JP3553509B2 - 半導体集積回路及びその検査方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の階調レベルを出力する機能と、DAコンバータを有する半導体集積回路及び半導体集積回路の検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶パネルの大型化・高精細化に伴い、液晶パネルに搭載される液晶ドライバLSIは、多出力化・多階調化が進む傾向にある。液晶ドライバLSIの液晶パネルに対して切り替え可能な階調レベル数は、現在64階調から256階調であるが、今後は1024階調まで進むと予想される。また、液晶パネルに対する液晶ドライバLSIの出力数は、現在400出力程度であるが、近い将来1000出力を超えると予想される。
【0003】
液晶ドライバLSIの階調レベル数は、基準電圧発生回路としてデバイス内部に内蔵されたガンマ補正抵抗回路の基準電源入力端子から印加された電圧に対する抵抗分割比により決定される。よって、この分割比が細分化されるほど、多階調化が進む。また、液晶ドライバLSIはこの多階調表示を行うために、階調レベル数に対応したDAコンバータ(Digital Analog Converter;以下、DACと称する。)を内蔵し、階調電圧を出力する。
【0004】
例えば、64階調表示用液晶ドライバLSIには、6bitDACが内蔵されており、256階調表示用液晶ドライバLSIには、8bitDACが内蔵されている。また、1024階調表示用液晶ドライバには、10bitDACが内蔵されることになる。
【0005】
このような多階調・多出力の液晶ドライバLSIに対しては、DACから出力されるそれぞれの階調電圧比の全てが、各レベルのディジタル画像データに対応して正しく変換された電圧値を出力しているかどうか、また、各DAC間において出力される階調電圧が、それぞれ互いに均一であるかどうか等の検査を行っている。
【0006】
ここで、m出力n階調のDAC回路を内蔵した液晶ドライバLSIを例に、従来の検査方法を説明する。図12は、高精度電圧測定器を用いた従来の液晶ドライバLSIの検査方法を示した概略の構成図である。液晶ドライバLSI13の液晶制御用出力端子12(12−1〜12−m)を、半導体試験装置14の検査信号入力端子15(15−1〜15−m)にそれぞれ接続する。
【0007】
半導体試験装置(以下、テスタと称する。)14の図外の出力端子から液晶ドライバLSI13のデータ入力端子9のD1端子乃至D6端子のそれぞれに、事前に設定している全出力端子数分の階調ディジタルデータを、階調レベルごとに順次入力する。各レベルの階調ディジタルデータは、液晶ドライバLSI13に内蔵されたDAC回路7でDA変換されて、階調データに対応した基準電圧が選択される。そして、出力アンプ6(6−1〜6−m)を介して階調出力電圧としてアナログ電圧が液晶制御用出力端子12(12−1〜12−m)から出力される。
【0008】
この操作をn階調分繰り返して行い、最終的には全出力・全階調分のデータをメモリ17に格納する。この結果、メモリ17には、m×n個分の電圧数値データが格納されることになる。メモリ17に格納された全ての電圧値データは、テスタ14に内蔵されている演算装置18を用いて演算し、各出力における各階調電圧値の試験を行う。
【0009】
次に、図13に基づいて、液晶ドライバLSI13の1液晶制御用出力端子、1アナログ階調電圧値の測定方法を説明する。図13は、DAC回路の詳細な構成を示した従来の液晶ドライバLSIの概略構成図である。なお、図13では、液晶ドライバLSI13の1液晶制御用出力端子12及びこの端子に接続したトランジスタスイッチ21の構成を記載し、他の液晶制御用出力端子及びトランジスタスイッチは省略している。液晶ドライバLSI13において、DAC回路7は、階調選択回路8、トランジスタスイッチ21、ガンマ補正抵抗22を備える。階調選択回路8には、データ入力端子9のD1端子乃至D6端子とラッチパルス入力端子LS10とが接続されている。
【0010】
ガンマ補正抵抗22は、所定の抵抗値である複数の抵抗が直列に接続された構成である。ガンマ補正抵抗22には、直列に接続された所定の抵抗ごとに基準電圧入力端子11が設けられている。図13においては、10レベルの基準電圧入力端子V1〜V10が設けられている。ガンマ補正抵抗22の各抵抗の端部は、複数の階調電圧ラインである複数の基準電圧ライン5にそれぞれ接続されている。基準電圧入力端子11から入力された電圧は、ガンマ補正抵抗22によって分圧されて、基準電圧ライン5の各ラインへ、それぞれ異なる64階調電圧として供給される。
【0011】
トランジスタスイッチ21は、複数のトランジスタによって構成され、6bit入力(64階調)の場合は、64個のトランジスタによって構成される。トランジスタスイッチ21の各トランジスタは、オペアンプ6の入力端子と各基準電圧ライン5とを接続するためのものであり、階調選択回路8から出力された信号に応じてトランジスタスイッチ21はオンオフをする。
【0012】
データ入力端子9のD1端子乃至D6端子から入力された階調データは、ラッチパルス入力端子LS10から入力された信号により取り込まれ、階調選択回路8にて64階調選択信号に変換される。この64階調選択信号によって、DAC回路7の64個のトランジスタスイッチ21のうち1つだけがオンし、他の63個はオフのままとなる。
【0013】
この時、基準電圧入力端子11から印加された基準電圧は、ガンマ補正抵抗22を通過して、64階調のアナログ電圧値へと変換されており、上記のように、オンしたトランジスタ21のみが、オペアンプ6を介して液晶制御用出力端子12へアナログ電圧値を出力する。そして、出力されたアナログ電圧値を、テスタ14の高精度アナログ測定器16によって電圧測定を行う。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
従来の液晶ドライバLSIの試験に関しては、以下のような問題があった。すなわち、
(1) 半導体集積回路の機能動作精度に関するテスト精度保証について
多階調化が進むことにより、各階調レベル間の出力電位差は大幅に縮小される。これは、前記のように基準電圧生成回路としてデバイス内部に内蔵されたガンマ補正抵抗回路において、基準電源入力端子から印加された電圧に対する抵抗分割比により決定され、この分割比が細分化されるほど、多階調化が進むことによる。つまり、64階調の6〔V〕駆動液晶ドライバの隣接階調間の出力階調電位差が93.75〔mV〕(=6000〔mV〕/64〔階調〕)であったのに対し、256階調の6〔V〕駆動の液晶ドライバLSIでは、23.44〔mV〕(=6000〔mV〕/256〔階調〕)となる。したがって、各階調レベルごとの隣接階調間における出力電位差が、出力電圧偏差(端子間のばらつき)よりも小さい場合、上記の判定値では、データの読み込みなどの論理回路不良による1階調レベル化けなど、高精度電圧測定器16による検査であっても、各階調レベルごとの出力電圧が入力画像ディジタルデータに対応していることに関する検査精度の信頼性確保が困難となる。
【0015】
(2) 階調出力電圧のコンパレータ判定化について
通常テスタには、高精度電圧測定器は1台から4台程度しか搭載されていないが、コンパレータは、500台程度も搭載されている。よって、テスタが備えるコンパレータを用いた判定の利点は、液晶ドライバLSIの液晶制御用出力端子12の同時測定と同時判定とが可能となることにある。
【0016】
しかしながら、コンパレータは約0.1〔V〕以下の階調出力電圧レベル差を識別することは不可能であるため、液晶ドライバLSIの論理回路に関するテスト精度を保証することは困難である。
【0017】
例えば、液晶ドライバLSIが、ある特定の階調レベルで3.0〔V〕を出力する場合、この階調レベルのコンパレータ判定の判定上限値はコンパレータの精度から、最大値で3.1〔V〕、判定下限値は最小値で2.9〔V〕となる。つまり、この2つの判定レベルの電位差は0.2〔V〕であり、上記の例で示した256階調の6〔V〕駆動液晶ドライバLSIでは、1階調当たりの階調出力電位差が23.44〔mV〕であるため、この2つの判定レベル間には、8〜9階調分の階調出力レベルが含まれてしまう。よって、1階調レベルの入力データに対応する個別の階調出力電圧に対象を絞ったテストが実施できないという問題がある。
【0018】
(3) テスト時間の大幅な増加とテストコストの増加について
液晶ドライバLSIの多出力化・多階調化が進むことにより、従来の検査方法では、テスト時間の大幅な増加と高精度電圧測定器を搭載する高価なテスタが必要となる。よって、テストコストは激増する一方となってきている。
【0019】
例えば、200出力64階調の液晶ドライバLSIでは、テスト時間が5秒程度であるのに対し、400出力256階調の液晶ドライバLSIでは25秒程度となる。また、1000出力1024階調の液晶ドライバLSIでは、1チップ当たりのテスト時間が100秒を超えると予想される。
【0020】
このため、テストコストを低減するためには、今後の多出力化・多階調化する液晶ドライバLSIの検査に関しても高い検査精度を確保し、且つ短時間で検査が可能な技術の確立が必要不可欠である。
【0021】
そこで、本発明は上記の問題を解決するために創作されたものであり、その目的は、アナログ測定を基本として液晶ドライバLSIの検査を実施しているために検査困難であった論理回路部の検査を完全にディジタル判定可能とする半導体集積回路及びその検査方法を提供することである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の課題を解決するための手段として、以下の構成を備えている。
【0023】
(1) 基準電圧入力端子から印加した電圧を複数の抵抗により複数の異なる電圧値の階調電圧に分圧し、各階調電圧をそれぞれ異なる階調電圧ラインへ供給する階調電圧生成回路と、データ入力端子から入力したディジタルデータに応じて、電圧出力端子から出力する階調電圧を供給する該階調電圧ラインを選択可能なDAC回路と、を備えた半導体集積回路において、該階調電圧生成回路から該複数の階調電圧ラインへの階調電圧の供給を無効にする階調電圧無効回路と、試験装置のコンパレータで識別可能な電圧幅のパルス電圧を出力するパルス発生回路と、該パルス発生回路から出力されたパルス電圧を単位時間ごとにシフトして該複数の階調電圧ラインへ供給するパルスシフト回路と、を備えたことを特徴とする。
【0024】
この構成において、半導体集積回路は、基準電圧入力端子から印加した電圧を複数の抵抗により複数の異なる電圧値の階調電圧に分圧し、各階調電圧をそれぞれ異なる階調電圧ラインへ供給する階調電圧生成回路と、データ入力端子からディジタルデータを入力して、電圧出力端子から出力する階調電圧を選択可能なDAC回路と、を備えており、階調電圧生成回路から複数の階調電圧ラインへの階調電圧の供給を階調電圧無効回路で無効に切り替え可能であり、試験装置が備えるコンパレータで識別可能な電圧幅のパルス電圧を出力するパルス発生回路から出力されたパルス電圧を、複数の階調電圧ラインへ単位時間ごとにパルスシフト回路でシフトして供給する。したがって、試験装置のコンパレータにより半導体集積回路の内部論理回路のディジタル判定が可能となり、高速且つ確実に半導体集積回路の検査を行うことが可能となる。
【0025】
(2) 前記シフト回路から前記複数の階調電圧ラインへの階調電圧の供給を無効にするパルス電圧無効回路を備えたことを特徴とする。
【0026】
この構成において、半導体集積回路は、パルスシフト回路から複数の階調電圧ラインへのパルス電圧の供給を無効に切り替え可能なパルス電圧無効回路を備えている。したがって、半導体集積回路を通常の方法で使用している場合には、パルスシフト回路からパルス電圧が誤って供給されたとしても、パルス電圧無効回路によってその供給を無効にすることが可能となり、半導体集積回路は問題なく使用できる。
【0027】
(3) (1) または(2) に記載の半導体集積回路の検査方法であって、
前記階調電圧生成回路から複数の階調電圧ラインへの階調電圧の供給を前記階調電圧無効回路で無効に切り替えて、前記パルス発生回路で発生させたパルス電圧を、前記パルスシフト回路で第1の単位時間ごとにシフトして前記複数の階調電圧ラインへ供給するとともに、前記データ入力端子から入力するディジタルデータを第2の単位時間ごとに切り替えて、前記階調電圧ラインを前記DAC回路で選択し、前記試験装置のコンパレータで前記電圧出力端子から出力されたパルス電圧の出力値と期待値とを比較することを特徴とする。
【0028】
この構成において、半導体集積回路を試験装置のコンパレータで検査する際には、階調電圧生成回路から複数の階調電圧ラインへの階調電圧の供給を階調電圧無効回路で無効に切り替えて、パルス発生回路で発生させたパルス電圧を、パルスシフト回路で第1の単位時間ごとにシフトして複数の階調電圧ラインへ供給するとともに、データ入力端子から入力するディジタルデータを第2の単位時間ごとに切り替えて、電圧出力端子から出力する階調電圧を供給する階調電圧ラインをDAC回路で選択し、電圧出力端子から出力されたパルス電圧の出力値と期待値との比較を行う。したがって、電圧出力端子から出力する階調電圧を供給する階調電圧ラインをDAC回路で選択した状態で、各階調電圧ラインへパルス電圧を供給して検査を行い、DAC回路で別の階調電圧ラインを選択した状態で、各階調電圧ラインへパルス電圧を供給して検査を行う、という検査を全階調電圧ラインに対して行うことが可能となり、確実に半導体集積回路の内部論理回路を検査することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施形態に係る半導体集積回路である液晶ドライバLSIの概略の構成を示した回路図である。本発明の液晶ドライバLSI33は、従来の液晶ドライバLSI13のDAC7に、階調電圧無効回路であるトランジスタスイッチ1、パルス発生回路2、パルスシフト回路3及びパルス電圧無効回路であるトランジスタスイッチ4を設けて、DAC回路20aとしたものである。なお、液晶ドライバLSI33において、従来の液晶ドライバLSI13と同一部分には、同一符号を付して詳細な説明を省略する。また、図1には、図13と同様に、液晶ドライバLSI33の電圧出力端子である液晶制御用出力端子12の1端子及びこの端子に接続したトランジスタスイッチ21の構成を記載し、他の液晶制御用出力端子及びトランジスタスイッチは省略している。
【0030】
トランジスタスイッチ1は、基準電圧生成回路である基準電圧入力端子11及びガンマ補正抵抗22を無効にするものであり、アナログ回路部である基準電圧入力端子11とガンマ補正抵抗22とを、液晶ドライバLSI33から切り離す。液晶ドライバLSI33では、トランジスタスイッチ1をオフにすることで、基準電圧入力端子11とガンマ補正抵抗22とを切り離すことができる。
【0031】
また、検査時におけるディジタル出力化を実現するために、液晶ドライバLSI13はパルス発生回路2を備えるとともに、その発生したパルスが階調電圧ラインである基準電圧ライン5を単位時間(クロック端子TCK23に入力するクロックパルスTCKのサイクル)ごとにシフトしていくように、パルスシフト回路3を備えている。
【0032】
さらに、液晶ドライバLSI33の通常動作時には、パルス発生回路2及びパルスシフト回路3の誤動作などが、液晶ドライバLSI33に影響を与えないように、これらの回路を切り離すためのパルス電圧無効回路であるトランジスタスイッチ4を備えている。液晶ドライバLSI33では、トランジスタスイッチ4をオフにすることで、パルス発生回路2及びパルスシフト回路3を切り離すことができる。
【0033】
図2は、本発明の液晶ドライバLSIの検査時における各波形のタイミングチャートである。図2に示したように、各基準電圧ライン5に印加されるパルス電圧は、ラッチパルス入力端子LS10からラッチパルスLSが入力され、クロック端子TCK23から入力されたクロックパルスTCKが立ち上がるごとに、シフトして入力される。なお、クロック端子TCK23から入力するクロックパルスTCKは、液晶ドライバLSI33が本来内蔵している基準クロックを使用してもよいが、専用端子としてクロック端子TCK23を設けることにより、液晶制御用出力端子12の駆動能力を考慮したテストを行うことができる。
【0034】
データ入力端子9のD1端子乃至D6端子から入力した6bit(64階調)の階調データは、ラッチパルス入力端子LS10から入力されたラッチパルスLSにより取り込まれ、階調選択回路8において64階調選択信号に変換される。この64階調選択信号により、DAC回路20a内の64個のトランジスタスイッチ21が1つだけオンされ、他の63個のトランジスタスイッチはオフのままとなる。
【0035】
この時、トランジスタスイッチ1がオフされて、基準電圧入力端子11及びガンマ補正抵抗22は回路(各基準電圧ライン5)から切り離されているため、階調電圧は供給されない。また、トランジスタスイッチ4はオンに設定され、パルス発生回路2及びパルスシフト回路3は、各基準電圧ライン5に接続されている。
【0036】
ラッチパルス入力端子LS10から入力されたラッチパルスLSに同期して、パルス発生回路2から発生したパルス信号は、パルスシフト回路3を介してクロックパルス端子TCK23から入力されたクロックパルスTCKの単位時間ごとに基準電圧ライン5にシフトして供給される。そのため、液晶制御用出力端子12には、1つだけオンしているトランジスタスイッチ21と接続された基準電圧ライン5のパルスが出力される。
【0037】
図3は、本発明を用いた480出力、8bit(256階調)のDACを内蔵する液晶ドライバの検査を行うための構成を示した構成図である。テスタ14の図外の出力端子から液晶ドライバLSI43のデータ入力端子9のD1端子乃至D8端子に、480出力分の階調ディジタルデータを階調レベルごとに順次入力すると、各レベルの階調ディジタルデータは、図2に示したようなパルス電圧として出力される。これらのディジタル電圧は、テスタ14に内蔵されているコンパレータ19(19−1〜19−480)を用いて、480出力同時に測定して判定を行う。この操作をトランジスタスイッチ21の各トランジスタについて、第1の単位時間ごとに256階調分繰り返して行い、内部論理回路部の試験を行う。
【0038】
また、データ入力端子9からディジタルデータを入力して、トランジスタスイッチ21のあるトランジスタのみをオンにして、1つの基準電圧ライン5をDAC回路20bで選択した状態で、上記の操作を256階調分繰り返して行う。さらに、この操作をトランジスタスイッチ21の各トランジスタについて、第2の単位時間(=第1の単位時間×256階調分)ごとに256階調分繰り返して行い、内部論理回路部の試験を行う。
【0039】
上記のように、半導体集積回路の内部論理回路部の試験を、電圧出力端子から出力する階調電圧を供給する基準電圧ラインをDAC回路で選択した状態で、各基準電圧ラインへパルス電圧を供給して検査を行い、DAC回路で別の基準電圧ラインを選択した状態で、各基準電圧ラインへパルス電圧を供給して検査を行うことにより、検査を全基準電圧ラインに対して行うことが可能となり、確実に半導体集積回路の内部論理回路を検査することができる。
【0040】
次に、8bit入力(256階調)6V出力の従来の液晶ドライバLSIの出力例と、図3に示した8bit入力(256階調)の本発明の液晶ドライバLSIの出力例とを比較して説明する。図4は、従来の液晶ドライバLSIに階調″0″の8bitデータ″00000000″入力した場合のタイミングチャートである。図5は、従来の液晶ドライバLSIに階調″128″の8bitデータ″10000000″を入力した場合のタイミングチャートである。図6は、従来の液晶ドライバLSIに階調″255″の8bitデータ″11111111″を入力した場合のタイミングチャートである。図4においては、入力したデータに対応するアナログ電圧値0.0Vが、液晶制御用出力端子から出力される。また、図5においては、入力データに対応するアナログ電圧値3.0Vが、液晶制御用出力端子から出力される。さらに、図6においては、入力したデータに対応するアナログ電圧値6.0Vが、液晶制御用出力端子から出力される。
【0041】
一方、図7は、本発明の液晶ドライバLSIに階調″0″の8bitデータ″00000000″を入力した場合のタイミングチャートである。図8は、本発明の液晶ドライバLSIに階調″128″の8bitデータ″10000000″を入力した場合のタイミングチャートである。図9は、本発明の液晶ドライバLSIに階調″255″の8bitデータ″11111111″を入力した場合のタイミングチャートである。
【0042】
本発明の液晶ドライバLSI43においては、パルス発生回路2から0Vと6Vの2電圧値を基準とするパルス電圧を発生する。図7においては、ラッチパルス入力端子LS10からラッチパルスLSが入力され、クロックパルス端子TCK23から入力されたクロックパルスTCKが入力されて0単位時間後に、液晶制御用出力端子12から電圧パルスが出力される。図8においては、ラッチパルス入力端子LS10からラッチパルスLSが入力され、クロックパルス端子TCK23から入力されたクロックパルスTCKが入力されて128単位時間後に、液晶制御用出力端子12から電圧パルスが出力される。さらに、図8においては、ラッチパルス入力端子LS10からラッチパルスLSが入力され、クロックパルス端子TCK23から入力されたクロックパルスTCKが入力されて255単位時間後に、液晶制御用出力端子12から電圧パルスが出力される。
【0043】
このように、従来の液晶ドライバLSIの液晶制御用出力からは、0.0Vから6.0Vまでのアナログ電圧値が出力されていたが、本発明を用いることで、0.0Vと6.0Vの2値のみを出力するパルス電圧として、ディジタル値が出力される。また、液晶制御用出力端子から出力される電位差が6.0Vとなったことで、テスタが内蔵するコンパレータによる内部分離回路のディジタル判定が可能となる。
【0044】
図10は、図3に示した本発明の液晶ドライバLSIの検査時において、階調″170″の8bitデータ″10101010″を入力したときの液晶制御用出力端子からの出力と、テスタのコンパレータの期待値と、を示したタイミングチャートである。液晶ドライバLSI43に対して階調データ″170″を入力することで、液晶制御用出力端子12からは、ラッチパルスLSの入力後、クロックパルスTCKの170サイクルまでは0Vが出力される。その後、クロックパルスTCK1サイクルだけ6Vが出力され、その後にクロックパルスTCK85サイクルの間0Vが出力される。
【0045】
この時、予め準備しているコンパレータの期待値は、ラッチパルスLSの立ち上がりからクロックパルスTCK170サイクルまでは、L期待(0V期待)である。また、次のクロックパルスTCK1サイクルだけH期待(6V期待)、そして、クロックパルスTCK85サイクルは、L期待(0V期待)となっている。そのため、それぞれが完全に一致しており、テスタ14のコンパレータ19による判定は良品判定となる。
【0046】
一方、図11は、図3に示した本発明の液晶ドライバLSIの検査時において、階調″170″の8bitデータ″10101010″を入力した時に、内部論理回路が故障していた場合の液晶制御用出力端子からの出力と、コンパレータの期待値と、を示したタイミングチャートである。図11は、入力した8bitデータが1bitだけ取り込みミスをしてしまう故障例を示したものである。つまり、入力した8bitデータ″10101010″は、″10101011″と内部回路に取り込まれてしまう。この場合、取り込まれたデータは、″10101011″となっているため、液晶制御用出力端子12からはラッチパルスLSの入力後、クロックパルスTCKが開始してから171サイクルまでは0Vが出力される。その後、クロックパルスTCKの1サイクルだけ6Vが出力され、さらにその後にクロックパルスTCK84サイクルの間は0Vが出力される。クロックパルスTCK170サイクル目は、コンパレータの期待値がH期待値であるのに対して、液晶制御用出力端子12からは0Vが出力される。また、クロックパルスTCK171サイクル目はL期待値であるのに対して、液晶制御用出力端子12からは6Vが出力される。そのため、テスタ14のコンパレータ19による判定は不良となる。
【0047】
このように、テスタ14が備えるコンパレータによって、液晶ドライバLSIの内部回路の検証を完全に行うことが可能である。また、本発明においては、試験時間の短時間化を同時に実現することが可能となる。
【0048】
すなわち、従来の液晶ドライバLSIにおいて、高精度電圧計によるテスト時間は、液晶ドライバLSIの階調出力電圧を1階調ずつ、1液晶制御用出力端子ごとに測定していた。例えば、480出力で256階調の液晶ドライバLSIの検査時間は、この液晶ドライバLSIの階調出力電圧駆動時間(出力遅延)を20〔mS〕とすると、高精度電圧計による電圧計測時間は、高精度アナログ測定器が1台の場合、
((液晶制御用出力端子数)/(テスタが有するアナログ測定器数))×(階調数)×(階調出力電圧駆動時間)=(480/1)×256×20=2457.6〔mS〕となる。
【0049】
また、この値は電圧計測時間を示すものであり、実際の総テスト時間は各電圧データのメモリ格納時間と演算処理時間とが、別途加算されたものとなるため、さらに長くなる。
【0050】
これに対し、本発明の液晶ドライバLSIにおいては、コンパレータ判定が可能であり、液晶ドライバLSIの各階調出力を全液晶制御用出力端子に対して同時測定・同時判定できることから、コンパレータ判定によるテスト時間は次のようになる。すなわち、コンパレータ判定に必要な電圧立ち上がり時間(第1の単位時間)を10〔μS〕とすると、階調選択回路の入力端子9から所定の信号を入力して、トランジスタスイッチ21の1つのトランジスタのみをオンさせる。そして、前記のように、パルス発生回路2で発生されたパルスをクロックパルスTCKによって決まる第1の単位時間ごとに、パルスシフト回路3でシフトさせて、各基準電圧ライン(256階調)について検査を行う。この検査をトランジスタスイッチ21の各トランジスタについて行う。
【0051】
トランジスタスイッチ21の各トランジスタは、階調選択回路8によって第2の単位時間ごとに切り替えられることとなり、256倍の時間が必要であるが、コンパレータ判定によるテスト時間は全出力一括同時判定でできる。したがって、時系列を用いたディジタル出力化を行っているため、
Figure 0003553509
【0052】
よって、従来の液晶ドライバLSIにおける高精度電圧計を用いた検査時間に対して、本発明の液晶ドライバLSIの検査時間は約1/4に短縮することができる。
【0053】
なお、式1において、パルスシフト回数は、本発明では常に階調数と同数である。また、本発明の液晶ドライバLSIの検査に用いたコンパレータ判定に必要な電圧の立ち上がり時間は、液晶制御用出力端子12に接続されたオペアンプ6の能力によって決定されるものである。よって、より短時間にテストが実施できるようにDFT(Design For Test )設計することも可能である。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0055】
(1) 半導体集積回路は、基準電圧入力端子から印加した電圧を複数の抵抗により複数の異なる電圧値の階調電圧に分圧し、各階調電圧をそれぞれ異なる階調電圧ラインへ供給する階調電圧生成回路と、データ入力端子からディジタルデータを入力して、電圧出力端子から出力する階調電圧を選択可能なDAC回路と、を備えており、階調電圧生成回路から複数の階調電圧ラインへの階調電圧の供給を階調電圧無効回路で無効に切り替え可能であり、試験装置が備えるコンパレータで識別可能な電圧幅のパルス電圧を出力するパルス発生回路から出力されたパルス電圧を、複数の階調電圧ラインへ単位時間ごとにパルスシフト回路でシフトして供給することによって、試験装置のコンパレータにより半導体集積回路の内部論理回路のディジタル判定が可能となり、高速且つ確実に半導体集積回路の検査を行うことができる。
【0056】
(2) 半導体集積回路は、パルスシフト回路から複数の階調電圧ラインへのパルス電圧の供給を無効に切り替え可能なパルス電圧無効回路を備えているため、半導体集積回路を通常の方法で使用している場合には、パルスシフト回路からパルス電圧が誤って供給されたとしても、パルス電圧無効回路によってその供給を無効にすることができるので、半導体集積回路は問題なく使用できる。
【0057】
(3) 半導体集積回路を試験装置のコンパレータで検査する際には、階調電圧生成回路から複数の階調電圧ラインへの階調電圧の供給を階調電圧無効回路で無効に切り替えて、パルス発生回路で発生させたパルス電圧を、パルスシフト回路で第1の単位時間ごとにシフトして複数の階調電圧ラインへ供給するとともに、データ入力端子から入力するディジタルデータを第2の単位時間ごとに切り替えて、電圧出力端子から出力する階調電圧を供給する階調電圧ラインをDAC回路で選択し、電圧出力端子から出力されたパルス電圧の出力値と期待値との比較を行うので、電圧出力端子から出力する階調電圧を供給する階調電圧ラインをDAC回路で選択した状態で、各階調電圧ラインへパルス電圧を供給して検査を行い、DAC回路で別の階調電圧ラインを選択した状態で、各階調電圧ラインへパルス電圧を供給して検査を行う、という検査を全階調電圧ラインに対して行うことが可能となり、確実に半導体集積回路の内部論理回路を検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る液晶ドライバLSIの概略の構成を示した回路図である。
【図2】本発明の液晶ドライバLSIの検査時における各波形のタイミングチャートである。
【図3】本発明を用いた480出力、8bit(256階調)のDACを内蔵する液晶ドライバの検査を行うための構成を示した構成図である。
【図4】従来の液晶ドライバLSIに階調″0″の8bitデータ″00000000″入力した場合のタイミングチャートである。
【図5】従来の液晶ドライバLSIに階調″128″の8bitデータ″10000000″を入力した場合のタイミングチャートである。
【図6】従来の液晶ドライバLSIに階調″255″の8bitデータ″11111111″を入力した場合のタイミングチャートである。
【図7】本発明の液晶ドライバLSIに階調″0″の8bitデータ″00000000″を入力した場合のタイミングチャートである。
【図8】本発明の液晶ドライバLSIに階調″128″の8bitデータ″10000000″を入力した場合のタイミングチャートである。
【図9】本発明の液晶ドライバLSIに階調″255″の8bitデータ″11111111″を入力した場合のタイミングチャートである。
【図10】本発明の液晶ドライバLSIの検査時において、階調″170″の8bitデータ″10101010″を入力したときの液晶制御用出力端子からの出力と、テスタのコンパレータの期待値と、を示したタイミングチャートである。
【図11】本発明の液晶ドライバLSIの検査時において、階調″170″の8bitデータ″10101010″を入力した時に、内部論理回路が故障していた場合の液晶制御用出力端子からの出力と、コンパレータの期待値と、を示したタイミングチャートである。
【図12】高精度電圧測定器を用いた従来の液晶ドライバLSIの検査方法を示した概略の構成図である。
【図13】DACの詳細な構成を示した従来の液晶ドライバLSIの概略構成図である。
【符号の説明】
1−トランジスタスイッチ(階調電圧無効回路)
2−パルス発生回路
3−パルスシフト回路
4−トランジスタスイッチ(階調電圧無効回路)
5−基準電圧ライン
7,20a,20b−DAコンバータ回路
12−電圧出力端子
14−試験装置
19−コンパレータ
33−液晶ドライバLSI

Claims (3)

  1. 基準電圧入力端子から印加した電圧を複数の抵抗により複数の異なる電圧値の階調電圧に分圧し、各階調電圧をそれぞれ異なる階調電圧ラインへ供給する階調電圧生成回路と、データ入力端子から入力したディジタルデータに応じて、電圧出力端子から出力する階調電圧を供給する該階調電圧ラインを選択可能なDAコンバータ回路と、を備えた半導体集積回路において、
    該階調電圧生成回路から該複数の階調電圧ラインへの階調電圧の供給を無効にする階調電圧無効回路と、試験装置のコンパレータで識別可能な電圧幅のパルス電圧を出力するパルス発生回路と、該パルス発生回路から出力されたパルス電圧を単位時間ごとにシフトして該複数の階調電圧ラインへ供給するパルスシフト回路と、を備えたことを特徴とする半導体集積回路。
  2. 前記シフト回路から前記複数の階調電圧ラインへの階調電圧の供給を無効にするパルス電圧無効回路を備えたことを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路。
  3. 請求項1または2に記載の半導体集積回路の検査方法であって、
    前記階調電圧生成回路から複数の階調電圧ラインへの階調電圧の供給を前記階調電圧無効回路で無効に切り替えて、
    前記パルス発生回路で発生させたパルス電圧を、前記パルスシフト回路で第1の単位時間ごとにシフトして前記複数の階調電圧ラインへ供給するとともに、
    前記データ入力端子から入力するディジタルデータを第2の単位時間ごとに切り替えて、前記階調電圧ラインを前記DAコンバータ回路で選択し、前記試験装置のコンパレータで前記電圧出力端子から出力されたパルス電圧の出力値と期待値とを比較することを特徴とする半導体集積回路の検査方法。
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