ26の直列回路が直流電圧を出力したり、しなかったり、する前述の直流電圧出力手段を構成している。
【0006】
そして、図3、図5の各回路の様に可変電流制限手段の構成要素としてノーマリィ・オンのスイッチング手段を使う場合、スイッチ26がオンの間それをゲート逆バイアスしてオフに保つためには、ゲート逆バイアス用のツェナー・ダイオード54、59等の電圧降下手段に電流を流してゲート逆バイアス電圧を生じさせる必要が有るので、抵抗56、61、62等の電流バイパス手段を回路中に接続する必要が有る。あるいは、コンデンサ8の充電電流が各電圧降下手段に必要とするゲート逆バイアス電圧を生じさせることができなくなる前にスイッチ26をターン.オフさせる様にそのオン期間を制御する必要が有る。しかし、スイッチ26がオンの間そのノーマリィ・オンのスイッチング手段が不完全なオフで、もれドレイン電流が流れても構わない場合そうする必要は無い。この場合そのもれドレイン電流がその電圧降下手段に生じるゲート逆バイアス電圧とこのゲート逆バイアス電圧がそのスイッチング手段に作用して通過させるもれドレイン電流は一定の均衡状態に落ち付く。
【0007】
負荷41にトランジスタ2を用いた可制御スイッチング手段の駆動回路を図6に示す。ダイオード6、12が有る場合、この駆動回路は条件付きの1方向性絶縁型スイッチング回路になる。例えば、『ダイオード6の導通と、トランジスタ2の内蔵ダイオード又はダイオード12の導通が同時に起こらない限り』、つまり、『スイッチ端子t11、t12どちらの電位も直流電源1に対してその様な非導通条件を満足する電位にある限り』という条件付きながら、トランジスタ2,3の各オン、オフに関係無く、スイッチ端子t11、t12それぞれと直流電源1は絶縁される。ただし、各オン、オフ切換え時のもれ電流は無視している。
【0008】
図7の回路は図6の回路を2つ使って構成した3端子スイッチ機能を持つスイッチング回路で、どちらか1方のトランジスタ2の導通によりスイッチ端子t14はスイッチ端子t13かスイッチ端子t15に接続される。
尚、この回路の様に図上側のトランジスタ2に前述した様にダイオード6、12を接続して絶縁化することによって初めて両トランジスタ2がオフの時、ダイオード32が接続されている場合なら『スイッチ端子t14の電位がスイッチ端子t15の電位とスイッチ端子t13の電位の間にある限り』という条件付きで、また、ダイオード32が接続されていない場合なら『スイッチ端子t14の電位がスイッチ端子t15の電位より高い限り』という条件付きで、直流電源1等とスイッチ端子t14を絶縁し、スイッチ端子t14を開放することができる。
【0009】
図8の回路は図6の回路にPチャネル型トランジスタ15を組み合わせ等した、3端子スイッチ機能を持つスイッチング回路で、トランジスタ15の内蔵ダイオードが図6のダイオード6の役割を果たし、トランジスタ15にとっても駆動回路が構成されている。
【0010】
【第1の問題点】
しかしながら、『直流電圧供給手段からの供給電圧を一定に保つことができない』という問題点が有る。
これは、図2〜図5の各回路において、直流電圧供給手段(直流電源1とスイッチ26の直列回路)が負荷41に電圧を供給する時その電圧供給をコンデンサ8を介して行うために、コンデンサ8が充電されて来ると、その供給電圧が小さくなってしまう、からである。図6〜図8の各回路においても、2つのツェナー・ダイオード7と抵抗13による定電圧作用が無ければ、この問題点が有る。
【0011】
【第2の問題点】
また、『逆電圧供給用キャパシタンス手段(コンデンサ8)の充電を速やかに行うことができない』という問題点が有る。
図2〜図5の各回路で直流電圧供給手段(直流電源1とスイッチ26の直列回路)が負荷41を介してコンデンサ8を充電する時、その充電電流の上限は負荷41によって制限されてしまい、その充電を速やかに行うことができない。
コンデンサ8が放電時に負荷41に逆電圧を供給する際その逆電圧が急激に低下するのを防ぐには、負荷41とコンデンサ8の時定数を充分に大きくする必要が有る。そうすると今度は1番最初に直流電圧供給手段が負荷41を介してコンデンサ8を充電する際に速やかに充電することはできない。従って、その放電エネルギーはその充電エネルギーより大きくなり得ないから、負荷41による消費エネルギーが制限されることになる。また、コンデンサ8の電圧変動が大きくなるから、コンデンサ8は負荷41に安定した逆電圧を供給することができない。
【0012】
【第3の問題点】
さらに、『逆電圧供給用キャパシタンス手段(コンデンサ8)と負荷が互いに相手の印加電圧の大きさに影響を与えてしまう』という問題点が有る。
図2〜図8の各回路では、直流電圧供給手段(直流電源1とスイッチ26等の直列回路)が、負荷41に電圧を供給するとき、その電圧供給をコンデンサ8を介して行うので、負荷41の電圧はその供給電圧からコンデンサ8の充電電圧の分だけ差し引かれ、その分小さくなってしまう。コンデンサ8にしても最大でもその供給電圧からその負荷電圧分だけ差し引かれた電圧にしか充電されない。
逆の見方をすれば、必要な負荷電圧と充電電圧を確保しようとすれば、直流電圧供給手段の出力電圧はその両電圧の和になり、大きくなってしまう。
【0013】
【第4の問題点】
それから、『容量性負荷の場合、電流バイパス手段をその容量性負荷に並列接続しないと逆電圧を供給できることできない』という問題点が有る。
図6〜図8の各回路の様に容量性負荷(例:ゲート・ソース間静電容量、圧電素子、液晶、エレクトロ・ルミネッサンス等。)の場合、トランジスタ3等がオフの間コンデンサ8がその容量性負荷に逆電圧を供給するためには、トランジスタ3等がオンの間その容量性負荷の蓄積電荷以上の電荷がコンデンサ8に蓄積されている必要がある。両蓄積電荷が同じだと、トランジスタ3がターン・オフしたとき両蓄積電荷が相殺するだけで、コンデンサ8はその容量性負荷を電圧ゼロまでしか持って行くことができず、さらに逆向きに充電することはできない。
これを改善するためにはその容量性負荷に電流バイパス手段(例:図6の様に逆向きに直列接続された2つのツェナー・ダイオード7、抵抗など。)をその容量性負荷に並列接続して、トランジスタ3がオンの間コンデンサ8の蓄積電荷をその容量性負荷の蓄積電荷より多くすることであるが、トランジスタ3等がオンの間その電流バイパス手段でエネルギーが消費されてしまう。
【0014】
【第5の問題点】
そして、『直流電圧供給手段(直流電源1とスイッチ26等の直列回路)による電圧供給時、その供給電圧(直流電源1の電圧)が何らかの原因で一時的にでも逆電圧供給用キャパシタンス手段(コンデンサ8)の電圧より小さくなると、負荷に逆電圧が印加されてしまう』という問題点が有る。
例えば、図2の回路においてスイッチ26がオンである限り、抵抗14の両端電圧は常に直流電源1の電圧にクランプされる。ここで、その電源電圧がコンデンサ18の充電電圧より何らかの原因で一時的にでも小さくなると、その間コンデンサ8は抵抗14を介してその電圧差に相当する電圧を負荷41に供給してしまう。この事は図3〜図8の各回路についても言える。この現象をトランジスタやサイリスタ等の可制御スイッチング手段の駆動に当てはめると、「逆バイアス駆動されてオフ制御されている筈のスイッチング手段」が一時的に順バイアス駆動されてオン制御されるということである。あるいは、「オン制御されている筈のスイッチング手段」が一時的にオフ制御されるということである。
【0015】
【発 明 の 目 的】
そこで、本発明は下記効果を持つ電源手段を提供することを目的としている。a) 直流電圧供給手段(もしくは直流電源手段)からの供給電圧を一定に保つことができる。
b) 逆電圧供給用キャパシタンス手段の充電を速やかに行うことができる。
c) 逆電圧供給用キャパシタンス手段と負荷が互いに相手の印加電圧に影響を与えることが無い。
d) 容量性負荷の場合、電流バイパス手段をその容量性負荷に並列接続しなくてもその容量性負荷に逆電圧を供給することができる。
e) 直流電圧供給手段(もしくは直流電源手段)による電圧供給時、その供給電圧が何らかの原因で一時的にでも逆電圧供給用キャパシタンス手段の電圧より小さくなっても、負荷に逆電圧が印加されることが無い。
尚、この電源手段を利用すると、容量性負荷の駆動回路、可制御スイッチング手段の駆動回路を構成することができる。さらにこの可制御スイッチング手段の駆動回路を使った各種絶縁型スイッチング回路、点火配電回路、各種非絶縁型スイッチング回路、絶縁電源手段または「この絶縁電源手段を使った絶縁型スイッチング回路」を構成することができる。
【0016】
【発明の開示】
即ち、本発明は請求項1、2又は3に記載の電源手段である。本発明が請求項1記載の電源手段である場合、その直流電圧が出力される時その負荷手段とそのキャパシタンス手段どちらもその直流電圧出力手段と『並列的に』接続される一方、その直流電圧が出力されない時その負荷手段とそのキャパシタンス手段が『逆並列的に』接続される。つまり、その直流電圧が出力されるか、されないかにより両者の並列的接続の方向が互いに逆向きに切り換わる。その切換えをその第1、第2の非可制御スイッチング手段とその第1、第2の電流制限手段が行う。
なお、前記第1、第2の非可制御スイッチング手段の少なくとも一方を「前記直流電圧が出力されるときオン駆動される1方向性の可制御スイッチング手段」で置き換えることができる。それが請求項2記載の電源手段である。
【0017】
このことによって、その直流電圧出力手段は前記負荷手段に直流電圧を出力しているとき同時に前記キャパシタンス手段を充電する。一方、前記直流電圧出力手段が直流電圧を出力していないとき、前記キャパシタンス手段と前記負荷手段の並列的接続が逆向きに切り換わるので、前記キャパシタンス手段はその直流電圧と逆向きの電圧をその両電流制限手段を介して前記負荷手段に供給する。
その結果、前記直流電圧出力手段を1つしか使わなくてもそれが直流電圧を出力したり、しなかったりするのに応じて前記負荷手段にプラス電圧を供給したり、マイナス電圧を供給したりすることができる。
尚、第3の非可制御スイッチング手段を前記負荷手段に接続する等してその直流電圧が前記負荷手段に印加されない様に阻止する場合、前記直流電圧出力手段はその直流電圧と逆極性の電圧だけを前記負荷手段に供給できる。
【0018】
しかも、前記直流電圧出力手段が直流電圧を出力しているとき、この直流電圧は前記キャパシタンス手段を介さずに前記負荷手段に供給されるので、『前記直流電圧出力手段からの供給電圧を一定に保つことができる。』 (第1効果)
【0019】
また、その直流電圧は前記負荷手段を介さずに前記キャパシタンス手段に供給され、その充電電流をその負荷電流と分離、独立して設定できるので、『逆電圧供給用の前記キャパシタンス手段の充電を速やかに行うことができる。』
(第2効果)
この効果は、前記キャパシタンス手段の放電電流より充電電流の方をいくらでも大きく設定できるので、その放電に伴う電圧低下を小さくできることに結び付く。特に、その静電容量が大きい場合、その効果は顕著である。
【0020】
さらに、その直流電圧が出力されている時、両前記非可制御スイッチング手段の作用により前記負荷手段と前記キャパシタンス手段どちらも前記直流電圧出力手段と並列的に接続されるから、『逆電圧供給用の前記キャパシタンス手段と前記負荷手段が互いに相手の印加電圧の大きさに影響を与えることは無い。』
(第3効果)
ただし、請求項2記載の電源手段の場合、両前記非可制御スイッチング手段の片方又はそれぞれの作用を請求項2記載中の「その片方又はそれぞれと置き換えられた1つ又は2つの1方向性の可制御スイッチング手段」が代わりに行う。
【0021】
それから、前記負荷手段が容量性負荷である場合、前記キャパシタンス手段の充電はこの容量性負荷を介さずに行われるため、この容量性負荷が蓄積する電荷以上の電荷を前記キャパシタンス手段に蓄積できるので、『容量性負荷の場合、電流バイパス手段をその容量性負荷に並列接続しなくてもその容量性負荷に逆電圧を供給することができる。』 (第4効果)
【0022】
そして、前記直流電圧出力手段が前記負荷手段に直接電圧を供給しているとき、同時に前記直流電圧出力手段は常に前記負荷手段の両端電圧をその供給電圧にクランプしているので、『その供給の間に何らかの原因でその供給電圧が一時的にでも逆電圧供給用の前記キャパシタンス手段の電圧より小さくなっても、前記負荷手段に逆電圧が印加されることは無い。』 (第5効果)
【0023】
尚、前記直流電圧出力手段としては、直流電源とオン、オフ可能なスイッチング手段の直列回路、入射光の有無に応じて直流電圧を出力する太陽電池あるいは光起電力ダイオード・アレイ等が有る。
また、各前記電流制限手段は前記直流電圧が出力されている時その通流電流の上限を制限するものなら、抵抗手段、定電流手段、内部抵抗のあるインダクタンス手段、負性抵抗手段、あるいは、これらを組み合わせたもの等、何でも良い。さらに、非可制御スイッチング手段の例としてダイオード、PN接合、コレクタとベースを接続したバイポーラ・トランジスタ、アノードとカソード・ゲート又はアノード・ゲートとカソードを接続した逆阻止型サイリスタ等がある。
それから、前記直流電圧出力手段が直流電源とオン・オフ可能なスイッチング手段の直列回路によって構成される場合、このスイッチング手段はオン、オフ可能なスイッチング手段なら半導体スイッチでも機械的なスイッチでもリレーでもオン・オフ機能可制御スイッチング手段でも何でも良い。この場合、そのスイッチング手段のオン、オフを1回しかしなくても前記キャパシタンス手段は「その電源電圧と同程度の大きさの逆極性電圧」を出力できることになる。
【0024】
一方、本発明が請求項3記載の電源手段である場合、その直流電源手段とその第1の可制御スイッチング手段の直列回路がその負荷手段に対して第1の直流電圧出力手段として機能すると同時に、その直流電源手段とその第2の可制御スイッチング手段の直列回路がそのキャパシタンス手段に対して第2の直流電圧出力手段として機能する。このため、両前記可制御スイッチング手段がオンで、その直流電圧が出力されるとき、前記負荷手段と前記キャパシタンス手段どちらも前記直流電源手段と『並列的に』接続される一方、両前記可制御スイッチング手段がオフで、その直流電圧が出力されないとき、その負荷手段とそのキャパシタンス手段が『逆並列的に』接続される。つまり、両前記可制御スイッチング手段がオンかオフかにより両者の並列的接続の方向が互いに逆向きに切り換わる。
その切換えは前記第1、第2の可制御スイッチング手段、その開放スイッチング手段およびその第1、第2の電流制限手段によって行われる。
【0025】
このことによって、前記第1、第2の可制御スイッチング手段がオンのとき、前記直流電源手段は前記負荷手段に直流電圧を供給し、同時に前記キャパシタンス手段を充電する。一方、前記第1、第2の可制御スイッチング手段がオフのとき、前記キャパシタンス手段と前記負荷手段の並列的接続が逆向きに切り換わるので、前記キャパシタンス手段はその直流電圧と逆向きの電圧を前記第1、第2の電流制限手段を介して前記負荷手段に供給する。
その結果、前記直流電源手段を1つしか使わなくても前記第1、第2の可制御スイッチング手段がオン、オフするのに応じて前記負荷手段にプラス電圧を供給したり、マイナス電圧を供給したりすることができる。
【0026】
しかも、前記第1、第2の可制御スイッチング手段がオンのとき、前記直流電源手段が直流電圧を前記キャパシタンス手段を介さずに前記負荷手段に供給するので、『前記直流電源手段からの供給電圧を一定に保つことができる。』
(第1効果)
【0027】
また、その直流電圧は前記負荷手段を介さずに前記キャパシタンス手段に供給され、その充電電流をその負荷電流と分離、独立して設定できるので、『逆電圧供給用の前記キャパシタンス手段の充電を速やかに行うことができる。』
(第2効果)
この効果は、前記キャパシタンス手段の放電電流より充電電流の方をいくらでも大きく設定できるので、その放電に伴う電圧低下を小さくできることに結び付く。特に、その静電容量が大きい場合、その効果は顕著である。
【0028】
さらに、前記第1、第2の可制御スイッチング手段がオンのとき、前記負荷手段と前記キャパシタンス手段どちらも前記直流電源手段と並列的に接続されるから、『逆電圧供給用の前記キャパシタンス手段と前記負荷手段が互いに相手の印加電圧の大きさに影響を与えることは無い。』 (第3効果)
【0029】
それから、前記負荷手段が容量性負荷である場合、前記キャパシタンス手段の充電はこの容量性負荷を介さずに行われるため、この容量性負荷が蓄積する電荷以上の電荷を前記キャパシタンス手段に蓄積できるので、『容量性負荷の場合、電流バイパス手段をその容量性負荷に並列接続しなくてもその容量性負荷に逆電圧を供給することができる。』 (第4効果)
【0030】
そして、前記第1、第2の可制御スイッチング手段がオンで、前記直流電源手段が前記負荷手段に直接電圧を供給しているとき、同時に前記直流電源手段は常に前記負荷手段の両端電圧をその供給電圧にクランプしているので、『その供給の間に何らかの原因でその供給電圧が一時的にでも逆電圧供給用の前記キャパシタンス手段の電圧より小さくなっても、前記負荷手段に逆電圧が印加されることは無い。』 (第5効果)
【0031】
尚、各前記電流制限手段は前記第1、第2の可制御スイッチング手段がオンの時その通流電流の上限を制限するものなら、抵抗手段、定電流手段、内部抵抗のあるインダクタンス手段、負性抵抗手段、あるいは、これらを組み合わせたもの等、何でも良い。また、請求項4記載中の非可制御スイッチング手段の例としてダイオード、PN接合、コレクタとベースを接続したバイポーラ・トランジスタ、アノードとカソード・ゲート又はアノード・ゲートとカソードを接続した逆阻止型サイリスタ等が有る。さらに、前記第1、第2の可制御スイッチング手段はオン、オフ可能なスイッチング手段なら半導体スイッチでも機械的なスイッチでもリレーでもオン・オフ機能可制御スイッチング手段でも何でも良い。この場合、前記第1、第2の可制御スイッチング手段のオン、オフを1回しかしなくても前記キャパシタンス手段は「その電源電圧と同程度の大きさの逆極性電圧」を出力できることになる。
【0032】
【発明を実施するための最良の形態】
本発明をより詳細に説明するために、以下添付図面に従ってこれを説明する。図1の実施例は請求項1記載の電源手段に対応し、以下の通り図1の各構成要素が前述した各構成手段に相当する。
a)直流電源1とスイッチ26の直列回路が前述した直流電圧出力手段に。
b)コンデンサ8が前述したキャパシタンス手段に。
c)負荷41が前述した負荷手段に。
d)抵抗10が前述した第1の電流制限手段に。
e)抵抗11が前述した第2の電流制限手段に。
f)ダイオード4が前述した第1の非可制御スイッチング手段に。
g)ダイオード5が前述した第2の非可制御スイッチング手段に。
【0033】
その作用は次の通りである。スイッチ26がオンのとき、直流電源1がダイオード4、5を介してコンデンサ8を充電し、同時に負荷41に直流電圧を供給する。その後、スイッチ26がターン・オフすると、コンデンサ8が抵抗10、11を介して負荷41に先程と逆の電圧を供給する。
ところで、スイッチ26がオンのときコンデンサ8と負荷41が直流電源1に並列的に接続されるから、以下の効果が図1の実施例を含め、本発明に有る。
a)(直流電源1から)負荷41に供給される供給電圧は一定に保たれる。
b)負荷41を介さないのでコンデンサ8の充電は速やかに行われる。
c)コンデンサ8と負荷41は互いに相手の印加電圧に影響を与えない。
d)負荷41が容量性負荷の場合でも、負荷41に電流バイパス手段を並列接続しなくても、負荷41の蓄積電荷以上の電荷を蓄積できるコンデンサ8は負荷41に逆電圧を供給することができる。
e)何らかの原因でその電源電圧が一時的にでもコンデンサ8の電圧より小さくなっても、負荷41の両端電圧はその電源電圧にクランプされているので、負荷41は逆電圧を印加されることは全く無い。
【0034】
尚、負荷41が容量性負荷で、スイッチ26の電流制限作用(例:オン抵抗、接触抵抗、バイポーラ・トランジスタ又はIGBTのコレクタ電流の飽和による電流制限作用。)が足りない場合、スイッチ26の代わりに抵抗、定電流手段、抵抗手段または電流制限手段とスイッチ26の直列回路を用いても構わないし、又は、ダイオード4又は5の代わりに「抵抗、定電流手段、抵抗手段または電流制限手段」とダイオードの直列回路を用いても構わない。
また、抵抗10又は11の代わりに電流制限手段として、そのドレインとゲートを接続したノーマリィ・オフの絶縁ゲート型FET又はSIT、そのゲートとソースを接続したノーマリィ・オンのFET又はSIT、抵抗手段、定電流ダイオード、そのコレクタとベース間に抵抗または定電流ダイオードを接続したバイポーラ・トランジスタ、定電流手段、コイル又はインダクタンス手段と「スイッチ26のオン期間とオフ期間を制御するオン・オフ期間制御手段」の組合せ、インダクタンス手段と「抵抗、定電流手段または抵抗手段」の直列回路、負性抵抗手段、あるいは、これらのうち少なくともいずれか2つを組み合わせたものを使っても構わない。
さらに、スイッチ26の代わりにオン、オフ可能なスイッチング手段なら半導体スイッチでも機械的スイッチでもリレーでもオン・オフ機能可制御スイッチング手段でも何でも使うことができる。
【0035】
図9の実施例は、請求項1記載の電源手段に対応し、図1の実施例において抵抗10、11それぞれの代わりに電流制限手段としてノーマリィ・オンのトランジスタ53、ツェナー・ダイオード54及び抵抗18(代わりに抵抗55でも良い。)が形成する可変電流制限手段を1つずつ用いた電源手段である。尚、抵抗56は接続されていなくても構わない。この場合スイッチ26がオンの間コンデンサ8が完全に充電されて、その充電電流がツェナー・ダイオード54に充分なゲート逆バイアス電圧を生じできなくなる前にスイッチ26をターン・オフさせれば良い。あるいは、そうしなくてもトランジスタ53のもれドレイン電流がツェナー・ダイオード54にゲート逆バイアス電圧を生じるので大丈夫である。この時そのもれドレイン電流がツェナー・ダイオード54に生じる電圧降下(ゲート逆バイアス電圧)とこのゲート逆バイアス電圧がトランジスタ53に作用して通過させるもれドレイン電流は互いに影響し合い、一定の均衡状態に落ち付く。
【0036】
図10の実施例は、請求項1記載の電源手段に対応し、図1の実施例において抵抗10、11それぞれの代わりに電流制限手段としてノーマリィ・オフのトランジスタ57、58、ツェナー・ダイオード54、59及び抵抗18(抵抗18の代わりに抵抗56又は61でも良い。)が形成する可変電流制限手段を1つずつ用いた電源手段である。トランジスタ57、58とツェナー・ダイオード54又は59(あるいは抵抗55又は60)はサイリスタの疑似等価回路を構成し、ツェナー・ダイオード54(又は抵抗55)とツェナー・ダイオード59(又は抵抗60)がその疑似等価サイリスタのゲート逆バイアス用の各電圧降下手段で、抵抗18、56又は61はその疑似等価サイリスタのトリガー用のオン制御手段である。
【0037】
図11の実施例は、請求項1記載の電源手段に対応し、図1の実施例において抵抗10、11それぞれの代わりに電流制限手段としてノーマリィ・オンのトランジスタ63、64、ツェナー・ダイオード54、59及び抵抗18(抵抗18の代わりに抵抗55、56、60又は61でも良い。)が形成する可変電流制限手段を1つずつ用いた電源手段である。トランジスタ63、64がサイリスタの疑似等価回路を構成し、ツェナー・ダイオード54(又は抵抗55)とツェナー・ダイオード59(又は抵抗60)がその疑似等価サイリスタのゲート逆バイアス用の各電圧降下手段で、抵抗60、56、18、55又は61がその疑似等価サイリスタのトリガー用のオン制御手段である。
【0038】
図1、図9〜図11の各実施例において、負荷41に容量性負荷を使えば、これらの電源手段は容量性負荷の駆動回路に成る。容量性負荷には、例えば、圧電素子、液晶、エレクトロ・ルミネッサンス、電圧駆動型スイッチング手段(MOS・FET、IGBT)等が有る。
そして、負荷41に可制御スイッチング手段を使えば、これらの電源手段は、その可制御スイッチング手段に駆動用の順バイアス電圧または順バイアス電流を供給したり、駆動用の逆バイアス電圧または逆バイアス電流を供給したりする可制御スイッチング手段の駆動回路に成る。これらの様な可制御スイッチング手段の駆動回路、あるいは、これらを利用した1方向性絶縁型スイッチング回路、双方向性絶縁型スイッチング回路、3端子絶縁型スイッチング回路、3端子双方向性絶縁型スイッチング回路、非絶縁型のスイッチング回路、又は、非絶縁型の3端子スイッチング回路の各実施例を図19〜図44に示す。
【0039】
図12の実施例は、請求項1記載の電源手段に対応する可制御スイッチング手段の駆動回路で、ダイオード6、12が有れば図12の実施例は1方向性絶縁型スイッチング回路に成る。但し、コンデンサ9はトランジスタ2のゲート・ソース間静電容量で、前述した負荷手段である。図12の実施例の各構成要素は以下の通り前述した各構成手段に相当する。
a)直流電源1とトランジスタ3の直列回路が前述した直流電圧出力手段に。
b)トランジスタ2のゲート・ソース間静電容量が前述した負荷手段に。
c)ダイオード4が前述した第1の非可制御スイッチング手段に。
d)ダイオード5が前述した第2の非可制御スイッチング手段に。
e)抵抗10が前述した第1の電流制限手段に。
f)抵抗11が前述した第2の電流制限手段に。
g)コンデンサ8が前述したキャパシタンス手段に。
なお、トランジスタ2はその内蔵の逆並列ダイオードの存在により1方向だけ制御可能な1方向可制御2方向性スイッチング手段である。また、トランジスタ2とダイオード12の直列回路は1方向性スイッチング手段を構成する。
【0040】
その作用は次の通りである。トランジスタ3がオンのとき、直流電源1がダイオード4、5とトランジスタ3を介してコンデンサ8を充電し、同時に、(ダイオード6と)トランジスタ3を介してトランジスタ2をゲート逆バイアスする。その後トランジスタ3がターン・オフすると、コンデンサ8が抵抗10、11を介してコンデンサ9を先程と逆向きに充電してトランジスタ2をゲート順バイアスする。従って、コンデンサ8が電源コンデンサとして働き、直流電源1、トランジスタ3、ダイオード4、5及びコンデンサ8がもう1つ別の直流電源を構成すると考えることができるので、直流電源を1つしか使わなくてもトランジスタ2をゲート順バイアスしたり、ゲート逆バイアスしたり、することができる。
【0041】
その際、トランジスタ3がオンの時コンデンサ8、9が直流電源1に並列的に接続されるから、コンデンサ8の充電電圧はコンデンサ9の電圧(トランジスタ2のゲート逆バイアス電圧)に影響されることは無い。 (本発明の第3効果)また、トランジスタ2のオフ駆動中に何らかの原因によって一時的にでも直流電源1の電圧がコンデンサ8の電圧より小さくなっても、そのゲート・ソース間電圧はほぼその電源電圧にクランプされているので、トランジスタ2はゲート順バイアスされず、ターン・オンすることは全く無い。 (本発明の第5効果)さらに、トランジスタ3のオン期間中、直流電源1はコンデンサ8に充分な電荷を蓄積できるので、トランジスタ2をゲート順バイアスするために従来技術の様な電流バイパス手段を必要としない。 (本発明の第4効果)
【0042】
尚、トランジスタ3の電流制限作用(コレクタ電流の飽和)が足りない場合、そのベース電流を小さくしても良いし、又は、トランジスタ3の代わりに「抵抗、抵抗手段あるいは定電流手段」とトランジスタ3の直列回路を用いても良い。また、「駆動されるスイッチング手段」としてトランジスタ2の代わりに可制御なスイッチング手段なら、ノーマリィ・オン、オフに関係無く、自己ターン・オフ機能(=自己消弧機能)の有無に関係無く何でも使用できる。その場合その駆動信号の順逆バイアス電圧極性がトランジスタ2と同じなら、トランジスタ3がオフのとき、それはオンとなる。一方、PNP型トランジスタ、P型MOS・FET等の様にその駆動信号の順逆バイアス電圧極性がトランジスタ2と反対なら、そのオン、オフ動作は後述する図13のトランジスタ15の様に正反対になる。これらの様にその一部構成要素を入れ換えると。図12の実施例から新しい実施例(派生実施例)ができる。この事は他の実施例についても当てはまる。
【0043】
ところで、図12の実施例においてダイオード6が有る場合、後述する図38の実施例中の図上側トランジスタ2の様に直流電源1に対してそのソース電位が変化する使い方ができる。ダイオード6の接続位置は図19に示す接続位置の他にダイオード4のアノードと直流電源1の接続点と直流電源1の間でも良い。
そして、図12の実施例においてダイオード6、12が有る場合、この実施例は1方向性絶縁型スイッチング回路に成り、『変圧器や発光、受光ダイオード対などのアイソレーション手段を使わなくても、トランジスタ2とダイオード12を直列接続した1方向性の可制御スイッチを条件付きながら絶縁スイッチとして使うことができる』という効果が生じる。 (追加される効果)
【0044】
具体的に言えば、『スイッチ端子t1、t2どちらの電位も直流電源1のプラス電源端子電位より高い限り』すなわち『ダイオード4又は6と、ダイオード12又はトランジスタ2の内蔵ダイオードが同時にオンとならない限り』という条件付きながら、直流電源1と各スイッチ端子t1、t2は常に絶縁状態となる。ただし、各アノード・カソード間静電容量などの両主電極間静電容量や各スイッチング手段のオン、オフ切換え時のもれ電流などは無視している。
【0045】
その理由は次の通りである。トランジスタ3とダイオード4、6がオンのとき、トランジスタ2、その内蔵ダイオード及びダイオード12がオフとなるから、各スイッチ端子t1、t2と直流電源1は絶縁される。一方、トランジスタ3とダイオード4、6がオフで、トランジスタ2がオンのとき、直流電源1とトランジスタ2側の接続が切れるから、やはり各スイッチ端子t1、t2と直流電源1は絶縁される。従って、上記条件付きで直流電源1と各スイッチ端子t1、t2は常に絶縁状態となるので、各スイッチ端子t1、t2を直流電源1に対し電位不定の状態でこの1方向性絶縁型スイッチング回路を使用することができる。
【0046】
それから、図12の実施例においてダイオード6、12が有る場合、直流電源1の電位が安定していれば、もう1つ「変圧器や発光、受光ダイオード・ペアー等を使った絶縁スイッチには無い」効果、すなわち、「そのオフ時の両スイッチ端子t1・t2間のシールド機能」という効果も図12の実施例は持つ。
(追加される効果)
なぜなら、トランジスタ3がオンのとき、そのソースがダイオード6を介して直流電源1に直結されてそのソース電位が固定されるし、そのゲートもトランジスタ3を介して直流電源1に直結されてそのゲート電位が固定されるため、両スイッチ端子t1・t2間がシールドされる、からである。
その結果、トランジスタ2又はダイオード12のもれ電流などが両スイッチ端子t1・t2間を直接流れることは無く、直流電源1の方へ流れる。
【0047】
「後述する図31の実施例の様なダイオード・ブリッジ接続型の双方向性絶縁型スイッチング回路など」を除き、図12の実施例を含め「本発明を利用した同様の絶縁型スイッチング回路」を有線通信、通話の電子交換機等に使えば、上記効果は通信、通話の漏洩防止に役立つ。特に、その周波数が高くなるに連れて、使用する絶縁スイッチの両スイッチ端子間静電容量などが無視できなくなると、その効果の意義は大きい。
【0048】
図13の実施例は、図12の回路においてNMOSのトランジスタ2の代わりにPMOSのトランジスタ15を接続した可制御スイッチング手段の駆動回路である。このため、トランジスタ2、15の駆動信号の順逆バイアス電圧極性が反対だから、トランジスタ3のオン、オフとトランジスタ15のオン、オフは同じタイミングになる。この同じタイミング等のため、ダイオード6、12が有っても、この回路は前述の様に条件付きの絶縁スイッチとして使うことはできない。なぜなら、トランジスタ3、15がオンのとき、ダイオード4、6もオンであり、トランジスタ15はその内蔵ダイオードの作用により双方向に対して導通だから、スイッチ端子t20は直流電源1と導通状態にある、からである。
【0049】
そういう訳で、直流電源とオン・オフ可能スイッチング手段の直列回路が前述した直流電圧出力手段を構成する場合、本発明を用いた可制御スイッチング手段の駆動回路から1方向性絶縁型スイッチング回路または後述する種々の絶縁型スイッチング回路を構成するには、「前記オン・オフ可能スイッチング手段のオン、オフ」と「オン・オフ駆動されるスイッチング手段のオン、オフ」が逆である必要が有る。つまり、前記オン・オフ可能スイッチング手段がオンのとき前記直流電源がその「オン・オフ駆動されるスイッチング手段」を逆バイアス駆動する必要が有る。ところが、図13の回路ではトランジスタ3がオンのとき直流電源1がトランジスタ15をゲート順バイアスしてしまう。
【0050】
図14の実施例は、請求項1記載の電源手段に対応する「可制御スイッチング手段の駆動回路」又は「1方向性絶縁型スイッチング回路」である。図12の回路において前述した第2の電流制限手段として抵抗11の代わりにトランジスタ16、ダイオード17及び抵抗18を図14の様に接続した可変電流制限手段を用いた可制御スイッチング手段の駆動回路である。図12の回路では、トランジスタ3がオンのとき抵抗10、11が電流を消費するが、この消費を小さくするために各抵抗値を大きくすると、コンデンサ8がトランジスタ2をゲート順バイアスする際に流れるゲート順バイアス電流も小さくなり、そのゲート順バイアス電圧の立上りが鈍ってしまう、という問題点が有る。そこで、図14の実施例は、トランジスタ16等の使用によりその問題点を半分(図12の抵抗11によるエネルギー損失)改善することができる、という効果を持つ。
【0051】
具体的には、図14の回路においてトランジスタ3がオンのとき、コンデンサ8の充電電流がダイオード17を流れて電圧降下を生じ、トランジスタ16をベース逆バイアスするので、トランジスタ16はオフである。抵抗18の値を図12の抵抗11の値よりかなり大きくできるので、それによる電流消費を改善できる。一方、トランジスタ3がオフで、コンデンサ8がトランジスタ19をゲート順バイアスする時、抵抗18の電流がトランジスタ16をベース順バイアスするから、そのエミッタ電流はほぼ抵抗18の電流にその電流増幅率を掛けた値になる。その結果、見掛け上そのスイッチング手段の抵抗値は抵抗18の値をその電流増幅率で割った値になるから、抵抗18しか無い時に比べゲート順バイアス電流が大きくなって、そのゲート順バイアス電圧の立上りが鋭くなり改善される。
【0052】
尚、抵抗20が接続されていると、トランジスタ3のオン期間中にコンデンサ8の充電が完了しても、抵抗20の電流がダイオード17に電圧降下を生じ、トランジスタ16をしっかりとオフに保つ。この事は、後述する図16、図19、図21〜図24、図28、図31〜図36の各実施例についても同様に言える。ただし、図10〜図11の各回路中でオン制御手段として作用する各抵抗56、61も同じ作用をする。図29の回路についても言える。
【0053】
図15の実施例も、請求項1記載の電源手段に対応する「可制御スイッチング手段の駆動回路」あるいは「1方向性絶縁型スイッチング回路」である。図12の回路において前述した第1の電流制限手段として抵抗10の代わりにトランジスタ16、ダイオード17及び抵抗18を図15の様に接続した可変電流制限手段を用いた可制御スイッチング手段の駆動回路である。
【0054】
図15の実施例も図14の実施例と同様にトランジスタ16等を用いることによって図12の回路の問題点を半分(抵抗10によるエネルギー損失)改善することができる、という効果を持つ。但し、図15の回路では、トランジスタ21がオンのとき、トランジスタ19のゲート・エミッタ間静電容量の充電電流等がダイオード17を流れて電圧降下を生じ、トランジスタ16をベース逆バイアスする。尚、両ツェナー・ダイオード7が接続されていなくても、抵抗22が接続されていれば、トランジスタ21のオン期間中にトランジスタ19のゲート・エミッタ間静電容量の充電が完了しても、抵抗22の電流がダイオード17に電圧降下を生じ、トランジスタ16をしっかりとオフに保つ。
この事は、後述する図17、図18、図20、図22〜図24、図28〜図29、図31〜図36の各実施例についても同様に言える。
ただし、図15の実施例中の両ツェナー・ダイオード7又は抵抗22が果たす役割は、図6の従来回路中の両ツェナー・ダイオード7等が果たす役割と違う。前者の場合、トランジスタ16のターン・オフ時トランジスタ19のゲート・エミッタ間静電容量がスピード・アップ・コンデンサとして働くから、両ツェナー・ダイオード7又は抵抗22の通流電流は小さくても構わない。一方、後者の場合、コンデンサ8の蓄積エネルギーを多くするために両ツェナー・ダイオード7等は大きな電流をバイパスする必要が有るので、その通流電流は大きくなる。
【0055】
図16の実施例も請求項1記載の電源手段に対応する「可制御スイッチング手段の駆動回路」または「1方向性絶縁型スイッチング回路」である。この実施例では図14の回路においてトランジスタ16の代わりにトランジスタ23、16等が構成するサイリスタの等価回路を用いたので、抵抗18の値をさらに大きくでき、これによる電流消費をさらに低減できる、という効果を図16の実施例は持つ。この事は後述する図20、図22、図24、図28、図29、図31〜図35の各実施例についても同様である。抵抗18の代わりにオン制御手段として他の抵抗手段もしくは定電流手段などを使っても構わない。もちろん、その等価回路の代わりに本物のGTOサイリスタ又はSIサイリスタを使うこともできるが、その必要とするゲート逆バイアス電圧に応じ電圧降下の大きい電圧降下手段を使う必要が有る。
【0056】
図17の実施例も請求項1記載の電源手段に対応する「可制御スイッチング手段の駆動回路」あるいは「1方向性絶縁型スイッチング回路」である。図17の実施例でも、図17の回路において同様にトランジスタ16の代わりにトランジスタ23、16が構成するサイリスタの等価回路を用いたので、抵抗18の値をさらに大きくでき、抵抗18による電流消費をさらに低減できる、という効果を持つ。この事は、後述する図21、図23〜図24、図29、図32〜図35の各実施例についても同様に言える。抵抗18の代わりにオン制御手段として他の抵抗手段もしくは定電流手段を使っても構わない。もちろん、そのサイリスタ等価回路の代わりに本物のGTOサイリスタ、SIサイリスタまたは「後述する図48(a)〜(c)に示す各サイリスタ疑似等価回路」を使うこともできるが、その必要とするゲート(又はベース)逆バイアス電圧に応じて電圧降下の大きい電圧降下手段を使う必要が有る。
【0057】
図18の実施例は、図14の回路においてNPN型のトランジスタ16の代わりにPNP型のトランジスタ23を用い、ノーマリィ・オンの(ディプレッション・モードの)トランジスタ25をゲート逆バイアスする電流経路にダイオード17を含ませた可制御スイッチング手段(トランジスタ25)の駆動回路あるいは1方向性絶縁型スイッチング回路である。従って、ダイオード17に電圧降下を生じさせるのは、そのゲート・ソース間静電容量の充電電流などである。
【0058】
図19の実施例は、図15の回路において同様にNPN型のトランジスタ16の代わりにPNP型のトランジスタ23を用い、コンデンサ8を充電する電流経路にダイオード17を含ませた可制御スイッチング手段の駆動回路あるいは1方向性絶縁型スイッチング回路である。従って、ダイオード17に電圧降下を生じさせるのは、コンデンサ8の充電電流などである。
【0059】
図20の実施例は、図18の回路においてトランジスタ23の代わりにトランジスタ23、16等が構成するサイリスタの等価回路を用いた回路なので、抵抗18の値をより大きくして、抵抗18による電流消費をさらに低減できる、という効果を持つ。もちろん、その等価サイリスタの代わりに本物のGTOサイリスタ、SIサイリスタ又は後述する図49(a)〜(c)に示す各サイリスタ疑似等価回路を使うこともできるが、その必要とするゲート(又はベース)逆バイアス電圧に応じて電圧降下の大きい電圧降下手段を使う必要が有る。
【0060】
図21の実施例は、図19の回路においてトランジスタ23の代わりにトランジスタ23、16等が構成するサイリスタの等価回路を用いた回路なので、抵抗18の値をより大きくして、抵抗18による電流消費をさらに低減できる、という効果を持つ。もちろん、その等価サイリスタの代わりに本物のGTOサイリスタ、SIサイリスタ又は後述する図49(a)〜(c)に示す各サイリスタ疑似等価回路を使うこともできるが、その必要とするゲート(又はベース)逆バイアス電圧に応じて電圧降下の大きい電圧降下手段を使う必要が有る。
【0061】
図22の実施例は請求項1記載の電源手段に対応する「可制御スイッチング手段の駆動回路」あるいは「1方向性絶縁型スイッチング回路」である。図22の実施例ではトランジスタ16、23それぞれが各ダイオード17の順電圧によってベース逆バイアスされる様にしたので、トランジスタ23、16が構成するサイリスタの等価回路のターン・オフが図16、図20の各回路に比べて速くなり、そのオフの保持も安定する様になる、という効果が有る。
もちろん、その等価サイリスタの代わりにプラス・ゲート(=カソード・ゲート)とマイナス・ゲート(=アノード・ゲート)を持つ本物のGTOサイリスタ、SIサイリスタまたは後述する図50(a)〜(c)に示す各サイリスタ疑似等価回路を使うこともできる。その必要とする各ベース(又はゲート)逆バイアス電圧に応じて電圧降下の大きい電圧降下手段をそれぞれに使う必要が有る。
【0062】
図23の実施例も、請求項1記載の電源手段に対応する「可制御スイッチング手段の駆動回路」又は「1方向性絶縁型スイッチング回路」である。図23の実施例にもトランジスタ16、23それぞれが各ダイオード17の順電圧によってベース逆バイアスされる様にしたので、トランジスタ23、16が構成するサイリスタの等価回路のターン・オフが図17、図21の各回路に比べ速くなり、そのオフの保持も安定する様になる、という効果が有る。もちろん、その等価サイリスタの代わりにプラス・ゲートとマイナス・ゲートを持つ本物のGTOサイリスタ、SIサイリスタ又は後述する図50(a)〜(c)に示す各サイリスタ疑似等価回路を使うこともできる。その必要とする各ベース(又はゲート)逆バイアス電圧に応じて電圧降下の大きい電圧降下手段をそれぞれに使う必要が有る。
【0063】
図24の実施例も、請求項1記載の電源手段に対応する「可制御スイッチング手段の駆動回路」あるいは「1方向性絶縁型スイッチング回路」である。図31の実施例では図12の回路において前述した第1、第2の電流制限手段として抵抗10、11の代わりにトランジスタ16、23、2つのダイオード17及び抵抗18を図24の様に構成した可変電流制限手段を2つ用いているので、図12の回路の問題点(抵抗10、11によるエネルギー損失)を全部解決することができる、という効果が有る。この事は、図9〜図11、後述する図28〜図29、図31〜図37等の各実施例についても同様に言える。もちろん、各等価サイリスタの代わりにプラス・ゲートとマイナス・ゲートを持つGTOサイリスタ、SIサイリスタ又は後述する図50(a)〜(c)に示す各サイリスタ疑似等価回路を1つずつ使うこともできる。
【0064】
尚、図22〜図24等の各回路では、抵抗18がトランジスタ16、23の両ベース間に接続されているが、抵抗18の代わりに定電流手段あるいは他の抵抗手段を用いても良いし、図16、図17、図20、図21の各回路の様に一方のコレクタ・エミッタ間に抵抗18、他の抵抗手段あるいは定電流手段を接続しても良い。さらに、図10、図11の各実施例の様に他方のコレクタ・エミッタ間にも抵抗18又は定電流手段を接続しても良い。その定電流手段として、定電流ダイオード、コレクタ・ベース間に定電流ダイオードを接続したバイポーラ・トランジスタ等が有る。
【0065】
図25の実施例は、接合型FETのトランジスタ66とダイオード67どちらも無ければ1方向性絶縁型スイッチング回路であり、ダイオード67だけが有っても1方向性絶縁型スイッチング回路であり、トランジスタ66とダイオード67両方が有れば双方向性絶縁型スイッチング回路である。そして、前述した第1、第2の電流制限手段として定電流ダイオード68、69が使われている。
以上の様にダイオード(非可制御スイッチング手段)又はトランジスタ(可制御スイッチング手段)を追加接続することによって1方向性または双方向性の絶縁型スイッチング回路に発展させる事は、図12、図14〜図24の各実施例もしくはその派生実施例についても同様に言える。
【0066】
図26の実施例は双方向性絶縁型スイッチング回路である。図25の実施例が双方向性の場合、トランジスタ65、66の特性が揃っていないと、特に温度変化などの外的要因で両特性が大きくずれると、両ゲート順バイアス電流の分配がうまく行かず、スイッチ方向によってオン抵抗が極端にばらついてしまう、という欠点が有る。それに対して図26の実施例では各ゲート順バイアス電流の供給が独立しているので、そういう欠点は無い。しかも、駆動信号の順バイアス電圧が異なる2つのスイッチング手段を使う場合にも対応することができる。
【0067】
尚、図12、図14〜図24の1方向性絶縁型スイッチング回路の実施例もしくはその派生実施例のうち、バイアス電圧極性が同じである1方向性絶縁型スイッチング回路のいずれか2つ(同じ2つでも異なる2つでも構わない。)を逆並列接続し、「両方の駆動される可制御スイッチング手段の駆動信号入力用にその制御端子と対を成す主端子」同士を接続すれば、図34の実施例と同様な双方向性絶縁型スイッチング回路を構成することができる。
【0068】
図27の実施例は、双方向性絶縁型スイッチング回路で、図26の実施例において2つのコンデンサを共通化して1つにまとめた上に、2つのダイオードを使って2つのオン・オフ・スイッチを共通化して1つにまとめて図26の実施例を簡単化した様な回路である。ベース順バイアス電圧とベース順バイアス電流に関する前述した効果については図26の実施例の場合と変わらない。
【0069】
図28の実施例は、双方向性絶縁型スイッチング回路で、図12の回路においてダイオード6、12を設け、ダイオード12の代わりに別のトランジスタ2の内蔵ダイオードを使い、今まで述べて来たいくつかの変更と改良を施した回路である。尚、ダイオード内蔵の両トランジスタ2はどちらも1方向だけ可制御な1方向可制御双方向性スイッチである。この回路にも、図12の回路の説明で述べた条件付きながら直流電源1と各スイッチ端子t3、t4の間が常に絶縁される、という効果が有る。また、この回路には、直流電源1の電位が安定していれば、スイッチ26がオンのとき、両スイッチ端子t3、t4間をシールドするシールド効果も有る。なぜなら、両ソースがダイオード6、17を介して直流電源1に直結される。からである。このため、もれ電流などが一方のスイッチ端子から他方のスイッチ端子へ流れようとしても、それは直流電源1の方に流れてしまい、もれ電流が両スイッチ端子間を直接流れることが阻止される。
さらに、後述する図34の実施例の様にこの回路2つをスイッチ端子のところで接続すれば、3端子双方向性絶縁型スイッチング回路を構成することができる。その際、両直流電源1を別々にしても良いし、共通化して1つにまとめても良い。又は、2つのスイッチ26を1つの3端子スイッチで置き換えても良い。
【0070】
図29の実施例は、双方向性絶縁型スイッチング回路で、図28の実施例を変形したものである。4端子のN・MOSトランジスタが、図28の回路中にある2つの3端子NMOSトランジスタ2のゲート同士、ソース同士をそれぞれ接続した双方向スイッチと同じ役割を果たす。
( 参考:特開昭60−170322号の第1図と第2図 )図28の実施例の様な他の双方向性絶縁型スイッチング回路もこの様に4端子型のMOS・FETまたは絶縁ゲート型FETで置き換えることができる。
【0071】
図30の実施例は、双方向性絶縁型スイッチング回路で、ゲート順バイアス電圧の異なるトランジスタ65、25(接合型FETとMOS・FET)を組み合わせる際にツェナー・ダイオード70で両ゲート順バイアス電圧をマッチングしたものである。ツェナー・ダイオード70の代わりに電圧降下手段として抵抗や抵抗手段を使うことができる。
【0072】
図31の実施例は、双方向性絶縁型スイッチング回路で、前述と同様に条件付きながら『直流電源1と各スイッチ端子t5、t6の間が常に絶縁される』という効果を持つ。ただし、ダイオード・ブリッジ接続型整流回路が有るため、残念ながらシールド機能は無い。
この実施例を2つを接続すれば後述する図35の実施例の様に3端子双方向性絶縁型スイッチング回路を構成することができる。さらに、前述した図12、図14〜図24から発展させた双方向性絶縁型スイッチング回路(派生実施例)、図25〜図31の双方向性絶縁型スイッチング回路のいずれか2つを組み合わせて同様に3端子双方向性絶縁型スイッチング回路を構成することができる。
【0073】
図32の実施例は3端子絶縁型スイッチング回路である。2つの1方向性絶縁型スイッチング回路が同一方向に直列接続されているが、両者を内向きに又は外向きに直列接続した3端子絶縁型スイッチング回路もまた可能である。また、両者を逆並列接続すれば、図32の実施例は双方向性絶縁型スイッチング回路になる。本発明者は、トランジスタ27、28それぞれを電圧降下手段として使っているが、各バックゲート・ソース間を各コンデンサ8の電圧で逆バイアスすることにより各内蔵ダイオードの作用を無くしている。各トランジスタ16、23のエミッタ接合の順電圧が各内蔵ダイオード順電圧より小さければ、各バックゲートを各ソースに直接接続しても構わない。(参照:特開昭60−27227号)
【0074】
尚、図32の実施例の場合、ゲート・エミッタ間のバイアス電圧極性が同じである1方向性絶縁型スイッチング回路を2つ接続したので、その絶縁条件は『各スイッチ端子の電位をその電源電位より高く保つ』ことである。一方、ゲート・エミッタ間のバイアス電圧極性が逆である1方向性絶縁型スイッチング回路を2つ接続した場合、その絶縁条件は『各スイッチ端子の電位をそのバイアス電圧極性がプラスである方の電源電位より高く保ち、しかも、そのバイアス電圧極性がマイナスである方の電源電位より低く保つ』ことである。この様な絶縁条件は他の種々の絶縁型スイッチング回路を複数個接続した場合にも当てはまる。
【0075】
図33の実施例は3端子絶縁型スイッチング回路で、請求項1記載の電源手段に対応する。2つの1方向性絶縁型スイッチング回路が内向きに直列接続されているが、両者を同じ向きに又は外向きに直列接続した3端子絶縁型スイッチング回路も可能である。また、両者を逆並列接続すれば、図33の実施例は双方向性絶縁型スイッチング回路になる。
【0076】
図34の実施例は、3端子双方向性絶縁型スイッチング回路で、双方向性絶縁型スイッチング回路を2つ直列接続したものである。各トランジスタ16、23に接続される電圧降下手段としてダイオードと抵抗の直列回路が使われているが、ダイオードと抵抗の並列回路を使う方法も有る。
【0077】
図35の実施例も3端子双方向性絶縁型スイッチング回路で、双方向性絶縁型スイッチング回路を2つ直列接続したものである。各バイポーラ・トランジスタに接続される電圧降下手段としてダイオードと抵抗の直列回路または並列回路が使われている。
【0078】
図36の実施例は「本発明の電源手段を利用したスイッチング回路」をさらに利用した3端子スイッチング回路である。
【0079】
図37の実施例も「本発明の電源手段を利用したスイッチング回路」をさらに利用した3端子スイッチング回路である。この実施例は図19の回路と対称関係にある駆動回路に似たものにおいて、もう一方の電流制限手段として抵抗の代わりにトランジスタ16、ダイオード17及び抵抗18を接続したものを用いた回路である。このため、図12の実施例の問題点(抵抗10、11によるエネルギー損失)を全部解決することができる、という効果が図36、図37の各実施例にも有る。尚、前述した『対称関係にある回路』の意味は、元の回路において、方向性の有る各回路素子の向きを反対にし、元のスイッチング手段を反対の順逆バイアス電圧極性を持つスイッチング手段で置き換えた回路のことである。
【0080】
図38の実施例は、3端子スイッチング回路で、ダイオード6、12が有る図12の回路とそれらが無い図12の回路を組み合わせ、直流電源1を共通化して1つにまとめた3端子スイッチング回路である。
尚、この回路の様に図38上側のトランジスタ2側にダイオード6、12を接続して絶縁化することによって初めて両トランジスタ2がオフのとき、ダイオード32が接続されている場合なら『スイッチ端子t17の電位がスイッチ端子t18の電位とスイッチ端子t16の電位の間にある限り』という条件付きで、また、ダイオード32が接続されていない場合なら『スイッチ端子t17の電位がスイッチ端子t18の電位より高い限り』という条件付きで、直流電源1等とスイッチ端子t17を絶縁し、スイッチ端子t17を開放することができる。
【0081】
図39の実施例は、3端子スイッチング回路で、図24の可制御スイッチング手段の駆動回路などを図38の回路の様に組み合わせて3端子スイッチを構成した3端子スイッチング回路である。
【0082】
図40の実施例は、3端子スイッチング回路で、図13の回路においてダイオード6の部分の代わりにトランジスタ15の内蔵ダイオードの部分を使い、ダイオード12を使わず、Nチャネル型トランジスタ2を組み合わせて3端子スイッチを構成した3端子スイッチング回路である。トランジスタ2にとっても図12の様な駆動回路が構成されている。
【0083】
図41の実施例は、3端子スイッチング回路で、「図14、図23の可制御スイッチング手段の駆動回路部を組み合わせて構成した、3端子スイッチ機能を持つ3端子スイッチング回路」と対称関係にある3端子スイッチング回路である。(参考:実開平3−128332号)
【0084】
図42の実施例は3端子絶縁型スイッチング回路を利用した3端子スイッチング回路である。同様に図32の実施例を利用して3端子スイッチング回路を構成することもできる。
【0085】
図43の実施例は、前述した第1、第2の電流制限手段として「抵抗10とコイル29の直列回路」及び「抵抗11とコイル30の直列回路」が使われている可制御スイッチの駆動回路である。図43の回路ではトランジスタ31がターン・オフすると、コンデンサ8と共にコイル29、30がゲート順バイアスのエネルギーをトランジスタ2に供給するので、コンデンサ8の充電電圧つまり直流電源1の電圧が「必要とするゲート順バイアス電圧」より小さくても大丈夫である。なぜなら、その電圧不足分をコイル29、30が補うからである。この効果は図43の実施例を含め、少なくとも1つの電流制限手段にコイル等のインダクタンス手段を使う本発明に有る。
【0086】
図44の実施例では前述した負荷手段に相当するNMOSトランジスタのゲート・ソース間静電容量は負荷45(スイッチング回路の負荷)を介して直流電源とスイッチの直列回路の両端子間に接続されている。
【0087】
図45の実施例は、前述した直流電圧出力手段として「直流電源、スイッチ及び変圧器の組合せ」を用いた絶縁電源手段である。
図46の実施例は、前述した直流電圧出力手段として「直流電源、スイッチ、抵抗および発光・受光ダイオード対の組合せ」を用いた絶縁電源手段である。
図47の実施例は図45の実施例を利用した絶縁型スイッチング回路である。図48の実施例は図46の実施例を利用した絶縁型スイッチング回路である。
【0088】
図49(a)〜(c)の各スイッチング手段は本発明の構成手段となる電流制限手段に相当する可変電流制限手段の構成要素となるスイッチング手段の3例である。絶縁ゲート型スイッチング手段2つを図49(a)の様に接続したスイッチング手段などの場合、トランジスタ135、136だけでは直流に対してスイッチング手段を構成することはできず、トランジスタ135、136及びダイオード192又は193で直流に対して1つのスイッチング手段を構成している。と言うのは、ダイオード192、193どちらも接続されていないと、トランジスタ135、136がオンになっても、各ゲート・ソース間が直流的に絶縁されているから、である。そのために、ダイオード192又は193の接続が必要となるが、その代わりに直流電流を通す回路素子としては他に抵抗、各種抵抗手段、各種定電圧手段、各種定電流手段、各種電圧降下手段、各種電流制限手段、各種通流手段、あるいは、これらを組み合わせたもの、などが有る。一方、図49(b)〜(c)の各スイッチング手段の場合、トランジスタ139のゲート・ソース間PN接合あるいはトランジスタ129のベース・エミッタ間PN接合が有るため、トランジスタ136、139あるいはトランジスタ136、129だけで直流に対してスイッチング手段を構成することができる。勿論、図49(b)〜(c)の様に各スイッチング手段中のトランジスタ136のソース・ゲート間にダイオード193を1つずつ接続した各スイッチング手段も有る。
【0089】
図50(a)〜(c)に示す「スイッチング手段を使った各電流制限手段」は、本発明の構成要素となる電流制限手段の1つとなる可変電流制限手段の3例である。尚、これらの可変電流制限手段では、オン制御手段として複数の抵抗が接続されているが、そのうちの少なくとも1つが接続されていれば、これらは可変電流制限手段として作用する。また、図50(b)〜(c)の各可変電流制限手段では、各ツェナー・ダイオード133は双方向の定電圧手段として働き、その順方向の定電圧手段は図49(a)に示すスイッチング手段のダイオード192、193のそれと同じで通流手段として働き、そのツェナー電圧方向の定電圧手段は逆バイアス用の電圧降下手段として働く。抵抗194、197も双方向の定電圧手段として働くので、これらが接続されていれば、ツェナー・ダイオード133は無くても良いが、過電圧対策として有った方が良い。
【0090】
さらに、図50(a)〜(c)の各可変電流制限手段において、トランジスタ129、132、135、136それぞれの代わりにその駆動電圧の順逆バイアス電圧極性が同じで、自己ターン・オフ機能を持つスイッチング手段ならノーマリィ・オン、ノーマリィ・オフに関係無く何でも使うことができる。ただし、必要とする逆バイアス電圧に応じて逆バイアス用の電圧降下手段に電圧降下の大きいものを使う必要がある。そして、MOS・FETや絶縁ゲート型スイッチング手段の様にその駆動信号入力用に対を成す制御端子と主端子の間が直流に対して絶縁されているなら、図49(a)〜(c)の各スイッチング手段の説明で述べた通りその順バイアス方向の通流手段が必要で有る。
【0091】
それから、図50(a)の可変電流制限手段ではトランジスタ129、132がサイリスタの等価回路を形成するが、この等価サイリスタを本物のプラス・ゲートとマイナス・ゲートを持つGTOサイリスタ又はノーマリィ・オフのSIサイリスタで置き換えても良いし、図50(b)の可変電流制限手段でもトランジスタ135、136がノーマリィ・オンのSIサイリスタの等価回路を構成するが、この等価サイリスタをプラス・ゲートとマイナス・ゲートを持つノーマリィ・オンのSIサイリスタで置き換えても良い。
【0092】
図51(a)、(b)〜図53(a)、(b)各図に1つずつ示す各実施例は請求項2記載の電源手段に対応する電源手段である。
図54(b)〜図55(a)、(b)と図56の各実施例は請求項3記載の電源手段に対応し、さらに図54(b)と図55(a)の各実施例は請求項4記載の電源手段に対応し、図55(b)と図56の各実施例は請求項5記載の電源手段に対応する。図54(b)の実施例の各構成要素は以下の通り請求項3記載中の各構成手段に相当する。
a)直流電源1が同項記載中の直流電源手段に。
b)負荷41が同じく負荷手段に。
c)トランジスタ301が同じく第1の可制御スイッチング手段に。
d)GTOサイリスタタ302が同じく第2の可制御スイッチング手段に。
e)抵抗10が同じく第1の電流制限手段に。
f)抵抗11が同じく第2の電流制限手段に。
g)コンデンサ8が同じくキャパシタンス手段に。
h)ダイオード4が同じく開放スイッチング手段に。
【0093】
最後に、以下の事を補足する。
a)図14〜図17、図36、37等の各回路においてスイッチング手段として、トランジスタ16又は53もしくは等価サイリスタの代わりにNチャネル型の「FET、MOS・FET、IGBT、SIT」、プラス・ゲートのGTOサイリスタ、SIサイリスタ又はNPN型バイポーラ・トランジスタ等、駆動信号の順逆バイアス電圧極性がトランジスタ16又は53等と同じで、自己ターン・オフ機能を持つスイッチング手段なら何でも使うことができる。但し、必要とする逆バイアス電圧の大きさに応じ電圧降下手段の電圧降下を大きくす
る必要が有る。
b)図18〜図21等の各回路において第1のスイッチング手段としてトランジスタ23もしくは等価サイリスタの代わりにPチャネル型の「FET、MOS・FET、IGBT、SIT」、マイナス・ゲートのGTOサイリスタまたはSIサイリスタ等、駆動信号の順逆バイアス電圧極性がトランジスタ23と同じで、自己ターン・オフ機能を持つスイッチング手段なら何でも使うことができる。但し、必要とする逆バイアス電圧の大きさに応じて電圧降下手段の電圧
降下を大きくする必要が有る。
【0094】
c)図10、図11、図16〜図17、図20〜図24、図28〜図29、図31〜図35、図39、図41〜図42、図47〜図48等の各回路において、等価サイリスタもしくは等価サイリスタに似たスイッチング手段を形成するトランジスタの一方もしくはそれぞれの代わりに駆動信号の順逆バイアス電圧極性がそれのと同じで、自己ターン・オフ機能を持つスイッチング手段なら何でも使うことができる。但し、必要とする逆バイアス電圧の大きさに応じて電圧降下手段の電圧降下を大きくする必要が有るし、その電圧降下手段は双方向の通流電流に対して電圧降下を生じる必要が有る場合も有る。なお、バイポーラ・トランジスタのエミッタ接合や接合型FETやノーマリィ・オン型SITの場合そのPN接合もその電圧降下手段に含まれる。当然の事ながら、上述の各回路中の等価サイリスタまたは等価サイリスタに似たスイッチング手段を本物のGTOサイリスタ又はSIサイリスタで置き換えることもできる。
【0095】
d)前述した第1、第2の電流制限手段は「前述の直流電圧出力手段が直流電圧を出力している時その通流電流の上限を制限するもの」なら何でも構わない。例えば、抵抗、そのドレインとゲートを接続した絶縁ゲート型FETあるいはSIT、抵抗手段、定電流ダイオード、そのコレクタ・ベース間に定電流ダイオードを接続したバイポーラ・トランジスタ、そのゲートとソースを接続したノーマリィ・オン型FET又はSIT、定電流手段、コイル又はインダクタンス手段と抵抗の直列回路、前述の直流電圧出力手段が直流電圧を出力する期間と出力しない期間の比を制御するデュティ比制御手段とインダクタンス手段の組合せ、負性抵抗手段、前述の直流電圧出力手段が直流電圧を出力している時より出力していない時の方がその電流制限機能が小さくなる可変電流制限手段、これらのうち少なくとも2つを組み合わせたもの、等がある。従って、各実施例中の電流制限手段の代わりに電流制限手段として上述の電流制限手段を使用した実施例も可能である。
【0096】
e)前述した電圧降下手段として、抵抗、そのコレクタとベースを直接または抵抗もしくはダイオードを介して接続したバイポーラ・トランジスタ、そのドレインとゲートを直接または抵抗もしくはダイオードを介して接続したMOS・FET、その駆動信号入力用に対を成さない制御端子と主端子を直接または抵抗もしくはダイオードを介して接続したスイッチング手段、その駆動信号入力用に対を成す制御端子と主端子を接続したノーマリィ・オン型スイッチング手段、抵抗手段、ダイオード、PN接合、非可制御スイッチ、ダイオード又は非可制御スイッチ2つを逆並列接続したもの、ツェナー・ダイオード、ツェナー・ダイオード2つを逆向きに直列接続したもの、ツェナー・ダイオードとダイオードの直列回路、定電圧手段、抵抗とダイオードの直列回路もしくは並列回路、抵抗と非可制御スイッチの直列回路と非可制御スイッチを逆並列接続したもの、又は、これらのうち少なくとも2つを組み合わせたもの、等が有る。
従って、図9〜図11、図14〜図24、図28〜図29、図31〜図37、図39、図41〜図42、図47〜図48の各実施例において電圧降下手段としてツェナー・ダイオード(54、59)、抵抗(55、60)、ダイオード等の代わりに上述の電圧降下手段を使用した実施例も可能である。
【0097】
f)前述したオン制御手段として抵抗、そのドレインとゲートを直接または抵抗もしくは定電流手段を介して接続したMOS・FET又は絶縁型FET又はSIT、抵抗手段、定電流ダイオード、そのコレクタ・ベース間に抵抗または定電流ダイオード又は定電流手段を接続したバイポーラ・トランジスタ、定電流手段、電流制限手段、又は、これらのうち少なくとも2つを組み合わせたもの、等が有る。従って、図9〜図11、図14〜図24、図28〜図29、図31〜図37、図39、図41〜図42、図47〜図48の各実施例において抵抗18、55、56、60、61等の代わりにオン制御手段として上述のオン制御手段を使用した実施例も可能である。
g)条件付きで絶縁化した図12、図14〜図25、図43等のいずれか2つ(同じ2つでも異なる2つでも構わない。)の1方向性絶縁型スイッチング回路を逆並列接続した双方向性絶縁型スイッチング回路も可能である。
【0098】
h)条件付きで絶縁化した図12、図14〜図25、図43等のいずれか2つ(同じ2つでも異なる2つでも構わない。)の1方向性絶縁型スイッチング回路を同じ向きに、内向きに、あるいは、外向きに直列接続した3端子絶縁型スイッチング回路も可能である。
i)『条件付きで絶縁化した図12、図14〜図25、図43等のいずれか1つの1方向性絶縁型スイッチング回路』と、『上述g)の双方向性絶縁型スイッチング回路、図25〜図31の双方向性絶縁型スイッチング回路、以前に述べた図32、図33を利用した逆並列接続の双方向性絶縁型スイッチング回路などのいずれか1つ』を直列接続した3端子絶縁型スイッチング回路もまた可能である。ただし、その1方向性絶縁型スイッチング回路の向きによってさらに
その種類が2倍になる。
【0099】
j)上述g)の双方向性絶縁型スイッチング回路、図25〜図31の双方向性絶縁型スイッチング回路、以前に述べた図32、図33を利用した逆並列接続の双方向性絶縁型スイッチング回路などのいずれか2つ(同じ2つでも異なる2つでも構わない。)を直列接続した3端子双方向性絶縁型スイッチング回路も可能である。
k)『条件付きで絶縁化した図12、図14〜図25、図43等いずれか1つの1方向性絶縁型スイッチング回路』と『条件付きで絶縁化した図12、図14〜図25、図43等のいずれか1つの1方向性絶縁型スイッチング回路』を接続し、さらに、その接続箇所に『条件付きで絶縁化した図12、図14〜図25、図43等のいずれか1つの1方向性絶縁型スイッチング回路』を接続し、同様に所定数その接続箇所に接続した多端子絶縁型スイッチング回路が可能である。
【0100】
l)『上述g)の双方向性絶縁型スイッチング回路、図25〜図31の双方向性絶縁型スイッチング回路、以前に述べた図32、図33を利用した逆並列接続の双方向性絶縁型スイッチング回路などのいずれか1つ』と『上述g)の双方向性絶縁型スイッチング回路、図25〜図31の双方向性絶縁型スイッチング回路、以前に述べた図32、図33を利用した逆並列接続の双方向性絶縁型スイッチング回路などのいずれか1つ』を接続し、さらにその接続箇所に『上述g)の双方向性絶縁型スイッチング回路、図25〜図31の双方向性絶縁型スイッチング回路、以前に述べた図32、図33を利用した逆並列接続の双方向性絶縁型スイッチング回路などのいずれか1つ』を接続し、同様に所定数その接続箇所に接続した多端子双方向性絶縁型スイッチング回路が可能である。
【0101】
m)切換えの対象となる回路構成手段(例:能動素子、受動素子など)又は回路(例:有線通信手段、有線通話手段、アンプなど)又は負荷(例:ACモーター、スピーカーなど)と『上述g)の双方向性絶縁型スイッチング回路、図25〜図31の双方向性絶縁型スイッチング回路、以前に述べた図32、図33を利用した逆並列接続の双方向性絶縁型スイッチング回路などのいずれか1つ』を直列接続した直列回路を所定の数だけ並列接続した多端子切換え型双方向性絶縁型スイッチング回路が可能である。
n)これまで述べて来た双方向性絶縁型スイッチング回路のいずれか1つと、その2次コイルに点火用放電ギャップを接続した点火コイル(点火用昇圧変圧器)の1次コイルを直列接続した直列回路を所定の数だけ並列接続すれば、所定の点火コイルすなわちその2次側に接続された点火用放電ギャップを選択できる点火配電回路を構成することができる。尚、各双方向性絶縁型スイッチング回路は全部同じものでもそうでなくても構わない。
【0102】
o)本発明の双方向性絶縁型スイッチング回路の利用分野として電子交換機中で回線同士の接続を切り換える回線切換え手段がある。例えば、所定数の導線を上から見て縦(斜めでも良いが。)に並べ、さらに接触しない様にそこに別の所定数の導線を上から見て横(斜めでも良いが。)に並べ、上から見て縦と横の各導線が交叉する各交叉箇所近辺を本発明の双方向性絶縁型スイッチング回路で1つずつ接続するのである。その双方向性絶縁型スイッチング回路にシールド機能を持つものを使えば、絶縁抵抗や浮遊容量などを通じた通信や通話の漏洩を防止することができる。特にキャリヤ周波数などが高くなると効果的。p)各実施例またはそれから派生した派生実施例において、その構成要素となる各半導体スイッチをその相補関係にある半導体スイッチで置き換え、方向性のある各回路構成手段(例:直流電源、ダイオード、電解コンデンサ等。)の向きを逆にした電圧極性に関して元の回路に対し対称関係にある回路ももちろん可能である。
【0103】
q)図47、図48の各実施例では、コンデンサ8がトランジスタ2の順バイアス時そのゲート順バイアス電流を横取りする様に作用するので、トランジスタ2のターン・オンは遅れる。一方、トランジスタ2のターン・オフ時コンデンサ8の充電電流がトランジスタ2を強力に逆バイアスするので、そのターン・オフは速い。そこで、図47、図48の絶縁型スイッチング回路2つ(同じ2つでも異なる2つでも構わない。)を直列接続して3端子スイッチング回路を構成すれば、同時オンによる短絡が起き難いという効果が生じる。
【0104】
【先 行 技 術】
a)実開平3−69936号 b)実開平3−80691号
c)特開平4−170813号 d)特開平5−226998号
e)特開平5−268037号 f)特開平5−304453〜4号
g)開平6−196991号 h)特開平6−219389号
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例を示す回路図である。
【図2〜図5】各図は、従来の電源手段の例を1つずつ示す回路図である。
【図6】従来の可制御スイッチの駆動回路と1方向性絶縁型スイッチング回路の1例を示す回路図である。
【図7〜図8】各図は、従来の3端子スイッチング回路の例を1つずつ示す回路図である。
【図9〜図48】各図は、本発明の実施例を1つずつ示す回路図である。
【図49】本発明の構成手段である電流制限手段の1つである可変電流制限手段の構成要素となるスイッチング手段を3例示す回路図である。
【図50】本発明の構成手段である電流制限手段の1つである可変電流制限手段を3例示す回路図である。
【図51〜図55】各図は、本発明の実施例を2つずつ示す回路図である。
【図56】本発明の1実施例を示す回路図である。
【符 号 の 説 明】
41 負荷(電源手段の負荷)
t1〜t6 スイッチ端子
t11〜t20 スイッチ端子
19、21、42、43 IGBT
24 トランジスタ(ノーマリィ・オン型SIT)
25、53 トランジスタ(ノーマリィ・オン型MOS・FET)
63〜66 トランジスタ(接合型FET)
45 負荷(スイッチング回路の負荷)
68、69 定電流ダイオード
71 無安定マルチバイブレータ
【技 術 分 野】
本発明は、直流電圧供給手段(例:直流電源とオン、オフ可能なスイッチング手段の直列回路。)が直流電圧を出力したり、しなかったりの動作を交互にする等するだけで、負荷にプラス電圧とマイナス電圧を交互に供給することができる電源手段に関する。これを用いて容量性負荷の駆動回路や可制御スイッチング手段の駆動回路などを容易に構成することもできる。可制御スイッチング手段の駆動回路の場合、直流電圧供給手段または直流電源手段を1つしか使わずに可制御なスイッチング手段に順バイアス電圧あるいは順バイアス電流を供給したり、逆バイアス電圧あるいは逆バイアス電流を供給したり、することができる。
【0002】
さらにこの可制御スイッチング手段の駆動回路を利用すると、条件付きながら絶縁することができる各種の絶縁型スイッチング回路と点火配電回路および各種の非絶縁型スイッチング回路を構成することもできる。従って、本発明をスイッチング回路、電力変換回路、チャージ・ポンプ、圧電素子や液晶やエレクトロ・ルミネッサンス等の各種駆動回路、アナログ回路、ディジタル回路、論理回路、リレー、電子交換機、点火回路など広い分野に利用することができる。
尚、点火配電回路とは、例えば、内燃機関用点火装置などにおいて複数の点火コイル(点火用昇圧変圧器)それぞれの2次側に接続された点火用放電ギャップのうち、所定の点火用放電ギャップだけに高電圧を供給する回路のことである。
【0003】
【背 景 技 術】
直流電圧出力手段(例:直流電源とオン、オフ可能なスイッチング手段の直列回路、入射光の有無に応じて直流電圧を出力する太陽電池あるいは光起電力ダイオード・アレイ等。)が直流電圧を出力したり、しなかったりするのに応じて負荷にプラス電圧、マイナス電圧を供給する従来の電源手段を図2〜図5に示す。
参照:
a)米国特許4125814号 b)特開昭62−147953号
c)特開昭63−302217号の図18と図19の各Tr22
d)特願昭62−504785号(PCT/JP87/00612号、
WO 88/01805号)の図18〜図25
e)特開平1−117416号 f)特開平2−146265号の図20
g)実開平3−69936号 h)実開平3−80691号
i)特開平4−170813号 j)特開平5−226998号
k)特開平5−268037号 l)特開平5−304453号
【0004】
図2の回路ではスイッチ26がオンのとき、直流電源1がコンデンサ8(逆電圧供給用キャパシタンス手段)を介して負荷41に電圧を供給し、同時にコンデンサ8を充電する。その後、スイッチ26をターン・オフさせると、コンデンサ8が抵抗14(電流制限手段)を介して負荷41に先程と逆極性の電圧を供給する。図3の回路ではノーマリィ・オンのトランジスタ53、ツェナー・ダイオード54及び抵抗18(抵抗18の代わりに抵抗55でも良いし、抵抗55が有る場合ツェナー・ダイオード54は無くても良い。)が形成する可変電流制限手段が図2の回路の抵抗14の代わりに電流制限手段として使われており、その電流制限作用は、スイッチ26のオン、オフに応じて変化し、スイッチ26がオンの時よりオフの時の方が小さくなる。すなわち、スイッチ26がオンのとき負荷41の電流がツェナー・ダイオード54に電圧降下を生じ、トランジスタ53をゲート逆バイアスしてオフに保つ。一方、スイッチ26がオフのときコンデンサ8の放電電流が抵抗18を介してトランジスタ53をゲート順バイアスしてオンに保つ。図4、図5の各回路についても同様であるが、図5の回路ではスイッチ26がオンのとき負荷41の電流がツェナー・ダイオード54、59それぞれに電圧降下を生じ、各トランジスタをゲート逆バイアスしてオフに保つ。
【0005】
尚、負荷41が容量性負荷で、スイッチ26の電流制限作用(例:オン抵抗、接触抵抗、バイポーラ・トランジスタ又はIGBT等のコレクタ電流の飽和による電流制限作用。)が足りない場合スイッチ26の代わりに抵抗、抵抗手段、定電流手段または電流制限手段などとスイッチ26の直列回路を使えば良い。
また、スイッチ26の代わりにオン、オフ可能なスイッチング手段なら、半導体スイッチでも機械的なスイッチでもリレーでもオン・オフ機能可制御スイッチング手段でも何でも使うことができる。さらに、コンデンサ8等と負荷41の接続位置は図中で互いに入れ換わっても構わない。
それから、各回路では、直流電源1とスイッチ26の直列回路が直流電圧を出力したり、しなかったり、する前述の直流電圧出力手段を構成している。
【0006】
そして、図3、図5の各回路の様に可変電流制限手段の構成要素としてノーマリィ・オンのスイッチング手段を使う場合、スイッチ26がオンの間それをゲート逆バイアスしてオフに保つためには、ゲート逆バイアス用のツェナー・ダイオード54、59等の電圧降下手段に電流を流してゲート逆バイアス電圧を生じさせる必要が有るので、抵抗56、61、62等の電流バイパス手段を回路中に接続する必要が有る。あるいは、コンデンサ8の充電電流が各電圧降下手段に必要とするゲート逆バイアス電圧を生じさせることができなくなる前にスイッチ26をターン.オフさせる様にそのオン期間を制御する必要が有る。しかし、スイッチ26がオンの間そのノーマリィ・オンのスイッチング手段が不完全なオフで、もれドレイン電流が流れても構わない場合そうする必要は無い。この場合そのもれドレイン電流がその電圧降下手段に生じるゲート逆バイアス電圧とこのゲート逆バイアス電圧がそのスイッチング手段に作用して通過させるもれドレイン電流は一定の均衡状態に落ち付く。
【0007】
負荷41にトランジスタ2を用いた可制御スイッチング手段の駆動回路を図6に示す。ダイオード6、12が有る場合、この駆動回路は条件付きの1方向性絶縁型スイッチング回路になる。例えば、『ダイオード6の導通と、トランジスタ2の内蔵ダイオード又はダイオード12の導通が同時に起こらない限り』、つまり、『スイッチ端子t11、t12どちらの電位も直流電源1に対してその様な非導通条件を満足する電位にある限り』という条件付きながら、トランジスタ2,3の各オン、オフに関係無く、スイッチ端子t11、t12それぞれと直流電源1は絶縁される。ただし、各オン、オフ切換え時のもれ電流は無視している。
【0008】
図7の回路は図6の回路を2つ使って構成した3端子スイッチ機能を持つスイッチング回路で、どちらか1方のトランジスタ2の導通によりスイッチ端子t14はスイッチ端子t13かスイッチ端子t15に接続される。
尚、この回路の様に図上側のトランジスタ2に前述した様にダイオード6、12を接続して絶縁化することによって初めて両トランジスタ2がオフの時、ダイオード32が接続されている場合なら『スイッチ端子t14の電位がスイッチ端子t15の電位とスイッチ端子t13の電位の間にある限り』という条件付きで、また、ダイオード32が接続されていない場合なら『スイッチ端子t14の電位がスイッチ端子t15の電位より高い限り』という条件付きで、直流電源1等とスイッチ端子t14を絶縁し、スイッチ端子t14を開放することができる。
【0009】
図8の回路は図6の回路にPチャネル型トランジスタ15を組み合わせ等した、3端子スイッチ機能を持つスイッチング回路で、トランジスタ15の内蔵ダイオードが図6のダイオード6の役割を果たし、トランジスタ15にとっても駆動回路が構成されている。
【0010】
【第1の問題点】
しかしながら、『直流電圧供給手段からの供給電圧を一定に保つことができない』という問題点が有る。
これは、図2〜図5の各回路において、直流電圧供給手段(直流電源1とスイッチ26の直列回路)が負荷41に電圧を供給する時その電圧供給をコンデンサ8を介して行うために、コンデンサ8が充電されて来ると、その供給電圧が小さくなってしまう、からである。図6〜図8の各回路においても、2つのツェナー・ダイオード7と抵抗13による定電圧作用が無ければ、この問題点が有る。
【0011】
【第2の問題点】
また、『逆電圧供給用キャパシタンス手段(コンデンサ8)の充電を速やかに行うことができない』という問題点が有る。
図2〜図5の各回路で直流電圧供給手段(直流電源1とスイッチ26の直列回路)が負荷41を介してコンデンサ8を充電する時、その充電電流の上限は負荷41によって制限されてしまい、その充電を速やかに行うことができない。
コンデンサ8が放電時に負荷41に逆電圧を供給する際その逆電圧が急激に低下するのを防ぐには、負荷41とコンデンサ8の時定数を充分に大きくする必要が有る。そうすると今度は1番最初に直流電圧供給手段が負荷41を介してコンデンサ8を充電する際に速やかに充電することはできない。従って、その放電エネルギーはその充電エネルギーより大きくなり得ないから、負荷41による消費エネルギーが制限されることになる。また、コンデンサ8の電圧変動が大きくなるから、コンデンサ8は負荷41に安定した逆電圧を供給することができない。
【0012】
【第3の問題点】
さらに、『逆電圧供給用キャパシタンス手段(コンデンサ8)と負荷が互いに相手の印加電圧の大きさに影響を与えてしまう』という問題点が有る。
図2〜図8の各回路では、直流電圧供給手段(直流電源1とスイッチ26等の直列回路)が、負荷41に電圧を供給するとき、その電圧供給をコンデンサ8を介して行うので、負荷41の電圧はその供給電圧からコンデンサ8の充電電圧の分だけ差し引かれ、その分小さくなってしまう。コンデンサ8にしても最大でもその供給電圧からその負荷電圧分だけ差し引かれた電圧にしか充電されない。
逆の見方をすれば、必要な負荷電圧と充電電圧を確保しようとすれば、直流電圧供給手段の出力電圧はその両電圧の和になり、大きくなってしまう。
【0013】
【第4の問題点】
それから、『容量性負荷の場合、電流バイパス手段をその容量性負荷に並列接続しないと逆電圧を供給できることできない』という問題点が有る。
図6〜図8の各回路の様に容量性負荷(例:ゲート・ソース間静電容量、圧電素子、液晶、エレクトロ・ルミネッサンス等。)の場合、トランジスタ3等がオフの間コンデンサ8がその容量性負荷に逆電圧を供給するためには、トランジスタ3等がオンの間その容量性負荷の蓄積電荷以上の電荷がコンデンサ8に蓄積されている必要がある。両蓄積電荷が同じだと、トランジスタ3がターン・オフしたとき両蓄積電荷が相殺するだけで、コンデンサ8はその容量性負荷を電圧ゼロまでしか持って行くことができず、さらに逆向きに充電することはできない。
これを改善するためにはその容量性負荷に電流バイパス手段(例:図6の様に逆向きに直列接続された2つのツェナー・ダイオード7、抵抗など。)をその容量性負荷に並列接続して、トランジスタ3がオンの間コンデンサ8の蓄積電荷をその容量性負荷の蓄積電荷より多くすることであるが、トランジスタ3等がオンの間その電流バイパス手段でエネルギーが消費されてしまう。
【0014】
【第5の問題点】
そして、『直流電圧供給手段(直流電源1とスイッチ26等の直列回路)による電圧供給時、その供給電圧(直流電源1の電圧)が何らかの原因で一時的にでも逆電圧供給用キャパシタンス手段(コンデンサ8)の電圧より小さくなると、負荷に逆電圧が印加されてしまう』という問題点が有る。
例えば、図2の回路においてスイッチ26がオンである限り、抵抗14の両端電圧は常に直流電源1の電圧にクランプされる。ここで、その電源電圧がコンデンサ18の充電電圧より何らかの原因で一時的にでも小さくなると、その間コンデンサ8は抵抗14を介してその電圧差に相当する電圧を負荷41に供給してしまう。この事は図3〜図8の各回路についても言える。この現象をトランジスタやサイリスタ等の可制御スイッチング手段の駆動に当てはめると、「逆バイアス駆動されてオフ制御されている筈のスイッチング手段」が一時的に順バイアス駆動されてオン制御されるということである。あるいは、「オン制御されている筈のスイッチング手段」が一時的にオフ制御されるということである。
【0015】
【発 明 の 目 的】
そこで、本発明は下記効果を持つ電源手段を提供することを目的としている。a) 直流電圧供給手段(もしくは直流電源手段)からの供給電圧を一定に保つことができる。
b) 逆電圧供給用キャパシタンス手段の充電を速やかに行うことができる。
c) 逆電圧供給用キャパシタンス手段と負荷が互いに相手の印加電圧に影響を与えることが無い。
d) 容量性負荷の場合、電流バイパス手段をその容量性負荷に並列接続しなくてもその容量性負荷に逆電圧を供給することができる。
e) 直流電圧供給手段(もしくは直流電源手段)による電圧供給時、その供給電圧が何らかの原因で一時的にでも逆電圧供給用キャパシタンス手段の電圧より小さくなっても、負荷に逆電圧が印加されることが無い。
尚、この電源手段を利用すると、容量性負荷の駆動回路、可制御スイッチング手段の駆動回路を構成することができる。さらにこの可制御スイッチング手段の駆動回路を使った各種絶縁型スイッチング回路、点火配電回路、各種非絶縁型スイッチング回路、絶縁電源手段または「この絶縁電源手段を使った絶縁型スイッチング回路」を構成することができる。
【0016】
【発明の開示】
即ち、本発明は請求項1、2又は3に記載の電源手段である。本発明が請求項1記載の電源手段である場合、その直流電圧が出力される時その負荷手段とそのキャパシタンス手段どちらもその直流電圧出力手段と『並列的に』接続される一方、その直流電圧が出力されない時その負荷手段とそのキャパシタンス手段が『逆並列的に』接続される。つまり、その直流電圧が出力されるか、されないかにより両者の並列的接続の方向が互いに逆向きに切り換わる。その切換えをその第1、第2の非可制御スイッチング手段とその第1、第2の電流制限手段が行う。
なお、前記第1、第2の非可制御スイッチング手段の少なくとも一方を「前記直流電圧が出力されるときオン駆動される1方向性の可制御スイッチング手段」で置き換えることができる。それが請求項2記載の電源手段である。
【0017】
このことによって、その直流電圧出力手段は前記負荷手段に直流電圧を出力しているとき同時に前記キャパシタンス手段を充電する。一方、前記直流電圧出力手段が直流電圧を出力していないとき、前記キャパシタンス手段と前記負荷手段の並列的接続が逆向きに切り換わるので、前記キャパシタンス手段はその直流電圧と逆向きの電圧をその両電流制限手段を介して前記負荷手段に供給する。
その結果、前記直流電圧出力手段を1つしか使わなくてもそれが直流電圧を出力したり、しなかったりするのに応じて前記負荷手段にプラス電圧を供給したり、マイナス電圧を供給したりすることができる。
尚、第3の非可制御スイッチング手段を前記負荷手段に接続する等してその直流電圧が前記負荷手段に印加されない様に阻止する場合、前記直流電圧出力手段はその直流電圧と逆極性の電圧だけを前記負荷手段に供給できる。
【0018】
しかも、前記直流電圧出力手段が直流電圧を出力しているとき、この直流電圧は前記キャパシタンス手段を介さずに前記負荷手段に供給されるので、『前記直流電圧出力手段からの供給電圧を一定に保つことができる。』 (第1効果)
【0019】
また、その直流電圧は前記負荷手段を介さずに前記キャパシタンス手段に供給され、その充電電流をその負荷電流と分離、独立して設定できるので、『逆電圧供給用の前記キャパシタンス手段の充電を速やかに行うことができる。』
(第2効果)
この効果は、前記キャパシタンス手段の放電電流より充電電流の方をいくらでも大きく設定できるので、その放電に伴う電圧低下を小さくできることに結び付く。特に、その静電容量が大きい場合、その効果は顕著である。
【0020】
さらに、その直流電圧が出力されている時、両前記非可制御スイッチング手段の作用により前記負荷手段と前記キャパシタンス手段どちらも前記直流電圧出力手段と並列的に接続されるから、『逆電圧供給用の前記キャパシタンス手段と前記負荷手段が互いに相手の印加電圧の大きさに影響を与えることは無い。』
(第3効果)
ただし、請求項2記載の電源手段の場合、両前記非可制御スイッチング手段の片方又はそれぞれの作用を請求項2記載中の「その片方又はそれぞれと置き換えられた1つ又は2つの1方向性の可制御スイッチング手段」が代わりに行う。
【0021】
それから、前記負荷手段が容量性負荷である場合、前記キャパシタンス手段の充電はこの容量性負荷を介さずに行われるため、この容量性負荷が蓄積する電荷以上の電荷を前記キャパシタンス手段に蓄積できるので、『容量性負荷の場合、電流バイパス手段をその容量性負荷に並列接続しなくてもその容量性負荷に逆電圧を供給することができる。』 (第4効果)
【0022】
そして、前記直流電圧出力手段が前記負荷手段に直接電圧を供給しているとき、同時に前記直流電圧出力手段は常に前記負荷手段の両端電圧をその供給電圧にクランプしているので、『その供給の間に何らかの原因でその供給電圧が一時的にでも逆電圧供給用の前記キャパシタンス手段の電圧より小さくなっても、前記負荷手段に逆電圧が印加されることは無い。』 (第5効果)
【0023】
尚、前記直流電圧出力手段としては、直流電源とオン、オフ可能なスイッチング手段の直列回路、入射光の有無に応じて直流電圧を出力する太陽電池あるいは光起電力ダイオード・アレイ等が有る。
また、各前記電流制限手段は前記直流電圧が出力されている時その通流電流の上限を制限するものなら、抵抗手段、定電流手段、内部抵抗のあるインダクタンス手段、負性抵抗手段、あるいは、これらを組み合わせたもの等、何でも良い。さらに、非可制御スイッチング手段の例としてダイオード、PN接合、コレクタとベースを接続したバイポーラ・トランジスタ、アノードとカソード・ゲート又はアノード・ゲートとカソードを接続した逆阻止型サイリスタ等がある。
それから、前記直流電圧出力手段が直流電源とオン・オフ可能なスイッチング手段の直列回路によって構成される場合、このスイッチング手段はオン、オフ可能なスイッチング手段なら半導体スイッチでも機械的なスイッチでもリレーでもオン・オフ機能可制御スイッチング手段でも何でも良い。この場合、そのスイッチング手段のオン、オフを1回しかしなくても前記キャパシタンス手段は「その電源電圧と同程度の大きさの逆極性電圧」を出力できることになる。
【0024】
一方、本発明が請求項3記載の電源手段である場合、その直流電源手段とその第1の可制御スイッチング手段の直列回路がその負荷手段に対して第1の直流電圧出力手段として機能すると同時に、その直流電源手段とその第2の可制御スイッチング手段の直列回路がそのキャパシタンス手段に対して第2の直流電圧出力手段として機能する。このため、両前記可制御スイッチング手段がオンで、その直流電圧が出力されるとき、前記負荷手段と前記キャパシタンス手段どちらも前記直流電源手段と『並列的に』接続される一方、両前記可制御スイッチング手段がオフで、その直流電圧が出力されないとき、その負荷手段とそのキャパシタンス手段が『逆並列的に』接続される。つまり、両前記可制御スイッチング手段がオンかオフかにより両者の並列的接続の方向が互いに逆向きに切り換わる。
その切換えは前記第1、第2の可制御スイッチング手段、その開放スイッチング手段およびその第1、第2の電流制限手段によって行われる。
【0025】
このことによって、前記第1、第2の可制御スイッチング手段がオンのとき、前記直流電源手段は前記負荷手段に直流電圧を供給し、同時に前記キャパシタンス手段を充電する。一方、前記第1、第2の可制御スイッチング手段がオフのとき、前記キャパシタンス手段と前記負荷手段の並列的接続が逆向きに切り換わるので、前記キャパシタンス手段はその直流電圧と逆向きの電圧を前記第1、第2の電流制限手段を介して前記負荷手段に供給する。
その結果、前記直流電源手段を1つしか使わなくても前記第1、第2の可制御スイッチング手段がオン、オフするのに応じて前記負荷手段にプラス電圧を供給したり、マイナス電圧を供給したりすることができる。
【0026】
しかも、前記第1、第2の可制御スイッチング手段がオンのとき、前記直流電源手段が直流電圧を前記キャパシタンス手段を介さずに前記負荷手段に供給するので、『前記直流電源手段からの供給電圧を一定に保つことができる。』
(第1効果)
【0027】
また、その直流電圧は前記負荷手段を介さずに前記キャパシタンス手段に供給され、その充電電流をその負荷電流と分離、独立して設定できるので、『逆電圧供給用の前記キャパシタンス手段の充電を速やかに行うことができる。』
(第2効果)
この効果は、前記キャパシタンス手段の放電電流より充電電流の方をいくらでも大きく設定できるので、その放電に伴う電圧低下を小さくできることに結び付く。特に、その静電容量が大きい場合、その効果は顕著である。
【0028】
さらに、前記第1、第2の可制御スイッチング手段がオンのとき、前記負荷手段と前記キャパシタンス手段どちらも前記直流電源手段と並列的に接続されるから、『逆電圧供給用の前記キャパシタンス手段と前記負荷手段が互いに相手の印加電圧の大きさに影響を与えることは無い。』 (第3効果)
【0029】
それから、前記負荷手段が容量性負荷である場合、前記キャパシタンス手段の充電はこの容量性負荷を介さずに行われるため、この容量性負荷が蓄積する電荷以上の電荷を前記キャパシタンス手段に蓄積できるので、『容量性負荷の場合、電流バイパス手段をその容量性負荷に並列接続しなくてもその容量性負荷に逆電圧を供給することができる。』 (第4効果)
【0030】
そして、前記第1、第2の可制御スイッチング手段がオンで、前記直流電源手段が前記負荷手段に直接電圧を供給しているとき、同時に前記直流電源手段は常に前記負荷手段の両端電圧をその供給電圧にクランプしているので、『その供給の間に何らかの原因でその供給電圧が一時的にでも逆電圧供給用の前記キャパシタンス手段の電圧より小さくなっても、前記負荷手段に逆電圧が印加されることは無い。』 (第5効果)
【0031】
尚、各前記電流制限手段は前記第1、第2の可制御スイッチング手段がオンの時その通流電流の上限を制限するものなら、抵抗手段、定電流手段、内部抵抗のあるインダクタンス手段、負性抵抗手段、あるいは、これらを組み合わせたもの等、何でも良い。また、請求項4記載中の非可制御スイッチング手段の例としてダイオード、PN接合、コレクタとベースを接続したバイポーラ・トランジスタ、アノードとカソード・ゲート又はアノード・ゲートとカソードを接続した逆阻止型サイリスタ等が有る。さらに、前記第1、第2の可制御スイッチング手段はオン、オフ可能なスイッチング手段なら半導体スイッチでも機械的なスイッチでもリレーでもオン・オフ機能可制御スイッチング手段でも何でも良い。この場合、前記第1、第2の可制御スイッチング手段のオン、オフを1回しかしなくても前記キャパシタンス手段は「その電源電圧と同程度の大きさの逆極性電圧」を出力できることになる。
【0032】
【発明を実施するための最良の形態】
本発明をより詳細に説明するために、以下添付図面に従ってこれを説明する。図1の実施例は請求項1記載の電源手段に対応し、以下の通り図1の各構成要素が前述した各構成手段に相当する。
a)直流電源1とスイッチ26の直列回路が前述した直流電圧出力手段に。
b)コンデンサ8が前述したキャパシタンス手段に。
c)負荷41が前述した負荷手段に。
d)抵抗10が前述した第1の電流制限手段に。
e)抵抗11が前述した第2の電流制限手段に。
f)ダイオード4が前述した第1の非可制御スイッチング手段に。
g)ダイオード5が前述した第2の非可制御スイッチング手段に。
【0033】
その作用は次の通りである。スイッチ26がオンのとき、直流電源1がダイオード4、5を介してコンデンサ8を充電し、同時に負荷41に直流電圧を供給する。その後、スイッチ26がターン・オフすると、コンデンサ8が抵抗10、11を介して負荷41に先程と逆の電圧を供給する。
ところで、スイッチ26がオンのときコンデンサ8と負荷41が直流電源1に並列的に接続されるから、以下の効果が図1の実施例を含め、本発明に有る。
a)(直流電源1から)負荷41に供給される供給電圧は一定に保たれる。
b)負荷41を介さないのでコンデンサ8の充電は速やかに行われる。
c)コンデンサ8と負荷41は互いに相手の印加電圧に影響を与えない。
d)負荷41が容量性負荷の場合でも、負荷41に電流バイパス手段を並列接続しなくても、負荷41の蓄積電荷以上の電荷を蓄積できるコンデンサ8は負荷41に逆電圧を供給することができる。
e)何らかの原因でその電源電圧が一時的にでもコンデンサ8の電圧より小さくなっても、負荷41の両端電圧はその電源電圧にクランプされているので、負荷41は逆電圧を印加されることは全く無い。
【0034】
尚、負荷41が容量性負荷で、スイッチ26の電流制限作用(例:オン抵抗、接触抵抗、バイポーラ・トランジスタ又はIGBTのコレクタ電流の飽和による電流制限作用。)が足りない場合、スイッチ26の代わりに抵抗、定電流手段、抵抗手段または電流制限手段とスイッチ26の直列回路を用いても構わないし、又は、ダイオード4又は5の代わりに「抵抗、定電流手段、抵抗手段または電流制限手段」とダイオードの直列回路を用いても構わない。
また、抵抗10又は11の代わりに電流制限手段として、そのドレインとゲートを接続したノーマリィ・オフの絶縁ゲート型FET又はSIT、そのゲートとソースを接続したノーマリィ・オンのFET又はSIT、抵抗手段、定電流ダイオード、そのコレクタとベース間に抵抗または定電流ダイオードを接続したバイポーラ・トランジスタ、定電流手段、コイル又はインダクタンス手段と「スイッチ26のオン期間とオフ期間を制御するオン・オフ期間制御手段」の組合せ、インダクタンス手段と「抵抗、定電流手段または抵抗手段」の直列回路、負性抵抗手段、あるいは、これらのうち少なくともいずれか2つを組み合わせたものを使っても構わない。
さらに、スイッチ26の代わりにオン、オフ可能なスイッチング手段なら半導体スイッチでも機械的スイッチでもリレーでもオン・オフ機能可制御スイッチング手段でも何でも使うことができる。
【0035】
図9の実施例は、請求項1記載の電源手段に対応し、図1の実施例において抵抗10、11それぞれの代わりに電流制限手段としてノーマリィ・オンのトランジスタ53、ツェナー・ダイオード54及び抵抗18(代わりに抵抗55でも良い。)が形成する可変電流制限手段を1つずつ用いた電源手段である。尚、抵抗56は接続されていなくても構わない。この場合スイッチ26がオンの間コンデンサ8が完全に充電されて、その充電電流がツェナー・ダイオード54に充分なゲート逆バイアス電圧を生じできなくなる前にスイッチ26をターン・オフさせれば良い。あるいは、そうしなくてもトランジスタ53のもれドレイン電流がツェナー・ダイオード54にゲート逆バイアス電圧を生じるので大丈夫である。この時そのもれドレイン電流がツェナー・ダイオード54に生じる電圧降下(ゲート逆バイアス電圧)とこのゲート逆バイアス電圧がトランジスタ53に作用して通過させるもれドレイン電流は互いに影響し合い、一定の均衡状態に落ち付く。
【0036】
図10の実施例は、請求項1記載の電源手段に対応し、図1の実施例において抵抗10、11それぞれの代わりに電流制限手段としてノーマリィ・オフのトランジスタ57、58、ツェナー・ダイオード54、59及び抵抗18(抵抗18の代わりに抵抗56又は61でも良い。)が形成する可変電流制限手段を1つずつ用いた電源手段である。トランジスタ57、58とツェナー・ダイオード54又は59(あるいは抵抗55又は60)はサイリスタの疑似等価回路を構成し、ツェナー・ダイオード54(又は抵抗55)とツェナー・ダイオード59(又は抵抗60)がその疑似等価サイリスタのゲート逆バイアス用の各電圧降下手段で、抵抗18、56又は61はその疑似等価サイリスタのトリガー用のオン制御手段である。
【0037】
図11の実施例は、請求項1記載の電源手段に対応し、図1の実施例において抵抗10、11それぞれの代わりに電流制限手段としてノーマリィ・オンのトランジスタ63、64、ツェナー・ダイオード54、59及び抵抗18(抵抗18の代わりに抵抗55、56、60又は61でも良い。)が形成する可変電流制限手段を1つずつ用いた電源手段である。トランジスタ63、64がサイリスタの疑似等価回路を構成し、ツェナー・ダイオード54(又は抵抗55)とツェナー・ダイオード59(又は抵抗60)がその疑似等価サイリスタのゲート逆バイアス用の各電圧降下手段で、抵抗60、56、18、55又は61がその疑似等価サイリスタのトリガー用のオン制御手段である。
【0038】
図1、図9〜図11の各実施例において、負荷41に容量性負荷を使えば、これらの電源手段は容量性負荷の駆動回路に成る。容量性負荷には、例えば、圧電素子、液晶、エレクトロ・ルミネッサンス、電圧駆動型スイッチング手段(MOS・FET、IGBT)等が有る。
そして、負荷41に可制御スイッチング手段を使えば、これらの電源手段は、その可制御スイッチング手段に駆動用の順バイアス電圧または順バイアス電流を供給したり、駆動用の逆バイアス電圧または逆バイアス電流を供給したりする可制御スイッチング手段の駆動回路に成る。これらの様な可制御スイッチング手段の駆動回路、あるいは、これらを利用した1方向性絶縁型スイッチング回路、双方向性絶縁型スイッチング回路、3端子絶縁型スイッチング回路、3端子双方向性絶縁型スイッチング回路、非絶縁型のスイッチング回路、又は、非絶縁型の3端子スイッチング回路の各実施例を図19〜図44に示す。
【0039】
図12の実施例は、請求項1記載の電源手段に対応する可制御スイッチング手段の駆動回路で、ダイオード6、12が有れば図12の実施例は1方向性絶縁型スイッチング回路に成る。但し、コンデンサ9はトランジスタ2のゲート・ソース間静電容量で、前述した負荷手段である。図12の実施例の各構成要素は以下の通り前述した各構成手段に相当する。
a)直流電源1とトランジスタ3の直列回路が前述した直流電圧出力手段に。
b)トランジスタ2のゲート・ソース間静電容量が前述した負荷手段に。
c)ダイオード4が前述した第1の非可制御スイッチング手段に。
d)ダイオード5が前述した第2の非可制御スイッチング手段に。
e)抵抗10が前述した第1の電流制限手段に。
f)抵抗11が前述した第2の電流制限手段に。
g)コンデンサ8が前述したキャパシタンス手段に。
なお、トランジスタ2はその内蔵の逆並列ダイオードの存在により1方向だけ制御可能な1方向可制御2方向性スイッチング手段である。また、トランジスタ2とダイオード12の直列回路は1方向性スイッチング手段を構成する。
【0040】
その作用は次の通りである。トランジスタ3がオンのとき、直流電源1がダイオード4、5とトランジスタ3を介してコンデンサ8を充電し、同時に、(ダイオード6と)トランジスタ3を介してトランジスタ2をゲート逆バイアスする。その後トランジスタ3がターン・オフすると、コンデンサ8が抵抗10、11を介してコンデンサ9を先程と逆向きに充電してトランジスタ2をゲート順バイアスする。従って、コンデンサ8が電源コンデンサとして働き、直流電源1、トランジスタ3、ダイオード4、5及びコンデンサ8がもう1つ別の直流電源を構成すると考えることができるので、直流電源を1つしか使わなくてもトランジスタ2をゲート順バイアスしたり、ゲート逆バイアスしたり、することができる。
【0041】
その際、トランジスタ3がオンの時コンデンサ8、9が直流電源1に並列的に接続されるから、コンデンサ8の充電電圧はコンデンサ9の電圧(トランジスタ2のゲート逆バイアス電圧)に影響されることは無い。 (本発明の第3効果)また、トランジスタ2のオフ駆動中に何らかの原因によって一時的にでも直流電源1の電圧がコンデンサ8の電圧より小さくなっても、そのゲート・ソース間電圧はほぼその電源電圧にクランプされているので、トランジスタ2はゲート順バイアスされず、ターン・オンすることは全く無い。 (本発明の第5効果)さらに、トランジスタ3のオン期間中、直流電源1はコンデンサ8に充分な電荷を蓄積できるので、トランジスタ2をゲート順バイアスするために従来技術の様な電流バイパス手段を必要としない。 (本発明の第4効果)
【0042】
尚、トランジスタ3の電流制限作用(コレクタ電流の飽和)が足りない場合、そのベース電流を小さくしても良いし、又は、トランジスタ3の代わりに「抵抗、抵抗手段あるいは定電流手段」とトランジスタ3の直列回路を用いても良い。また、「駆動されるスイッチング手段」としてトランジスタ2の代わりに可制御なスイッチング手段なら、ノーマリィ・オン、オフに関係無く、自己ターン・オフ機能(=自己消弧機能)の有無に関係無く何でも使用できる。その場合その駆動信号の順逆バイアス電圧極性がトランジスタ2と同じなら、トランジスタ3がオフのとき、それはオンとなる。一方、PNP型トランジスタ、P型MOS・FET等の様にその駆動信号の順逆バイアス電圧極性がトランジスタ2と反対なら、そのオン、オフ動作は後述する図13のトランジスタ15の様に正反対になる。これらの様にその一部構成要素を入れ換えると。図12の実施例から新しい実施例(派生実施例)ができる。この事は他の実施例についても当てはまる。
【0043】
ところで、図12の実施例においてダイオード6が有る場合、後述する図38の実施例中の図上側トランジスタ2の様に直流電源1に対してそのソース電位が変化する使い方ができる。ダイオード6の接続位置は図19に示す接続位置の他にダイオード4のアノードと直流電源1の接続点と直流電源1の間でも良い。
そして、図12の実施例においてダイオード6、12が有る場合、この実施例は1方向性絶縁型スイッチング回路に成り、『変圧器や発光、受光ダイオード対などのアイソレーション手段を使わなくても、トランジスタ2とダイオード12を直列接続した1方向性の可制御スイッチを条件付きながら絶縁スイッチとして使うことができる』という効果が生じる。 (追加される効果)
【0044】
具体的に言えば、『スイッチ端子t1、t2どちらの電位も直流電源1のプラス電源端子電位より高い限り』すなわち『ダイオード4又は6と、ダイオード12又はトランジスタ2の内蔵ダイオードが同時にオンとならない限り』という条件付きながら、直流電源1と各スイッチ端子t1、t2は常に絶縁状態となる。ただし、各アノード・カソード間静電容量などの両主電極間静電容量や各スイッチング手段のオン、オフ切換え時のもれ電流などは無視している。
【0045】
その理由は次の通りである。トランジスタ3とダイオード4、6がオンのとき、トランジスタ2、その内蔵ダイオード及びダイオード12がオフとなるから、各スイッチ端子t1、t2と直流電源1は絶縁される。一方、トランジスタ3とダイオード4、6がオフで、トランジスタ2がオンのとき、直流電源1とトランジスタ2側の接続が切れるから、やはり各スイッチ端子t1、t2と直流電源1は絶縁される。従って、上記条件付きで直流電源1と各スイッチ端子t1、t2は常に絶縁状態となるので、各スイッチ端子t1、t2を直流電源1に対し電位不定の状態でこの1方向性絶縁型スイッチング回路を使用することができる。
【0046】
それから、図12の実施例においてダイオード6、12が有る場合、直流電源1の電位が安定していれば、もう1つ「変圧器や発光、受光ダイオード・ペアー等を使った絶縁スイッチには無い」効果、すなわち、「そのオフ時の両スイッチ端子t1・t2間のシールド機能」という効果も図12の実施例は持つ。
(追加される効果)
なぜなら、トランジスタ3がオンのとき、そのソースがダイオード6を介して直流電源1に直結されてそのソース電位が固定されるし、そのゲートもトランジスタ3を介して直流電源1に直結されてそのゲート電位が固定されるため、両スイッチ端子t1・t2間がシールドされる、からである。
その結果、トランジスタ2又はダイオード12のもれ電流などが両スイッチ端子t1・t2間を直接流れることは無く、直流電源1の方へ流れる。
【0047】
「後述する図31の実施例の様なダイオード・ブリッジ接続型の双方向性絶縁型スイッチング回路など」を除き、図12の実施例を含め「本発明を利用した同様の絶縁型スイッチング回路」を有線通信、通話の電子交換機等に使えば、上記効果は通信、通話の漏洩防止に役立つ。特に、その周波数が高くなるに連れて、使用する絶縁スイッチの両スイッチ端子間静電容量などが無視できなくなると、その効果の意義は大きい。
【0048】
図13の実施例は、図12の回路においてNMOSのトランジスタ2の代わりにPMOSのトランジスタ15を接続した可制御スイッチング手段の駆動回路である。このため、トランジスタ2、15の駆動信号の順逆バイアス電圧極性が反対だから、トランジスタ3のオン、オフとトランジスタ15のオン、オフは同じタイミングになる。この同じタイミング等のため、ダイオード6、12が有っても、この回路は前述の様に条件付きの絶縁スイッチとして使うことはできない。なぜなら、トランジスタ3、15がオンのとき、ダイオード4、6もオンであり、トランジスタ15はその内蔵ダイオードの作用により双方向に対して導通だから、スイッチ端子t20は直流電源1と導通状態にある、からである。
【0049】
そういう訳で、直流電源とオン・オフ可能スイッチング手段の直列回路が前述した直流電圧出力手段を構成する場合、本発明を用いた可制御スイッチング手段の駆動回路から1方向性絶縁型スイッチング回路または後述する種々の絶縁型スイッチング回路を構成するには、「前記オン・オフ可能スイッチング手段のオン、オフ」と「オン・オフ駆動されるスイッチング手段のオン、オフ」が逆である必要が有る。つまり、前記オン・オフ可能スイッチング手段がオンのとき前記直流電源がその「オン・オフ駆動されるスイッチング手段」を逆バイアス駆動する必要が有る。ところが、図13の回路ではトランジスタ3がオンのとき直流電源1がトランジスタ15をゲート順バイアスしてしまう。
【0050】
図14の実施例は、請求項1記載の電源手段に対応する「可制御スイッチング手段の駆動回路」又は「1方向性絶縁型スイッチング回路」である。図12の回路において前述した第2の電流制限手段として抵抗11の代わりにトランジスタ16、ダイオード17及び抵抗18を図14の様に接続した可変電流制限手段を用いた可制御スイッチング手段の駆動回路である。図12の回路では、トランジスタ3がオンのとき抵抗10、11が電流を消費するが、この消費を小さくするために各抵抗値を大きくすると、コンデンサ8がトランジスタ2をゲート順バイアスする際に流れるゲート順バイアス電流も小さくなり、そのゲート順バイアス電圧の立上りが鈍ってしまう、という問題点が有る。そこで、図14の実施例は、トランジスタ16等の使用によりその問題点を半分(図12の抵抗11によるエネルギー損失)改善することができる、という効果を持つ。
【0051】
具体的には、図14の回路においてトランジスタ3がオンのとき、コンデンサ8の充電電流がダイオード17を流れて電圧降下を生じ、トランジスタ16をベース逆バイアスするので、トランジスタ16はオフである。抵抗18の値を図12の抵抗11の値よりかなり大きくできるので、それによる電流消費を改善できる。一方、トランジスタ3がオフで、コンデンサ8がトランジスタ19をゲート順バイアスする時、抵抗18の電流がトランジスタ16をベース順バイアスするから、そのエミッタ電流はほぼ抵抗18の電流にその電流増幅率を掛けた値になる。その結果、見掛け上そのスイッチング手段の抵抗値は抵抗18の値をその電流増幅率で割った値になるから、抵抗18しか無い時に比べゲート順バイアス電流が大きくなって、そのゲート順バイアス電圧の立上りが鋭くなり改善される。
【0052】
尚、抵抗20が接続されていると、トランジスタ3のオン期間中にコンデンサ8の充電が完了しても、抵抗20の電流がダイオード17に電圧降下を生じ、トランジスタ16をしっかりとオフに保つ。この事は、後述する図16、図19、図21〜図24、図28、図31〜図36の各実施例についても同様に言える。ただし、図10〜図11の各回路中でオン制御手段として作用する各抵抗56、61も同じ作用をする。図29の回路についても言える。
【0053】
図15の実施例も、請求項1記載の電源手段に対応する「可制御スイッチング手段の駆動回路」あるいは「1方向性絶縁型スイッチング回路」である。図12の回路において前述した第1の電流制限手段として抵抗10の代わりにトランジスタ16、ダイオード17及び抵抗18を図15の様に接続した可変電流制限手段を用いた可制御スイッチング手段の駆動回路である。
【0054】
図15の実施例も図14の実施例と同様にトランジスタ16等を用いることによって図12の回路の問題点を半分(抵抗10によるエネルギー損失)改善することができる、という効果を持つ。但し、図15の回路では、トランジスタ21がオンのとき、トランジスタ19のゲート・エミッタ間静電容量の充電電流等がダイオード17を流れて電圧降下を生じ、トランジスタ16をベース逆バイアスする。尚、両ツェナー・ダイオード7が接続されていなくても、抵抗22が接続されていれば、トランジスタ21のオン期間中にトランジスタ19のゲート・エミッタ間静電容量の充電が完了しても、抵抗22の電流がダイオード17に電圧降下を生じ、トランジスタ16をしっかりとオフに保つ。
この事は、後述する図17、図18、図20、図22〜図24、図28〜図29、図31〜図36の各実施例についても同様に言える。
ただし、図15の実施例中の両ツェナー・ダイオード7又は抵抗22が果たす役割は、図6の従来回路中の両ツェナー・ダイオード7等が果たす役割と違う。前者の場合、トランジスタ16のターン・オフ時トランジスタ19のゲート・エミッタ間静電容量がスピード・アップ・コンデンサとして働くから、両ツェナー・ダイオード7又は抵抗22の通流電流は小さくても構わない。一方、後者の場合、コンデンサ8の蓄積エネルギーを多くするために両ツェナー・ダイオード7等は大きな電流をバイパスする必要が有るので、その通流電流は大きくなる。
【0055】
図16の実施例も請求項1記載の電源手段に対応する「可制御スイッチング手段の駆動回路」または「1方向性絶縁型スイッチング回路」である。この実施例では図14の回路においてトランジスタ16の代わりにトランジスタ23、16等が構成するサイリスタの等価回路を用いたので、抵抗18の値をさらに大きくでき、これによる電流消費をさらに低減できる、という効果を図16の実施例は持つ。この事は後述する図20、図22、図24、図28、図29、図31〜図35の各実施例についても同様である。抵抗18の代わりにオン制御手段として他の抵抗手段もしくは定電流手段などを使っても構わない。もちろん、その等価回路の代わりに本物のGTOサイリスタ又はSIサイリスタを使うこともできるが、その必要とするゲート逆バイアス電圧に応じ電圧降下の大きい電圧降下手段を使う必要が有る。
【0056】
図17の実施例も請求項1記載の電源手段に対応する「可制御スイッチング手段の駆動回路」あるいは「1方向性絶縁型スイッチング回路」である。図17の実施例でも、図17の回路において同様にトランジスタ16の代わりにトランジスタ23、16が構成するサイリスタの等価回路を用いたので、抵抗18の値をさらに大きくでき、抵抗18による電流消費をさらに低減できる、という効果を持つ。この事は、後述する図21、図23〜図24、図29、図32〜図35の各実施例についても同様に言える。抵抗18の代わりにオン制御手段として他の抵抗手段もしくは定電流手段を使っても構わない。もちろん、そのサイリスタ等価回路の代わりに本物のGTOサイリスタ、SIサイリスタまたは「後述する図48(a)〜(c)に示す各サイリスタ疑似等価回路」を使うこともできるが、その必要とするゲート(又はベース)逆バイアス電圧に応じて電圧降下の大きい電圧降下手段を使う必要が有る。
【0057】
図18の実施例は、図14の回路においてNPN型のトランジスタ16の代わりにPNP型のトランジスタ23を用い、ノーマリィ・オンの(ディプレッション・モードの)トランジスタ25をゲート逆バイアスする電流経路にダイオード17を含ませた可制御スイッチング手段(トランジスタ25)の駆動回路あるいは1方向性絶縁型スイッチング回路である。従って、ダイオード17に電圧降下を生じさせるのは、そのゲート・ソース間静電容量の充電電流などである。
【0058】
図19の実施例は、図15の回路において同様にNPN型のトランジスタ16の代わりにPNP型のトランジスタ23を用い、コンデンサ8を充電する電流経路にダイオード17を含ませた可制御スイッチング手段の駆動回路あるいは1方向性絶縁型スイッチング回路である。従って、ダイオード17に電圧降下を生じさせるのは、コンデンサ8の充電電流などである。
【0059】
図20の実施例は、図18の回路においてトランジスタ23の代わりにトランジスタ23、16等が構成するサイリスタの等価回路を用いた回路なので、抵抗18の値をより大きくして、抵抗18による電流消費をさらに低減できる、という効果を持つ。もちろん、その等価サイリスタの代わりに本物のGTOサイリスタ、SIサイリスタ又は後述する図49(a)〜(c)に示す各サイリスタ疑似等価回路を使うこともできるが、その必要とするゲート(又はベース)逆バイアス電圧に応じて電圧降下の大きい電圧降下手段を使う必要が有る。
【0060】
図21の実施例は、図19の回路においてトランジスタ23の代わりにトランジスタ23、16等が構成するサイリスタの等価回路を用いた回路なので、抵抗18の値をより大きくして、抵抗18による電流消費をさらに低減できる、という効果を持つ。もちろん、その等価サイリスタの代わりに本物のGTOサイリスタ、SIサイリスタ又は後述する図49(a)〜(c)に示す各サイリスタ疑似等価回路を使うこともできるが、その必要とするゲート(又はベース)逆バイアス電圧に応じて電圧降下の大きい電圧降下手段を使う必要が有る。
【0061】
図22の実施例は請求項1記載の電源手段に対応する「可制御スイッチング手段の駆動回路」あるいは「1方向性絶縁型スイッチング回路」である。図22の実施例ではトランジスタ16、23それぞれが各ダイオード17の順電圧によってベース逆バイアスされる様にしたので、トランジスタ23、16が構成するサイリスタの等価回路のターン・オフが図16、図20の各回路に比べて速くなり、そのオフの保持も安定する様になる、という効果が有る。
もちろん、その等価サイリスタの代わりにプラス・ゲート(=カソード・ゲート)とマイナス・ゲート(=アノード・ゲート)を持つ本物のGTOサイリスタ、SIサイリスタまたは後述する図50(a)〜(c)に示す各サイリスタ疑似等価回路を使うこともできる。その必要とする各ベース(又はゲート)逆バイアス電圧に応じて電圧降下の大きい電圧降下手段をそれぞれに使う必要が有る。
【0062】
図23の実施例も、請求項1記載の電源手段に対応する「可制御スイッチング手段の駆動回路」又は「1方向性絶縁型スイッチング回路」である。図23の実施例にもトランジスタ16、23それぞれが各ダイオード17の順電圧によってベース逆バイアスされる様にしたので、トランジスタ23、16が構成するサイリスタの等価回路のターン・オフが図17、図21の各回路に比べ速くなり、そのオフの保持も安定する様になる、という効果が有る。もちろん、その等価サイリスタの代わりにプラス・ゲートとマイナス・ゲートを持つ本物のGTOサイリスタ、SIサイリスタ又は後述する図50(a)〜(c)に示す各サイリスタ疑似等価回路を使うこともできる。その必要とする各ベース(又はゲート)逆バイアス電圧に応じて電圧降下の大きい電圧降下手段をそれぞれに使う必要が有る。
【0063】
図24の実施例も、請求項1記載の電源手段に対応する「可制御スイッチング手段の駆動回路」あるいは「1方向性絶縁型スイッチング回路」である。図31の実施例では図12の回路において前述した第1、第2の電流制限手段として抵抗10、11の代わりにトランジスタ16、23、2つのダイオード17及び抵抗18を図24の様に構成した可変電流制限手段を2つ用いているので、図12の回路の問題点(抵抗10、11によるエネルギー損失)を全部解決することができる、という効果が有る。この事は、図9〜図11、後述する図28〜図29、図31〜図37等の各実施例についても同様に言える。もちろん、各等価サイリスタの代わりにプラス・ゲートとマイナス・ゲートを持つGTOサイリスタ、SIサイリスタ又は後述する図50(a)〜(c)に示す各サイリスタ疑似等価回路を1つずつ使うこともできる。
【0064】
尚、図22〜図24等の各回路では、抵抗18がトランジスタ16、23の両ベース間に接続されているが、抵抗18の代わりに定電流手段あるいは他の抵抗手段を用いても良いし、図16、図17、図20、図21の各回路の様に一方のコレクタ・エミッタ間に抵抗18、他の抵抗手段あるいは定電流手段を接続しても良い。さらに、図10、図11の各実施例の様に他方のコレクタ・エミッタ間にも抵抗18又は定電流手段を接続しても良い。その定電流手段として、定電流ダイオード、コレクタ・ベース間に定電流ダイオードを接続したバイポーラ・トランジスタ等が有る。
【0065】
図25の実施例は、接合型FETのトランジスタ66とダイオード67どちらも無ければ1方向性絶縁型スイッチング回路であり、ダイオード67だけが有っても1方向性絶縁型スイッチング回路であり、トランジスタ66とダイオード67両方が有れば双方向性絶縁型スイッチング回路である。そして、前述した第1、第2の電流制限手段として定電流ダイオード68、69が使われている。
以上の様にダイオード(非可制御スイッチング手段)又はトランジスタ(可制御スイッチング手段)を追加接続することによって1方向性または双方向性の絶縁型スイッチング回路に発展させる事は、図12、図14〜図24の各実施例もしくはその派生実施例についても同様に言える。
【0066】
図26の実施例は双方向性絶縁型スイッチング回路である。図25の実施例が双方向性の場合、トランジスタ65、66の特性が揃っていないと、特に温度変化などの外的要因で両特性が大きくずれると、両ゲート順バイアス電流の分配がうまく行かず、スイッチ方向によってオン抵抗が極端にばらついてしまう、という欠点が有る。それに対して図26の実施例では各ゲート順バイアス電流の供給が独立しているので、そういう欠点は無い。しかも、駆動信号の順バイアス電圧が異なる2つのスイッチング手段を使う場合にも対応することができる。
【0067】
尚、図12、図14〜図24の1方向性絶縁型スイッチング回路の実施例もしくはその派生実施例のうち、バイアス電圧極性が同じである1方向性絶縁型スイッチング回路のいずれか2つ(同じ2つでも異なる2つでも構わない。)を逆並列接続し、「両方の駆動される可制御スイッチング手段の駆動信号入力用にその制御端子と対を成す主端子」同士を接続すれば、図34の実施例と同様な双方向性絶縁型スイッチング回路を構成することができる。
【0068】
図27の実施例は、双方向性絶縁型スイッチング回路で、図26の実施例において2つのコンデンサを共通化して1つにまとめた上に、2つのダイオードを使って2つのオン・オフ・スイッチを共通化して1つにまとめて図26の実施例を簡単化した様な回路である。ベース順バイアス電圧とベース順バイアス電流に関する前述した効果については図26の実施例の場合と変わらない。
【0069】
図28の実施例は、双方向性絶縁型スイッチング回路で、図12の回路においてダイオード6、12を設け、ダイオード12の代わりに別のトランジスタ2の内蔵ダイオードを使い、今まで述べて来たいくつかの変更と改良を施した回路である。尚、ダイオード内蔵の両トランジスタ2はどちらも1方向だけ可制御な1方向可制御双方向性スイッチである。この回路にも、図12の回路の説明で述べた条件付きながら直流電源1と各スイッチ端子t3、t4の間が常に絶縁される、という効果が有る。また、この回路には、直流電源1の電位が安定していれば、スイッチ26がオンのとき、両スイッチ端子t3、t4間をシールドするシールド効果も有る。なぜなら、両ソースがダイオード6、17を介して直流電源1に直結される。からである。このため、もれ電流などが一方のスイッチ端子から他方のスイッチ端子へ流れようとしても、それは直流電源1の方に流れてしまい、もれ電流が両スイッチ端子間を直接流れることが阻止される。
さらに、後述する図34の実施例の様にこの回路2つをスイッチ端子のところで接続すれば、3端子双方向性絶縁型スイッチング回路を構成することができる。その際、両直流電源1を別々にしても良いし、共通化して1つにまとめても良い。又は、2つのスイッチ26を1つの3端子スイッチで置き換えても良い。
【0070】
図29の実施例は、双方向性絶縁型スイッチング回路で、図28の実施例を変形したものである。4端子のN・MOSトランジスタが、図28の回路中にある2つの3端子NMOSトランジスタ2のゲート同士、ソース同士をそれぞれ接続した双方向スイッチと同じ役割を果たす。
( 参考:特開昭60−170322号の第1図と第2図 )図28の実施例の様な他の双方向性絶縁型スイッチング回路もこの様に4端子型のMOS・FETまたは絶縁ゲート型FETで置き換えることができる。
【0071】
図30の実施例は、双方向性絶縁型スイッチング回路で、ゲート順バイアス電圧の異なるトランジスタ65、25(接合型FETとMOS・FET)を組み合わせる際にツェナー・ダイオード70で両ゲート順バイアス電圧をマッチングしたものである。ツェナー・ダイオード70の代わりに電圧降下手段として抵抗や抵抗手段を使うことができる。
【0072】
図31の実施例は、双方向性絶縁型スイッチング回路で、前述と同様に条件付きながら『直流電源1と各スイッチ端子t5、t6の間が常に絶縁される』という効果を持つ。ただし、ダイオード・ブリッジ接続型整流回路が有るため、残念ながらシールド機能は無い。
この実施例を2つを接続すれば後述する図35の実施例の様に3端子双方向性絶縁型スイッチング回路を構成することができる。さらに、前述した図12、図14〜図24から発展させた双方向性絶縁型スイッチング回路(派生実施例)、図25〜図31の双方向性絶縁型スイッチング回路のいずれか2つを組み合わせて同様に3端子双方向性絶縁型スイッチング回路を構成することができる。
【0073】
図32の実施例は3端子絶縁型スイッチング回路である。2つの1方向性絶縁型スイッチング回路が同一方向に直列接続されているが、両者を内向きに又は外向きに直列接続した3端子絶縁型スイッチング回路もまた可能である。また、両者を逆並列接続すれば、図32の実施例は双方向性絶縁型スイッチング回路になる。本発明者は、トランジスタ27、28それぞれを電圧降下手段として使っているが、各バックゲート・ソース間を各コンデンサ8の電圧で逆バイアスすることにより各内蔵ダイオードの作用を無くしている。各トランジスタ16、23のエミッタ接合の順電圧が各内蔵ダイオード順電圧より小さければ、各バックゲートを各ソースに直接接続しても構わない。(参照:特開昭60−27227号)
【0074】
尚、図32の実施例の場合、ゲート・エミッタ間のバイアス電圧極性が同じである1方向性絶縁型スイッチング回路を2つ接続したので、その絶縁条件は『各スイッチ端子の電位をその電源電位より高く保つ』ことである。一方、ゲート・エミッタ間のバイアス電圧極性が逆である1方向性絶縁型スイッチング回路を2つ接続した場合、その絶縁条件は『各スイッチ端子の電位をそのバイアス電圧極性がプラスである方の電源電位より高く保ち、しかも、そのバイアス電圧極性がマイナスである方の電源電位より低く保つ』ことである。この様な絶縁条件は他の種々の絶縁型スイッチング回路を複数個接続した場合にも当てはまる。
【0075】
図33の実施例は3端子絶縁型スイッチング回路で、請求項1記載の電源手段に対応する。2つの1方向性絶縁型スイッチング回路が内向きに直列接続されているが、両者を同じ向きに又は外向きに直列接続した3端子絶縁型スイッチング回路も可能である。また、両者を逆並列接続すれば、図33の実施例は双方向性絶縁型スイッチング回路になる。
【0076】
図34の実施例は、3端子双方向性絶縁型スイッチング回路で、双方向性絶縁型スイッチング回路を2つ直列接続したものである。各トランジスタ16、23に接続される電圧降下手段としてダイオードと抵抗の直列回路が使われているが、ダイオードと抵抗の並列回路を使う方法も有る。
【0077】
図35の実施例も3端子双方向性絶縁型スイッチング回路で、双方向性絶縁型スイッチング回路を2つ直列接続したものである。各バイポーラ・トランジスタに接続される電圧降下手段としてダイオードと抵抗の直列回路または並列回路が使われている。
【0078】
図36の実施例は「本発明の電源手段を利用したスイッチング回路」をさらに利用した3端子スイッチング回路である。
【0079】
図37の実施例も「本発明の電源手段を利用したスイッチング回路」をさらに利用した3端子スイッチング回路である。この実施例は図19の回路と対称関係にある駆動回路に似たものにおいて、もう一方の電流制限手段として抵抗の代わりにトランジスタ16、ダイオード17及び抵抗18を接続したものを用いた回路である。このため、図12の実施例の問題点(抵抗10、11によるエネルギー損失)を全部解決することができる、という効果が図36、図37の各実施例にも有る。尚、前述した『対称関係にある回路』の意味は、元の回路において、方向性の有る各回路素子の向きを反対にし、元のスイッチング手段を反対の順逆バイアス電圧極性を持つスイッチング手段で置き換えた回路のことである。
【0080】
図38の実施例は、3端子スイッチング回路で、ダイオード6、12が有る図12の回路とそれらが無い図12の回路を組み合わせ、直流電源1を共通化して1つにまとめた3端子スイッチング回路である。
尚、この回路の様に図38上側のトランジスタ2側にダイオード6、12を接続して絶縁化することによって初めて両トランジスタ2がオフのとき、ダイオード32が接続されている場合なら『スイッチ端子t17の電位がスイッチ端子t18の電位とスイッチ端子t16の電位の間にある限り』という条件付きで、また、ダイオード32が接続されていない場合なら『スイッチ端子t17の電位がスイッチ端子t18の電位より高い限り』という条件付きで、直流電源1等とスイッチ端子t17を絶縁し、スイッチ端子t17を開放することができる。
【0081】
図39の実施例は、3端子スイッチング回路で、図24の可制御スイッチング手段の駆動回路などを図38の回路の様に組み合わせて3端子スイッチを構成した3端子スイッチング回路である。
【0082】
図40の実施例は、3端子スイッチング回路で、図13の回路においてダイオード6の部分の代わりにトランジスタ15の内蔵ダイオードの部分を使い、ダイオード12を使わず、Nチャネル型トランジスタ2を組み合わせて3端子スイッチを構成した3端子スイッチング回路である。トランジスタ2にとっても図12の様な駆動回路が構成されている。
【0083】
図41の実施例は、3端子スイッチング回路で、「図14、図23の可制御スイッチング手段の駆動回路部を組み合わせて構成した、3端子スイッチ機能を持つ3端子スイッチング回路」と対称関係にある3端子スイッチング回路である。(参考:実開平3−128332号)
【0084】
図42の実施例は3端子絶縁型スイッチング回路を利用した3端子スイッチング回路である。同様に図32の実施例を利用して3端子スイッチング回路を構成することもできる。
【0085】
図43の実施例は、前述した第1、第2の電流制限手段として「抵抗10とコイル29の直列回路」及び「抵抗11とコイル30の直列回路」が使われている可制御スイッチの駆動回路である。図43の回路ではトランジスタ31がターン・オフすると、コンデンサ8と共にコイル29、30がゲート順バイアスのエネルギーをトランジスタ2に供給するので、コンデンサ8の充電電圧つまり直流電源1の電圧が「必要とするゲート順バイアス電圧」より小さくても大丈夫である。なぜなら、その電圧不足分をコイル29、30が補うからである。この効果は図43の実施例を含め、少なくとも1つの電流制限手段にコイル等のインダクタンス手段を使う本発明に有る。
【0086】
図44の実施例では前述した負荷手段に相当するNMOSトランジスタのゲート・ソース間静電容量は負荷45(スイッチング回路の負荷)を介して直流電源とスイッチの直列回路の両端子間に接続されている。
【0087】
図45の実施例は、前述した直流電圧出力手段として「直流電源、スイッチ及び変圧器の組合せ」を用いた絶縁電源手段である。
図46の実施例は、前述した直流電圧出力手段として「直流電源、スイッチ、抵抗および発光・受光ダイオード対の組合せ」を用いた絶縁電源手段である。
図47の実施例は図45の実施例を利用した絶縁型スイッチング回路である。図48の実施例は図46の実施例を利用した絶縁型スイッチング回路である。
【0088】
図49(a)〜(c)の各スイッチング手段は本発明の構成手段となる電流制限手段に相当する可変電流制限手段の構成要素となるスイッチング手段の3例である。絶縁ゲート型スイッチング手段2つを図49(a)の様に接続したスイッチング手段などの場合、トランジスタ135、136だけでは直流に対してスイッチング手段を構成することはできず、トランジスタ135、136及びダイオード192又は193で直流に対して1つのスイッチング手段を構成している。と言うのは、ダイオード192、193どちらも接続されていないと、トランジスタ135、136がオンになっても、各ゲート・ソース間が直流的に絶縁されているから、である。そのために、ダイオード192又は193の接続が必要となるが、その代わりに直流電流を通す回路素子としては他に抵抗、各種抵抗手段、各種定電圧手段、各種定電流手段、各種電圧降下手段、各種電流制限手段、各種通流手段、あるいは、これらを組み合わせたもの、などが有る。一方、図49(b)〜(c)の各スイッチング手段の場合、トランジスタ139のゲート・ソース間PN接合あるいはトランジスタ129のベース・エミッタ間PN接合が有るため、トランジスタ136、139あるいはトランジスタ136、129だけで直流に対してスイッチング手段を構成することができる。勿論、図49(b)〜(c)の様に各スイッチング手段中のトランジスタ136のソース・ゲート間にダイオード193を1つずつ接続した各スイッチング手段も有る。
【0089】
図50(a)〜(c)に示す「スイッチング手段を使った各電流制限手段」は、本発明の構成要素となる電流制限手段の1つとなる可変電流制限手段の3例である。尚、これらの可変電流制限手段では、オン制御手段として複数の抵抗が接続されているが、そのうちの少なくとも1つが接続されていれば、これらは可変電流制限手段として作用する。また、図50(b)〜(c)の各可変電流制限手段では、各ツェナー・ダイオード133は双方向の定電圧手段として働き、その順方向の定電圧手段は図49(a)に示すスイッチング手段のダイオード192、193のそれと同じで通流手段として働き、そのツェナー電圧方向の定電圧手段は逆バイアス用の電圧降下手段として働く。抵抗194、197も双方向の定電圧手段として働くので、これらが接続されていれば、ツェナー・ダイオード133は無くても良いが、過電圧対策として有った方が良い。
【0090】
さらに、図50(a)〜(c)の各可変電流制限手段において、トランジスタ129、132、135、136それぞれの代わりにその駆動電圧の順逆バイアス電圧極性が同じで、自己ターン・オフ機能を持つスイッチング手段ならノーマリィ・オン、ノーマリィ・オフに関係無く何でも使うことができる。ただし、必要とする逆バイアス電圧に応じて逆バイアス用の電圧降下手段に電圧降下の大きいものを使う必要がある。そして、MOS・FETや絶縁ゲート型スイッチング手段の様にその駆動信号入力用に対を成す制御端子と主端子の間が直流に対して絶縁されているなら、図49(a)〜(c)の各スイッチング手段の説明で述べた通りその順バイアス方向の通流手段が必要で有る。
【0091】
それから、図50(a)の可変電流制限手段ではトランジスタ129、132がサイリスタの等価回路を形成するが、この等価サイリスタを本物のプラス・ゲートとマイナス・ゲートを持つGTOサイリスタ又はノーマリィ・オフのSIサイリスタで置き換えても良いし、図50(b)の可変電流制限手段でもトランジスタ135、136がノーマリィ・オンのSIサイリスタの等価回路を構成するが、この等価サイリスタをプラス・ゲートとマイナス・ゲートを持つノーマリィ・オンのSIサイリスタで置き換えても良い。
【0092】
図51(a)、(b)〜図53(a)、(b)各図に1つずつ示す各実施例は請求項2記載の電源手段に対応する電源手段である。
図54(b)〜図55(a)、(b)と図56の各実施例は請求項3記載の電源手段に対応し、さらに図54(b)と図55(a)の各実施例は請求項4記載の電源手段に対応し、図55(b)と図56の各実施例は請求項5記載の電源手段に対応する。図54(b)の実施例の各構成要素は以下の通り請求項3記載中の各構成手段に相当する。
a)直流電源1が同項記載中の直流電源手段に。
b)負荷41が同じく負荷手段に。
c)トランジスタ301が同じく第1の可制御スイッチング手段に。
d)GTOサイリスタタ302が同じく第2の可制御スイッチング手段に。
e)抵抗10が同じく第1の電流制限手段に。
f)抵抗11が同じく第2の電流制限手段に。
g)コンデンサ8が同じくキャパシタンス手段に。
h)ダイオード4が同じく開放スイッチング手段に。
【0093】
最後に、以下の事を補足する。
a)図14〜図17、図36、37等の各回路においてスイッチング手段として、トランジスタ16又は53もしくは等価サイリスタの代わりにNチャネル型の「FET、MOS・FET、IGBT、SIT」、プラス・ゲートのGTOサイリスタ、SIサイリスタ又はNPN型バイポーラ・トランジスタ等、駆動信号の順逆バイアス電圧極性がトランジスタ16又は53等と同じで、自己ターン・オフ機能を持つスイッチング手段なら何でも使うことができる。但し、必要とする逆バイアス電圧の大きさに応じ電圧降下手段の電圧降下を大きくす
る必要が有る。
b)図18〜図21等の各回路において第1のスイッチング手段としてトランジスタ23もしくは等価サイリスタの代わりにPチャネル型の「FET、MOS・FET、IGBT、SIT」、マイナス・ゲートのGTOサイリスタまたはSIサイリスタ等、駆動信号の順逆バイアス電圧極性がトランジスタ23と同じで、自己ターン・オフ機能を持つスイッチング手段なら何でも使うことができる。但し、必要とする逆バイアス電圧の大きさに応じて電圧降下手段の電圧
降下を大きくする必要が有る。
【0094】
c)図10、図11、図16〜図17、図20〜図24、図28〜図29、図31〜図35、図39、図41〜図42、図47〜図48等の各回路において、等価サイリスタもしくは等価サイリスタに似たスイッチング手段を形成するトランジスタの一方もしくはそれぞれの代わりに駆動信号の順逆バイアス電圧極性がそれのと同じで、自己ターン・オフ機能を持つスイッチング手段なら何でも使うことができる。但し、必要とする逆バイアス電圧の大きさに応じて電圧降下手段の電圧降下を大きくする必要が有るし、その電圧降下手段は双方向の通流電流に対して電圧降下を生じる必要が有る場合も有る。なお、バイポーラ・トランジスタのエミッタ接合や接合型FETやノーマリィ・オン型SITの場合そのPN接合もその電圧降下手段に含まれる。当然の事ながら、上述の各回路中の等価サイリスタまたは等価サイリスタに似たスイッチング手段を本物のGTOサイリスタ又はSIサイリスタで置き換えることもできる。
【0095】
d)前述した第1、第2の電流制限手段は「前述の直流電圧出力手段が直流電圧を出力している時その通流電流の上限を制限するもの」なら何でも構わない。例えば、抵抗、そのドレインとゲートを接続した絶縁ゲート型FETあるいはSIT、抵抗手段、定電流ダイオード、そのコレクタ・ベース間に定電流ダイオードを接続したバイポーラ・トランジスタ、そのゲートとソースを接続したノーマリィ・オン型FET又はSIT、定電流手段、コイル又はインダクタンス手段と抵抗の直列回路、前述の直流電圧出力手段が直流電圧を出力する期間と出力しない期間の比を制御するデュティ比制御手段とインダクタンス手段の組合せ、負性抵抗手段、前述の直流電圧出力手段が直流電圧を出力している時より出力していない時の方がその電流制限機能が小さくなる可変電流制限手段、これらのうち少なくとも2つを組み合わせたもの、等がある。従って、各実施例中の電流制限手段の代わりに電流制限手段として上述の電流制限手段を使用した実施例も可能である。
【0096】
e)前述した電圧降下手段として、抵抗、そのコレクタとベースを直接または抵抗もしくはダイオードを介して接続したバイポーラ・トランジスタ、そのドレインとゲートを直接または抵抗もしくはダイオードを介して接続したMOS・FET、その駆動信号入力用に対を成さない制御端子と主端子を直接または抵抗もしくはダイオードを介して接続したスイッチング手段、その駆動信号入力用に対を成す制御端子と主端子を接続したノーマリィ・オン型スイッチング手段、抵抗手段、ダイオード、PN接合、非可制御スイッチ、ダイオード又は非可制御スイッチ2つを逆並列接続したもの、ツェナー・ダイオード、ツェナー・ダイオード2つを逆向きに直列接続したもの、ツェナー・ダイオードとダイオードの直列回路、定電圧手段、抵抗とダイオードの直列回路もしくは並列回路、抵抗と非可制御スイッチの直列回路と非可制御スイッチを逆並列接続したもの、又は、これらのうち少なくとも2つを組み合わせたもの、等が有る。
従って、図9〜図11、図14〜図24、図28〜図29、図31〜図37、図39、図41〜図42、図47〜図48の各実施例において電圧降下手段としてツェナー・ダイオード(54、59)、抵抗(55、60)、ダイオード等の代わりに上述の電圧降下手段を使用した実施例も可能である。
【0097】
f)前述したオン制御手段として抵抗、そのドレインとゲートを直接または抵抗もしくは定電流手段を介して接続したMOS・FET又は絶縁型FET又はSIT、抵抗手段、定電流ダイオード、そのコレクタ・ベース間に抵抗または定電流ダイオード又は定電流手段を接続したバイポーラ・トランジスタ、定電流手段、電流制限手段、又は、これらのうち少なくとも2つを組み合わせたもの、等が有る。従って、図9〜図11、図14〜図24、図28〜図29、図31〜図37、図39、図41〜図42、図47〜図48の各実施例において抵抗18、55、56、60、61等の代わりにオン制御手段として上述のオン制御手段を使用した実施例も可能である。
g)条件付きで絶縁化した図12、図14〜図25、図43等のいずれか2つ(同じ2つでも異なる2つでも構わない。)の1方向性絶縁型スイッチング回路を逆並列接続した双方向性絶縁型スイッチング回路も可能である。
【0098】
h)条件付きで絶縁化した図12、図14〜図25、図43等のいずれか2つ(同じ2つでも異なる2つでも構わない。)の1方向性絶縁型スイッチング回路を同じ向きに、内向きに、あるいは、外向きに直列接続した3端子絶縁型スイッチング回路も可能である。
i)『条件付きで絶縁化した図12、図14〜図25、図43等のいずれか1つの1方向性絶縁型スイッチング回路』と、『上述g)の双方向性絶縁型スイッチング回路、図25〜図31の双方向性絶縁型スイッチング回路、以前に述べた図32、図33を利用した逆並列接続の双方向性絶縁型スイッチング回路などのいずれか1つ』を直列接続した3端子絶縁型スイッチング回路もまた可能である。ただし、その1方向性絶縁型スイッチング回路の向きによってさらに
その種類が2倍になる。
【0099】
j)上述g)の双方向性絶縁型スイッチング回路、図25〜図31の双方向性絶縁型スイッチング回路、以前に述べた図32、図33を利用した逆並列接続の双方向性絶縁型スイッチング回路などのいずれか2つ(同じ2つでも異なる2つでも構わない。)を直列接続した3端子双方向性絶縁型スイッチング回路も可能である。
k)『条件付きで絶縁化した図12、図14〜図25、図43等いずれか1つの1方向性絶縁型スイッチング回路』と『条件付きで絶縁化した図12、図14〜図25、図43等のいずれか1つの1方向性絶縁型スイッチング回路』を接続し、さらに、その接続箇所に『条件付きで絶縁化した図12、図14〜図25、図43等のいずれか1つの1方向性絶縁型スイッチング回路』を接続し、同様に所定数その接続箇所に接続した多端子絶縁型スイッチング回路が可能である。
【0100】
l)『上述g)の双方向性絶縁型スイッチング回路、図25〜図31の双方向性絶縁型スイッチング回路、以前に述べた図32、図33を利用した逆並列接続の双方向性絶縁型スイッチング回路などのいずれか1つ』と『上述g)の双方向性絶縁型スイッチング回路、図25〜図31の双方向性絶縁型スイッチング回路、以前に述べた図32、図33を利用した逆並列接続の双方向性絶縁型スイッチング回路などのいずれか1つ』を接続し、さらにその接続箇所に『上述g)の双方向性絶縁型スイッチング回路、図25〜図31の双方向性絶縁型スイッチング回路、以前に述べた図32、図33を利用した逆並列接続の双方向性絶縁型スイッチング回路などのいずれか1つ』を接続し、同様に所定数その接続箇所に接続した多端子双方向性絶縁型スイッチング回路が可能である。
【0101】
m)切換えの対象となる回路構成手段(例:能動素子、受動素子など)又は回路(例:有線通信手段、有線通話手段、アンプなど)又は負荷(例:ACモーター、スピーカーなど)と『上述g)の双方向性絶縁型スイッチング回路、図25〜図31の双方向性絶縁型スイッチング回路、以前に述べた図32、図33を利用した逆並列接続の双方向性絶縁型スイッチング回路などのいずれか1つ』を直列接続した直列回路を所定の数だけ並列接続した多端子切換え型双方向性絶縁型スイッチング回路が可能である。
n)これまで述べて来た双方向性絶縁型スイッチング回路のいずれか1つと、その2次コイルに点火用放電ギャップを接続した点火コイル(点火用昇圧変圧器)の1次コイルを直列接続した直列回路を所定の数だけ並列接続すれば、所定の点火コイルすなわちその2次側に接続された点火用放電ギャップを選択できる点火配電回路を構成することができる。尚、各双方向性絶縁型スイッチング回路は全部同じものでもそうでなくても構わない。
【0102】
o)本発明の双方向性絶縁型スイッチング回路の利用分野として電子交換機中で回線同士の接続を切り換える回線切換え手段がある。例えば、所定数の導線を上から見て縦(斜めでも良いが。)に並べ、さらに接触しない様にそこに別の所定数の導線を上から見て横(斜めでも良いが。)に並べ、上から見て縦と横の各導線が交叉する各交叉箇所近辺を本発明の双方向性絶縁型スイッチング回路で1つずつ接続するのである。その双方向性絶縁型スイッチング回路にシールド機能を持つものを使えば、絶縁抵抗や浮遊容量などを通じた通信や通話の漏洩を防止することができる。特にキャリヤ周波数などが高くなると効果的。p)各実施例またはそれから派生した派生実施例において、その構成要素となる各半導体スイッチをその相補関係にある半導体スイッチで置き換え、方向性のある各回路構成手段(例:直流電源、ダイオード、電解コンデンサ等。)の向きを逆にした電圧極性に関して元の回路に対し対称関係にある回路ももちろん可能である。
【0103】
q)図47、図48の各実施例では、コンデンサ8がトランジスタ2の順バイアス時そのゲート順バイアス電流を横取りする様に作用するので、トランジスタ2のターン・オンは遅れる。一方、トランジスタ2のターン・オフ時コンデンサ8の充電電流がトランジスタ2を強力に逆バイアスするので、そのターン・オフは速い。そこで、図47、図48の絶縁型スイッチング回路2つ(同じ2つでも異なる2つでも構わない。)を直列接続して3端子スイッチング回路を構成すれば、同時オンによる短絡が起き難いという効果が生じる。
【0104】
【先 行 技 術】
a)実開平3−69936号 b)実開平3−80691号
c)特開平4−170813号 d)特開平5−226998号
e)特開平5−268037号 f)特開平5−304453〜4号
g)開平6−196991号 h)特開平6−219389号
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例を示す回路図である。
【図2〜図5】各図は、従来の電源手段の例を1つずつ示す回路図である。
【図6】従来の可制御スイッチの駆動回路と1方向性絶縁型スイッチング回路の1例を示す回路図である。
【図7〜図8】各図は、従来の3端子スイッチング回路の例を1つずつ示す回路図である。
【図9〜図48】各図は、本発明の実施例を1つずつ示す回路図である。
【図49】本発明の構成手段である電流制限手段の1つである可変電流制限手段の構成要素となるスイッチング手段を3例示す回路図である。
【図50】本発明の構成手段である電流制限手段の1つである可変電流制限手段を3例示す回路図である。
【図51〜図55】各図は、本発明の実施例を2つずつ示す回路図である。
【図56】本発明の1実施例を示す回路図である。
【符 号 の 説 明】
41 負荷(電源手段の負荷)
t1〜t6 スイッチ端子
t11〜t20 スイッチ端子
19、21、42、43 IGBT
24 トランジスタ(ノーマリィ・オン型SIT)
25、53 トランジスタ(ノーマリィ・オン型MOS・FET)
63〜66 トランジスタ(接合型FET)
45 負荷(スイッチング回路の負荷)
68、69 定電流ダイオード
71 無安定マルチバイブレータ
Claims (5)
- 直流電圧を出力したり、しなかったりを制御できる直流電圧出力手段の両端の間に負荷手段を接続し、
前記両端のプラス側に第1の非可制御スイッチング手段のプラス側を接続し、
前記第1の非可制御スイッチング手段のマイナス側と前記両端のマイナス側の間に第1の電流制限手段を接続し、
前記両端のマイナス側に第2の非可制御スイッチング手段のマイナス側を接続し、
前記両端のプラス側と前記第2の非可制御スイッチング手段のプラス側の間に第2の電流制限手段を接続し、
前記第1の非可制御スイッチング手段のマイナス側と前記第2の非可制御スイッチング手段のプラス側の間にキャパシタンス手段を接続したことを特徴とする電源手段。 - 前記第1、第2の非可制御スイッチング手段の少なくとも一方を「前記直流電圧が出力されるときオン駆動される1方向性の可制御スイッチング手段」で置き換えたことを特徴とする請求項1記載の電源手段。
- 直流電圧を供給する直流電源手段の一端に負荷手段を接続し、
前記負荷手段の開放端と前記直流電源手段の他端の間に第1の可制御スイッチング手段を接続し、
前記一端と「前記負荷手段と前記第1の可制御スイッチング手段の接続部」の間に第1の電流制限手段を接続し、
前記一端にキャパシタンス手段を接続し、
前記キャパシタンス手段の開放端と前記他端の間に「前記第1の可制御スイッチング手段に連携してオン・オフ駆動される第2の可制御スイッチング手段」を接続し、
前記一端と「前記キャパシタンス手段と前記第2の可制御スイッチング手段の接続部」の間に第2の電流制限手段を接続し、
前記第1、第2の可制御スイッチング手段がオフで、前記キャパシタンス手段が放電するとき「前記キャパシタンス手段と前記第1の電流制限手段の接続部」と「前記負荷手段と前記第2の電流制限手段の接続部」の間を開放する開放スイッチンク手段を設けたことを特徴とする電源手段。 - 前記開放スイッチンク手段として、
「前記一端、前記負荷手段および前記第2の電流制限手段の接続部」と「「前記キャパシタンス手段と前記第1の電流制限手段の接続部」の間に前記直流電圧に対して順方向となる様に非可制御スイッチング手段を接続したことを特徴とする請求項3記載の電源手段。 - 前記非可制御スイッチング手段を「前記第1、第2の可制御スイッチング手段に連携してオン駆動される1方向性の可制御スイッチング手段」で置き換えたことを特徴とする請求項4記載の電源手段。
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