JP3550050B2 - 電力変換装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、圧接型の自己消弧素子、特にGTO、GCTをスイッチング素子として組み込んだスタックから成る大容量インバータ装置等の電力変換装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
まず圧接型自己消弧素子を組み込んだ電力変換装置のスタックについて、一般的な構造を示す。図8は、例えば特開平10−191644号公報に記載され、圧接型自己消弧素子にゲートターンオフサイリスタ(GTO)を用いた電力変換装置の構造を示す側面図である。
図に示すように、ベース部材1の上に、絶縁座2a、ヒートシンク3、フライホイールダイオード4、ヒートシンク3a、GTO5a、ヒートシンク3、絶縁座2b、バネ座6、皿バネ7等が同一軸上に積み重ねられてメインのスタックを構成し、これらがベース部材1とロックプレート8との間でクランプロッド9を介してロックナット10により締め付けられており、取り付けプレート11を介して取り付けられた油圧ジャッキ12による圧力で締め付けを行う。
GTO5aを取り付けているヒートシンク3aには、GTO5aの後方にスナバダイオード13が取り付けられ、スナバダイオード13の上側には、ブス14a、絶縁板15、ブス14b、絶縁座2c、ブス14c、回生ダイオード16、ヒートシンク17、ブス14d、絶縁座2d等が積み重ねられてサブのスタックを構成し、これらが取り付けスタッド18およびナット19により板バネ20を介して所定圧力で締め付けられている。ブス14aは、スナバダイオード13のカソードとスナバコンデンサ21とを接続し、ブス14bはGTO5aのカソードとスナバコンデンサ21とをヒートシンク3を介して接続している。なお、ヒートシンク3、3aは導電体で構成される。
【0003】
サブのスタックは付近にスナバコンデンサ21が配置されて、これらでGTO5aのターンオフ時のdv/dt抑制用である外部回路を構成し、メインのスタックにおける、GTO5aのアノード電極とカソード電極との間に接続される。また、図示されていないが、GTO5aのゲート電極にはゲート駆動装置がゲート接続線にて接続されており、さらにまたヒートシンク3、3a等にブスバーが設けられてGTO5aは電源装置や負荷回路とも接続される。
【0004】
図9は、GTOを用いた一般的な電力変換装置の例である三相2レベルインバータの単相分の主回路を示すもので、外部回路は一般的な充放電型スナバ回路である。この回路の中でGTOであるGT1、GT2と、フライホイールダイオードであるDF1、DF2とがメインのスタックに組み込まれ、これに、スナバダイオードであるDs1、Ds2、スナバコンデンサであるCs1、Cs2およびスナバ抵抗であるRs1、Rs2で構成される外部回路が接続される。
図10は、圧接型自己消弧素子に転流型ゲートターンオフサイリスタ(GCT)を用いた一般的な電力変換装置の例である三相2レベルインバータの単相分の主回路を示すもので、外部回路は一般的な電圧クランプ型スナバ回路である。このGCTは、素子の最外周部をリング状ゲート電極で構成し、ターンオフ時に主電流を全て瞬時にゲート回路に転流させるものである。この回路においても、GCTであるGT1、GT2と、フライホイールダイオードであるDF1、DF2とがメインのスタックに組み込まれ、これに、クランプダイオードであるDc1、Dc2、クランプコンデンサであるCc1、Cc2およびクランプ抵抗であるRc1、Rc2で構成される外部回路が接続される。
なお、GCTは、上記図9に示した回路構成にも適用できる。
【0005】
次に、GTO、GCT等の圧接型自己消弧素子とこれに接続するゲート駆動装置、外部回路および電源回路、負荷回路との接続部の従来の配置を、メインのスタック構造の上面図により図11に示す。
リード線等のゲート接続線24にてゲート駆動装置22が圧接型自己消弧素子5に接続される接続位置を正面側と定義して、圧接型自己消弧素子5の右面側にブスバー等の外部接続線25にて外部回路23を接続し、圧接型自己消弧素子5の左面側に同じくブスバー等の入出力端子26にて電源回路、負荷回路を接続する。ゲート駆動装置22の接続位置に対して、外部回路23および電源回路、負荷回路の接続位置は、圧接型自己消弧素子5の中心を軸にしてそれぞれ右に約90度および左に約90度の配置関係である。
【0006】
次に、図11に示すように配置された、例えばGTO5aを用いた電力変換装置で、GTO5a内部の動作領域と電流の流れる関係を図12により説明する。図12(a)は一般的なGTOサイリスタの大口径ウェハのパターンで、数千個のサイリスタで構成されるものである。スタックに組み込まれた状態ではサイリスタが動作している領域のみに電流が流れる。図12(b)はターンオン時にオン領域(サイリスタがオンの部分)が時間と共にゲート駆動装置22の接続位置(ゲート接続点)から徐々に拡がっていく様子を示している。図12(c)はターンオフ時にオフ領域(サイリスタがオフの部分)が時間と共にゲート接続点から徐々に拡がっていく様子を示している。
ターンオンが完了した時点では、GTO5aのウェハは全てオン領域になっている。そこからターンオフを開始すると、ゲート接続点近傍、および外部回路23の接続位置(外部回路接続点)近傍の主電流は、各々外部駆動装置22および外部回路23へ、図11に示す矢印F1、F2の向きに流れて、それらの近傍のウェハ上から無くなるが、スタックの軸に対して、ゲート接続点と対称位置のウェハ上では、最もオフ領域になるのが遅く、電流が残っていまい、わずかなオン領域に電流が集中する状態になると考えられる。
【0007】
次に図13は、図11に示すように配置された電力変換装置で、GCT5bがターンオフを行ったときのターンオフ波形を示す図である。
GCT5bのアノード電極Aとカソード電極Kとの両端電圧Vak、アノード電極Aを流れるアノード電流Ia、およびゲート電極Gとカソード電極Kとの間の4方向のゲート電圧をモニタしたものである。ここでいう、モニタする4方向のゲート電圧とは、GCT5bの最外周のゲート電極Gにおいて、電源回路、負荷回路との接続点でのゲート電圧Vg1、この点とGCT5bの中心を軸にして右90度の配置関係である点でのゲート電圧Vg2、さらにGCT5bの中心を軸にして右90度の配置関係で、外部回路23との接続点でのゲート電圧Vg3、および、さらにGCT5bの中心を軸にして右90度の配置関係で、ゲート駆動装置22との接続点でのゲート電圧Vg4とする(図11参照)。
【0008】
以下、図13に基づいてターンオフ動作時のVak、Ia、およびゲート電圧Vg1〜Vg4の変化を説明する。
ターンオフ動作は、前記GCT5bがオンの状態でゲート電極Gとカソード電極Kとの間に逆バイアス電圧を印加した時に開始される。従って、ゲート電圧Vg1〜Vg4は+の値から−の値に減少する。
転流型ターンオフサイリスタであるGCT5bでは、素子に流れる電流がゲート電極Gへ全て流れ込むため(転流)、転流期間中はゲート接続線24を通ってゲート駆動装置22に電流が最も多く流れる。また、ゲート電圧Vgは次式(1)のようにオフゲート電圧Vgqとゲートアバランシェ降服電圧Vgr(AVL)から成り、
Vg = Vgq + Vgr(AVL) −−−−式(1)
オフゲート電圧Vgqは正味のオフゲート電流Igqに影響されるので、ターンオフ電流ITqが正味のオフゲート電流Igqの制限値より充分に小さいときはゲートアバランシェ降服電圧Vgr(AVL)によって逆バイアス電圧保持値Vg(DC)より大きな逆バイアス電圧ピーク値が現れる。
従って、ゲート駆動回路(ゲート駆動装置22)との接続点のゲート電圧Vg4が最も−方向に大きくなり、この点と素子の中心、即ちスタックの軸に対して対称な点でのゲート電圧Vg2が最も−方向に小さくなる。
【0009】
転流が完了しても、VakがDC電圧の値以上に回復するまで、素子内部をIaが流れ続ける。
VakがDC電圧の値以上になると、Iaが外部回路23へ流れ込むことが可能となり、Iaは減少していく。それと同時にゲート電圧Vg1〜Vg4も変化するが、外部回路23にIaが流れ込むので外部回路23との接続点のゲート電圧Vg3が−方向に最も大きくなる。その時、ゲート電圧Vg2が最も−方向に小さい。Iaが素子内部の残留キャリアによる電流値(テール電流)まで低下するとゲート電圧Vg1〜Vg4は逆バイアス電圧保持値定常値Vg(DC)(一般に約−20V前後)まで回復する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
以上のゲート電圧Vg1〜Vg4の変化から、ターンオフ時には外部回路23との接続点、およびゲート駆動装置22との接続点に電流が流れ込み易いが、図11に示すような配置構造では、ゲート駆動装置22との接続点と、圧接型自己消弧素子5の中心を通るスタックの軸に対して対称な点(ゲート電圧Vg2測定点)では、他のエリアに比べて電流が残りやすく、アンバランスな電流分布となることが判る。特にこのゲート電圧Vg2測定点は最もオフするのが遅い部分であり、この部分に残存する電流により、局部的に熱集中が起こり易く、ターンオフ電流が高くなると熱集中部分の温度も高くなって、素子の破壊が発生し易いという問題点があった。
【0011】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、ターンオフ時の局部的な熱集中による素子の破壊を防止して、ターンオフ耐量を高く出来る圧接型自己消弧素子のスタックを得ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る請求項1記載の電力変換装置は、カソード電極、アノード電極およびゲート電極を有する圧接型の自己消弧素子を含む被圧接部材を同一軸上に加圧状態で積層して成るスタックを備え、上記自己消弧素子内部を電流がバランス良く流れるように、上記ゲート電極に接続されるゲート駆動回路の接続位置と、上記アノード、カソード電極間に接続される、抵抗、コンデンサおよびダイオードから成り急激な電圧変化抑制の為の外部回路の接続位置とが、上記スタックの軸に対して対称な方向に配置されるものである。
【0013】
またこの発明に係る請求項2記載の電力変換装置は、カソード電極、アノード電極およびゲート電極を有する圧接型の自己消弧素子を含む被圧接部材を同一軸上に加圧状態で積層して成るスタックを備え、上記アノード、カソード電極間に、抵抗、コンデンサおよびダイオードから成る複数個の外部回路が急激な電圧変化抑制の為に接続され、上記自己消弧素子内部を電流がバランス良く流れるように、該複数個の外部回路のそれぞれの接続位置が、上記スタックの軸を中心にして、上記ゲート電極に接続されるゲート駆動回路の接続位置から左右双方に90度以上離れた角度に配置されるものである。
【0014】
またこの発明に係る請求項3記載の電力変換装置は、請求項1または2において、圧接型自己消弧素子が、ゲートターンオフサイリスタ(GTO)である。
【0015】
またこの発明に係る請求項4記載の電力変換装置は、請求項1または2において、圧接型自己消弧素子が、該素子の最外周部をリング状ゲート電極で構成した転流型ゲートターンオフサイリスタ(GCT)であり、上記ゲート電極全周をゲート駆動回路との接続部に接続させたものである。
【0016】
またこの発明に係る請求項5記載の電力変換装置は、請求項3において、外部回路が充放電型スナバ回路である。
【0017】
またこの発明に係る請求項6記載の電力変換装置は、請求項4において、外部回路が電圧クランプ型スナバ回路あるいは充放電型スナバ回路である。
【0018】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図について説明する。
図1は、この発明の実施の形態1による圧接型自己消弧素子のスタック構造を示す側面構成図であり、図2は図1をA方向に見た上面構成図である。
図1および2に示すように、圧接型自己消弧素子のスタックは、圧接型自己消弧素子5、その電流還流用であるフライホイールダイオード4、圧接型自己消弧素子5およびフライホイールダイオード4を冷却するヒートシンク3、および図示しない絶縁部材、板バネ、ベース等を同一軸上に垂直に積み重ねて、垂直方向から圧力を加えて共締めされて構成される。このとき、スタックの軸は圧接型自己消弧素子5のほぼ中心を通るものとする。そして、圧接型自己消弧素子5のゲート電極Gにはゲート接続線24によってゲート駆動装置22を、圧接型自己消弧素子5のアノード電極Aとカソード電極Kとの間には外部接続線25によってスパイク電圧を抑制する抵抗、コンデンサ、ダイオードから成るスナバ回路等の外部回路23を接続する。
ゲート駆動装置22の接続位置をスタックの正面側とすると、外部回路23は、スタックの軸に対してゲート駆動装置22接続側と対称な方向であるスタックの奥側に接続される。また、圧接型自己消弧素子5の左面側に入出力端子26にて電源回路、負荷回路を接続する。
【0019】
次に、図2に示すように配置された、例えばGTO5aを用いた電力変換装置で、GTO5a内部の動作領域と電流の流れる関係を説明する。
図12で示したように、ターンオンが完了した時点では、GTO5aのウェハは全てオン領域になっている。そこからターンオフを開始すると、ゲート接続点近傍、および外部回路23の接続位置(外部回路接続点)近傍の主電流は、各々外部駆動装置22および外部回路23へ、図2に示す矢印F1、F2の向きに流れて、それらの近傍のウェハ上から無くなる。図12(c)で示したように、スタックの軸に対してゲート接続点と対称位置のウェハ上では、通常、最もオフ領域になるのが遅いものであるが、この場合、その位置に外部回路23が接続されて外部回路23へ電流が流れるため、電流が残存しない。このため、素子内部を電流がバランス良く流れて電流の集中が起こることがない。
【0020】
次に図3は、図2に示すように配置された電力変換装置で、圧接型自己消弧素子5がターンオフを行ったときのターンオフ波形を示す図である。
圧接型自己消弧素子5のアノード電極Aとカソード電極Kとの両端電圧Vak、アノード電極Aを流れるアノード電流Ia、およびゲート電極Gとカソード電極Kとの間の4方向のゲート電圧をモニタしたものである。ここでいう、モニタする4方向のゲート電圧とは、圧接型自己消弧素子5の最外周において、電源回路、負荷回路との接続点でのゲート電圧Vg1、この点と圧接型自己消弧素子5の中心を軸にして右90度の配置関係で、外部回路23との接続点でのゲート電圧Vg2、さらに圧接型自己消弧素子5の中心を軸にして右90度の配置関係である点のゲート電圧Vg3、および、さらに圧接型自己消弧素子5の中心を軸にして右90度の配置関係で、ゲート駆動装置22との接続点でのゲート電圧Vg4とする(図2参照)。
【0021】
電源電圧が入力されると、圧接型自己消弧素子5のアノード電極A及びカソード電極Kの両端に電圧が印加される。その状態で圧接型自己消弧素子5のゲート電極Gにオン/オフの信号を与えることで、圧接型自己消弧素子5はターンオン/ターンオフ動作を行う。
以下、図3に基づいてターンオフ動作時のVak、Ia、およびゲート電圧Vg1〜Vg4の変化を説明する。
ターンオフ動作は、圧接型自己消弧素子5がオンの状態でゲート電極Gとカソード電極Kとの間に逆バイアス電圧を印加した時に開始される。従って、ゲート電圧Vg1〜Vg4は+の値から−の値に減少する。
従来例で述べたように、ターンオフ動作で初めにゲート駆動装置22へ電流が流れる。その場合、圧接型自己消弧素子5内部のゲート駆動装置22との接続部分に最も近いエリアに電流が流れやすい。従って、ゲート駆動装置22との接続点のゲート電圧Vg4が最も−方向に大きくなり、この点とスタックの軸に対して対称な点でのゲート電圧Vg2が最も−方向に小さくなる。
【0022】
次にターンオフ時に発生するエネルギーの余分なものを外部回路23で消費するために電流が流れ込む。即ち、VakがDC電圧の値以上になると、Iaが外部回路23へ流れ込むため、Iaは減少し始め、同時にゲート電圧Vg1〜Vg4は−方向に大きくなる。外部回路23にIaが流れ込むので、圧接型自己消弧素子5内部の外部回路23との接続部分に最も近いエリアに電流が流れやすい。従って、外部回路23との接続点のゲート電圧Vg2が−方向に最も大きくなる。2番目にゲート電圧Vg4が−方向に大きく、ゲート電圧Vg1、Vg3は同じ程度の大きさで最も小さい。Iaが素子内部の残留キャリアによる電流値(テール電流)まで低下するとゲート電圧Vg1〜Vg4は逆バイアス電圧保持値定常値Vg(DC)(一般に約−20V前後)まで回復する。
【0023】
上記のゲート電圧Vg1〜Vg4の変化から、電流は、圧接型自己消弧素子5の中心を通るスタックの軸に対して対象な配置関係であるゲート駆動装置22との接続点と、外部回路23との接続点とに多く流れ込むのが判る。また、他の2点(ゲート電圧Vg1測定点とゲート電圧Vg3測定点)とに、同じ大きさの電流が流れていることから素子内部をバランス良く電流が流れていると考えられる。
【0024】
この実施の形態では、上記のように、ターンオフ時に圧接型自己消弧素子5に接続されたゲート駆動装置22へ転流する電流と、外部回路23へ流れ込む電流があることに着目し、ゲート駆動回路22の接続位置と、外部回路23の接続位置とをスタックの軸に対して対称な方向に配置することにより、2つの電流の流れる向きがスタックの軸に対して正反対同士になるようにした。このため、素子内部をバランス良く電流が流れて局部的な熱集中を防止でき、ターンオフ耐量が向上すると共に、素子の破壊を招くことも無い。
【0025】
なお、圧接型自己消弧素子5のスタックは、圧接型自己消弧素子5を含む被圧接部材で構成されていれば良く、フライホイールダイオード4等、他の素子は、サブのスタック内に備えても良い。
【0026】
実施の形態2.
上記実施の形態1において、圧接型自己消弧素子5にゲートターンオフサイリスタ(GTO5a)を適用した場合について説明する。
図4は、この発明の実施の形態2による圧接型自己消弧素子のスタック構造を示す上面構成図および部分側面図である。
図に示すように、GTO5aのゲート電極G及びカソード電極K各々から1本ずつリード線27を取り出し、2本が平行に隣接した状態のまま、ゲート駆動装置22のゲート端子、カソード端子に接続する。この2本の平行に隣接されたリード線27は一般にゲートリード線と呼ばれている。GTO5aのゲート電極G並びにカソード電極Kとゲートリード線27とは、各々僅か1カ所でしか接続されないため、ゲート信号のオン/オフの際にその位置に電流が集中しやすいものである。
【0027】
この実施の形態では、GTO5aのゲートリード線27接続位置、即ちゲート駆動回路22の接続位置と、外部回路23、即ち充放電型スナバ回路の接続位置とをスタックの軸に対して対称な方向に配置したため、ターンオフ時の電流の流れを2方向に分散できる。このため、GTO5aのゲートリード線27接続位置での電流の集中が抑制できて素子内部をバランス良く電流が流れ、特に最もオフするのが遅い領域での局部的な熱集中を防止でき、ターンオフ耐量が向上すると共に、素子の破壊を招くことも無い。
【0028】
実施の形態3.
上記実施の形態1において、圧接型自己消弧素子5に転流型ゲートターンオフサイリスタ(GCT5b)を適用した場合について説明する。
図5は、この発明の実施の形態3による圧接型自己消弧素子のスタック構造を示す上面構成図および部分側面図である。
図に示すように、GCT5bのカソード電極Kを、多層の積層基板28とスイッチング回路とを備えたゲート駆動装置22に設けられた凹部にはめこんで、カソード電極K同士を圧接し、GCT5b最外周部に設けられたリング状のゲート電極G29と、積層基板28におけるゲート駆動装置22のゲート電極Gとを、図中の固定位置30でネジを用い固定する。
GCT5bのリング状のゲート電極G29とゲート駆動装置22のゲート電極GとがGCT5bの全周で接続されるため、ターンオフ時の電流の流れ方は、上記GTO5aのように1カ所へ集中し易くなることは無いが、スイッチング回路22aが位置する部分までの積層基板28内のパターンの長さが、リングの手前、横、奥とで異なるため、配線インダクタンスがリングの手前、横、奥の順に大きくなる(図に示すように、ゲート駆動装置22接続位置を手前とする)。そのため、ターンオフ時のゲート駆動装置22への電流の流れ方はリングの奥、横、手前の順に大きくなる傾向がある。
【0029】
この実施の形態では、GCT5bのスイッチング回路に最も近いGCT5bのリング状ゲート29部分、即ちゲート駆動回路22の接続位置と、外部回路23、即ち電圧クランプ型スナバ回路あるいは充放電型スナバ回路の接続位置とをスタックの軸に対して対称な方向に配置したため、ターンオフ時の電流の流れを2方向に分散できる。このため、素子内部をバランス良く電流が流れて、特に最もオフするのが遅い領域での局部的な熱集中を防止でき、ターンオフ耐量が向上すると共に、素子の破壊を招くことも無い。
【0030】
実施の形態4.
次に、接続される外部回路が複数個ある場合について以下に示す。外部回路に大容量のスナバコンデンサあるいはクランプコンデンサを必要とする場合、コンデンサ1個では寸法が大きくなりすぎるため複数個に分割することがあり、その場合、外部回路が複数個となる。
図6は、この発明の実施の形態4による圧接型自己消弧素子のスタック構造を示す上面構成図である。
図に示すように、2個の外部回路23a、23bがそれぞれ外部接続線25a、25bを介して、アノード電極Aとカソード電極Kとの間に接続される。ゲート駆動装置22の接続位置をスタックの正面側とすると、一方の外部回路23aは、スタックの軸を中心として、ゲート駆動装置22の接続位置の右90度の位置に接続され、他方の外部回路23bはスタックの軸に対してゲート駆動装置22接続側と対称な方向であるスタックの奥側に接続される。また、圧接型自己消弧素子5の左面側に入出力端子26にて電源回路、負荷回路が接続される。
【0031】
図7は、この発明の実施の形態4の別例による圧接型自己消弧素子のスタック構造を示す上面構成図である。
図6と同様に、2個の外部回路23a、23bがそれぞれ外部接続線25a、25bを介して接続され、スタックの軸を中心として、一方の外部回路23aはゲート駆動装置22の接続位置の右120度の位置に、他方の外部回路23bはゲート駆動装置22の接続位置の左120度の位置に、配置される。
【0032】
図6、図7に示したように、この実施の形態では、外部回路23を2個備え、それぞれの接続位置を、スタックの軸を中心として、ゲート駆動装置22の接続位置から左右双方に90度以上離れた角度に配置した。このため、ターンオフ時の電流の流れをバランス良く3方向(2個の外部回路23とゲート駆動装置22とに流れる方向)に分散できる。このため、素子内部をバランス良く電流が流れて、特に最もオフするのが遅い領域での局部的な熱集中を防止でき、ターンオフ耐量が向上すると共に、素子の破壊を招くことも無い。
【0033】
なお、外部回路23は3個以上備えても良く、それぞれの接続位置を、スタックの軸を中心として、ゲート駆動装置22の接続位置から左右双方に90度以上離れた角度に配置すれば、上記実施の形態4と同様の効果が得られる。
【0034】
【発明の効果】
以上のように、この発明に係る請求項1記載の電力変換装置は、カソード電極、アノード電極およびゲート電極を有する圧接型の自己消弧素子を含む被圧接部材を同一軸上に加圧状態で積層して成るスタックを備え、上記自己消弧素子内部を電流がバランス良く流れるように、上記ゲート電極に接続されるゲート駆動回路の接続位置と、上記アノード、カソード電極間に接続される、抵抗、コンデンサおよびダイオードから成り急激な電圧変化抑制の為の外部回路の接続位置とが、上記スタックの軸に対して対称な方向に配置されるものであるため、圧接型自己消弧素子のターンオフ時に素子内部に流れる電流の方向を2方向に分散し、熱集中が発生しにくい構造にし、ターンオフ耐量を向上させることが出来、圧接型自己消弧素子をスイッチング素子として使用する大容量インバータ装置等の電力変換装置について大きな信頼性が得られる効果がある。
【0035】
またこの発明に係る請求項2記載の電力変換装置は、カソード電極、アノード電極およびゲート電極を有する圧接型の自己消弧素子を含む被圧接部材を同一軸上に加圧状態で積層して成るスタックを備え、上記アノード、カソード電極間に、抵抗、コンデンサおよびダイオードから成る複数個の外部回路が急激な電圧変化抑制の為に接続され、上記自己消弧素子内部を電流がバランス良く流れるように、該複数個の外部回路のそれぞれの接続位置が、上記スタックの軸を中心にして、上記ゲート電極に接続されるゲート駆動回路の接続位置から左右双方に90度以上離れた角度に配置されるものであるため、圧接型自己消弧素子のターンオフ時に素子内部に流れる電流の方向を3方向以上に分散し、熱集中が発生しにくい構造にし、ターンオフ耐量を向上させることが出来、圧接型自己消弧素子をスイッチング素子として使用する大容量インバータ装置等の電力変換装置について大きな信頼性が得られる効果がある。
【0036】
またこの発明に係る請求項3記載の電力変換装置は、請求項1または2において、圧接型自己消弧素子が、ゲートターンオフサイリスタ(GTO)であるため、局部的な電流集中を効果的に抑制でき、請求項1または2による効果が確実に得られる。
【0037】
またこの発明に係る請求項4記載の電力変換装置は、請求項1または2において、圧接型自己消弧素子が、該素子の最外周部をリング状ゲート電極で構成した転流型ゲートターンオフサイリスタ(GCT)であり、上記ゲート電極全周をゲート駆動回路との接続部に接続させたものであるため、電流を素子内部で効果的にバランス良く流し、請求項1または2による効果が確実に得られる。
【0038】
またこの発明に係る請求項5記載の電力変換装置は、請求項3において、外部回路が充放電型スナバ回路であるため、局部的な電流集中を効果的に抑制でき、請求項3による効果が確実に得られる。
【0039】
またこの発明に係る請求項6記載の電力変換装置は、請求項4において、外部回路が電圧クランプ型スナバ回路あるいは充放電型スナバ回路であるため、電流を素子内部で効果的にバランス良く流し、請求項4による効果が確実に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による圧接型自己消弧素子のスタック構造を示す側面構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による圧接型自己消弧素子のスタック構造を示す上面構成図である。
【図3】この発明の実施の形態1による、圧接型自己消弧素子のターンオフ波形を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態2による圧接型自己消弧素子のスタック構造を示す上面および部分側面図である。
【図5】この発明の実施の形態3による圧接型自己消弧素子のスタック構造を示す上面および部分側面図である。
【図6】この発明の実施の形態4による圧接型自己消弧素子のスタック構造を示す上面構成図である。
【図7】この発明の実施の形態4の別例による圧接型自己消弧素子のスタック構造を示す上面構成図である。
【図8】従来の圧接型自己消弧素子のスタック構造を示す側面図である。
【図9】圧接型自己消弧素子を使用する一般的な電力変換装置の主回路および外部回路を示す回路図である。
【図10】転流型ゲートターンオフサイリスタを使用する一般的な電力変換装置の主回路および外部回路を示す回路図である。
【図11】従来の圧接型自己消弧素子のスタック構造の上面構成図である。
【図12】従来のGTO内部の動作領域と電流の流れる関係を説明する図である。
【図13】従来の圧接型自己消弧素子のスタック構造での一般的なターンオフ波形を示す図である。
【符号の説明】
5 圧接型自己消弧素子、5a GTO、5b GCT、
22 ゲート駆動装置、23,23a,23b 外部回路、29 ゲート電極。
Claims (6)
- カソード電極、アノード電極およびゲート電極を有する圧接型の自己消弧素子を含む被圧接部材を同一軸上に加圧状態で積層して成るスタックを備えた電力変換装置において、上記自己消弧素子内部を電流がバランス良く流れるように、上記ゲート電極に接続されるゲート駆動回路の接続位置と、上記アノード、カソード電極間に接続される、抵抗、コンデンサおよびダイオードから成り急激な電圧変化抑制の為の外部回路の接続位置とが、上記スタックの軸に対して対称な方向に配置されることを特徴とする電力変換装置。
- カソード電極、アノード電極およびゲート電極を有する圧接型の自己消弧素子を含む被圧接部材を同一軸上に加圧状態で積層して成るスタックを備えた電力変換装置において、上記アノード、カソード電極間に、抵抗、コンデンサおよびダイオードから成る複数個の外部回路が急激な電圧変化抑制の為に接続され、上記自己消弧素子内部を電流がバランス良く流れるように、該複数個の外部回路のそれぞれの接続位置が、上記スタックの軸を中心にして、上記ゲート電極に接続されるゲート駆動回路の接続位置から左右双方に90度以上離れた角度に配置されることを特徴とする電力変換装置。
- 圧接型自己消弧素子が、ゲートターンオフサイリスタ(GTO)であることを特徴とする請求項1または2記載の電力変換装置。
- 圧接型自己消弧素子が、該素子の最外周部をリング状ゲート電極で構成した転流型ゲートターンオフサイリスタ(GCT)であり、上記ゲート電極全周をゲート駆動回路との接続部に接続させたことを特徴とする請求項1または2記載の電力変換装置。
- 外部回路が充放電型スナバ回路であることを特徴とする請求項3記載の電力変換装置。
- 外部回路が電圧クランプ型スナバ回路あるいは充放電型スナバ回路であることを特徴とする請求項4記載の電力変換装置。
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