JP3551158B2 - デジタルカメラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタルスチルカメラ(以下、「デジタルカメラ」という。)において本撮影前に実行されるいわゆるライブビュー表示の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来よりデジタルカメラでは、被写体の撮像と表示とを繰り返し行い、本体に設けられたディスプレイをファインダとして利用することが可能とされている。ディスプレイにおけるこのような表示は、ライブビュー表示と呼ばれている。
【0003】
例えば、撮像と表示とを1/15秒ごとに繰り返し行うことにより、ディスプレイにはほぼリアルタイムに被写体像を表示することが可能となる。使用者はディスプレイの表示を見ることにより、主被写体や撮影範囲の確認(いわゆる、フレーミング)を容易に行うことが可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ライブビュー表示時の撮像においても測光が行われ、CCDの露光時間や絞り値が算出されて露光制御が行われる。ここで、夜景モードのように被写体が極めて暗いために長時間の露出を行う動作モード(以下、「長時間露出モード」という。)では、ノイズが目立たない程度にゲイン値を高く設定するとともに絞りを開放にしたとしても露光時間は数秒から十数秒となってしまう。
【0005】
このとき、被写体像の表示更新も露光時間と同様に数秒から十数秒となってしまうため、デジタルカメラの向きや姿勢、ズーム倍率等を変更しても変更後の被写体像が適切に表示されるまで時間を要するという問題が生じる。
【0006】
図11は、ライブビュー表示における露光と表示との関係を示すタイムチャートである。符号E91〜E95はそれぞれ1回の露光を指しており、符号D91〜D95はそれぞれ露光E91〜E95にて取得された画像の表示を示す。すなわち、露光の後に表示が行われ、後続の露光が行われている間、先行する露光にて取得された画像の表示が持続される。
【0007】
ここで、露出E94の途中の時刻T91にてデジタルカメラの向きや姿勢、ズーム倍率等が変更された場合、表示D94にて表示される画像はぶれたものとなる。したがって、デジタルカメラの向き等の変更後に適正な画像が表示されるのは、時刻T92からとなる。その結果、時刻T91から時刻T92の間は、適正な画像が表示されるまでの待ち時間となる。特に長時間露出モードの場合、待ち時間は非常に長くなり、フレーミングが煩わしくなるという問題が生じてしまう。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、長時間露出モードであってもライブビュー表示において適正な画像を速やかに表示させることを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、デジタルカメラであって、画像を取得する撮像手段と、前記撮像手段の露光時間を決定する露光時間決定手段と、前記露光時間決定手段により連続的に決定される露光時間にて前記撮像手段に順次撮像を行わせる撮像制御手段と、前記撮像手段により取得された画像を撮像結果に応じて順次表示する表示手段と、前記撮像制御手段に、前記撮像手段の露光を中断させて新たな露光を開始させる指示を与える指示手段と、を備え、前記撮像制御手段は、前記指示の直後に、前記撮像手段による前記露光時間の露光を中断させて新たな露光を開始させるように前記撮像手段を制御し、前記表示手段は、前記新たな露光が終了すると、前記新たな露光で前記撮像手段により取得された画像を順次表示する。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のデジタルカメラであって、中断された露光に係る中断画像が露光中断直後に前記表示手段に表示される。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のデジタルカメラであって、前記中断画像が表示される際に、前記中断画像のゲインを増大させるゲイン制御手段をさらに備える。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のデジタルカメラであって、前記ゲインが、前記中断画像に対する実際の露光時間に基づいて決定される。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載のデジタルカメラであって、前記表示手段のみにより被写体の確認が可能とされている。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載のデジタルカメラであって、前記指示手段が、操作者が露光を中断させるために操作する操作部材をさらに備える。
【0015】
【発明の実施の形態】
<1. デジタルカメラの構成>
図1ないし図4は、被写体の静止画像をデジタルデータとして取得するデジタルカメラ1の外観の一例を示す図であり、図1は正面図、図2は背面図、図3は側面図、図4は底面図である。
【0016】
デジタルカメラ1は、図1に示すように、箱型のカメラ本体部2と直方体状の撮像部3とから構成されている。
【0017】
撮像部3の前面側には、撮影レンズであるマクロ機能付きズームレンズ301が設けられるとともに、銀塩レンズシャッターカメラと同様に、被写体からのフラッシュ光の反射光を受光する調光センサ305が設けられる。
【0018】
カメラ本体部2の前面側には左端部にグリップ部4、中央上部に内蔵フラッシュ5が設けられ、上面側にはシャッタボタン8が設けられている。シャッタボタン8は、銀塩カメラで採用されているような半押し状態と全押し状態とが検出可能な2段階スイッチになっている。
【0019】
一方、図2に示すように、カメラ本体部2の背面側には、略中央に撮影画像のモニタ表示(電子ビューファインダに相当)、記録画像の再生表示等を行うための液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)10が設けられている。また、LCD10の下方に、デジタルカメラ1の操作を行うキースイッチ群221〜226および電源スイッチ227が設けられる。電源スイッチ227の左側には、電源がオン状態で点灯するLED228およびメモリカードへのアクセス中である旨を表示するLED229が配置される。
【0020】
カメラ本体部2の背面側にはさらに、「撮影モード」と「再生モード」との間でモードを切り替えるモード設定スイッチ14が設けられる。撮影モードは写真撮影を行って被写体に関する画像を生成するモードであり、再生モードはメモリカードに記録された画像を読み出してLCD10に再生するモードである。
【0021】
モード設定スイッチ14は2接点のスライドスイッチであり、下方位置にスライドセットすると撮影モードが機能し、上方位置にスライドセットすると再生モードが機能するように構成される。
【0022】
また、カメラ背面右側には、ボタン群230が設けられ、撮影モードにおいてはボタン231,232を押すことによりズーミング倍率の変更が行われ、ボタン233,234を押すことによって露出補正が行われる。中央のボタン235はLCD10に表示された項目の選択決定に用いられるとともに撮影モードにおけるライブビュー表示の際にも利用される(詳細については後述)。
【0023】
撮像部3の背面には、図2に示すように、マクロボタン321が設けられる。マクロ撮影(接写)時には、マクロボタン321を押すことにより、撮像部3においてマクロ撮影が可能な状態になる。
【0024】
カメラ本体部2の側面には、図3に示すように端子部236が設けられており、端子部236にはDC入力端子236aと、LCD10に表示されている内容を外部のビデオモニタに出力するためのビデオ出力端子236bとが設けられている。
【0025】
カメラ本体部2の底面には、図4に示すように、電池装填室18とカードスロット(カード装填室)17とが設けられる。カードスロット17は、撮影された画像等を記録するための着脱自在なメモリカード91等を装填するためのものである。カードスロット17および電池装填室18は、クラムシェルタイプの蓋15により開閉自在になっている。なお、このデジタルカメラ1では、4本の単三形乾電池を電池装填室18に装填することにより、これらを直列接続してなる電源電池を駆動源としている。また、図3に示すDC入力端子236aにアダプタを装着することで外部から電力を供給して使用することも可能である。
【0026】
<2. デジタルカメラの内部構成>
次に、デジタルカメラ1における構成についてさらに詳細に説明する。図5は、デジタルカメラ1の構成を示すブロック図である。
【0027】
図5に示すように、撮像部3におけるズームレンズ301の後方位置の適所にはCCD303を備えた撮像回路が設けられている。また、撮像部3の内部には、ズームレンズ301のズーム比の変更と収容位置、撮像位置間のレンズ移動を行うためのズームモータM1、フォーカスの調整を行うためにズームレンズ301内のフォーカスレンズを移動させるフォーカスモータM2、ズームレンズ301内に設けられた絞りの開口径を調整するための絞りモータM3とが設けられている。
【0028】
CCD303は、ズームレンズ301によって結像された被写体の光像を、R(赤)、G(緑)、B(青)の色成分の画像信号(各画素で受光された画素信号の信号列からなる信号)に光電変換して出力する。
【0029】
タイミングジェネレータ314はCCD303の駆動制御信号を生成するものである。タイミングジェネレータ314は、例えば、積分開始/終了(露出開始/終了)のタイミング信号、各画素の受光信号の読出制御信号(水平同期信号、垂直同期信号、転送信号等)等のクロック信号を生成し、CCD303に出力する。
【0030】
信号処理回路313は、CCD303から出力される画像信号(アナログ信号)に所定のアナログ信号処理を施すものである。信号処理回路313は、CDS(相関二重サンプリング)回路313aとAGC回路313bとを有し、CDS回路313aにより画像信号のノイズの低減を行い、AGC回路313bでゲインを調整することにより画像信号のレベル調整を行う。
【0031】
調光回路304は、フラッシュ撮影における内蔵フラッシュ5の発光量を全体制御部211により設定された所定の発光量に制御するものである。フラッシュ撮影時には、露光開始と同時に被写体からのフラッシュ光の反射光が調光センサ305により受光され、この受光量が所定の発光量に達すると、調光回路304から発光停止信号が出力される。これにより、内蔵フラッシュ5の発光量が所定の発光量に制御される。
【0032】
撮像部3における露出制御は、絞りの調整と、CCD303の露光量、すなわちシャッタスピードに相当するCCD303の電荷蓄積時間とを調整して行われる。夜景モード等の長時間露出モードではない通常撮影において、被写体が暗いために適切な絞りおよびシャッタースピードが設定できない場合には、CCD303から出力される画像信号のレベル調整を行うことにより露光不足による不適正露出が補正される。すなわち、低輝度時は、絞り、シャッタースピードおよびゲイン調整を組み合わせて露出レベルが適正レベルとなるように制御が行われる。なお、画像信号のレベル調整は、信号処理回路313内のAGC(Auto Gain Control)回路313bのゲイン調整により行われる。
【0033】
次に、カメラ本体部2のブロックについて説明する。
【0034】
カメラ本体部2内において、A/D変換器205は、画像の各画素の信号を例えば10ビットのデジタル信号に変換するものである。A/D変換器205は、タイミング制御回路202から入力されるA/D変換用のクロックに基づいて各画素信号(アナログ信号)を10ビットのデジタル信号に変換する。
【0035】
タイミング制御回路202は、基準クロック、タイミングジェネレータ314、A/D変換器205に対するクロックを生成するように構成されている。タイミング制御回路202は全体制御部211によって制御される。
【0036】
ズームモータ駆動回路215、フォーカスモータ駆動回路214および絞りモータ駆動回路216は、全体制御部211からの信号に従ってズームモータM1、フォーカスモータM2および絞りモータM3のそれぞれを駆動する回路である。
【0037】
黒レベル補正回路206は、A/D変換された画像の黒レベルを所定の基準レベルに補正するものである。黒レベル補正回路206からの出力は、WB(ホワイトバランス)回路207に入力されるとともに、露出や焦点合わせに関する演算を行うために全体制御部211にも入力される。
【0038】
WB回路207は、γ補正後にホワイトバランスも併せて調整されるように、画素のR、G、Bの各色成分のレベル変換を行うものである。WB回路207は、全体制御部211から入力されるレベル変換テーブルを用いて画素のR、G、Bの各色成分のレベルを変換する。なお、レベル変換テーブルの各色成分の変換係数(特性の傾き)は全体制御部211により撮影画像ごとに設定される。
【0039】
γ補正回路208は、画像のγ特性を補正するものである。画像メモリ209は、γ補正回路208から出力される画像のデータを記憶するメモリである。画像メモリ209は、1フレーム分の記憶容量を有している。すなわち、画像メモリ209は、CCD303がn行m列の画素を有している場合、n×m画素分のデータの記憶容量を有し、各画素のデータが対応するアドレスに記憶される。
【0040】
VRAM(ビデオRAM)210は、LCD10に再生表示される画像のバッファメモリである。VRAM210は、LCD10の画素数に対応した画像データを格納することが可能な記憶容量を有している。
【0041】
撮影モードにおける撮影待機状態では、LCD10にライブビュー表示が行われる。具体的には、撮像部3から所定間隔ごとに得られる各画像に対して、A/D変換器205〜γ補正回路208において各種の信号処理を施した後、全体制御部211が画像メモリ209に格納される画像を取得し、それをVRAM210に転送することで、LCD10に撮影された画像を表示する。そして、LCD10に表示される画像を所定時間ごとに更新することで、ライブビュー表示が行われる。ライブビュー表示により、撮影者はLCD10に表示された画像に基づいて被写体を視認することができる。なお、LCD10において画像を表示する際には、全体制御部211の制御によりバックライト16が点灯する。
【0042】
また、再生モードにおいては、メモリカード91から読み出された画像が全体制御部211で所定の信号処理が施された後、VRAM210に転送され、LCD10に再生表示される。
【0043】
カードインターフェイス212は、カードスロット17を介してメモリカード91への画像の書き込みおよび読み出しを行うためのインターフェイスである。
【0044】
フラッシュ制御回路217は、内蔵フラッシュ5の発光を制御する回路であり、全体制御部211からの制御信号に基づいて内蔵フラッシュ5を発光させる一方、既述の発光停止信号に基づいて内蔵フラッシュ5の発光を停止させる。
【0045】
RTC(リアルタイムクロック)回路219は、撮影日時を管理するための時計回路である。
【0046】
操作部250は、上述した、各種スイッチ、ボタンを包括するものであり、ユーザによって操作入力される情報は、操作部250を介して全体制御部211に伝達される。
【0047】
全体制御部211は、上述した撮像部3内およびカメラ本体部2内の各部材の駆動を有機的に制御し、撮影および再生に関するデジタルカメラ1の全体動作を司る。全体制御部211は演算を行うCPUや各種専用の電気的回路(自動露出や自動焦点合わせに関する演算を行う回路等)、並びに、全体制御部211の動作プログラム等を記憶するROM211aおよび作業領域となるRAM211bを有し、CPUがROM211a内のプログラムに従って演算を実行することにより、デジタルカメラ1の動作が制御される。
【0048】
<3. 撮影モードにおける動作>
図6は撮影モードにおけるデジタルカメラ1の動作の概略の流れを示す図である。撮影モードでは、操作が行われていない状態にてLCD10にライブビュー表示が行われる(ステップS1,S2)。すなわち、定期的にCCD303にて画像が取得され、画像メモリ209に記憶される。そして、画像メモリ209内の画像のデータはVRAM210へと転送されてLCD10に表示される。これにより、被写体が明るい場合には、被写体像がほぼリアルタイムにLCD10に表示される。
【0049】
シャッタボタン8が半押しとされると(ステップS2)、全体制御部211は黒レベル補正回路206からの出力に基づいて自動焦点合わせ(AF(オートフォーカス)制御)を行う(ステップS3)。すなわち、黒レベル補正回路206から出力される画像のコントラストが最大となるように画像の取得およびフォーカスモータM2の駆動を繰り返し行う。
【0050】
次に、黒レベル補正回路206からの出力に基づいて全体制御部211により測光が行われ、自動露出のための演算(AE(オートエクスポージャ)演算)が行われる。これにより、CCDの露光時間および絞り値が決定される(ステップS4)。なお、AE演算とともに測色演算も行われ、WB回路207のゲイン設定も行われる。
【0051】
本撮影の際の露出に関する演算は、後述のライブビュー表示時の露出に関する演算と異なった方式とされる。こられの演算は全体制御部211内の専用のAE演算回路およびCPUにより実行される。なお、露出に関する演算対象となるデータは画像メモリ209内のデータであってもよい。
【0052】
AF制御およびAE演算が実行されると、シャッタボタン8の全押しを待機する状態に移行し(ステップS5,S9)、シャッタボタン8が全押しされると本撮影の露光が実行され(ステップS6)、取得された画像がLCD10に表示される(ステップS7)。
【0053】
その後、本撮影にて取得された画像を保存するか否かが使用者に問い合わされ、保存が選択されるとメモリカード91に画像が保存される(ステップS8)。本撮影が完了すると、あるいは、シャッタボタン8が半押し状態から全押しされなかった場合、ステップS1へと戻ってライブビュー表示が行われる。
【0054】
<4. ライブビュー表示における動作>
デジタルカメラ1では、撮影モードにおいて被写体の種類に応じた動作態様を設定することが可能とされている。図7は、撮影モードにおける動作設定を選択する項目がLCD10に表示された様子を示す図である。
【0055】
風景モード、ポートレートモードおよびテキストモードは、それぞれ風景、人物および文書の撮影に適した画像を得るために、デジタルカメラ1内の画像処理を設定するモードである。夜景モードは夜景を適切に撮影するために通常の露光よりも長時間の露光が設定可能なモードである。長時間露光モードである夜景モードが選択された場合にはライブビュー表示時の画像更新に時間を要することとなるが、デジタルカメラ1では、夜景モードにおいて使用者へのストレスを軽減させるライブビュー表示が実行される。
【0056】
図8はライブビュー表示時の全体制御部211の主たる機能を周辺の構成とともにブロックにて示す図である。図8において、AE演算部281、撮像制御部282、表示制御部283およびゲイン補正部284が全体制御部211内の各種電気的回路の動作およびCPUの制御により実現される機能を示す。
【0057】
AE演算部281は、黒レベル補正回路206(図5参照)からの画像データに基づいてAE演算を行い、露出値を求める。そして、露出値に基づいてROM211a内に予め準備されているライブビュー表示時のプログラム線図に従って露光時間および絞り値を決定する。露光時間および絞り値は撮像制御部282に出力される。
【0058】
撮像制御部282は、露光時間を示す信号をタイミング制御回路202に出力し、タイミングジェネレータ314を介してCCD303の露光時間を制御する。また、絞り値に基づいて絞りモータ駆動回路216に信号を送出し、絞りモータM3を駆動して絞り302を制御する。
【0059】
表示制御部283はVRAM210に表示すべき画像のデータを書き込み、LCD10の表示を制御する。ゲイン補正部284は、後述の夜景モードにおけるライブビュー表示の際に画像のゲインアップを行う。
【0060】
なお、図8では夜景モードのライブビュー表示時に使用される図2中のボタン235を中断ボタン235として示している。
【0061】
図9は、図6中のライブビュー表示(ステップS1)の動作の流れを示す図である。まず、夜景モード以外の場合のライブビュー表示の動作について説明する。
【0062】
ライブビュー表示では、タイミング制御回路202の制御により露光が開始された後、露光時間が経過すると露光が終了される(ステップS11,S13,S14)。これにより、画像メモリ209に画像が取得される。AE演算部281では、取得された画像の明るさに基づいて次の露光における露光時間および絞り値を決定する(ステップS15)。
【0063】
その後、画像メモリ209のデータが表示制御部283によりVRAM210へと転送され、取得された画像がLCD10に表示される(ステップS16)。
【0064】
撮影操作が行われない場合には直ちにステップS11へと戻り、AE演算部281にて求められた露光時間および絞り値にて露光が行われる(図6参照)。すなわち、AE演算部281にて連続的に決定される露光時間および絞り値にて撮像制御部282がCCD303に順次撮像を行わせ、取得された画像が順次LCD10に表示される。
【0065】
被写体が通常の明るさの場合、ライブビュー表示時の撮像は1/30〜1/15秒程度の間隔で迅速に行われる。したがって、デジタルカメラ1の向きの変化に応じてLCD10には被写体像がリアルタイムで変化しながら表示される。なお、ライブビュー表示では絞り値は予め固定値とされてもよい。この場合、AE演算部281では露光時間のみが決定される。
【0066】
デジタルカメラ1にて夜景モードが設定されている場合、被写体が暗いためにライブビュー表示時にAE演算部281にて設定される絞り値はほぼ開放値とされる。AGC回路313bによるゲインアップもある程度行われるが、画像の質の低下を防止するためにゲインの増加を抑えつつ長時間露光が行われる。したがって、図9におけるステップS11からステップS16に至る時間が数秒〜十数秒とされる。その結果、ライブビュー画像の表示更新も数秒〜十数秒間隔となる。
【0067】
一方、デジタルカメラ1では夜景モードにてデジタルカメラ1の向きや姿勢、ズーム倍率等を変えた際に(すなわち、撮影される領域を変更した際に)CCD303の露光を強制的に中断させて新たな露光を開始させる中断ボタン235が設けられている。
【0068】
図9に示すように、夜景モードでは露光中に中断ボタン235が操作されたか否かの確認が行われる(ステップS12)。中断ボタン235が操作された場合、その旨を示す信号が撮像制御部282に入力され、実行中の露光が強制的に終了される(ステップS17)。露光が強制的に中断された場合、画像メモリ209には露光不足にて取得された画像データが記憶されるため、ゲイン補正部284にてゲインアップを行ってLCD10に画像が表示される(ステップS18,S16)。
【0069】
ゲイン補正部284において設定されるゲインGは、露光が中断された画像に対する実際の露光時間Trと、測光演算によりAE演算部281にて求められた露光時間Ts(予定されていた露光時間)とに基づいて数1により求められる。
【0070】
【数1】
【0071】
すなわち、露光開始後、中断ボタン235が速やかに操作されるほとゲイン補正部284はゲインGを増大させる。ゲイン補正部284による処理は、ゲインGを各画素の値にソフトウェア的に乗算するものであってもよく、専用の電気的回路により乗算が行われてもよい。
【0072】
その後、ステップS11に戻ることにより、中断ボタン235操作直後に再露光が実行され、露光が終了するとデジタルカメラ1の向きや姿勢、ズーム倍率等の変更後の画像がLCD10に表示される(ステップS11〜S16)。なお、再露光の露光時間は中断された露光のために求められた露光時間とされる。
【0073】
図10は、中断ボタン235を使用した際の露光と表示との関係を示すタイムチャートである。図10において符号E1〜E6は1回の露光を示し、符号D1〜D6はそれぞれ露光E1〜E6にて取得された画像の表示を示す。また、時刻T1はデジタルカメラ1の向きや姿勢、ズーム倍率等が変更された時刻であり、時刻T2は中断ボタン235が操作された時刻である。
【0074】
デジタルカメラ1の向きや姿勢、ズーム倍率等が変更された露光E4は、中断ボタン235の操作により時刻T2にて強制的に終了され、直ちに次の露光E5が開始される。露光E4の間に取得された画像は、露光時間の短さに対応してゲイン補正部284にてゲインアップされ表示D4の間、LCD10に表示される。
【0075】
その後、露光E5が終了すると、時刻T3から表示D5として露光E5にて取得された画像が表示される。すなわち、時刻T3からデジタルカメラ1の向き等を変更した後の適正な画像が表示される。その結果、デジタルカメラ1の向き等の変更後、適正なライブビュー画像が表示されるまでの時間が、露光中断を行わない場合よりも短縮される。
【0076】
例えば、図10に示すタイムチャートと露光中断を行わない図11に示すタイムチャートとにおいて、図10の露光E1〜E3の露光時間がそれぞれ図11の露光E91〜E93の露光と同一であり、露光E5の露光時間と露光E94の露光時間とが同一であるとした場合、図10では時刻T3にて適正な画像が表示されるのに対し、図11では時刻T92となってから初めて適正な画像が表示される。図10中に示す符号T92は図11に示す符号T92に対応する位置を示している。
【0077】
以上のように、デジタルカメラ1では夜景等を撮影する場合のライブビュー表示において、LCD10に表示される画像の更新に時間を要する場合であっても、デジタルカメラ1の向きや姿勢、ズーム倍率等の変更後に可能な限り速やかに変更後の適正な画像を表示することができる。特に、デジタルカメラ1のように光学ファインダを有さず、LCD10のみにより被写体の確認が可能とされている場合、夜景モードにおけるライブビュー表示を可能な限り迅速に行うことが重要となる。
【0078】
<5. 変形例>
以上、本発明の一の実施の形態に係るデジタルカメラ1について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0079】
上記実施の形態における全体制御部211は、図8に示すようにAE演算部281、撮像制御部282、表示制御部283およびゲイン補正部284としての機能を実現するが、これらの機能の全てが専用の電気的回路によりハードウェアとして構築されてもよい。逆に、これらの機能の全てがソフトウェア的に実現されてもよい。すなわち、各種機能は専用の電気的回路してもCPUがプログラムに従って演算することにより実現されてもよく、専用の電気的回路とCPUとが協調動作することにより実現されてもよい。したがって、これらの機能を実現する構成はデジタルカメラ1内に明確に分離可能な状態で設けられる必要はない。
【0080】
上記実施の形態では、夜景モードの場合のみに中断ボタン235が機能するとして説明したが、中断ボタン235が利用可能とされるか否かはモードに応じて厳密に区別される必要はない。通常の明るさの被写体を撮影する場合、画像の表示更新が迅速に行われるため、中断ボタン235による処理が実行されたとしても実質的に通常のライブビュー表示と同様の表示が行われることになるからである。
【0081】
上記実施の形態では露光が中断された直後に中断された露光に係る画像をLCD10に表示するが、この画像はデジタルカメラ1の向きや姿勢、ズーム倍率等の変更によりぶれた画像となっていることから中断された露光に係る画像の表示は省略されてもよい。あるいは、再露光中である旨がLCD10に表示されてもよい。
【0082】
また、中断された画像のゲインアップは、単に、画素値の最大値が画素値の取り得る値の最大値(例えば、画素値が10ビットの場合には1023、8ビットの場合には255)となるように行われてもよい。
【0083】
上記実施の形態では、中断ボタン235という専用の操作部材を設けているが、他のボタンが中断を指示するボタンとしての機能を有していてもよい。例えば、中断ボタン235と同様の機能をズーム操作用のボタン231,232が兼ね備えることにより、撮影範囲の変化に応答して再露光が速やかに実行される。また、カメラの向きや姿勢の変更を検出するセンサを設け、このセンサが撮像制御部282に露光の中断を指示するようになっていてもよい。
【0084】
【発明の効果】
請求項1ないし6の発明では、露光を中断させて新たな露光を開始させることにより、露光時間が長い場合であってもデジタルカメラの向き、姿勢、ズーミング等を変更した後に速やかに適正な画像を表示することができる。
【0085】
また、請求項2の発明では、中断画像を表示することができ、請求項3および4の発明では、中断画像に対するゲインを適切なものとすることができる。
【0086】
また、請求項5の発明では、表示手段のみにより被写体の確認が可能とされている場合であっても速やかに適正な画像を表示することができる。
【0087】
また、請求項6の発明では、操作部材により露光を中断させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】デジタルカメラの正面図である。
【図2】デジタルカメラの背面図である。
【図3】デジタルカメラの側面図である。
【図4】デジタルカメラの底面図である。
【図5】デジタルカメラの構成をブロックにて示す図である。
【図6】撮影モードにおけるデジタルカメラの動作の流れを示す図である。
【図7】撮影モードの設定画面を例示する図である。
【図8】ライブビュー表示時の全体制御部の主たる機能を周辺の構成とともにブロックにて示す図である。
【図9】ライブビュー表示に係るデジタルカメラの動作の流れを示す図である。
【図10】中断ボタンを使用した際の露光と表示との関係を示すタイムチャートである。
【図11】従来のライブビュー表示における露光と表示との関係を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 デジタルカメラ
10 LCD
211 全体制御部
235 中断ボタン
281 AE演算部
282 撮像制御部
283 表示制御部
284 ゲイン補正部
303 CCD
Claims (6)
- デジタルカメラであって、
画像を取得する撮像手段と、
前記撮像手段の露光時間を決定する露光時間決定手段と、
前記露光時間決定手段により連続的に決定される露光時間にて前記撮像手段に順次撮像を行わせる撮像制御手段と、
前記撮像手段により取得された画像を撮像結果に応じて順次表示する表示手段と、
前記撮像制御手段に、前記撮像手段の露光を中断させて新たな露光を開始させる指示を与える指示手段と、
を備え、
前記撮像制御手段は、前記指示の直後に、前記撮像手段による前記露光時間の露光を中断させて新たな露光を開始させるように前記撮像手段を制御し、
前記表示手段は、前記新たな露光が終了すると、前記新たな露光で前記撮像手段により取得された画像を順次表示することを特徴とするデジタルカメラ。 - 請求項1に記載のデジタルカメラであって、
中断された露光に係る中断画像が露光中断直後に前記表示手段に表示されることを特徴とするデジタルカメラ。 - 請求項2に記載のデジタルカメラであって、
前記中断画像が表示される際に、前記中断画像のゲインを増大させるゲイン制御手段、
をさらに備えることを特徴とするデジタルカメラ。 - 請求項3に記載のデジタルカメラであって、
前記ゲインが、前記中断画像に対する実際の露光時間に基づいて決定されることを特徴とするデジタルカメラ。 - 請求項1ないし4のいずれかに記載のデジタルカメラであって、
前記表示手段のみにより被写体の確認が可能とされていることを特徴とするデジタルカメラ。 - 請求項1ないし5のいずれかに記載のデジタルカメラであって、
前記指示手段が、操作者が露光を中断させるために操作する操作部材、
をさらに備えることを特徴とするデジタルカメラ。
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