JP3552962B2 - 移動壁 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動壁に関し、特に、移動壁の下端および上端に形成される隙間をシール(密封)するための構造に係り、例えば、コンベンションホールや宴会場、会議室、研修室およびギャラリー等の空間を所望のサイズや雰囲気に間仕切りする移動間仕切りに利用して有効なものに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、コンベンションホールや宴会場、会議室、研修室およびギャラリー等の空間を使用目的に対応して所望のサイズや雰囲気に間仕切りする移動間仕切りは、これら建築空間の天井に敷設されたレールに沿って移動する移動壁が複数枚組み合わされて構築されている。このような移動間仕切りに使用される従来の移動壁として、長方形のパネル形状に形成された壁体が天井に敷設されたレールにサスペンションによって懸架されているものがある。
【0003】
ところが、この移動壁においては、床面と壁体との間に壁体の移動に必要な隙間が形成されるため、間仕切り時における美観や防音効果が低下する。そこで、壁体の下端にシール体が出没自在に装着されているとともに、このシール体が壁体に反力をとった付勢手段によって突出する方向に付勢されており、壁体にシール体を没入させる操作装置が設けられている移動壁が、従来から使用されている。この移動壁においては、間仕切りした後に、付勢手段によってシール体が壁体の下端から突出されて壁体と床面との間の隙間がシールされることにより、隙間による美観や防音効果の低下が防止される。
【0004】
従来のこの種の移動壁の操作装置として、実用新案登録番号第2529576号公報に開示されている移動壁のシール機構がある。この移動壁のシール機構は、壁体の枠(フレーム)部材に設けられた巻取ホイールに一端が固定されているワイヤの他端側がシール体に連係されており、ワイヤの巻き取りによってシール体が壁体に没入され、ワイヤの繰り出しによってシール体が壁体から突出されるように構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、コンベンションホールや宴会場等の大形化に伴って移動壁も大形化する傾向にある。移動壁を比例的に大形化した場合には移動壁の重量も比例的に増加してしまう。しかしながら、移動壁の重量が増加すると、移動壁を走行自在に懸垂するためのトロリーやレール、それらを支持する梁や支柱等を堅牢に構築する必要があるため、製造コストの大幅な増加を余儀なくされる。
【0006】
本発明の目的は、壁体を軽量化を図って大形化を実現することができる移動壁を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記した課題を解決するための手段は、レールに沿って移動する壁体の下端および上端の少なくとも一方にシール体が出没自在に装着されているとともに、このシール体が前記壁体に反力をとった付勢手段によって突出する方向に付勢されており、前記壁体に前記シール体を没入させる操作装置が設けられている移動壁において、
前記壁体のフレームは下側フレーム部材、上側フレーム部材、左側フレーム部材および右側フレーム部材がアルミニウム押出材によってそれぞれ形成され、これらのフレーム部材が枠形状に組み付けられており、前記上側フレーム部材はスチール材によって形成された吊り部材により下側から支持され、この吊り部材が前記レールに走行自在に設置されたトロリーに懸垂されていることを特徴とする。
【0008】
前記した手段によれば、壁体がアルミニウム材によって構築されているため、重量を大幅に軽く設定することができる。その結果、移動壁を大形化しても重量の増加を抑制することができるため、移動壁を走行自在に懸垂するトロリーやレール、それらを支持する梁や支柱等の強度についての制約を緩和することができ、製造コストを大幅に低減することができる。また、同一重量に設定した場合にはシール性能や防音性能を高めることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面に即して説明する。
【0010】
本実施形態において、本発明に係る移動壁は、移動間仕切りに使用するのに好適に構成されている。図1、図2および図3に示されているように、移動壁10は長方形の中空体のパネル形状(所謂太鼓形状)に構築された壁体11を備えており、壁体11は天井面1に敷設されたレール2にトロリー3によって走行自在に懸架されている。なお、図1中、4はトロリーのロッド、5はシール部材、6は天井板、7は床面、8はジュータン等の敷物である。
【0011】
図4に示されているように、壁体11はいずれもアルミニウム押出材によって略チャンネル型鋼形状にそれぞれ形成された下側フレーム部材20、上側フレーム部材30、左側フレーム部材51および右側フレーム部材52を備えており、これらのフレーム部材20、30、51、52は長方形の枠形状に組み立てられている。図1および図3に示されているように、長方形の枠形状に組み立てられたフレーム部材20、30、51、52の表側面および裏側面には一対の面板60、60が張り付けられている。このように長方形の中空パネル形状に形成された壁体11の中空部内にはガラスウール等の吸音材12が充填されている。
【0012】
図1および図4に示されているように、下側フレーム部材20は溝(チャンネル)の開口部21側が下向きになった状態で水平に配置されており、溝の内部空間によって下側シール体用収納部(以下、下側収納部という。)22が形成されている。下側収納部22の天井面には下側フレーム部材20と同時に押出成形された張出部23が一対、平行に配置されて垂直方向下向きにそれぞれ突設されている。下側フレーム部材20の両張出部23、23間にはチャンネル型鋼によって形成されたブラケット24が垂直下向きに固定されており、ブラケット24には後記する操作装置のリンクバーが枢支されている。
【0013】
下側収納部22の下端部内には下側シール体26が垂直方向へ摺動自在に収納されており、下側収納部22と下側シール体26との対向面間には一対のシール部材25、25がそれぞれ介設されている。下側シール体26はアルミニウム押出材によってチャンネル型鋼形状に形成された本体27を備えており、本体27は溝の開口部側が上向きになるように配置されて下側収納部22内に収納されている。本体27の溝底には一対の隔壁部材28、28が平行に配置されてそれぞれ固定されており、両隔壁部材28、28は下側収納部22の両張出部23、23に内側において近接するようになっている。本体27における両隔壁部材28、28の両脇の空間にはグラスウール等の吸音材13が充填されている。また、両隔壁部材28、28間にはチャンネル型鋼によって形成されたブラケット29が固定されており、ブラケット29には後記する操作装置のリンクバーが枢支されている。
【0014】
図1および図4に示されているように、上側フレーム部材30は溝(チャンネル)の開口側が上向きになるように水平に配置されており、溝の内部空間によって上側シール体用収納部(以下、上側収納部という。)31が形成されている。上側収納部31の両側壁の内面には上側フレーム部材30と同時に押出成形された係止部32が一対、それぞれ水平に配置されて内向きに突設されており、両係止部32、32間にはスチールによって鍔付きのチャンネル型鋼形状に形成された吊り部材33が配置されて、鍔部が両係止部32、32に下から係止した状態で上側フレーム部材30を支持するようになっている。すなわち、吊り部材33は溝の開口側が下向きに配置された状態で上側フレーム部材30の溝底面上に当接されてボルトやリベット等の締結部材34によって締結されており、両側の鍔部の外側端部が両係止部32、32に下側から突き当てられている。
【0015】
吊り部材33の天井壁(溝底壁)にはレール2に懸垂されたトロリー3のロッド4が上側から垂直に挿通されており、ロッド4の下端部にマウント35が取り付けられることにより、吊り部材33はトロリー3に固定されている。このようにスチール製の吊り部材33を介してトロリー3に吊持されることにより、アルミニウム製の上側フレーム部材30の強度は補強された状態になっているため、かつまた、上側フレーム部材30は吊り部材33に両係止部32、32の全長にわたって下から支持された状態になっているため、アルミニウム製の上側フレーム部材30であっても壁体11の重量を充分に支えることができる。
【0016】
上側収納部31の上端部内には上側シール体37が垂直方向へ摺動自在に収納されており、上側収納部31と上側シール体37との対向面間には一対のシール部材36、36がそれぞれ介設されている。上側シール体37はアルミニウム押出材によってチャンネル型鋼形状に形成された本体38を備えており、本体38は溝の開口部側が下向きになるように配置されて上側収納部31内に収納されている。本体38の天井壁(溝底壁)には一対の張出部39、39が平行に配置されてそれぞれ突設されており、両張出部39、39は吊り部材33の両側面に近接されている。本体38にはトロリー3のロッド4が挿通されている。図6に示されているように、本体38の天井壁の両張出部39、39間にはチャンネル型鋼によって形成されたブラケット41が下向きに固定されており、ブラケット42には後記する操作装置のリンクバーが枢支されている。
【0017】
上側シール体37の上端面には一対のトップシール部材40、40がトロリー3のロッド4の両脇にそれぞれ敷設されており、両トップシール部材40、40はレール2の下端面にそれぞれ敷設された一対のシール部材5、5に押接することによりシール状態を創出するようになっている。両シール部材5、5は天井面1に敷設された天井板6のレール2の露出口を閉塞するようになっている。
【0018】
上側フレーム部材30の下面には後記する送りねじ軸等を取り付けるための取付部材41が固定されている。すなわち、取付部材41はアルミニウム押出材によって鍔付きのチャンネル型鋼形状に形成されており、溝の開口側の鍔部上面が上側フレーム部材30の下面に当接されて締結部材34によって吊り部材33に共締めされている。取付部材42の溝底にはチャンネル型鋼によって形成されたブラケット43が固定されており、ブラケット43には後記する操作装置のリンクバーが枢支されている。
【0019】
図3および図4に示されているように、左側フレーム部材51と右側フレーム部材52とは同一形状に形成されており、下側フレーム部材20と上側フレーム部材30との間における左右両端に左右対称形に建て込まれてL形金物53や座板54およびボルト55によって締結されている。これにより、壁体11の外枠(フレーム)が構築された状態になる。
【0020】
図4に示されているように、左側フレーム部材51および右側フレーム部材52はアルミニウム押出材によって略チャンネル型鋼形状に形成されており、溝の開口が外向きになるように配置されている。左側フレーム部材51の左端面および右側フレーム部材52の右端面には左側召し合わせ板56および右側召し合わせ板57が開口を閉塞するように当接されてビス等によって固定されている。両召し合わせ板56、57はアルミニウムの押出材によって形成されており、互いに噛合することによってシール状態を創出するようになっている。
【0021】
左側フレーム部材51および右側フレーム部材52の溝底壁には後記する操作装置の連結軸を挿通させるトンネル部58が、押出成形と同時にチャンネル型鋼形状に形成されている。左側フレーム部材51および右側フレーム部材52のいずれか一方、本実施形態においては右側フレーム部材52のトンネル部58にはカバー59が開口を閉塞するように被せ付けられている。右側フレーム部材52の溝内に充填された吸音材14はカバー59によって仕切られることにより、トンネル部58内に侵入するのを防止された状態になっている。
【0022】
図1および図3に示されているように、面板60はアルミニウム圧延材によって形成された薄板61が一対、アルミニウム押出材によってチャンネル型鋼形状または四角形のパイプ形状に形成された複数本の桟部材62を挟んで張り合わせられることにより中空のパネル形状に形成されている。なお、薄板61の表側面には塗装等の化粧処理が適宜に施される。図1に示されているように、面板60の外側面の下端部には化粧板によって形成された幅木63が下端辺に沿って敷設されており、幅木63の外側面の下端部には下側パネル緩衝部材64が下端辺に沿って敷設されている。下側パネル緩衝部材64はゴムまたは樹脂によって形成されており、見切り部材65によって面板60に取り付けられている。両方の面板60、60の上端面には硬質ゴムによって長方形の平板形状に形成された一対の上側パネル緩衝部材66、66が、外側端部が面板60の外側面から突出するように敷設されている。
【0023】
以上のようにアルミニウムが使用されて構築された壁体11は、幅木63や下側パネル緩衝部材64および上側パネル緩衝部材66によって保護されることになる。例えば、面板60のアルミニウム圧延材によって形成された薄板61は衝突によって凹んだり傷付いたりし易いが、移動壁10、10同士が接衝した場合に、下側パネル緩衝部材64や上側パネル緩衝部材66によって衝突を防止されたり衝撃を緩衝されることにより、アルミニウムから成る薄板61であっても損傷を防止されることなる。
【0024】
図2、図5および図6に示されているように、操作装置70は下側シール体出没アッシー71と上側シール体出没アッシー71Aとを備えている。両者は略同一に構成されて上下対称形に配置されているので、下側シール体出没アッシー71の構成を代表的に説明して、上側シール体出没アッシー71Aの構成要素については同一の符号に「A」を付して重複する説明を省略する。
【0025】
図2および図5に示されているように、下側シール体出没アッシー71は送りねじ軸72を備えており、送りねじ軸72は下側フレーム部材20の下側収納部22内に水平に架設されてぶらけっそ24により回転自在に支承されている。送りねじ軸72には送り方向が互いに逆向きになる左ねじ部73および右ねじ部74が左右に分けられて形成されており、左ねじ部73および右ねじ部74には左ナット75および右ナット76が送りねじ軸72の回転に伴って互いに反対方向に進退するように螺合されている。送りねじ軸72の左ナット75の右側および右ナット76の左側には左側スライダ77および右側スライダ78が摺動自在に嵌合されており、左側スライダ77および右側スライダ78は他端が左側ストッパ79および右側ストッパ80に係止された左側スプリング81および右側スプリング82によって左ナット75および右ナット76に押し付けられるようになっている。
【0026】
左側スライダ77および右側スライダ78は下側フレーム部材20のブラケット部24に送りねじ軸72に沿って開設された左右のガイド孔83、84によって左右のスライドの範囲をそれぞれ規定されるようになっている。
【0027】
左側スライダ77および右側スライダ78には左側第一リンクバー85の一端部および右側第一リンクバー86の一端部がそれぞれ回転自在に連結されており、左側第一リンクバー85の他端部および右側第一リンクバー86の他端部は下側シール体26に固定されたブラケット29、29にそれぞれ回転自在に連結されている。左側第一リンクバー85の中間部および右側第一リンクバー86の中間部には左側第二リンクバー87の一端部および右側第二リンクバー88の一端部がそれぞれ回転自在に連結されており、左側第二リンクバー87の他端部および右側第二リンクバー88の他端部は下側フレーム部材20のブラケット24にそれぞれ回転自在に連結されている。
【0028】
送りねじ軸72の右端部にはソケット部89が形成されており、ソケット部89には従動側傘歯車90が回り止めされた状態で左右方向に摺動自在に嵌入されている。従動側傘歯車90には原動側傘歯車91が噛合されており、従動側傘歯車90と原動側傘歯車91とは水平方向および垂直方向にそれぞれ配置されて軸受部材92によって回転自在に支承されている。原動側傘歯車91は丸パイプ等からなる連結軸93の下端部に装着されたソケット94に回り止めされた状態で上下方向に摺動自在に嵌入されている。
【0029】
操作装置70は回転操作手段としての手回しハンドル装置95を備えており、図2に示されているように、手回しハンドル装置95のベース96は壁体11の右側フレーム部材52における人間の腰の高さ付近に略対応する溝内に固定されている。図7に示されているように、ベース96には回転操作軸97が召し合わせ板57と直交する方向に水平に回転自在に軸架されている。回転操作軸97の召し合わせ板57側の端部である右端部は正方形の四角柱形状に形成されており、回転操作軸97はハンドル(図示せず)を嵌合された状態で回転操作されるように構成されている。召し合わせ板57における回転操作軸97の対向位置にはハンドル挿入口98が開設されており、ハンドルはハンドル挿入口98に挿入されて、回転操作軸97に嵌合されるようになっている。
【0030】
図7に示されているように、回転操作軸97の召し合わせ板57と反対側である左端部には原動側傘歯車99が固定されており、原動側傘歯車99には従動側傘歯車100が噛合されている。原動側傘歯車99と従動側傘歯車100とは水平方向および垂直方向にそれぞれ配置されて、ベース96によって回転自在に支承されている。従動側傘歯車100は下側シール体出没アッシー71からの連結軸93の上端部に装着されたソケット101に回り止めされた状態で、上下方向に摺動自在に嵌入されている。なお、原動側傘歯車99には上側シール体出没アッシー71Aからの連結軸93Aの従動側傘歯車100Aも、下側の従動側傘歯車100と上下対称形に噛合されている。
【0031】
図7に示されているように、ベース96および軸受部材92には一対の振れ止めブラケット102が固定されており、これらブラケット102は連結軸93の上下端部に嵌合して軸心の誤差や振れを防止するようになっている。なお、振れ止めブラケットは上側シール体出没アッシー71Aの連結軸93Aについても設けられている。
【0032】
次に、作用を説明する。
【0033】
移動壁10が移動される際には、下側シール体26および上側シール体37は壁体11の下側収納部22および上側収納部31にそれぞれ没入された状態になっている。すなわち、図5に示されているように、送りねじ軸72に螺合された左ナット75および右ナット76が左側ガイド孔83および右側ガイド孔84の内側限に位置されていることにより、左側第一リンクバー85および右側第一リンクバー86は倒伏された状態になっているため、左側第一リンクバー85および右側第一リンクバー86に支持された下側シール体26は下側収納部22に引き込まれた状態になっている。この状態は、上側シール体37についても同様である。
【0034】
以上のようにして下側シール体26および上側シール体37は壁体11の下側収納部22および上側収納部31にそれぞれ没入された状態になっているため、移動壁10は下側シール体26および上側シール体37に妨害されずにトロリー3の走行によって円滑に移動することができる。
【0035】
次に、移動壁10が所定の場所に配置された後に、下側シール体26および上側シール体37が壁体11の下側収納部22および上側収納部31から突出される際には、ハンドルがハンドル挿入口98に挿入されて回転操作軸97に取り付けられ、原動側傘歯車99が下側シール体26および上側シール体37を突出させる方向に回転される。
【0036】
原動側傘歯車99の回転は連結軸93の従動側傘歯車100、連結軸93、連結軸93の原動側傘歯車91、送りねじ軸72の従動側傘歯車90を介して送りねじ軸72に伝動されるため、送りねじ軸72に進退自在に螺合した左ナット75および右ナット76がそれぞれ外側方向に前進される。左ナット75および右ナット76がそれぞれ前進すると、左側第一リンクバー85および右側第一リンクバー86が左側第二リンクバー87および右側第二リンクバー88の作用によってそれぞれ起立されるため、下側シール体26は下側収納部22から下方に左側スプリング81、81Aおよび右側スプリング82、82Aの弾発力によって突出される。
【0037】
突出された下側シール体26が床面7の敷物8に当接する(図1参照)と、左側第一リンクバー85および右側第一リンクバー86は起立を阻止された状態になるため、左ナット75および右ナット76の前進に取り残されて左側スライダ77および右側スライダ78は送りねじ軸72に対する移動を停止した状態になる。この状態において、左側スライダ77および右側スライダ78に左側スプリング81および右側スプリング82の弾発力が作用することにより、下側シール体26は床面7に弾性的に押し付けられた状態になるため、下側シール体26は壁体11の下端面と床面7との間の隙間をきわめて効果的にシールした状態になる。したがって、下側シール体26は移動壁10と床面7との隙間を確実に目隠することにより、移動壁10の外観を高め、移動壁10と床面7との隙間を弾性的に密封することにより防音効果を高める。
【0038】
以上の下側シール体26の突出作動や状態は、図6に示されている上側シール体37についても同様となる。
【0039】
その後、移動間仕切りを移動させる場合のように移動壁10を移動させる際には、ハンドルがハンドル挿入口98から挿入されて回転操作軸97に取り付けられ、回転操作軸97が前記とは逆方向に各スプリング81、81A、82、82Aの弾発力に抗して回転される。
【0040】
回転操作軸97の逆回転は、原動側傘歯車99、連結軸93の従動側傘歯車100、連結軸93、連結軸93の原動側傘歯車91、送りねじ軸72の従動側傘歯車90を介して送りねじ軸72に伝動されるため、送りねじ軸72に進退自在に螺合した左ナット75および右ナット76がそれぞれ内側方向に後退される。左ナット75および右ナット76がそれぞれ後退すると、左側スプリング81および右側スプリング82の弾発力を受けた左側スライダ77および右側スライダ78も後退するため、左側スライダ77および右側スライダ78に一端部が連結した左側第一リンクバー85および右側第一リンクバー86が左側第二リンクバー87および右側第二リンクバー88の作用によって倒伏される。この作動により、下側シール体26は下側収納部22に引き込まれる。
【0041】
下側シール体26が下側収納部22に没入されて送りねじ軸72に螺合された左ナット75および右ナット76が左側ガイド孔83および右側ガイド孔84の内側限に位置されると、送りねじ軸72は回転を阻止された状態になるため、手回しハンドル装置95の操作は停止されることになる。
【0042】
以上の下側シール体26の没入作動や状態は、図6に示されている上側シール体37についても同様となる。
【0043】
前記実施形態によれば、次の効果が得られる。
【0044】
1) 上下左右のフレーム部材、面板等の構成材料としてアルミニウム材を使用することにより、壁体の重量を軽く設定することができるため、移動壁を吊持して走行させるためのレールやトロリーの機械的強度、レールの敷設強度等の制限を緩和することができ、移動壁システム全体としてのコストを低減することができる。また、同一重量に設定した場合には防音性能を高めることができる。
【0045】
2) 上側フレーム部材をスチール製の吊り部材によって下側から支持し吊り部材にトロリーのロッドを固定することにより、壁体の重量をスチール製の吊り部材に分散させることができるため、上側フレーム部材についてのアルミニウム材の使用を実現することができる。
【0046】
3) 壁体の下端部および上端部にパネル緩衝部材を敷設することにより、壁体同士の衝突等による壁体の面板やフレーム部材の損傷を防止することができるため、壁体の面板やフレーム部材等についてのアルミニウム材の使用を実現することができる。
【0047】
4) 手回しハンドル装置の回転操作力を連結軸を介して送りねじ軸に伝動しシール体を出没させることにより、大形のシール体であっても確実かつ迅速に出没作動させることができる。
【0048】
5) シール体を出没させるための操作装置においてワイヤの使用を省略することによって、ワイヤに対する繰り返し折り曲げ応力やワイヤの伸びに関する不具合を回避することができ、また、壁体の内部におけるワイヤの配線作業を廃止することができる。
【0049】
6) シール体を出没させるための操作装置の送りねじ軸やナット、連結軸、手回しハンドル装置および傘歯車伝動装置を上下および左右片側のフレーム部材に配置することにより、召し合わせ板等を取り外すことによって壁体を分解することなく保守点検することができるため、操作装置のメンテナンス作業の効率を高めることができる。また、操作装置を壁体のフレーム部材の内部に全て配置することにより、操作装置を壁体の中央部に配置することによる遮音効果の低下を回避することができる。
【0050】
7) 操作装置の連結軸を右側(左側)フレーム部材に形成したトンネル部に挿通しトンネル部をカバーによって塞ぐことにより、右側フレーム部材の溝内に充填された吸音材が連結軸に絡み付くのを防止することができるため、連結軸の回転を確保することができ、また、連結軸が配置された右側フレーム部材における遮音性能を維持することができる。
【0051】
8) 操作装置の連結軸の端部を振れ止めブラケットによって支承することにより、長い連結軸であっても芯出しを確保し振れを防止することができるため、両端に配置される傘歯車伝動装置の噛合および回転伝達を確保することができる。
【0052】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。
【0053】
例えば、連結軸を回転させる回転操作手段は、手回しハンドル装置および傘歯車伝動装置によって構成するに限らず、減速機付きモータ等によって構成してもよい。
【0054】
出没するシール体を壁体の上下に配設して壁体の上面および下面の双方をシールするように構成するに限らず、壁体の上下の一方だけをシールするように構成してもよい。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、壁体をアルミニウム材によって構築することにより、重量を軽く設定することができ、移動壁の大形化を図ることができ、反対に、同一重量に設定した場合にはシール性能や防音性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である移動壁を示す一部省略側面断面図である。
【図2】その正面断面図である。
【図3】一部省略平面断面図であり、左半分は組立状態を、右半分は分解状態を示している。
【図4】壁体の枠部分を示す分解斜視図である。
【図5】下側シール体出没アッシーを示す正面断面図である。
【図6】上側シール体出没アッシーを示す正面断面図である。
【図7】手回しハンドル装置および傘歯車伝動装置を示す一部省略正面図である。
【符号の説明】
1…天井面、2…レール、3…トロリー、4…ロッド、5…シール部材、6…天井板、7…床面、8…敷物、10…移動間仕切り(移動壁)、11…壁体、12、13、14…吸音材、20…下側フレーム部材、21…開口部、22…下側収納部(下側シール体用収納部)、23…張出部、24…ブラケット、25…シール部材、26…下側シール体、27…本体、28…隔壁部材、29…ブラケット、30…上側フレーム部材、31…上側収納部(上側シール体用収納部)、32…係止部、33…吊り部材、34…締結部材、35…マウント、36…シール部材、37…上側シール体、38…本体、39…張出部、40…トップシール部材、41…ブラケット、42…取付部材、43…ブラケット、51…左側フレーム部材、52…右側フレーム部材、53…L形金物、54…座板、55…ボルト、56…左側召し合わせ板、57…右側召し合わせ板、58…トンネル部、59…カバー、60…面板、61…薄板、62…桟部材、63…幅木、64…下側パネル緩衝部材、65…見切り部材、66…上側パネル緩衝部材、70…操作装置、71…下側シール体出没アッシー、71A…上側シール体出没アッシー、72…送りねじ軸、73…左ねじ部、74…右ねじ部、75…左ナット、76…右ナット、77…左側スライダ、78…右側スライダ、79…左側ストッパ、80…右側ストッパ、81…左側スプリング、82…右側スプリング、83…左側ガイド孔、84…右側ガイド孔、85…左側第一リンクバー、86…右側第一リンクバー、87…左側第二リンクバー、88…右側第二リンクバー、89…ソケット部、90…従動側傘歯車、91…原動側傘歯車、92…軸受部材、93…連結軸、94…ソケット、95…手回しハンドル装置(回転操作手段)、96…ベース、97…回転操作軸、98…ハンドル挿入口、99…原動側傘歯車、100…従動側傘歯車、101…ソケット、102…振れ止めブラケット。

Claims (4)

  1. レールに沿って移動する壁体の下端および上端の少なくとも一方にシール体が出没自在に装着されているとともに、このシール体が前記壁体に反力をとった付勢手段によって突出する方向に付勢されており、前記壁体に前記シール体を没入させる操作装置が設けられている移動壁において、
    前記壁体のフレームは下側フレーム部材、上側フレーム部材、左側フレーム部材および右側フレーム部材がアルミニウム押出材によってそれぞれ形成され、これらのフレーム部材が枠形状に組み付けられており、前記上側フレーム部材はスチール材によって形成された吊り部材により下側から支持され、この吊り部材が前記レールに走行自在に設置されたトロリーに懸垂されていることを特徴とする移動壁。
  2. フレームの表側面および裏側面に張り付けられた面板がアルミニウム圧延材によって形成された薄板をアルミニウム押出材によって形成された桟部材に張り合わされて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の移動壁。
  3. 前記壁体の下端部および上端部にパネル緩衝部材がそれぞれ敷設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の移動壁。
  4. 前記シール体の本体がアルミニウム押出材によって形成されていることを特徴とする請求項1、2または3に記載の移動壁。
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