JP3549738B2 - 自動車用ハンガーレール装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワゴン車等の車室内後部に設けられ、フックがスライド可能に支持された自動車用ハンガーレール装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のハンガーレール装置としては、特開平10−151063号公報に記載されているように、断面C字型のレール本体に、レール本体が形成する溝にスライド自在に内嵌されたランナーを介してフックが取り付けられる一方、前記ランナーに、前記溝内での位置固定及びその解除を行うためのロック機構が設けられたものが知られている(図示省略)。そして、かかるハンガーレール装置においては、前記フックに、例えば手荷物等を掛け下げたり、荷崩れ防止用のネットロープを引っ掛けたりすることができ、しかもその場合には、フックを車体前後方向の任意の位置へ移動させ得るとともに、そこでの位置固定が可能となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる従来のハンガーレール装置においては、フックを用いて他の物品を支持する単一の機能しか有しておらず、しかもフックが使用されていないときには、それが無用の存在となっていた。
【0004】
本発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、複数の機能を有し、かついかなる状態下においても有用である自動車用ハンガーレール装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために請求項1の発明にあっては、車室内後部の側壁に設けられ車体前後方向に延びる溝を形成する断面C字型のレール本体に、前記溝に内嵌されたランナーを介してフックがスライド可能に支持された自動車用ハンガーレール装置において、前記レール本体に、前記溝の上方側の開口縁に連設され、かつ車室内に突出して前記レール本体の上方側を覆うとともに、ラゲッジルームを開閉するトノボードを支持する支持スカート部を設けたものとした。
【0006】
かかる構成においては、フックに手荷物等が引っ掛けられているときハンガーとして機能するだけでなく、支持スカート部が存在することによって、フックの利用の如何によらずトノボードを支持する棚として機能する。また、支持スカート部によってレール本体に高い捻れ剛性を確保できる。さらに、トノボードがラゲッジルームを閉鎖している状態では、上部から溝にゴミ等の異物が入ることがないことから、溝に入ったゴミ等によってフックの移動が阻害されるといった事態の発生頻度が低下する。
【0007】
また、請求項2の発明にあっては、前記支持スカート部の上面に、前記トノボードを係止する係止手段を突設したものとした。
【0008】
かかる構成においては、トノボードを係止した状態においても、トノボードに緩衝することなくフックを任意の位置へ移動させることができる。
【0009】
また、請求項3の発明にあっては、前記レール本体に、前記溝の下方側の開口縁に連設され前記レール本体の下方側を覆う補強スカート部を設けたものとした。
【0010】
かかる構成においては、補強スカート部によってレール本体に、より高い捻れ剛性を確保できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図にしたがって説明する。図1は、本発明に係る自動車用ハンガーレール装置1を備えたバン型車両2の車室内を示す図であって、車室内には、ファーストシート3及びセカンドシート4が配置された乗客スペース5と、セカンドシート4の後方に位置するラゲッジスペース6とが確保されている。ラゲッジスペース6には、左右の側壁7に対をなしてハンガーレール装置1が車体前後方向に延在するようにそれぞれ設けられており、双方のハンガーレール装置1によって折り畳み式のトノボード8が支持されている。トノボード8の下面側にラゲッジルーム9が区画形成されており、トノボード8を折り畳み状態と、展開状態とすることによりラゲッジルーム9が開閉されるようになっている。
【0012】
また、図2に示すように、車室内の側壁7は車体パネル10を覆う室内トリム11によって形成されている。側壁7には、内側に向かい膨出するとともに前記トノボード8の側辺が当接する膨出部7aが、室内トリム11によって形成されている。一方、トノボード8の所定箇所には、車幅方向の両側辺に位置して後述するストライカ14に係合するロック片12を有するロック装置13が設けられている。
【0013】
一方、ハンガーレール装置1は、前述した側壁7の膨出部7aの下方側に接して取り付けられている。ハンガーレール装置1は、主として長尺状のレール本体15と、レール本体15に装着された係止具25とから構成されている。レール本体15は、図3に示すように一様の断面形状を有する押出し成形されたアルミ材であって、車室内に向かい開口した溝16を形成する断面略C字状の固定部17と、溝16の上縁側で固定部17に連続しレール本体15の上方を覆うとともに前記トノボード8が載置された支持スカート部18と、溝16の下縁側で固定部17に連続する補強スカート部19とを有している。
【0014】
支持スカート部18と補強スカート部19は、各々が溝16の開口縁からそれぞれ側壁7側に向かって外側に折り返されるよう形成されている。これによりレール本体15には、溝16の上方に断面略矩形状の第1の中空部20が、また溝16の下方に断面略三角形状の第2の中空部21がそれぞれ溝16に隣接して形成されている。支持スカート部18の上面は平坦であって、その所定箇所には本発明の係止手段である、前述したストライカ14が突設されている。そして、ハンガーレール装置1は、レール本体15の固定部17を貫通するとともに、車体パネル10のウェルドナット22に螺合するボルト23によって、側壁7に固定されている。
【0015】
また、前記係止具25は、レール本体15の前記溝16に摺動自在に内嵌されたランナー26に、鉤型のフック27及びフック固定ノブ28が回動自在に連結されたものであって、レール本体15に沿って任意の位置への移動が可能となっている。フック固定ノブ28は、図示省略した他のロック構成部品と共同してランナー26をレール本体15に固定するものであって、係止具25は、フック固定ノブ28が図2に示した状態から下方に回動されることにより、レール本体15に対する位置固定を解除されるよう構成されている。
【0016】
以上の構成からなるハンガーレール装置1においては、前記フック27に手荷物を掛けたり、荷崩れ防止用のネットロープを掛けたりすることにより、従来のものと同様に他の物品を支持するハンガーとして機能する。しかも、図示したように、支持スカート部18によってトノボード8を支持することにより、フック27の利用の如何によらずトノボード8を支持するための棚として機能する。すなわち、複数の機能を有しているとともに、いかなる状態下においても有用である。よって、従来のものに比べて使用価値が大きい。
【0017】
また、レール本体15には、支持スカート部18と補強スカート部19とによって、極めて高い捻れ剛性が確保されており、フック27に重量物を掛け下げたり、フック27に引っ掛けるロープ等を強く引張させることができる。従って、従来のものに比べるとハンガーとしての機能も向上されている。なお、本実施の形態においては、レール本体15に補強スカート部19が設けられているものを示したが、補強スカート部19が設けられていない場合であっても、その程度に違いがあるものの前記効果を得ることは可能である。
【0018】
さらに、ハンガーレール装置1においては、トノボード8がラゲッジルーム9を閉鎖している状態では、上部から溝16にゴミ等の異物が入ることがなく、溝16に入ったゴミ等によってフックの移動が阻害されるといった事態の発生頻度が低下する。よって、前述したハンガーとしての機能が安定する。
【0019】
また、本実施の形態においては、支持スカート部18の上面に突設したストライカ14によりトノボード8を係止するため、トノボード8を係止した状態においても、トノボード8に緩衝することなくフック27を任意の位置へ移動させることができる。つまり、ハンガーとしての機能を低下させることなく、トノボード8を係止することができる。
【0020】
なお、本実施の形態においては、支持スカート部18と補強スカート部19とによってレール本体15に形成された第1の中空部20及び第2の中空部21が、側壁7側に一部開口するものを示したが、それらは側壁7側に開口しない構造であっても構わない。また、係止具25のフック27が鉤型であるものを示したが、必要に応じてフック27の形状をリンク状等の他の形状としてもよい。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1の発明にあっては、フックの利用によりハンガーとして機能するだけでなく、フックの利用の如何によらずトノボードを支持する棚として機能するようにした。よって、複数の機能を有し、かついかなる状態下においても有用であり、使用価値が大きな自動車用ハンガーレール装置の提供が可能となる。
【0022】
また、支持スカート部によってレール本体に高い捻れ剛性を確保できることから、フックに重量物を掛け下げたり、フックに引っ掛けるロープ等を強く引張させることができるため、ハンガーとしての機能を向上させることができる。
【0023】
さらに、溝に入ったゴミ等によってフックの移動が阻害されるといった事態の発生頻度が低下するようにしたことから、ハンガーとしての機能を安定させることもできる。
【0024】
これに加え、請求項2の発明にあっては、トノボードを係止した状態においても、トノボードに緩衝することなくフックを任意の位置へ移動させることができるようにした。よって、ハンガーとしての機能を低下させることなく、トノボードを係止する機能を確保することができる。
【0025】
また、請求項3の発明にあっては、補強スカート部によってレール本体に、より高い捻れ剛性を確保できることから、ハンガーとしての機能をより一層向上させることができる。
【0026】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示すバン型車両の透視側面図である。
【図2】ハンガーレール装置を示す図1のA−A断面図である。
【図3】レール本体を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ハンガーレール装置
7 側壁
8 トノボード
9 ラゲッジルーム
14 ストライカ
15 レール本体
16 溝
18 支持スカート部
19 補強スカート部
26 ランナー
27 フック
Claims (3)
- 車室内後部の側壁に設けられ車体前後方向に延びる溝を形成する断面C字型のレール本体に、前記溝に内嵌されたランナーを介してフックがスライド可能に支持された自動車用ハンガーレール装置において、
前記レール本体に、前記溝の上方側の開口縁に連設され、かつ車室内に突出して前記レール本体の上方側を覆うとともに、ラゲッジルームを開閉するトノボードを支持する支持スカート部を設けたことを特徴とする自動車用ハンガーレール装置。 - 前記支持スカート部の上面に、前記トノボードを係止する係止手段を突設したことを特徴とする請求項1記載の自動車用ハンガーレール装置。
- 前記レール本体に、前記溝の下方側の開口縁に連設され前記レール本体の下方側を覆う補強スカート部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の自動車用ハンガーレール装置。
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- 1998-08-05 JP JP23351998A patent/JP3549738B2/ja not_active Expired - Fee Related
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