JP3550784B2 - 目覚まし装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は目覚まし装置、特に光刺激によって就寝者を目覚めさせる目覚まし装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特開昭61−162786号公報や特開平2−88995号公報、特公平4−68595号公報等において、就寝者を目覚めさせるにあたり、徐々に明るさを増す光刺激を就寝者に与えることで就寝者の睡眠を徐々に浅くして、就寝者の覚醒がスムーズとなるようにした目覚まし装置が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、人体には生体リズムがあることは良く知られているところであり、肉体活動及び精神活動は、各種ある生体リズムの中でも、約24〜25時間周期のサーカディアンリズムと称されているリズムの影響を大きく受けるものとなっている。このサーカディアンリズムは深部体温やホルモン分泌等によってその様子を観測することができ、例えば直腸温は睡眠時に低いレベルを、活動期に高いレベルを示す。そしてサーカディアンリズムが生活のサイクルと同調しているならば、就寝者の目覚めがよく、同調していない時には目覚めが悪い。従って、目覚めの良さを本質的に改善するには、起きたい時刻に身体の状態が活動期へと向かうように、つまり生体リズムが生活サイクルに同調するように生体リズムを調整すればよいわけであり、この時、生体リズム調整に光刺激が有効であることは、特開平5−3920号公報や米国特許第4858609号明細書等の生体リズム調整装置において示されている。
【0004】
しかし、前述の目覚まし装置は、徐々に明るさを増す光刺激を就寝者に与えることで就寝者の睡眠を徐々に浅くするだけで、生体リズムを意識したものではなく、また生体リズムを調整できるものでもなく、生体リズムを意識して目覚め感を良くするようにした目覚まし装置は存在していない。上記生体リズム調整装置も治療用としてセットアップされており、目覚まし装置としては生体リズムを無視したものしか無いのが実状であり、このために、従来の目覚まし時計では、不快感のある目覚めをもたらすことが多々あった。
【0005】
本発明はこのような点に鑑み為されたものであり、その目的とするところは就寝者に対して心地よい目覚めをもたらすことができる目覚まし装置を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
しかして本発明は、時刻を知るための計時手段と、起床希望時刻を設定するための設定手段と、低照度光と中照度光と高照度光の少なくとも3種の照度の光を発生する光発生手段と、設定された起床希望時刻に応じて光発生手段を動作させて光発生手段が発生する光の照度を低照度、中照度、高照度の順に変化させる制御手段とを備えた目覚まし装置であって、上記制御手段は、上記光の低照度、中照度、高照度の順の変化を、低照度から中照度への照度変化を緩やかに、中照度から高照度への照度変化を急速に行うものであるとともに、起床希望時刻の所定時間前の時点で光発生手段に低照度光を発生させ、上記時点からある時間経過後で且つ起床希望時刻前の時点で光発生手段に中照度光を発生させ、起床希望時刻またはその直前に光発生手段に上記中照度光の倍以上の明るさの高照度光を発生させるものであることに特徴を有するものである。
【0007】
【作用】
本発明によれば、光刺激を就寝者に与えるにあたり、単に照度を徐々に増加させるのではなく、照度を低照度から中照度へと緩やかに増加させ、その後、中照度から高照度へと急速に照度を変化させる上に、上記の照度変化は、起床希望時刻の所定時間前の時点で低照度に、上記時点からある時間経過後で且つ起床希望時刻前の時点で中照度に、起床希望時刻またはその直前に上記中照度の倍以上の明るさの高照度とすることから、就寝者は夜明け前の状態から夜明け前後にかけての自然界の光の状態、そして日射を直接受ける状態を授受することができ、このような変化の光刺激は就寝者の睡眠を深い状態から浅い状態に導くだけでなく、就寝者の生体リズムを活動期に向かわせるために、不快感の無い目覚めを就寝者にもたらすことができる。
【0008】
高照度光があるために、光刺激のみでも就寝者を目覚めさせることができるが、音刺激を発生する音刺激発生手段を設けることは妨げない。
【0009】
また、設定された起床希望時刻が、夜明け前の1〜4時間といった高照度光による光刺激を避けるべき高照度光禁止時間帯である時、制御手段は起床希望時刻に応じて光発生手段を動作させるとともに光発生手段が発生する光の照度を低く抑えた状態で変化させるものであってもよい。高照度光が生体リズムに及ぼす影響のうちの悪影響、すなわち生体リズムのうちの特定時期において高照度光を与えた場合に生体リズムの位相変化の方向と大きさとが不安定となり、このために目覚めが不快感を伴うものとなってしまう状態を排除することができる。
【0010】
この時、低照度光は250lx以下、中照度光は200〜1000lx、高照度光は1000lx以上であることが望ましく、また制御手段と光発生手段とを調光部を介して接続して少なくとも低照度光の明るさの連続可変制御を可能としておくことが望ましい。
【0011】
光発生手段における高照度光発光部は、就寝者の顔面を照らすことができる位置に配し、低照度光発光部は、就寝者の顔面を直接照らすことができない位置に配しておくとよい。
【0012】
【実施例】
以下本発明を図示の実施例に基づいて詳述すると、この目覚まし装置Wは、図2に示すように、低照度光と中照度光と高照度光の少なくとも3種の照度の光を発生させることができる発光部Lと、この発光部Lから出る各照度光について各々調光する調光部LCと、マイクロコンピュータにて形成された制御装置Cと、クロック回路Tと、照度変化パターンを記憶させた外部記憶装置Mと、現時刻や起床設定時刻の表示や機能表示を行う表示部Dと、起床希望時刻の入力や現在時刻の修正や照度調整入力等のための操作部Iと、音刺激を発生する音刺激発生部B、停電検出回路S、電源回路V等から成り、上記発光部Lは調光部LCを介して制御装置Cに接続され、他のものも夫々制御装置Cに接続されており、制御装置Cはクロック回路Tから入力されるクロックに基づいて計時を行う。
【0013】
図3に上記目覚まし装置Wの具体例を示す。就寝者の枕元に設置される形態となっており、2種の照明装置2,3が設けられている本体1の表面には操作部Iと表示部Dとが一体化された操作表示パネル10が配設されている。上記の2種の照明装置2,3のうち、本体1の上面に配された球状の照明装置2は、発光部Lのうちの低照度光を出力するための存在であって、白熱灯を光源として四方に光を出力するものであるとともに、就寝者の顔面を直接照らすことができない位置にある。本体1から立設された2本のアーム30,30の各先端に配された照明装置3,3は、発光部Lのうちの中照度光と高照度光との兼用出力部としての存在であって、蛍光灯を光源として反射傘によって指向性が持たされており、その点灯時には就寝者の顔面を直接照らすことができる方向に照射方向が設定されている。なお、これら照明装置2,3は光源を覆う半透明カバーを有するものとして、光を柔らかくしている。
【0014】
図4に上記操作表示パネル10の一例を示す。図中11は時刻表示部、12はモード切換スイッチ、13は時刻設定スイッチ、14はアラームのオンオフのためのアラームスイッチ、15は発光部Lから出力される光の明るさ及び点灯時間(長さ)の微調整のための調光微調整スイッチ、16は目覚まし調光パターン(照度変化パターン)の切り換えのための切換スイッチである。起床希望時刻は、モード切換スイッチ12で起床時刻入力モードにした後、時刻設定スイッチ13で時刻を入力することによって設定する。
【0015】
この目覚まし装置Wでは、起床希望時刻を入力すれば、制御装置Cは現在時刻と起床希望時刻との比較により、図1に示すように、起床希望時刻tsの30〜60分前の時点t1で照明装置2を点灯させて低照度光を出力させるとともに、調光部LCを介して照度をほぼ零の状態から200lx程度まで徐々に高めていく。そして、起床希望時刻tsの5〜10分前の時点t2で、制御装置Cは照明装置3を点灯させて中照度光を出力させ、更に起床希望時刻tsまたはその直前(1分以内前)の時点t3に、照明装置3からの光を中照度光から倍以上の明るさの高照度光へと切り換えて、就寝者を目覚めさせる。
【0016】
低照度光で夜明け前の状態を、中照度光で夜明け前後の状態を、高照度光で夜明け後の日射がある状態を模すわけであり、低照度光としては250lx以下、中照度光は200〜1000lx,高照度光は1000lx以上であることが望ましく、特に中照度光は500〜1000lx、高照度光は2000lx以上であることが望ましい。また、低照度光出力時の上記調光による照度変化は、夜明け前後の照度変化を模すために、1.4log10lx/h〜2.6log10lx/hの傾きとなるようにしておくことが好ましい。
【0017】
照度が変化する光刺激を就寝者に与えるにあたり、単に照度を徐々に増加させるのではなく、上述のように低照度から中照度へと緩やかに増加させ、その後、中照度から倍以上の明るさの高照度へと急速に照度を変化させることから、就寝者は夜明け前の状態から夜明け前後にかけての自然界の光の状態、そして日射を直接受ける状態を授受することができる。そして、このような変化の光刺激は、就寝者にとってその睡眠が深い状態から浅い状態に適切に誘導されるだけでなく、高照度光の存在が就寝者の生体リズムを活動期に向かわせることになるために、不快感の無い目覚めを就寝者にもたらすことができる。また、中照度光及び高照度光を浴びる就寝者は、これが毎朝繰り返されることで、生体リズムが調整されることになり、目的の時刻に起きやすい体調になるとともにこの体調を維持することができる。
【0018】
高照度光があるために、光刺激のみでも就寝者を目覚めさせることができるが、音刺激発生手段Bを作動させて音刺激も就寝者に与えるようにしてもよい。ただし、起床希望時刻tsに音刺激発生手段Bを作動させるのではなく、図5に示すように、アラームスイッチ14がオンとなっている状態で起床希望時刻tsを所定時間(1分〜5分)経過した時点t4になってもアラームスイッチ14がオフとされていない時に、音刺激を発するアラーム状態に移行することが好ましい。この場合、起床希望時刻にアラーム音を数回出力して起床希望時刻となったことを知らせるようにしてもよく、図6に示すように、音刺激発生手段Bの動作をスヌーズ動作となるように、つまり、アラームが解除されてもスヌーズが解除されない場合は、アラーム解除から所定時間経過した時点t5,t6でそれまでより大きい音量でアラーム音を発生させるようにしてもよい。なお、アラームスイッチ14のオフにより、所定時間後に照明装置2,3が消灯するようにしてある。アラームを使用しない場合でも、照明装置2,3はある時間をおいて自動消灯する。
【0019】
ところで、光刺激に対する感受性には個人差があり、ある人がまぶしいと感ずる光が他の人にはまぶしくない場合がある。このために、ここで示した目覚まし装置Wでは、前述のように調光微調整スイッチ15を設けて、照度、殊に最大照度を使用者が調整することができるようにしてある。図7に示すように、外光に関する環境データを収集する光環境データ収集部LEと、収集した環境データに基づいて照度変化パターンで設定される照度を補正変更する照度調節部LHとを設けて、就寝場所の明るさの影響を除くことができるようにしておくことも好ましい。
【0020】
また、使用者が変わるたびに調光微調整スイッチ15を操作して各人に応じたレベルとすることは繁雑であることから、照度の最大レベルを含む複数種の照度変化パターンを外部記憶装置Mに格納しておき、切換スイッチ16によって指示された照度変化パターンを制御装置Cが外部記憶装置Mから読み出して、この照度変化パターンで照明装置2,3(発光部L)を調光部LCを介して制御するものとしてある。
【0021】
この時、外部記憶装置Mとして、着脱自在なメディア、例えばメモリーカードを用いて、メモリーカードの差し替えによって異なる照度変化パターンを選択することができるようにしてもよく、メモリーカードの中でも書き込み可能なメモリーカードを用いれば、後述の生体リズム調整に際して、医師が各人に合わせて設定した照度変化パターンをメモリーカードの携帯のみで自宅で利用することができるものとなる。照度変化パターンとして単一種のものしか使用しないものでは、制御装置C内に照度変化パターンを書き込んでおくようにしてもよい。
【0022】
起床希望時刻の設定と照度変化パターンとを、複数日にわたり複数回設定可能としておけば、つまりは長期プログラム可能なものとしておけば、生体リズム調整装置としての機能をより発揮するものとなる。すなわち、この目覚まし装置Wを1回使用しただけでも、就寝者の生体リズムを起床希望時刻tsに目覚めやすい方向に調整することができるが、その変化の大きさはそれほど大きくない。光刺激による生体リズム調整は、一般に「複数回使用を続けることで生体リズムが好ましい状態へと徐々に収束してゆく」という形をとるので、生体リズム調整効果を十分に発揮させるためには、目覚まし装置Wを複数回ほぼ連続して使用することを複数日にわたり複数回設定可能とすれば、「生体リズムを所定の目的に対して好ましいと考えられる状態に計画的に収束させてゆく」複数日にわたるプログラムを実行することができるものとなる。これにより、毎日ほぼ同じタイムスケジュールで起床し活動するという生活を送っている者だけでなく、他の者に対しても生体リズム調整を計画的に行うことができることになる。
【0023】
高齢者の場合は、一般に生体リズムの働きが衰えるとともに、光に対する感受性も低下しているが、高齢者に対して、毎日計画的に高照度光を浴びせることは生体リズムの働きを助けて体調にめり張りをつけるとともに睡眠の質を向上させることになる。このために、図8に示すように、高照度光が出力される状態を20〜40分間保持する照度変化パターンを毎朝繰り返すものとする。この時、目覚めた後も高照度光が出力されている間は安静状態のまま、あるいは起き上がるものの光が顔面に当たる状態で高照度光を浴びることで、生体リズムが不明瞭な状態となっている高齢者も、明確な生体リズムを得られることになる。この場合、眩し過ぎることがないように、高照度光の照度はやや抑えておくことが好ましい。
【0024】
恒常的に生体リズムと環境サイクルとの同調がずれてしまっているリズム障害者に対しても、上記の高齢者に対する場合と同様に、光刺激による目覚ましを毎日の定時刻に作動させることによって、生体リズムを調整することが可能であるが、リズムの位相が大幅に狂っている場合、急激に大きな修正をしようとすると、光刺激、殊に高照度光による光刺激が生体リズムの位相を環境サイクルの位相から離れる方向に変化させてしまう場合がある。このような逆効果を避けるために、環境サイクルと生体リズムとの同調を図るにあたり、両者の初期のずれが大きい場合、たとえば起床希望時刻を少しずつずらしていくことで、同調をとることが好ましく、長期プログラム可能とした場合は、このような設定も可能となる。
【0025】
たとえば、生体リズムの位相が環境サイクルに比して大幅に後退している場合、一般に高照度光が使用可能な時間帯(この点については後述)の範囲で起床時刻を設定することになるが、現状の起床時刻より10〜30分早めに初期値を設定し、その後、無理のない範囲(例えば5〜10分/日)で起床希望時刻を早めていき、最終目標とする起床希望時刻に固定する。このようにした場合、生体リズムの位相を無理無く前進させて環境サイクルに同調させることができる。この点から、照度変化パターンを納める外部記憶装置Mとして前述の書き込み可能なメモリーカードを用いる場合、起床希望時刻もこの外部記憶装置Mに書き込んでおくことができるようにすると、生体リズムの調整治療の点で、医師の指示を受けやすくなる。
【0026】
長期プログラム可能とする時には、交替勤務者の生体リズム調整も行うことができる。この場合、日勤開始前の睡眠及び深夜勤仮眠からの起床の場合に適用することができる図1に示したような照度変化パターンのほかに、日勤の休憩中や準夜勤の休憩中及び深夜勤前に覚醒状態を維持して眠気をふり払うためのものとして、図9に示すような高照度光出力状態が所定時間(30分〜1時間)継続される照度変化パターンを用意しておく。眠気がある状態で高照度光を浴びることで覚醒度が高まり、勤務を能率的に且つ安全に行うための助けとなる。従って、勤務サイクルに合わせて、起床希望時刻や上記覚醒動作開始時刻及び各時刻で使用する照度変化パターンを長期プログラムすることで、生活サイクルが不規則な場合の体調維持を図ることができる。
【0027】
ここにおいて、高照度光による光刺激は、生体リズムの調整機能を有するが、生体リズムのうちの特定時期、通常、深部体温が最低となる時期(一般的生活サイクルであれば、季節によって異なるものの、夜明け前の1〜4時間、もしくは2〜5時間)に高照度光による光刺激を受けると、前述のように、生体リズムの位相変化の方向と大きさとが不安定となる可能性を有している。このために起床希望時刻が上記時期と重なる場合には、高照度光を出力しない方が、良い目覚めを得られることがある。
【0028】
図10はこの点に対処したもので、高照度光禁止時間帯推定部Eで推定した高照度光を禁止すべき時間帯に起床希望時刻があるかどうかを判定する判定部Hを制御装置Cに設けて、高照度光禁止時間帯でない場合には、前述のような高照度光を含む光刺激を就寝者に与えるものの、高照度光禁止時間帯にある時には、図11に示すように、夜明けの光程度となった時点t2から後の照度変化を、照度増加の度合いを緩めるものとして、高照度光は出力させず、起床希望時刻tsには音刺激発生手段Bを作動させることで就寝者を目覚めさせ、光刺激については起床希望時刻ts後も照度をほぼ一定に保つものとする。睡眠中の就寝者を目覚めやすい方向に誘導するが、高照度光を用いないことで、生体リズムを却って崩してしまうことがないようにしているわけである。
【0029】
上記高照度光禁止時間帯は、就寝者の生体リズムに基づくものであるために、その時間帯は人によって異なる。このために、図12に示すように、就寝者の生理データを収集する収集部51を設けて、生理データに基づいて生体リズムを推定し、ここから高照度光禁止時間帯を推定することが最も好ましい。上記生理データとしては、生体リズムをよく反映する直腸温や鼓膜温を用いることができ、この場合、これらに含まれる外乱影響を補正するためのデータとして心拍数も同時に収集することが好ましい。収集した生理データは、生理データ蓄積部52で時系列的に保存し、蓄積した生理データを元に測定ノイズ除去手段や生理データ補正手段や生体リズム推定手段からなる生体リズム推定部53において生体リズムを推定する。ノイズ除去手段としては、微分値のしきい値処理、スプライン補間などが利用でき、生理データ補正手段としては移動平均法などが利用でき、生体リズム推定手段としてはコサイナー法などが利用できる。こうして推定した生体リズムから高照度光禁止時間帯を推定する禁止時間帯推定部Eにおける推定手法としては、一般に、生体リズムの最低点付近で高照度光に対する位相反応曲線が不安定になることを利用して、その付近を高照度光禁止時間帯とする。
【0030】
高照度光禁止時間帯の推定は、生活サイクル(生活時間パターン)を基にしてもよい。たとえば図13に示すように、使用者が昨日や一昨日の起床時刻や主な活動時間帯などを生活時間帯入力手段61に入力すれば、このデータを基に生体リズム推定部62が睡眠覚醒サイクルのようなおおまかな生体リズムの推定を行い、この生体リズムから禁止時間帯推定部Eが体温が最低となる時刻及びこの体温最低時刻が現れる時間帯を推定して高照度光禁止時間帯を決定する。
【0031】
目覚まし装置Wが毎日利用されている場合には、設定された昨日や一昨日の起床希望時刻を呼び出せるようにしておくことで、上記生活時間帯入力手段61を省略することができる。図14に示す操作表示パネル10は、この場合のもので、昨日及び一昨日の起床希望時刻を表示する生活サイクル表示部17と明日の起床希望時刻を表示する生活サイクル表示部18とを具備している。
【0032】
一般的な生活サイクルを送っている場合には、日照の日内変動サイクルを目安とすることができることから、図15に示すように、照度計のような環境データ収集部70によって環境状態の照度データ(屋内照明による照度を含む)の変動を収集して、日付及び時刻とともにこの照度を環境データ蓄積部71に蓄積し、蓄積した環境データについての時系列データから日内変動推定部72によって日内変動を推定し、そして日内変動から高照度光禁止時間帯推定部Eによって高照度光禁止時間帯を推定するようにしてもよい。この場合、例えば中緯度地方の夏であれば夜明けの前の1〜4時間、中緯度地方の冬であれば夜明け前の2〜5時間を高照度光禁止時間帯とする。人の網膜の光に対する感度は夜明け前に良くなるといわれており、夜明けの少し前は生理リズムの影響で強い光刺激を急に与えると不快感などの副作用が起こる可能性があるが、これを避けることができるものとなる。
【0033】
更には、利用者の高速移動に伴う時差ぼけに対応することができるようにしておくことが好ましい。時差ぼけは、ジェット機等による高速移動での移動先の環境サイクル及び生活サイクルが移動前に比して大きく変化するのに対して、利用者の生体リズムは移動前の生活サイクルに応じたものとなっている状態から生じるずれが原因と考えられており、また、時差ぼけの解消には通常1週間前後を要すると言われている。このために、上記の生活サイクルや環境データに基づく高照度光禁止時間帯推定部を有するものでは、生体リズム上では高照度光禁止時間帯とすべき時間帯に起床希望時刻が設定されていても、高照度光を利用した目覚まし動作を行ってしまうことが生じる。
【0034】
図16はこの点に対処したもので、時差設定入力手段80によって時差発生前の現在時刻を入力すれば、時差計算手段81が(時差発生後の)現在時刻との比較で時差を計算し、体温最低点推定手段82が現在時刻を基準に時差発生前の体温最低時刻を推定する。この推定にあたっては、長距離高速移動前の生体リズムが環境のリズムの位相と一致していたと仮定して、たとえば午前3時頃を中心に前後1〜2時間程度の幅を持たせて推定するのが良い。また、長距離高速移動が完了する直前の睡眠が特殊なものであった場合、例えば移動前の時刻と照らし合わせて昼間の時刻に眠ったとか、眠りが短時間であったとかいう場合は、その睡眠について長さや起床時刻といった基本的な睡眠情報を睡眠情報入力手段85で入力すると、入力された睡眠情報を睡眠リズム推定手段86によって生体リズムの形に変換し、推定された生体リズムによって、上記時差情報から推定された体温最低時刻を修正するようにしてある。睡眠リズム推定手段86による睡眠情報からの生体リズムへの変換は、起床時刻が波形の平均レベルを横切るように決めた24時間周期の余弦波や三角波を利用して行う。このようにして体温最低時刻の推定を行ったならば、高照度光禁止時間帯推定部Eが体温最低点前後の時間帯を高照度光禁止時間帯とし、起床希望時刻がこの高照度禁止時間帯にあれば、高照度光を禁止した目覚まし動作を行う。
【0035】
図14に示した操作表示パネル10は、モード切換スイッチ12を時差発生前時刻入力モードとすることで、時刻設定スイッチ13で時差発生前の時刻を入力することができるようにして、この両者で時差設定入力手段80を構成しており、この時、計算された時差に基づき、生活サイクル表示部17がその明暗サイクル表示部の表示を変更するものとなっている。睡眠情報入力手段85も、モード切換スイッチ12と時刻設定スイッチ13とによって構成することができる。
【0036】
時差入力手段による時差の入力は、移動前の時刻と移動先での時刻との時差の値を直接入力するようにしてもよい。時差の直接入力の際には、±数時間という形態で入力する。生体リズムと移動先での生活サイクルとのずれは西から東に向かって移動した時と、東から西に向かって移動した時とで異なるが、この点に対処できるようにするためである。
【0037】
図17及び図18は、発光部Lを構成する照明装置2,3のうち、中照度光及び高照度光を担う照明装置3を1つとした場合を示しており、図17に示すものでは照明装置3として調光可変蛍光灯を有するものを用いており、図18に示すものでは、光源として一定照度で且つ個別に点灯させることができる複数の蛍光灯を用いるとともに、蛍光灯として所謂ツイン蛍光管を複数用いて小型化を図ったものを示している。また、図19に示す照明装置3は、複数の白熱灯によって低照度光と中照度光と高照度光のための発光部Lを構成したものを示している。低照度光の調光は照度可変の白熱灯を使っても良いし、複数の照度一定の白熱灯によって近似的に実現してもよい。図示例は周囲の3個の白熱灯が低照度光を、中央の白熱灯が中照度光と高照度光を発生する。いずれにおいても、光源を覆う半透明カバーを有するものとして、光を柔らかくしておくことが好ましい。
【0038】
なお、上記各実施例においては、照明スタンドと時計とを組み合わせた形態のものを示したが、部屋の天井、例えば寝室の天井に設置された照明装置を光発生手段としているものであってもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上のように本発明においては、光刺激を就寝者に与えるにあたり、単に照度を徐々に増加させるのではなく、照度を低照度から中照度へと緩やかに増加させ、その後、中照度から高照度へと急速に照度を変化させる上に、起床希望時刻の所定時間前の時点で光発生手段に低照度光を発生させ、上記時点からある時間経過後で且つ起床希望時刻前の時点で光発生手段に中照度光を発生させ、起床希望時刻またはその直前に光発生手段に上記中照度光の倍以上の明るさの高照度光を発生させるために、就寝者は夜明け前の状態から夜明け前後にかけての自然界の光の状態、そして日射を直接受ける状態を授受することができ、このような変化の光刺激は就寝者の睡眠を深い状態から浅い状態に導くだけでなく、就寝者の生体リズムを活動期に向かわせるものであり、従って、不快感の無い目覚めを就寝者にもたらすことができる。
【0040】
音刺激発生手段も設けた時には、目覚めをより確実に行わせることができるものとなる。
【0041】
また、設定された起床希望時刻が、夜明け前の1〜4時間といった高照度光による光刺激を避けるべき高照度光禁止時間帯である時、制御手段は起床希望時刻に応じて光発生手段を動作させるとともに光発生手段が発生する光の照度を低く抑えた状態で変化させるものであると、高照度光が生体リズムに及ぼす影響のうちの悪影響、すなわち生体リズムのうちの特定時期において高照度光を与えた場合に生体リズムの位相変化の方向と大きさとが不安定となり、このために目覚めが不快感を伴うものとなってしまう状態を排除することができ、従って、不快感のある目覚めが生じてしまうことのないものとすることができる。
【0042】
また、低照度光は250lx以下、中照度光は200〜1000lx、高照度光は1000lx以上であることが、光刺激による睡眠を浅くする方向への誘導と生体リズムの調整とについて望ましく、また制御手段と光発生手段とを調光部を介して接続して少なくとも低照度光の明るさの連続可変制御を可能としておくと、上記誘導がスムーズとなる。
【0043】
光発生手段における高照度光発光部は、就寝者の顔面を照らすことができる位置に配し、低照度光発光部は、就寝者の顔面を照らすことができない位置に配することで、各照度の光の特性を十分に生かすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例の動作説明図である。
【図2】同上のブロック図である。
【図3】同上の斜視図である。
【図4】同上の操作表示パネルの正面図である。
【図5】音刺激を併用する場合の動作説明図である。
【図6】スヌーズ動作を行う音刺激を併用する場合の動作説明図である。
【図7】他の実施例のブロック図である。
【図8】高齢者向けの動作説明図である。
【図9】覚醒状態維持用の照度変化を示す動作説明図である。
【図10】別の実施例のブロック図である。
【図11】高照度光禁止を行う場合の動作説明図である。
【図12】高照度光禁止時間帯の推定のためのブロック図である。
【図13】他の高照度光禁止時間帯の推定のためのブロック図である。
【図14】同上の操作表示パネルの正面図である。
【図15】別の高照度光禁止時間帯の推定のためのブロック図である。
【図16】時差に対応させた例のブロック図である。
【図17】他例の斜視図である。
【図18】更に他例の斜視図である。
【図19】別の例の斜視図である。
【符号の説明】
C 制御装置
L 発光部
Claims (7)
- 時刻を知るための計時手段と、起床希望時刻を設定するための設定手段と、低照度光と中照度光と高照度光の少なくとも3種の照度の光を発生する光発生手段と、設定された起床希望時刻に応じて光発生手段を動作させて光発生手段が発生する光の照度を低照度、中照度、高照度の順に変化させる制御手段とを備えた目覚まし装置であって、上記制御手段は、上記光の低照度、中照度、高照度の順の変化を、低照度から中照度への照度変化を緩やかに、中照度から高照度への照度変化を急速に行うものであるとともに、起床希望時刻の所定時間前の時点で光発生手段に低照度光を発生させ、上記時点からある時間経過後で且つ起床希望時刻前の時点で光発生手段に中照度光を発生させ、起床希望時刻またはその直前に光発生手段に上記中照度光の倍以上の明るさの高照度光を発生させるものであることを特徴とする目覚まし装置。
- 制御手段の制御下で音刺激を発生する音刺激発生手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の目覚まし装置。
- 設定された起床希望時刻が、夜明け前の1〜4時間といった高照度光による光刺激を避けるべき高照度光禁止時間帯である時、制御手段は起床希望時刻に応じて光発生手段を動作させるとともに光発生手段が発生する光の照度を低く抑えた状態で変化させるものであることを特徴とする請求項1記載の目覚まし装置。
- 低照度光が250lx以下であり、中照度光が200〜1000lxであり、高照度光が1000lx以上であることを特徴とする請求項1または請求項3記載の目覚まし装置。
- 制御手段と光発生手段とは調光部を介して接続されて少なくとも低照度光の明るさの連続可変制御が可能となっていることを特徴とする請求項1または請求項3記載の目覚まし装置。
- 光発生手段における高照度光発光部は、就寝者の顔面を照らすことができる位置に配されていることを特徴とする請求項1または請求項3記載の目覚まし装置。
- 光発生手段における低照度光発光部は、就寝者の顔面を直接照らすことができない位置に配されていることを特徴とする請求項1または請求項3記載の目覚まし装置。
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