JP3552340B2 - グロープラグ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は,ディーゼルエンジンのシリンダ内を予熱するためのグロープラグ,特にその中軸とハウジングとの間の絶縁構造に関する。
【0002】
【従来技術】
従来のグロープラグ90は,図9に示すごとく,ハウジング5と,これに挿入した通電用の中軸3及びヒータ2を有し,上記ハウジング5と上記中軸3との間はガラス8により溶着してある。また,ハウジング5及び中軸3等の金属部分は,防錆のために防錆メッキしてある。そして,中軸3の上端部31には,ハウジング5の開口部を閉止するように合成樹脂製のブッシュ41及びナット42が装着されている。また,上記ヒータ2と中軸3とは,接続金具23によって連結してある。
【0003】
上記中軸3とハウジング5とをガラスにより溶着する目的は,上記中軸3とハウジング5とを電気的に絶縁状態を保ちながら固定するためである。
また,上記防錆メッキは,図10に示すごとく,ガラス溶着後であって上記ブッシュ41及びナット42の装着前に行い,中軸3の上端部31から上記金属スリーブ28の下端部近傍まで(図10中M1〜M2の間)を防錆メッキする。
【0004】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来のグロープラグにおいては,次の問題がある。
即ち,防錆メッキを行うことによって,中軸とハウジングとが稀に導電化,即ち電気的に導通してしまう場合がある。
通常,防錆メッキ処理を施してもガラス上部にはメッキ(金属)が付着しないのが普通である。それにもかかわらず,このような現象が生じる原因は次のように考えられる。
【0005】
即ち,防錆メッキを施すに当たっては,その前処理として,メッキ面の清浄化等を行う。この際,例えば塩酸,水酸化ナトリウム等の酸又はアルカリのメッキ処理液にメッキ部全体をさらす。このとき,ガラス上部81の表面もメッキ処理液に接触する。そのため,ガラス上部81は,メッキ処理液に浸食されて微小な欠陥が連続的に形成されたポーラス状態になる。それ故,ガラス上部81のポーラス部にメッキ膜形成用のメッキ液が浸入して残り,メッキ膜(金属)が析出し,導電化してしまうと考えられる。
【0006】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,中軸とハウジングとの間を確実に絶縁することができるグロープラグ及びその製造方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題の解決手段】
第1発明は,ハウジングと,該ハウジング内に挿入した通電用の中軸及びヒータを有し,上記ハウジングと上記中軸との間はガラスにより溶着してあり,少なくとも上記ハウジングの外表面が防錆メッキしてあるグロープラグにおいて,
上記ガラスの上部には,上記防錆メッキを施す際のメッキ処理液によって浸食されないリング状の絶縁部材を,その上面をリング状に露出させた状態で埋設してあることを特徴とするグロープラグにある。
【0008】
第1発明において最も注目すべきことは,上記ガラスの上部には,上記リング状の絶縁部材を,その上面をリング状に露出させた状態で埋設してあることである。即ち,上記ガラスの表面は,上記リング状の絶縁部材によって,その内周側と外周側に完全に分離された状態にあることである。
【0009】
上記絶縁部材としては,上記防錆メッキを施す際のメッキ処理液によって浸食されず,かつメッキが付着しないものであれば,種々のものを用いることができる。特に,上記絶縁部材は絶縁性セラミックであることが好ましい。これにより,寸法精度の維持,取扱いの容易性等を確保することができる。
【0010】
また,上記絶縁部材の幅A(図2)は,上記ハウジングと上記中軸との間隔をB(図2)とした場合,0.3≦A≦B−0.2(mm)の関係にあることが好ましい。
絶縁部材の幅Aが0.3mm未満の場合には,グロープラグの製造過程におけるガラス溶着時にガラスが絶縁部材の上面に被さり,絶縁部材の内周側と外周側のガラスが繋がってしまうことがある(図5)。一方,絶縁部材の幅AがB−0.2(mm)を越える場合には,ガラス溶着時にガラス上面位置が低下する際に,絶縁部材が中軸とハウジングとの間にひっかかり,ガラス上面から離れてしまうという問題がある(図4)。
【0011】
次に,第2発明として次のものがある。
即ち,ハウジングと,該ハウジング内に挿入した通電用の中軸及びヒータを有し,上記ハウジングと上記中軸との間はガラスにより溶着してあり,少なくとも上記ハウジングの外表面が防錆メッキしてあるグロープラグにおいて,上記ガラスの上部は,上記防錆メッキを施す際のメッキ処理液によって浸食されないシール部材により封止してあることを特徴とするグロープラグがある。
【0012】
本第2発明において最も注目すべきことは,上記ガラスの上部は,上記シール部材により封止してあることである。
上記シール部材としては,上記メッキ処理液によって浸食されず,かつメッキが付着しないものであれば種々のものを使用することができる。例えば,上記シール部材は合成樹脂層にすることができる。これにより,容易にガラス上面を封止することができる。
【0013】
また,上記シール部材はOリングにすることもできる。これにより,さらに容易にガラス上面を封止することができる。
【0014】
次に,上記第1,第2発明に示した上記絶縁部材やシール部材を有しなくても,中軸とハウジングとの絶縁性を維持することができるグロープラグを製造する方法として,次の方法がある。
即ち,ハウジングと,該ハウジング内に挿入した通電用の中軸及びヒータを有し,上記ハウジングと上記中軸との間はガラスにより溶着してあり,少なくとも上記ハウジングの外表面が防錆メッキしてあるグロープラグを製造する方法であって,
上記ハウジングと上記中軸との間をガラスにより溶着した後,上記ハウジングの開口部にシール体を嵌合した状態で防錆メッキを施し,その後上記シール体を除去することを特徴とするグロープラグの製造方法がある(第3発明)。
【0015】
上記製造方法において最も注目すべきことは,上記ガラス溶着の後に,上記ハウジングの開口部にシール体を嵌合した状態で防錆メッキを施すことである。そして,ガラス溶着後には,上記シール体を除去することである。
【0016】
【作用および効果】
第1発明のグロープラグにおいては,上記リング状の絶縁部材を,その上面をリング状に露出させた状態で埋設してある。そのため,ガラス上部は,上記絶縁部材の存在によって,その外周側と内周側に完全に分断されている。また,製造過程の防錆メッキ処理時において,上記絶縁部材はメッキ処理液に浸食されず,かつメッキが付着しない。
【0017】
そのため,絶縁部材の両側にあるガラス上部にメッキが付着していても,中軸とハウジングとの間は,上記絶縁部材によって遮断されている。それ故,中軸とハウジングとが電気的に導通することは起こり得ない。
したがって,本第1発明によれば,中軸とハウジングとの間を確実に絶縁することができるグロープラグを提供することができる。
【0018】
次に,第2発明のグロープラグにおいては,上記シール部材によりガラス上部を閉止してある。そのため,防錆メッキを施す際においては,ガラス上部にはメッキ処理液が接触することがなく,ガラス上部にはメッキが付着しない。それ故,ガラス上部を介して中軸とハウジングとが導通することはない。
【0019】
また,上記シール部材はメッキ処理液に浸食されず,かつメッキが付着しない。そのため,シール部材を配置したままであっても中軸とハウジングとが導通することはない。
したがって,本第2発明によっても,中軸とハウジングとの間を確実に絶縁することができるグロープラグを提供することができる。
【0020】
次に,第3発明の製造方法においては,上記ハウジングの開口部にシール体を嵌合した状態で防錆メッキを施す。そのため,ガラス上部にはメッキが付着することはない。さらに,防錆メッキ処理後においては,上記シール体を除去する。
それ故,本第3発明におけるグロープラグの完成品においては,上記第1,第2発明に示したような絶縁部材等は有していない。本第3発明によれば,中軸とハウジングとの間を確実に絶縁することができるグロープラグの製造方法を提供することができる。
【0021】
【実施例】
実施例1
本発明の実施例にかかるグロープラグにつき,図1〜図3を用いて説明する。
本例のグロープラグ10は,図1に示すごとく,ハウジング5と,該ハウジング5内に挿入した通電用の中軸3及びヒータ2を有する。上記ハウジング5と上記中軸3との間はガラス8により溶着してある。そして,図1に示すごとく,少なくとも上記ハウジング5の外表面は防錆メッキしてあり,防錆メッキ膜50が付着している。
【0022】
上記ガラス8の上部には,図1〜図3に示すごとく,上記防錆メッキを施す際のメッキ処理液によって浸食されないリング状の絶縁部材6を,その上面をリング状に露出させた状態で埋設してある。
即ち,上記絶縁部材6は,図2,図3に示すごとく,その上面が全周にわたって露出していると共に,その底部は全周にわたってガラス8中に埋設されており,ガラス上部81をその内周側と外周側に完全に分断している。
【0023】
上記絶縁部材6はアルミナよりなるアルミナリングであって,図2に示すごとく,その幅Aは,中軸3とハウジング5との間隔Bよりも0.2mm小さく1.5mmである。
また,図1,図2に示すごとく,上記ガラス8の下部には,中軸3とハウジング5との位置決めをするための位置決めリング35を配設してあり,これもガラス溶着により固定されている。上記位置決めリング35もアルミナを用いている。
【0024】
また,図1に示すごとく,上記ヒータ2は,金属スリーブ28内に挿通しており両者間はロウ接されている。そして金属スリーブ28はハウジング5にロウ接されている。
一方,上記中軸3は,上記ガラス8によりハウジング内に固定されていると共に,接続金具23によってヒータ2に連結されている。また,中軸3の上端部31はハウジング5の開口部55より突出し,該上端部31には従来例のごとく合成樹脂製のブッシュを介してナットを螺着する(図示略)。
【0025】
次に,上記グロープラグを製造するに当たっては,まず金属スリーブ28に挿通してロウ接したヒータ2と,中軸3とを接続金具23によって連結する。次いで,これらをハウジング5内に挿入し,ヒータ2の下端部22をハウジング下方から突出させる。次いで,ヒータ2を嵌挿した金属スリーブ28をハウジング5内にロウ接する。
【0026】
次いで,位置決めリング35と,円柱状に成形したタブレット形状のガラス8と,絶縁部材6とを中軸3に差し込み,中軸3とハウジング5との間に位置させる。そして,ヒータ2を下方に,中軸3を上方に向けた状態でガラス溶融温度に加熱する。
【0027】
これによりタブレット形状のガラス8は溶融し,上記位置決めリング35の上部と上記絶縁部材6の底部を包み込むように行き渡る。このとき,ガラス上部81と絶縁部材6の位置は,若干下降する。その後,冷却することによって中軸3とハウジング5とが固定されるとともに,絶縁部材6は上面を露出した状態でガラス8中に埋設固定される。
【0028】
次いで,図1に示すごとく,金属スリーブ28の下端部付近から中軸3の上端部31までを防錆メッキする。
その後,ブッシュ及びナット(図示略)を中軸3の上端部31に螺着することによってグロープラグ10が完成する。
尚,本例においては,溶着前のガラスとしてタブレット形状のガラス8を使用したが,単なる粒状のガラス等,種々の形状のガラスを使用することができる。
【0029】
次に,本例における作用効果につき説明する。
本例のグロープラグ10においては,上記リング状の絶縁部材6を,その上面をリング状に露出させた状態でガラス8中に埋設してある。そのため,ガラス上部81は,中軸3とハウジング5との間において,上記絶縁部材6の存在によって,その外周側と内周側に完全に分断されている。また,上記絶縁部材6はアルミナであるため,製造過程の防錆メッキ処理においてもメッキ処理液に浸食されず,かつメッキが付着しない。
【0030】
そのため,防錆メッキ処理によって絶縁部材6の両側にあるガラス上部81にメッキが付着していても,中軸3とハウジング5との間は上記絶縁部材6によって遮断されている。それ故,中軸3とハウジング5とが電気的に導通することは起こり得ない。
したがって,本例によれば,中軸とハウジングとの間を確実に絶縁することができるグロープラグを得ることができる。
【0031】
尚,本例においては,上記絶縁部材6としてアルミナを用いたが,これに代えてその他の一般的な絶縁性セラミック,マグネシア,ジルコニア,チタニア,石英,窒化珪素,窒化アルミ等を用いることができる。これらによってもアルミナの場合と同様の効果を得ることができる。
【0032】
比較例1
本比較例のグロープラグ91は,図4に示すごとく,実施例1における絶縁部材6に代えて,幅Aが1.65mmのアルミナリングよりなる絶縁部材961を用いた。一方,中軸3とハウジング5との間隔Bは実施例1と同様に1.7mmとした。また,その他の構成及び製造方法も実施例1と同様にした。
【0033】
本比較例のグロープラグ91においては,絶縁部材961の幅Aが中軸3とハウジング5との間隔Bに対して0.05mm小さいだけである。そのため,その製造過程におけるガラス溶着時においては,ガラス上面が下降する際に絶縁部材961が中軸3とハウジング5との間に引っ掛かりガラス上部81と絶縁部材961との間に隙間ができてしまう。
【0034】
それ故,防錆メッキ処理時においては,ガラス上部81が中軸3とハウジング5との間において連続的に浸食され,メッキが析出することがある。
したがって,例え絶縁部材を用いても,その幅が広すぎる場合には,中軸とハウジングとを確実に絶縁することができない場合がある。
【0035】
比較例2
本比較例のグロープラグ92は,図5に示すごとく,実施例1における絶縁部材6に代えて,幅Aが0.2mmのアルミナリングよりなる絶縁部材962を用いた。一方,中軸3とハウジング5との間隔Bは実施例1と同様に1.7mmとした。また,その他の構成及び製造方法も実施例1と同様にした。
【0036】
本比較例のグロープラグ92においては,絶縁部材962の幅Aが0.2mmである。そのため,その製造過程のガラス溶着時においては,ガラス8が絶縁部材962の内周側と外周側から互いにその上面に回り込んで接触してしまうことがある。それ故,防錆メッキ処理を施すことによって,ガラス上部が浸食され,中軸3とハウジング5との間を結ぶように導電化してしまう場合がある。
したがって,例え絶縁部材を用いても,その幅が狭すぎる場合には,中軸とハウジングとを確実に絶縁することができない場合がある。
【0037】
実施例2
本例のグロープラグ12は,図6に示すごとく,ハウジング5と,該ハウジング5内に挿入した通電用の中軸3及びヒータ(図示略)を有し,上記ハウジング5と上記中軸3との間はガラス8により溶着してあり,少なくとも上記ハウジング5の外表面が防錆メッキしてある。上記ガラス8の上部81は,上記防錆メッキを施す際のメッキ処理液によって浸食されないシール部材71により封止してある。
【0038】
上記シール部材71は,図6に示すごとく,シリコン系の合成樹脂層であって,ガラス8の上部全体を覆っている。その他の構造は実施例1と同様である。
【0039】
本例のグロープラグ12を製造するに当たっては,基本的に実施例1のグロープラグ10と同様の製造工程により行うが,次の手順に特徴がある。即ち,上記中軸3とハウジング5とをガラス8により溶着した後に,上記シール部材71としての合成樹脂層をガラス上部81に形成し,その後防錆メッキ処理を施すことに特徴がある。上記合成樹脂層の形成に当たっては,液体のシリコン樹脂とその硬化剤からなる2液混合硬化型の液体をガラス上面に注入することにより行う。
【0040】
次に本例における作用効果につき説明する。
本例のグロープラグ12においては,上記シール部材71によりガラス上部81を閉止してある。そのため,防錆メッキを施す際においては,ガラス上部81にはメッキ処理液が接触することがなくメッキが付着しない。それ故,ガラス上部81を介して中軸3とハウジング5とが導通することはない。
【0041】
また,上記シール部材71はメッキ処理液に浸食されず,かつメッキが付着しない。そのため,シール部材71を配置したままであっても中軸3とハウジング5とが導通することはない。
したがって,本例によっても,中軸とハウジングとを確実に絶縁することができるグロープラグを得ることができる。
【0042】
尚,本例においては,上記樹脂層としてシリコン樹脂を主成分とした2液硬化型の樹脂を用いたが,これに代えてシリコンゴム,フッ素ゴム,エポキシ等のメッキ処理液に浸食されない種々の樹脂を用いることができる。これらによってもシリコン樹脂を主成分とした2液硬化型の樹脂の場合と同様の効果を得ることができる。
【0043】
実施例3
本例のグロープラグ13は,図7に示すごとく,実施例2における合成樹脂層に代えてOリングをシール部材72として用いた。その他は実施例2と同様である。
本例においては,シール部材としてOリングを使用しているため,極めて容易にガラス上部を封止することができる。その他,実施例2と同様の効果が得られる。
【0044】
実施例4
本例においては,実施例1〜3に示したごとく,完成品においてガラスの上部に絶縁部材を配置したり,ガラス上部をシール部材により封止してあるというグロープラグではなく,上記絶縁部材やシール部材等を有しなくても中軸とハウジングとの絶縁性を維持することができるグロープラグを製造した。
【0045】
本例のグロープラグの製造方法は,実施例1のグロープラグの製造工程を基本にするが,次の工程にその特徴がある。即ち,まず上記ハウジング5と上記中軸3との間に位置決めリング35とタブレット形状のガラス8を位置させ,加熱,溶着する。次いで,図8に示したごとく,上記ハウジング5の開口部55にシリコンゴム製のシール体74を嵌合し,この状態で防錆メッキを施す。そして,その後上記シール体74を除去する。
【0046】
この製造方法においては,上記のごとくシール体74を装着した状態で防錆メッキ処理を行う。そのため,ガラス上部81が浸食されることがなく,導電化されることもない。また,防錆メッキ処理を施した後には,上記シール体74を除去する。それ故,実施例1〜3に示したような絶縁部材等を有しなくても中軸3とハウジング5との絶縁性を維持することができるグロープラグを得ることができる。
【0047】
尚,本例においては,シール体74としてメッキ処理液に浸食されないシリコンゴムを用いたが,防錆メッキ処理時においてガラス上部81とメッキ処理液との接触を防止することができれば,メッキ処理液に浸食される材質であっても使用することができる。シール体は防錆メッキ後に除去するからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のグロープラグの断面図。
【図2】実施例1における,絶縁部材の配置状態を示す説明図。
【図3】図1のC−C線矢視断面図。
【図4】比較例1における,(a)溶着前,(b)溶着後の絶縁部材の配置状態を示す説明図。
【図5】比較例2における,絶縁部材の配置状態を示す説明図。
【図6】実施例2における,合成樹脂層の配置状態を示す説明図。
【図7】実施例3における,Oリングの配置状態を示す説明図。
【図8】実施例4における,防錆メッキ時のシール体の装着状態を示す説明図。
【図9】従来例のグロープラグの断面図。
【図10】従来例における,防錆メッキ時のグロープラグの断面図。
【符号の説明】
10,12,13,14...グロープラグ,
2...ヒータ,
3...中軸,
5...ハウジング,
6...絶縁部材,
71,72...シール部材,
8...ガラス,
81...ガラス上部,
【産業上の利用分野】
本発明は,ディーゼルエンジンのシリンダ内を予熱するためのグロープラグ,特にその中軸とハウジングとの間の絶縁構造に関する。
【0002】
【従来技術】
従来のグロープラグ90は,図9に示すごとく,ハウジング5と,これに挿入した通電用の中軸3及びヒータ2を有し,上記ハウジング5と上記中軸3との間はガラス8により溶着してある。また,ハウジング5及び中軸3等の金属部分は,防錆のために防錆メッキしてある。そして,中軸3の上端部31には,ハウジング5の開口部を閉止するように合成樹脂製のブッシュ41及びナット42が装着されている。また,上記ヒータ2と中軸3とは,接続金具23によって連結してある。
【0003】
上記中軸3とハウジング5とをガラスにより溶着する目的は,上記中軸3とハウジング5とを電気的に絶縁状態を保ちながら固定するためである。
また,上記防錆メッキは,図10に示すごとく,ガラス溶着後であって上記ブッシュ41及びナット42の装着前に行い,中軸3の上端部31から上記金属スリーブ28の下端部近傍まで(図10中M1〜M2の間)を防錆メッキする。
【0004】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来のグロープラグにおいては,次の問題がある。
即ち,防錆メッキを行うことによって,中軸とハウジングとが稀に導電化,即ち電気的に導通してしまう場合がある。
通常,防錆メッキ処理を施してもガラス上部にはメッキ(金属)が付着しないのが普通である。それにもかかわらず,このような現象が生じる原因は次のように考えられる。
【0005】
即ち,防錆メッキを施すに当たっては,その前処理として,メッキ面の清浄化等を行う。この際,例えば塩酸,水酸化ナトリウム等の酸又はアルカリのメッキ処理液にメッキ部全体をさらす。このとき,ガラス上部81の表面もメッキ処理液に接触する。そのため,ガラス上部81は,メッキ処理液に浸食されて微小な欠陥が連続的に形成されたポーラス状態になる。それ故,ガラス上部81のポーラス部にメッキ膜形成用のメッキ液が浸入して残り,メッキ膜(金属)が析出し,導電化してしまうと考えられる。
【0006】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,中軸とハウジングとの間を確実に絶縁することができるグロープラグ及びその製造方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題の解決手段】
第1発明は,ハウジングと,該ハウジング内に挿入した通電用の中軸及びヒータを有し,上記ハウジングと上記中軸との間はガラスにより溶着してあり,少なくとも上記ハウジングの外表面が防錆メッキしてあるグロープラグにおいて,
上記ガラスの上部には,上記防錆メッキを施す際のメッキ処理液によって浸食されないリング状の絶縁部材を,その上面をリング状に露出させた状態で埋設してあることを特徴とするグロープラグにある。
【0008】
第1発明において最も注目すべきことは,上記ガラスの上部には,上記リング状の絶縁部材を,その上面をリング状に露出させた状態で埋設してあることである。即ち,上記ガラスの表面は,上記リング状の絶縁部材によって,その内周側と外周側に完全に分離された状態にあることである。
【0009】
上記絶縁部材としては,上記防錆メッキを施す際のメッキ処理液によって浸食されず,かつメッキが付着しないものであれば,種々のものを用いることができる。特に,上記絶縁部材は絶縁性セラミックであることが好ましい。これにより,寸法精度の維持,取扱いの容易性等を確保することができる。
【0010】
また,上記絶縁部材の幅A(図2)は,上記ハウジングと上記中軸との間隔をB(図2)とした場合,0.3≦A≦B−0.2(mm)の関係にあることが好ましい。
絶縁部材の幅Aが0.3mm未満の場合には,グロープラグの製造過程におけるガラス溶着時にガラスが絶縁部材の上面に被さり,絶縁部材の内周側と外周側のガラスが繋がってしまうことがある(図5)。一方,絶縁部材の幅AがB−0.2(mm)を越える場合には,ガラス溶着時にガラス上面位置が低下する際に,絶縁部材が中軸とハウジングとの間にひっかかり,ガラス上面から離れてしまうという問題がある(図4)。
【0011】
次に,第2発明として次のものがある。
即ち,ハウジングと,該ハウジング内に挿入した通電用の中軸及びヒータを有し,上記ハウジングと上記中軸との間はガラスにより溶着してあり,少なくとも上記ハウジングの外表面が防錆メッキしてあるグロープラグにおいて,上記ガラスの上部は,上記防錆メッキを施す際のメッキ処理液によって浸食されないシール部材により封止してあることを特徴とするグロープラグがある。
【0012】
本第2発明において最も注目すべきことは,上記ガラスの上部は,上記シール部材により封止してあることである。
上記シール部材としては,上記メッキ処理液によって浸食されず,かつメッキが付着しないものであれば種々のものを使用することができる。例えば,上記シール部材は合成樹脂層にすることができる。これにより,容易にガラス上面を封止することができる。
【0013】
また,上記シール部材はOリングにすることもできる。これにより,さらに容易にガラス上面を封止することができる。
【0014】
次に,上記第1,第2発明に示した上記絶縁部材やシール部材を有しなくても,中軸とハウジングとの絶縁性を維持することができるグロープラグを製造する方法として,次の方法がある。
即ち,ハウジングと,該ハウジング内に挿入した通電用の中軸及びヒータを有し,上記ハウジングと上記中軸との間はガラスにより溶着してあり,少なくとも上記ハウジングの外表面が防錆メッキしてあるグロープラグを製造する方法であって,
上記ハウジングと上記中軸との間をガラスにより溶着した後,上記ハウジングの開口部にシール体を嵌合した状態で防錆メッキを施し,その後上記シール体を除去することを特徴とするグロープラグの製造方法がある(第3発明)。
【0015】
上記製造方法において最も注目すべきことは,上記ガラス溶着の後に,上記ハウジングの開口部にシール体を嵌合した状態で防錆メッキを施すことである。そして,ガラス溶着後には,上記シール体を除去することである。
【0016】
【作用および効果】
第1発明のグロープラグにおいては,上記リング状の絶縁部材を,その上面をリング状に露出させた状態で埋設してある。そのため,ガラス上部は,上記絶縁部材の存在によって,その外周側と内周側に完全に分断されている。また,製造過程の防錆メッキ処理時において,上記絶縁部材はメッキ処理液に浸食されず,かつメッキが付着しない。
【0017】
そのため,絶縁部材の両側にあるガラス上部にメッキが付着していても,中軸とハウジングとの間は,上記絶縁部材によって遮断されている。それ故,中軸とハウジングとが電気的に導通することは起こり得ない。
したがって,本第1発明によれば,中軸とハウジングとの間を確実に絶縁することができるグロープラグを提供することができる。
【0018】
次に,第2発明のグロープラグにおいては,上記シール部材によりガラス上部を閉止してある。そのため,防錆メッキを施す際においては,ガラス上部にはメッキ処理液が接触することがなく,ガラス上部にはメッキが付着しない。それ故,ガラス上部を介して中軸とハウジングとが導通することはない。
【0019】
また,上記シール部材はメッキ処理液に浸食されず,かつメッキが付着しない。そのため,シール部材を配置したままであっても中軸とハウジングとが導通することはない。
したがって,本第2発明によっても,中軸とハウジングとの間を確実に絶縁することができるグロープラグを提供することができる。
【0020】
次に,第3発明の製造方法においては,上記ハウジングの開口部にシール体を嵌合した状態で防錆メッキを施す。そのため,ガラス上部にはメッキが付着することはない。さらに,防錆メッキ処理後においては,上記シール体を除去する。
それ故,本第3発明におけるグロープラグの完成品においては,上記第1,第2発明に示したような絶縁部材等は有していない。本第3発明によれば,中軸とハウジングとの間を確実に絶縁することができるグロープラグの製造方法を提供することができる。
【0021】
【実施例】
実施例1
本発明の実施例にかかるグロープラグにつき,図1〜図3を用いて説明する。
本例のグロープラグ10は,図1に示すごとく,ハウジング5と,該ハウジング5内に挿入した通電用の中軸3及びヒータ2を有する。上記ハウジング5と上記中軸3との間はガラス8により溶着してある。そして,図1に示すごとく,少なくとも上記ハウジング5の外表面は防錆メッキしてあり,防錆メッキ膜50が付着している。
【0022】
上記ガラス8の上部には,図1〜図3に示すごとく,上記防錆メッキを施す際のメッキ処理液によって浸食されないリング状の絶縁部材6を,その上面をリング状に露出させた状態で埋設してある。
即ち,上記絶縁部材6は,図2,図3に示すごとく,その上面が全周にわたって露出していると共に,その底部は全周にわたってガラス8中に埋設されており,ガラス上部81をその内周側と外周側に完全に分断している。
【0023】
上記絶縁部材6はアルミナよりなるアルミナリングであって,図2に示すごとく,その幅Aは,中軸3とハウジング5との間隔Bよりも0.2mm小さく1.5mmである。
また,図1,図2に示すごとく,上記ガラス8の下部には,中軸3とハウジング5との位置決めをするための位置決めリング35を配設してあり,これもガラス溶着により固定されている。上記位置決めリング35もアルミナを用いている。
【0024】
また,図1に示すごとく,上記ヒータ2は,金属スリーブ28内に挿通しており両者間はロウ接されている。そして金属スリーブ28はハウジング5にロウ接されている。
一方,上記中軸3は,上記ガラス8によりハウジング内に固定されていると共に,接続金具23によってヒータ2に連結されている。また,中軸3の上端部31はハウジング5の開口部55より突出し,該上端部31には従来例のごとく合成樹脂製のブッシュを介してナットを螺着する(図示略)。
【0025】
次に,上記グロープラグを製造するに当たっては,まず金属スリーブ28に挿通してロウ接したヒータ2と,中軸3とを接続金具23によって連結する。次いで,これらをハウジング5内に挿入し,ヒータ2の下端部22をハウジング下方から突出させる。次いで,ヒータ2を嵌挿した金属スリーブ28をハウジング5内にロウ接する。
【0026】
次いで,位置決めリング35と,円柱状に成形したタブレット形状のガラス8と,絶縁部材6とを中軸3に差し込み,中軸3とハウジング5との間に位置させる。そして,ヒータ2を下方に,中軸3を上方に向けた状態でガラス溶融温度に加熱する。
【0027】
これによりタブレット形状のガラス8は溶融し,上記位置決めリング35の上部と上記絶縁部材6の底部を包み込むように行き渡る。このとき,ガラス上部81と絶縁部材6の位置は,若干下降する。その後,冷却することによって中軸3とハウジング5とが固定されるとともに,絶縁部材6は上面を露出した状態でガラス8中に埋設固定される。
【0028】
次いで,図1に示すごとく,金属スリーブ28の下端部付近から中軸3の上端部31までを防錆メッキする。
その後,ブッシュ及びナット(図示略)を中軸3の上端部31に螺着することによってグロープラグ10が完成する。
尚,本例においては,溶着前のガラスとしてタブレット形状のガラス8を使用したが,単なる粒状のガラス等,種々の形状のガラスを使用することができる。
【0029】
次に,本例における作用効果につき説明する。
本例のグロープラグ10においては,上記リング状の絶縁部材6を,その上面をリング状に露出させた状態でガラス8中に埋設してある。そのため,ガラス上部81は,中軸3とハウジング5との間において,上記絶縁部材6の存在によって,その外周側と内周側に完全に分断されている。また,上記絶縁部材6はアルミナであるため,製造過程の防錆メッキ処理においてもメッキ処理液に浸食されず,かつメッキが付着しない。
【0030】
そのため,防錆メッキ処理によって絶縁部材6の両側にあるガラス上部81にメッキが付着していても,中軸3とハウジング5との間は上記絶縁部材6によって遮断されている。それ故,中軸3とハウジング5とが電気的に導通することは起こり得ない。
したがって,本例によれば,中軸とハウジングとの間を確実に絶縁することができるグロープラグを得ることができる。
【0031】
尚,本例においては,上記絶縁部材6としてアルミナを用いたが,これに代えてその他の一般的な絶縁性セラミック,マグネシア,ジルコニア,チタニア,石英,窒化珪素,窒化アルミ等を用いることができる。これらによってもアルミナの場合と同様の効果を得ることができる。
【0032】
比較例1
本比較例のグロープラグ91は,図4に示すごとく,実施例1における絶縁部材6に代えて,幅Aが1.65mmのアルミナリングよりなる絶縁部材961を用いた。一方,中軸3とハウジング5との間隔Bは実施例1と同様に1.7mmとした。また,その他の構成及び製造方法も実施例1と同様にした。
【0033】
本比較例のグロープラグ91においては,絶縁部材961の幅Aが中軸3とハウジング5との間隔Bに対して0.05mm小さいだけである。そのため,その製造過程におけるガラス溶着時においては,ガラス上面が下降する際に絶縁部材961が中軸3とハウジング5との間に引っ掛かりガラス上部81と絶縁部材961との間に隙間ができてしまう。
【0034】
それ故,防錆メッキ処理時においては,ガラス上部81が中軸3とハウジング5との間において連続的に浸食され,メッキが析出することがある。
したがって,例え絶縁部材を用いても,その幅が広すぎる場合には,中軸とハウジングとを確実に絶縁することができない場合がある。
【0035】
比較例2
本比較例のグロープラグ92は,図5に示すごとく,実施例1における絶縁部材6に代えて,幅Aが0.2mmのアルミナリングよりなる絶縁部材962を用いた。一方,中軸3とハウジング5との間隔Bは実施例1と同様に1.7mmとした。また,その他の構成及び製造方法も実施例1と同様にした。
【0036】
本比較例のグロープラグ92においては,絶縁部材962の幅Aが0.2mmである。そのため,その製造過程のガラス溶着時においては,ガラス8が絶縁部材962の内周側と外周側から互いにその上面に回り込んで接触してしまうことがある。それ故,防錆メッキ処理を施すことによって,ガラス上部が浸食され,中軸3とハウジング5との間を結ぶように導電化してしまう場合がある。
したがって,例え絶縁部材を用いても,その幅が狭すぎる場合には,中軸とハウジングとを確実に絶縁することができない場合がある。
【0037】
実施例2
本例のグロープラグ12は,図6に示すごとく,ハウジング5と,該ハウジング5内に挿入した通電用の中軸3及びヒータ(図示略)を有し,上記ハウジング5と上記中軸3との間はガラス8により溶着してあり,少なくとも上記ハウジング5の外表面が防錆メッキしてある。上記ガラス8の上部81は,上記防錆メッキを施す際のメッキ処理液によって浸食されないシール部材71により封止してある。
【0038】
上記シール部材71は,図6に示すごとく,シリコン系の合成樹脂層であって,ガラス8の上部全体を覆っている。その他の構造は実施例1と同様である。
【0039】
本例のグロープラグ12を製造するに当たっては,基本的に実施例1のグロープラグ10と同様の製造工程により行うが,次の手順に特徴がある。即ち,上記中軸3とハウジング5とをガラス8により溶着した後に,上記シール部材71としての合成樹脂層をガラス上部81に形成し,その後防錆メッキ処理を施すことに特徴がある。上記合成樹脂層の形成に当たっては,液体のシリコン樹脂とその硬化剤からなる2液混合硬化型の液体をガラス上面に注入することにより行う。
【0040】
次に本例における作用効果につき説明する。
本例のグロープラグ12においては,上記シール部材71によりガラス上部81を閉止してある。そのため,防錆メッキを施す際においては,ガラス上部81にはメッキ処理液が接触することがなくメッキが付着しない。それ故,ガラス上部81を介して中軸3とハウジング5とが導通することはない。
【0041】
また,上記シール部材71はメッキ処理液に浸食されず,かつメッキが付着しない。そのため,シール部材71を配置したままであっても中軸3とハウジング5とが導通することはない。
したがって,本例によっても,中軸とハウジングとを確実に絶縁することができるグロープラグを得ることができる。
【0042】
尚,本例においては,上記樹脂層としてシリコン樹脂を主成分とした2液硬化型の樹脂を用いたが,これに代えてシリコンゴム,フッ素ゴム,エポキシ等のメッキ処理液に浸食されない種々の樹脂を用いることができる。これらによってもシリコン樹脂を主成分とした2液硬化型の樹脂の場合と同様の効果を得ることができる。
【0043】
実施例3
本例のグロープラグ13は,図7に示すごとく,実施例2における合成樹脂層に代えてOリングをシール部材72として用いた。その他は実施例2と同様である。
本例においては,シール部材としてOリングを使用しているため,極めて容易にガラス上部を封止することができる。その他,実施例2と同様の効果が得られる。
【0044】
実施例4
本例においては,実施例1〜3に示したごとく,完成品においてガラスの上部に絶縁部材を配置したり,ガラス上部をシール部材により封止してあるというグロープラグではなく,上記絶縁部材やシール部材等を有しなくても中軸とハウジングとの絶縁性を維持することができるグロープラグを製造した。
【0045】
本例のグロープラグの製造方法は,実施例1のグロープラグの製造工程を基本にするが,次の工程にその特徴がある。即ち,まず上記ハウジング5と上記中軸3との間に位置決めリング35とタブレット形状のガラス8を位置させ,加熱,溶着する。次いで,図8に示したごとく,上記ハウジング5の開口部55にシリコンゴム製のシール体74を嵌合し,この状態で防錆メッキを施す。そして,その後上記シール体74を除去する。
【0046】
この製造方法においては,上記のごとくシール体74を装着した状態で防錆メッキ処理を行う。そのため,ガラス上部81が浸食されることがなく,導電化されることもない。また,防錆メッキ処理を施した後には,上記シール体74を除去する。それ故,実施例1〜3に示したような絶縁部材等を有しなくても中軸3とハウジング5との絶縁性を維持することができるグロープラグを得ることができる。
【0047】
尚,本例においては,シール体74としてメッキ処理液に浸食されないシリコンゴムを用いたが,防錆メッキ処理時においてガラス上部81とメッキ処理液との接触を防止することができれば,メッキ処理液に浸食される材質であっても使用することができる。シール体は防錆メッキ後に除去するからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のグロープラグの断面図。
【図2】実施例1における,絶縁部材の配置状態を示す説明図。
【図3】図1のC−C線矢視断面図。
【図4】比較例1における,(a)溶着前,(b)溶着後の絶縁部材の配置状態を示す説明図。
【図5】比較例2における,絶縁部材の配置状態を示す説明図。
【図6】実施例2における,合成樹脂層の配置状態を示す説明図。
【図7】実施例3における,Oリングの配置状態を示す説明図。
【図8】実施例4における,防錆メッキ時のシール体の装着状態を示す説明図。
【図9】従来例のグロープラグの断面図。
【図10】従来例における,防錆メッキ時のグロープラグの断面図。
【符号の説明】
10,12,13,14...グロープラグ,
2...ヒータ,
3...中軸,
5...ハウジング,
6...絶縁部材,
71,72...シール部材,
8...ガラス,
81...ガラス上部,
Claims (7)
- ハウジングと,該ハウジング内に挿入した通電用の中軸及びヒータを有し,上記ハウジングと上記中軸との間はガラスにより溶着してあり,少なくとも上記ハウジングの外表面が防錆メッキしてあるグロープラグにおいて,上記ガラスの上部には,上記防錆メッキを施す際のメッキ処理液によって浸食されないリング状の絶縁部材を,その上面をリング状に露出させた状態で埋設してあることを特徴とするグロープラグ。
- 請求項1において,上記絶縁部材は絶縁性セラミックであることを特徴とするグロープラグ。
- 請求項1又は2において,上記絶縁部材の幅Aは,上記ハウジングと上記中軸との間隔をBとした場合,0.3≦A≦B−0.2(mm)の関係にあることを特徴とするグロープラグ。
- ハウジングと,該ハウジング内に挿入した通電用の中軸及びヒータを有し,上記ハウジングと上記中軸との間はガラスにより溶着してあり,少なくとも上記ハウジングの外表面が防錆メッキしてあるグロープラグにおいて,
上記ガラスの上部は,上記防錆メッキを施す際のメッキ処理液によって浸食されないシール部材により封止してあることを特徴とするグロープラグ。 - 請求項4において,上記シール部材は合成樹脂層であることを特徴とするグロープラグ。
- 請求項4において,上記シール部材はOリングであることを特徴とするグロープラグ。
- ハウジングと,該ハウジング内に挿入した通電用の中軸及びヒータを有し,上記ハウジングと上記中軸との間はガラスにより溶着してあり,少なくとも上記ハウジングの外表面が防錆メッキしてあるグロープラグを製造する方法であって,
上記ハウジングと上記中軸との間をガラスにより溶着した後,上記ハウジングの開口部にシール体を嵌合した状態で防錆メッキを施し,その後上記シール体を除去することを特徴とするグロープラグの製造方法。
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