JP3551281B2 - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エポキシ樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、溶融時の粘度が低く流れ性が良好で、耐ブロッキング性、貯蔵安定性に優れ、耐熱性、耐水性等の物性に優れ、電子部品の封止材、電気絶縁用樹脂、粉体塗料等に好適なエポキシ樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来技術】
エポキシ樹脂は、その優れた特性により電気・電子、塗料、建築、土木及び接着等の各種分野で広く使用されている。特にICに代表される電子部品の封止材用途には、その耐熱性や絶縁特性などの優れた電気特性から広く使用されてきた。従来の一般的な電子部品、特にIC封止材用のエポキシ樹脂組成物は、主としてο−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂に各種用途、目的とする特性に合わせて種々の硬化剤、フィラー、顔料等を配合し混合後、粉砕もしくは、相応の形状に加工することにより用いられている。
【0003】
しかしながら、電子部品の高密度化、微細化等によりICの厚みが薄くなり、さらにハンダリフロー等に代表される高温雰囲気下での電子回路への実装方式などにより従来のo−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂組成物では、対応困難な状況になってきた。
すなわち、厚みが薄くかつ大型化したICの封止においては、成形加工時の流れ性が悪く微細な回路の損傷や成形不良等を起す等の成形加工性の問題あるいは、高温雰囲気下での電子回路への実装方式では、熱ストレスによりIC封止材に吸湿した水分の急激な蒸発によりクラックが生じる等の吸湿耐熱の問題点が生じてきた。
【0004】
この様な問題点を改良するため溶融粘度の低い2官能の結晶性エポキシ樹脂組成物を使用する方法が検討されている。溶融粘度の低い2官能の結晶性エポキシ樹脂は、常温で固形であるため樹脂組成物とした場合の取扱が比較的容易であり且つ、結晶性エポキシ樹脂は、その融点を越えると分子間の相互作用が著しく低下し低粘度となる。そのため耐熱性、耐湿性に優れた溶融シリカなどの無機フィラーなどを多量に使用したフィラー高充填樹脂組成物であっても成形加工時の流れ性を改善でき、その結果、厚みが薄くかつ大型化した電子部品の封止も可能となる。また、吸湿耐熱の問題に関してもフィラー高充填樹脂組成物の低吸湿性及び耐熱性の特性と2官能エポキシ樹脂であることによる樹脂組成物の低弾性率化により改善がなされる。
【0005】
この様な優れた特性を有する結晶性エポキシ樹脂組成物であるが、使用する結晶性エポキシ樹脂の融解温度と結晶性エポキシ樹脂組成物を得る工程での製造温度とのバランスにより種々の問題が生じている。
即ち、結晶性エポキシ樹脂組成物は、成形加工時の高流動性を保つためエポキシ樹脂組成物を得る工程でのエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤との反応を極力抑制することが重要である。この反応を抑制する目的で組成物の製造温度を130℃以下、好ましくは、100℃以下で行う方法があるが、この様な製造温度で融解する結晶性エポキシ樹脂を使用した樹脂組成物は、長期保存するとブロッキングを引き起こしやすく取扱に問題を起すと言うブロッキングの問題や室温で長期保存すると成形加工時の流れ性が経時的に低下し成形不良や微細な電子部品の損傷を引き起こす等の貯蔵安定性の問題などがあった。
【0006】
また、結晶性エポキシ樹脂の溶融温度以下、エポキシ樹脂硬化剤の軟化点以上の温度で混練しエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤との反応を抑制する方法があるが、この場合、ブロッキング性や溶融加工時の流れ性の経時的な低下は改善されるが、混練時の作業性が悪く生産性に劣ったり、均一な混合が困難であり得られる硬化物の特性に悪影響を与えるなどの問題があった。
これらの問題に関する解決手段として従来から結晶性エポキシ樹脂組成物を低温にて貯蔵し、ブロッキング性や溶融加工時の流れ性の経時的な低下を防止する方法が行なわれているが、エネルギーコスト的に不利であり、組成物自体の根本的な解決とはなっていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、前記問題点を解決すべく種々検討した結果、特定の融解挙動を示す結晶性エポキシ樹脂を使用し、更に、溶融時の粘度が低く流れ性が良好である結晶性エポキシ樹脂の特性を損なうこと無く、結晶性エポキシ樹脂組成物製造時の作業性と耐ブロッキング性や溶融加工時の流れ性の経時的な低下などの貯蔵安定性の双方を改善する方法を見出し、本発明を完成したもので、本発明の目的は、溶融時の粘度が低く成形加工時の流れ性が良好で、且つ耐ブロッキング性、貯蔵安定性に優れ、耐熱性、耐水性等の物性に優れるエポキシ樹脂組成物及びその製造方法を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、結晶性エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤とを含有するエポキシ樹脂組成物であって、該エポキシ樹脂は、示差走査熱量計により昇温速度10℃/分で測定したとき少なくとも2つの融点を有し、その2つの融点のうち、最も高温側の融点とその融点より10℃以上低い融点とを有する結晶性エポキシ樹脂であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物であり、また、示差走査熱量計により昇温速度10℃/分で測定したとき、少なくとも2つ融点を有する結晶性エポキシ樹脂と該エポキシ樹脂の硬化剤とを含有するエポキシ樹脂組成物の製造方法において、前記エポキシ樹脂の最も高温側の融点温度以下で、且つ、その融点より10℃以上低い融点の融解温度以上の温度範囲で、前記エポキシ樹脂と前記エポキシ樹脂硬化剤とを混合することによって製造することを特徴とするエポキシ樹脂組成物の製造方法である。
【0009】
即ち、本発明は、示差走査熱量計(以下DSCと言う)により昇温速度10℃/分で測定したとき少なくとも2つの融点を有する結晶性エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤とを含有するエポキシ樹脂組成物であって、該結晶性エポキシ樹脂としては、DSCにより昇温速度10℃/分で測定したとき少なくとも2つの融点のうち、最も高温側の融点(以下『TmH』と言う)とその融点に隣接する主たる低温側の融点(以下『TmL』と言う)との温度差が10℃以上である結晶性エポキシ樹脂を使用するのである。
【0010】
物質の熱的特性を知るため示差走査熱量計を用いて一定速度で加熱した場合、物質の相変化や熱分解等に伴って熱の吸収もしくは放出が生じ、横軸に温度、縦軸に熱量を表したグラフを描くと、例えば図1に示すような熱の吸収もしくは放出に伴ったピ−クを示す。本発明では結晶性エポキシ樹脂について、DSCにより昇温速度10℃/分で測定したとき少なくとも2つの融点を有する結晶性エポキシ樹脂を使用するものであって、このような少なくとも2つの融点を有するエポキシ樹脂としては、重合度の異なる同種のエポキシ樹脂混合物によって構成されている。そして、本発明においては、これらの融点のうち最も高温側の融点TmHと、TmHに隣接する主たる低温側の融点TmLとの差が10℃以上あることを意味する。
【0011】
本発明で使用する結晶性エポキシ樹脂のDSCにより昇温速度10℃/分で測定した2つの融点のうちTmHが120℃以上であり、TmLが50℃以上である結晶性エポキシ樹脂であることが好ましく、この結晶性エポキシ樹脂としては、次の一般式(I)で示されるエポキシ樹脂であることが好ましい。
【0012】
【化2】
Figure 0003551281
(式中nは0または5以下の整数で示される繰り返し単位を表す。)
【0013】
そして、この結晶性エポキシ樹脂を含有する結晶性エポキシ樹脂組成物を得る際に、その製造温度が結晶性エポキシ樹脂のDSCにより昇温速度10℃/分で測定した融点のTmHの温度以下でかつ、TmLの融解温度以上の温度範囲にすることによって、溶融時の粘度が低く流れ性が良好で、且つ耐ブロッキング性、貯蔵安定性に優れ、耐熱性、耐水性等の物性に優れるエポキシ樹脂組成物を得ることが出来たのである。
【0014】
この様な結晶性エポキシ樹脂組成物の詳細な作用について明確では無いが、ブロッキング性や貯蔵安定性の改善には、融点が120℃以上の結晶性エポキシ樹脂を使用した樹脂組成物を、その融点温度以下で製造することが効果的であること、また、結晶性エポキシ樹脂組成物製造時の作業性と良好な成形加工性には、融点が100℃以下の結晶性エポキシ樹脂の使用が好ましいと言う本発明者らの検討結果に基づき、さらに複数の融点を有する結晶性エポキシ樹脂の融解挙動をDSC及びホットステージ付き顕微鏡観察装置により観察したところ、本発明の様な特定の融点を有する結晶性エポキシ樹脂の融解挙動において、結晶成分中で低温で融解する成分が融解すると高温の融点を示す結晶成分の一部も融解結晶成分に溶解すること、特に、最も高温側の融点より10℃以上低い温度領域であると、最も高温側の融点成分は、完全には融解せず微粒子として分散すること、更に、最も高温側の融点成分が完全には融解しなかった試料を冷却すると素早く結晶化するが最も高温側の融点成分が完全に溶解あるいは、融解した系では、冷却後も結晶性に劣ると言うことが判明した。
【0015】
これらの知見から、本発明では特定の融点を有する結晶性エポキシ樹脂を使用し、樹脂組成物を製造するに際しては、特定の温度条件を採用することによって、製造温度以上の融点成分の一部分は融解し、その他の部分は、微粒子として存在するものと推定され、このことが高融点の結晶性エポキシ樹脂組成物の問題点であった製造時の作業性を改善し、かつ冷却後得られた樹脂組成物では、製造温度以上の融点成分が微粒子として素早く再結晶化し、そのためブロッキング性に優れ、さらに室温保存等の結晶性エポキシ樹脂が微粒子として存在している状態では、エポキシ樹脂硬化剤との反応性に乏しく成形加工時の流れ性の経時的な低下を抑制するものと考えられる。
そして、本発明での結晶性エポキシ樹脂の成分として2,5−ジ−tert−ブチル−1,4−ジヒドロキシ−ベンゼンのジグリシジルエーテルを含有することが、その有する融点や良好な結晶性及び優れた耐熱性、耐水性、溶融加工時の流れ性の観点から特に好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明で使用するエポキシ樹脂は、DSCにより昇温速度10℃/分で測定したとき少なくとも2つの融点を有し、少なくとも2つの融点のうち、最も高温側の融点(TmH)と、TmHに隣接しこれより10℃以上低い融点(TmL)を有することを特徴とする。TmHとTmLの温度差が10℃未満であると融解温度の低い成分の融解と同時に高温側の融点成分も融解し易く、ブロッキング性や溶融加工時の流れ性の経時的な低下に対して十分な効果が得られない恐れがある。更に、少なくとも2つの融点のうち、DSCにより昇温速度10℃/分で測定したTmHが、120℃以上で、TmLが50℃以上であることが好ましく、TmHが、120℃以下であったり、TmLが50℃以下であると耐ブロッキング性に劣る問題が生じる場合がある。
【0022】
更に、エポキシ樹脂として2,5−ジ−tert−ブチル−1,4−ジオキシ−ベンゼン骨格を導入した特定のエポキシ樹脂は、分子の対称性が高く式(I)中の繰り返し単位nが1以上の化合物を特定の割合で混合することにより2つの融点を有する結晶性エポキシ樹脂が得られる。即ち、式(II)に示す1,4−ジ−tert−ブチル−2,5−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−ベンゼン(一般式(I)中の繰り返し単位n=0の成分 以下n=0成分と言う)以外にも式(IV)に示す1,3−ビス〔1−ベンジル−2,5−ジ−tert−ブチル−4−(2,3−エポキシプロポキシ)〕−2−プロパノール(一般式(I)中の繰り返し単位n=1の成分)の様なオリゴマー化合物も結晶化し易く、この様なオリゴマー化合物の量とn=0成分とを適当な割合で生成するような合成条件を選ぶことにより2つの融点を有する結晶性エポキシ樹脂が得られる。
【0023】
【化5】
Figure 0003551281
【0024】
【化6】
Figure 0003551281
【0025】
また、TBHBをアルカリ金属水酸化物の存在下エピハロヒドリンを反応させることにより得ることができる。このとき、エピハロヒドリンの添加量をフェノール性水酸基1モルに対して1.3〜2.5倍モルの特定の範囲で用いることが必要である。エピクロルヒドリンの添加量が1.3倍モル以下であるとオリゴマー体が多量に生成しTmHが120℃以下となり好ましくない。また、2.5倍以上であると135℃以上の単一の融点を有するか、もしくは、2つの融点の温度差が10℃未満となり好ましくない。
【0026】
また、結晶性エポキシ樹脂のうち一般式(I)で示されるTBHBのジグリシジルエーテルを含有することが望ましい。TBHBのジグリシジルエーテルを使用すること自体は公知であり、溶融時著しい低粘度であることから成型加工時の流れ性や得られる硬化物の耐熱性、耐水性に優れる特徴を有している。
しかしながら、従来から結晶性エポキシ樹脂組成物として使用されていたTBHBのジグリシジルエーテルは、融点が高く特に、式(II)中の繰り返し単位n=0の成分が90%以上であると135℃以上の単一の融点を示し、これを単独で使用した結晶性エポキシ樹脂組成物は、組成物を得る工程を低温で行うと混練時の作業性が悪く生産性に劣る欠点を有していた。
このような高温の融点を有する結晶性エポキシ樹脂に他の低融点の結晶性エポキシ樹脂を配合したり、あるいは2つの融点を有する様な製造方法で製造したTBHBのジグリシジルエーテルを使用することにより従来の問題点が改良できる。
【0027】
本発明の結晶性エポキシ樹脂組成物を製造する方法としては、所定の組成比に選んだ原料成分を、熱ロール、加熱ニーダーやエクストルーダー等を使用し混合し、必要に応じて粉砕することにより得ることができる。その製造温度は、DSCにより昇温速度10℃/分で測定した結晶性エポキシ樹脂のTmH温度以下でかつ、TmL温度以上で製造することが好ましい。結晶性エポキシ樹脂のTmH温度以上で製造するとエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤との反応が進行し易く成形加工時の流れ性に劣る恐れがある。
また、結晶性エポキシ樹脂のTmL以下で製造すると混練時の作業性が悪く生産性に劣ったり、均一な混合が困難となり好ましくない。
【0028】
本発明で使用するエポキシ樹脂は、本発明の組成物の効果及び物性を損なわない範囲で末端のエポキシ基の一部をモノフェノール類、カルボン酸類及び二級アミン類で反応させたものを使用することもできる。また、本発明の組成物の効果及び物性を損なわない範囲で他の非結晶性エポキシ化合物を少量併用することも可能である。
本発明で使用される硬化剤として種々のものが使用できる。例えばフェノール、クレゾール、ビスフェノールA、ナフトール等のフェノール類とホルムアルデヒド等のアルデヒド類との縮合反応により得られるノボラック型フェノール樹脂類。フェノール類とパラキシレングリコール等のアラルキル類との縮合反応により得られるアラルキルフェノール樹脂類。フェノール類とジシクロペンタジエン等の不飽和結合含有化合物との縮合反応により得られるフェノール樹脂類。両末端にフェノール性水酸基を有する線状フェノール樹脂類。ジシアンジアミド、イミダゾール類、ヒドラジド類、酸無水物類及びそれらの変性物及び芳香族アミン類及びそれらの変性物等が挙げられる。
本発明の結晶性エポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂に対する硬化剤の配合割合はエポキシ基1当量当たり、硬化剤の官能基が0.5〜1.5当量好ましくは0.8〜1.2当量の割合である。
【0029】
本発明の結晶性エポキシ樹脂料組成物には、必要に応じて充填材、硬化促進剤及び種々の添加剤を配合することができる。充填材として例えば溶融シリカ粉末、アルミナ粉末、マグネシア粉末、酸化チタン、タルク、ベンガラ、マイカ、炭酸カルシウムなどが挙げられ、硬化促進剤としては、例えば三級アミン類、イミダゾール類、第四アンモニウム塩類、ホスフィン類等が挙げられる。その他、添加剤として例えば有機顔料、難燃剤、流れ調整剤、内部離型剤等が挙げられる。
【0030】
【発明の効果】
以上述べたような特定の融点挙動を示す結晶性エポキシ樹脂を使用し、更に、結晶性エポキシ樹脂組成物を得る際、特定の加工条件で製造することによって溶融時の粘度が低く、流れ性が良好な結晶性エポキシ樹脂の特性を損なうことなく、結晶性エポキシ樹脂組成物製造時の作業性と耐ブロック性や溶融加工時の流れの経時的な低下などの貯蔵安定性を改善したエポキシ樹脂組成物が得られた。
【0031】
【実施例】
以下、エポキシ樹脂組成物の実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものでない。また、以下の例に記載の「部」とは、特に記載しない限り「重量部」を示す。また、以下に示す融点は、DSCにより昇温速度10℃/分で測定したときの値である。 実施例及び比較例で使用したエポキシ樹脂を表1に示す。表1における「エポキシ樹脂A」、「エポキシ樹脂B」及び「エポキシ樹脂C」は2,5−ジ−tert−ブチル−1,4−ジーヒドロキシ−ベンゼン(TBHB)のジグリシジルエーテルで表1に示すエポキシ当量及び異なった融点を有する。「エポキシ樹脂F」は表1に示すエポキシ当量を有する融点142℃を有するTBHBのジグリシジルエーテルであり、「エポキシ樹脂G」は表1に示すエポキシ当量を有する融点105℃の1,4−ジーヒドロキシ−ベンゼンのジグリシジルエーテルである。「エポキシ樹脂H]は1,4−ジ−ヒドロキシ−ベンゼンのジグリシジルエ−テル(融点105℃)100部に1,4−ジヒドロキシナフタレンのジグリシジルエ−テル(融点90℃)を20部溶融混合して得たもので、表1に示すエポキシ当量及び異なった融点を有する。
そして、「エポキシ樹脂A」のDSCを図1に示す。
【0032】
【表1】
Figure 0003551281
【0033】
実施例1〜実施例及び比較例1〜比較例3
表1に示したエポキシ樹脂を使用し、表2に示す割合で添加剤を配合し、これを予備混合し、次いでニーダーにて100℃で混練し、冷却後粉砕することにより目的とする結晶性エポキシ樹脂組成物を得た。表2における1)〜3)は次の通りである。
1)昭和高分子社製 BRG−555 軟化点65℃ 水酸基当量105g/eq
2)東都化成社製 YDB−360 エポキシ当量360g/eqの臭素化ビスフェノ−ルA型エポキシ樹脂
3)三酸化ニアンチモン
【0034】
【表2】
Figure 0003551281
【0035】
表2に従って調整した結晶性エポキシ樹脂組成物について諸物性を調べたところ表3のとおりであった。
表3における物性の測定法と評価法は下記のとおりである。
1.エポキシ樹脂組成物製造時の作業性
ニーダーで混練り状態及び組成物の流れ性の状態を以下の様な基準で評価した。
○・・・・混練りも組成物の流れも良好。
△・・・・混練り状況は良好であるが、組成物の流れが若干乏しい。
×・・・・混練りが不十分で組成物の流れも乏しい。
2.耐ブロッキング性
結晶性エポキシ樹脂組成物を40℃の恒温槽中で10日保存したときのブロッキングの状態を以下の様な基準で評価した。
○・・・・塊状物にならず流動性がある。
△・・・・大きな塊状物にはならないが流動性がない。
×・・・・塊状物となり流動性がない。
3.成形加工時の流れ性
結晶性エポキシ樹脂組成物の成形加工時の流れ性を組成物を25℃で1日保存したものと40℃の恒温槽中で10日保存したものとのスパイラルフローを測定しその変化を次式により求めた。
Figure 0003551281
4.ガラス転移温度
各成形物を180℃で8時間硬化させたときの硬化物の熱機械分析(TMA)により求めた。
5.吸水率
直径50mm、厚み2mmの円盤状成形品をプレッシャークッカーテスターを用いて121℃、100%RHで120時間後の重量変化
【0036】
【表3】
Figure 0003551281
【0037】
表3に示した結果から明らかなように、本発明で得られる結晶性エポキシ樹脂組成物が、組成物製造時の作業性が良好でかつ、耐ブロッキング性や溶融加工時の流れ性の経時的な低下などが少ない等の貯蔵安定性に優れていることが判る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で使用した「エポキシ樹脂A」のDSCを示す。

Claims (4)

  1. 重合度の異なる同種のエポキシ樹脂混合物である結晶性エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤とを含有するエポキシ樹脂組成物であって、該エポキシ樹脂は、示差走査熱量計により昇温速度10℃/分で測定したとき少なくとも2つの融点を有し、その2つの融点のうち、最も高温側の融点とその融点より10℃以上低い融点とを有する結晶性エポキシ樹脂であることを特徴とする電子部品封止材用エポキシ樹脂組成物。
  2. 結晶性エポキシ樹脂の示差走査熱量計により昇温速度10℃/分で測定した少なくとも2つの融点のうち、最も高温側の融点が120℃以上で、その融点より10℃以上低い融点が50℃以上であることを特徴とする請求項1記載の電子部品封止材用エポキシ組成物。
  3. 結晶性エポキシ樹脂が、一般式(I)で示されるエポキシ樹脂を含有することを特徴とする請求項1記載の電子部品封止材用エポキシ組成物。
    Figure 0003551281
    (式中nは0または5以下の整数で示される繰り返し単位を表す。)
  4. 示差走査熱量計により昇温速度10℃/分で測定したとき、少なくとも2つ融点を有する重合度の異なる同種のエポキシ樹脂混合物である結晶性エポキシ樹脂と該エポキシ樹脂の硬化剤とを含有する電子部品封止材用エポキシ樹脂組成物の製造方法において、前記エポキシ樹脂の最も高温側の融点温度以下で、且つ、その融点より10℃以上低い融点の融解温度以上の温度範囲で結晶性エポキシ樹脂と該エポキシ樹脂の硬化剤とを混合することを特徴とする電子部品封止材用エポキシ樹脂組成物の製造方法。
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